JP2006156834A - レーザー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Qスイッチによる出力停止期間中にレーザー光を漏出させず、レーザー出力を完全停止させることを目的とする。
【解決手段】 レーザダイオード23からの励起光をレーザー光に変換し、Qスイッチ5を用いてレーザー光の出力制御を行うレーザー発振器とを備えたレーザー装置であって、 ユーザデータに基づいて電流設定Isを出力する電流設定部24と、この電流設定Isに基づいて、レーザダイオード23に駆動電流Idを供給するLD駆動部25とを備え、LD駆動部25が、電流設定Isの増加時に、傾きをもたせて駆動電流Idを変化させ、駆動電流Idの減少時よりも長い遷移期間を経て、緩やかに駆動電流Idを変化させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザー装置に係り、更に詳しくは、Qスイッチを用いてレーザー光の出力制御を行うとともに、励起光源の駆動電流によってレーザー光の出力パワーを制御するレーザー装置、例えば、レーザーマーキング装置の改良に関する。
図16は、従来のレーザー発振器の概略構成例を示した図である。このレーザー発振器11は、光学レンズ2、リアミラー3、固体レーザー媒体としてのレーザー結晶4、Qスイッチ5及び出力ミラー6により構成され、励起光源としてのレーザーダイオード23から励起光が供給される。
レーザーダイオード23で生成された励起光は、光学レンズ2によってレーザー結晶4に集光される。この励起光により光ポンピングされたレーザー結晶4では、レーザー光の誘導放出が行われる。すなわち、励起光の照射によって励起されたレーザー結晶4には、エネルギー準位の反転分布が形成され、この状態下でレーザー結晶4の放出光をレーザー結晶4に再入射させれば、レーザー結晶4において同波長かつ同位相の光が新たに放出される。この様にしてレーザー結晶4の放出光が増幅され、レーザー光が生成される。この様なレーザー結晶4としては、例えば、ネオジウム(Nd)イオンをドープしたYAG(イットリューム及びアルミからなるガーネット結晶)やYVO4(イットリューム・バナジウム酸塩)が用いられる。
リアミラー3は、レーザー光を全反射させる全反射型ミラーであり、出力ミラー6は、レーザー光の大部分を反射させるとともに、一部を透過させる半透過型ミラーである。リアミラー3及び出力ミラー6は互いに対向配置され、レーザー光を往復させる共振器光軸7を形成しており、この共振器光軸7上にレーザー結晶4及びQスイッチ5が配置されている。なお、光学レンズ2からの励起光は、リアミラー3を透過してレーザー結晶4に集光されている。
Qスイッチ5は、レーザー光を回折させることにより、レーザー発振を制御している。オン状態のQスイッチ5は、共振器光軸7上のレーザー光を共振器光軸7外へ偏向させ、オフ状態の場合には、共振器光軸7上のレーザー光をそのまま透過させる。このため、Qスイッチ5をオンすれば、共振器光軸7上のレーザー光は遮断され、レーザー発振を一時的に停止させることができる。このようなQスイッチ5には、音響光学素子(AOM:Acoust Optical Modulator)が用いられている。音響光学素子は、RF信号に基づいて超音波を生成する振動子と、この超音波によって回折格子が形成される水晶などの結晶からなる。つまり、超音波によって結晶を弾性的に振動させて、結晶中に回折格子を形成して、レーザー光を回折させている。
図17は、従来のレーザー発振器の動作例を示したタイミングチャートである。図中の(a)は、駆動電流Id、(b)は、Qスイッチ制御信号S、(c)は、出力パワーPoについて、それぞれ時間軸上での変化が示されている。駆動電流Idは、レーザーダイオード23に供給される電流であり、Qスイッチ制御信号Sは、Qスイッチ5に供給されるRF信号電力であり、出力パワーPoは、レーザー出力光のエネルギーである。
出力パワーPoは、駆動電流Idによって制御され、この駆動電流Idは、ユーザ操作又はユーザデータに基づいて決定される。例えば、図中の100%は、レーザー光の出力パワーが最大値であることが示されている。
Qスイッチ5には、2値の電力レベルからなる制御信号Sが入力され、高レベル(15W)の場合にオン状態となり、低レベル(0W)の場合にはオフ状態となる。従って、制御信号Sが高レベルの期間は、レーザー光が出力されない出力停止期間となり、制御信号Sが低レベルの期間に急峻なパルスレーザー光が出力される。つまり、このレーザー発振器は、出力期間においてのみレーザー光が出力されるように、Qスイッチ5によってオンオフ制御されている。
上述した通り、従来のレーザー発振器では、Qスイッチ5のオンオフによって、レーザー光の停止制御を行っている。しかしながら、実際には、Qスイッチ5がオフ状態であっても、レーザー光がわずかに漏出してしまう場合があり、レーザー出力を完全停止させることができないという問題があった。
具体的には、図17に示したように、Qスイッチ5をオン状態に保持しているにもかかわらず、駆動電流Idを変化させた直後に、ごく微弱なレーザー光が出力される場合があった。このような現象は、駆動電流Idの減少時には観察されず、増加時にのみ観察される。この様な漏出レーザー光のパワーは、レーザーマーキング装置としての一般的な使用時には問題にならない程度の微弱なものではあるが、レーザー光が照射される加工対象物が極めて高感度のものであれば影響を受ける可能性もある。
図18は、レーザー結晶4内に形成される熱レンズについての説明図である。レーザー結晶4は励起光をレーザー光に波長変換する際に発熱し、レーザー結晶4の内部には温度勾配が生じている。一般に、物質の屈折率は温度に応じて変化することから、この温度勾配によって、レーザー結晶4内に熱レンズと呼ばれる一種の光学レンズ4Rが形成される。つまり、共振器光軸7は、リアミラー3及び出力ミラー6と、熱レンズ4Rにより形成されている。
