JP2006162283A - 周波数特性評価方法、周波数特性評価装置及び周波数特性評価プログラム並びに保護装置 - Google Patents

周波数特性評価方法、周波数特性評価装置及び周波数特性評価プログラム並びに保護装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 速やか且つ簡便に実際の充放電状態において電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。
【解決手段】 電力貯蔵供給デバイス100に対して充放電部1で充放電を行ない、測定部2で充放電開始後の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定し、計算部3で各時点における電流値又は電圧値の変化を用い電力貯蔵供給デバイス100を周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ及び上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算し、第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価方法、周波数特性評価装置及び周波数特性評価プログラム、並びに、それを用いた保護装置に関する。
電力貯蔵供給デバイスとしては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウム電池等の各種電池の1次電池や2次電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ、燃料電池等の発電型電池などが開発され、工業的に広く用いられている。
上記のような電力貯蔵供給デバイスは、一般に高容量密度、高出力密度が求められる傾向にあり、より大きい電流において電力を貯蔵、供給することが望まれ、盛んに開発が進められている。
ところで、電力貯蔵供給デバイスの開発を行なう際には、その内部インピーダンスを評価することがある。例えば、電力貯蔵供給デバイスの一種である電池の充放電の許容負荷電流は、電池の内部インピーダンスが大きく影響する。したがって、電池の内部インピーダンスの周波数特性を評価することは、電池の性能向上に非常に有用な情報を得ることを意味する。
また、電力貯蔵供給デバイスは、一般に正極と負極とが近接していて内部短絡が発生する可能性の高いデバイスである。このため、電力貯蔵供給デバイスの工業的な利用にあたっては、短絡やそれに伴うデバイス構成材料の熱分解を抑制することによりその安全性を高めることが求められている。最近では、この安全性の向上のため、内部短絡発生時の電力貯蔵供給デバイス内の温度分布のシミュレーションを行ない、その安全性の検証を行なうことが提案されている(非特許文献1,2)。
上記のシミュレーションを行なう場合には、電力貯蔵供給デバイスに短絡時にどのくらいの電流が流れるか評価しなくてはならないことがある。通常、短絡時に流れる電流の大きさは、電力貯蔵供給デバイスに蓄えられたエネルギー量とともに、短絡部分の抵抗や短絡の接触抵抗、そして電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスに依存する。したがって、内部短絡発生時に生じるジュール熱を、シミュレーションを用いてより精密に評価するためには、内部インピーダンスの周波数特性を求め、その周波数特性に基づいた短絡電流の解析を行なうことが望ましい。
上述したような電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数依存性を評価する場合、従来は、交流負荷に対する周波数応答による直接測定方法や、高速フーリエ変換による測定方法が良く用いられていた(非特許文献3)。
2003年度電池討論会予稿集 第404頁〜第405頁 Journal of Power Sorces,113,81−100(2003) Analytical Chemistry A−Pages,75(21),455A−461A(2003)
電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスは、過電圧によって変化する傾向があり、また、充電深度によって大きく変化する傾向がある。特に、電池などの電力貯蔵供給デバイスにおいて大きな内部短絡が起こった場合には、過電圧が大きい上に放電の進行とともに著しくそれが変化するため、従来、実際の短絡状態に対応した内部インピーダンスを正確に評価することが困難であった。このため、上記のシミュレーションに用いるための、短絡状態などにおける電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を正確に評価することは、非常に困難であった。
また、電力貯蔵供給デバイスにおいては、充放電の進行中には過電圧が刻々と変化するため、それに対応して内部インピーダンスが過渡的に変化する。しかし、従来の方法を用いて内部インピーダンスを評価する場合、実際の充放電時の過電圧にインピーダンス評価時の負荷信号(交流)の振幅の大きさを対応させて評価する必要があるなど、手間、時間がかかっていた。このため、過渡状態における電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することが困難であった。
さらに、従来の具体的な内部インピーダンスの周波数依存性の評価方法に注目すると、直接測定方法では、電力貯蔵供給デバイスに交流で充放電を行ない、その際の内部インピーダンスを通常のインピーダンスメーターなどで測定するが、1点のインピーダンスデータの測定に時間がかかったため、内部インピーダンスの周波数特性を評価するのにも時間がかかったほか、電力貯蔵供給デバイスの過渡特性、即ち、インピーダンスの周波数特性の充放電中の推移(経時変化)についての連続したデータを取ることが困難であり、また、労力がかかった。
また、例えば高速フーリエ変換による測定方法では、内部インピーダンスの高速な評価は可能であるが、電力貯蔵供給デバイスの実際の使用時における過電圧の経時変化にインピーダンス評価時の過電圧を対応させることが困難なため、電力貯蔵供給デバイスの過渡特性の適切な評価はできなかった。
また、この方法はインピーダンスが過電圧に対して線形であることを前提としているが、化学電池のように電池を得るために化学反応を使用しているデバイスの場合、インピーダンスは過電圧が大きくなるにつれて非線形性が強くなるため、過電圧の大きい大電流時や低温時のインピーダンス評価には向かなかった。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができるようにした周波数特性評価方法、周波数特性評価装置及び周波数特性評価プログラム、並びに、それを用いた保護装置を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行なった結果、電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行なったときの電流値又は電圧値の変化、若しくは、電流又は電圧を変化させて充電又は放電を行なったときの電流値又は電圧値の変化から、電力貯蔵供給デバイスを抵抗成分及びキャパシタ成分を有する等価回路で表わした場合の抵抗値及び静電容量に相当する値を演算し、その値を用いることにより、上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価方法であって、上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、上記の充電又は放電を開始した後の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する第1過程と、各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2過程と、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する第3過程とを備えることを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価方法に存する(請求項1)。これにより、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。また、この方法は、充放電開始直後に電圧値が大きく変化している場合に用いると、その間に内部インピーダンスも短時間で刻々と変化するため、充放電時の過電圧推移そのものから内部インピーダンスの周波数特性を評価できるという本法の長所を発揮できるため、好適である。
また、本発明の別の要旨は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価方法であって、上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、少なくとも1回上記の充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を階段状又は矩形波状に変化させた際に、電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する第1過程と、電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2過程と、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する第3過程とを備えることを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価方法に存する(請求項2)。これによっても、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。また、この方法は、特に、充放電中にわずかな電気的刺激を加えるだけで充放電を停止することなく内部インピーダンスの周波数特性を評価できるため、例えば充放電の電流が非常に大きい場合や、過充電又は過放電等の異常充放電状態の場合などのように、充放電中における内部インピーダンスの変化が大きい場合の内部インピーダンスの周波数特定を評価する場合に用いて好適である。
さらに、本発明の更に別の要旨は、 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行なう充放電部と、電流値又は電圧値を測定しうる測定部と、上記の充電又は放電を開始した後の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定するように該測定部を制御する測定制御部と、各時点における上記電流値又は電圧値に基づいて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する計算部とを備えることを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置に存する(請求項3)。また、該計算部は、例えば、各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータを演算する第1パラメータ演算部と、各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを上記等価回路で表わした場合に、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2パラメータ演算部と、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価部とを備えて構成することができる。これによっても、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。また、この装置は、充放電開始直後に電圧値が大きく変化している場合に用いると、その間に内部インピーダンスも短時間で刻々と変化するため、充放電時の過電圧推移そのものから内部インピーダンスの周波数特性を評価できるという本法の長所を発揮できるため、好適である。
