JP2006164219A - 有限要素解析用インターフェース、有限要素解析用インターフェースのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、高付加価値通信網を利用した有限要素解析方法、有限要素解析用並列処理計算機および有限要素解析用計算機 - Google Patents
有限要素解析用インターフェース、有限要素解析用インターフェースのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、高付加価値通信網を利用した有限要素解析方法、有限要素解析用並列処理計算機および有限要素解析用計算機 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】有限要素法を用いたCAE解析の操作性の向上を図る。
【解決手段】解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンを設計し初期データファイルを作成し、該初期データファイルに基づきインターフェースソフト用のプログラムソースコードと専用データファイルを作成し、該プログラムソースコードとパーツプログラムを用いてコンパイル処理とリンク処理により実行形式のインターフェースソフトを作成し、該インターフェースソフトと該専用データファイルを用いて第2段階離散化処理を実施し結果を出力し、該出力結果の妥当性を検証し不適切であれば該データファイルを修正し再度第2段階離散化処理を実施し、該出力結果が妥当であれば有限要素解析用入力データファイルとして次の有限要素解析に進む有限要素解析用インターフェースを提供する。
【選択図】図1
【解決手段】解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンを設計し初期データファイルを作成し、該初期データファイルに基づきインターフェースソフト用のプログラムソースコードと専用データファイルを作成し、該プログラムソースコードとパーツプログラムを用いてコンパイル処理とリンク処理により実行形式のインターフェースソフトを作成し、該インターフェースソフトと該専用データファイルを用いて第2段階離散化処理を実施し結果を出力し、該出力結果の妥当性を検証し不適切であれば該データファイルを修正し再度第2段階離散化処理を実施し、該出力結果が妥当であれば有限要素解析用入力データファイルとして次の有限要素解析に進む有限要素解析用インターフェースを提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は有限要素法などの離散化解析法を用いたCAE(Computer Aided Engineering:計算機を用いて仮想の物理シミュレーションを実施しその知見を活かして設計を行うこと)技術において、素人であっても過去の実績に優れた複雑な手順の解析を容易に実施し、必要に応じて最小限のデータの変更を行うことにより所望の解析を短時間に可能にする簡単操作の有限要素解析用インターフェースの提供に関する。
10年程前(1990年頃)に主に大学や大手企業で行われていた専用のワークステーションによる有限要素法等のCAE解析が、近年の計算能力に優れるパソコンの出現により種々の製造工程で実用化されるようになった。
有限要素法は解析対象の領域を有限要素と呼ばれる多角形や多面体などの閉領域に分割し、有限要素の中では一次式や二次式などの単純な変数分布を仮定して解析を容易化するとともに、解析領域を多数の有限要素で埋め尽くすことにより全体を離散化処理して解析対象の複雑な変数分布を近似することに特徴がある。製造工程で発生する複雑な形状の解析を高精度に実施するには有限要素の分割数を極力増加させる必要があり、そのため計算量が指数関数的に増大するので、近年の安価で高性能なパソコンの出現により漸く実用段階を迎えたと考えられる。当初は1950年代頃に米国で航空機翼などの強度設計法として実用化されたようだが、近年では大変形の塑性加工解析や熱流体解析、電磁場解析など種々の工学分野の問題に適用されるようになり、今では各種構造設計の妥当性を机上で検証する有力な設計ツールとして用いられるようになった。
当初はユーザーが自らの利用のためにプログラムを作成していたが、その後、海外の大学などが中心となって設立されたベンチャービジネスで開発された種々の市販ソフトが普及しつつある(図38参照)。ビジネスとして市販ソフトが成功するポイントは、そのソフトが対象分野の多くの領域で種々の問題を解析出来ることであり、これにより潜在ユーザー数を増加させることである。そのため一般に市販ソフトは汎用性を重視した設計がなされている。市販ソフトの多くはユーザー作成の独自ソフトに比べて多様な問題に柔軟に対応するためにプログラム全体のサイズが巨大で、またシステムもメンテナンス性などの観点から複数のサブシステムに分けて構成されるのが一般的であった。市販ソフトの多くは、ユーザーが解析用データを作成するプリプロセッサー、作成されたデータを入力して計算を実行し得られた結果をファイルに出力するソルバー、出力ファイルの膨大な数値データを人間が認識し易いように図形表示するポストプロセッサーから構成される。
最近のパソコンはマルチメディアへの対応性に優れているので、ユーザーとの接点であるプリプロセッサーとポストプロセッサー(併せてプリポストプロセッサーと呼称)はGUI(Graphical User Interface)の図形処理を用いた視覚的な表現が多用され、Windows(登録商標)やMacOS(登録商標)などのOS(Operating System)の処理機能を活用して、マウスやキーボードなどの操作による対話式の操作が主流になっている。また、国際的に著名なCAEソフトはプリポストプロセッサーとソルバーから構成されるCAEシステムが主流であるが、最近はこれらのCAEシステムと互換性のあるプリポストプロセッサーがサードパーティーと呼ばれる中小の企業から販売されるケースも増えている。
国内のCAEシステムは過去に大企業などで自社のシステムとして大型汎用計算機上で開発されたものが有り、近年これらをワークステーションやパソコン環境に移植している場合が多々見られる。その際、ユーザーとの接点であるユーザーインターフェースの開発が重要であり、特に、高性能な有限要素分割方法によるメッシュ作成に開発の重点が置かれる。例えば、特許文献1(特開2001−92875号公報)は解析者のメッシュ作成作業における負担を軽減し作業効率を向上させるCAEシステムであり、長年に渡って10件程度の関連特許が出願されているようである。
図24は特開2001−92875号公報開示の従来技術の実施例を示す説明図で、形状モデルの生成から有限要素メッシュの生成まで同じ端末で統一的に作業出来る高性能な大規模システムである。但し、認識モデルの修正などユーザーの高度な判断を要するので初心者には適しない。
また、特許文献2(特開平07−121579号公報)では三次元の六面体有限要素のメッシュ生成に関して、解析領域を複数の四面体、五面体および六面体要素で分割して1次メッシュを形成し、次に各要素を六面体要素で分割して領域全体を六面体要素からなる2次メッシュとして形成する方法が開示されている。但し、この方法では2次メッシュ作成の際に六面体要素の分割変数を指定しない。そのため、1次メッシュの要素の各辺を一律に二分割することにより2次メッシュで生成する六面体有限要素の整合性を確保している。一方、著名な市販ソフトでは三次元メッシュの自動生成方法が適用されており、実用段階に達しつつある。
市販ソフトとしてビジネス的に成功する他の要素として、解析の安定性(ロバスト性、これが高いと計算の異常停止が殆ど発生せず必ず結果が出力される)がある。例えば、微小変形を対象とした構造解析、レイノルズ数が低い領域での熱流体解析、電磁場解析などの比較的線形性が強いものから順に開発され、最近これらの分野では小規模解析から大規模解析へ移行しつつある。例えば、特許文献3(国際特許WO2002/093412)は複数のパソコンを用いて並列計算することにより要素数の多い大規模解析を安価かつ迅速に行う技術である。
また、最近ではインターネットなどの高付加価値通信網が世界的にも整備されており、いわゆるIT(Information Technology)技術の急速な発展によりこの方面でのCAE利用も急速に進むものと期待されている。例えば、特許文献4(特開2003−16116号公報)はCAEシステムをインターネット上で使い易くかつ安価に利用できるような処理方式を提供することにより、ASP(Aplication
Service Provider)と呼ばれるインターネットによる解析役務の提供を目指す技術であり、将来の発展・成長が期待される有望なビジネス分野のひとつとされている。
Service Provider)と呼ばれるインターネットによる解析役務の提供を目指す技術であり、将来の発展・成長が期待される有望なビジネス分野のひとつとされている。
さらに、高付加価値通信網を利用するIT技術として、イーラーニング(e-Learning)が注目されている。これは、インターネットとパソコンを介した学習システムのこと。通学して学ぶ専門学校や従来の通信教育と違い、時間や場所を問わず音声や動画を使った学習を効果的に行うことができる。その特徴は、時間と場所を問わない、メールやBBSを使ったワン・トゥー・ワン・サポートが可能、音声や動画を使った効果的な学習が可能などである。学校で教える授業内容からパソコン検定や各種語学の会話、趣味や実用などの学習に広く適用されている。しかし、CAE解析のイーラーニングは殆ど存在しない。
一方、ビジネスとして必要な解析の安定性(ロバスト性)を得難い強い非線形性を有する問題、例えば塑性加工解析や乱流解析などでも、計算機の高速演算性を利用した従来法と異なる理論が種々開発され、次第にCAEシステムとして製品化が行われる傾向である。例えば、特許文献5(特開2002−288240号公報)は大変形による非線形性が発生するだけでなく更に工具と材料の接触など強度の非線形性を伴う圧延解析システムの例である。これらの解析では多くの計算時間を要する収束計算(正解を探索するまで計算を繰り返すが、場合によっては正解が得られない場合もある)などを多用すること、解析対象領域内の物理変数の変化を滑らかにして実際の結果を近似するために有限要素分割数を増加するなどにより、計算機のメモリーと演算能力を最大限に利用する。そのため、ユーザーの解析ニーズが現状の計算機性能を超える場合が多々見られ、解析時間の短縮など今後の更なる解析技術の進展が期待されている。例えば、圧延であれば高精度3次元弾塑性解析や種々のモデルとの練成解析など、鍛造であれば複雑形状の型鍛造解析など、板成形であればプレス成形解析やスプリングバック解析など枚挙に暇が無いほどである。
上述のようにCAEを取り巻く環境は、解析技術の向上だけでなく、パソコンなどの高性能化、高速な通信が出来るインターネットの普及などIT技術の急速な発展などに支えられて急速に改善されており、今後の少子高齢化に伴う熟練技術者の供給制限に対する有望な解決手段として、益々の発展が期待されている。例えば国家的なプロジェクトとして平成13年度「金型分野におけるデジタル・マイスター技術開発助成事業」などで金型設計・製造支援アプリケーションの高性能化に関する技術開発が行われており、その中でCAEの利用も活発に検討されている。また、米国などでも自動車製造のキーテクノロジーとして精度の高い板成形のスプリングバック解析技術の開発が国家的なプロジェクトとして実施されてきた。
少子高齢化に伴う熟練技術者の供給制限に対する解決手段としてのCAE利用が期待される大きな分野に鍛造加工がある。これは自動車や家庭用電化製品の部品になる素形材を安価に大量に製造する技術として優れており、従業員が数十人程度の数百社の小企業がそれぞれ得意とする素形材を製造・供給している。鍛造加工は図23の工程図(社団法人日本鍛造協会のホームページから転載)に示すように、主に金属棒材料を切断して金型と呼ばれる雌型の工具の中で鍛造機により高い圧力を加えて型内に材料を充満させ型形状を素材に転写する型鍛造と、金敷と呼ばれる一対の工具の間で加圧する自由鍛造(鍛伸と呼称する場合もある)からなる。
型鍛造は複雑な小物部品の製造に適しており、自由鍛造は寸法精度が低いが同じ金敷で多くの寸法形状の大物素材を製造出来る。一般に鍛造加工は旋盤加工などの切削加工に比べて切り屑の発生が無いので材料の歩留まりが高く、素材のファイバー組織を切らないので製品強度に優れる。しかし、金型や工程の設計が適切でないと製品欠陥が発生したり、高価な金型の寿命が極端に短くなるので、それらの設計には種々の工夫が成されてきた。そのため、金型設計などに高度な熟練技能者を必要とする。
従来金型設計に際しては、鍛造製品を利用するユーザーが提示する製品設計図に適合する材料の寸法を決定し、これを製品に加工するために必要な成形荷重と加工段数を決定する。そして、各加工段で金型の寸法形状を仮決めし試作用金型を製作して加工が当初の狙いのように可能か否かを確認する。不適切な場合は試作金型を修正し、修正が出来ない程大幅な設計の変更が生じる場合は再度試作金型を製作する。このように全ての段の金型設計が最適化されるまで試作を繰り返すので、必然的に試作金型の製作コストや製造時間などの増大を招きやすく、熟練技能者が確保出来ない場合には競争力の低下が懸念される。
一方、自動車や家庭用電化製品などの大手メーカーは付加価値の高い製品の鍛造を社内でも行っている。その際に、金型の試作段階でCAE解析を実施して、計算機シミュレーションで金型設計の最適化のために仮想試作試験を実施することにより、実際の金型試作回数を低減または省略するシステムを確立している。特許文献6(特開平8−241338号公報)、特許文献7(特開2000−197942号公報)、および特許文献8(特開2002−79340号公報)などに開示の技術は鍛造の金型設計に鍛造CAEを用いて合理化を図った例である。これらはCAD(計算機支援設計)の製品形状寸法データを利用してCAEの入力データを自動作成するなどCAE操作の合理化だけでなく、得られた結果から金型負荷を減少させる条件探索など解析に高い負荷価値を与えている。最近では三次元CADデータをCAE、CAM(計算機支援製造)、CAT(計算機支援試験)など、全体の工程で再利用することにより製造期間の短縮と開発コストの低減を実現するシステムが開発されている。
金型設計の合理化に大きなメリットのある鍛造CAEではあるが、上述の数十人規模の小企業には残念ながら殆ど普及していない。近年は少子高齢化および産業の空洞化のために国内工場の海外工場に対する相対的競争力の低下が懸念されている。普及の容易なIT技術の利用が海外で進みつつあり、海外企業が安価なCAE技術を活力のある豊富な若年労働者に利用させれば益々競争力較差が縮小し、その後の逆転など必至の情勢である。上述の国家的プロジェクトなどは、数十人規模の小企業にCAEを普及させて金型設計を合理化し、更には新製品の開発などを活発化させて、これにより国際競争力の強化を図ることに大きな狙いがあると考えられる。その実現のためには、CAE技術を小企業に普及させることが必要条件となる。
上述のように何故CAE技術が小企業に普及し難いか、その原因を分析することは対策立案のために重要である。小企業が利用すると予想されるのは比較的安価で利用実績のある市販ソフトである。従来の市販CAEソフトに採用されているインターフェースソフト(プリプロセッサー)の多くは種々の工程に対応する汎用性を重視するため、ユーザーが自ら、1)形状、2)要素分割、3)材料特性、4)境界条件などの膨大なデータを作成する必要がある。これらの作業は多くのマンパワーを必要とするだけでなく、かなり高度な専門性も要求されるので、専用オペレータの育成などコスト負担の増加が予想される。また、CAEを導入しても途中で挫折する企業も発生する。例えば、三次元CADの導入もままならない小企業に対して、それを前提とするような市販のCAEシステムの存在など、CAEの導入を妨げる障害は想像以上に大きい。近年、関連の学協会などでCAE普及のための数日から1週間程度のセミナーなどが頻繁に開催されている。簡単な理論を学習した後、機能が少ない有限要素解析ソフトを用いた実習が行われる。多忙な企業人にとってはこれだけの纏まった時間を割くのはかなり困難性があるにもかかわらず、これらのセミナーを通じて得られるスキルは通常入門段階レベルである。入門者が市販ソフトを自在に使いこなすには更に数年程度を要し、そのために必要なリソースは本業並となるであろう。実際、発明者は市販ソフトを自在に使いこなす者(以下これを専門オペレータと呼称する)を多くは知らないし、市販ソフトのメーカーでもそのようなスキルの者を常時多数雇用することは困難である。例えば、メーカーの開催するセミナーの講師は専門の大学教授が中心であるし、パンフレットやマニュアルの著者は海外本社の研究開発者である場合が多い。有限要素解析では数千から数万の入力データを作成するが、これら全てが実機の条件と整合してはじめて正しい解析が可能になる。従って、発明者はこのような困難性の高い入力データの作成作業を全てユーザーの責任で実施させる現状のビジネスモデル自体に大きな欠陥があると考えている。
一方、発明者が長らく関わっている鉄鋼製造業の圧延工程では事情が異なる。例えば、上述の特開2002−288240号公報の圧延CAE解析システムに見られるように、用途を棒鋼および線材のみに限定して専用のプリプロセッサーを用いることにより、入力するデータを大幅に削減してオペレータのデータ入力の負担を軽減している。例えば、ラウンド−オーバル型の2ロール圧延の場合は、材料の形状が圧延機の入り側で丸断面、出側で楕円形状の断面であり、圧延ロールに接する部分では入り側から出側へ向かって連続的に扁平度の増加する楕円形状で近似されることが実際の操業の実績から判明している。この場合、上述の入力データの1)形状、2)要素分割、3)材料特性、4)境界条件の中で、最も専門性と労力を要する1)形状と2)要素分割を専用ソフト(プリプロセッサー)で自動的に生成可能となる。また3)材料特性と4)境界条件は限られた典型的な操業条件に対応する複数のデータ群の中からユーザーが容易に選択出来る。特開2002−288240号公報に開示の例では、これらをパソコンのGUIを用いる対話型の入力方式により、圧延の経験者であれば数日程度の実習をすれば操作が可能となり生産性が向上する。このような専用のソフトを用いることにより、専門オペレータを必要とせず、簡単で迅速な解析の環境を構築出来る。即ち、操作性の面で専用ソフトは市販ソフトに比べて格段に優れている。
しかしながら、特開2002−288240号公報の例のように専用のソフトを開発するためには市販ソフトと同様に開発のコストが発生する。市販ソフトは対象とするユーザーが多いため多くの販売個数が見込まれるので、製品1個当たりの開発コストは大幅に低減され高機能であるにも関わらず安価である。一方、専用ソフトの場合は特定のユーザーが開発コストの大部分を負担することになるので極めて高価となる。また、これらのソフトを長い期間実用するためには専用ソフトの維持管理のために専門技術者を雇用しなければならないので多大なコストが加算される。圧延工程の場合は製品のロットが極めて大きいので、解析の費用対効果の観点からこれらの専用ソフトのコストを解析によるメリットで容易に吸収出来るため、多くの鉄鋼会社等に普及していると考えられる。
特開2001−92875号公報
特開平07−121579号公報
WO2002/093412
特開2003−16116号公報
特開2002−288240号公報
特開平8−241338号公報
特開2000−197942号公報
特開2002−79340号公報