上述したレーザー光の漏出現象は、この熱レンズ4Rの変化に起因するものと推測される。Qスイッチ5がオン状態になっている出力停止期間において、レーザーダイオード23の光量を変化させた場合、レーザー結晶4内の温度分布が変化する。この温度分布が安定するまでには2〜3秒程度の時間を要する。この安定化期間中は、共振器光軸上のレーザー光が、安定化後とは異なったプロファイル(経路やビーム径)を有するようになる。これに対し、レーザー光の漏出期間は、数百ミリ〜1秒程度であり、上記安定化期間とオーダーレベルで一致している。従って、上記安定化期間中、レーザー光の一部が、Qスイッチ5において十分に回折されず、レーザー光が漏出すると考えられる。特に、レーザーダイオード23の駆動電流Idを増大させる際には、レーザー結晶4内におけるエネルギー状態の変化に比べて、熱レンズ4Rの変化が遅れ、レーザー光が漏出しやすくなると考えられる。
このようなレーザー光の漏出は、Qスイッチ5のアクティブアパーチャーを広げることにより、抑制することができると考えられる。Qスイッチ5の結晶内におけるレーザー光の回折角は一定でなく、レーザー光を十分に回折させることができる結晶内の領域をアクティブアパーチャーと呼んでいる。このアクティブアパーチャーは、Qスイッチ5の制御信号Sを増大させることにより広げることができる。このため、制御信号Sの信号電力を増大させれば、レーザー光の漏出を抑制することができる。しかしながら、アクティブアパーチャーを広げる場合であっても、デバイス特性に依存する限界がある。また、Qスイッチ5は発熱が著しく、制御信号Sを増大させれば、更に発熱量が多くなってしまうという問題がある。特に、冷却方式として空冷式を採用している場合には、制御信号Sを増大させることは困難であった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、Qスイッチによりレーザー出力を遮断している出力停止期間にレーザー装置からレーザー光が漏出するのを抑制することを目的とする。特に、出力停止期間中にパワー設定を変更してもレーザー光が漏出されず、レーザー出力を完全停止させることができるレーザー装置を提供することを目的とする。
また、出力停止期間中にパワー設定が変更された場合に、レーザー光の漏出を防止するとともに、その後にレーザー出力が可能になるまでのウォーミングアップ期間を短縮させたレーザー装置を提供することを目的とする。
また、駆動電流についてオフセット補正やプロポーショナル補正を行った場合であっても、ウォーミングアップ時間を変動させないレーザー装置を提供することを目的とする。
第1の本発明によるレーザー装置は、励起光を生成する励起光源と、励起光をレーザー光に変換し、Qスイッチを用いてレーザー光の出力制御を行うレーザー発振器とを備えたレーザー装置であって、ユーザデータに基づいて電流設定を出力する電流設定手段と、上記電流設定に基づいて、上記励起光源に駆動電流を供給する励起光源駆動手段とを備え、上記励起光源駆動手段が、上記電流設定の定常時に、上記電流設定を上記駆動電流に変換する第1駆動手段と、上記電流設定の増加時に、傾きをもたせて上記駆動電流を変化させ、上記駆動設定の減少時よりも長い遷移期間を経て、上記駆動電流を変化させる第2駆動手段とを有する。
このレーザー装置では、電流設定の定常時は、第1駆動手段により、電流設定が駆動電流に変換される一方、上記電流設定の増加時には、第2駆動手段が、傾きをもたせて駆動電流を変化させ、所定の遷移期間の経過後に、第1駆動手段によって変換された駆動電流に達するようにしている。その際、上記経過時間が、駆動電流の減少時よりも長くなっている。このため、駆動電流の変更後におけるウォーミングアップ時間を短くしつつ、レーザー光の漏出を抑制することができる。特に、遷移期間として、レーザー光の漏出防止に十分な予め測定された期間を採用すれば、出力停止期間中におけるレーザー光の完全停止を実現することができる。
第2の本発明によるレーザー装置は、上記構成に加えて、上記第2駆動手段が、上記電流設定の増加時における上記遷移期間中に駆動電流の傾きを変化させ、上記遷移期間の終了時における傾きを開始時における傾きよりも小さくするように構成される。
この様な構成により、駆動電流が大きくなり、レーザー光が漏出し易くなっている遷移期間の終了時において、開始時よりも緩やかに駆動電流を変化させることができる。このため、レーザー光の漏出を防止しつつ、遷移期間を短くすることができる。従って、電流設定の変更後におけるウォーミングアップ時間を短縮させることができる。
第3の本発明によるレーザー装置は、上記構成に加えて、ユーザにより指定されたオフセット補正データを保持する記憶手段を備え、上記励起光源駆動手段が、オフセット補正データに基づいて、上記電流設定をオフセット補正するオフセット補正手段を備え、上記第2駆動手段が、上記電流設定の増加量に基づいて上記遷移期間を決定し、当該増加量が同一の場合における上記遷移期間を同一にするように構成される。
オフセット補正は、駆動電流を変化させるが、駆動電流の増加量には影響を与えない。このため、電流設定の増加量に基づいて遷移期間を決定し、電流設定の増加量が同一の場合における遷移期間を同一にすれば、オフセット補正の影響により、遷移期間は変動しない。このため、電流設定の増加量に応じた遷移期間を採用することができるとともに、オフセット補正データを変更しても、その後の電流設定の変更時におけるウォーミングアップ時間は影響を受けることがない。
第4の本発明によるレーザー装置は、上記構成に加えて、上記電流設定の増加量に対し、上記遷移期間として、増加後の駆動電流が最大値であってもレーザー光を漏出させない予め測定された期間を対応づけた遷移期間テーブルを備え、上記第2駆動手段が、上記遷移期間テーブルを用いて、上記遷移期間を決定するように構成される。この様な構成により、オフセット補正機能を有するレーザー装置において、ウォーミングアップ時間が、オフセット補正データによる影響を受けず、かつ、出力停止期間におけるレーザー光の完全停止を実現することができる。
