JP2006160555A - 液柱式励起酸素発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ性過酸化水溶液流量を増加させることなく、塩素ガス気流と液柱流の接触反応表面積を増大させて、ミストを伴わない励起酸素を効率よく発生する。
【解決手段】ヨウ素レーザー装置用の液柱式励起酸素発生装置において、アルカリ性過酸化水素水溶液を、複数の液柱ノズル2から鉛直下方に噴出して、液柱流5を形成する。これと塩素ガス気流とを反応させる。ガス供給口10と液柱流5との間に、1Torr以上760Torr以下の圧力損失を発生させるガス整流器13を設ける。ガス排出口14側の側壁と液柱流5との間に、0.1mm以上100mm以下の間隔の整流補助空間15を設ける。これにより、液柱流5群中を通過するガス流速の鉛直方向空間分布が、最大1000mmにわたって均一化される。その結果、ガス気流と接触可能な液柱流5の長さが、最大1000mm程度確保でき、ガス気流と液柱流5の接触表面積が増大する。
【選択図】図1
【解決手段】ヨウ素レーザー装置用の液柱式励起酸素発生装置において、アルカリ性過酸化水素水溶液を、複数の液柱ノズル2から鉛直下方に噴出して、液柱流5を形成する。これと塩素ガス気流とを反応させる。ガス供給口10と液柱流5との間に、1Torr以上760Torr以下の圧力損失を発生させるガス整流器13を設ける。ガス排出口14側の側壁と液柱流5との間に、0.1mm以上100mm以下の間隔の整流補助空間15を設ける。これにより、液柱流5群中を通過するガス流速の鉛直方向空間分布が、最大1000mmにわたって均一化される。その結果、ガス気流と接触可能な液柱流5の長さが、最大1000mm程度確保でき、ガス気流と液柱流5の接触表面積が増大する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヨウ素レーザー装置に用いられる一重項電子励起状態酸素を発生するための液柱式励起酸素発生装置に関し、特に、アルカリ性過酸化水素水溶液の液柱流と塩素ガスの気流を反応させる液柱式励起酸素発生装置に関する。
レーザー装置のうちの化学レーザー装置は、化学反応のエネルギーによりレーザー発振する装置である。利用する化学反応により、様々なレーザー装置がある。その中で、ヨウ素レーザー装置は、ヨウ素原子が電子励起状態酸素からエネルギーを受け取ってレーザー発振を行う装置である。ヨウ素レーザー装置では、電子励起状態酸素を発生するために、気液反応を利用する。アルカリ性過酸化水素溶液と塩素ガスを反応させて、電子励起状態酸素を発生する。励起酸素がヨウ素原子を励起し、励起したヨウ素原子が基底状態に戻ることにより、レーザー発振が起こる。従来のヨウ素レーザー装置の例としては、次のようなものがある。
特許文献1に開示された「ヨウ素レーザー発生装置」は、ヨウ素原子を直接に励起酸素雰囲気中に供給することによって、励起酸素のエネルギーをできるだけ有効にヨウ素励起に用いるようにしたヨウ素レーザー発生装置である。ヨウ素気化器で、固体または液体状のヨウ素から気化したヨウ素分子を、不活性ガスで搬送してヨウ素分子流を生成する。この下流の高周波放電器で、ヨウ素分子流に高周波電場あるいはマイクロ波電場を作用させて、ヨウ素原子を解離する。さらに下流のヨウ素インジェクターで、ヨウ素原子を励起酸素雰囲気に混入して、励起ヨウ素原子を生成する。レーザー共振器において、励起ヨウ素原子がエネルギーを放出して、レーザー光を発生する。
特許文献2に開示された「化学レーザー装置」は、圧力が低い励起酸素などの作動ガスを、必要な作動圧力までポンプで効率よく加圧して、共振空洞へ供給する化学励起酸素−ヨウ素レーザー装置である。励起酸素発生器で、励起酸素を発生する。ヨウ素ガス発生器で、ヨウ素ガスを発生する。混合手段で、励起酸素とヨウ素ガスを混合する。メッシュで、混合ガスに衝撃波を発生させる。メッシュを通過した混合ガスを、ターボ・ブロアで加圧する。ターボ・ブロアで加圧された混合ガスを、加圧ポンプで加圧して共振器へ供給する。励起酸素とヨウ素ガスからなる混合ガスで、レーザー光線を発生する。