上述の従業員が数十人規模の小企業にCAEを普及させるためには、決定権のある経営者にCAE技術のメリットを理解させて、経営戦略に反映させなければならない場合が多い。しかし、CAEソフトを使いこなせる者がいない場合が多くメーカー等の間接的な情報に頼らざるを得ず説得力は低い。その際に、経営者自らがCAE解析を実施し得られた結果の妥当性やその有効利用方法を直接確認することが出来れば最良である。本業の設備投資などでは経営者自らのスキルでこのような判断を行っている場合が多く、これが困難な現状のCAE解析システムは特異な製品であるといえよう。このようなCAE解析システム導入時の問題点を解消するためにはCAE解析の操作性を家庭用電化製品並みの簡単なものにしなければならない。上述のように市販の汎用ソフトの場合はこれを達成するのは困難であり、操作性に格段に優れる専用ソフトの場合においても製品コストが市販ソフトに比べて高価なため導入が困難であった。
これらの小企業を対象にCAE解析のASPによる有料サービスが提供出来るようになれば、高価なソフトを購入することなく、ユーザーが使用量を支払うことで安価に利用出来ると考えられる。その前提として小企業にCAE解析のスキルを持つ技術者を育成することが喫緊の課題となる。そのためには前述のe-Learningによる自己学習システムが便利であるが、現状CAE解析に関しては殆ど普及していない。これは何故か。ものづくりに携わるユーザーは実際に製造し難い工程に関してCAE解析で最適な方法に関する情報を得る潜在的なニーズがある。CAEの理想はシミュレーション結果を現実に近づけることであるが、実際に製造が困難な工程はCAE解析自体が困難である場合が多い。そのため入門者が解析した場合には結果が得られないか、得られても結果の信頼性が低い傾向である。一方、CAE解析が容易な工程は実際にも製造が容易である場合が多く、その場合にはユーザーの解析ニーズ自体が低い。即ち、実際に製造が困難な工程を精度良く解析出来なければCAEは便利な道具として普及しない。大学でCAEを研究している川井謙一は解析記事(「有限要素法による数値シミュレーションとその評価」(日本塑性加工学会誌 塑性と加工第37巻第421号、134頁、1996年))を発表し、大学や企業の専門家に塑性加工のCAE解析のベンチマークテスト(共通の問題を各専門家が個別に解析して結果を比較評価する試験)を実施して各専門家の結果のばらつきを評価している。共通問題を力学的条件だけ指定して与えた場合は、各専門家で解析方法(ノウハウ)が異なり結果のばらつきが大きかった。共通問題の力学的条件だけでなく解析方法(ノウハウ)などを与えた場合は結果のばらつきが小さくなった。即ち、塑性加工のような非線形性の高い解析では、CAEソフトと解析方法が適切でないと良い結果を得られないと結論付けされた。
実際にCAE解析でメリットを出している企業では、CAE解析を実施するスキルだけでなく、解析で得られた結果から実際の工程の情報を得るノウハウを多く有している。これらのノウハウは個別の工程に関するものであり専門家でも知らないものが多い。以上のことから、CAE解析では個別の問題毎にCAEソフトと解析のノウハウを提供することが重要である。解析のノウハウとしては個別問題毎に入力データを与えることが有効である。しかし、有限要素法では個別の問題毎に解析領域を多数の有限要素に分割するので入力データが膨大な量になり、管理し難い問題点があった。例えば代表的な入力データに基づいて解析領域の形状や、要素数を自由に変化させることが困難であった。
また、今後のCAE解析では工程全体でコスト削減を図るためにCADとの連携が重要になりつつある。即ち、CADで定義した解析対象の寸法形状のデータを用いてCAEのモデリングを実施する技術である。要素分割を必要としないCADに対してCAEは要素分割を行うのでCADに比べて形状定義の自由度が制限される。そこで、有限要素法で有効に利用出来る分割様式を出来るだけ多く準備して、これをユーザーに意識させないで整合性の高い要素分割(ロバスト性の高い頑健な要素分割)を行うシステムの開発が必要である。
更に、CAEでCADのデータを利用する場合には、自動要素分割を行うので、過去に実績のある優れた要素分割法の適用などをユーザーが直接指示・利用出来ない場合が多く、また、指示できたとしてもユーザーに複雑な操作を要求するので、小企業には導入しにくい問題があった。また、CAEソフトを導入しても、上述のように膨大な数の入力データを作成しなければならず、これらを全て管理することは困難性が高く、最適な条件の設定が出来ないため解析結果の精度低下を招く問題があった。
更に、小企業ではワークステーションやハイエンドパソコンなどの高度な計算環境の実現に困難性があり、文献(岡田達夫、宮川佳夫:塑性と加工第40巻第466 号1037)に記載のようにCAE解析をプログラム的に高速計算する必要があった。その際、計算機が1台の場合にはdissection法による有限要素分割が有利であるが、著名な市販ソフトではこれを実現したものは見当たらない。一方、著名なコンピュータ会社の基礎研究所に所属する寒川光は「解剖法順序を活かす多重スカイライン法」(情報処理学会論文誌第38巻第10号1879頁、1997年)と題する論文を発表し、解剖法順序(nested dissection ordering)で番号付けした有限要素解析を高速で計算する一般疎行列対応の直接解法ソルバー(多重スカイライン法と呼称する)を検討した。彼は、ハイパーテーブルと称する表を導入してdissection法による有限要素節点番号付けとこれにより生成される一般疎行列の剛性行列構造との対応付けに成功した。その結果、ハイパーテーブルに基づいて計算量を削減し高速な計算が可能な多重スカイライン法を利用することにより、二次元の問題では正方形領域、三次元の問題では立方体領域に対して、1台の計算機で数倍程度、分散メモリー型の並列計算機を用いた場合には更に数倍程度高速に計算出来ることを実証した。しかし、一般構造物に関しては形状が複雑なため解剖法順序(nested dissection ordering)による番号付けが困難であるとして、解析を行っていない。そのため、寒川の従来技術ではものづくりで重要な一般構造物に対して、多重スカイライン法による高速化計算プログラムの実装方法が不明であり高速化が困難であった。また、一般構造物に対して、今後の発展が期待される代表的な高速計算環境であるクラスターコンピューティング(広義の概念ではグリッドコンピューティング)による並列計算への多重スカイライン法の適用方法が不明であった。
また、一般に小企業では工場の設計製造に多忙な技術者がCAE解析を行う場合が多く、解析スキル向上のためのCAE解析セミナーなどに参加することが困難な場合が多い。インターネットやLANなどの高付加価値通信網を用いたe−learningと呼ばれる自己学習システムが注目されているが、その通信網上での操作性に優れるCAE解析システムの仕様が不明であり、実際のCAEを用いた効果的な学習環境の整備が困難であった。
上述のように発明者は現状の市販ソフトが小企業に普及しない原因として、解析用の膨大な入力データをユーザーに作成させるビジネスモデルの本質的欠陥を指摘した。そこで、これらを改善するにはメーカーがユーザーに代わって入力データの作成を行う新しいビジネスモデルの確立が喫緊の課題であると考えた。常日頃、その端緒を開くための新技術の調査およびアイディア創出のためのブレインストーミングを繰り返した。そして、インターフェースを市販ソフトのような汎用のものではなく、ユーザーの製品・プロセス毎に特化する専用のものに変更することによって、有限要素解析用入力データ中に占めるユーザーが頻繁に変更するデータが極めて少ないことを知見した。
また、領域型分割の境界領域に着目すると分割データが少ないこと、境界領域をオブジェクトとして定義し、このオブジェクトの属性として種々のパラメータを設定すると、設計段階で各部分領域を有限要素で分割した後の膨大な量の有限要素解析用入力データを完全に再現出来ること、換言すれば解析のノウハウをコンパクトに表現出来ることを知見した。
そこで、メーカーがユーザーの製造条件などユーザーのニーズに従って専用のデータ付き入力ソフトを作成すれば、ワープロ操作の出来るユーザーなら誰でも少ないデータを容易に操作可能となり、ユーザーの負担を大幅に軽減してCAE導入に繋がると考え、以下の発明を行った。
即ち、第1の本発明は、1)解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンを設計し初期データファイルを作成する手段、該初期データファイルに基づきインターフェースソフト用のプログラムソースコードと専用データファイルを手動望ましくは自動プログラミングで作成する手段、該プログラムソースコードとパーツプログラムを用いてコンパイル処理とリンク処理により実行形式のインターフェースソフトを作成する手段、該インターフェースソフトと該専用データファイルを用いて第2段階離散化処理を実施し結果を出力する手段、該出力結果の妥当性を検証し不適切であれば該データファイルを修正し再度第2段階離散化処理を実施する手段、該出力結果が妥当であれば有限要素解析用入力データファイルとして次の有限要素解析に進む手段からなることを特徴とする有限要素解析用インターフェースである。
また、第2の本発明は、第1の本発明の有限要素解析用インターフェースにおいて、2)前記の第1段階離散化処理の分割パターンを設計する手段が少なくとも、解析対象領域の所望の位置に複数の主節点を配置する手段、該主節点の少なくとも2個以上を組み合わせて境界(以下ボードと呼称)を作成することにより複数のボードを組み合わせて解析対象領域を複数のセル状領域に分割する手段、該複数のセル状領域に所望の有限要素分割領域モデル(以下パーツと呼称)を割り付ける手段、該複数のボードに分割変数を割り付ける手段から構成され、前記第2段階離散化処理を実施する手段が少なくとも、該複数のボードの該分割変数に所望の分割数を指定する手段、該インターフェースによりパーツを複数の有限要素に分割する手段から構成され、二次元問題では第1段階離散化処理および第2段階離散化処理に共通のパーツとして三角形パーツまたは四角形パーツの少なくとも1種類以上を採用し、第2段階離散化処理の該三角形パーツまたは四角形パーツの有限要素分割に用いる有限要素として三角形1次要素、三角形2次要素、四角形1次要素、四角形2次要素の1種類以上を採用し、三次元問題では第1段階離散化処理および第2段階離散化処理に共通のパーツとして四面体パーツ、五面体パーツ、六面体パーツの1種類以上を採用し、第2段階離散化処理の該四面体パーツ、五面体パーツ、六面体パーツの有限要素分割に用いる有限要素として四面体1次要素、四面体2次要素、五面体1次要素、五面体2次要素、六面体1次要素、六面体2次要素の1種類以上を採用することを特徴とする。
更には、第3の本発明は、第1の本発明または第2の本発明の有限要素解析用インターフェースにおいて、3)前記の第1段階離散化処理に際して、孔、き裂、介在物(母材と異なる材質を有する領域)、複合組織など解析対称領域の内部または表面に局部的に存在する欠陥や母材の境界にボードと該ボードの分割変数を設定するとともに、該介在物及び該複合組織に対応する領域にパーツと該パーツの物性変数を設定し、第2段階離散化処理に際して、該ボードの分割変数に所望の分割数を指定するとともに、該介在物及び複合組織に対応するパーツの物性変数に所望の物性値を指定することにより該パーツを有限要素に分割することを特徴とする。
また、第4の本発明は、第1の本発明乃至第3の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、4)前記の第2段階離散化処理に関して、既存の解析対象の形状定義データを参照して解析対象の境界の形状を抽出する手段、解析対象領域の各パーツに生成した有限要素節点の中で解析対象の境界上に配置する境界節点を抽出する手段、該境界節点を該解析対象の境界の形状に合わせて該解析対象の境界上に移動する手段、該境界節点以外の有限要素節点を該有限要素の形状が所望の形状になるように移動する手段からなることを特徴とする。
更には、第5の本発明は、第1の本発明乃至第4の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、5)前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして十字状のボードを設定するとともに専用データファイルに該十字状ボードの識別データを記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該十字状ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該十字状ボード上に生成される有限要素節点を数えるか、または前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして解析対象全体を少なくとも一つ以上のパーツからなる複数の部分領域に分割し隣接する該部分領域の境界のボードを設定するとともに、該専用データファイルに該部分領域境界のボードの識別データを記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、隣接する該部分領域境界の連続性を維持しながら部分領域毎に有限要素分割を実施することを特徴とする。
また、第6の本発明は、第5の本発明の有限要素解析用インターフェースにおいて、6)有限要素解析の際に生成する剛性行列の行番号と列番号を指定して該剛性行列の要素を直接参照する複数のインデックス(索引)構造を有するとともに、繰り返し計算ループのループ開始値とループ終了値を直接参照するインデックス構造を有し、該ループ開始値とループ終了値の幅(ループの回数に対応)を最小にする条件判定機能を備える大規模正定値対称一般疎行列対応の直接解法と組み合わせて使用することを特徴とする。
また、第7の本発明は、第1の本発明乃至第6の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、7)二次元問題における前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析領域にN叉路状(Nは3以上の整数)のボードを設定し、所望に応じて該ボードで分割される部分領域にN叉路状のボードを繰り返し所定の分割階層数まで設定するとともに専用データファイルに該N叉路状ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該N叉路状ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該N叉路状ボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数えることを特徴とする。
また、第8の本発明は、第1の本発明乃至第6の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、8)三次元問題における前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、三次元解析領域を板状のスライスに分割し、該スライスを厚さ方向に単位有限要素分割として該スライスの表裏面または必要であればスライスの断面を二次元解析領域と見なし、該二次元解析領域にN叉路状(Nは3以上の整数)のボードを設定し、所望に応じて該ボードで分割される部分領域にN叉路状のボードを繰り返し所定の分割階層数まで設定して1階層数から所定の階層数の二次元ボード設定パターンを抽出し、該各スライスの該断面に対して所定の階層数の二次元ボード設定パターンを割り付けるとともに、該各スライスを切断前の状態に組み合わせることにより形成される該三次元解析領域において隣り合う同一階層数の二次元ボードを含む曲面を三次元ボードと見なして解析領域全体に三次元ボードを設定し、専用データファイルに該三次元ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該各スライスの該各面または断面を二次元要素分割して生成される二次元有限要素節点に対して該各スライスを切断前の状態に組み合わせることにより形成される該三次元解析領域の三次元有限要素節点と見なして、該三次元ボード上以外に生成される三次元有限要素節点を先に数え上げた後に該三次元ボード上に生成される三次元有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数えることを特徴とする。
また、第9の本発明は、第1の本発明乃至第6の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、9)三次元問題における前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析領域内の1点に多面体を配置し、該多面体の寸法を微小から該解析領域を内部に含むまで変化させて、その際に多面体の各辺の移動軌跡により形成される解析領域内の曲面を三次元ボードとして設定し、所望に応じて該ボードで分割される各部分領域内の1点に多面体を配置し、該多面体の寸法を微小から該部分領域を内部に含むまで変化させて、その際に多面体の各辺の移動軌跡により形成される部分領域内の曲面を三次元ボードとして繰り返し所定の分割階層数まで設定するとともに該解析領域の表面の各セル状表面を三次元ボードとして設定し専用データファイルに該三次元ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該三次元ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該三次元ボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数えることを特徴とする。
また、第10の本発明は、第1の本発明乃至第9の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、10)解析対象の材料の存在する領域(材料領域)が時間とともに変化する前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析対象時間を所望の時間区間に分割し、該各時間区間で生じる最大の材料領域を含む時間区間の解析領域(時間区間解析領域)を定義し、該各時間区間解析領域に対してボードを設定するとともに専用データファイルに該ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該ボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数えるとともに、任意時間の該時間区間の解析領域内で該材料領域以外の領域に生成される有限要素に対して材料が存在しない境界条件を指定することを特徴とする。
また、第11の本発明は、第1の本発明乃至第10の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、11)前記解析対象の第2段階離散化処理のパーツ内または任意の部分領域内の有限要素節点番号付けに関して、解析領域内の任意の点をQiとして、空間固定点Aiを中心に回転しながら段階的に長さが増す線分AiQiが拭い去る有限要素節点の順番を用いるか、または該部分領域内の有限要素節点を該部分領域に接する階層数が最も大きいボード上の有限要素節点と要素を共有しないものと共有するものに分類して前者の有限要素節点に対して該空間固定点Aiを中心に回転しながら段階的に長さが増す線分AiQiが拭い去る節点の順番を適用して番号付けを行った後、後者の有限要素節点に対して再度該空間固定点Aiを中心に回転しながら段階的に長さが増す線分AiQiが拭い去る有限要素節点の順番を適用して引続き番号付けを行うことを特徴とする。
また、第12の本発明は、第1の本発明乃至第11の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、12)前記解析対象の第2段階離散化処理の分割パターンとして、ボードに囲まれる部分領域に生成する節点を1次グループ、特定の数以下の部分領域と接続するボード上に生成される節点を2次グループ、その他のボード上に生成される節点を3次グループに分類し、1次グループ、2次グループ、3次グループの順番に各グループに属する該各部分領域および各ボードの通し番号、該各部分領域および各ボードに属する節点数、該各部分領域および各ボードに接続する部分領域またはボードの数、該各部分領域および各ボードに接続する該各部分領域および各ボードの通し番号からなるハイパーテーブルを生成することを特徴とする。