第5の本発明によるレーザー装置は、上記構成に加えて、ユーザにより指定されたプロポーションデータを保持する記憶手段を備え、上記励起光源駆動手段が、上記プロポーションデータに基づいて、上記電流設定に対する上記駆動電流の傾きを補正するプロポーション補正手段を備えて構成される。この様な構成により、プロポーション補正機能を有するレーザー装置において、ウォーミングアップ時間が、プロポーション補正データによる影響を受けず、かつ、出力停止期間におけるレーザー光の完全停止を実現することができる。
第6の本発明によるレーザー装置は、上記構成に加えて、レーザー出力のパワーレンジを異ならせた2以上の動作モードから任意の動作モードを選択させる動作モード選択手段と、上記電流設定の増加量に上記遷移期間を対応づけた動作モードごとの遷移期間テーブルとを備え、上記第2駆動手段が、上記電流設定の増加量に基づいて上記遷移期間を決定し、同一の動作モード内において、当該増加量が同一の場合における上記遷移期間を同一にするように構成される。
この様な構成により、オフセット補正機能を有するレーザー装置において、任意の動作モードのパワーレンジ内においてレーザー出力を行わせる場合には、ウォーミングアップ時間がオフセット補正データによる影響を受けず、かつ、出力停止期間におけるレーザー光を完全停止させつつ、ウォーミングアップ時間を短縮させることができる。
第7の本発明によるレーザー装置は、上記構成に加えて、一定期間を超えて、レーザー出力が行われない場合に、駆動電流をスタンバイレベルに低下させるスタンバイ制御手段を備え、上記スタンバイレベルを動作モードごとに異ならせて構成される。この様な構成により、ウォーミングアップ時間を短縮させることができる。
本発明によれば、Qスイッチによりレーザー出力を遮断している出力停止期間にレーザー装置からのレーザー光の漏出を抑制することができる。特に、出力停止期間中にパワー設定を変更してもレーザー光が漏出されず、レーザー出力を完全停止させることができるレーザー装置を提供することができる。
また、出力停止期間中にパワー設定が変更された場合に、レーザー光の漏出を防止するとともに、その後にレーザー出力が可能になるまでのウォーミングアップ期間を短縮させたレーザー装置を提供することができる。
また、駆動電流についてオフセット補正やプロポーショナル補正を行った場合であっても、ウォーミングアップ時間を変動させないレーザー装置を提供することができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるレーザー装置の一構成例を示したブロック図であり、加工対象物(ワーク)のマーキング面上にレーザー光を照射し、文字や図形をマーキングするためのレーザーマーキング装置が示されている。このレーザーマーキング装置は、ヘッド部10及びコントローラ部20により構成される。ヘッド部10及びコントローラ部20は、それぞれ異なる筐体に収納され、光ファイバーケーブル15及び信号線16,17を介して接続されている。また、コントローラ部20には、ユーザ端末50やプログラマブル・コントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)51が接続されている。
ヘッド部10は、レーザー発振器11、レーザースキャナ12及びfθレンズ13により構成される。励起光は、光ファイバーケーブル15を介してコントローラ部20から供給され、レーザー発振器11においてレーザー光に変換され、このレーザー光がレーザースキャナ12に入射される。レーザースキャナ12は、2枚のガルバノミラーで構成され、上記レーザー出力光をワーク52のマーキング面上で2次元スキャンさせている。fθレンズ13は、レーザースキャナ12からのレーザー光を平行光に変換してワーク52に照射している。
なお、レーザー発振器11の構成は、図16の場合と同様であり、冷却方式として、冷却媒体の循環を伴わない空冷方式を採用している。また、スキャナ制御信号及びQスイッチ制御信号Sは、それぞれ信号線16,17を介して、コントローラ部20から供給される。
コントローラ部20は、マーキング制御部21、LD制御部22、レーザーダイオード23及び各種の制御データ30〜33の記憶部により構成される。マーキング制御部21は、ユーザ端末50又はPLC51からの制御信号が入力され、これらの制御信号に基づいて、ワーク52へのマーキング動作を制御している。マーキング条件DB(データベース)30には、ユーザによって予め設定された多数のマーキング条件が格納されている。各マーキング条件は、パワー設定Psやマーク形状などからなり、ユーザ端末50等から任意のマーキング条件を指定することができる。
マーキング制御部21は、指定されたマーキング条件をマーキング条件DB30から読み出し、そのパワー設定PsをLD制御部22へ出力する。また、読み出されたマーク形状に基づいて、Qスイッチ制御信号Sやスキャナ制御信号を生成している。Qスイッチ制御信号Sは、レーザー出力をオンオフ制御するためのRF信号である。スキャナ制御信号は、ガルバノミラーを駆動するための駆動信号である。これらの制御信号は、ユーザ端末50等からのトリガー信号に基づいて、信号線16,17を介して、ヘッド部10へ出力され、マーキングが開始される。
LD制御部22は、電流設定部24及びLD駆動部25により構成される。電流設定部24は、電流設定変換テーブル31を参照し、パワー設定Psから電流設定Isを求めている。電流設定Isは、レーザー光の出力パワーPoに対応づけられた仮想的なパラメータであり、0〜100%の値からなる。LD駆動部25は、この電流設定Isに基づいて、レーザーダイオード23に供給する駆動電流Idを生成している。
レーザーダイオード23からは、駆動電流Idに応じた強度の励起光が出力され、レーザー発振器11からは、当該励起光に応じた出力パワーPoのレーザー光が出力される。従って、LD制御部22において、パワー設定Psを駆動電流Idに変換して、レーザーダイオード23へ供給することにより、パワー設定Psに応じた出力パワーPoが得られる。
図2は、図1の電流設定変換テーブル31の一例を示した図である。電流設定変換テーブル31は、パワー設定Psを電流設定Isに変換するためのデータテーブルであり、パワー設定Psに対応する電流設定Isが予め定められ、電流設定変換テーブル31としてコントローラ部20内に保持されている。本実施の形態では、パワー設定Psが、そのまま電流設定Isに変換されている。この様な場合には、電流設定変換テーブル31を省略して構成することもできる。