また、本発明の更に別の要旨は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行なう充放電部と、少なくとも1回以上、該充電部が充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を階段状又は矩形波状に変化させるパルス印加部と、電流値又は電圧値を測定しうる測定部と、上記の電流又は電圧を変化させた際に、電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定するように該測定部を制御する測定制御部と、電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値及び電圧値に基づいて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する計算部とを備えることを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置に存する(請求項4)。また、該計算部は、例えば、電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値及び電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータを演算する第1パラメータ演算部と、電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値及び電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、上記等価回路で表わした場合に上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2パラメータ演算部と、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価部とを備えて構成することができる。これによっても、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。また、この装置は、特に、充放電中にわずかな電気的刺激を加えるだけで充放電を停止することなく内部インピーダンスの周波数特性を評価できるため、例えば充放電の電流が非常に大きい場合や、過充電又は過放電等の異常充放電状態の場合などのように、充放電中における内部インピーダンスの変化が大きい場合の内部インピーダンスの周波数特定を評価する場合に用いて好適である。
さらに、本発明の更に別の要旨は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行なったときの、上記の充電又は放電を開始した後の所定時間間隔の電流値又は電圧値を取り込む測定値取込部と、取り込んだ上記電流値又は電圧値の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータを演算する第1パラメータ演算部と、取り込んだ上記電流値又は電圧値の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを上記等価回路で表わした場合に、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2パラメータ演算部と、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価部とを備えることを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置に存する(請求項5)。これによっても、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。また、この装置は、充放電開始直後に電圧値が大きく変化している場合に用いると、その間に内部インピーダンスも短時間で刻々と変化するため、充放電時の過電圧推移そのものから内部インピーダンスの周波数特性を評価できるという本法の長所を発揮できるため、好適である。
また、本発明の更に別の要旨は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、少なくとも1回上記の充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を階段状又は矩形波状に変化させた際の、所定時間間隔の電流値又は電圧値を取り込む測定値取込部と、取り込んだ上記電流値又は電圧値の、電流又は電圧を変化させた際の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータを演算する第1パラメータ演算部と、取り込んだ上記電流値又は電圧値の、電流又は電圧を変化させた際の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを上記等価回路で表わした場合に、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2パラメータ演算部と、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価部とを備えることを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置に存する(請求項6)。これによっても、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。また、この装置は、特に、充放電中にわずかな電気的刺激を加えるだけで充放電を停止することなく内部インピーダンスの周波数特性を評価できるため、例えば充放電の電流が非常に大きい場合や、過充電又は過放電等の異常充放電状態の場合などのように、充放電中における内部インピーダンスの変化が大きい場合の内部インピーダンスの周波数特定を評価する場合に用いて好適である。
さらに、本発明の更に別の要旨は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価プログラムであって、コンピュータに、上記の周波数特性評価装置の各機能を実現させることを特徴とする、周波数特性評価プログラムに存する(請求項7)。これによっても、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
また、本発明の別の要旨は、上記の電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置で評価された上記周波数特性に基づき上記電力貯蔵供給デバイスの性能を評価するデバイス性能評価部と、該デバイス性能評価部での評価結果に基づいて上記電力貯蔵供給デバイスの充電又は放電の制御を行なう充放電制御部とを備えることを特徴とする、保護装置に存する(請求項8)。これにより、実際の充放電状態において、内部インピーダンスの周波数特性を基に性能を評価して電力貯蔵供給デバイスを制御することができるようになる。
本発明の電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価方法、周波数特性評価装置及び周波数特性評価プログラムによれば、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
また、本発明の保護装置によれば、実際の充放電状態において、内部インピーダンスの周波数特性を基に性能を評価して、例えば過充電などから電力貯蔵供給デバイスを保護する等のために、電力貯蔵供給デバイスを制御することができるようになる。
以下、本発明について、その実施の形態を示して説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[I.第1実施形態]
本発明は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価するためのものである。電力貯蔵供給デバイスとは、電力を貯蔵又は供給することが可能なデバイスを広く意味する。電力貯蔵供給デバイスの具体例としては、アルカリ電池、リチウム電池等の1次電池、鉛酸電池、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の2次電池、燃料電池等の発電型電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなどが挙げられる。
また、本発明の第1実施形態としての周波数特性評価方法では、以下に説明する第1過程、第2過程及び第3過程を経て、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。
即ち、第1過程では、電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、上記の充電又は放電を開始した後の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する。
また、第2過程では、測定した各時点における電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する。
さらに、第3過程では、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。
なお、本実施形態の周波数特性評価方法はどのような場合に適用してもよい。例えば、充放電開始後の電圧値(過電圧)の変化が大きいときに適用することができる。即ち、充放電開始後の電圧値(過電圧)の変化が大きい場合には、電力貯蔵供給デバイス内の電荷移動反応速度の過電圧に対する非線形性より、内部インピーダンスが充放電の進行とともに大きく変化している。従来の方法では、このような条件での充放電中の内部インピーダンスの周波数特性を評価することは困難が伴なっていた。しかし、本実施形態の周波数特性評価方法では、充放電中の電圧そのものを数値処理することによってインピーダンスの周波数特性を評価することができるので、このような条件下でも内部インピーダンスの周波数特性を簡便に評価することができる。
以下、各過程毎に詳細に説明する。
[1.第1過程]
第1過程では、上述したように、電力貯蔵供給デバイスに対して直流で充電又は放電を行ない、上記の充電又は放電を開始した後の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する。
充電と放電とのいずれを行なうかは任意であり、充電のみを行なうようにしてもよく、放電のみを行なうようにしてもよく、充電及び放電の両方を組み合わせて行なうようにしてもよい。通常は、充電時の内部インピーダンスの周波数特性を評価したい場合には充電を行なうようにし、放電時の内部インピーダンスの周波数特性を評価したい場合には放電を行なうようにする。なお、本明細書において、充電及び放電を区別せずに述べる場合、単に「充放電」という。
また、充放電を行なう前に、電力貯蔵供給デバイスは、予め所望の充電深度及び所望の温度に調整しておくことが好ましい。この際、充電深度や温度は、評価しようとする実際の環境に応じて任意に設定すればよい。例えば、通常の使用状態における周波数特性を評価する場合には、充電深度及び温度は、実際に使用する場合の充電深度及び使用温度に調整しておけばよい。さらに、例えば、シミュレーションに用いる周波数特性を評価する場合には、充電深度及び温度は、シミュレーションにおいて想定する充電深度及び想定温度に調整しておけばよい。
さらに、充電速度や放電速度、充放電を行なう時間などの充放電条件も任意であり、周波数特性を評価しようとする実際の環境等に応じて任意に設定すればよい。
また、上記のように、第1過程においては、充放電の開始後、電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する。このとき、測定される電圧値(即ち、電力貯蔵供給デバイスの正極及び負極の端子間の電圧)や電流値は、充放電開始後の電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を反映したものとなるため、これらを測定することにより、上記周波数特性の評価を行なうことができる。