また、第13の本発明は、第1の本発明乃至第12の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースにおいて、13)前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析対象全体にN1+N2の階層数のボードを設定し、階層数1から階層数N1のボードで定義される部分領域を領域分割型並列計算の部分領域境界とし、該ボードの識別データおよび分割階層数を専用データファイルに記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、領域分割型並列計算の該各部分領域に対し該階層数N1+1から階層数N1+N2のボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該階層数N1+1から階層数N1+N2のボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数えることを特徴とする。
また、第14の本発明は、14)第1の本発明乃至第13の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
また、第15の本発明は、15)インターネットなどの高付加価値通信網に接続したプロバイダーのコンピュータ(以下サーバと呼称)に搭載した第1の本発明乃至第13の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースを、高付加価値通信網に接続したユーザーのコンピュータ(以下パソコンと呼称)によって使用する場合において、第1段階離散化処理後のインターフェースソフトと専用データファイルをサーバに置き、該高付加価値通信網を介してユーザーが該サーバ上で第2段階離散化処理を実行することにより生成した有限要素解析用入力データファイルを該パソコンに取り込んで有限要素解析に供するか、または該インターフェースソフトのみもしくは該専用データファイルとも該パソコンに取り込んだ後、第2段階離散化処理を該パソコンで実行して生成した有限要素解析用入力データファイルを有限要素解析に供することを特徴とする高付加価値通信網を利用した有限要素解析方法である。
また、第16の本発明は、16)前記第1段階離散化処理と前記第2段階離散化処理および前記ハイパーテーブルを生成する機能を有する第12の本発明の有限要素解析用インターフェースと該ハイパーテーブルを利用する一般疎行列対応の直接解法(多重スカイライン法)を用いることを特徴とする有限要素解析用並列処理計算機(クラスター計算機)である。
また、第17の本発明は、17)有限要素解析の節点番号付けとして、解析領域の要素分割のアスペクト比ΦがΦ1以上Φ2以下の場合にdissection法の番号付けを適用し、該要素分割のアスペクト比ΦがΦ1より小かまたはΦ2より大の場合に自然な節点番号付けを適用する制御機能を有し、Φ1が0.5、Φ2が2であることを特徴とする有限要素解析用計算機である。
ユーザーが享受するメリットとして、以下を実現した。1)インターフェースの自動プログラム化で製品ソフトの低コスト化とユーザーニーズに対する迅速対応を実現した。2)プログラムに添付のデータで知能化するため、初心者でも簡単な操作で最良の解析を実施出来る。3)本発明のインターフェースと本発明の一般疎行列対応の直接解法を組み合わせて使用することにより、計算速度を二次元問題で最大1.45倍、三次元問題で最大2.9倍に加速出来る。4)ハイパーテーブルを作成して多重スカイライン法を適用すれば更に高速な解析が実現出来る。
また、地球環境負荷低減に関するメリットとして、作業時間と計算時間の削減による省力・省エネによりCAE解析に伴う地球環境負荷の大幅な低減を実現した。
以上のように構成したので、本発明の技術を小企業などに導入するとユーザーは多くのメリットが得られる。
第1の本発明についてまず説明する。図1は本発明の実施の形態を示すフローチャートである。ステップS1でメーカーはユーザーが解析を行う対象や目的などから解析条件に関する要望事項を調査する。そして、ユーザーの属する業界などで実施された過去の実績などの情報を収集し解析が新規か否かを判断する。過去に実績があればその中から最も優れるものを抽出し解析に利用する。また、全くの新規な問題であればこの問題に通暁するエキスパートまたは専門化の知識およびノウハウを利用して最も合理的な解析条件に関する情報を抽出する。これらの情報から得られる最も優れた条件をベストプラクティス(ベンチマークテストで最も成績の良い条件)と呼称する。
ステップS2でメーカーはこれらのベストプラクティスの情報に基づいてCAE解析の対象をモデル化する。その際に解析対象領域に関して図2に示す第1段階離散化処理の分割パターンを設計し、この設計に基づき初期データファイルを作成する。図2は図23の自由鍛造工程において被加工材の中心軸に垂直な断面を示す。この問題は文献(河野正道、ほか:平成13年度日本塑性加工学会春季講演会講演論文集、平成13年5月24日〜27日、場所:東京大学駒場キャンパス、発行日:平成13年5月7日、85〜86頁、題目『Inconel718のγ粒径に及ぼす鍛伸工程の影響』)中に優れた有限要素分割法が開示されているので、これをベストプラクティスとして採用し、図2の設計を実施した。これは二次元問題の場合であり、図中の四角で囲まれた数字は主節点番号、四角で囲まれた#印付きの数字はパーツ番号、四角に囲まれたN付きの数字はボードの分割変数を示す。主節点は解析対称領域を離散化するために必要な個数配置する。発明者はこの主節点を結ぶ線をボードと呼称し、これを用いて要素分割の基本パターンの設計を行う。そのためには、設計した基本パターンからインターフェースで作成する有限要素解析用入力データを完全に再現出来なければならない。そのためには、ボードをオブジェクトとして定義し、ボードの属性として有限要素分割に必要な種々のパラメータを設定する。ボードは細い実線で示す解析対象の周辺境界を表す境界ボード、破線で示すパーツ間ボード、太い十字状の実線で示す十字状ボード100から構成され、この3つの種類はボードの属性として定義される。同様にボードの属性として以下の指定を行う。基本パターンの設計ではボード毎にボードを構成する主節点番号を表すボードコネクティビティーと後の有限要素分割に関するボード分割変数とその数値を指定する。次に、もう一つのオブジェクトとしてパーツを定義し、以下にパーツの属性として種々のパラメータを指定する。パーツの種類(有限要素の種類、材質など)及び各パーツを構成する主節点番号を表すパーツコネクティビティーを指定する。更に、周辺境界ボードに対して速度または荷重境界条件を指定する。そしてこれらのデータをエディターやワードプロセッサーなどでファイルに書き込んで初期データファイルを作成する。
図25〜図27は図2に対応する初期データファイルの内容を示す説明図で先頭から順番に、(1)第1段階離散化処理の分割数、(2)十字状ボード、(3)パーツ間ボード、(4)境界ボード、(5)主節点の座標値、(6)パーツの特性、(7)境界条件、(8)材料の物性値、(9)有限要素解析の制御データ、(10)再節点番号付けの制御データから構成される。初期データファイルは計算機メモリーの使用量が1908バイトのテキストファイルである。開発者はこのデータファイルの作成に約2時間を要したが、有限要素解析に慣れているユーザーであれば1時間程度の作業と思われる。
尚、データ作成で注意を必要とすることは、(1)第1段階離散化処理の分割数の項目で最初に指定される分割変数の数である。図2でN1〜N5までの合計5個の分割変数が指定されているが、これは、(6)パーツの特性の項目でパーツ種類番号を444、即ち四角形のパーツを4節点四辺形有限要素で分割する場合に、幾何学的な制約条件から決定される。図2の場合は発明者による厳密な幾何学的検討により分割変数の自由度(分割変数の数に対応)が5であることが判明したので、これにN1〜N5の分割変数を対応させた。
一般にこの分割変数の検討を誤ると、第2段階離散化処理で正常な有限要素分割が困難になる。但し、この危険性はメーカーのプロフェッショナルな対応に任せることで回避される。また、発明者が行ったようにデバッグを行うことで容易に誤りを発見出来るので、ユーザーに異常なインターフェースソフトが流布する可能性は殆ど無い。一方、このように複雑な分割変数を採用することにより、第2段階離散化処理で確実に正常な有限要素の生成が可能となる。即ち、ユーザーはN1〜N5の分割変数を自由に書き換えて(オーバーライドして)も、計算機メモリーの制限範囲内であれば、如何に細かい有限要素を多数発生しても必ず整合性を保ったデータが作成されるので、高度のスキルを要するデータチェックを行う必要が無い。これは従来技術に対してデータ作成の時間節約とデータの高信頼性に決定的に有利な効果をもたらす。
ステップS3で、メーカーはこの初期データファイルに基づき製品であるインターフェースソフト用のソースコードと専用データファイルを作成する。この作業としては、従来一般的であったプログラマーと呼ばれる専門職人のプログラミング作業が柔軟性の点で優れている。しかし開発コストの低減を重視する場合は発明者が開発したマザープログラムと呼称する開発用ソフトを用いて、自動プログラミングにより高価なマンパワーを節約して作成することが望ましい。この作業は簡単であり、図25〜図27の初期データファイルを指定して実行形式のマザープログラムに実行命令を与えれば(アイコンをWindows 上でダブルクリックするなど)自動的にメインのソースコードと専用データファイルが生成される。
ステップS4で図28〜図30にその内容を示すメインのソースコードが生成される。開発言語として、数値演算では最も信頼性と高速性を有するFORTRAN77 を用いた。ソースコードは整然と整っており、最初から順番に(1)プログラム作成の記録、(2)使用する変数の宣言、(3)データファイルの指定、(4)第1段階離散化処理の分割変数、(5)専用入力データ(フルセットとサブセット)読込み、(6)変数の初期設定、(7)十字状ボードの処理、(8)パーツ間ボードの処理、(9)境界ボードの処理、(10)データのチェック用出力処理、(11)パーツの処理、(12)境界条件の設定処理、(13)再節点番号付けの処理、(14)結果の出力処理、(15)終了処理から構成される。
ここで重要な事は、CALL文で呼び出されるサブプログラム(INP444、DE444 、PE444 、FE444 、LE444 、BCV444、RNB444、OUT444:発明者はパーツプログラムと呼称する)が定義されていることである。また、パーツプログラムの引数(サブプログラム直後の括弧内の数字や変数)は初期データファイルの値がそのまま使用されていることである。また、詳細なプログラムの流れを追うと判るが、パーツプログラムの使用回数やその種類なども初期デ−タファイルで設定したようになっている。
更に、使用する変数が多くの場合配列であり、これにより繰り返し計算ループ(DO文とCONTINUE文で挟まれる部分)内での変数の使用が簡単になる。発明者はこのように工夫することで自動プログラミングを容易化している。上述した分割変数(N1〜N5)の数は(4)第1段階離散化処理の分割変数の項目でNCP=5として宣言されている。分割数を割り当てる分割変数は(2)使用する変数の宣言の中でNC(MBO) として宣言されており、他のパーツプログラムの中で利用される。そして、後の第2段階離散化処理でパーツプログラムINP444に変数値を読み込み、他のパーツプログラムに参照されて所望の要素分割数のメッシュを発生する。
ステップS5で図31の第1段階離散化処理で作成した第2段階離散化処理に必要な全てのデータを記入したフルセットデータファイルと、図32のサブセットのデータからなる2つの専用データファイルが生成される。フルセットデータファイルは最初から順番にユーザーが頻繁に変更する変数、主節点の座標値、パーツの材料物性値番号、ユーザーが頻繁に変更する変数、材料物性値、制御パラメータ、再節点番号付けの変数から構成される。このファイルの計算機メモリー容量は1560バイトであり、初期データファイルに比べて若干少ない。初期データファイルのデータの一部がメインのソースコードを生成するために利用され、残りの多くの部分が第2段階離散化の入力データとして利用されるからである。即ち、このファイルは概ね初期データファイルのサブセットと見なす事が出来る。そのため、メーカーが初期データファイルにベストプラクティスの条件を記入すると、第2段階離散化処理においてベストプラクティスの要素分割が実施される。
一方、図32のサブセットのデータファイルは一見して判るように、図31のフルセットデータファイルの中で、ユーザーが頻繁に変更するデータに対応するものである。この内容はステップS1のユーザーの要求により所望の変数を定義すれば良い。発明者はボードの分割変数、サイズ変更パラメータ(x拡大率、y拡大率)、変位境界指定パラメータ(ラベル名と変位境界条件)を採用した。このサブセットデータファイルの計算機メモリー容量は166バイトとフルセットデータファイルの1割程度である。初心者はサブセットのデータファイルの内容をエディターやワープロで書き換えれば、第2段階離散化処理でフルセットデータファイルの対応する変数が読み替えられて所望の解析条件で実行出来る。
ステップS6でインターフェースソフトにおいてCALL文で呼び出されるパーツプログラム(INP444、DE444 、PE444 、FE444 、LE444 、BCV444、RNB444、OUT444)が定義される。具体的には第2の本発明〜第6の本発明に開示の手段を有する第2段階離散化処理を実行する有限要素分割のプログラム群である。INP444は専用データファイルの読込み、DE444 は十字状ボードの処理、PE444 はパーツ間ボードの処理、FE444 は境界ボードの処理、LE444 はパーツの処理、BCV444は境界条件の処理、RNB444は再節点番号付けの処理、OUT444は結果の出力処理を行う。これらのパーツプログラムで使われる変数の多くはINP444の専用データファイルから読込んだ値(ベストプラクティスまたはユーザーが書き換えたデータ値)に置き換えられて実行される。
ステップS7で、メーカーがこのようにして作成したソースコードと既存のパーツプログラムに対して適当な開発言語(上述のように発明者はFORTRAN77 を採用した)によりコンパイルとリンクの処理を行って実行形式(計算機上で動作する形式、Windows ではEXE ファイル)であるインターフェースソフトを作成する。この作業もルーチンワークであり、マニュアルに従って行えば初心者でも実施可能である。
ステップS8で、メーカーは、この実行形式のインターフェースソフトとテキスト形式の専用データファイルを一括して製品オブジェクトとして取り扱い、ユーザーに供給する。上述のようにインターフェースソフトもデータファイルも図2の分割パターンの設計に特化されており、両者が不可分の関係であることから、このような取り扱いが必然的かつ合理的であることが判る。専用データファイルの添付による製品のオブジェクト化により、知識データを持った自動処理インターフェースが容易に実現されるとともに、製品プログラムの優れた維持管理性や再利用性を実現する。また、本発明の技術によるインターフェースの知能化は、検索の手間が不要でありデータベースを利用する検索方式に比べて維持管理費が安価である。この手法はJAVA(登録商標)やC++ などのプログラミング言語で採用されているオブジェクト指向プログラミング手法に似ているが、開発者が非オブジェクト指向言語FORTRAN77 で本発明を実施していることからも判るように、より根源的な手法であることがわかる。即ち、本発明の実施の形態は通常のオブジェクト指向プログラミング手法だけでは実施出来ない。また、本発明の実施の形態はインターフェースソフトをオブジェクト的に取り扱うことが出来るので、第7の本発明および第8の本発明のようなフレキシブルな使用環境への対応性が発揮される。
ステップS9以降の処理はユーザーが直接実行する。ステップS9で、製品を購入したユーザーはインターフェースソフトの操作方法を学習する。初心者は図32に開示のサブセットデータファイルの内容を学習すれば概ね所望の解析を実行出来る。例えば経営者がCAE技術の導入に際して、入力データを作成する場合は、先ず、図31に開示のデフォールトの条件で(サブセットデータファイルを書き換えないで)インターフェースソフトを実行すれば良い。ベストプラクティスの解析条件であるから、評価は高いものになる可能性が大である。
ステップS10で、上述のように製品はオブジェクトとして実行形式のインターフェースソフトとその専用データファイルから構成されるので、ユーザーが計算機上で実行命令を入力すれば自動的に処理結果を出力ファイルに作成する(第2段階離散化処理による有限要素分割)。
発明者は市販のソフトで解析を行うために専用のマニュアルを取り寄せたが、なんと電話帳のような分厚い本が7冊程度もあり、しかも実際に例題を実行するまで数ヶ月を要した。そして、初心者のために例題を元にインターフェースを開発したが、例題に用いられたコマンドの数割はこのマニュアルに掲載されておらず、メーカーに問い合わせる必要があった。また、メーカーも直ぐには対応出来なかった。結局、汎用化による多機能(メーカーは高性能と考えるがユーザーからは無駄な機能)が通常の技術者の管理能力を超える作業を要求するとの教訓を得た。この教訓が本発明の簡易なインターフェース開発のドライビングフォースになっている。
ステップS11で、ユーザーはサブセットデータファイルを変更せずにインターフェースソフトを実行する。その結果が図28の(3)データファイルの指定の項目で設定したデータファイルに書き出される。
図33〜図35は第2段階離散化処理により生成した結果の出力ファイルを示す説明図である。先頭から材料物性値と有限要素解析の制御データ、有限要素の節点座標値、有限要素のコネクティビティー(有限要素を構成する節点番号)、境界条件から構成される。データの構成は単純であるが、ファイルの計算機メモリー容量は5234バイトと専用データファイルに比べて大きい。図33〜図35に開示の例では有限要素分割数が少ないので、実際の場合にはこれが数十倍になることが考えられる。このような大規模なデータファイルの中に分割のエラーが生じるような場合には、これを探し出すことが困難になる場合が多い。前記、図24の特開2001−92875号公報に開示の従来技術の実施例では、このようなエラーを探索する手段が採用されている。本発明の技術では、メーカーが設定した分割変数(実施例ではN1〜N5の5個の変数)を大きくしても、エラーが発生しないので、このようなエラーを探索する手段は必要無い。
ステップ12で、出力結果が妥当であるかの検証を行う。これはメーカーが設定したデフォールトのベストプラクティスの解析条件、即ちメーカーが専門の知識を傾注して作成した解析条件で第2段階離散化処理により自動的に作成した出力ファイルに対して行う。図3(A)は図2のパターンに対して第2段階離散化処理によりデフォールトの条件で有限要素分割した結果を図形表示した例である。デフォールトの条件で良い(YESの場合)と判断すれば、このデータを有限要素解析用入力データと見なしてインターフェースソフトによる一切の作業を終了する。しかし、一般にはユーザーは所望の条件の解析を実施したい(NOの場合)ので、その場合は修正のループを選択する。
前記したように検証する出力ファイルは図33〜図35に示すように大量の数値データである。ユーザーが出力ファイルの妥当性をデータを見ながら判断するのは一般に困難であり、必要であれば後述する図20のように表計算ソフトなどで図形表示して検証し、不適切であれば専用データファイルを修正することにより再度第2段階離散化処理を実施する。市販のポストプロセッサーはこのような数値データを、実際の部品のように表示する機能を備えるので、これらを利用すると合理的である。