特許文献3に開示された「ヨウ素レーザー装置」は、出力が高く、小型で運転コストの低いヨウ素レーザー装置である。レーザー共振器の前後における反応ガスの圧力を、反応ガスダクトで、概ね一定の圧力に維持する。励起酸素発生器から出力される励起酸素の圧力を、10Torr以上に維持することにより、反応ガスの最大流速を、音速の1/2程度とする。レーザー光の出力に寄与した反応ガスを、高圧のまま排気する。小型で軽量のターボブロワ装置が利用でき、装置を小型化できる。また、反応ガスに利用されるバッファガスの量とヨウ素ガスも低減され、ランニングコストを抑制できる。
特許文献4に開示された「ヨウ素レーザー装置」は、レーザー出力を高めたものである。励起状態の酸素分子を生成する。励起状態の酸素分子を含む第1の流れを形成する。第1の流れを、レーザー共振器に向けて、第1の噴射口から噴射させる。ヨウ素分子をヨウ素原子に解離させ、ヨウ素原子を含む第2の流れを形成する。第2の流れを、レーザー共振器に向けて、第2の噴射口から噴射させる。第1の流れと第2の流れとが出会って混合する。混合を開始する点において、第1の流れと第2の流れとに流速差を持たせる。レーザー共振器よりも上流側で、流速差により衝撃波を生じさせ、励起酸素と解離ヨウ素との混合を促進させる。
ヨウ素レーザー装置に用いる気液反応装置として、上側貯留槽から多数の小孔を有するノズルプレートを介して反応液を垂下させ、これに対して反応ガスを噴出させて接触反応させる酸素発生器がある。液柱式励起酸素装置では、反応容器上面に取り付けられた複数のノズルから、アルカリ性過酸化水素水溶液(BHP溶液)を鉛直下方に噴出することで、液柱流を形成する。液柱流と交差または対向する方向に塩素ガスを流して化学反応させ、一重項電子励起状態酸素(励起酸素)を生成する。このようにして生成された励起酸素には、液柱流から飛散するBHPのミストや、ミストから蒸発する反応溶液蒸気が伴っている。これらのミストや蒸気はレーザー発振の障害になり、レーザーの動作効率を低下させる。そのため、ミストや蒸気の発生を抑制するか除去する必要がある。図5に、液柱式励起酸素発生器の従来例の断面図を示す。以下に、従来の励起酸素発生器の例をいくつかあげる。
特許文献5に開示された「気液反応装置」は、ヨウ素レーザーの励起酸素発生装置に用いるアルカリ性過酸化水素溶液の表面積を増大させて、反応効率を向上させるものである。気液反応器と気体供給部があり、供給液保有部に、液噴出ノズルとピストン機構がある。ピストン機構の高周波数の往復動により、供給液保有部の容積を変化させて、供給液を液噴射ノズルから気液反応器中に噴出させて粒状とする。気液反応器中で、粒状の供給液と、気体供給部から供給される供給気体とを気液接触させる。特に、塩素ガスまたは塩素混合ガスを供給気体とし、アルカリ性過酸化水素水溶液を供給液として、励起酸素を生成する。液噴射ノズルの径は、0.1mmから1.0mmである。ピストン機構の駆動周波数は、1kHzから20kHzの範囲内である。
特許文献6に開示された「気液反応装置」は、ヨウ素レーザー発生装置に用いる電子励起状態酸素を発生するためアルカリ性過酸化水素溶液と塩素ガスを反応させるジェット式気液反応における起状態酸素ガス中の水分を抑えることができる気液反応装置である。溶液を複数のノズルから吹きだしてジェット流を形成し、これと横断するガス気流と反応させる。溶液物性とノズル径とジェット流速度で表現される調整係数を調整することにより、少なくともガス気流が強い部分におけるジェット流の形状を滑らかな円筒状にして、ガス流に伴うミストを減少させる。
特許文献7に開示された「化学励起ヨウ素レーザー装置」は、励起酸素の発生効率を改善したものである。励起酸素発生器の貯留室は隔壁によって仕切られており、過酸化水素水とアルカリとの混合液を貯留する。貯留室より反応室へ導入された混合液を、電極により帯電させる。反応室へ導入された混合液を霧散させ、反応室の導電性内壁に付着させて、回収する。励起酸素発生器で発生した励起酸素に、ヨウ素ガス混合器でヨウ素ガスを混合する。ヨウ素ガスを混合した励起酸素を導入する活性領域に、レーザー発振部を配置する。
