本発明は、ストロボ撮影システム、ストロボ装置及びカメラに関するものである。
一般にストロボの照射角特性を示すのに、照射可能なレンズ焦点距離が用いられている。例えば、35mmレンズカバーという表示がなされている。これは画面サイズが135フィルムを前提として、ストロボ装置(以下、単にストロボとも記す)の照射特性が上下約38°、左右約54°の画角をカバーしていることを示している。しかしながら、画面全体を均一に照射しているのではなく、ストロボ発光部の上(約19度)、下(約19度)、左(約27度)、右(約27度)の角度における光量がストロボの発光光軸上の光量に対してマイナス1段(光量が50%)以上であることを満足していることを示しているに過ぎない。
ここで、図14の四角の枠は撮影画面を表している。実際に撮影画面に照射される光量の分布は対角方向の光量落ちが定義されていないこと、所謂コサイン4乗則の影響もあり、中心から離れるほど光量が減少する。等高線状になっている線を示している段数は画面中心からのストロボの照射光量の落ちを示している。図14からも明らかなように、撮影画面の四隅は光量の落ちが2段以上になることがある。よって、被写体が画面中心付近にある場合は特に問題とならないが、被写体が画面の周辺に位置する場合は露出がアンダーになり、良好な撮影結果が得られないことがあった。また、ズーム機能付きレンズのズーム状態を広角側に設定した場合や、画角が広くなるように構成されているレンズを用いた場合に光量落ちが生じ易い。特に電子スチルカメラはフィルムカメラに比べ撮像素子のダイナミックレンジが狭く、画面周辺のストロボ光の光量落ちが問題となることがあった。このような光量落ちの影響を補償するための技術が特許文献1により既に提案されている。この特許文献1に開示された技術は、ストロボを用いた撮影時の光量分布に基づいて、撮像されたデータを補正する光量分布補正テーブルを備え、該光量分布補正テーブルによって撮像されたデータを補正するというものである。
特開2003−87653号公報
しかしながら、上記特許文献1の従来技術を用いて光量落ちの補正を行うと、露出は適性値に補正されるが、画質は改善されないという欠点があった。これは、光量分布補正テーブルを用いて補正した部位における撮像素子のリニアリティが悪く、適正な補正がなされないことが原因となっている。この光量落ちによる画質の低下は、一般的な画質にて撮影される場合はユーザーが気になるレベルではないが、より高い画質にて撮影された場合には気にかけるユーザーも現れることが考えられる。
(発明の目的)
本発明の目的は、ストロボを用いた撮影時に適切な照射角で撮影を行うことができるストロボ撮影システム、ストロボ装置及びカメラを提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮影レンズの焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を変更する照射角可変手段と、撮影画質を選択する撮影画質選択手段と、を有するストロボ撮影システムにおいて、前記照射角可変手段が、前記撮影レンズの焦点距離情報に加えて、前記撮影画質選択手段による選択結果に応じて前記ストロボ光の照射角を変更するストロボ撮影システムとするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、撮影レンズの焦点距離に応じてストロボ光の照射角を制御する照射角可変手段と、外光輝度を測定する外輝度測定手段と、前記外光輝度の測光結果に基づいてストロボ光寄与率を決定するストロボ光寄与率手段と、を有し、前記照射角可変手段が、前記撮影レンズの焦点距離情報に加えて、前記ストロボ光寄与率の決定結果に応じて前記ストロボ光の照射角を変更するストロボ撮影システムとするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、撮影レンズの焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を変更する照射角可変手段を有するストロボ装置において、前記照射角可変手段が、前記撮影レンズの焦点距離情報に加えて、撮影画質を示す撮影画質情報に応じて前記ストロボ光の照射