ステップS13で、ユーザーは先ず小規模なサブセットの修正用データファイルのデータをエディターやワードプロセッサを用いてオーバーライドする(上書きでかえる)ことにより解析条件を簡単に修正する。そのため、操作に関する主な学習内容は実行形式のソフトの起動方法(コンピュータ画面上のアイコンをマウスでクリック)とサブセット(最小限)の修正用データファイルの説明であり、A4用紙1枚に容易に収まる簡単な内容である。
ユーザーがたとえ経営者などであってもワードプロセッサなどのコンピュータスキルがあれば、数分で操作が可能になる。経営者や解析の初心者はデータの数が少ないサブセットの修正用データファイルを変更することにより、少ないデータ(実施例では約10分の1)の変更で見通し良く修正を実行出来る。一方、より柔軟に修正を必要とする技術者はフルセットのデータファイルを修正すれば、図2のパターンの範囲内で所望の解析条件の出力ファイルを作成出来る。
図3(B)は図2のパターンに対して図36の本発明のインターフェースソフトの入力データ修正法のように、サブセットの修正用データファイルに記録された有限要素分割変数4個とサイズ変数1個を変更した場合の第2段階離散化処理により有限要素分割した結果を図形表示した例である。合計5個の少ないデータの変更で図3(A)に比べて要素密度分布と領域の形状を所望のように変化させている。
ユーザーは上述の出力ファイルの内容が妥当であると判断した場合、この出力ファイルを有限要素解析用入力データファイルとして保存して、インターフェースによる作業を完了する。そして、この有限要素解析用入力データファイルを用いて所望の有限要素解析を実施することが可能になる。
尚、有限要素解析用入力データファイルの内容や出力様式はユーザーが使用する有限要素解析ソフトの種類により異なるので、メーカーはこれに対応しなければならない。この処理は2つに大別され、1)メーカーがインターフェースの出力プログラムをユーザーの希望する形式に変更する方法、2)ユーザーがメーカーの規定様式の出力ファイルをユーザーの希望する形式に変換プログラムを用いて変更する方法である。前者はファイルの仕様が一般に公知である市販ソフトに、後者は仕様が開示されないユーザー開発のソフトに適する。また、これらの有限要素解析用入力データファイルは有限要素解析に必要なフルセットのデータファイルであり、大規模な解析ではメガバイト単位の大きな要領のテキストファイル(必要であればバイナリファイル)となる。ユーザーはこのファイルを用いて所望の有限要素解析を容易に実施出来る。説明では二次元問題を用いたが、同じ技術が三次元問題でも容易に適用可能である。
ところで、以前から有限要素分割を自動的に行う手法が種々開発されており、大学教授の谷口健男が「FEMのための要素自動分割−デローニ−三角分割法の利用−」(森北出版、1992年)で解説している。先ず要素分割は構造格子と非構造格子に大別され、本発明が主な対象とする一般構造物では主に後者が採用される。後者はアドバンシングフロント法、デローニー三角分割法、メッシュ関数法、ブロック分割法、四分木法と八分木法などに分類される。谷口は解析領域に対してブロック分割法を用いて三角形あるいは四角形といった簡単な部分系集合に分割し、これら個々の部分領域を要素分割し、その後それらを接合して全体の要素分割を得た。なお、部分領域の要素分割にはメッシュ関数法を用い、その境界上の分割数を入力データとして、その内部の分割(要素番号と節点番号の関係)を簡単な式で表現した。本発明ではパーツのオブジェクトのメソッド(機能)に谷口の用いたブロック分割法を採用することが出来る。
しかし、ブロック分割法ではボードのオブジェクトを定義しないので、ボードの属性を一括して持つことが出来ない。本発明ではボードの属性を一括して持つのでボードの配置により設計した基本パターンからインターフェースで作成する有限要素解析用入力データを完全に再現出来るのに対して、谷口のブロック分割法では一般にデータが不足するため再現が出来ないことに注意が必要である。本発明が後述のようにdissection法を採用するのも、ボードの属性としてdissection法に必要な各種変数を容易に設定出来るからである。
本発明のボードについて我々の生活に身近な" 間仕切りのボード" に喩えて説明する。家は壁、床、天井などのボードで空間を分割することにより住人に住まいの機能を提供する。ツーバイフォーの家の設計図は寸法形状が規格化された複数のボードをセル状に配置して作成される。そして多様な住人の要望により居間、ダイニングキッチン、寝室、子供部屋、トイレ、風呂などの空間を確保する。また、より良い住まいとするために最適化された導線設計が通路確保になされ、日照や採光もプランされる。また、各部屋では住人の要望に応じて所望の間仕切りが設置され、個別の機能を有する空間が生成される。複数の子供が一つの部屋を間仕切りすることにより個人の勉強部屋を確保するなどである。また、家の設計図には冷蔵庫、洗濯機、書棚、ベッド、箪笥などのオブジェクトの配置が書き込まれ、より良い住まいの事前検討がなされる。これらの作業は設計図の各ボードに対してオブジェクトやパラメータを設定することと等価である。実際の生活では家具や什器などの膨大なオブジェクトを操作することにより行うので、間仕切りが意識されることは少ない。引越しなどを行うと分かるが、トラックで運ぶのはこれらの家具や什器であり、転居先でこれらのオブジェクトを用いて前と同様の生活を営むことが出来る。住人が転居した後の家には設計図に記載されたボードが壁や床、天井などのオブジェクトとして残される。
前述の特開2001−92875号公報開示の従来技術などでは工夫されたスキームで解析対象の領域を有限要素に分割することが主な目的であった。そしてこのように生成された有限要素を用いて解析を行い、不具合があればプリプロセッサーで不具合個所を発見してこれを修正することにより所望の有限要素分割を得る。このようにして得られた有限要素分割から全ての有限要素を取り去ると何も残らない。有限要素分割に対して用いられた要素間境界という概念も有限要素を取り去ることで消去される。元の有限要素分割を得るためには最初からやり直さなくてはならず、また各種操作で同じ手順を踏まなければ同じ結果を再現出来ない。一方、本発明の二段階離散化処理で生成された有限要素分割では、全ての有限要素を取り去ってもボードを組み合わせたセル構造が残る。実際に、図1に示す第2段階離散化処理(S10)により生成された有限要素解析用入力ファイル(S11、S14)を消去しても第1段階離散化処理で作成されたインターフェースソフト(S3)と専用データファイル(S5)は残る。また、インターフェースソフト(S8)と専用データファイル(S5)を消去しても第1段階離散化処理の分割パターン設計とデータ作成(S2)のデータが残る。このデータから図1の操作を行うことで全く同じ有限要素解析用入力ファイルを再現出来る。本発明のインターフェースではボードというオブジェクトを定義して有限要素分割とは独立のボードによる解析対象領域のセル分割を行うことに際立った特徴がある。
尚、図1において第1段階離散化処理の分割パターン設計とデータ作成(S2)のデータファイルと第1段階離散化処理で作成された専用データファイル(S5)が重複して無駄であると考えられるかもしれない。これはパーツプログラム(S6)をオブジェクトとして採用したためであり、オブジェクトとしてパーツに種々の属性を追加しても第1段階離散化処理の分割パターン設計とデータ作成(S2)のデータファイルを変更することなくインターフェース処理が実施出来ることなどを考慮したためである。ユーザーがメーカーに代わって第1段階離散化処理を行うことが考えられ、その際パーツの変更が必要ない場合はS1〜S8の手順を1回実施してインターフェースソフト(S8)を作成し、次回からは第1段階離散化処理の分割パターン設計とデータ作成(S2)において直接専用データファイル(S5)を作成することが出来る。
第2の本発明について、上述のように本発明のインターフェースはメーカーが行う第1段階離散化処理とユーザーが実施する第2段階離散化処理に分割して有限要素分割を行うので、これを二段階離散化法と呼称する。上述のように第1段階離散化処理の基本パターン(図2)の設計では解析領域内に主節点を適当に配置し、これらの主節点の座標値を指定するとともに、任意の1対の主節点を結ぶボードを所望の数設定することによって任意のパターンを指定する。これは、ボード毎にボードコネクティビティー(ボードを構成する主節点番号)を設定することにより実現される。また、ユーザーが実施する第2段階離散化処理を容易化するために、全てのボードに有限要素分割数を指定する。尚、複数のボードにより囲まれる閉領域に種々のパーツを貼り付ける(割り当てる)ことにより第2段階離散化処理を系統的に実施するが、その際各パーツ内の有限要素の分割様式(コネクティビティーに関係)によりこのパーツの周辺境界を構成するボード間に有限要素分割数の従属関係が発生する。そのため、ボードの有限要素分割数の設定は配置するパーツとの兼ね合いで整合性を保つように、パーツの種類とボードの有限要素分割数を調整して設定しなければならない。
上述の特開平07−121579号公報では解析領域を複数の四面体、五面体および六面体要素で分割して1次メッシュを形成し、次に各要素を六面体要素で分割して領域全体を六面体要素からなる2次メッシュとして形成する方法が開示されている。しかし、この方法では有限要素分割の整合性を保つために、2次メッシュ作成の際に各辺一律2分割として固定している。2次メッシュ作成の狙いが六面体要素の生成にあり、1次メッシュのパターンで2次メッシュのパターンが一律に規定される重大な欠陥がある。そのためこの方法はユーザーが所望のメッシュパターンを生成するという本発明の目的には使えない。本発明では第1段階の離散化処理後に、貼り付けるパーツの種類と互いに独立に指定出来るボードの分割変数を各ボードに指定し、これに基づきインターフェースをプログラム化するとともに、専用データファイルにメーカー推奨のボードの有限要素分割数をデータとして記録する。これによりパーツをオブジェクト(データと実行ファイルから構成される部品)化するとともに、第2段階離散化処理によるオーバーライド(データファイルの上書き変更)を容易化している。
ここで重要なことは、第1段階離散化処理で整合性を確保したボードの有限要素分割変数は、ユーザーが任意にオーバーライドしても整合性が保たれることである。換言すれば第1段階離散化処理が合理的に行われていればユーザーが行う第2段階離散化処理は必ず成功することである。そして、上述の特開平07−121579号公報の従来技術と異なり、本発明によるとユーザーはボードの有限要素分割変数を自由に書き換えて所望の分割パターンを得ることが出来る。そのため、上述の特開2001−92875号公報等の従来技術ではユーザーが数学的に分割が妥当か否かを判断するために生成したコネクティビティーの整合性をチェックする高度なスキルを要する作業が必要であったが、本発明の方法ではこれらを完全に廃止することが可能であり、スキルの無い者でも解析を容易に実施出来るようになった。
但しここで注意を要することは、第1の本発明ではユーザーが生成した有限要素がバランス良く解析領域に配置されているかなど、解析精度向上の観点から敢えて検証の工程を採用しているが、ユーザーはこれを省略しても差し支えない点である。
一方、上述のように第1段階離散化処理ではパーツの種類とボードの有限要素分割数を調整して整合性を保つように設定しなければならない。これは高度のスキルを要する作業であり、そのため、上述の特開2001−92875等の従来技術では有限要素分割を極力自動化するが、オペレータの検証を実施するものとして作業を容易化する補助機能を提供する傾向である。
三次元解析では従来技術を用いて四面体要素のメッシュ生成の自動化が可能であるが、六面体要素ではまだ半自動化の場合が多く、質の良い六面体有限要素分割の完全自動化に関する研究開発が鋭意実施されている段階である。但し、従来技術では入力データを全てユーザーが作成するので要素分割の整合性の検証をユーザー自ら実施しなければならないので、半自動化の技術は使いにくい。しかし、本発明の技術ではエキスパートや専門化の集団であるメーカーが第1段階離散化処理の際に実施するので、例え半自動化の技術であっても比較的容易に実施出来る。また、メーカーが第1段階離散化処理に際して基礎分割パターンを設計する際に、従来最も優れる方法、例えばベンチマークなどで優れるベストプラクティスを利用すれば信頼性のある設計が容易に可能になる。このような観点から考えると、種々のベストプラクティスを容易に実施できるように分割の自由度をなるべく多く確保する柔軟性の高いインターフェース仕様が望ましい。これはCADなどとの連携を図る場合にも柔軟に有限要素のモデリングを行う上で好ましい。
そこで、本発明において二次元問題では、図4(A)〜図4(D)に示すように、第1段階離散化処理および第2段階離散化処理に共通のパーツとして三角形パーツまたは四角形パーツの少なくとも1種類以上を用いる。また、第2段階離散化処理の三角形パーツまたは四角形パーツの有限要素分割に用いる有限要素として三角形1次要素、三角形2次要素、四角形1次要素、四角形2次要素の1種類以上を採用する。これは図2に示すボード分割変数に、所望の分割数を指定することにより図4に示す有限要素分割が可能である。
一方、三次元問題では、第1段階離散化処理および第2段階離散化処理に共通のパーツとして四面体パーツ(図5参照)、五面体パーツ(図6参照)、六面体パーツ(図7参照)の1種類以上を用いる。また、第2段階離散化処理の該四面体パーツ、五面体パーツ、六面体パーツの有限要素分割に用いる有限要素として四面体1次要素、四面体2次要素、五面体1次要素、五面体2次要素、六面体1次要素、六面体2次要素の1種類以上を採用する。これはボードに指定したボード分割変数に、所望の分割数を指定することにより有限要素分割が可能である。
第3の本発明について、解析対象領域に孔、き裂、介在物(母材と異なる材質を有する領域)、複合組織などの欠陥が存在する実用構造物などでは、構造物の使用中に作用する外力によりこれらの欠陥部近傍で応力集中が発生して破壊が生じる危険性がある。そこで、有限要素解析を行って欠陥近傍に作用する最大応力などを推定することが行われているが、種々の形状の欠陥を精度良く有限要素に分割するのは困難性があった。また、本発明の二段階離散化法を適用する際に、これらの欠陥の取り扱い方が不明であった。そこで、これらの欠陥を以下のように取り扱う技術を考案した。
図8は本発明の技術により作成した欠陥を含む解析対象領域の有限要素分割の例を示す。図8(A)は楕円孔を有する矩形領域の有限要素分割の例を示す。第1段階離散化処理に際して、孔の周囲の形状(この場合は楕円形状)を抽出して、この孔の形状に沿ってボードを設定する。解析対象領域にパーツを割り当てる。この場合、欠陥は材料が存在しない孔であるから、パーツは全て母材となる。パーツの種類を指定して、整合性を保つように独立なボードの分割変数を設定する。例では4つの四角形パーツを設定し、独立なボードの分割変数は5個である。第2段階離散化処理でボードの分割変数を指定し、各パーツを四角形要素に分割する。この場合、楕円孔の境界はボードと一致するので、当該ボードを含むパーツを有限要素で分割した際に、有限要素の境界と欠陥の境界が一致する。
図8(B)は楕円介在物を有する矩形領域の有限要素分割の例を示す。第1段階離散化処理に際して、介在物の周囲の形状(この場合は楕円形状)を抽出して、この介在物の形状に沿ってボードを設定する。解析対象領域にパーツを割り当てる。この場合、欠陥は母材と異なる材料である介在物であるから、楕円の外部のパーツは母材、楕円の内部は介在物となる。パーツの種類を指定して、整合性を保つように独立なボードの分割変数を設定する。例では母材に4つの四角形パーツを、介在物に2個の四角形パーツと4個の三角形パーツを設定した。第2段階離散化処理でボードの分割変数を指定し、各パーツを四角形要素に分割する。この場合、楕円介在物の境界はボードと一致するので、当該ボードを含むパーツを有限要素で分割した際に、有限要素の境界と欠陥の境界が一致する。複合組織は介在物と母材の比率が同程度の場合と見なすことが出来、介在物と同様の取り扱いが出来る場合もある。
図8(C)は、き裂を有する矩形領域の有限要素分割の例を示す。第1段階離散化処理に際して、き裂の周囲の形状(この場合は細長い楕円形状)を抽出して、このき裂の形状に沿ってボードを設定する。図8(A)の楕円孔の場合と同じ手順で有限要素分割を行う。
尚、図8のようにして得られる複数のパーツから構成される矩形領域を1つのパーツとして登録すれば、欠陥を有する四角形パーツとして再利用が可能になる。本発明の技術ではこのように一度作成したモデルをパーツとして再利用出来るので拡張性に富むことが判る。また、第2段階離散化を行うユーザーは、所望の要素分割数と欠陥の物性値を指定するだけで、面倒な分割を意識することなく整合性の保証された有限要素分割を実施出来る。説明では二次元問題を用いたが、同じ技術が三次元問題でも容易に適用可能である。
第4の本発明について、上述のように第2段階離散化処理のパーツの有限要素分割に際して、先ず第1の本発明から第3の本発明の技術を適用して解析対象領域に有限要素節点を生成する。この場合ユーザーは通常メーカー推奨の製品に添付の専用データファイルを用いて自動的に有限要素分割処理を実施するので、プログラムが生成したモデルの寸法形状は(図9の破線で示す)ユーザーが所望の解析対象の寸法形状(図9の実線で示す)と一般に異なる。そこで、ユーザーはモデルの有限要素節点の座標を変更して解析対象の寸法形状に合わせる作業を行うことになる(図9(A)参照)。
しかし、有限要素節点の数は数千に達する場合が多く、これを全て手作業で行うことは事実上困難である。そこで、これをなるべく計算機を用いて自動的に処理する必要がある。本発明の技術では、上述のようにメーカーの第1段階離散化処理により解析対象領域に主節点を配置し、製品に添付のフルセットのデータファイルにその主節点座標のデータを直接書き出すので、ユーザーは第2段階離散化処理の際にこのデータを所望の寸法形状に適合するように変更することが出来る(図9(A)の矢印参照)。このデータの数は図31の主節点の座標値に示すようにたかだか100個程度であるから解析スキルを有するユーザーなら容易に変更可能である。このようにして変更したデータファイルを元に第2段階離散化処理を再度実施して得られるモデルの寸法形状は概ねユーザーの要求に適うものである。
しかし、解析対象の形状が特に複雑な場合は設定数の少ない主節点座標の変更だけでは対応出来ない場合が発生する。その際、図33の有限要素の節点座標値の項目で示す第2段階離散化処理で生成する多数の有限要素節点の座標を直接変更することにより理論的には対応可能であるが、上述のように人手による作業では事実上困難性があった。そこで、プログラムによる有限要素節点座標の自動変更処理を実施することが望ましい。
ユーザーは図面やCADのデータを参照することによりこれらの解析対象の既存形状定義データから図9の実線で示す解析対象の境界の形状を抽出する。二次元CADの場合は境界を任意の曲線で近似でき、三次元CADの場合は境界を任意の曲面で近似できる。最も簡単な方法は区分的に直線または平面を多数用いて近似する方法である。次に、第2段階離散化処理でユーザーが生成した有限要素節点の中で解析対象の境界上に配置する境界節点を抽出する。本発明の技術では、第1段階離散化処理で用いたボードの中で解析対象の境界に相当するものを抽出することが出来るので、これを前記製品に添付のフルセットのデータファイルに記録すれば第2段階離散化処理のプログラムで自動的に境界節点を抽出することが出来る。