第1過程において、電流値と電圧値とのいずれを測定するかは、第2過程で行なう演算に応じて適当に選択すればよい。例えば、電力貯蔵供給デバイスに定電流で充放電を行なう場合には、電流値は一定の定数値になることが分かっているため、周波数特性の評価を行なうには電圧値を測定するようにすれば良い。また、例えば電力貯蔵供給デバイスに定電圧で充放電を行なう場合には、電圧値は一定の定数値になることが分かっているため、周波数特性の評価を行なうには電流値を測定するようにすれば良い。さらに、電圧値及び電流値の両方が変化しうるように充放電を行なう場合には、周波数特性の評価を行なうには、電流値及び電圧値の両方を測定するようにすることが好ましい。もちろん、定電圧や定電流で充放電を行なう場合に、電流値及び電圧値の両方を測定するようにしてもよい。この場合、周波数特性の評価結果の精度や信頼性をより高めることができる。
また、電流値や電圧値は、所定時間間隔で測定する。所定時間は、周波数特性の評価ができる限り任意であり、例えば測定開始から終了に向けて徐々に長時間となるように測定間隔を広げるようにしてもよいが、簡単のため、一定の時間とすることが好ましい。さらに、この所定時間(測定間隔)を小さくすれば、高周波数相当の内部インピーダンスの周波数特性まで評価することができる。
上記所定時間の具体的な範囲としては、その下限は、通常1μs以上、好ましくは10μs以上、より好ましくは100μs以上が望ましい。この下限を下回ると、データ点数が多くなりすぎ、内部インピーダンスの評価にあたり計算機の負荷が大きくなる虞があるためである。一方、上限については制限は無いが、集積回路に組み込む微小デバイス等の場合には、通常1000ms以下、好ましくは100ms以下、より好ましくは10ms以下が望ましい。この上限を上回ると、高周波数領域での内部インピーダンス評価ができず、電力貯蔵供給デバイス性能向上に必要な情報が得られない虞があるためである。
また、測定開始から測定終了までの間に測定する測定データ点数に制限はなく、周波数特性の評価ができる限り任意であるが、通常10点以上、好ましくは20点以上、より好ましくは50点以上、また、通常10000000点以下、好ましくは1000000点以下、より好ましくは100000点以下が望ましい。この範囲の下限を下回ると、内部インピーダンスの周波数応答曲線が滑らかな形状に得られないため、即ち、周波数特性の信頼性が低下する虞があるため、その結果を用いて得られる熱シミュレーションの結果の精度が低下する虞がある。また、上限を上回ると、データ点数が多くなりすぎ、インピーダンスの算出にあたり計算機の負荷が大きくなる虞がある。
さらに、測定開始から測定終了までの総測定時間も制限なく任意であるが、通常0.01秒以上、好ましくは0.1秒以上、より好ましくは0.5秒以上、また、通常60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは10秒以下である。この範囲の下限を下回ると、電力貯蔵供給デバイスのインピーダンスの低周波数特性が充分に得られない虞がある。また、上限を上回ると、上記の測定間隔(即ち、所定時間)を微少な時間とすることの意味がなくなり、周波数特性の評価に要する時間を短縮するという利点を得られなくなる虞がある。
また、測定する電流値や電圧値の精度は、高いほど好ましい。具体的には、電流値の場合、その最小測定単位が通常100mA以下、好ましくは10mA以下、より好ましくは1mA以下が望ましい。一方、電圧値の場合、その最小測定単位が通常10mV以下、好ましくは1mV以下、より好ましくは0.1mV以下が望ましい。これらの範囲の上限を上回った場合、得られる内部インピーダンスの周波数特性の精度が低下する虞がある。
[2.第2過程]
第2過程では、第1過程で測定した各時点における電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する。なお、第1過程において測定した時点のうちの一部の時点の測定結果についてだけ上記の演算を行なうようにしてもよいが、周波数特性評価の精度を高める観点からは、測定した全ての時点の測定結果から上記演算を行なうことが好ましい。
充放電開始後の電流と電圧との関係は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスを反映した挙動を示す。したがって、第1過程で測定した電流値及び電圧値の時間挙動を解析すれば、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
具体的には、例えば、以下に示す式を用いて演算を行なうことができる。なお、以下に示す式の一部は、「“Electrochemical Methods,second edition” Allen J. Bard,Larry R. Faulkner(John Wiley&Sons)、2001」に記載のものを用いた。
一般に、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスZは、式(1)に示すように、実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryよりなる。
Figure 2006162283
なお、上記式(1)において、jは虚数単位を表わす。
ここで、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスが、図1に示すような、抵抗(周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分)とキャパシタ(周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分)との直列接続により構成される等価回路で表わされると仮定すると、以下の式(2)、式(3)が成り立つ。
Figure 2006162283
ここで、Rは上記等価回路の抵抗の抵抗値(第1パラメータ)を表わし、Cは上記等価回路のキャパシタの静電容量(第2パラメータ)を表わし、ωは負荷された交流の角速度を表わす。なお、本実施形態の周波数特性評価方法では、直流時の電流又は電圧の時間変化を測定すること、並びに、抵抗値R及び静電容量Cが時間とともに変化すると想定したことにより、この角速度ωを変化させる手間を省きながらも電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができることを、利点の一つとしている。
上記の式(1)〜式(3)を変形すると、以下の式(4)及び式(5)が導かれる。
Figure 2006162283
一方、電力貯蔵供給デバイスに充放電を開始した後の電流又は電圧が変化している期間や、電流又は電圧の印加を開始した直後から印加終了までの期間(即ち、第2実施形態におけるパルスの印加時等)の電位変化は下記式(6)で与えられる。
Figure 2006162283
ここで、ΔEは電流又は電圧印加後の電圧変化、具体的には、充放電時における充放電開始前からの電圧変化を表わし、ΔIは電流又は電圧印加後の電流変化、具体的には、充放電時における充放電開始前からの電流変化を表わし、Δqは電流又は電圧印加後のキャパシタ成分に蓄えられた電気量をそれぞれ示す。
上記式(6)は、さらに変形して下記式(7)のようになる。
Figure 2006162283
ここで、tは時間を表わし、具体的には、充放電を開始してからの経過時間を表わす。
なお、電力貯蔵供給デバイスを流れる電流が定電流である場合、例えば、定電流で充放電を行なう場合や、後述する第2実施形態のようにパルスを印加して電流の波形を変化させた際に電流の波形が矩形波や階段状波になった場合などには、上記式(7)は、さらに下記式(8)のように変形することができる。また、連続する電流及び電圧の変化を各時点における階段状波の集合として取り扱うこともでき、その集合を構成する階段状波それぞれについても、下記式(8)を適用することができる。
Figure 2006162283
また、上記式(8)を微分形で表すと、下記式(9)のようになる。
Figure 2006162283
以上の式(1)〜式(9)を用いれば、電力貯蔵供給デバイスに電流又は電圧の印加を開始した後の電流値又は電圧値の変化を用いて、印加開始後の時間に対する抵抗値R及び静電容量Cの変化が得られ、さらに、この抵抗値R及び静電容量Cの値より印加開始後の時間に対するインピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryの推移が得られる。
なお、本実施形態においては、第1過程で充放電を行なう際に、電力貯蔵供給デバイスに直流の電流又は電圧を印加することにより充放電を行なっている。このように直流の電流又は電圧を印加した場合に、印加開始後の時間tに対する実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryの変化の関係を、交流の電流又は電圧を印加した際の交流の角速度ωに対する実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryの変化の関係に変換するには、印加開始後の時間tの逆数1/tを角速度ωと見なせば良い。また、角速度ωは、さらに必要に応じて周波数に変えることもできる。
また、直流で充放電を行なう場合(第2実施形態のように電流又は電圧の波形を矩形波状又は階段状に変化させる場合を含む)には、インピーダンスの絶対値、電圧変化及び電流変化の関係として、以下の式を用いることができる。
Figure 2006162283
第2過程においては、例えば上述した式(1)〜式(10)を用いて、具体的に充放電開始後の時間に対する上記抵抗値R及び上記静電容量Cの推移を得る。即ち、第1過程において電流又は電圧を測定した時点などの、サンプリングした各時点における上記抵抗値R及び上記静電容量Cを求める。このとき、上記の式(1)〜式(10)の使い方には種々の組み合わせが考えられるが、各時点における上記抵抗値R及び上記静電容量Cを求めることができる限りその使い方は任意である。以下に、使い方の例を示す。なお、図2(a)〜図2(c)は、説明のために第1過程において定電流で放電を行なった場合の電圧の測定値をプロットした曲線の一例として示すグラフである。
(算出法1)
第1過程において、定電流で充放電を行ない、充放電開始後の電圧を測定する。
また、第2過程では、第1過程で測定した電圧と時間tとの関係{(電圧変化)対(時間)のプロットで得られる曲線}に対し、上記式(8)を用いる。具体的には、例えば、充放電時電流をΔI、充放電開始直前の電圧と充放電開始後の電圧の差をΔEとし、図2(a)に示すように、ある時点に対して曲線の接線を得て、その切片すなわちΔI×Rより上記抵抗値Rを求め、また、その傾きすなわちΔI/Cより上記静電容量Cを求める。なお、ΔIは、充電側の値を正とし、放電側の値を負とする。また、上記のように、印加開始後の時間tの逆数1/tを角速度ωとする。このようにして求めた上記抵抗値R及び上記静電容量Cの値により、上記式(2)及び上記式(3)を用いて各時点tにおける内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryが得られる。
(算出法2)
第1過程において、定電流で充放電を行ない、充放電開始後の電圧を測定する。
また、第2過程では、第1過程で測定した電圧と時間tとの関係{(電圧変化)対(時間)のプロットで得られる曲線}に対し、上記式8を用いる。具体的には、例えば、充放電時電流をΔI、充放電開始直前の電圧と充放電開始後の電圧の差をΔEとし、図2(b)に示すように、ある時点に対して曲線の接線を得て、その切片すなわちΔI×Rより上記抵抗値Rを求める。また、別途、対応する時点について上記式(10)から内部インピーダンスの絶対値|Z|を算出し、このようにして求めた上記抵抗値R及び絶対値|Z|の値を用い、上記式(5)から上記静電容量Cが得られる。なお、ΔIは、充電側の値を正とし、放電側の値を負とする。また、上記のように、印加開始後の時間tの逆数1/tを角速度ωとする。このようにして求めた上記抵抗値R及び上記静電容量Cの値により、上記式(2)及び上記式(3)を用いて各時点tにおける内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryが得られる。
(算出法3)
第1過程において、定電流で充放電を行ない、充放電開始後の電圧を測定する。