角を変更するストロボ装置とするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項12に記載の発明は、撮影レンズの焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を制御する照射角制御手段を有するストロボ装置において、前記照射角可変手段が、前記撮影レンズの焦点距離情報に加えて、外光輝度の測光結果に基づいて決定されたストロボ光寄与率情報に応じて前記ストロボ光の照射角を変更するストロボ装置とするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項14に記載の発明は、撮影レンズの焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を変更する照射角可変手段と、画質モードを選択する画質モード選択手段と、を有するストロボ装置において、前記照射角可変手段が、前記画質モード選択手段により選択された画質モードに応じて照射角を変更するストロボ装置とするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項15に記載の発明は、ストロボ装置へ撮影レンズの焦点距離情報を出力するカメラにおいて、前記焦点距離に対応した照射角を変更させるために、前記ストロボ装置へ焦点距離情報と撮影画質を示す撮影画質情報を出力するカメラとするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項16に記載の発明は、ストロボ光の照射角を変更する照射角可変手段を有するストロボ装置と接続可能なカメラであって、撮影画質を選択する撮影画質選択手段と、前記撮影レンズの焦点距離情報に加えて、前記撮影画質選択手段による選択結果に応じて前記ストロボ光の照射角を設定するストロボ照射角設定手段と、前記ストロボの照射角を前記ストロボ装置に送信する送信手段と、を有するカメラとするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項18に記載の発明は、ストロボ光の照射角を変更する照射角可変手段を有するストロボ装置と接続可能なカメラであって、外光輝度を測定する外輝度測定手段と、前記外光輝度の測光結果に基づいてストロボ光寄与率を決定するストロボ光寄与率手段と、前記撮影レンズの焦点距離情報に加えて、前記ストロボ光寄与率の決定結果に応じて前記ストロボ光の照射角を設定するストロボ照射角設定手段と、前記ストロボの照射角を前記ストロボ装置に送信する送信手段と、を有するカメラとするものである。
本発明によれば、ストロボを用いた撮影時に適切な照射角で撮影を行うことができるストロボ撮影システム、ストロボ装置又はカメラを提供できるものである。
本発明を実施するための最良の形態は、以下に記載した実施例1ないし実施例6に示す通りである。
図1は本発明の実施例1に係わるストロボ撮影システムの回路構成を示すブロック図である。同図において、1はカメラ、2はカメラ1に着脱可能な焦点距離を変更できるレンズ、3はストロボ光の照射角を可変できるストロボ(ストロボ装置)である。
先ず、レンズ2内の構成について述べる。4は焦点距離を変更することのできる撮影レンズ、5は絞りである。6はレンズ制御部であり、カメラ1より得られた絞り値で絞り5を制御し、カメラ1からの指示により焦点を合わせるために撮影レンズ4を制御し、また撮影レンズ4の焦点距離情報をカメラ1に伝達する。以上のカメラ1とレンズ2の情報のやり取りは、複数の端子から成る端子15を介して行われる。