次に、このようにして抽出した境界節点を形状に合わせて解析対象の境界上に移動する。これには、種々の従来技術が適用出来る。例えば、市販ソフトのようにGUIによるモデルの図形表示を利用してユーザーが境界節点を1つずつ解析対象の最適位置に移動する方法、プログラムで解析対象とモデルの幾何学的特長を抽出して境界節点を自動的に移動する方法などの適用が考えられる。本発明の技術では、先ずモデルのコーナー部、境界辺上や境界上に相当する最小限の主節点座標を変更してモデルの形状を解析対象の境界形状に近似した後、第2段階離散化処理で有限要素節点を生成する。境界ボード上に新たに生成された有限要素節点は通常は解析対象の境界から外れた位置に生成される。そこで、これらの境界ボード上の有限要素節点から解析対象の最も近い境界に降ろした垂線の足( 交点) の座標を求めて、各境界節点の座標を各垂線の足の座標に置き換える(図9(B)の矢印参照)。この方法の特徴は少ない作業で柔軟な自動化処理を確実に実施出来る点にある。解析対象の形状が単純な場合は以上の処理で適切な有限要素分割が可能である。しかし、解析対象の境界形状が特に複雑な場合は、境界節点の移動により解析精度の低下に繋がるような有限要素の大きなゆがみを生じる場合があるので、このゆがみを修正しなければならない。これも、種々の従来技術が適用出来る。例えば、前出の文献(谷口健男:FEMのための要素自動分割−デローニ−三角分割法の利用−、森北出版(1992))のように解析対象の境界節点座標と解析対象の内部節点座標が与えられた場合に、各節点毎にその周辺の節点の平均座標を求めて置き換えるなど逐次修正する方法が簡便で効果的な手法である。但し、局部的な領域のゆがみを修正するためには、修正する領域を局部的な領域に限定する必要がある。
本発明の技術では、第1段階離散化処理で既に解析対象領域を複数のパーツに離散化している。この場合、境界ボードを含むパーツだけに有限要素のゆがみを修正する処理を適用することは容易であり、第2段階離散化処理のプログラムで境界ボードを含むパーツを選択して、これらの選択されたパーツに含まれる有限要素節点に対して自動処理を行うことが出来る(図9(C)の矢印参照)。これにより各有限要素の形状が所望の形状になるように簡単にかつ柔軟に有限要素節点座標を変更出来る。そのため、解析対象領域の寸法形状に適合したゆがみの少ない有限要素解析用入力データファイルの作成が可能となる(図9(D)参照)。説明では二次元問題を用いたが、同じ技術が三次元問題でも容易に適用可能である。
第5の本発明について、上述のように計算機1台の環境ではdissection法による有限要素分割と後述の一般疎行列対応の直接解法を用いる技術が解析時間の短縮に有利である。従来技術としてdissection法に関するオリジナルの文献(George, A.:SIAM J. Numer. Anal., 10(1973),345 )と最近の解説の文献(岡田達夫、宮川佳夫:塑性と加工第40巻第466 号1037頁)に記載されているが、これらは主に最終的な有限要素解析用入力データファイルの節点番号付けに関する特殊なデータ構造の説明である。
しかし、本発明の技術ではメーカーとユーザーで二段階に分けて離散化処理を行う二段階離散化法を用いているので、メーカーにおける第1段階離散化処理とユーザーにおける第2段階離散化処理におけるdissection法の適用方法が不明であり、従来技術を直接適用することは出来ない。そこでdissection法と二段階離散化法を同時に実施することを特徴とする二段階離散化dissection法を考案した。
即ち、図2に示す解析対象の第1段階離散化処理のボードによる分割パターンとして、図中に太い実線で示す十字状ボード100(二次元の場合は十字状であるが、三次元の場合は例えばx−y−z直行デカルト座標でx−y面、y−z面、z−x面のように互いに交わる3平面を指す)を設定するとともに専用データファイルに十字状ボードの識別データを記録する。次いで第2段階離散化処理の有限要素分割において、先ず専用データファイルで識別される図3に示す十字状ボード100に含まれない有限要素節点を先に数え上げる。その際、図10に示すように、十字状ボードで区分される各解析対象領域内で、十字状ボードから離れた節点(P1点)から十字状ボードの方向に連続的な節点番号付けとなるように再節点番号付けを行うことが望ましい。これは、通常のバンドマトリックス法で行うバンド幅縮小のための再節点番号付けと同様の効果を発揮する。
図10の場合は幾何学的な評価法を採用しており、これは、空間に固定した任意点A1および任意点B1と解析領域内の有限要素節点との距離を用いることにより、距離の近い方から順番に有限要素節点を順番付けすることが出来る。具体的には線分A1Q1の長さをr1とし、線分A1Q1が点A1を中心として回転することにより点Q1は半径r1で円弧を描く(注意:ここでのQ1は図10のQと同じである。)。点Q1を点A1から段階的に増分Δr1で遠ざけることによりr1を変化させ、I番目の半径をr1(I)、I+1番目の半径をr1(I+1)とすればr1(I+1)=r1(I)+Δr1の関係となる。同様に線分B1Q1の長さをs1とし、線分B1Q1が点B1を中心として回転することにより点Q1は半径s1で円弧を描く。点Q1を点B1から段階的に増分Δs1で遠ざけることによりs1を変化させ、J番目の半径をs1(J)、J+1番目の半径をs1(J+1)とすればs1(J+1)=s1(J)+Δs1の関係となる。
以上の操作により点A1を中心とする複数の円弧と点B1を中心とする複数の円弧で解析領域内に格子を形成する。A1点に関するI番目とI+1番目の円弧およびB1点に関するJ番目とJ+1番目の円弧で囲まれる微小領域Δr1×Δs1を考えると図10の斜線を施した領域になり、これを区間(I,J)と定義する。
点A1と点B1を異なる適当な位置にとり、Δr1とΔs1の大きさで決まる図中の斜線部の領域即ち区間(I,J)に有限要素節点が同時に数個(1個が望ましい)程度同時に入るように組み合わせを行い、この領域内の節点を順に数える。
r1とs1を段階的に変化させて解析対象領域全体を走査することにより所望の順番付けが可能となる。例えば、Iを固定してJを段階的に増やすことにより円弧r1(I)とr1(I+1)の間にある節点の順番付けが出来る。次にIを1増やしてI+1とし同様の操作を行うことによりr1(I+1)とr1(I+2)の間にある節点の順番付けが出来る。これを所望の領域で実施すれば良い。この処理により狭帯幅化による再節点番号付けが可能となる。また、三次元の場合は異なる位置の固定点を3個取ることにより、これらの固定点と有限要素節点との距離r1、s1、t1を導入することで同様の処理が可能である。その後、十字状ボード(互いに交差する3平面)上に生成される有限要素節点の番号を数える。この処理は丁度自動車のワイパーが回転しながら窓ガラスに付着した雨を拭き取るように、固定点と解析領域内の任意のQi点(図10でQと表示)を結ぶ線分が回転しながら拭い去る節点に順番付けする。そこでこの処理をワイピング法と仮称する。
以上の処理を行うことにより、本発明の技術で作成される最終的な有限要素解析用入力データファイルは上述の文献で公知の従来技術と同様のデータ構造に一致するので、ユーザーはdissection法のメリットを享受出来る。即ち、第6の本発明で開示の大規模正定値対称一般疎行列対応の直接解法を併用することにより、有限要素解析で作成する剛性行列(連立一次方程式)の解法で必要となる計算量が大幅に削減され、解析時間の短縮効果が得られる。上述の文献によれば理論的には二次元問題で最大50%、三次元問題で最大75%程度の計算量が削減される。但し、一般に大規模正定値対称一般疎行列対応の直接解法は修正コレスキー型スカイライン法に比べて1回の計算処理に要する時間が増大するので、この時間がなるべく小さい効率の良いプログラムを開発して適用する必要がある。
一方、複数の計算機を同時に用いて解析時間を短縮する並列計算技術が開発されており、前記の国際特許WO2002/093412に記載の技術はその代表的な例である。これは解析対象全体を複数の部分領域に分割し、隣接する部分領域境界の連続性を維持しながら各部分領域の解を求める領域分割法が採用されており、大規模な高速解析に有望な手法とされている。これらの従来技術は最終的な有限要素解析用入力データファイルの節点番号付けのデータ構造に関するものである。しかし、本発明の技術ではメーカーとユーザーで二段階に分けて離散化処理を行う二段階離散化法を用いているので、メーカーにおける第1段階離散化処理とユーザーにおける第2段階離散化処理における領域分割法の適用方法が不明であり、従来技術を直接適用することは出来ない。そこで領域分割法と二段階離散化法を同時に行うことを特徴とする二段階離散化領域分割法を考案した。
即ち、解析対象の第1段階離散化処理のボードによる分割パターンとして解析対象全体を一つ以上のパーツからなる複数の部分領域に分割し隣接する部分領域境界のボードを設定するとともに専用データファイルに部分領域境界のボードの識別データを記録する。次に、第2段階離散化処理の有限要素分割において、図37に示す領域分割法の適用例のように専用データファイルで識別される隣接する部分領域境界の連続性を維持しながら部分領域毎に有限要素分割を実施する。
以上の処理を行うことにより、本発明の技術で作成される最終的な有限要素解析用入力データファイルは上述の文献で公知の従来技術と同様のデータ構造に一致するので、ユーザーは領域分割法のメリットを享受出来る。即ち、上述の文献で公知の従来技術、即ち領域分割型並列計算のソルバーを併用すれば、有限要素解析で作成する連立一次方程式の剛性行列の解法で必要となる計算を複数の計算機に分割して同時に実行出来るので、並列する計算機の台数が32台など増加すると、計算機1台当たりの計算量が大幅に削減され、解析時間の短縮効果が得られる。上述の文献によれば計算機をN台並列化させることにより計算時間をN分の一に削減する狙いであるが、一般的には各計算機間のデータ通信に時間がかかるので、その効果は低減する。国際特許WO2002/093412に記載の技術は比較的効率の良い並列計算方法であり、解析時間を短縮するためには本発明のインターフェースとこれらの高性能な解析ソフトとを組み合わせて利用すると良い。
第6の本発明について、上述の十字状ボードまたは直交する三つの三次元ボードによるdissection法では、大規模正定値対称一般疎行列対応の直接解法を併用することにより、三次元問題で理論的には計算量を高性能な修正コレスキー型スカイライン法の最大75%削減、即ち4分の1に大幅低減出来る。これは、4台の並列計算と同等の潜在的な計算時間短縮効果に相当する。但し、dissection法と組み合わせる直接解法のプログラムの実行速度次第で、実際に顕在化する計算時間短縮効果が決まる。従来技術では大規模正定値対称一般疎行列対応の直接解法に関して数学的な理論から具体的なプログラムへの実装方法と解析時間の関係が明らかでないため、市販ソフトでこの方法を採用しているものは見当たらない。むしろ市販ソフトは現在注目されている並列計算への適応を指向する場合が多い。これは並列する計算機の台数を増加すればその分計算時間の短縮効果が増大する単純な事実が魅力的だからである。
しかし、上述の十字状ボードまたは直交する三つの三次元ボードによるdissection法の場合、たった1台の計算機で大幅な計算量の削減を達成するので、1回当たりの計算時間を従来技術である修正コレスキー型スカイライン法と同等に実施出来れば、計算時間を最大4分の1程度に短縮する潜在能力がある。これは、同じ問題であれば従来法である高性能な修正コレスキー型スカイライン法に比べて消費電力を最大4分の1に減少する潜在能力があると見なせるので、地球環境負荷の低減に寄与するという点で並列法には無い大きな特長がある。また、後述するインターネットなどを介した計算環境では、1台の計算機で計算時間の短縮が図れるdissection法では、複数台を用いる並列計算機に比べてシステムの構成が単純になり維持・管理のコスト低減も期待される。
そこで、dissection法の作用について二次元問題で調査を実施した。図11は、その調査のために用いた二次元問題の解析対象領域を示す図であり、正方形の解析領域を各辺が6等分割になるように36個の四角形1次要素に分割した。各四角形要素の角部が節点であり、この場合計49個存在する。節点番号付けの方法にdissection法を採用しており、縦と横の太い実線で仕切られる4個の部分領域に含まれる節点を最初に数え、最後に太い実線上の節点を数えた。丸い印で囲んだ節点は、次の番号の節点が太い実線を挟んで他の領域にあることを意味する。
図12は説明の簡単化のため温度解析のように1節点当たりの物理変数が1個の場合を仮定して、図11の番号付けに従い有限要素解析する際に生成する剛性行列を調べた図である。しかし、ここでの説明は1節点当たりに複数の物理変数が存在する一般的な解析にもそのまま成り立つことが知られている。縦49行、横49列の計2401個の要素を含む正定値対称行列で、左上角から右下角への対角線を境に対称であるためI行J列の要素とJ行I列の要素の値が等しい。この関係を使えば計算機に記憶する要素は対角線から上の領域のみで良い。この領域の升目が白い要素はその値が零であり、升目が薄く塗り潰されている205個の要素は剛性行列を生成時に非零であることを意味する。また、升目が濃く塗り潰されている118個の要素はフィルインと呼ばれ、剛性行列を生成時に零であるにも関わらず、解を求めるために三角分解を行う際に非零となる要素を表す。そこでこの場合は解析を行うためには非零である205+118=323個の要素を計算し記憶しなければならない。
さて、三角分解の際にフィルインは各列の最上部の非零要素から下方に成長して対角線上の要素(対角要素と呼称)まで達する。しかし、図12に矢印で示す行を境に成長が止まっている。この矢印の部分は零要素が対角線に接するようにステップが生じており、そのためにフィルインの成長を防止する効果を発揮した。この矢印で示す行は、図11で指摘した丸印の節点に相当することから、dissection法による節点番号付けによりフィルインを防止し非零要素を低減するため、解析で生じる計算量を削減することが出来る。
通常これらの非零要素は図12の左側の列から右側の列へ、各列では上から対角要素へ順番に一次元配列に記憶(格納)する。その際、フィルイン発生が防止された列では記憶しない零要素が途中に生じる。このような行列を一般疎行列と呼称する。一般疎行列では非零要素値を一次元配列に格納するので、この一次元配列から任意の一対の行番号と列番号の非零要素値を得るためには各非零要素が何行目であるかという情報を非零要素値と別の一次元配列に記憶する必要がある。
図13は、図11の節点番号付けに従って、修正コレスキー型スカイライン法に用いる剛性行列を調査した図である。図12に比べて、真っ黒に塗り潰した要素の分だけ記憶する要素数が増加する。即ち、計算機に記憶する要素の数は205+341=546個となり、図12に比べて223個増加する。この場合も非零要素は図12の左側の列から右側の列へ、各列では上から対角要素へ順番に一次元配列に記憶する。
この場合、列の最上方の非零要素から対角要素まで全ての要素を記憶するので、各列で最上方の非零要素の行番号を記憶すれば、任意の一対の行番号と列番号で指定される行列の非零要素値を一次元配列から容易に得ることが出来る。そのため図12の場合の一般疎行列に比べて任意の非零要素の参照が簡単である特長があり、1要素当たりの計算時間は一般疎行列に比べて一般に少ない。
以上の調査から、dissection法により生成される一般疎行列はフィルインの減少効果の分計算量が削減出来ることが理解された。しかし、一般疎行列では非零要素を参照するために各非零要素の行番号を記憶した一次元配列を検索しなければならない非効率性が問題であった。この非効率さを如何に改善してプログラムを実装するかによって、解析時間の短縮度合いが大きく異なる。しかし、dissection法に関する最近の解説の文献(岡田達夫、宮川佳夫:塑性と加工第40巻第466 号1037)に記載のように一般疎行列対応の直接解法について不明点が多く、殆ど利用されていない問題点があった。また、計算量削減のメリットを大規模な解析の実現にあてるか、本発明の技術に関するように計算時間の短縮にあてるか、またその両者を狙うかにより最適なプログラムの実装方法が異なる。しかし、CAE解析で最も重要な一般構造物に対して、そのような極めて詳細な検討を実施した従来技術は見当たらないので、従来技術では一般構造物に対して計算時間短縮のための最適化プログラム作成が困難であった。
そこで、計算時間短縮の目的でdissection法を利用するために、発明者による文献(吉田忠継:日本鉄鋼協会第148回秋季講演大会論文集CAMP-ISIJ, 17(2004),1073、発行日、平成16年9月1日)に報告のように、一般疎行列対応の直接解法に関するプログラムの実装方法と解析時間の関係に関する以下の調査・研究を実施した。
図14は図11と同様の二次元問題に関して自然な節点番号付けを行った場合の解析対象領域を示す図である。図15は自然な節点番号付けに従った場合の有限要素解析する際に作成する剛性行列を調べた図で図12と同様の表現を用いた。この場合、剛性行列作成時の非零要素は205個、フィルインが180個発生し、合計385個の非零要素を計算することになる。dissection法に従った節点番号付けを用いないので、修正コレスキー型スカイライン法も、一般疎行列対応の直接解法でも同じ385個の非零要素の計算を行うことになる。即ち、本問題を解くのに要する時間の大小関係で適用する解法固有の計算速度を直接評価出来る。
上述のように修正コレスキー型スカイライン法の主な特徴は、正定値対称剛性行列の各列毎に対角要素から最も離れた非零要素を求めこれを境に対角線側の領域を全て利用することにより、計算に用いる領域を対角項の近傍に限定することである。スカイラインとは山などの稜線を意味しており、剛性行列の使用領域の境界形状がこれに似ているのでその名が使われている。各列ともそのサイズ(各列最上方の非零要素の行番号)が分かれば行と列番号を指定して剛性行列の要素に直接アクセス出来るインデックス構造を有し、高速な計算が可能である。そのため、比較的単純で記憶要領が少なく高速な動作の優れたプログラムを実装できる。但し、dissection法を適用した場合には、スカイラインから下の領域に解析で不用な零要素が存在するので大規模正定値対称一般疎行列対応の直接解法に比べて記憶容量と零要素の計算量に関する無駄が多い。
図16は発明者が通常用いている修正コレスキー型スカイライン法の実装方法を示すフロー図である。菱形で条件判定による分岐を示しており、そのうち黒塗りで繰り返しのループの終了判定を、白抜きでその他の判定を示す。黒塗りの菱形が3個直列に配置されていることから処理量が極めて多い三重ループ処理(最外側ループは剛性行列の行番号、中のループは剛性行列の列番号、最内側のループは各列の最上位非零要素から最外ループで指定した行までの要素の行番号)である。最内側のループには三角分解処理のみが配置されているので合理的である。また、(1)の判定は行番号Iと列番号Jが一致する場合に最右側の最内ループを選択することを意味する。(2)の判定は列番号がIと列番号Jの列で最上部の非零要素を互いに比較し、前者(列番号I)が後者(列番号J)のもの以下であれば最左の最内ループを選択する。そうでなければ、真中の最内ループを選択する。この判定で最内ループの開始番号を大きくすることが出来るのでループ回数を最小化出来る。(2)の判定により、計算量が最も少ない処理ループを選択出来るので合理的である。このことから、この修正コレスキー型スカイライン法は高速処理に適する。但し、前述するようにdissection法の適用による一般疎行列の場合に行列の零要素を一部記憶するのでその分無駄な処理が発生する。
これに対して、上述のように一般疎行列対応の直接解法の場合はスカイラインから下の領域でフィルイン以外の零要素を省くので、無駄が無い。但し、各列とも零要素を省くことにより各列の非零要素のならびが非連続となるので、通常の方法では行と列番号を指定しても何らかの検索をしないと要素にアクセスできない欠点がある。