また、第2過程では、第1過程で測定した電圧と時間tとの関係{(電圧変化)対(時間)のプロットで得られる曲線}に対し、上記式8を用いる。具体的には、例えば、充放電時電流をΔI、充放電開始直前の電圧と充放電開始後の電圧の差をΔEとし、図2(c)に示すように、ある時点に対して曲線の接線を得て、その傾きすなわちΔI/Cより上記静電容量Cを求める。また、別途、対応する時点について上記式(10)から内部インピーダンスの絶対値|Z|を算出し、このようにして求めた上記静電容量C及び絶対値|Z|の値を用い、上記式(5)から上記抵抗値Rが得られる。なお、ΔIは、充電側の値を正とし、放電側の値を負とする。また、上記のように、印加開始後の時間tの逆数1/tを角速度ωとする。このようにして求めた上記抵抗値R及び上記静電容量Cの値により、上記式(2)及び上記式(3)を用いて各時点tにおける内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryが得られる。
(算出法4)
第1過程において充放電を行ない、充放電開始後の電圧を測定する。
また、第2過程では、式(7)を用いて各時点における上記抵抗値Rを上記静電容量Cの関数として得る。また、別途、対応する時点について上記式(10)から内部インピーダンスの絶対値|Z|を算出し、このようにして求めた上記抵抗値Rの関数及び絶対値|Z|の値を用い、上記式(5)から上記静電容量Cを得る。ここで、充放電時電流をΔI、充放電開始直前の電圧と充放電開始後の電圧の差をΔEとする。ΔIは、充電側の値を正とし、放電側の値を負とする。また、上記のように、印加開始後の時間tの逆数1/tを角速度ωとする。さらに、この静電容量Cと先の式(7)とから抵抗値Rを得る。このようにして求めた上記抵抗値R及び上記静電容量Cの値により、上記式(2)及び上記式(3)を用いて各時点tにおける内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryが得られる。
なお、この算出法4は、定電流以外の充放電時、例えば、内部インピーダンスを求めるための電流の負荷の矩形波状(あるいは階段状波状)の制御が不安定であったり、電流ではなく電圧側を制御するような場合で、それぞれ電流値が負荷中に大きく変化してしまうような場合などに用いて好適である。
[3.第3過程]
第3過程では、上記第1のパラメータ(即ち、抵抗値R)及び第2のパラメータ(即ち、静電容量C)を用いて、上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。具体的には、第2過程で求めた上記抵抗値R及び上記静電容量Cの値により、上記式(2)及び上記式(3)を用いて各時点tにおける内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryを得て、その実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryに対してナイキストプロットを行なう。
各時点における実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryに対してナイキストプロットを行なうことにより、例えば図3に示すような曲線が得られる。なお、図3は横軸を実数成分ZREALとし、縦軸を虚数成分Zimaginaryとしたナイキストプロットの一例であり、白抜きの円が各時点の測定プロットを表わし、それを結ぶ実線が周波数特性を示す曲線を表わす。
以上のようにして、本実施形態の周波数特性評価方法が目的としていた電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を、上記のような曲線として得ることができる。なお、通常は、上記周波数特性を表わす曲線はアーク状の曲線として得られることが多い。
また、得られた周波数特性を表わす曲線から、常法を用いて、上記曲線に対する上記抵抗成分の抵抗値Rや上記キャパシタの静電容量Cを求めることも可能である。このような処理により、例えば、電力貯蔵供給デバイスがリチウム電池である場合を例に挙げると、得られた曲線の横軸との交点(直列抵抗成分)からはセパレータ部や端子部などの抵抗値が得られ、上記曲線の円弧状部分からは電荷移動反応の抵抗値や固液界面での電気二重層容量が得られる。
[4.測定装置]
上述したような本実施形態の周波数特性評価方法は、全てを人の手により行なうようにしてもよいが、その操作の一部又は全部を、何らかの装置を用いて行なうようにすることが好ましい。例えば、図4に示すような周波数特性評価装置によって行なうこともできる。
図4に示す周波数特性評価装置は、充放電部1と、測定部2と、計算部3とを備えていて、さらに、計算部3は、記憶部4と、測定値取込部5と、演算部6と、周波数特性評価部7と、制御部8とを備えている。なお、図4においては、データの動きは実線の矢印で示し、制御部8の制御信号は破線の矢印で示してある。
充放電部1は、評価対象である電力貯蔵供給デバイス100に充電又は放電を行なわせるものである。したがって、充放電部1により、例えば定電流や定電圧などの任意の条件において電力貯蔵供給デバイス100に充放電を行なわせることができるようになっている。
また、測定部2は、充放電部1により電力貯蔵供給デバイス100が充放電を開始させられた後、上記充放電開始後の充放電の電流又は電圧を測定するものである。電流値又は電圧値を常時測定するようにしても良いが、ここでは、測定部2は測定制御部(図示省略)を備えていて、この測定制御部の制御によって上記の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定するようになっているものとする。詳しくは、測定部2は、電流値を測定する電流値測定部21と、電圧値を測定する電圧値測定部22とを備えていて、測定制御部の制御に従って、電力貯蔵供給デバイス100の充放電の電流値及び電圧値を両方とも測定できるようになっている。また、電流値測定部21で測定された各時点の電流値及び電圧値は、記憶部4に送られるようになっている。
さらに、記録部4は、測定部2(即ち、電流値測定部21及び電圧値測定部22)から送られてきた各時点における電流値及び電圧値を記録する部分である。記録された電流値及び電圧値は、測定値取込部5によって読み出され、第1及び第2のパラメータの演算に用いられることになる。
また、測定値取込部5は、制御部8の制御により、記録部4に記録された各時点の電流値及び電圧値を取り込んで演算部6に送る部分である。具体的には、測定部取込部5は、記録部4から電流値を取り込んで演算部6に送る電流値取込部51と、記録部4から電圧値を取り込んで演算部6に送る電圧値取込部52とを備えていて、この電流値取込部51及び電圧値取込部52が、制御部8の制御にしたがって、所定時間間隔で測定された各時点の電流値及び電圧値の取り込みをそれぞれ行なうようになっている。なお、測定部2が電流値又は電圧値を常時測定するようになっている場合には、測定した電流値又は電圧値の中から所定時間間隔の各時点の測定データを取り込むようにすれば良い。
さらに、演算部6は、制御部8の制御により、測定値取込部5(即ち、電流値取込部51及び電圧値取込部52)を介して記録部4から取り込まれた電流値及び電圧値から、第1パラメータ(即ち、上記抵抗値R)と第2パラメータ(即ち、上記静電容量C)とを演算して求める部分である。具体的には、演算部6は、第1パラメータを演算する第1パラメータ演算部61と、第2パラメータを演算する第2パラメータ演算部62とを備えていて、第1パラメータ演算部61及び第2パラメータ演算部62が、上述した式(1)〜式(10)などを用いて、制御部8の制御により、それぞれ第1及び第2のパラメータを求めるようになっている。また、求められた第1及び第2のパラメータは、周波数特性評価部7に送られるようになっている。
また、周波数特性評価部7は、制御部8の制御により、演算部6(即ち、第1パラメータ演算部61及び第2パラメータ演算部62)から送られた第1及び第2のパラメータから電力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの周波数特性を評価する部分である。具体的には、送られた各時点の第1及び第2のパラメータから内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryを得て、これらをナイキストプロットするようになっている。
さらに、制御部8は、測定値取込部5、演算部6及び周波数特性評価部7の動作の制御を行なうものである。
本例の周波数特性評価装置は以上のように構成されているので、使用時には、まず、充放電部1及び測定部2を電力貯蔵供給デバイス100に接続し、充放電部1により充放電を開始して、測定部2により充放電開始後の電流値及び電圧値を所定時間間隔で測定する(第1過程)。測定された各時点の電流値及び電圧値は、記憶部4に記憶される。
次に、制御部8は、測定値取込部5を制御して、記憶部4に記憶された各時点における電流値及び電圧値を取り込ませ、演算部6に送らせる。さらに、制御部8は、演算部6を制御して、取り込んだ電流値及び電圧値から各時点それぞれの第1及び第2のパラメータを演算させる(第2過程)。演算結果は、周波数特性評価部7に送られる。
また、制御部8は、周波数特性評価部7を制御して、送られた各時点の第1及び第2のパラメータそれぞれについて内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryを計算させ、それらをナイキストプロットして、電周波数特性を評価させる(第3過程)。これにより、本例の周波数特性評価装置は、力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
なお、得られた評価結果は図示しない出力部から出力するようにしてもよいが、ここでは、記憶部4に保存しておくものとする。
以上のように、ここで例示した本例の周波数特性評価装置を用いれば、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。従来は、充電あるいは放電の進行中において、充放電を停止することなく、矩形波状又はステップ状の電流や電圧を印加しながら、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの過渡的な変化の評価することは行われていた。しかし、従来の技術はある特定の周波数におけるインピーダンス評価に留まっており、現実の充放電状態において任意の周波数における周波数特性を、短時間かつ簡便に評価することはできていなかった。具体的には、例えば直接測定法では、印加する交流の周波数を振りながら、各周波数でのインピーダンスを評価するという原理上、短時間で評価できず、また、例えばフーリエ変換法では、過電圧に対してインピーダンスが線形であるという前提が必要であったため、現実の充放電状態においてインピーダンスの周波数特性を評価することはできなかった。したがって、上記のように速やか且つ簡便に実際の充放電状態において上記周波数特性を評価できることは、電力貯蔵供給デバイスの評価などを行なう上で、極めて大きな利点である。
また、この周波数特性評価装置は、例えば、過電圧が大きい場合の充放電(高電流や低温化)での内部インピーダンスの周波数特性評価に用いることができる。充放電中の電流電圧そのもので評価を行なうことができ、内部インピーダンスの過電圧に対する非線形性を気にせず評価することができるためである。
ただし、ここで例示した周波数特性評価装置は、あくまで本実施形態の周波数特性評価方法を実現するための装置の一例であり、この装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
例えば、計算部3は、充放電部1及び測定部2と別体に形成し、例えば充放電部1及び測定部2を計算部3に対して着脱可能に形成してもよい。
また、例えば、充放電部1は、本例のように測定部2と別体とせず、一体に構成しても良い。
さらに、例えば、本例では電流値測定部21と電圧値測定部22とを測定部2に一体に構成したが、両者は別体に構成しても良い。また、上述したように、定電流または定電圧で充放電を行なう場合などにおいては、電流及び電圧のうち一方のみを測定するようにしても良い。
また、例えば、本例では充放電時の電流値及び電圧値の両方を測定するようにしたが、記録部に設定値や推定値などを記録させておき、これを測定値取込部5に取り込ませるようにしてもよい。例えば、定電流で充放電を行なう場合には設定した電流値を記録部4に記録させ、また、定電圧で充放電を行なう場合には設定した電圧値を記録部4に記録させ、これらの設定した電流値又は電圧値を測定値取込部5が取り込むように構成してもよい。