次に、カメラ1内の構成について述べる。7はシャッタである。8は撮像素子であり、後述のシステム制御部14により制御される。9は画像処理部であり、システム制御部14からの指示により撮像素子8からの被写体像に対応した信号を処理し、処理した信号を後述のバッファメモリ10に送る。10はバッファメモリであり、画像処理部9で処理された信号をシステム制御部14からの指示により一時的に記憶し、システム制御部14の指示により信号として後述のメモリ制御部11に出力する。11はメモリ制御部であり、後述の入力部17で入力された画像サイズ(ラージ、ミドル及びスモールサイズを有する)及び圧縮率(ノーマルと低圧縮率のファインを有する)でバッファメモリ10からの信号を処理し、後述の外部メモリ13に出力すると共に前記処理された内容を該外部メモリ13に記憶させる。また、メモリ制御部11はシステム制御部14からの指示により外部メモリ13に記憶された画像情報を読み出し、後述の表示部18に画像を表示することもできる。12は外部メモリ13とメモリ制御部11を接続する接続端子である。14はシステム制御部であり、カメラ全体のシステムを制御する。17は撮影画質選択手段を成す入力部であり、カメラ1の画質(詳しくは、画像サイズあるいは圧縮率)の選択や各種カメラのモードを入力できる。18は表示部であり、画質の表示や各種カメラのモード及び画像の表示をすることが可能である。19は操作部であり、複数のスイッチより構成されていて、少なくとも、不図示の電源スイッチ、レリーズスイッチ等を含んでいる。16はカメラ1側の端子であり、ストロボ3との信号の伝達を行い、複数の端子から構成されている。
次に、ストロボ3内の構成について述べる。20はストロボ3に設けられた端子であり、カメラ1との信号の伝達を行い、複数の端子から構成されている。21はストロボシステム制御部であり、後述の発光部24の照射角の制御、発光制御、後述のストロボ表示部23による表示等の制御を行う。22はストロボ入力部であり、照射角に関するモードの設定を行うことができる。23はLCDによって構成されるストロボ表示部であり、焦点距離情報、ガイドナンバ、各種モード等を表示することができる。24は発光部であり、ストロボシステム制御部21からの指示により矢印26のようにフレネルレンズ25に対して該発光部24を前後に移動し、照射角を制御する。ストロボシステム制御部21及び発光部24が照射角可変手段に相当する。
次に、上記構成のストロボ撮影システムの動作について、図2及び図3を用いて詳述する。
まず、図2(a)のフローチャートを用いて、カメラ1の撮影画像の画像サイズ及び圧縮率の設定時について説明する。
ステップS101はカメラ1の電源のオン状態であり、ステップS102にて、使用者により操作部19の不図示の操作ボタンにより画像サイズ・圧縮率選択モードが選択された事を検知すると、次のステップS103にて、入力部17により選択される画像サイズを設定する。画像サイズは、ラージ、ミドル、スモールの3種類あり、ここではラージサイズを選択されたものとする。また、入力部17により選択される圧縮率を設定する。圧縮率は低圧縮率のファインと高圧縮率のノーマルがあり、ここではファインを選択されたものとする。上記選択された画像サイズ・圧縮率選択モードの設定を終了すると、画像サイズ・圧縮率選択モードを解除(ステップS104)し、スタートの状態に戻る(ステップS105)。以上により、このときの画面サイズと圧縮率は上記ステップS103で設定された状態となっている。
次に、図2(b)を用いて、カメラ1の撮影動作について述べる。
ステップS111は、図2(a)で説明した画像サイズと圧縮率が設定されている状態である。この状態からステップS112ヘ進み、不図示のシャッタボタンの半押しでオンとなるスイッチSW1がオンであるかを判定し、オフであればオンになるまでこのステップで待機する。その後、スイッチSW1がオンするとステップS113へ進み、ここではストロボ3から発光準備完了信号が入力しているか否かを判定し、発光準備完了状態であればステップS114へ進み、発光準備完了状態にない時はステップS122に進む。
ストロボ3が発光準備完了状態であるとしてステップS114ヘ進むと、レンズ1より撮影レンズ4の焦点距離を入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は36mmとするそして、ステップS115にて、撮影レンズ4の焦点距離「36mm」をストロボ3に出力する。次のステップS116では、画像サイズが「ラージサイズ」であることをストロボ3に出力する。続くステップS117では、圧縮率が「ファイン」であることをストロボ3に出力する。