スロープ波形データ32は、駆動電流Idの増加時における波形データであり、LD駆動部25は、この波形データに従って、傾きをもって緩やかに駆動電流Idを増加させている。遷移期間テーブル33は、レーザー光を漏出させることなく、駆動電流Idを増加させるために必要となる期間を示すデータテーブルであり、電流設定部24において電流設定Isが変更された場合に参照され、変更前後の電流設定Isに基づいて遷移期間が求められる。
図3は、電流設定Is及び駆動電流Idとの関係の一例を示した図である。駆動電流Idは、電流設定Isの一次関数として与えられ、電流設定Isの変化量は、駆動電流Idの変化量に比例している。また、当該一時関数の傾き及び切片はともに正の値となっている。ここでは、出力パワーPoが最大となるときの電流設定Isを100%とし、この状態から駆動電流Idを低下させていき、レーザー光が出力されなくなったときの電流設定Isを0%としている。LD駆動部25は、図3の関係に基づいて、電流設定Isを駆動電流Idに変換している。
LD駆動部25は、電流設定Isの定常時には、図3を用いて、電流設定Isから求められた駆動電流Idをレーザーダイオード23に供給している。また、電流設定Isが変更された場合であっても、電流設定Isを減少させる場合であれば、定常時と同様にして、新たな電流設定Isから求められた駆動電流Idを直ちに供給する。
一方、電流設定Isを増大させる設定変更があった場合には、スロープ波形データ32及び遷移期間テーブル33を用いて駆動電流Idを緩やかに増加させている。具体的には、遷移期間テーブル33を参照して、レーザー光の漏出を防止可能な遷移期間を求めるとともに、スロープ波形データ32を参照して、当該遷移期間の経過時に新たな駆動電流Idに達するように、所定の傾きを持たせて駆動電流Idを変化させている。このため、電流設定Isの増加時は、減少時に比べれば、遷移期間が長く、より緩やかに駆動電流Idを変化させている。
図4は、図1のスロープ波形データ32の一例を示した図であり、(a)には、滑らかに変化させる場合の例が示され、(b)には、階段状に変化させる場合の例が示されている。いずれの場合も遷移期間内における経過時間を横軸とし、遷移期間内における駆動電流Idの増加分を縦軸として示している。また、遷移期間を1とし、設定変更前後における駆動電流Idの増加量を1として示されている。
(a)の波形データは、時間経過に伴って、駆動電流Idの傾きが小さくなっており、遷移期間の後半における傾きは、遷移期間の前半における傾きよりも小さい。レーザー光の漏出は、駆動電流Idが大きくなるほど発生し易くなることから、この様なスロープ波形に従って、駆動電流Idを変化させることにより、レーザー光の漏出を防止しつつ、より短い遷移期間で駆動電流Idを増加させることができる。
(b)の波形データは、遷移期間の開始時に、駆動電流Idの総増加量の1/2を増加させ、その後は、駆動電流を一定の傾きで増大させている。つまり、(a)の場合と同様、遷移期間の終了時における傾きを遷移期間の開始時における傾きよりも小さくして、レーザー光の漏出を防止しつつ、より短い遷移期間で駆動電流Idを増加させている。
LD駆動部25は、実際の遷移期間及び電流設定Isの増加量に基づいて、このスロープ波形データ32を拡大縮小して使用している。レーザー光の漏出を防止するために必要とされる駆動電流Idの遷移期間は、変更前後の駆動電流Idによって異なる。このため、本実施の形態では、LD駆動部25が、遷移期間テーブル33を用いて、設定変更前後の電流設定Isから遷移期間を求めている。このため、電流設定Isの組み合わせに応じて、遷移期間を短くすることができる。
図5は、図1の遷移期間テーブル33の一例を示した図である。横軸は、設定変更前の電流設定Is1、縦軸は、設定変更後の電流設定Is2である。この図は、遷移期間が50m秒、250m秒、1000m秒、3000m秒及び5000m秒となる各場合について、変更前後の電流設定Is1,Is2の組み合わせを示している。例えば、変更前の電流設定Is1が40%、変更後の電流設定Is2が80%であれば、遷移期間は250m秒となる。この遷移期間テーブル33は、レーザー光が漏出する場合の遷移期間を実際に測定することによって求められる。
この図から、レーザー光の漏出防止のために必要とされる遷移期間は、電流設定Isの増加量(Is2−Is1)が大きいほど、長くなることが分かる。また、電流設定Isの増加量が同一の場合には、変更後の電流設定Is2が大きいほど、遷移期間が長くなることが分かる。
図6のステップS101〜S107は、LD制御部22の動作の一例を示したフローチャートである。フローチャート開始時は、パワー設定がPs1、電流設定がIs1であるものとする。この状態で、パワー設定がPs2に変更されると、電流設定もIs2に更新される。すなわち、電流設定部24が、マーキング制御部21から出力されるパワー設定Psをチェックし、パワー設定Psが変更されていない場合には、処理を終了する(ステップS101)。一方、パワー設定Psが変更されていれば、電流設定変換テーブル31を参照して、新たな電流設定Is2を求める(ステップS102)。
次に、設定変更前後の電流設定Is1及びIs2を比較して、電流設定が増加したのか、あるいは、減少したのかを判別する(ステップS103)。電流設定の増加時であれば、遷移期間テーブル33を参照し、設定変更前後の電流設定Is1及びIs2から遷移期間を求める(ステップS104)。また、スロープ波形データ32を参照し、当該波形データに従って駆動電流Idを緩やかに増加させる(ステップS105,S106)。一方、電流設定Isの減少時であれば、直ちに、駆動電流Idを直ちに減少させて、新たな電流設定Is2に相当する駆動電流を出力する(ステップS107)。