さらに、例えば、本例では電流値及び電圧値の両方を取込部5が記憶部4から取り込むものとして説明したが、定電流や定電圧で充放電を行なっている場合などのように、電流値及び電圧値のうちのいずれか一方が定数となる場合には、その定数となる値については取込部5による取り込みを行なわず、予め演算部6内で用いる演算の式に定数として盛り込んで第1及び第2のパラメータの演算を行なうようにしてもよい。
また、充放電時の電力貯蔵供給デバイス100の温度を所定の温度に設定するため、恒温槽などの温度調整装置を取り付けて併用するようにしても良い。もちろん、上記周波数特性評価装置に温度調整部を設け、周波数特性評価装置自体が電力貯蔵供給デバイス100の温度を制御できるようにしてもよい。
さらに、制御部8に、充放電部1の充放電や測定部2の測定時点を制御する機能を備えさせても良い。この場合、充放電部1の充放電を制御するには、制御部8には電力貯蔵供給デバイス100に印加する電流又は電圧の大きさなどを制御する機能を備えさせれば良い。また、測定部2の測定時点を制御するために、制御部8に測定制御部の機能を備えさせて、制御部8が電力貯蔵供給デバイス100の端子間の電流値又は電圧値を測定する上記の所定間隔を制御できるようにしても良い。
ところで、上述の周波数特性評価装置はコンピュータを用いて実現することも可能である。具体的には、計算部3や、計算部3の主要計算部31、或いは、充放電部1の充放電や測定部2の測定時点を制御する制御装置(図示せず)などをコンピュータを用いて実現することができる。このように、コンピュータに上記周波数特性評価装置の各機能を実現させるためのプログラム(周波数特性評価プログラム)は、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納することができ、記録媒体に格納した状態で頒布し、市場を流通させ、また売買することができる。
そして、このような記録媒体に格納されている周波数特性評価プログラムをコンピュータにインストールし、コンピュータがこの周波数特性評価プログラムを実行することで、上述した周波数特性評価装置を実現することができるため、記録媒体に格納されている周波数特性評価プログラムによって上述した周波数特性評価装置によって得られる効果と同様の効果が得られることになる。
ここで、記録媒体には、例えば半導体メモリなどのメモリ、磁気ディスク、光ディスク(例えばCD−ROM等)、光磁気ディスク(MO)、磁気テープ、ハードディスク、フレキシブルディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、コンピュータ内部の記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)、外部記憶装置等のプログラムを記録することができるものが含まれる。また、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等のコンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。なお、CD−ROM、MO、磁気テープ、ICカード等を可搬型記録媒体ともいう。
なお、ここでは、周波数特性評価プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に格納しているが、記録媒体に格納しなくても良い。また、周波数特性評価プログラムは、上述のような記録媒体に格納せずに、例えば伝送媒体としてのネットワーク(通信ネットワーク)を介して伝送(送受信)することもでき、これにより周波数特性評価プログラムを頒布し、市場を流通させ、また売買することもできる。例えば、周波数特性評価プログラムをウェブサーバ等にアップロードしたり、インターネット等のネットワークを経由して例えばウェブサーバ等からダウンロードしたりすることもできる。
[II.第2実施形態]
本発明の第2実施形態の周波数特性評価方法も、上記第1実施形態と同様、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価するためのものである。
また、第2実施形態としての周波数特性評価方法では、以下に説明する第1過程、第2過程及び第3過程を経て、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。
即ち、第1過程では、電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、少なくとも1回上記の充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を階段状又は矩形波状に変化させた際に、電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する。
また、第2過程では、電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する。
さらに、第3過程では、上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。
なお、本実施形態の周波数特性評価方法はどのような場合に適用してもよいが、例えば、充放電の電流値が大きい場合や、過充電時のように電池内部が変化しているような場合などに用いることができる。即ち、充放電の電流値が大きい場合や、過充電時のように電池内部が変化しているような場合には、内部インピーダンスの過電圧に対する非線形性が強く、また、充放電の進行とともに内部インピーダンスは大きく変化している。従来の方法では、このような条件での充放電中の内部インピーダンスの周波数特性を評価することは困難が伴なっていた。しかし、本実施形態の周波数特性評価方法では、充放電中のにわずかな電気的な刺激を加えるだけで内部インピーダンスの周波数特性の評価することができるので、このような条件下でも内部インピーダンスの周波数特性を簡便に評価することができる。
以下、各過程毎に詳細に説明する。
[1.第1過程]
第1過程では、上述したように、電力貯蔵供給デバイスに対して直流で充電又は放電を行ない、少なくとも1回、上記の充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を、電流又は電圧を印加することにより階段状又は矩形波状に変化させた際に、電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する。
充電と放電とのいずれを行なうかは任意であり、充電のみを行なうようにしてもよく、放電のみを行なうようにしてもよく、充電及び放電の両方を組み合わせて行なうようにしてもよい。通常は、充電時の内部インピーダンスの周波数特性を評価したい場合には充電を行なうようにし、放電時の内部インピーダンスの周波数特性を評価したい場合には放電を行なうようにする。
また、第1実施形態で説明したのと同様に、充放電を行なう前に、電力貯蔵供給デバイスは、予め所望の充電深度及び所望の温度に調整しておくことが好ましい。
さらに、充電速度や放電速度、充放電を行なう時間などの充放電条件が任意であり、周波数特性を評価しようとする実際の環境等に応じて任意に設定すればよい点も、第1実施形態と同様である。
ただし、本実施形態では、電力貯蔵供給デバイスに対して直流で充放電を行ない、この充放電の開始後に、少なくとも1回、電流及び電圧の一方を階段状又は矩形波状に変化させ(以下適宜、これを「波形変化をさせる」と表現する)、上記の変化させた期間において、電流及び電圧の他方を所定時間間隔で測定する。電力貯蔵供給デバイスに充放電を行なっているときに電流及び電圧の一方を変化させると、その一方の変化に応答して電流及び電圧の他方が変動することになるが、この変動は、第1実施形態で説明した充放電開始後の電流又は電圧の変化と同様に、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスを反映した挙動を示すものである。したがって、上記変動を測定すれば、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
即ち、例えば図5に示すように、パルス電圧を期間T1及び期間T2の2回だけ印加して電圧の波形を矩形波状に変化させたときには、その期間T1及び期間T2それぞれの電流値を所定時間間隔で測定する。また、例えば図6に示すように、パルス電流を期間T3及び期間T4の2回だけ印加して電流の波形を矩形波状に変化させたときには、その期間T3及び期間T4の電圧値を所定時間間隔で測定する。なお、図5及び図6はそれぞれ、本実施形態の第1過程における電流値及び電圧値を説明するためのグラフであり、電圧及び電流それぞれの横軸は、同じ時間軸を表わすものとする。
さらに、例えば図7に示すように、パルス電圧を印加して期間T5及び期間T6に分けて階段状に電圧の波形を変化させたときには、その期間T5及びT6それぞれの電流値を所定時間間隔で測定する。また、例えば図8に示すように、パルス電流を印加して期間T7及び期間T8に分けて階段状に電流の波形を変化させたときには、その期間T7及びT8それぞれの電圧値を所定時間間隔で測定する。なお、図7及び図8はそれぞれ、本実施形態の第1過程における電流値及び電圧値を説明するためのグラフであり、電圧及び電流それぞれの横軸は、同じ時間軸を表わすものとする。
波形変化をさせる場合の波形は、階段状及び矩形波状のいずれであってもよいが、充放電の進行に伴う内部インピーダンスの変化に対し、その周波数特性評価のための操作の影響を小さくするためには、矩形波状に変化させることが好ましい。なお、評価のための一連の操作において、波形変化を2回以上行なう場合には、変化させる波形は階段状波及び矩形波状のいずれか一方のみを行うようにしても良く、両者を組み合わせて(例えば交互に)行なうようにしてもよい。
また、波形変化をさせる際に、電流と電圧とのいずれを変化させるかは任意である。通常、電力貯蔵供給デバイスは定電流で充放電を行なうことが多いが、このように定電流で操作する場合は、波形変化として電流を変化させることが一般的に望ましい。一方、定電圧で操作する場合は、波形変化として電圧を変化させることが一般的に望ましい。また、評価中の電流及び電圧の測定において、通常は、電流の測定精度が高い場合は波形変化として電圧を変化させるほうが得られる内部インピーダンスの周波数特性の精度が上がり、電圧の測定精度が高い場合は波形変化として電流を変化させるほうが得られる内部インピーダンスの周波数特性の精度が上がる。なお、一連の評価において、電流及び電圧のいずれか一方のみを変化させるようにしても良く、両者を組み合わせて(例えば交互に)変化させるようにしても良い。
また、正及び負(即ち、電流及び電圧を加えるか、差し引くか)のどちらに変化させるかも任意である。なお、一連の評価において、正及び負のいずれか一方の方向のみに変化させるようにしても良く、正及び負の方向を組み合わせて(例えば交互に)変化させるようにしても良い。
さらに、電流又は電圧を変化させる場合、変化の回数に制限はなく1以上であれば任意の回数だけ変化さえればよいが、周波数特性評価結果の信頼性を高める観点から、通常は、2回以上が望ましい。また、それに加えて周波数特性の時間推移を評価するためには、適当な時間間隔を置いて波形を変化させることが望ましい。
また、変化の大きさにも制限はなく、周波数特性を評価しようとする実際の環境等に応じて任意に選択すればよい。
ただし、矩形波状に変化をさせる場合には、基底とする充放電(即ち、波形を変化させない状態の充放電)によって電力貯蔵供給デバイスに出入りする電流容量に対し、矩形波状に波形を変化させたことによる電流容量の変化の割合が、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下とすることが望ましい。これは、充放電中の内部インピーダンスの周波数特性の推移を評価するような場合、できるだけ、評価しようとしている電力貯蔵供給デバイスの状態を変化させないようにすることが好ましいためである。