次のステップS118では、不図示の測光手段でAE(自動露出)に用いるシャッタスピード及び絞り値を決定する。また、不図示のオートフォーカス(AF)手段で合焦状態に制御する。そして、次のステップS119にて、不図示のシャッタボタンの全押しでオンとなるスイッチSW2がオンであるかを判定し、オフであればスイッチSW2がオンするまでこのステップに待機する。その後、スイッチSW2がオンするとステップS120へ進み、ストロボ撮影動作を実行するとともに撮像した画像データを外部メモリ13に記憶する。そして、次のステップS121にて、一連の動作を終了する。
上記ステップS113にてストロボ3が発光準備完了状態でないと判定した場合は、ステップS122へ進み、自然光による撮影処理(詳細は本発明とは直接関係しないので説明は省略する。)実行し、次のステップS123にて、一連の動作を終了する。
次に、ストロボ3での動作について、図2(c)のフローチャート及び図3を用いて説明する。
ステップS201は、ストロボ3の不図示の電源スイッチがオンとなっており、不図示の発光用メインコンデンサの充電が開始され、発光準備完了信号を既にカメラ1に出力している状態である。この状態において、先ずステップS202にて、撮影レンズ4の焦点距離情報をカメラ1から入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は36mmである。次のステップS203では、ストロボシステム制御部21内の図3の内容を保持した不図示のテーブルにしたがった表示焦点距離をストロボ表示部23に表示する。すなわち、撮影レンズ4の焦点距離が36mmであるので、この際は図3より35mmがストロボ表示部23に表示されることになる。図3の内容については後で詳述する。
次のステップS204では、画像サイズをカメラ1から入力する。ここでは画像サイズはラージサイズである。続くステップS205では、圧縮率をカメラ1から入力する。ここでは圧縮率はファインである。そして、ステップS206にて、ストロボ表示部23に画像サイズ及び圧縮率の情報を表示する。不図示ではあるが、「ラージ」、「ファイン」と表示される。次のステップS207では、制御照射角を前記テーブルより読み出す。制御照射角とは、高画質を要求しない場合に、ユーザーにとってストロボの照射による周辺光量落ちが気にならない画質を維持できるレンズ焦点距離のことである。画像サイズがラージであり、圧縮率がファインであるので、高画質モードとなり、28mmが読み出される。続くステップS208では、照射角28mmの時のガイドナンバは「30」となるのでストロボ表示部23に「30」と表示する。但しこの時、ストロボ表示部23の表示焦点距離は変更されない。次のステップS209では、発光部24を28mmに対応する照射角になるように制御する。そして、ステップS210にて、カメラ1からの発光指示にしたがって発光及び発光制御を行い、次のステップS211にて、一連の動作を終了する。
ここで、図3に示した内容について以下に説明する。
図3の左端のレンズ焦点距離は、カメラ1よりストロボ3が受け取った撮影レンズ4の焦点距離情報である。表示焦点距離は、ストロボ表示部23に表示される焦点距離であり、撮影レンズ4の焦点距離あるいはそれよりワイド側の焦点距離が表示される。これは、撮影者が撮影時の大まかなレンズ焦点距離を知ることに役立つ。また、制御照射角がステップ的に制御されるので、表示焦点距離もステップ的に変化する。前記制御照射角は、実際に制御されるストロボの照射角であり、既に述べたように一般的に定義されている照射角を示している。低画質モード時においては、表示焦点距離に対して前記一般的に定義されている照射角に制御されるので、表示焦点距離と制御照射角は一致している。なお、ガイドナンバは制御照射角に対応して変化し、制御照射角の数値が大きい程、照射角は狭くなり、ガイドナンバは大きくなる。ガイドナンバは撮像素子8の感度に応じて変化するが、図3では前記感度は一定とする。
図3からも明らかなように、画質が高くなるモードほど、撮影レンズ4の焦点距離より制御照射角のカバーできる焦点距離が小さくなっており、照射角は広くなるので、より良い画質の画像を得ることができる。