図7は、図1のレーザーマーキング装置の動作の一例を示したタイミングチャートである。図中の(a)は、駆動電流Id、(b)は、Qスイッチ制御信号S、(c)は、出力パワーPoについて、それぞれ時間軸上での変化が示されている。このレーザーマーキング装置では、電流設定Isの増加時に、傾きをもたせて緩やかに駆動電流Idを増加させている。従って、Qスイッチ5がオフ状態の場合に、パワー設定Psを変更しても、レーザーマーキング装置からレーザー光が漏出することはない。
これに加えて、駆動電流Idをスロープ波形データ32に基づいて変化させ、遷移期間中、時間経過に応じて駆動電流Idの傾きを小さくしている。このため、比較的短い遷移期間で、駆動電流Idを増大させることができる。
なお、本実施の形態では、スロープ波形データ32を用いて、駆動電流Idを増加させる場合の例について説明したが、本発明は、この様な場合に限定されない。例えば、LD駆動部25が、変更前後の電流設定Is1,Is2に基づく演算処理を行うことにより、スロープ波形データ32を用いた場合と同様の波形を生成し、駆動電流Idを緩やかに増加させてもよい。
また、本実施の形態では、マーキング条件に基づいてパワー設定Psが変更され、電流設定を変更する場合の例について説明したが、本発明はこの様な場合には限定されない。すなわち、駆動電流Idを変更させる様々なケースについて、本発明を適用することができる。例えば、停止時電流制御のための駆動電流Idの変更時にも適用することができる。
停止時電流制御とは、レーザーダイオード23の長寿命化を目的として、予め定められた一定期間を超えてレーザー出力が行われない場合に、駆動電流Idをスタンバイレベルに低下させて、レーザーダイオード23をスタンバイ状態に移行させる処理である。例えば、電流設定部24が、パワー設定Psにかかわらず、電流設定Isを強制的に0%にすることにより、スタンバイ状態に移行させることができる。このスタンバイ状態において、トリガー信号が入力されると、電流設定部24は、電流設定Isを本来の値に戻す。この様な停止時電流制御を行っているレーザーマーキング装置に本発明を適用すれば、スタンバイ終了時における駆動電流Idの増加時に、レーザー光が漏出するのを防止することができる。
実施の形態2.
本実施の形態では、オフセット補正機能を有するレーザーマーキング装置への適用例について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2によるレーザー装置の一構成例を示したブロック図であり、レーザーマーキング装置が示されている。このレーザーマーキング装置を図1の場合(実施の形態1)と比較すれば、コントローラ部20が、オフセット補正データ34を保持している点で異なる。
図9のステップS201〜S208は、図8のレーザーマーキング装置の動作の一例を示したタイミングチャートであり、LD駆動部25の動作が示されている。図6の場合(実施の形態1)と比較すれば、電流設定変換テーブル31を参照した後に、ステップS203のオフセット補正処理が行われる点で異なる。つまり、本実施の形態では、LD駆動部25が、電流設定Isにオフセット補正データ34を加え、このオフセット後の電流設定Isを駆動電流Idに変換している。このようなオフセット補正処理を行うことにより、マーキング条件中のパワー設定Psを変更することなく、出力パワーPoをオフセットさせることができる。なお、オフセット補正データ34は、ユーザによって指定され、オフセット後の電流設定は100%を超えないものとする。
一般に、レーザーマーキング装置は、経時変化によって出力パワーPoが低下し、マーキング濃度が低下する。このような場合であっても、マーキング条件DB30中の各マーキング条件を書き換えて、パワー設定Psを増大させれば、所望の出力パワーPoを得ることができる。しかしながら、多数のマーキング条件について、パワー設定Psをそれぞれ書き換えていく作業は容易ではない。このような場合に、オフセット補正処理を利用すれば、オフセット補正データ34を変更するだけで、各マーキング条件は変更しなくても、出力パワーPoを増大させることができる。なお、オフセット補正データ34は、試行錯誤によりユーザが決定する。
このようなオフセット補正機能を有するレーザーマーキング装置では、オフセット補正データ34を変更することによって、マーキング動作のタイミングを変動させてしまうという問題が起こる。
パワー設定Psを増加させる設定変更が行われた場合、その後にマーキング動作が可能になるまでには、遷移期間によって決まるウォーミングアップ時間が必要となる。ところが、オフセット補正機能を有する場合であれば、遷移期間はオフセット後の電流設定Isに基づいて決定しなければなない。このため、オフセット補正データ34によって遷移期間が変動すれば、ウォーミングアップ時間も変動してしまう。つまり、マーキング条件が同一であっても、オフセット補正データ34が異なれば、ウォーミングアップ時間が同一でなくなる場合が発生し、オフセット補正データ34の変更によって、同じマーキング動作を行うことができなくなる場合が発生する。
例えば、電流設定Isを40%から70%へ変更する場合、図5によれば、50m秒の遷移期間が必要となる。このため、パワー設定Psの変更後に50m秒が経過すれば、マーキングを開始可能な状態になる。ところが、オフセット補正データ34を0%から20%に引き上げると、オフセット補正されることにより、上記設定変更は、60%から90%への設定変更に相当することになる。この場合、図5によれば、250m秒の遷移期間が必要となり、パワー設定Psの変更後に250m秒が経過するまでは、マーキングを開始可能な状態にならず、設定変更後のマーキング動作が200m秒遅れる可能性がある。
つまり、オフセット補正データを変更すると、ウォーミングアップ時間が変動し、従前とは同じマーキング動作を実現できなくなる可能性がある。このような問題は、パワー設定Psの変更時だけでなく、スタンバイ終了時にも発生する。
本実施の形態によるレーザーマーキング装置では、遷移期間テーブル33を改良することにより、このような問題を解消している。
図10は、図8の遷移期間テーブル33の一例を示した図であり、設定変更前後の電流設定Is1,Is2と、遷移期間との関係が示されている。本実施の形態による遷移期間は実線で示され、図5(実施の形態1)の遷移期間が、比較例として破線で示されている。両者を比較すれば、遷移期間が同一となる特性の傾きが異なっていることが分かる。