尚、(3)の判定は計算の必要性の無い(結果が0となり計算の必要性が無い)条件を判別しており、その際には最内ループをパスするので効率が良い。
図17はシンプルな一般疎行列対応の直接解法の実装方法を示すフロー図である。修正コレスキー型スカイライン法と同様に三重ループの処理があり、その内容は図16の場合と同様である。最外ループの中に一時的索引付け処理と一時的索引付けの開放の処理がある。これは、一般疎行列の列をスカイライン法と同様に連続的に参照出来るように一時的な索引付けの配列を作成する処理である。そのため、余分な計算時間が発生するので非合理的である。
また、(1)の条件判定で行番号Iと列番号Jが一致する場合に最右側の最内ループを選択するのは図16の場合と同じであるが、IとJが異なる場合の最内ループの処理が2つに分岐していない点が大きく異なる。この場合計算量が最も少ない処理ループを選択することが出来ないので非合理的である。更に、計算の必要性の無い(結果が0となり計算の必要性が無い)(2)の条件判断処理が最内ループに存在するので処理時間が余分に必要であり非合理的である。
図18は第5の本発明に開示している一般疎行列対応の直接解法の実装方法を示すフロー図である。一見して判るように図16の修正コレスキー型スカイライン法のフローと外見上は全く同じ構造である。そのため自然な節点番号付けでは最も効率が良いとされる修正コレスキー型スカイライン法の計算時間短縮に優れる特性を全て備えていることが判る。即ち、dissection法の計算量削減を図りながら、計算処理の効率に優れる理想的な一般疎行列対応の直接解法が実現された。その実現のために図17のシンプルな一般疎行列の直接解法で非合理的とされた3つの部分の改善を行った。1)剛性行列の記憶方法として図12に示す零要素を含まないa)非零要素値の一次元配列とb)その行番号の一次元配列に加えて、図13の修正コレスキー型スカイライン法の計算に用いるc)各列上方の非零要素の行番号からなる一次元配列、d)各要素の要素値を格納する前記a)非零要素値の一次元配列の番号からなる一次元配列を用いる。
以上のa)〜d)の一次元配列の導入効果で、行と列番号を指定して剛性行列の要素値を直接参照することが可能になった。そのため、図17の最外ループ内の一時的索引付けとその開放に関する処理を完全に廃止出来た。また、2)図13の修正コレスキー型スカイライン法の計算に用いる各要素において、当該要素を含めてその属する列の上方で最も近い非零要素の行番号を格納する一次元配列を用いた。これにより繰り返し計算ループのループ開始値とループ終了値を直接参照できるので、図17の最内ループの条件判定が不要になった。更に、三角分解に関する最内ループ処理を3つに分岐させることにより、最も計算量が少ない処理を選択できるようになった。
図19は本発明の図18に示す一般疎行列対応の直接解法を組み込んだ、三次元弾塑性有限要素解析プログラムのフロー図である。斜線を施した部分が一般疎行列対応の直接解法に関係する処理である。そのうち最初の4つの処理はファクトライジング処理(またはファクトライゼーション)と呼ばれる前処理であり、前記a)〜d)の一次元配列の前処理を行う。増分解析の繰り返し処理ループ内で関連するのは境界条件の設定、一般対称疎行列の直接解法、節点力の計算の中核的な処理である。
図20は各手法の解析時間を比較するための三次元弾塑性問題の節点の配置を示す図である。この部品はパンチと呼称され鍛造用金型の一部を構成し鍛造機の荷重を素材に伝える。ここでは2分の1対称性を仮定して部品の半分を解析領域とした。
図21は本発明の効果を調べるための解析の条件を示す図である。自然な節点番号付けをしており、自由度を8214個と実際に解析で用いる条件を想定している。そのため、得られた解析時間の大小が各解法に固有の実用的な性能を表すものと考えられる。
その結果、図16の修正コレスキー型スカイライン法の解析時間を1とした場合に、図17のシンプルな一般疎行列対応の直接解法が1.63、図18に示す本発明の一般疎行列対応の直接解法が1.38であった。この結果から、本発明の一般疎行列対応の直接解法は期待のように十分に高速に動作することが判明した。図18の説明でも判るように、図18に開示の本発明の実施の形態は、図16の修正コレスキー型スカイライン法と同様の動作を行うので、図16の1.38倍と処理時間の増加を極力防止して従来にない高速な演算処理を可能にした。
図22は、図11に示すdissection法と本発明の一般疎行列対応の直接解法を組み合わせて解析した二次元問題の解析時間の測定結果を示す図で、有限要素分割パラメータNを1〜12まで変化させた場合の本発明の技術による解析時間を修正コレスキー型スカイライン法による解析時間で除した無次元解析時間である。
▲印は修正コレスキー型スカイライン法に対するオーバーヘッドの1.38であり、修正コレスキー型スカイライン法に比べて若干性能が悪化することが判る。しかし、dissection法の計算量低減効果で性能が改善され、●印で示すように、Nが2以上で修正コレスキー型スカイライン法より高性能になりNが12で31%の解析時間が削減される。また、■印で三次元の立方体の結果を示す。Nが1で0.99と修正コレスキー型スカイライン法より僅かながら高性能である。理論的にはNが増加すると▲印の25%に漸近するので、65%の解析時間が削減されることになる。
即ち、本発明のインターフェースで生成したdissection法による有限要素分割と高性能な一般疎行列対応の直接解法を組み合わせて用いることにより、三次元のバルクの問題で修正コレスキー型スカイライン法に比べて最大65%の計算時間の削減が可能であり、ユーザーの利便性だけでなく地球環境負荷の低減に効果がある。従来技術でこのように高性能な結果の報告は見当たらない。
また、前述の解説の文献(岡田達夫、宮川佳夫:塑性と加工第40巻第466 号1037)によると、一般にdissection法の節点番号付けを行う場合には、一端自然な節点番号付けを行った有限要素解析用データに別途グラフの理論(点とこれを結ぶ線を基にした数学で例えば一筆書きの問題などを効率良く解くことが出来る)による領域分割の節点番号付けの後処理を実施するようである。この場合具体的には、前記図24の特開2001−92875号公報開示の従来技術などで有限要素分割を実施して生成したデータに、METIS(http://www-users.cs.umn.edu/〜 karypis/metis/ )と呼称される領域分割用プログラムなどを起動して再節点番号付けを行う。
METISなどは市販ソフトでは無いので十分なサポートが受けられない欠点があった。また、METISを活用出来る場合でも、プレ処理とMETHISの2つの異なる大掛かりなシステムでデータを生成する作業は素人だけでなく上級の解析者でも困難性があった。本発明の技術では、素人でも1つのインターフェースソフトでベストプラクティスのdissection法の節点番号付けを行うことが出来るので、図18に開示の一般疎行列対応の直接解法を組み込んだ有限要素解析プログラムを用いれば、dissection法を利用していることさえ意識することなく、高性能な解析が実施出来る。そのため、小企業で処理能力の低い4〜5年前の型の事務用パソコンを用いる場合でも、従来技術で最新のパソコンを利用する場合と遜色の無い短い時間で解析を実施することが可能となる。このような処理が可能なのは本発明の条件だけであり、これが市販ソフトなどの従来技術で実施されていないことは特筆されるべきことである。地球環境負荷低減の観点から省エネルギー技術の開発が注目される昨今にあって、最大2.9分の1の電気エネルギーで処理出来る本技術の普及が望まれる。
第7の本発明においては、一般構造物の二次元問題にdissection法の節点番号付けを系統的に実施する。
図39(A)は六角形状の二次元解析領域を4節点四角形有限要素に分割した場合で、細い線は有限要素の境界を示し、四角形で囲まれた数字は四角形の角部に位置する節点に対して自然な節点番号付けを行った際の節点番号である。
図39(B)は図39(A)と同じ六角形状の二次元解析領域を4節点四角形有限要素に分割した場合で、細い線は有限要素の境界、太い線はdissection法の境界線を示しており、四角形で囲まれた数字はdissection法の節点番号付けによる節点番号である。
節点の自由度が1と仮定して、図40(A)は図39(A)の節点番号から生成した対称な剛性行列であり、黒い四角は剛性行列作成の際の非零要素、薄い塗り潰しの四角は行列の三角分解の際に生じるフィルインの要素、白い四角は解析で使われない零要素を示す。
図40(B)は図39(B)の節点番号から生成した対称な剛性行列であり、図40(A)と同じ表現である。図40(A)と図40(B)で非零要素の数を比較すると黒い四角の要素は両者とも73個、薄い塗り潰しの四角の要素は前者で26個であるのに対し、後者では18個で前者より少ない。この結果から三叉路状のボードを用いたdissection法の節点番号付けによりフィルインの数を低減可能であることが判明した。
寒川光は前述の文献で多重スカイライン法によるdissection法の節点番号付けの高速計算を行ったが、十字状のボードのみによるdissection法の節点番号付けを採用したため正方形または立方体の解析領域しか取り扱う事が出来なかった。本発明では三叉路、十字路(これまで十字状と表現したものと同じ)、一般にN叉路(Nは3以上の整数)を利用出来るので、複雑な形状の一般構造物を表現出来る。
図41は分割の例であり、図41(A)はH形鋼の断面の一部、図41(B)はシートパイル(鋼矢板)の一部である。本発明の方法を適用することにより、正方形や立法体以外の形状にdissection法の番号付けを適用出来る。
また、ボードで生成される部分領域に対して繰り返しボードを生成することが可能になる。ここで分割の階層数(クラス順位)は解析領域内に最初に設定するN叉路状ボードに1、このボードにより生成される部分領域に設定するN叉路状ボードに対して2、以下、再帰的にN叉路状ボードを設定する順番を表す。また第2段階離散化処理でパーツ内に生成される節点は特別に階層数を0とする。ボードの階層数が大きい程最後の方で設定されたことが分かる。一般にdissection法の節点番号の順番は階層数0の節点、次に階層数の大きいボード上の節点、最後に階層数1のボード上の節点となる。このようにして高い分割階層数のボードを生成することにより後述するネストしたdissection法の適用が可能になる。
第8の本発明においては、一般構造物の三次元問題にdissection法の節点番号付けを系統的に実施する。
一般に圧延や鍛伸工程では長手方向にC断面形状の変化が少ない長尺の素材を加工する。有限要素離散化では四面体や六面体等の三次元立体要素を用いるが、その配置はC断面(材料の中心軸を横切る断面)で図2のようなパターンとし、長手方向にこれを延伸して行う場合が多い。素材を金太郎飴と見なせば、切断後の飴が離散化の1単位となる。本発明ではこれをスライス(長手方向には単位有限要素で板状となる)と呼称し、長手方向に複数連続配置して素材解析領域を構成する。例えば、図42に示すように、20節点六面体要素の場合、各スライスの両端面は図43に示すパターン1、中央C断面はパターン2を呈し、対向する1対の矩形を両端面とする単位有限要素の集合となる。この2種類のパターンに着目して解析領域を調べると、1、2、1、・・・・・、2、1のように長手方向にある間隔で各パターンのC断面が周期的に交互に配置される。そこで、この2種類の断面をオブジェクトと見なせば後の処理の見通しが良くなる。
図42以外の種々の有限要素を用いる場合も基本的な考え方は同様であり、先ず有限要素を組み合わせてスライスとし、これを構成するC断面パターンを抽出する。抽出したC断面パターンに対して二段階離散化法を適用して平面の離散化を実施し、更に長手方向にこれらの面を配置して各種立体要素による三次元の離散化処理を行う。第1段階離散化に際して図2の基本パターン(コネクティビティー)をインターフェースに埋め込み、各主節点の座標、主節点を結ぶ線分の有限要素分割数等を専用データファイルに書き出す。第2段階離散化ではアプリケーションと専用データファイルを用いて、例えば図43(A)または図43(B)に示す各有限要素節点を自動的に生成する。これらの処理機能は第7の本発明の2次元専用インターフェースで開発済みである。これらはオブジェクト指向概念を採用したので再利用性に優れており、そのソースコードの主要部を用いて開発のコストと時間の削減を図った。
一方、長手方向のC断面位置を専用ファイルに記述して、第2段階離散化で長手方向要素分割を可能にする。また、二次元専用インターフェースと同様、第1段階離散化で解析領域表面に境界条件を設定し、第2段階離散化で当該節点に境界条件を付与する。
図44は図2の基本パターンを有する三次元の解析領域全体を俯瞰した立体図である。図中に三次元ボード1から三次元ボード3までの互いに交わる3枚の境界ボード(曲面)が設定してある。図43(A)と図43(B)はこの解析領域を板状に分割して得られるスライスのC断面の例であり、太線の十字状ボードは図44の三次元ボード1と三次元ボード2のC断面に相当する。三次元のdissection法では図44の3つの三次元ボード上に生成される有限要素節点を最後に番号付けすることが基本となる。この場合、三次元ボード3に相当するC断面上に生成する有限要素節点の全てがdissection法の境界ボードになることに注意を要する。即ち、これら3つの三次元ボード上に生成する有限要素節点は分割階層数が1であり、これらのボードにより生成される8つの部分領域内に生成する有限要素節点は分割階層数が0である。但し、各部分領域内に再帰的にボードを設定する際には、ボード状に生成する節点の分割階層数は0ではないことに注意する必要がある。
図45は解析に用いた材料の断面形状と有限要素(六面体二次要素HEXS20) の分割を示す。図中の細い線は有限要素境界、太い線はdissection法の十字状境界(図44の三次元ボード1および三次元ボード2の断面)であり、十字状境界に接する有限要素の所属節点には白四角印を、その他の節点には黒丸印を付した。白四角印の節点番号は計算量の増加に繋がるフィルインの発生に特に関与し、十字状境界で仕切られる各部分領域内で可能な限り大きな番号にすることが望ましいが、プログラムの実装が複雑になる。この影響を調べるために、白四角印の節点に対して、条件prは各部分領域内で出来るだけ大きな番号付けとする場合、条件pr1 は未処置の場合とした。但し、C断面の十字状境界両側の近接節点は常に大きな番号とした。また比較のため、条件skは自然な節点番号付けのスカイライン法、条件sk1 は条件prの番号付けでスカイライン法とし、長手方向の要素数をLz=2,4,6に変化させて、前進消去後の剛性マトリックスの非零要素数Mの変化を調べた。
図46はLzをパラメーターにして縦軸にMを、横軸に計算方法に関する条件をとり、条件skの結果で無次元化した結果である。これから、次の結論が得られた。1)条件prおよびpr1 は計算量Mがskの半分程度に低減している。2)prはpr1 よりMが若干小であり計算量が削減されている。以上より第8の本発明は三次元の有限要素解析を高速に実施するのに有用であることが判明した。
また、ボードで生成される部分領域に対して繰り返しボードを生成することが可能になる。このようにして高い分割階層数のボードを生成することにより後述するネストしたdissection法の適用が可能になる。
第9の本発明においては、一般構造物の三次元問題にdissection法の節点番号付けを系統的に実施する。
図47は三次元空間に設定したx、y、z直行座標系の原点に八面体が位置する状況を示す。解析領域の内部に原点があるものとし、八面体は図のように6個の頂点が各座標軸上に位置するものと仮定する。八面体の各辺の長さをα倍に拡大または縮小するものとし、αを0に近い微小から八面体が解析領域を内部に全て含むまで連続的に変化させる。その際、八面体の各頂点は各座標軸をスライドするので八面体の各辺はxy平面、yz平面、zx平面上を移動する。即ち、八面体の8つの辺の移動軌跡から8個の三次元ボードを定義することが可能である。また、これらの三次元ボードをdissection法の部分領域境界として設定することが可能である。
一般に、解析領域の中心位置に任意の多面体を配置して多面体の寸法を微小から解析領域を内部に含むまで変化させて、その際に多面体の各辺の移動軌跡により形成される領域内の曲面を三次元ボードとして設定することが可能である。また、このようにして生成された三次元ボードで分割される部分解析領域の内部の一点に多面体を配置して多面体を微小から部分解析領域を内部に含むまで変化させて、その際に多面体の各辺の移動軌跡により形成される部分領域内の曲面を三次元ボードとして設定することが可能である。更に、生成された部分領域に対して再帰的にこの操作を繰り返してさらに高い分割階層数のボードを生成可能である。このようにして生成される種々の三次元ボードの中で解析に適したボードを選択することにより、三次元解析領域に対して第1段階離散化処理を実施出来る。そして、三次元ボードに属性として種々のパラメータを設定し、三次元ボードで囲まれた領域に三次元のパーツを貼り付けることにより、所望の三次元有限要素を生成することが出来る。また、三次元ボードの属性としてdissection法の境界領域を割り当てれば三次元のdissection法による節点番号付けが可能になる。
また、ボードで生成される部分領域に対して繰り返しボードを生成することが可能になる。このようにして高い分割階層数のボードを生成することにより後述するネストしたdissection法の適用が可能になる。
第10の本発明においては、材料領域が時間とともに変化する際にdissection法の節点番号付けを効率良く行う。
図48は時間の経過とともに材料が空間内を移動して材料の占める領域(材料領域と呼称する)が時時刻刻変化する様子を示す模式図であり、細い実線で時間区間の最大材料領域の境界を、太い破線で時間区間の解析領域を示す。時間の経過とともに材料が空間内を移動する現象は、型を使った製造工程で頻繁に見られる。
例えば、樹脂の射出成形の場合はランナーと呼ばれる管路を通して矢印で示すように溶けた樹脂が押し込まれる。樹脂はランナーの端部であるゲートからキャビティーに流入し、押し込み量が増加するにつれてキャビティー内の材料領域が拡大する。やがて材料がキャビティー内に充満しその状態で材料が冷却固化して成形を完了する。樹脂の射出成形では一般に材料の押し込み開始から型充満までの材料流れの解析が実施されており、例えば複数のゲートから流入する場合に、異なるメルトフロントが接触することにより生じるウェルドラインの発生位置を予測して、これを目立たない位置に再配置する型設計条件を机上で探索可能である。これによりコストと時間がかかる実機試験を省略して金型設計の最適化を図る。オイラー型の定式化によりランナーとキャビティーの空間を要素分割して解析を行う。解析には有限要素法の形状関数を単純にしたコントロールボリューム法が良く利用される。
この場合任意時刻の材料の存在する要素を解析領域として定式化するので材料の充填が進むにつれて解析領域が次第に拡大する。即ち、解析開始時の材料領域の要素数は少なく単位時間増分の計算時間は短いが、材料の充満時近傍のように材料領域が型内に拡大すると計算量が増加して単位時間増分の計算時間が長くなる。この場合計算量を削減するためにdissection法による節点番号付けを行うことが考えられるが、時間増分が進む度に解析領域が変化するので同じ前処理が使えない。即ち、材料領域の要素に対してdissection法による節点番号付けを行う場合は、計算ステップ毎にファクトライゼーションを実施することになる。解析の始終を通じて体積変化のない塑性加工などでは原則的に解析初期に1回だけファクトライゼーションを行うので計算時間に占める前処理時間は無視されるが、射出成形のように時間とともに解析領域が変化する場合は何回も前処理を実施するため前処理時間の占める割合が増加して計算量の削減に繋がらない。この場合、dissection法による節点番号付けを型内の全空間の要素に対して行うと解析初期にファクトライゼーションを1回だけ行えば良いことになる。但し、この場合には次の2点で問題が生じる。1点目は材料が型に未充満の場合に材料が空の要素が発生し正常な解析が出来ないため計算が停止する。2点目は材料領域が小さい解析初期に型内全体の計算を行うので計算時間が長くなる。