また、各画質モードにおいて、撮影レンズ4の焦点距離に対応して適切に照射角を制御できない場合はストロボ表示部23における表示焦点距離の表示を点滅し、警告する。図3の、表示焦点距離の数値の後の括弧内に「警告」と記している場合が上記に相当する。なお、図3において、表示焦点距離をステップ的に表示しているが、撮影レンズ4の焦点距離をそのまま表示しても良い。また、制御照射角をステップ的に制御しているが、連続的に制御しても良い。
次に、本発明の実施例2に係わるストロボ撮影システムについて説明する。なお、ストロボ撮影システムの回路構成は実施例1(図1)と同様であるものとする。また、カメラ1での動作は、実施例1における図2(a)及び図2(b)のフローチャートと同様であるのでその説明は省略する。
本発明の実施例2におけるストロボ3での動作について、図4のフローチャート及び図5を用いて説明する。
ステップS301は、ストロボ3の不図示の電源スイッチがオンとなっており、不図示の発光用メインコンデンサの充電が開始され、発光準備完了信号を既にカメラ1に出力している状態である。この状態からステップS302へ進み、撮影レンズ4の焦点距離情報をカメラ1から入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は36mmである。次のステップS303では、画像サイズをカメラ1から入力する。ここでは画像サイズはラージサイズである。続くステップS304では、圧縮率をカメラ1から入力する。ここでは圧縮率はファインである。そして、次のステップS305にて、ストロボシステム制御部21内の図5(a)及び図5(b)の内容を保持した不図示のテーブルにしたがった表示焦点距離をストロボ表示部23に表示する。すなわち、撮影レンズ4の焦点距離が36mmであり、高画質モードであるので、図5(b)より35mmがストロボ表示部23に表示される。図5については後で詳述する。
次のステップS306では、ストロボ表示部23に画像サイズ及び圧縮率の情報、すなわち「ラージ」と「ファイン」を表示する。続くステップS307では、焦点距離補正値を前記テーブルより読み出し、レンズ焦点距離に焦点距離補正値を加算し、加算した結果より制御照射角を決定する。ここでは、図5(b)からも解かるようにレンズ焦点距離は36mmであり、焦点距離補正値は−5mmであるので、補正焦点距離は31mmとなり、それに対応して制御照射角が28mmと決定される。次のステップS308では、前記テーブルより制御照射角28mmの時のガイドナンバ「25」を読み出し、ストロボ表示部23に表示する。但しこの時、ストロボ表示部23の表示焦点距離情報は変更されない。次のステップS309では、発光部24を28mmに対応する制御照射角になるように制御する。そして、ステップS310にて、カメラ1からの発光指示にしたがって発光及び発光制御を実行し、次のステップS311にて、一連の動作を終了する。
次に、図5に示した内容について説明する。
図5(a)は通常画質モードの場合に適用される図であり、図5(b)は高画質モードの場合に適用される図である。レンズ焦点距離は、カメラ1からストロボ3に送られる撮影レンズ4の焦点距離である。表示焦点距離とは、ストロボ表示部23に表示される焦点距離であり、撮影レンズ4の焦点距離あるいはそれよりワイド側の焦点距離が表示される。これは撮影者が撮影時の大まかなレンズ焦点距離を知ることに役立つ。また、制御照射角がステップ的に制御されるので、表示焦点距離もステップ的に変化するように設定してある。制御照射角は実際に制御されるストロボの照射角で、既に述べたように一般的に定義されている照射角を示している。通常画質モード時においては、表示焦点距離に対して前記一般的に定義されている照射角に制御されるので、表示焦点距離と制御照射角は一致している。なお、ガイドナンバは制御照射角に対応して変化し、制御照射角の数値が大きい程、照射角は狭くなり、ガイドナンバは大きくなる。ガイドナンバは撮像素子8の感度に応じて変化するが、図5では前記感度は一定とする。
図5からも明らかなように、高画質モードでは通常画質モードに比較して同じ撮影レンズ4の焦点距離でも、高画質モードの方が制御照射角のカバーできる焦点距離の値が小さくなっている、すなわち照射角が広くなる。したがって、高画質モードの方が周辺光量落ちの影響が少なく、より良い画質の画像を得ることができる。