図5の遷移期間テーブルは、レーザー光の漏出を防止するのに必要とされる遷移期間に基づいて作成されている。つまり、レーザーマーキング装置の物理的特性に応じて作成されている。これに対し、図8に示した本実施の形態による遷移期間テーブル33は、レーザー光の漏出を防止することができ、かつ、遷移期間が同一となる特性の傾き(△Is2/△Is1)が1となるように、遷移期間が定められている。つまり、レーザーマーキング装置の物理的特性と、オフセット補正による影響をともに考慮して作成されている。
パワー設定Psが変更された場合、変更前後の電流設定Is1及びIs2には、同一のオフセット補正データ34が加算される。このようなオフセット補正処理は、図8では、縦軸方向及び横軸方向に同じ距離だけ移動させる操作に相当し、オフセット補正による影響は、傾き1の方向への移動となって現われる。従って、遷移期間が同一となる特性の傾きが1であれば、オフセット補正が行われたとしても、遷移期間が影響を受けることはない。換言すれば、本実施の形態によるレーザーマーキング装置では、遷移期間が、電流設定の増加量(Is2−Is1)に基づいて決定され、各電流設定Is1,Is2の値それ自体による影響を受けないため、オフセット補正の影響も受けることはない。
上述した通り、電流設定Isが大きくなるほど、レーザー光が漏出しやすく、遷移期間を長くする必要があるが、電流設定Isは100%を超えることはない。このため、本実施の形態による遷移期間テーブル33では、設定変更後の電流設定Is2が100%である場合の遷移期間が採用されている。
本実施の形態によれば、遷移期間が同一となる特性の傾きが1となる遷移期間テーブル33を用いて、電流設定の増加量(Is2−Is1)に基づいて遷移期間を決定している。このため、オフセット補正を行うことができるレーザーマーキング装置において、オフセット補正データの変動による遷移期間の変動を防止し、パワー設定Psの変更後におけるウォーミングアップ時間の変動を防止することができる。しかも、遷移期間として、設定変更後の電流設定Is2が100%である場合にレーザー光を漏出させない値を採用しているため、電流設定Is及びオフセット補正データ34にかかわらず、レーザー光が漏出することはない。
実施の形態3.
本実施の形態では、プロポーション補正機能を有するレーザーマーキング装置への適用例について説明する。
図11は、本発明の実施の形態3によるレーザー装置の一構成例を示したブロック図であり、レーザーマーキング装置が示されている。このレーザーマーキング装置を図8の場合(実施の形態2)と比較すれば、コントローラ部20が、プロポーション補正データ35を保持している点で異なる。
このレーザーマーキング装置は、駆動電流Idを求める際、オフセット補正処理及びプロポーション補正処理を行っている。プロポーション補正後の駆動電流Idは、図3の特性に基づいて電流設定Isから変換された電流値をI(Is)とし、オフセット補正データ34をX、プロポーション補正データ35をYとすれば、次式で与えられる。
Id=I(Is)+X+Is×Y
実施の形態2で説明したオフセット補正処理は、図3の電流設定Is−駆動電流Id特性について、その切片を変更する処理に相当する。これに対し、プロポーション補正処理は、当該特性の傾きを変更する処理に相当する。この様にして、電流設定Is−駆動電流Id特性について、オフセットだけでなく、傾きも調整可能にすることにより、駆動電流Idについて、より自由度の高い調整が可能になる。このため、経時変化などに起因する出力パワーPoの多様な変動について、マーキング条件を変更することなく、対応することができる。なお、このプロポーション補正データ35は、試行錯誤によりユーザが決定し、予め定められた許容範囲内において正負の値を指定することができる。
このようなプロポーション補正機能を有するレーザーマーキング装置では、オフセット補正機能を有する場合と同様の問題が発生する。つまり、プロポーション補正データ35を変更することによって、ウォーミングアップ時間を変化させ、その後のマーキング動作のタイミングを変動させてしまうという問題が起こる。
本実施の形態によるレーザーマーキング装置では、遷移期間テーブル33を更に改良することにより、このような問題を解消している。
図12は、図11の遷移期間テーブル33の一例を示した図であり、設定変更前後の電流設定Is1,Is2と、遷移期間との関係が示されている。本実施の形態による遷移期間は実線で示されている。図10の場合(実施の形態2)と比較すれば、遷移期間が同一となる特性について、その傾きは1に維持したままで、上方にシフトさせている。つまり、遷移期間の値を増大させることにより、レーザー光の漏出を防止している。
実施の形態2の遷移期間テーブル33では、遷移期間として、設定変更後の電流設定Is2が100%である場合に必要とされる時間が採用されていた。これに対し、本実施の形態では、プロポーション補正データ35を正の最大値にしても、レーザー光を漏出させない時間を遷移期間として採用している。すなわち、本実施の形態による遷移期間テーブル33では、遷移期間として、設定変更後の電流設定Is2が100%であり、かつ、プロポーション補正データ35が正の最大値である場合に必要とされる時間が採用されている。
本実施の形態によれば、遷移期間が同一となる特性の傾きが1となる遷移期間テーブル33を用いて、電流設定の増加量(Is2−Is1)に基づいて遷移期間を決定している。このため、オフセット補正を行うことができるレーザーマーキング装置において、オフセット補正データの変動による遷移期間の変動を防止することができる。その際、遷移期間として、設定変更後の電流設定Is2が100%であり、かつ、プロポーション補正データ35が正の最大値である場合にレーザー光を漏出させない値を採用している。このため、電流設定Is、オフセット補正データ34及びプロポーション補正データ35にかかわらず、レーザー光が漏出することはない。
実施の形態4.