一方、階段状に変化させる場合には、基底とする充放電によって電力貯蔵供給デバイスに出入りする電流容量に対し、階段状に波形を変化させたことによる、階段形状の全段の電流容量の変化の割合が、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下とすることが望ましい。また、基底とする充放電によって電力貯蔵供給デバイスに出入りする電流容量に対し、階段状に波形を変化させたことによる、階段形状の各段それぞれの電流容量の変化の割合は、通常5%以下、好ましくは2.5%以下、より好ましくは0.5%以下とすることが望ましい。これは、矩形波の場合と同様、充放電中の内部インピーダンスの周波数特性の推移を評価するような場合、できるだけ、評価しようとしている電力貯蔵供給デバイスの状態を変化させないようにすることが好ましいためである。
さらに、1回の変化の期間(即ち、図5〜図8の期間T1〜T8など)それぞれの長さも任意であり、電力貯蔵供給デバイスの種類などに応じて適宜設定することができる。
ただし、矩形波状に変化させる場合、変化の期間は、通常10μs以上、好ましくは100μs以上、より好ましくは1000μs以上、また、通常1000s以下、好ましくは100s以下、より好ましくは10s以下が望ましい。これは、通常の化学電池等の電力貯蔵供給デバイスでは1kHz〜0.001Hzあたりに特徴的な内部インピーダンスの周波数特性が出やすいことと、1回の変化の期間が長すぎると電力貯蔵供給デバイス内部の状態(リチウム濃度、温度など)が基底の充放電だけの状態(波形を変化させていない状態)から乖離してしまう虞があることとの兼ね合いのためである。
一方、階段状に変化させる場合、変化の期間は、階段状の各段の期間として、通常10μs以上、好ましくは100μs以上、より好ましくは1000μs以上、また、通常500s以下、好ましくは50s以下、より好ましくは5s以下が望ましい。これも、通常の化学電池等の電力貯蔵供給デバイスでは1kHz〜0.001Hzあたりに特徴的な内部インピーダンスの周波数特性が出やすいことと、1回の変化の期間が長すぎると電力貯蔵供給デバイス内部の状態(リチウム濃度、温度など)が基底の充放電だけの状態(波形を変化させていない状態)から乖離してしまう虞があることとの兼ね合いのためである。
なお、電流又は電圧を2回以上変化させる場合には、各変化の期間は一定であっても良く、異なっていても良い。
また、特に階段状に変化させる場合、ひとつの階段状波内の各段の大きさも、一定であっても良く、異なっていても良い。
さらに、階段状に波形を変化させる場合、波形の変化を順に大きくするように変化させても良く、順に小さくするように変化させても良い。
また、階段状に波形を変化させる場合、ひとつの階段状波内の段の数は任意であるが、通常2以上、好ましくは3以上、また、通常50以下、好ましくは20以下が望ましい。
さらに、本実施形態の第1過程において、電流値と電圧値とのいずれを測定するかは、第2過程で行なう演算に応じて適当に選択すればよい。したがって、電流を矩形波状又は階段状に変化させた場合には少なくとも電圧を測定するようにすれば良く、電圧を矩形波状又は階段状に変化させた場合には少なくとも電流を測定するようにすれば良い。これは、電流や電圧を矩形波状又は階段状に変化させる際には、変化させたときの電流や電圧の設定値を周波数特性の評価に用いることができるためである。もちろん、電流値及び電圧値の両方を測定するようにしてもよい。この場合、周波数特性の評価結果の精度や信頼性をより高めることができる。
また、電流値や電圧値は、所定時間間隔で測定するが、この所定時間は、第1実施形態と同様に、周波数特性の評価ができる限り任意である。
さらに、測定開始から測定終了までの間に測定する測定データ点数に制限はなく、第1実施形態と同様に、周波数特性の評価ができる限り任意である。
また、測定開始から測定終了までの総測定時間も、第1実施形態と同様に、制限なく任意である。
さらに、測定する電流値や電圧値の精度は、第1実施形態と同様、高いほど好ましい。
[2.第2過程]
第2過程では、電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する。なお、第1実施形態と同様に、第1過程において測定した一部の時点の測定結果についてだけ上記の演算を行なうようにしてもよいが、周波数特性評価の精度を高める観点からは、測定した全ての時点の測定結果から上記演算を行なうことが好ましい。
上記のように、充放電開始後に電流及び電圧の一方を変化させた際の各時点における、電流及び電圧の他方の大きさ(電流値又は電圧値)は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスを反映した挙動を示す。したがって、第1過程で測定した電流値及び電圧値の時間挙動を解析すれば、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
具体的には、例えば、第1実施形態で説明した式(1)〜式(10)を用い、第1実施形態と同様に演算を行なうことができる。即ち、式(1)〜式(10)を用いれば、電力貯蔵供給デバイスに電流又は電圧の印加を開始した後に電流及び電圧の一方を変化させ、この変化させた際の他方の値(電流値又は電圧値)の変化を用いて、波形変化を開始した時点からの経過時間に対する抵抗値R及び静電容量Cの変化が得られ、さらに、この抵抗値R及び静電容量Cの値より波形変化を開始した時点からの経過時間に対するインピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryの変化が得られる。
ただし、本実施形態では、式(6)〜式(10)において、電流又は電圧印加後の電圧変化ΔE及び電流変化ΔIは、具体的には、基底となっている電圧及び電流からの電圧変化及び電流変化を表わす。例えば、電流の波形を矩形波状又は階段状に変化させた場合には、電圧変化ΔEは電流を矩形状又は階段状に変化させる直前からの電圧変化を表わし、電流変化ΔIは、充放電中に波形を変化させた期間の、当該矩形波状又は階段状の電流値(つまり、基底となっている電流と、矩形波状又は階段状に変化させられたパルス負荷時の電流値との差)を表わす。また、例えば、電圧の波形を矩形波状又は階段状に変化させた場合には、電流変化ΔIは電圧を矩形状又は階段状に変化させる直前からの電流変化を表わし、電圧変化ΔEは、充放電中に波形を変化させた期間の、当該矩形波状又は階段状の電圧値(つまり、基底となっている電圧と、矩形波状又は階段状に変化させられたパルス負荷時の電圧値との差)を表わす。
さらに、本実施形態では、式(6)〜式(9)において、tは電流又は電圧の波形を矩形波状又は階段状に変化させた開始時点からの経過時間を表わす。
また、本実施形態においても、第1過程で充放電を行なう際に、電力貯蔵供給デバイスに直流の電流又は電圧を印加することにより充放電を行なっているので、第1実施形態と同様に、波形変化を開始した時点、即ち、波形を変化させ始めた時点からの経過時間tに対する実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryの変化の関係を、交流の電流又は電圧を印加した際の交流の角速度ωに対する実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryの変化の関係に変換するには、印加開始後の時間tの逆数1/tを角速度ωと見なせば良い。また、角速度ωは、さらに必要に応じて周波数に変えることもできる。
このように、第2過程においては、例えば上述した式(1)〜式(10)を用いて、具体的に波形変化を開始した時点からの経過時間に対する上記抵抗値R及び上記静電容量Cの推移を得る。即ち、第1過程において電流又は電圧を測定した時点等の、サンプリングした各時点における上記抵抗値R及び上記静電容量Cを求める。このとき、上記の式(1)〜式(10)の使い方には種々の組み合わせが考えられるが、各時点における上記抵抗値R及び上記静電容量Cを求めることができる限りその使い方は任意である。具体的には、例えば、ΔIを波形変化を開始する直前からの電流変化とし、ΔEを波形変化を開始する直前からの電圧変化として、第1実施形態で上述した算出法1〜算出法4と同様の操作により波形変化をさせている期間の各時点における上記の抵抗値R(第1パラメータ)及び静電容量C(第2パラメータ)を求めることにより、内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryが得られる。
即ち、算出法1では、第1過程において、電流を矩形波状又は階段状に変化させ、変化させた期間の電圧値を測定する。そして、測定した電圧値に対して式(8)を用いて上記抵抗値R及び上記静電容量Cを求める。
また、算出法2では、第1過程において、電流を矩形波状又は階段状に変化させ、変化させた期間の電圧値を測定する。そして、測定した電圧値に対して式(8)を用いて上記抵抗値Rを求め、さらに、式(5)及び式(10)を用いて上記静電容量Cを求める。
さらに、算出法3では、第1過程において、電流を矩形波状又は階段状に変化させ、変化させた期間の電圧値を測定する。そして、測定した電圧値に対して式(8)を用いて上記静電容量Cを求め、さらに、式(5)及び式(10)を用いて上記抵抗値Rを求める。
また、算出法4では、第1過程において、電流及び電圧の一方を矩形波状又は階段状に変化させ、変化させた期間の電流及び電圧の他方の値を測定する。そして、式(7)を用いて抵抗値Rを静電容量Cの関数として得た後、式(5)及び式(10)を用いて静電容量Cを求めて、更に式(7)を用いて抵抗値Rを求める。
さらに、上記のように、算出法1〜算出法4では、波形変化を開始した時点からの経過時間tの逆数1/tを角速度ωとする。
ただし、第1実施形態とは異なり、本実施形態の周波数評価方法ではパルス電流又はパルス電圧を印加してベースライン(即ち、波形を変化させない状態の電流及び電圧の波形)から波形を変化させたときの応答を用いるため、電流や電圧のベースラインが変化することを考慮して、電圧変化ΔE及び電流変化ΔIを算出する際に、そのベースラインの変化を考慮した補正を行なうと、周波数特性評価の精度をより高めることができ、好ましい。具体的には、電圧変化ΔE及び電流変化ΔIを算出する際に、上記のベースラインの変化量を差し引くことが好ましい。
[3.第3過程]
第3過程では、第1実施形態と同様に、上記第1のパラメータ(即ち、抵抗値R)及び第2のパラメータ(即ち、静電容量C)を用いて、上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する。具体的には、第2過程で求めた上記抵抗値R及び上記静電容量Cの値により、上記式(2)及び上記式(3)を用いて各時点tにおける内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryを得て、その実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryに対してナイキストプロットを行なう。
以上のようにして、本実施形態の周波数特性評価方法が目的としていた電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を、上記のような曲線として得ることができる。
また、第1実施形態と同様に、得られた周波数特性を表わす曲線から、常法を用いて、上記曲線に対する上記抵抗成分の抵抗値Rや上記キャパシタの静電容量Cを求めることも可能であり、リチウム電池のセパレータ部や端子部などの抵抗値、並びに、電荷移動反応の抵抗値や固液界面での電気二重層容量などが得られることも同様である。
[4.測定装置]
上述したような本実施形態の周波数特性評価方法は、全てを人の手により行なうようにしてもよいが、その操作の一部又は全部を、何らかの装置を用いて行なうようにすることが好ましい。例えば、図9に示すような周波数特性評価装置によって行なうこともできる。
図9に示す周波数特性評価装置は、第1実施形態で説明した周波数特性評価装置にパルス印加部9を備えさせたもので、充放電部1と、測定部2と、計算部3と、パルス印加部9とを備えていて、さらに、計算部3は、記憶部4と、測定値取込部5と、演算部6と、周波数特性評価部7と、制御部8とを備えている。なお、図9において、図4と同じ符号で示す部分は図4と同様のものを表わし、さらに、データの動きは実線の矢印で示し、また、制御部8の制御信号は破線の矢印で示してある。
充放電部1は、第1実施形態の周波数特性評価装置と同様のものである。
また、パルス印加部9は、充放電部1が充放電を開始した後、電流又は電圧にパルス電流又はパルス電圧を印加して、電流及び電圧の一方の波形を階段状又は矩形波状に変化させるものである。印加するパルスの回数、大きさ、印加する時間、変化させる波形、電流及び電圧のどちらに印加するかなどは、適宜設定できるようになっている。