また、各画質モードにおいて、撮影レンズ4の焦点距離に対応して適切に照射角を制御できない場合はストロボ表示部23における表示焦点距離の表示を点滅し、警告する。図5においては表示焦点距離の数値の後の括弧内に「警告」と記している場合が上記に相当する。なお、図5において、表示焦点距離をステップ的に表示しているが、撮影レンズ4の焦点距離をそのまま表示しても良い。また、制御照射角をステップ的に制御しているが、連続的に制御しても良い。
次に、本発明の実施例3に係わるストロボ撮影システムについて説明する。なお、ストロボ撮影システムの回路構成は実施例1(図1)と同様であるものとする。また、カメラ1での図6(a)に示す撮影画像の画像サイズ及び圧縮率の設定に関するステップS401〜S405での動作は、実施例1における図2(a)のステップS101〜S105のフローチャートと同様であるのでその説明は省略する。
先ず、本発明の実施例2におけるカメラ1での撮影動作について、図6(b)のフローチャートにより説明する。
ステップS411は、図6(a)での動作にて画像サイズと圧縮率が設定されている状態である。この状態からステップS412へ進み、不図示のシャッタボタンの半押しでオンとなるスイッチSW1がオンであるかを判定し、オフであればオンになるまでこのステップで待機する。その後、スイッチSW1がオンするとステップS413へ進み、ここではストロボ3から発光準備完了信号が入力し、発光準備完了状態であればステップS414へ進み、発光準備完了状態にない時はステップS423に進む。
ストロボ3が発光準備完了状態であるとしてステップS414ヘ進むと、レンズ1より撮影レンズ4の焦点距離を入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は36mmである。そして、ステップS415にて、撮影レンズ4の焦点距離36mmをストロボ3に出力する。次のステップS416では、画像サイズ及び圧縮率で決まる画質モードに応じて焦点距離補正値をカメラ1のシステム制御部14内の不図示のテーブルより読み出し、その焦点距離補正値をストロボ3に出力する。前記テーブルには前述の図5(a)及び図5(b)の内容が保持されているものとする。ここではレンズ焦点距離が36mmであり、画像サイズが「ラージ」、圧縮率が「ファイン」であるので高画質モードであり、焦点距離補正値は−5mmとなる。この値がストロボ3に出力される。続くステップS417では、画像サイズがラージサイズであることをストロボ3に出力する。そして、次のステップS418では、圧縮率がファインであることをストロボ3に出力する。
次のステップS419では、不図示の測光手段でAEに用いるシャッタスピード及び絞り値を決定する。また、不図示のオートフォーカス手段で合焦状態に制御する。そして、次のステップS420にて、不図示のシャッタボタンの全押しでオンとなるスイッチSW2がオンであるかを判定し、オフであればスイッチSW2がオンするまでこのステップに待機する。その後、スイッチSW2がオンすればステップS421へ進み、ストロボ撮影動作を実行するとともに撮像した画像データを外部メモリ13に記憶する。そして、次のステップS422にて、一連の動作を終了する。
上記ステップS413にてストロボ3が発光準備完了状態でないと判定した場合は、ステップS423へ進み、自然光による撮影処理(詳細は本発明とは直接関係しないので説明は省略する。)を実行し、次のステップS424にて、一連の動作を終了する。
次に、ストロボ3での動作について、図6(c)のフローチャートにより説明する。
ステップS501は、ストロボ3の不図示の電源スイッチがオンとなっており、不図示の発光用メインコンデンサの充電が開始され、発光準備完了信号を既にカメラ1に出力している状態である。この状態において、先ずステップS502にて、撮影レンズ4の焦点距離情報をカメラ1から入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は36mmである。次のステップS503では、図6(b)のステップS416に記した補正焦点距離をカメラ1から入力する。
