JP2006159246A - ウィービング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】1台のウィービング装置で直線ウィービングと角度ウィービングの両方の動作により自由度の高い振り方が行え、周波数10Hz以上の高速ウィービングが可能であり、振り幅、周波数、角度ウィービングの場合は角度等を自動で溶接中に変更することができるなどの機能を備えた高機能な溶接用のウィービング装置を提供すること。
【解決手段】溶接トーチ1を振るウィービング装置において、2台の直線駆動装置3a、3bを平行に配置し、溶接トーチ1を該直線駆動装置3a、3bに対して直角方向に配置し、溶接トーチ1の2箇所を個別に該直線駆動装置3a、3bで支持したウィービング装置により達成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、溶接作業を自動化するために溶接トーチを溶接進行方向に対して左右に振るウィービング装置に係わり、特に汎用性が高く、直線ウィービング、角度ウィービング等の振る方式、及び振り幅、周波数、角度ウィービングの場合は振り半径等のウィービング条件を溶接中でも自由に変更できる高機能な溶接用のウィービング装置に関する。
アーク溶接では開先形状に合わせて、アークを進行方向の左右に振るウィービング動作を行わせる。自動溶接機においてアークを振る方法としては、溶接トーチ全体をウィービング装置により振る方法と、溶接トーチ内部の給電部のみを振る方法がある。また、振る方式としては、アークを直線的に振る直線ウィービング方式と扇形形状に振る角度ウィービング方式がある。
図4により、溶接トーチをウィービング装置により振る方法を説明する。図4(a)は直線ウィービング動作を説明する概念図である。モータとラックピニオンあるいはモータとボールネジの組み合わせ等による直線駆動装置3cに溶接トーチ1を直線駆動装置3cの直角方向に配置し、溶接トーチ1を溶接トーチ固定具6aで直線駆動装置3cにより溶接トーチ1を母材8a、8bに加工された開先に対して左右直線状に矢印a方向に往復運動させる。
溶接をスタートさせると、図示していない溶接電源より溶接ワイヤ2に電圧が印加されて溶接ワイヤ2の先端でアークが発生し、溶接ビード9を形成する。直線ウィービングは肉盛溶接、開先溶接最終層の余盛溶接、開先壁の角度が広い場合に適する。一般に、溶接の能率を向上させるためには、ウィービング動作を高速にする必要がある。しかし、直線駆動装置はラックピニオンあるいはボールネジ等の動力伝達機器とモータが使用されるが、反復動作の高速、高加速および高精度位置決めには限界があり、周波数10Hz以上の高速動作を行わせることが難しい。
角度ウィービングについては、特開平9−327774号公報と特開2001−9571号公報等に記載された発明がある。
図4(b)は角度ウィービング動作を説明する概念図である。モータとカムの組み合わせによる回転駆動装置7に溶接トーチ1を溶接トーチ固定具6bで固定して、溶接トーチ1を母材8a、8bに加工された開先に対して左右に扇形形状で往復運動させる。溶接ワイヤ2の先端からアークを発生させ、溶接ビード9を形成する方法は、直線ウィービングと同様である。開先壁の角度が狭い場合は、開先壁が立ってくるので開先壁を充分に溶融するために開先壁方向に溶接トーチを傾斜させて、アークを開先壁方向に指向させた方が良く、この場合は角度ウィービングが適することになる。
溶接トーチ内部の給電部のみを振る方法としては、特許第3117288号公報記載の発明があり、磁気駆動による角度ウィービング方式が採用されている。これら角度ウィービングの問題点は、振り幅と振り半径の変更を自動で行うことが難しいことである。
特開平9−327774号公報には、振り幅を変更する機構の発明が記載されているが、この振り幅変更機構はマニュアル操作により行う方法であり、溶接中に自動変更することができない。パイプの突合せ溶接でパイプを回転させながら初層から最終層まで溶接する場合には、振り幅を変更する層で溶接を一旦終了させて、ウィービング条件をマニュアルにより変更した後に、再スタートする必要がある。また、ウィービングの両端は開先壁部の溶接のため、壁部を十分溶融し、融合不良等の溶接欠陥の発生を防ぐことが望ましい、
特許第3117288号公報記載の発明の磁気駆動による角度ウィービング方式ではウィービング両端で停止時間を確保することが可能であるが、特開2001−9571号公報記載の発明のモータとカム機構の組合わせによる角度ウィービングでは両端での停止時間を確保することができない。
直線ウィービングと角度ウィービングは溶接対象物の開先形状に合わせて選択されるが、溶接対象物によっては両方式を使用する必要がある場合がある。特に図4(b)に示す狭い開先では、開先の底を施工する場合は角度ウィービングが有利であり、開先が浅くなって余盛溶接になると平行ウィービングが有利である。そこで直線ウィービング及び角度ウィービングを兼ねるウィービング装置が、特許2625660号公報に開示されている。しかしこの装置は直線ウィービングと角度ウィービングの切換えを手動動作で行う必要があり、パイプの突合せ溶接でパイプを回転させながら初層から最終層まで溶接する場合では、最終層近くでウィービング方式を変更する場合にやはり溶接を一旦終了させて再スタートする必要がある。