特許文献8に開示された「化学励起ヨウ素レーザー装置」は、励起酸素の発生効率を改善したものである。励起酸素発生器の反応室に、塩素ガスを供給する。反応室内へ、過酸化水素水とアルカリとの混合液を、噴霧ノズルで微細化して供給する。反応室において、過酸化水素水とアルカリとの混合液を、塩素ガスと反応させて、励起酸素を発生させる。噴霧ノズルと反応室の壁面との間に、直流電源より電圧を印加して、微細化された混合液を帯電させる。反応が終わった液滴を、反応室の壁面に付着させて、レーザー発振部への流入を防止する。励起酸素発生器で発生した励起酸素に、ヨウ素ガス混合器でヨウ素ガスを混合する。ヨウ素ガスを混合した励起酸素を導入する活性領域に、レーザー発振部を配置する。
特開平11-103107号公報
特開平11-233860号公報
特開2000-068576号公報
特開2001-358390号公報
特開平09-215918号公報
特開平11-197499号公報
特開2000-332328号公報
特開2001-332790号公報
しかし、従来の液柱式励起酸素発生装置では、以下のような問題がある。液柱表面を滑らかな状態を保つことができれば、ミストの発生を減らすことができる。このような液柱の長さは、およそ100mm程度である。このため、従来方式の液柱式気液反応装置では、液柱表面が反応に利用できる有効長さは、およそ100mm程度が限界であった。利用可能な液柱長さが100mm程度に限られる従来方式の液柱式励起酸素発生装置では、ガス生成量を増大させたい場合、投入反応ガス増加量に比例して、BHP液柱本数を増大させるか、もしくは液柱直径を大きくして表面積を増大させるかしかない。このため、必要なBHP流量は、投入塩素ガス流量またはその二乗に比例して増大してしまい、その結果、BHP貯蔵量、BHP循環ポンプのサイズ、反応容器底面積のいずれかまたは全てが大きくなり、装置全体の占有スペースが増大するなどの不利益がある。
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、ミストの影響で100mm程度に制限されていた従来の利用可能液柱長さを、最大1000mm程度まで拡大しても、ガス流に伴うミストの量を許容できる範囲に留めることである。すなわち、より大きな接触反応総表面積を有する液柱式励起酸素発生装置を、BHP流量の増加を伴うことなく実現することである。
上記の課題を解決するために、本発明では、液柱式励起酸素発生装置に、塩素含有ガスの流速の鉛直方向分布を10mm以上1000mm以下の距離にわたって均一化する整流手段を、ガス供給室と反応室との間に設けた。具体的には、塩素ガス供給口とBHP液柱との間に、ガス流断面方向のほぼ全面にわたって均一な、1Torr以上760Torr以下の圧力損失を発生させるガス整流器を設けた。さらに、液柱式励起酸素発生装置のガス流方向最下流に位置するBHP液柱を、励起酸素ガス排出口側の側壁から、0.1mm以上100mm以下の間隔をおいた構成とした。
上記のように構成したことにより、供給塩素ガスの鉛直方向の流速分布は、十分に均一化される。さらに、ガスの流線ベクトルが反応領域内ではほぼ全て水平方向になるように、ガス流が整流される。その結果、ガス流に伴うミストの量を増加させることなく、利用可能なBHP液柱長を、従来の約100mm程度から最大1000mm程度まで拡大できる。液滴流部分を含む液柱長さの100mm以上1000mm以下の範囲を利用することで、反応容器底面積を大きくする必要がなく、液貯蔵量や液循環量を多くする必要もない。したがって、本発明の液柱式励起酸素発生装置は、液柱長さにして100mm以下の範囲しか反応に利用していなかった従来方式の液柱式励起酸素発生装置に比べ、生成ガス量を増加できる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施例1は、ガス整流器で塩素ガス流の圧力損失を発生させて、塩素ガス流速の鉛直方向分布を均一化し、アルカリ性過酸化水素水溶液を複数のノズルから鉛直下方に噴出して、ガス排出口側の側壁との間隔をあけて液柱流を形成し、液柱流を横断するように塩素ガスを流して、アルカリ性過酸化水素水溶液と反応させる液柱式励起酸素発生装置である。