また、測定部2は、第1実施形態の周波数特性評価装置と同様のものであり、充放電部1により電力貯蔵供給デバイス100が充放電を開始させられた後、測定制御部(図示省略)の制御に従って、上記充放電開始後に波形を変化させた期間(即ち、電流及び電圧の一方の波形を変化させている期間)の電流又は電圧を所定時間間隔で測定するものである。したがって、パルス印加部9によって電流又は電圧の波形が変化させられた期間の電流値及び電圧値についても、所定時間間隔で測定できるようになっている。なお、本実施形態の測定部2も、第1実施形態と同様に、電流値又は電圧値を常時測定するようにしても良く、その場合、測定値取込部5が測定した電流値又は電圧値の中から波形を変化させた期間の所定時間間隔の各時点の測定データを取り込むようにすれば良い。
さらに、記録部4、測定値取込部5、演算部6、周波数特性評価部7及び制御部8は、周波数特性評価のために充放電開始後にパルス印加部9が電流又は電圧の波形を変化させた期間の測定結果を用いるようになっている他は、いずれも第1実施形態同様になっている。したがって、測定部2(即ち、電流値測定部21及び電圧値測定部22)から送られてきた、パルス印加部9が電流又は電圧の波形を変化させた期間の各時点における電流値及び電圧値は、記録部4に記録され、その電流値及び電圧値は、制御部8の制御により、測定値取込部5(即ち、電流値取込部51及び電圧値取込部52)に取り込まれて演算部6に送られるようになっている。また、演算部6(即ち、第1パラメータ演算部61及び第2パラメータ演算部62)は、制御部8の制御により、送られてきた電流値及び電圧値から第1パラメータ(即ち、上記抵抗値R)と第2パラメータ(即ち、上記静電容量C)とを演算し、周波数特性評価部7に送るようになっている。さらに、周波数特性評価部7は、制御部8の制御により、送られてきた第1及び第2のパラメータから内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryを得て、これらをナイキストプロットして、電力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの周波数特性を評価するようになっている。
本例の周波数特性評価装置は以上のように構成されているので、使用時には、まず、充放電部1及び測定部2を電力貯蔵供給デバイス100に接続し、充放電部1により充放電を開始する。その後、パルス印加部9から電流又は電圧にパルスを印加して、電流及び電圧の一方の波形を階段状又は矩形波状に変化させる。この間、測定部2により充放電開始後の電流値及び電圧値を所定時間間隔で測定するようにする(第1過程)。測定された各時点の電流値及び電圧値は、記憶部4に記憶される。
次に、制御部8は、測定値取込部5を制御して、記憶部4に記憶された各時点における電流値及び電圧値のうち、波形変化をさせている期間の電流値及び電圧値を取り込ませ、演算部6に送らせる。さらに、制御部8は、演算部6を制御して、取り込んだ電流値及び電圧値から各時点それぞれの第1及び第2のパラメータを演算させる(第2過程)。演算結果は、周波数特性評価部7に送られる。
また、制御部8は、周波数特性評価部7を制御して、送られた各時点の第1及び第2のパラメータそれぞれについて内部インピーダンスZの実数成分ZREAL及び虚数成分Zimaginaryを計算させ、それらをナイキストプロットして、電周波数特性を評価させる(第3過程)。これにより、本例の周波数特性評価装置は、力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
なお、得られた評価結果は図示しない出力部から出力するようにしてもよいが、ここでは、記憶部4に保存しておくものとする。
以上のように、ここで例示した本例の周波数特性評価装置を用いれば、第1実施形態の周波数特性評価装置と同様に、速やか且つ簡便に、実際の充放電状態において、電力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの周波数特性を評価することができる。
また、この周波数特性評価装置は、充放電中の電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性の時間推移を簡単に評価することもできる。例えば、電力貯蔵供給デバイスに高電流で過充電をしているような場合、具体例としては、過電圧が大きく、且つ、電力貯蔵供給デバイスが徐々に壊れていくような場合に、上記周波数特性の時間推移を評価しようとする際には、本実施形態の周波数特性評価装置は、非常に有効である。なお、充放電開始直後に電流値又は電圧値が比較的変化が小さい状態の電力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの周波数特性を評価する場合にも本例の周波数特性評価装置は用いて好適である。
ただし、ここで例示した周波数特性評価装置は、あくまで本実施形態の周波数特性評価方法を実現するための装置の一例であり、この装置は、第1実施形態で説明した周波数特性評価装置と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
また、さらに、例えばパルス印加部9は、充放電部1、測定部2、計算部3などと任意の組み合わせで一体に構成しても良く、また、着脱可能に別体に構成しても良い。なお、パルス印加部9は、例えば、充放電部1と並列に配設された充放電器などにより構成することができる。
さらに、本実施形態の周波数特性評価装置も、第1実施形態の周波数特性評価装置と同様、コンピュータを用いて実現することが可能であり、また、コンピュータに上記周波数特性評価装置の各機能を実現させるためのプログラム(周波数特性評価プログラム)についても、第1実施形態と同様に実現することができる。
[III.第3実施形態]
第1及び第2実施形態で説明したような電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価方法を利用して、電力貯蔵供給デバイスの保護装置を作製することができる。例えば、第1及び第2実施形態で説明した方法により評価した周波数特性に基づき、評価対象である電力貯蔵供給デバイスの性能を評価するデバイス性能評価部と、このデバイス性能評価部での評価結果に基づいて上記電力貯蔵供給デバイスの充放電の制御を行なう充放電制御部とを備えた保護装置によれば、上記のように実際の使用状態に基づいて評価した電力貯蔵供給デバイスの周波数特性により、その充放電を確実に制御することが可能となる。また、上記のデバイス性能評価部は、具体的には、例えば第1又は第2実施形態で説明した周波数特性評価装置で評価された周波数特性(上記の例では、記憶部4に記憶されたもの)に基づいて電力貯蔵供給デバイスの性能を評価するように構成することができる。
保護装置の具体例を挙げると、図10のようなものが挙げられる。図10は、第1実施形態で説明した周波数特性評価装置に、保護装置10を備えさせた構成を表わす。なお、図10において、図4と同様の符号で示す部分は、図4と同様のものを表わす。
保護装置10は、図10に示すように、デバイス性能評価部11と、充放電制御部12とを備えている。なお、保護装置は保護回路を備えていてもよい。
デバイス性能評価部11は、記憶部4に記憶された電力貯蔵供給デバイス100の内部インピーダンスの評価結果を読み込み、この評価結果に基づいて電力貯蔵供給デバイスの性能を評価する部分である。本例では、記憶部4から読み込んだ評価結果から得られる直列抵抗成分Rが、電力貯蔵供給デバイス100の初期の状態或いは正常の状態に対して、所定の倍率の大きさ以上である場合に過充電と判定するようになっている。上記の所定の倍率は、例えば上記第2実施形態の方法で予め過充電時の内部インピーダンスの周波数特性の時間推移を評価しておき、それに基づいて決定することができる。また、直列抵抗成分をある特定の周波数での内部インピーダンスを用いて求めることができる場合は、その周波数における内部インピーダンスを用いて直列抵抗成分を求めるようにしてもよい。ここでは、周波数1000Hzでの内部インピーダンスから得られる直列抵抗成分の値が性常時の3倍以上となった場合に、電力貯蔵供給デバイス100が過充電状態であると判定するようになっているものとするが、この設定は適宜変更しても良い。
また、充放電制御部12は、デバイス性能評価部11の評価結果に基づき、充放電部1の動作を制御する部分である。本例では、デバイス性能評価部11において電力貯蔵供給デバイス100が過充電状態であると判定された場合に、充放電部1を制御して充放電操作を停止するようになっている。
以上のように、周波数特性評価装置に保護装置10を備えるようにすれば、電力貯蔵供給デバイス100が過充電状態になった場合でも、内部インピーダンスの周波数特性に基づいてデバイス性能評価部11が上記の過充電状態を感知し、充放電制御部12が充放電を停止するので、過充電により電力貯蔵供給デバイス100に問題が生じることを防止することができる。
なお、図10の例では周波数特性評価装置として第1実施形態で説明したものを用いたが、第2実施形態で説明したような周波数特性評価装置に上記の保護装置10を適用するようにしても良い。第2実施形態で例示した周波数特性評価装置に上記の保護装置10を適用した場合には、その構成は例えば図11のようになる。なお、図11において図9で用いたのと同様の符号で示す部分は、図9と同様のものを表わす。さらに、保護装置10、デバイス性能評価部11及び充放電制御部12は、図10で説明したものと同様のものである。
以下、実施例を用いて本発明について更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[実施例1]
(1)電流及び電圧の測定
電力貯蔵供給デバイスとして、外装がラミネート樹脂で形成された容量6mAhのリチウムイオン電池(縦85mm、横45mm、厚み0.4mm)を用意した。なお、用いたリチウムイオン電池の組成は、以下の表1のとおりである。
Figure 2006162283
このリチウムイオン電池の電圧を、満充電である4.1Vに調整した。
次に、このリチウムイオン電池に対し、充放電機(KEITHLEY社 ソースメータ2440)を接続し、この充放電機はパーソナルコンピュータに接続した。充放電機の動作の制御並びに電流および電圧の記録は、このパーソナルコンピュータで実施できるよう、プログラムを組んだ。
次に、リチウムイオン電池を恒温槽に入れ、温度30℃に保持した。
続いて、充放電器の放電電流を12mAに設定後、リチウムイオン電池の放電を定電流で開始した。この際、放電の開始から1秒後まで、測定時間間隔0.1msecで電流とリチウムイオン電池の電圧とを測定した(第1過程)。
また、同様の測定を、放電電流を18mAとして同様の測定を行なった(第1過程)。
電圧の測定結果を図12に示す。
(2)内部インピーダンスの解析
図12の測定結果より、前述の算出法1を用いて抵抗値R及び静電容量Cを求め(第2過程)、それからZrealとZimaginaryとを求めてナイキストプロットを行ない、リチウムイオン電池の内部インピーダンスの周波数特性を得た(第3過程)。得られたナイキストプロットを図13に示す。
図13には、実際に高電流で放電を開始した際の内部インピーダンスの示す曲線は、放電の進行にともなって過電圧が増加することの影響を受け、半円状から大きくひずんでいることが示されている。また、電流が大きいほうが、過電圧が大きいため、その影響で内部インピーダンスがより小さいことが示されている。
[実施例2]
(1)電流及び電圧の測定
電力貯蔵供給デバイスとして、実施例1と同様のリチウムイオン電池を用意し、電圧を、満充電である4.1Vに調整した。
このリチウムイオン電池に対し、充放電機(KEITHLEY社 ソースメータ2440)2台を並列に接続し、また、この充放電機をパーソナルコンピュータに接続した。充放電機の動作の制御並びに電流および電圧の記録は、このパーソナルコンピュータで実施できるよう、プログラムを組んだ。ここで、パーソナルコンピュータは、充放電機の1台(充放電機A)が42mAの定電流でリチウムイオン電池に充電を行ない、さらに、もう一台(充放電機B:パルス印加部)が約20秒ごとに12mAで1秒間幅の充電を行なってリチウムイオン電池を流れる電流の波形を矩形波状に変化させるように制御を行なうようにした。