また、図4(c)に示すようなウィービング動作が左右対称にならないウィービング動作を行うウィービング装置がなく、6軸多関節ロボット以外で、これらの溶接を自動で行うには、ウィービング動作を行わないシングルビードを何パスも施工する必要があり非効率的であった。
そして、6軸多関節ロボットはフレキシブルなウィービング動作を行わせることができるが、溶接の能率を上げる周波数10Hz以上の高速ウィービング動作を行わせることができない。
特開平9−327774号公報 特開2001−9571号公報 特許第3117288号公報 特許2625660号公報
上記従来技術では、溶接用のウィービング装置において、角度ウィービング装置では振り幅、振り半径の自動変更問題があり、モータとカム機構の角度ウィービング装置ではウィービング両端での停止時間の確保問題があった。また、直線ウィービングと角度ウィービングの両方の動作が行えるウィービング装置では直線ウィービングと角度ウィービングの自動変更、ウィービング動作が左右対称でないウィービング装置の必要性等数々の問題があった。
以上をまとめると、アーク溶接用のウィービング装置では以下の機能が要求されていた。
(a)直線ウィービングと角度ウィービングの両方の動作が行え、より自由度の高い振り方が行える。
(b)周波数10Hz以上の高速ウィービングが行える。
(c)振り幅、周波数、角度ウィービングの場合は角度等を自動で溶接中に変更することができる。
(d)ウィービングの両端で停止時間を設けることができる。
本発明の課題は、1台のウィービング装置で上記(a)〜(d)の要求を解決でき、より汎用的で高機能な溶接用のウィービング装置を提供することである。
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、溶接トーチを振るウィービング装置において、2台の直線駆動装置を平行に配置し、前記溶接トーチの長手方向を前記直線駆動装置の直線駆動方向に対して直角方向に配置し、前記溶接トーチの2箇所を個別に前記直線駆動装置で支持し、溶接トーチは1台の直線駆動装置に回転支持機構で支持され、他方の直線駆動装置に回転支持機構及びスライド支持機構で支持されるウィービング装置である。
請求項2記載の発明は、2台の直線駆動装置は、同じ周波数で往復運動する構成を備えた請求項1記載のウィービング装置である。
請求項3記載の発明は、各直線駆動装置の振り幅、振り中心位置、周波数を記憶する記憶装置と該記憶装置の各記憶データと溶接シーケンスに基づき自動的にウィービング制御を行う制御装置を備えた請求項1又は2記載のウィービング装置である。
(作用)
請求項1記載の発明によれば、2台の直線駆動装置のうちの1台は溶接トーチを支持は回転支持であり、他の1台の支持は回転支持及びスライド支持機構としているので、2台の直線駆動装置をそれぞれ独立して動かすことが可能である。また1台の装置で直線ウィービングと角度ウィービングの両方を行うことが可能であり、角度ウィービングにおいては振り幅、振り半径及び両端の停止時間を自由に設定することが可能になる。また、2台の直線駆動装置の振り中心をずらすことにより左右対称でない変則形状で溶接トーチ先端の溶接ワイヤを振ることが可能である。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用に加えて、図3に示すようにそれぞれの直線駆動装置の振り幅を変えて、周波数を同じにして往復運動させれば、直線ウィービング、角度ウィービングの両方を行うことができ、角度ウィービングにおいては振り幅、振り半径、両端の停止時間を自由に設定することができる。また、2台の直線駆動装置の振り中心をずらすことにより左右対称でない変則形状で溶接トーチ先端の溶接ワイヤを振ることが可能である。
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の作用に加えて、さらに、それぞれの直線駆動装置の振り幅、振り中心位置、周波数を制御装置の記憶装置に登録しておき、溶接シーケンスで自動的に変更することが可能である。
請求項1〜3記載のウィービング装置を用いれば、ウィービング条件の変更が必要な溶接ワークでも連続溶接が可能になり、適切なウィービング条件を選択可能なため、高効率で高品質な溶接を行うことが可能になる。
以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いてさらに詳細に説明する。
図1は、本発明のウィービング装置の一実施例を示す正面図である。図3(a)〜(c)は、本発明のウィービング装置のウィービング動作を説明する説明図である。
モータとラックピニオンあるいはモータとボールネジの組み合わせ等による2台の直線駆動装置3a、3bの内で溶接時にアークに近い方を直線駆動装置3b、遠い方を直線駆動装置3aとして平行に配置する。この直線駆動装置3a、3bは位置決めが可能なように、エンコーダー等の位置検出器が取り付けられていて、数値制御仕様になっている。この直線駆動装置3a、3bの長手方向に対して直角方向に溶接トーチ1の長手方向を向けて配置し、直線駆動装置3aと溶接トーチ1のつなぎを回転と溶接トーチ1方向にスライドする回転・スライド支持機構5で固定し、直線駆動装置3bと溶接トーチ1のつなぎを回転する回転支持機構4で固定する。なお、回転支持機構4と回転・スライド支持機構5の各回転機構はベアリングにより行い、回転・スライド支持機構5のスライド機構はリニアーベアリングにより抵抗無く動くようにする。