図1は、本発明の実施例1における液柱式励起酸素発生装置の縦断面図である。液柱式励起酸素発生器は、その本体天井部に、アルカリ性過酸化水素水溶液(BHP)を充填する溶液貯蔵槽1を備えている。溶液貯蔵槽1の底板には、BHP溶液を噴出するための液柱ノズル2が多数設けられた液柱ノズル板3が備えてある。図1において、溶液貯蔵槽1は、アルカリ性過酸化水素水溶液(BHP溶液)を貯える槽である。液柱ノズル2は、BHP溶液を噴出するためのノズルである。液柱ノズル板3は、液柱ノズルを多数設けた板である。反応室4は、塩素ガスとBHP溶液を反応させる空間である。液柱流5は、BHP溶液の液柱である。液滴流6は、BHP溶液の液滴である。BHP液面維持板7は、BHP液面の高さを適当な位置に保つための板である。
ポンプ8は、BHP溶液を還流させるためのポンプである。冷却器9は、BHP溶液を冷却する手段である。ガス供給口10は、塩素ガスのみ、または塩素ガスと不活性ガスの混合ガスを供給するための入口である。ガス流11は、塩素ガスのみ、または塩素ガスと不活性ガスの混合ガス、またはそれらと励起酸素の混合ガスの流れである。ガス供給室12は、塩素ガスを一次滞留させるための空間である。ガス整流器13は、塩素ガスの流れを整える手段である。ガス排出口14は、励起酸素と塩素ガスの流出口である。整流補助空間15は、ガスの流線ベクトルを水平かつ均一に保つための空間である。
図2は、対照のための参考図であり、整流補助空間が設けられていない励起酸素発生装置の縦断面図である。図3は、励起酸素発生装置で用いる整流器の斜視図である。図3において、第一多孔板16は、ガスの流速を均一に揃えるための板である。第二多孔板17は、ガスの勢いを分散して、ガス流速分布をさらに空間全体にわたって均一化するための板である。
上記のように構成された本発明の実施例1における液柱式励起酸素発生装置の動作を説明する。最初に、図1を参照しながら、液柱式励起酸素発生装置の動作の概要を説明する。BHPを溶液貯蔵槽1に適当な圧力(例えば0.01〜0.3MPa)で充填すると、BHPは、液柱ノズル2より反応室4へと噴出されて、液柱流5を形成する。液柱流5が、その形状を維持できる長さは、溶液粘性、ノズル穴径、貯蔵槽圧力によって決定され、典型的な液柱式励起酸素発生器では、約100mm程度である。したがって、100mmを超えたあたりから、液柱流5は徐々に液滴流6へと崩壊していく。
液滴流6へと変化したBHPは、そのまま反応室4内を下方へと通過していき、その後、BHP液面維持板7に衝突する。BHP液面維持板7には、多数のBHP排出穴が設けてある。これらの穴径および穴数を適当に調節することにより、BHP液面を任意の高さに保つことができる。BHP排出穴を抜けたBHPは、配管を通ってポンプ8で吸引され、再びBHPの溶液貯蔵槽1へ充填される。BHPと塩素の反応は発熱反応であるので、元々摂氏−20度程度だったBHP温度を、摂氏2度ほど上昇させる。これを冷却してBHP温度を一定に保つために、ポンプ8とBHPの溶液貯蔵槽1との間の配管には、冷却器9が設けられている。
反応ガスは、純粋な塩素ガスであるか、または、塩素ガスを不活性ガスで適当な濃度に調整したものである。ガス供給口10からガス供給室12へと供給される。ガス供給室12には、ガス整流器13が備えられている。ガス流の断面方向の流速分布を、反応室4全体にわたって均一化すると同時に、ガスの流線ベクトルを水平方向に揃える役割を持つ。反応室4へと供給された反応ガスは、BHP液柱流と気液接触反応を起し、一重項励起酸素(励起酸素)を発生する。発生した励起酸素は、ガス排出口14を通って励起酸素発生器外部へと排出され、図示していないレーザー共振器へと流れていく。
次に、図1と図2を参照しながら、整流補助空間について説明する。実施例1の液柱式励起酸素発生装置では、ガス排出口14が設けてある側の側壁と、ガス流方向最下流に位置する液柱流との間に、整流補助空間15が設けてある。これにより、反応室4全体にわたって、流線ベクトルを水平かつ均一に保つ。整流補助空間15の幅は、少なくとも0.1mm以上とする必要があり、例えば25mm程度とするのがよい。図2の参考図に示すように、整流補助空間15が設けられていない励起酸素発生装置の場合、ガス流の流線ベクトルは、たとえガス整流器13で整流したとしても、ガス排出口14に向かって収束していってしまう。その結果、反応室4中の下流へ行くほど、ガス流と液柱流5もしくは液滴流6とが接触できる表面積が減少してしまい、励起酸素生産効率が低下する。