次のステップS504では、画像サイズをカメラ1から入力する。ここでは画像サイズはラージサイズである。続くステップS505では、圧縮率をカメラ1から入力する。ここでは圧縮率はファインである。そして、次のステップS506にて、ストロボ表示部23に画像サイズ及び圧縮率を表示、つまり「ラージ」と「ファイン」を表示する。次のステップS507では、ストロボシステム制御部21内の図5(a)及び図5(b)の内容を保持した不図示のテーブルにしたがった表示焦点距離をストロボ表示部23に表示する。すなわち、撮影レンズ4の焦点距離が36mmであり、高画質モードであるので、図5(b)より35mmがストロボ表示部23に表示される。
次のステップS508では、上記ステップS502で入力した焦点距離「36mm」と上記ステップS503で入力した焦点距離補正値「−5mm」とを加算し、補正焦点距離を求める。ここでは補正焦点距離は31mmとなり、これに対応して制御照射角が28mmと決定される。続くステップS509では、図5(b)から解かるように制御照射角28mmの時のガイドナンバは「25」であるのでこれをストロボ表示部23に表示する。但しこの時、ストロボ表示部23の表示焦点距離情報は変更しない。そして、次のステップS510にて、発光部24を28mmに対応する制御照射角になるように制御する。続くステップS511では、カメラ1からの発光指示にしたがって発光及び発光制御を行い、ステップS512にて、一連の動作を終了する。
上記の実施例3と前述した実施例2との差は、焦点距離補正値を、実施例2ではストロボ3で読み出していた(図4のステップS307)ものを、本実施例3ではカメラ1で読み出している(図6のステップS416)ところにある。結果として、ストロボ表示部23に表示される内容及び制御される照射角は全く同じである。なお、図5(a)及び図5(b)の説明については前述した実施例2と同じなのでここでは省略する。
次に、本発明の実施例4に係わるストロボ撮影システムについて説明する。なお、ストロボ撮影システムの回路構成は実施例1(図1)と同様であるものとする。また、カメラ1での動作は、実施例1における図2(a)及び図2(b)のフローチャートと同様であるのでその説明は省略する。
本発明の実施例4におけるストロボ3での動作について、図7のフローチャート及び図8を用いて説明する。
ステップS601は、ストロボ3の不図示の電源スイッチがオンとなっており、不図示の発光用メインコンデンサの充電が開始され、発光準備完了信号を既にカメラ1に出力している状態である。この状態からステップS602へ進み、撮影レンズ4の焦点距離情報をカメラ1から入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離情報は36mmである。次のステップS603では、ストロボシステム制御部21内の図8(a)及び図8(b)に示す内容を保持した不図示のテーブルにしたがって、レンズ焦点距離が36mmであるので表示焦点距離35mmをストロボ表示部23に表示する。図8については後述する。続くステップS604では、画像サイズをカメラ1から入力する。ここでは画像サイズはラージサイズである。そして、次のステップS605にて、圧縮率をカメラ1から入力する。ここでは圧縮率はファインである。
次のステップS606では、前記テーブルよりレンズ焦点距離に対応したシフトステップを読み出す。ここでは、高画質モードであるから、焦点距離が36mmなのでシフトステップは−1になる。これは、通常画質モードでは36mmの場合、照射角は35mmカバーで制御されるが、シフトステップが−1であるので後述するが広角側に1ステップシフトした28mmレンズカバーで照射角を制御する。続くステップS607では、前記テーブルよりガイドナンバを読み出し、表示する。ここでは、制御照射角が28mmカバーであるのでガイドナンバは「25」となる。そして、次のステップS608にて、前記テーブルにしたがって28mmカバーの制御照射角で照射角を制御する。続くステップS609では、カメラ1からの発光指示にしたがって発光及び発光制御を行い、ステップS610にて、一連の動作を終了する。