1点目の問題の解決策として押し込み開始から充満までの時間を適当な区間に分割し、図48の複数の閉曲線で示すように各時間区間で最大の材料領域を推定する。そして、この推定した材料領域を内部に含むように太い破線で示す解析領域を各時間区間で設定する(時間区間解析領域)。この解析領域に含まれる要素に対してファクトライゼーションを実施する。この場合、前処理は材料領域に近い領域で行うので無駄が少ない。また、前処理を時間区分の数だけ行えば良いので、前処理を毎回実施する場合に比べて時間削減が可能である。
2点目の問題点に関して発生原因を調べると、一般に材料領域と解析領域は異なるため解析領域内に材料が存在しない空の要素が発生する。空の要素に対して充満要素を前提として定式化されたコントロールボリューム法などで解析すると計算処理のエラー(零で割るなど)が発生し、解析が中断する。そこで各時間で空の要素を検出して、要素が空であるという情報を境界条件として指定すれば計算処理のエラーの発生を事前に防止出来る。
以上のような処理で効率的なdissection法の節点番号付けによる解析が実施でき、計算量を削減して解析時間を短縮することが可能になる。この処理は圧延、押し出し、鍛造、プレスなどの塑性加工解析や、鋳造、ダイキャストなどの流動解析など材料移動が伴う問題に広く適用出来る。
第11の本発明においては、一般構造物のdissection法による節点番号付けをワイピング法により効率良く系統的に行う。図10に示す二次元問題のワイピング法については既に説明した。
図44に示す三次元問題のワイピング法について説明する。空間固定点Pi(i=1からL)をとり、このPi点を通過する断面の延長上にAi、Biを設定する。Piを通りAiPiBi面に直交する線上にCiをとる。図10の場合と同様に断面内の任意点Qiとこの点に接する微小領域Δsi×Δriを設定し、これを二次元と同様のワイピング法で連続的に移動する。この微小領域内に入った節点に対して順番を付与する。三次元の場合は長手方向にも材料があるので、材料内の任意点Qiとこの点に接する微小領域をΔsi×Δri×Δtiとし線分CiQiを伸ばしながら回転させることにより長手方向にもワイピングを行う。ここにΔtiは線分CiQiの長さをtiとして、その増分である。微笑領域Δsi×Δri×Δtiに入った節点に対して順番を付与する。
次に部分領域内の各種節点番号付けの比較を行う。図49(A)に正方形領域をN×Nの格子状に要素分割する。図49(B)から図49(F)に左上隅から番号順に線で結んで示すように自然な節点番号付けおよびA、B、C、Dの5種類のパターンで節点番号付けを行い、第6の本発明に開示の一般疎行列対応のソルバーを適用して次式の無次元要素数Fを求め比較した。
F=M/Mnat
ここに、MはパターンA〜Dの節点番号付けによる剛性行列の三角分解後の行列の要素数、Mnat は同じ問題の自然な節点番号付けによる要素数である。
ここに、MはパターンA〜Dの節点番号付けによる剛性行列の三角分解後の行列の要素数、Mnat は同じ問題の自然な節点番号付けによる要素数である。
パターンAとBは構造格子(碁盤目状)のみ適用出来るが非構造格子(碁盤目のような規則性が無い)の一般構造物への適用は困難である。そこで発明者は非構造格子でも容易に適用可能な、図10の空間固定点Ai(i=1〜4)を中心に段階的に長さが増す線分AiQiが拭い去る節点の順番を用いるワイピング法(パターンC)を提案した。尚パターンAはワイピング法で生成可能である。更に二重ワイピング法(パターンD)を提案する。これは部分領域内の節点を十字状境界の節点と要素を共有しないものと共有するものに大別し、先ず前者にワイピング法を適用して番号付けを行った後、後者に対して再度ワイピング法を適用して引続き番号付けを行う方法である。
ネストの階層数を可能な範囲で大きくした。図50は3階層の例で、図50(A)はN=24の正方形領域の場合、図50(B)は異形領域の場合を示す。
正方形領域の場合に関して図51は縦軸に無次元要素数Fを、横軸に正方形領域の辺の要素分割数Nをとり、各番号付けをパラメータに示す。実線は1階層ネスト(十字状)、破線は2階層ネスト、一点鎖線は3階層ネストの場合である。N=16ではGeorge J. A.の開示した番号付け、N=32では4階層ネストの例も示す。
ネストの階層が大である程無次元要素数Fが減少し高性能化する。各階層で見るとパターンB、パターンA、パターンD、パターンCの順に無次元要素数Fが増加する。パターンB、パターンAでは要素分割数Nの増加とともに単調減少するが、パターンD、パターンCでは要素分割数全体での変化は小でありほぼ一定の値を示す。Nが大で階層数が1の場合はパターンBが極めて優れており、パターンAも適するが、パターンCとパターンDは性能が劣り不適である。
但し、N=4、8など要素分割数が比較的小の場合は節点番号付けによる格差が縮小し、パターンDとパターンAがほぼ同じ曲線となりパターンDは優れた性能を示す。
以上の結果から、非構造格子の場合でもワイピング法または二重ワイピング法を用いることにより節点番号付けが可能である。また、ワイピング法よりも二重ワイピング法が計算量削減効果が大きく、特に12×12以下の要素分割数に対して性能が良い。ネストしたdissection法による番号付けを行う際には部分領域を12×12以下に低減すれば二重ワイピング法は高性能である。
以上の説明では二次元問題であったが、三次元のワイピング法に対しても二重ワイピング法が高性能であることが判明している。
第12の本発明においては、一般構造物のdissection法による節点番号付けとハイパーテーブルの作成を効率良く系統的に行う。
寒川光は「解剖法順序を活かす多重スカイライン法」(情報処理学会論文誌第38巻第10号1879頁、1997年)の中でdissection法による節点番号付けで計算量を5分の1程度に削減した。しかし、一般構造物の解析は困難であるとして実施していない。これは一般構造物の有限要素入力データからハイパーテーブルを作成するのが困難であると判断したことによると推定される。そこで寒川が断念した一般構造物の有限要素入力データからハイパーテーブルを作成するかわりに、一般構造物から二段階離散化法の入力データを作成し、これをハイパーテーブルに変換する。この変換が実現出来ればハイパーテーブルから多重スカイライン法による計算量を削減した効率の良い解析を実行出来る。
寒川は前記の論文で多重スカイライン法のためのハイパーテーブルの仕様を公開している。図52は図2でN1=N2=N3=N4=N5=2でかつ二次元問題とした場合に二段階離散化法の入力データを変換して作成したハイパーテーブルの例である。二段階離散化法のインターフェースで次の手続きを実行することにより生成した。即ち、第1の本発明から第11の本発明の処理を利用して解析領域にボードを生成する。このボードに囲まれる部分領域に生成する節点を1次グループ、特定の数以下の部分領域と接続するボード上に生成される節点を2次グループ、その他のボード上に生成される節点を3次グループ(空の場合がある)に分類し、1次グループ、2次グループ、3次グループの順番に各グループに属する各部分領域および各ボードの通し番号、各部分領域および各ボードに属する節点数、各部分領域および各ボードに接続する部分領域またはボードの数、各部分領域および各ボードに接続する各部分領域および各ボードの通し番号をインターフェースでカウントする。その結果からハイパーテーブルを作成出来る。即ち、寒川が断念した一般構造物の多重スカイライン法による高速解析が可能である。
第13の本発明においては、大規模な一般構造物の解析を領域分割型並列計算で行う際に部分領域内のソルバーにdissection法の節点番号付けを系統的に適用する。
有限要素法では解析結果の精度を高めるために有限要素分割数を多くすることが有効な場合が多い。その場合、節点数が増加するため節点の総自由度が増加し、大規模解析になる。大規模解析では数万から数十万の自由度の解析を行うために大規模な剛性行列となり1台の計算機では処理出来ない問題がある。図37はこの問題を解決するために通常良く利用される領域分割法による並列計算について、行列の演算を並列化する手続きを示した説明図である。二次元問題と仮定すると図37(A)は解析領域を数百×数百の要素に分割するが、ここでは簡単のために6×6の要素分割とする。図37(B)は4台の計算機で並列計算するためにこの解析領域を4個の部分領域に分割した状況を示す。領域は1から4までの計4個であり、各領域は3×3の要素に分割される。この図で分割により生じた領域の境界上の節点を黒丸印で示す。対向する一対の黒丸印の節点は同じ点であるから変位の連続性と荷重の釣り合いが満たされなければならない。境界条件とこの黒丸印の節点の拘束条件を考慮して各領域に境界条件を適用し直接法のソルバーで解を求める。黒丸印の拘束条件を満足するように反復型のCG法のソルバーで収束計算をする。一般に不釣合いが生じるのでこれをキャンセルするように黒丸印に修正の拘束条件を課して、境界条件を適用して各領域の解析を行う。以下黒丸印の条件が所望の程度満足されるまで繰り返す(岡田達夫、宮川佳夫:塑性と加工第40巻第466 号1037参照)。
大規模解析では並列計算機の台数が少ない場合、領域分割法の領域の要素数が多くなるため解析時間が増加する。そこでこの部分領域にdissection法の節点番号付けを適用して計算量を低減することが有効である。但し、通常解析領域は正方形ではなく複雑な一般構造物であるから、分割後の領域も正方形であるとは限らない。解析領域の周辺境界に相当する部分は元の解析領域の複雑な形状を残すので、この場合にはdissection法の節点番号付けが適用出来ない。
そこで、図37(A)の解析領域に図50のようなネストした二段階離散化法を適用する。解析対象全体にN1+N2の階層数のボードを設定し、階層数1から階層数N1のボードで定義される部分領域を領域分割型並列計算の部分領域境界とする。図50(A)であればN1として任意の階層数の部分領域境界を設定しても部分領域は矩形となる。一方、一般構造物に対応する図50(B)の場合N1として2以上の階層数の部分領域境界を設定すれば部分領域は矩形となる。
以上の部分境界で生成された図37(B)の領域1、2、3、4のような領域に対して階層数N1+1からN2のボードでパーツが設定される。即ち、これらのボードにdissection法の部分境界を指定することにより部分領域に対して図50のパターンを適用可能である。
このようにして設定された階層数1からN2のボード識別データおよび分割階層数を専用データファイルに記録する。第2段階離散化処理の有限要素分割において、領域分割型並列計算の各部分領域に対して階層数N1+1から階層数N1+N2のボード上以外に生成される有限要素節点を先に数える。次に階層数N1+1から階層数N1+N2のボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数える。この処理により部分領域に対して図50と同様のdissection法の節点番号付けが可能となる。これにより、並列計算の部分領域の計算量を大幅に削減して解析時間の短縮化を図ることが出来る。
第14の本発明は、第1の本発明〜第13の本発明のいずれかの有限要素解析用インターフェースのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。ユーザーは所望の読取装置を備えたパソコンにこの記録媒体を設置して記録されたプログラムを読み込むことが出来る。もし必要であればこのプログラムのソースコードをコンパイルとリンクすることにより実行形式に変換する。ユーザーはこの実行形式のプログラムをインストールした計算機上でこのプログラムの実行命令を発行することにより、プログラムを動作させて所望の結果を得ることが出来る。記録媒体としてはパンチカード、穿孔テープ、各種磁気テープ、各種フローピーディスク、各種CD、各種DVD、各種MO、各種ハードディスク、各種半導体メモリーなど所望の媒体を選択出来る。また、この記録媒体の読込み装置がインターネットやLANなどの高付加価値通信網上のサーバー上などにある場合は、ユーザーはインターネットやLANなどを介して所望の計算機にプログラムとデータをダウンロードすることにより、プログラムを動作させて所望の操作を実行出来る。上述したように、本発明のインターフェースソフトはプログラムとデータが一体になったオブジェクトとして管理・配布される。そのため、使い勝手に優れるばかりでなく、維持・管理コストの低減が図れる。記録媒体に本発明のインターフェースソフトを記録して用いる場合においても、その特長は活かされる。
第15の本発明では、インターネットやLANなどを含む高付加価値通信網に接続したプロバイダー(センターと云う)のコンピュータ(サーバと云う)に本発明の有限要素解析用インターフェースの実行形式プログラムとそのデータをインストールする。ユーザーはプロバイダーとの契約により予めサーバに搭載された実行形式のプログラムを使用するライセンスを取得し、高付加価値通信網に接続したユーザーのコンピュータ(パソコンと云う)によってこのプログラムを使用することが出来る。その際、第1段階離散化処理後のインターフェースソフトと専用データファイルをサーバに置くことにより、ユーザーはインターネットやLANなど高付加価値通信網を介してサーバ上で実行形式のプログラムを実行することにより第2段階離散化処理を実行して有限要素解析用入力データファイルを作成する。
そして、ユーザーはこのデータファイルをインターネットやLANなど高付加価値通信網を介してパソコンに取り込むことが出来る。また、ユーザーはパソコンに予め導入された有限要素解析用プログラムに有限要素解析用入力データファイルを読み込むことにより、有限要素解析を実行する。このように、プロバイダーの計算機を用いて役務を提供する方式をASPという。上述の、特開2003−16116号公報に開示のASPのように、ユーザーはプロバイダーの提供する高性能な解析環境を利用出来るので、自前で環境を整備するのに比べて安価な初期投資で利用出来る。また、プログラムもプロバイダーが最新の物に更新するから、常に最良の役務を享受出来る。また、プロバイダーが維持・管理を行うのでユーザーは人手を節約出来る。これらの特徴から小規模企業に適する方式として注目される。
一方、プロバイダーのファイルサーバーにインターフェースソフトとそのデータをインストールし、ユーザーはこのインターフェースソフトのみもしくは該専用データファイルともパソコンにダウンロードして取り込むことが出来る。そして、ユーザーはダウンロードしたソフトを必要であればコンパイルとリンクで実行形式のファイルに変更出来る。そして取り込んだデータを読み込むか、プロバイダーのサーバ上のデータファイルから読み込んで、ユーザーは第2段階離散化処理をパソコンで実行する。この処理により生成した有限要素解析用入力データファイルをユーザーの有限要素解析ソフトに読み込ませることにより解析を実行出来る。これはユーザーのパソコンで実行するので、処理手続きを学習する目的などのe−lerningに適する解析方法である。また、サーバからダウンロードするのでe−commerceにも応用することが出来る。
第16の本発明は、一般構造物の有限要素解析にdissection法の節点番号付けを系統的に実施して計算量を削減しながら、複数の計算ノードで計算を分担することにより高速な計算を行うクラスター計算機に関する。
図53は、「Linux で並列処理をしよう―SCore で作るスーパーコンピュータ―」(石川裕、ほか5名、共立出版株式会社、2002年)に開示されたSCore クラスターのシステム構成の例である。計算ホスト200はクラスターで並列計算を行う際に使用するコンピュータであり、この例では8台の計算ホストを使用する。サーバホスト203はクラスターを管理するデーモンやコンパイル環境を提供するコンピュータである。ユーザホスト204はSCore クラスター環境を利用できるように設定されたコンピュータである。各コンピュータはランケーブル201と呼ばれる線でインターコネクト202に接続されており、サーバホスト203の管理で計算ホスト200がタイミングを計りながら並列計算を実施する。例えば1つの有限要素解析を8台の計算ホスト200に分割することにより、同時並行的に解析を実施すれば理想的には8分の1の時間で解析を完了することになる。しかし、一般的には各計算機間の通信や並列計算が出来ないため1台の計算機で逐次計算を行うなど、理想的な処理速度は達成されない。最近はインターコネクトやコンピュータの処理能力が高まり、また並列計算用の計算環境が整備されてきたので大規模計算を行う場合に頻繁に利用されるようになった。SCore は日本の国家プロジェクトで開発された高性能通信ライブラリ、効率良いコンピュータ管理ソフトウェア、高いユーザビリティ(使い勝手)を提供するツール、高いアベイラビリティ(可用性)を提供する実行環境を提供する(http://www.pccluster.org/ )。このようなPCクラスターを構築するために必要なミドルウェアがフリーで提供されており、個人でもPCクラスターを安価に容易に構築出来るようになった。
寒川光は、「解剖法順序を活かす多重スカイライン法」(情報処理学会論文誌第38巻第10号1879頁、1997年)の中でdissection法による節点番号付けで計算量を5分の1に削減した上で、更に8台の並列計算機を用いることで更に4分の1程度に解析時間を短縮した。しかし、一般構造物の解析は困難であるとして実施していない。これは一般構造物の有限要素入力データからハイパーテーブルを作成するのが困難であると判断したことによると推定される。しかし、第12の本発明により二段階離散化法の入力データからハイパーテーブルを作成することは容易である。
そこで寒川が断念した一般構造物の有限要素入力データからハイパーテーブルを作成するかわりに、一般構造物から二段階離散化法の入力データを作成し、これをハイパーテーブルに変換する。このようにすればハイパーテーブルから多重スカイライン法の並列計算処理機能を用いて並列計算を実行出来る。そのためには、多重スカイライン法を並列計算用にするために、ソースコードにMPIという並列処理言語を適用して改造する必要がある。SCore はFortran 言語およびC言語に関するMPIをサポートしており、所望の台数のPCに、インターコネクトとして1000ベースTのスイッチングハブを用い、OSとしてLinux を、ミドルウェアとしてSCore をインストールし、有限要素解析のインターフェースにハイパーテーブル作成機能付きの二段階離散化法を適用し、ソルバーに並列計算用の多重スカイライン法を適用すれば一般構造物を対象にした有限要素解析用並列計算機が完成する。これにより、一般構造物の有限要素解析を安価に高速に実施出来る。
尚、これは1実施例であり、有限要素解析のインターフェースにハイパーテーブル作成機能付きの二段階離散化法を適用し、ソルバーに並列計算用の多重スカイライン法を用いる限りは、他の構成要素は代替品で流用可能である。例えば、PCにエンジニアリングワークステーション、インターコネクトにMIRINET 、OSに対応したミドルウェアを用いれば、更に計算速度の速い高性能計算機が構築可能である。
第17の本発明は、一般構造物の有限要素解析にdissection法の節点番号付けを系統的に実施して計算量を削減しながら、複数の計算ノードで計算を分担することにより高速な計算を行う計算機に関する。