次に、図3を参照しながら、ガス整流器13について説明する。ガス整流器13は、少なくとも2枚の多孔板によって構成されている。第一多孔板16の役割は、その上下流に十分な圧力損失を与えることにより、全ての穴から噴出するガスの流速を均一に揃えることである。第二多孔板17の役割は、第一多孔板16より噴出するガスの勢いを分散し、ガス流速分布をさらに空間全体にわたって均一化することにある。ガス供給口10よりガス供給室12へと流れ込む塩素ガスは、第一多孔板16に衝突する。第一多孔板16上には多数の穴が設けてあり、その穴数および穴径を適当に調節することによって、適度な圧力損失を生じさせることができる。
このとき、圧力損失が十分大きければ、第一多孔板16の全ての穴から噴出するガスの流速はほぼ均一となる。典型的な液柱式励起酸素発生器の動作条件において、例えば、100Torr程度の圧力損失を生じさせれば、全空間にわたって十分均一な流速分布を達成することができる。第一多孔板16の穴から噴出するガス流速は、その圧力損失の大きさによっては、100m/s以上、さらには音速以上に達する場合もある。このような高速のガス流を直接反応領域に導入した場合、その動圧が大き過ぎて、液柱流5や液滴流6を、下流のレーザー発振室へ持ち込む危険性がある。第二多孔板17は、このような危険性を回避するために、第一多孔板から噴出するガスの勢いを分散させ、ガス流速の空間分布をさらに均一化する役割を担う。
このため、第二多孔板17上に設けられた穴の位置は、第一多孔板16の穴から噴出するガス流を一度せき止めるために、第一多孔板16とは互い違いになるように設けられている。ちなみに、第一多孔板16と第二多孔板17との距離は、10mmから100mmの範囲であることが望ましい。第二多孔板17に設けられる穴の直径と個数は、第二多孔板17によって生ずる圧力損失が十分小さくなるように調整されるべきであり、例えば、0.2Torr以下程度が望ましい。また、第二多孔板17に設けられる穴の直径と個数は、第二多孔板17から流れ出るガスの流速が十分小さくなるように調整されるべきであり、例えば20m/s以下が望ましい。
このように、反応室4全体にわたって均一なガス流速分布を作り出すことで、BHPミストがガス流に混入することを最小限に食い止めることができる。その結果、液柱流5および液滴流6がガス流と接触する領域を、高さ1000mm程度まで拡大できる。
上記のように、本発明の実施例1では、液柱式励起酸素発生装置を、ガス整流器で塩素ガス流の圧力損失を発生させて、塩素ガス流速の鉛直方向分布を均一化し、アルカリ性過酸化水素水溶液を複数のノズルから鉛直下方に噴出して、ガス排出口側の側壁との間隔をあけて液柱流を形成し、液柱流を横断するように塩素ガスを流して、アルカリ性過酸化水素水溶液と反応させる構成としたので、利用可能なBHP液柱長を拡大でき、簡単な構成の小型の装置で、ミストを伴わない励起酸素を効率的に発生できる。
本発明の実施例2は、アルカリ性過酸化水素水溶液を複数のノズルから鉛直下方に噴出して、ガス排出口側の側壁との間隔をあけて液柱流を形成し、液柱流を横断するように塩素ガスを流して、液柱流自身が作り出す圧力損失を利用して、ガス流速の空間分布を均一化し、アルカリ性過酸化水素水溶液と反応させる液柱式励起酸素発生装置である。
図4は、本発明の実施例2における液柱式励起酸素発生装置の縦断面図である。図4において、ガス整流空間18は、ガス流速の空間分布を反応室全体にわたって均一化するための空間である。実施例2が実施例1と異なるのは、ガス供給室12と反応室4との間にガス整流器が無く、液柱流5自身が作り出す圧力損失を利用して、ガス流速の空間分布を均一化するようにした点のみである。その他の共通の部分については、説明を割愛する。