次いで、リチウムイオン電池を恒温槽に入れ、温度30℃に保持した。
続いて、充放電機Aの電流の設定を42mAに設定後、リチウムイオン電池の過充電を開始した。充放電機Aによる充電を継続した状態で、約20秒おきに1秒間だけ充放電機Bによって12mAの充電電流を加え、電流の波形を矩形波状に変化させた。この際、測定時間間隔0.1msecで電流とリチウムイオン電池の電圧とを測定した(第1過程)。充放電機Bにより電流の波形を矩形波状に変化させた期間に測定された電圧の測定結果のうち、充放電機Aによる充放電開始後20秒、74秒及び634秒後から波形を変化させた期間での測定結果を図14に示す。
(2)内部インピーダンスの解析
図14の測定結果より、前述の算出法1を用いて抵抗値R及び静電容量Cを求め(第2過程)、それからZrealとZimaginaryとを求めてナイキストプロットを行ない、リチウムイオン電池の内部インピーダンスの周波数特性を得た(第3過程)。得られたナイキストプロットを図15に示す。
過充電時においてはリチウムイオン電池内部は不安定で時間とともに変化していくが、本実施例の方法では従来方法のように過充電を停止することなく、過充電中開始後の内部インピーダンスの周波数特性の時間推移を評価することができる。例えば、図15を見てわかるように、過充電開始直後は内部インピーダンスの変化は小さいが、過充電開始後に時間が長く経過すると、著しく内部インピーダンスが大きくなっていることがわかる。
本発明は、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの評価方法に関する。こうした内部インピーダンスの評価は、例えば、リチウムイオン電池などにおいて充電や放電における電流負荷の限界を評価するための手法や、その内部や外部に短絡が生じた際の、電池内の温度分布を、特定の過程を経て計算機シミュレーションし、精度よく評価する手法などに応用できる。また、リチウムイオン電池の過充電時や高温下への暴露時などのように、電池の内部インピーダンスが安定せず時間とともに急速に変化するような場合の内部インピーダンスの評価にも適する。
本発明の第1及び第2実施形態について説明するもので、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスを表わす、抵抗とキャパシタとの直列接続により構成される等価回路の図である。 本発明の第1実施形態について説明するもので、(a)〜(c)はいずれも、第1過程において定電流で放電を行なった場合の電圧の測定値をプロットした曲線の一例として示すグラフである。 本発明の第1及び第2実施形態について説明するもので、横軸を実数成分ZREALとし、縦軸を虚数成分Zimaginaryとしたナイキストプロットの一例である。 本発明の第1実施形態としての周波数特性評価装置を表わすブロック図である。 本発明の第2実施形態の第1過程における電流値及び電圧値を説明するためのグラフである。 本発明の第2実施形態の第1過程における電流値及び電圧値を説明するためのグラフである。 本発明の第2実施形態の第1過程における電流値及び電圧値を説明するためのグラフである。 本発明の第2実施形態の第1過程における電流値及び電圧値を説明するためのグラフである。 本発明の第2実施形態としての周波数特性評価装置を表わすブロック図である。 本発明の第3実施形態としての保護装置について説明するためのブロック図である。 本発明の第3実施形態としての保護装置の変形例について説明するためのブロック図である。 本発明の実施例1で測定したリチウムイオン電池の電圧の時間変化を表わすグラフである。 本発明の実施例1で得られたリチウムイオン電池の内部インピーダンスの周波数特性を表わすナイキストプロットである。 本発明の実施例2で測定したリチウムイオン電池の電圧の時間変化を表わすグラフである。 本発明の実施例2で得られたリチウムイオン電池の内部インピーダンスの周波数特性を表わすナイキストプロットである。
符号の説明
1 充放電部
2 測定部
3 計算部
4 記憶部
5 測定値取込部
6 演算部
7 周波数特性評価部
8 制御部
9 パルス印加部
10 保護装置
11 デバイス性能評価部
12 充放電制御部
21 電流値測定部
22 電圧値測定部
31 主要計算部
51 電流値取込部
52 電圧値取込部
61 第1パラメータ演算部
62 第2パラメータ演算部

Claims (8)

  1. 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価方法であって、
    上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、上記の充電又は放電を開始した後の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する第1過程と、
    各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2過程と、
    上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する第3過程とを備える
    ことを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価方法。
  2. 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価方法であって、
    上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、少なくとも1回上記の充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を階段状又は矩形波状に変化させた際に、電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定する第1過程と、
    電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値又は電圧値の変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータ、及び、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2過程と、
    上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する第3過程とを備える
    ことを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価方法。
  3. 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、
    上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行なう充放電部と、
    電流値又は電圧値を測定しうる測定部と、
    上記の充電又は放電を開始した後の電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定するように該測定部を制御する測定制御部と、
    各時点における上記電流値又は電圧値に基づいて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する計算部とを備える
    ことを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置。
  4. 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、
    上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行なう充放電部と、
    少なくとも1回以上、該充電部が充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を階段状又は矩形波状に変化させるパルス印加部と、
    電流値又は電圧値を測定しうる測定部と、
    上記の電流又は電圧を変化させた際に、電流値又は電圧値を所定時間間隔で測定するように該測定部を制御する測定制御部と、
    電流又は電圧を変化させた際の各時点における上記電流値及び電圧値に基づいて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する計算部とを備える
    ことを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置。
  5. 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、
    上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行なったときの、上記の充電又は放電を開始した後の所定時間間隔の電流値又は電圧値を取り込む測定値取込部と、
    取り込んだ上記電流値又は電圧値の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータを演算する第1パラメータ演算部と、
    取り込んだ上記電流値又は電圧値の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを上記等価回路で表わした場合に、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2パラメータ演算部と、
    上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価部とを備える
    ことを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置。
  6. 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価装置であって、
    上記電力貯蔵供給デバイスに対して充電又は放電を行ない、少なくとも1回上記の充電又は放電を開始した後の電流又は電圧を階段状又は矩形波状に変化させた際の、所定時間間隔の電流値又は電圧値を取り込む測定値取込部と、
    取り込んだ上記電流値又は電圧値の、電流又は電圧を変化させた際の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを、周波数に応じて抵抗値が変化する抵抗成分と、周波数に応じて静電容量値が変化するキャパシタ成分とからなる等価回路で表わした場合に、上記抵抗成分の抵抗値に相当する第1パラメータを演算する第1パラメータ演算部と、
    取り込んだ上記電流値又は電圧値の、電流又は電圧を変化させた際の各時点における変化を用い、上記電力貯蔵供給デバイスを上記等価回路で表わした場合に、上記キャパシタ成分の静電容量値に相当する第2パラメータを演算する第2パラメータ演算部と、
    上記第1のパラメータ及び第2のパラメータを用いて上記電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価部とを備える
    ことを特徴とする、電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置。
  7. 電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性を評価する周波数特性評価プログラムであって、
    コンピュータに、請求項5又は請求項6に記載の周波数特性評価装置の各機能を実現させる
    ことを特徴とする、周波数特性評価プログラム。
  8. 請求項5又は請求項6に記載の電力貯蔵供給デバイスの内部インピーダンスの周波数特性評価装置で評価された上記周波数特性に基づき上記電力貯蔵供給デバイスの性能を評価するデバイス性能評価部と、
    該デバイス性能評価部での評価結果に基づいて上記電力貯蔵供給デバイスの充電又は放電の制御を行なう充放電制御部とを備える
    ことを特徴とする、保護装置。
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