図54は矩形領域の一辺の要素分割数Nn を、Nn =9 と一定にして他辺の分割数を変化させた場合に、縦軸に図49のパターンBを拡張した場合の無次元要素数F、横軸に可変要素分割数Nを固定要素分割数Nn で除した無次元分割数N/Nn をとり示す。下に突な1で極小値をとる曲線で、要素減少効果は0.5〜1.7の範囲で認められる。棒線などの塊状の断面に均一な分割を施す場合は無次元分割数が1程度になる場合が多く、dissection法のメリットを享受することが可能である。しかし、板などは無次元分割数N/Nn が0.5〜1.7の範囲を外れる場合が多く、dissection法の適用で計算量が逆に増加する場合がある。この場合は自然な節点番号付けでバンド幅を縮小出来るのでdissection法の適用は不要である。
発明者はこの無次元分割数の影響が図2に示すような矩形以外の一般構造物に対しても成り立つことを知見した。そこで、図2の太い線で示す一方の連続ボード上に生成する有限要素の数と他方の連続ボード上に生成する有限要素の数の比を無次元分割数として採用し、これを要素分割のアスペクト比と定義してΦで表す。図54の関係から一般に解析領域の要素分割のアスペクト比ΦがΦ1以上Φ2以下である場合にdissection法を適用すると解析時間短縮の効果がある。また、要素分割のアスペクト比ΦがΦ1より小かまたはΦ2より大の場合にはdissection法を適用しない方が良い。図54では要素分割数がNn =9 であったがこの場合はΦ1は0.5、Φ2は1.7となる。一般の解析では要素分割数Nn が更に大きくなるので、その際はΦ2=1/Φ1の関係が成立すると考えられる。そこでΦ1=0.5、Φ2=1/Φ1=2とするのが妥当と考えられる。以上のようにΦ1とΦ2が求まったので、有限要素解析において、dissection法を適用するプログラムと適用しないプログラムを用意しておき、解析領域の形状からΦを求めて、Φ1≦Φ≦Φ2ならdissection法のプログラムを、そうでなければ通常のプログラムを選択すれば良い。
しかし、有限要素解析では時間とともに解析領域の形状が変化するのが一般的である。例えば図48の射出成形では細い実線で示す閉曲線の内側が解析領域であり、時間とともに拡大している。図示していないが、更に時間が進むと材料の境界を示すメルトフロントが成形型に接触するので、型の形状に合わせて材料領域が変形する。型の形状が細長い場合は材料領域も細長くなる。有限要素は各要素の縦と横の寸法比が1に近い程解析の精度が良いとされており、このルールを適用すると解析領域が細長い場合には短い方向の要素分割数は小で、長い方の要素分割数は大となる。そのため細長い解析領域では要素分割のアスペクト比が1より極端に大きくなったり小さくなったりする。以上のことから解析領域の形状が時間とともに大きく変化する場合には、解析領域の要素分割のアスペクト比を変更することが必要になる。
図55は時間とともに解析領域の形状が変化する場合の有限要素解析の流れ図を示す説明図である。解析を開始するとともに解析に必要なデータを読み込む(S21)。初期の領域に対して有限要素分割を行う(S22)。そして解析領域の要素分割のアスペクト比Φを求め、Φ1≦Φ≦Φ2か判定する(S23)。該当する場合はdissection法を適用して節点番号付けを行い(S24)、一般疎行列対応のソルバーで解を求める(S25)。
該当しない場合は自然な節点番号付けを行い(S26)、バンドマトリックス法やスカイラン法などのソルバーで解を求める(S27)。新しい解析領域を求める(S28)。終了条件でなければ(S29)最初に戻って繰り返し解析を行い、終了条件に達したら結果を出力して解析を終了する(S30)。
二段階離散化法を適用したインターフェースを用いる事により一般構造物に対してもdissection法を適用出来る。また、一般疎行列対応のソルバーとして第6の本発明のソルバーや多重スカイライン法が適用出来る。以上の機能と所望に応じて第10の本発明の機能を持つ解析プログラムを計算機に組み込むことにより、時間とともに解析領域が大きく変化しても適正な形状の有限要素を用いて解析の精度を高めながら、計算時間の少ない解析が可能な計算機を実現出来る。尚、計算機は1台の場合でも並列計算機の場合でも良い。並列計算機であれば第16の本発明の有限要素解析用並列処理計算機の適用が望ましい。
尚、本発明の二段階離散化法に関して、第1段階離散化をメーカーが、第2段階離散化をユーザーが実施すると説明した。ユーザーであってもCAE解析のエキスパートが使用する場合は第1段階離散化を実施することが可能であり、第2段階離散化を初心者が行う形態も採用可能である。例えば、企業の研究開発部門で第1段階離散化を実施し、工場部門で第2段階離散化を行う。また、教育機関の先生が第1段階離散化を実施し、学生が第2段階離散化を行うなども可能である。
また、寒川の多重スカイライン法は正定値対称行列に適用される。最近の有限要素解析では非対称行列が用いられる場合も多いのでその場合はLU分解法を適用すれば良い。LU分解法でも一般疎行列に対応した高速なソルバーに適用出来る。本発明では二段階離散化法でLU分解用のハイパーテキストを作成し、このハイパーテキストに従ってLU分解による一般疎行列に対応した高速なソルバーを利用出来る。
また、発明の名称の欄に有限要素解析用インターフェースを記載しており、統一性の観点から有限要素解析用入力データを作成する技術として説明した。しかし、本技術の本質は解析領域を分割する離散化解析法であれば適用出来ることにある。近年はセルラオートマトン、有限体積法、有限差分法、フェーズフィールド法などの離散化解析法が汎用のCAEソフトとして実用化されそうな状況である。これらの解析に際しても二段階離散化法や一般疎行列対応の直接解法の適用が行われると期待される。
100 十字状ボード
200 計算ホスト
201 ランケーブル
202 インターコネクト
203 サーバホスト
204 ユーザホスト
200 計算ホスト
201 ランケーブル
202 インターコネクト
203 サーバホスト
204 ユーザホスト
Claims (17)
- 解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンを設計し初期データファイルを作成する手段、該初期データファイルに基づきインターフェースソフト用のプログラムソースコードと専用データファイルを手動望ましくは自動プログラミングで作成する手段、該プログラムソースコードとパーツプログラムを用いてコンパイル処理とリンク処理により実行形式のインターフェースソフトを作成する手段、該インターフェースソフトと該専用データファイルを用いて第2段階離散化処理を実施し結果を出力する手段、該出力結果の妥当性を検証し不適切であれば該データファイルを修正し再度第2段階離散化処理を実施する手段、該出力結果が妥当であれば有限要素解析用入力データファイルとして次の有限要素解析に進む手段からなる
ことを特徴とする有限要素解析用インターフェース。 - 前記の第1段階離散化処理の分割パターンを設計する手段が少なくとも、解析対象領域の所望の位置に複数の主節点を配置する手段、該主節点の少なくとも2個以上を組み合わせて境界(以下ボードと呼称)を作成することにより複数のボードを組み合わせて解析対象領域を複数のセル状領域に分割する手段、該複数のセル状領域に所望の有限要素分割領域モデル(以下パーツと呼称)を割り付ける手段、該複数のボードに分割変数を割り付ける手段から構成され、前記第2段階離散化処理を実施する手段が少なくとも、該複数のボードの該分割変数に所望の分割数を指定する手段、該インターフェースによりパーツを複数の有限要素に分割する手段から構成され、二次元問題では第1段階離散化処理および第2段階離散化処理に共通のパーツとして三角形パーツまたは四角形パーツの少なくとも1種類以上を採用し、第2段階離散化処理の該三角形パーツまたは四角形パーツの有限要素分割に用いる有限要素として三角形1次要素、三角形2次要素、四角形1次要素、四角形2次要素の1種類以上を採用し、三次元問題では第1段階離散化処理および第2段階離散化処理に共通のパーツとして四面体パーツ、五面体パーツ、六面体パーツの1種類以上を採用し、第2段階離散化処理の該四面体パーツ、五面体パーツ、六面体パーツの有限要素分割に用いる有限要素として四面体1次要素、四面体2次要素、五面体1次要素、五面体2次要素、六面体1次要素、六面体2次要素の1種類以上を採用する
ことを特徴とする請求項1に記載の有限要素解析用インターフェース。 - 前記の第1段階離散化処理に際して、孔、き裂、介在物(母材と異なる材質を有する領域)、複合組織など解析対称領域の内部または表面に局部的に存在する欠陥や母材の境界にボードと該ボードの分割変数を設定するとともに、該介在物及び該複合組織に対応する領域にパーツと該パーツの物性変数を設定し、第2段階離散化処理に際して、該ボードの分割変数に所望の分割数を指定するとともに、該介在物及び複合組織に対応するパーツの物性変数に所望の物性値を指定することにより該パーツを有限要素に分割する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有限要素解析用インターフェース。 - 前記の第2段階離散化処理に関して、既存の解析対象の形状定義データを参照して解析対象の境界の形状を抽出する手段、解析対象領域の各パーツに生成した有限要素節点の中で解析対象の境界上に配置する境界節点を抽出する手段、該境界節点を該解析対象の境界の形状に合わせて該解析対象の境界上に移動する手段、該境界節点以外の有限要素節点を該有限要素の形状が所望の形状になるように移動する手段からなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして十字状のボードを設定するとともに専用データファイルに該十字状ボードの識別データを記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該十字状ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該十字状ボード上に生成される有限要素節点を数えるか、または前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして解析対象全体を少なくとも一つ以上のパーツからなる複数の部分領域に分割し隣接する該部分領域の境界のボードを設定するとともに、該専用データファイルに該部分領域境界のボードの識別データを記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、隣接する該部分領域境界の連続性を維持しながら部分領域毎に有限要素分割を実施する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 請求項5に記載の有限要素解析用インターフェースにおいて、有限要素解析の際に生成する剛性行列の行番号と列番号を指定して該剛性行列の要素を直接参照する複数のインデックス(索引)構造を有するとともに、繰り返し計算ループのループ開始値とループ終了値を直接参照するインデックス構造を有し、該ループ開始値とループ終了値の幅(ループの回数に対応)を最小にする条件判定機能を備える大規模正定値対称一般疎行列対応の直接解法と組み合わせて使用する
ことを特徴とする請求項5に記載の有限要素解析用インターフェース。 - 二次元問題における前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析領域にN叉路状(Nは3以上の整数)のボードを設定し、所望に応じて該ボードで分割される部分領域にN叉路状のボードを繰り返し所定の分割階層数まで設定するとともに専用データファイルに該N叉路状ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該N叉路状ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該N叉路状ボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 三次元問題における前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、三次元解析領域を板状のスライスに分割し、該スライスを厚さ方向に単位有限要素分割として該スライスの表裏面または必要であればスライスの断面を二次元解析領域と見なし、該二次元解析領域にN叉路状(Nは3以上の整数)のボードを設定し、所望に応じて該ボードで分割される部分領域にN叉路状のボードを繰り返し所定の分割階層数まで設定して1階層数から所定の階層数の二次元ボード設定パターンを抽出し、該各スライスの該断面に対して所定の階層数の二次元ボード設定パターンを割り付けるとともに、該各スライスを切断前の状態に組み合わせることにより形成される該三次元解析領域において隣り合う同一階層数の二次元ボードを含む曲面を三次元ボードと見なして解析領域全体に三次元ボードを設定し、専用データファイルに該三次元ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該各スライスの該各面または断面を二次元要素分割して生成される二次元有限要素節点に対して該各スライスを切断前の状態に組み合わせることにより形成される該三次元解析領域の三次元有限要素節点と見なして、該三次元ボード上以外に生成される三次元有限要素節点を先に数え上げた後に該三次元ボード上に生成される三次元有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 三次元問題における前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析領域内の1点に多面体を配置し、該多面体の寸法を微小から該解析領域を内部に含むまで変化させて、その際に多面体の各辺の移動軌跡により形成される解析領域内の曲面を三次元ボードとして設定し、所望に応じて該ボードで分割される各部分領域内の1点に多面体を配置し、該多面体の寸法を微小から該部分領域を内部に含むまで変化させて、その際に多面体の各辺の移動軌跡により形成される部分領域内の曲面を三次元ボードとして繰り返し所定の分割階層数まで設定するとともに該解析領域の表面の各セル状表面を三次元ボードとして設定し専用データファイルに該三次元ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該三次元ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該三次元ボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 解析対象の材料の存在する領域(材料領域)が時間とともに変化する前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析対象時間を所望の時間区間に分割し、該各時間区間で生じる最大の材料領域を含む時間区間の解析領域(時間区間解析領域)を定義し、該各時間区間解析領域に対してボードを設定するとともに専用データファイルに該ボードの識別データおよび分割階層数を記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、該ボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該ボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数えるとともに、任意時間の該時間区間の解析領域内で該材料領域以外の領域に生成される有限要素に対して材料が存在しない境界条件を指定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 前記解析対象の第2段階離散化処理のパーツ内または任意の部分領域内の有限要素節点番号付けに関して、解析領域内の任意の点をQiとして、空間固定点Aiを中心に回転しながら段階的に長さが増す線分AiQiが拭い去る有限要素節点の順番を用いるか、または該部分領域内の有限要素節点を該部分領域に接する階層数が最も大きいボード上の有限要素節点と要素を共有しないものと共有するものに分類して前者の有限要素節点に対して該空間固定点Aiを中心に回転しながら段階的に長さが増す線分AiQiが拭い去る節点の順番を適用して番号付けを行った後、後者の有限要素節点に対して再度該空間固定点Aiを中心に回転しながら段階的に長さが増す線分AiQiが拭い去る有限要素節点の順番を適用して引続き番号付けを行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 前記解析対象の第2段階離散化処理の分割パターンとして、ボードに囲まれる部分領域に生成する節点を1次グループ、特定の数以下の部分領域と接続するボード上に生成される節点を2次グループ、その他のボード上に生成される節点を3次グループに分類し、1次グループ、2次グループ、3次グループの順番に各グループに属する該各部分領域および各ボードの通し番号、該各部分領域および各ボードに属する節点数、該各部分領域および各ボードに接続する部分領域またはボードの数、該各部分領域および各ボードに接続する該各部分領域および各ボードの通し番号からなるハイパーテーブルを生成する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 前記解析対象の第1段階離散化処理の分割パターンとして、解析対象全体にN1+N2の階層数のボードを設定し、階層数1から階層数N1のボードで定義される部分領域を領域分割型並列計算の部分領域境界とし、該ボードの識別データおよび分割階層数を専用データファイルに記録し、第2段階離散化処理の有限要素分割において、領域分割型並列計算の該各部分領域に対し該階層数N1+1から階層数N1+N2のボード上以外に生成される有限要素節点を先に数え上げた後に該階層数N1+1から階層数N1+N2のボード上に生成される有限要素節点をボードの分割階層数の大きい方から順番に数える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェース。 - 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェースのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- インターネットなどの高付加価値通信網に接続したプロバイダーのコンピュータであるサーバに搭載した請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の有限要素解析用インターフェースを、高付加価値通信網に接続したユーザーのコンピュータによって使用する場合において、第1段階離散化処理後のインターフェースソフトと専用データファイルをサーバに置き、該高付加価値通信網を介してユーザーが該サーバ上で第2段階離散化処理を実行することにより生成した有限要素解析用入力データファイルを該ユーザーのコンピュータに取り込んで有限要素解析に供するか、または該インターフェースソフトのみもしくは該専用データファイルとも該ユーザーのコンピュータに取り込んだ後、第2段階離散化処理を該ユーザーのコンピュータで実行して生成した有限要素解析用入力データファイルを有限要素解析に供する
ことを特徴とする高付加価値通信網を利用した有限要素解析方法。 - 前記第1段階離散化処理と前記第2段階離散化処理および前記ハイパーテーブルを生成する機能を有する請求項12に記載の有限要素解析用インターフェースと該ハイパーテーブルを利用する一般疎行列対応の直接解法である多重スカイライン法を用いる
ことを特徴とする有限要素解析用並列処理計算機。 - 有限要素解析の節点番号付けとして、解析領域の要素分割のアスペクト比ΦがΦ1以上Φ2以下の場合にdissection法の番号付けを適用し、該要素分割のアスペクト比ΦがΦ1より小かまたはΦ2より大の場合に自然な節点番号付けを適用する制御機能を有し、Φ1が0.5、Φ2が2である
ことを特徴とする有限要素解析用計算機。
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