2台の直線駆動装置3a、3bと溶接トーチ1のつなぎ支持は、片側が回転支持機構であり、他方が回転及びスライド支持機構としているので、2台の直線駆動装置3a、3bは独立して動かすことが可能である。それぞれの直線駆動装置3a、3bの振り幅を変えて、周波数を同じにして往復運動させれば、直線ウィービングと角度ウィービングの両方を行うことができ、また角度ウィービングにおいては振り幅、振り半径及び両端の停止時間を自由に設定することができる。
図3により説明すると、図3(a)では2台の直線駆動装置3a、3bの振り中心が同じ位置で、振り幅と周波数を同じ値で動作させると、溶接トーチ1の先端の溶接ワイヤ2は直線ウィービング動作を行う。図3(b)、図3(c)では2台の直線駆動装置3a、3bの振り中心が同じ位置、周波数も同じ値とし、振り幅を違った値で動作させると、溶接トーチ1の先端の溶接ワイヤ2は角度ウィービング動作を行う。図3(b)では直線駆動装置3a側の振り幅がゼロで、振り半径の大きい角度ウィービング状況を示している。図3(c)では直線駆動装置3a側の振り幅が、直線駆動装置3b側の振り幅より大きく、振り半径の小さい角度ウィービング状況を示している。
また、2台の直線駆動装置3a、3bの振り中心をずらすことにより左右対称でない変則形状で溶接トーチ1の先端の溶接ワイヤ2を振ることが可能である。さらに、それぞれの直線駆動装置3a、3bの振り幅、振り中心位置及び周波数を制御装置(図示せず)の記憶装置に登録しておき溶接シーケンスで自動的に変更することが可能である。
一般に、溶接の能率を向上させるためには、ウィービング動作を高速にする必要がある。しかし、一般的に直線駆動装置3a、3bはラックピニオンあるいはボールネジ等の動力伝達機器とモータが使用されるが、反復動作の高速、高加速及び高精度位置決めには限界がある。特許第3395155号公報記載の発明では、磁気駆動のトンネルアクチュエータが考案されており、直線駆動装置の高速、高加速及び高精度位置決めが可能である。このトンネルアクチュエータを応用した直線駆動装置を使用すれば、周波数10Hz以上の高速ウィービングが可能になりより高能率な溶接を行うことが可能になる。
以下に本発明の他の実施例のウィービング装置を図2の正面図に示す。
上記実施例1との違いは、直線駆動装置3aと溶接トーチ1を回転支持機構4で固定し、直線駆動装置3bと溶接トーチ1を回転・スライド支持機構5で固定することである。
本装置の角度ウィービングでは、溶接ワイヤ2先端の軌跡が正確には真円でない、具体的には、図1に示すウィービング装置では振り半径が短い方が円に近い軌跡になり、振り半径が長くなると直線に近い軌跡になる。逆に図2に示すウィービング装置では振り半径が短い方が直線に近い軌跡になり、振り半径が長くなると円に近い軌跡になる。但し、溶接のウィービング動作で振る範囲では、溶接状態に悪影響を与えるほどの変化は無いので、直線駆動装置3bと溶接トーチ1の溶接ワイヤ2の突き出し長さの状況により選択すればよい。
特許第3395155号公報には、磁気駆動のトンネルアクチュエータの発明が記載されており、直線駆動装置の高速、高加速、高精度位置決めが可能である。このトンネルアクチュエータを応用した直線駆動装置を本実施例1,2に適用すれば、周波数10Hz以上の高速ウィービングが可能になり、より高能率な溶接を行うことができる。
本発明は、溶接トーチのウィービング装置として溶接作業を自動化する装置として利用可能性が高い。
本発明のウィービング装置の一実施例を示す正面図である。 本発明のウィービング装置のその他の実施例を示す正面図である。 (a)〜(c)は本発明のウィービング装置のウィービング動作を説明する説明図である。 (a)〜(c)は本発明装置の機能に対する定義を表す概念図である。
符号の説明
1 溶接トーチ 2 溶接ワイヤ
3a、3b、3c 直線駆動装置 4 回転支持機構
5 回転・スライド支持機構 6a、6b 溶接トーチ固定具
7 回転駆動装置 8a、8b 母材
9 溶接ビード

Claims (3)

  1. 溶接トーチを振るウィービング装置において、2台の直線駆動装置を平行に配置し、前記溶接トーチの長手方向を前記直線駆動装置の直線駆動方向に対して直角方向に配置し、前記溶接トーチの2箇所を個別に前記直線駆動装置で支持し、溶接トーチは1台の直線駆動装置に回転支持機構で支持され、他方の直線駆動装置に回転支持機構及びスライド支持機構で支持されることを特徴とするウィービング装置。
  2. 2台の直線駆動装置は、同じ周波数で往復運動する構成を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のウィービング装置。
  3. 各直線駆動装置の振り幅、振り中心位置、周波数を記憶する記憶装置と該記憶装置の各記憶データと溶接シーケンスに基づき自動的にウィービング制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のウィービング装置。
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