実施例2における液柱式励起酸素発生装置では、ガス供給室12から流れ込んだ塩素ガスは、そのまま反応室4へと流れ込んでいく。このとき、ガス供給室12側の側壁と液柱流5との間に、0.1mm以上100mm以下のガス整流空間18を設けることによって、ガス流速の空間分布は、反応室4全体にわたって均一化される。この様な状態は、液柱流自身が作り出す圧力損失が整流器の役割を果たすことによって達成される。典型的な液柱式励起酸素発装置では、25mm程度のガス整流空間18を設けることで、ガス流速の鉛直方向空間分布は、およそ1000mmにわたって均一化される。したがって、図4に示すように、実施例2の液柱式励起酸素発装置では、ガス供給室12の高さは、反応室4の高さより低くてよい。その他の点は、実施例1と同様である。
本発明の液柱式励起酸素発生装置は、ヨウ素レーザー装置のために、アルカリ性過酸化水素水溶液の液柱流と塩素ガスの気流を反応させて励起酸素を発生する装置として最適である。
1 溶液貯蔵槽
2 液柱ノズル
3 液柱ノズル板
4 反応室
5 液柱流
6 液滴流
7 BHP液面維持板
8 ポンプ
9 冷却器
10 ガス供給口
11 ガス流
12 ガス供給室
13 ガス整流器
14 ガス排出口
15 整流補助空間
16 第一多孔板
17 第二多孔板
18 ガス整流空間
2 液柱ノズル
3 液柱ノズル板
4 反応室
5 液柱流
6 液滴流
7 BHP液面維持板
8 ポンプ
9 冷却器
10 ガス供給口
11 ガス流
12 ガス供給室
13 ガス整流器
14 ガス排出口
15 整流補助空間
16 第一多孔板
17 第二多孔板
18 ガス整流空間
Claims (10)
- 塩素含有ガスを供給するためのガス供給口を有するガス供給室と、前記ガス供給室から前記塩素含有ガスが供給される反応室と、アルカリ性過酸化水素水溶液を鉛直下方に噴出して前記反応室に液柱流を形成する複数のノズルと、生成した励起酸素を含むガスを排出するガス排出口とを具備し、前記液柱流を横断するように前記塩素含有ガスを流して前記アルカリ性過酸化水素水溶液と反応させて励起酸素を発生する液柱式励起酸素発生装置において、前記塩素含有ガスの流速の鉛直方向分布を10mm以上1000mm以下の距離にわたって均一化する整流手段を、前記ガス供給室と前記反応室との間に設けたことを特徴とする液柱式励起酸素発生装置。
- 前記液柱流と前記ガス排出口の側の側壁との間隔を、0.1mm以上100mm以下としたことを特徴とする請求項1記載の液柱式励起酸素発装置。
- 前記整流手段は、前記ガス供給室と前記液柱流との間において1Torr以上760Torr以下の圧力損失を発生させるガス整流器であることを特徴とする請求項1記載の液柱式励起酸素発生装置。
- 前記ガス整流器は、2枚以上の多孔板の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項3記載の液柱式励起酸素発生装置
- 前記ガス整流器は、隣り合う多孔板の穴位置が互い違いになっていることを特徴とする請求項4記載の液柱式励起酸素発生装置。
- 前記ガス整流器は、前記多孔板の鉛直方向長さが10mm以上1000mm以下であることを特徴とする請求項4記載の液柱式励起酸素発生装置。
- 前記ガス整流器は、ガス流の上流に位置する多孔板によって発生する圧力損失が下流に位置する多孔板の圧力損失よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の液柱式励起酸素発生装置。
- 前記ガス整流器は、ガス流の最下流に位置する多孔板によって発生する圧力損失が1.0Torr以下になるように穴径および穴個数が調整されていることを特徴とする請求項4記載の液柱式励起酸素発生装置。
- 前記ガス整流器は、ガス流の最下流に位置する多孔板から噴出するガスの平均流速が1m/s以上100m/s以下になるように穴径および穴個数が調整されていることを特徴とする請求項4記載の液柱式励起酸素発生装置。
- 前記整流手段として、前記ガス供給口の側の側壁とガス流方向最上流に位置するアルカリ性過酸化水溶液の液柱流との間に0.1mm以上100mm以下の間隔を設けたことを特徴とする請求項1記載の液柱式励起酸素発生器
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2004
- 2004-12-07 JP JP2004353510A patent/JP2006160555A/ja active Pending
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