本実施の形態では、パワーレンジを異ならせた2以上の動作モードを備え、パワー設定Psの変更時及びスタンバイ終了時におけるウォーミングアップ時間を短縮させたレーザーマーキング装置について説明する。
実施の形態2及び3では、オフセット補正処理及びプロポーション補正処理の影響によるウォーミングアップ時間の変動を防止するため、パワー設定Psの変更前後における駆動電流の差(Id2−Id1)に基づいて、駆動電流Idの増加のための遷移期間を決定している。つまり、駆動電流の差(Id2−Id1)に対し、当該条件下で想定される最も長い遷移期間を予め対応づけておくことにより、レーザー光の漏出を防止しつつ、動作タイミングの変動も防止し、かつ、駆動電流の差(Id2−Id1)に応じて、できるだけ短い遷移期間を実現している。
しかしながら、このようなレーザーマーキング装置では、低い出力パワーPoでしか使用しない場合であっても、高い出力パワーPoで使用する場合を考慮した遷移期間を使用することになり、必要以上にウォーミングアップ時間が長くなってしまうという課題がある。
上述した通り、レーザー発振器は、出力パワーPoが大きくなるほど、レーザー光が漏出しやすくなるため、長い遷移期間が必要になる。従って、このようなレーザーマーキング装置では、低い出力パワーPoでしか使用しない場合であっても、高い出力パワーPoで使用する場合と同じ遷移期間を確保していることになり、ウォーミングアップ時間が長くなる。一方、これとは逆に、出力パワーPoの最大値を低くして、ウォーミングアップ時間を短くすることも考えられるが、この場合には、高い出力パワーPoを使用できなくなってしまう。
本実施の形態によるレーザーマーキング装置では、電流設定変換テーブル31を改良することにより、このような問題を解消している。
図13は、本発明の実施の形態4によるレーザーマーキング装置の一構成例を示したブロック図である。このレーザーマーキング装置を図11の場合(実施の形態3)と比較すれば、コントローラ部20が、2つの電流設定変換テーブル31H,31Lと、2つの遷移期間テーブル33H,33Lを備えている点で異なる。
電流設定変換テーブル31H及び遷移期間テーブル33Hは、ハイパワーモードにおいて使用されるデータテーブルであり、電流設定変換テーブル31L及び遷移期間テーブル33Lはローパワーモードにおいて使用されるテーブルである。つまり、動作モードに応じて、電流設定変換テーブル31H,31Lのいずれかが、電流設定部24によって選択される。また、動作モードに応じて、遷移期間テーブル33H,33Lのいずれかが、LD駆動部25によって選択される。
このレーザーマーキング装置は、動作モードとして、ハイパワーモード及びローパワーモードを有し、いずれか一つの動作モードがユーザによって選択される。これらの動作モードでは、利用可能な出力パワーPoの範囲が異なっている。また、いずれの動作モードにおいても停止時電流制御が行われているが、動作モードごとに、スタンバイ状態における電流設定Isが異なっている。
図14は、図13の電流設定変換テーブル35H,35Lの一例を示した図である。ユーザは、動作モードにかかわらず、パワー設定Psとして0〜100%を指定することができる。このパワー設定範囲が、電流設定テーブル31Hでは70〜100%の電流設定Isに対応づけられ、電流設定テーブル31Lでは0〜80%の電流設定Isに対応づけられている。つまり、電流設定部24は、ハイパワーモードでは、電流設定Isとして70〜100%を出力することができ、ローパワーモードでは、電流設定Isとして0〜80%を出力することができる。
また、電流設定部24は、停止時電流制御を行う場合、スタンバイ状態の電流設定Isとして、0%のパワー設定Psに相当する値を使用している。つまり、ハイパワーモードでは、スタンバイ時の電流設定Isとして70%、ローパワーモードでは、スタンバイ時の電流設定Isとして0%を出力する。従って、動作モードによって、スタンバイ状態における駆動電流Idを異ならせている。
図15は、図13の遷移期間テーブル33H,33Lの一例を示した図である。これらの遷移期間テーブル33H,33Lは、実施の形態3の場合と同様、オフセット処理及びプロポーション補正処理によって遷移期間が変動しないように、それぞれ作成されている。つまり、電流設定Isの増加量(Is2−Is1)に基づいて遷移期間を決定し、かつ、遷移期間として、設定変更後の駆動電流Idが最大になる場合(つまり、変更後の電流設定Is2が100%で、プロポーション補正データが最大の場合)の値を採用している。
遷移期間テーブル33H,33Lは、実施の形態3の場合に比べ、電流設定Isの範囲を狭めていることから、遷移期間がより短くなっている。すなわち、ローパワーモードでは、電流設定Isを80%以下にしているため、0〜100%の場合に比べて、同じ設定変更時における遷移期間をより短くすることができる。従って、パワー設定Psの変更時及びスタンバイ終了時におけるウォーミングアップ時間を短くすることができる。また、ハイパワーモードでは、同一の設定変更時における遷移期間には変化がないが、スタンバイ時の電流設定Isを70%にしているため、スタンバイ終了時のウォーミングアップ時間を短くすることができる。
本実施の形態によれば、レーザーマーキング装置が、パワーレンジの異なる2つの動作モードを有している。このため、オフセット補正処理及びプロポーション補正処理によるウォーミングアップ時間の変動を防止しつつ、ウォーミングアップ時間を更に短縮させることができる。また、動作モードごとに、スタンバイ時の電流設定Isを異ならせることにより、スタンバイ終了時におけるウォーミングアップ時間を短縮させることができる。
なお、本実施の形態では、レーザーマーキング装置が、ハイパワーモード及びローパワーモードのいずれかを選択可能な場合について説明したが、本発明は、このような場合に限定されない。すなわち、3以上の電流設定変換テーブルと、3以上の遷移期間テーブルを備えて、3以上の動作モードから任意の動作モードを選択可能にすることもできる。
本発明の実施の形態1によるレーザー装置の一構成例を示したブロック図である。 図1の電流設定変換テーブル31の一例を示した図である。 電流設定Is及び駆動電流Idとの関係の一例を示した図である。 図1のスロープ波形データ32の一例を示した図である。 図1の遷移期間テーブル33の一例を示した図である。 LD制御部22の動作の一例を示したフローチャートである。 図1のレーザーマーキング装置の動作の一例を示したタイミングチャートである。 発明の実施の形態2によるレーザー装置の一構成例を示したブロック図である。 図8のレーザーマーキング装置の動作の一例を示したタイミングチャートである。 図8の遷移期間テーブル33の一例を示した図である。 本発明の実施の形態3によるレーザー装置の一構成例を示したブロック図である。 図11の遷移期間テーブル33の一例を示した図である。 本発明の実施の形態4によるレーザーマーキング装置の一構成例を示したブロック図である。 図13の電流設定変換テーブル35H,35Lの一例を示した図である。 図13の遷移期間テーブル33H,33Lの一例を示した図である。 従来のレーザー発振器の概略構成例を示した図である。 従来のレーザー発振器の動作例を示したタイミングチャートである。 レーザー結晶4内に形成される熱レンズについての説明図である。
符号の説明
4 レーザー結晶
4R 熱レンズ
5 Qスイッチ
10 ヘッド部
11 レーザー発振器
20 コントローラ部
21 マーキング制御部
22 LD制御部
23 レーザーダイオード
24 電流設定部
25 LD駆動部
31,31H,31H 電流設定変換テーブル
32 スロープ波形データ
33,33H,33L 遷移期間テーブル
34 オフセット補正データ
35 プロポーション補正データ
50 ユーザ端末
52 ワーク
Id 駆動電流
Is,Is1,Is2 電流設定
Po レーザー出力
Po 出力パワー
Ps パワー設定
Qスイッチ制御信号

Claims (7)

  1. 励起光を生成する励起光源と、励起光をレーザー光に変換し、Qスイッチを用いてレーザー光の出力制御を行うレーザー発振器とを備えたレーザー装置において、
    ユーザデータに基づいて電流設定を出力する電流設定手段と、
    上記電流設定に基づいて、上記励起光源に駆動電流を供給する励起光源駆動手段とを備え、
    上記励起光源駆動手段が、上記電流設定の定常時に、上記電流設定を上記駆動電流に変換する第1駆動手段と、
    上記電流設定の増加時に、傾きをもたせて上記駆動電流を変化させ、上記駆動電流の減少時よりも長い遷移期間を経て、上記駆動電流を変化させる第2駆動手段とを有することを特徴とするレーザー装置。
  2. 上記第2駆動手段が、上記電流設定の増加時における上記遷移期間中に駆動電流の傾きを変化させ、上記遷移期間の終了時における傾きを開始時における傾きよりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
  3. ユーザにより指定されたオフセット補正データを保持する記憶手段を備え、
    上記励起光源駆動手段が、オフセット補正データに基づいて、上記電流設定をオフセット補正するオフセット補正手段を備え、
    上記第2駆動手段が、上記電流設定の増加量に基づいて上記遷移期間を決定し、当該増加量が同一の場合における上記遷移期間を同一にすることを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
  4. 上記電流設定の増加量に対し、上記遷移期間として、増加後の駆動電流が最大値であってもレーザー光を漏出させない予め測定された期間を対応づけた遷移期間テーブルを備え、
    上記第2駆動手段が、上記遷移期間テーブルを用いて、上記遷移期間を決定することを特徴とする請求項3に記載のレーザー装置。
  5. ユーザにより指定されたプロポーションデータを保持する記憶手段を備え、
    上記励起光源駆動手段が、上記プロポーションデータに基づいて、上記電流設定に対する上記駆動電流の傾きを補正するプロポーション補正手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載のレーザー装置。
  6. レーザー出力のパワーレンジを異ならせた2以上の動作モードから任意の動作モードを選択させる動作モード選択手段と、
    上記電流設定の増加量に上記遷移期間を対応づけた動作モードごとの遷移期間テーブルとを備え、
    上記第2駆動手段が、上記電流設定の増加量に基づいて上記遷移期間を決定し、同一の動作モード内において、当該増加量が同一の場合における上記遷移期間を同一にすることを特徴とする請求項3又は5に記載のレーザー装置。
  7. 一定期間を超えて、レーザー出力が行われない場合に、駆動電流をスタンバイレベルに低下させるスタンバイ制御手段を備え、
    上記スタンバイレベルを動作モードごとに異ならせたことを特徴とする請求項6に記載のレーザー装置。
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