ここで、図8(a)及び図8(b)の内容について説明する。図8(a)は通常画質モード時のレンズ焦点距離とそれに対応するストロボ3のストロボ表示部23に表示される表示焦点距離、シフトステップ、制御照射角、ガイドナンバを示している。ここで通常画質モードとは、画像サイズ/圧縮率がスモール/ノーマル、スモール/ファイン、ミドル/ファイン及びミドル/ノーマルである。図8(a)で明らかなように、照射角はステップ的に制御される。シフトステップは通常画質モード時における表示焦点距離に対する制御照射角を何ステップシフトするかを示しており、通常画質モードでは当然シフトステップは0となる。
図8(b)は画像サイズ/圧縮率がラージ/ファインの高画質モード時のレンズ焦点距離に対する表示焦点距離、シフトステップ、制御照射角及びガイドナンバを示している。図8(b)からも明らかなように、高画質モードの時はシフトステップが−1となっており、通常画質モードの時と同じ焦点距離のレンズを用いた時に比べ、1ステップ広角側の照射角で制御されるのが解る。
ここでは、高画質モードのシフトステップを−1のみとしたが、撮影レンズ2の焦点距離に応じてシフトステップを変えることも可能である。また、画質モードを低画質モード、中画質モード及び高画質モードを設け画質モードに応じてシフトステップを変えることも可能である。
本実施例4においても、高画質モードの時は通常画質モードの時に比べ、同じ焦点距離のレンズを使用した場合、広角側に照射角が制御されるので、画質の良い画像を得ることができる。
次に、本発明の実施例5に係わるストロボ撮影システムについて説明する。なお、ストロボ撮影システムの回路構成は実施例1(図1)と同様であるものとする。また、カメラ1での撮影画像の画像サイズ及び圧縮率の設定に関しての動作は、実施例1における図2(a)と同様であるのでその説明は省略する。
先ず、本発明の実施例5におけるカメラ1での撮影動作について、図9(a)のフローチャートにより説明する。
ステップS701は、画像サイズと圧縮率が設定されている状態である。この状態からステップS702へ進み、不図示のシャッタボタンの半押しでオンとなるスイッチSW1がオンであるかを判定し、オフであればオンになるまでこのステップで待機する。その後、スイッチSW1がオンするとステップS703へ進み、ここではストロボ3から発光準備完了信号を入力し、発光準備完了状態であればステップS704へ進み、発光準備完了状態にない時はステップS710に進む。
ストロボ3が発光準備完了状態であるとしてステップS704ヘ進むと、レンズ1より撮影レンズ4の焦点距離を入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は36mmである。そして、ステップS705にて、撮影レンズ4の焦点距離をストロボ3に出力する。上述したように、ここでは36mmである。次のステップS706では、不図示の測光手段でAEに用いるシャッタスピード及び絞り値を決定する。また、不図示のオートフォーカス手段で合焦状態に制御する。続くステップS707では、不図示のシャッタボタンの全押しでオンとなるスイッチSW2がオンであるかを判定し、オフであればスイッチSW2がオンするまでこのステップに待機する。その後、スイッチSW2がオンするとステップS708へ進み、ストロボ撮影動作を実行するとともに撮像した画像データを外部メモリ13に記憶する。そして、次のステップS709にて、一連の動作を終了する。
上記ステップS703にてストロボ3が発光準備完了状態でないと判定した場合は、ステップS710へ進み、自然光による撮影処理(詳細は本発明とは直接関係しないので説明は省略する)を実行し、次のステップS711にて、一連の動作を終了する。
次に、ストロボ3での照射角モードの設定について動作について、図9(b)のフローチャートにより説明する。
ステップS801は、ストロボ3の不図示の電源スイッチがオンとなっている状態である。この状態からステップS802へ進み、使用者によりストロボ入力部22で照射角モードの設定モードが選択されたことを検知するとステップS803ヘ進み、ストロボ入力部22にて選択される照射角モードを設定する。照射角モードは通常モードと高画質モードを有する。ここでは、高画質モードが選択されたものとして該高画質モードを設定するとともに該高画質モードをストロボ表示部23に表示する。なお、通常モードが選択された際には照射角モードを表示しなくても良い。そして、ステップS804にて、照射角モードの設定モードを解除し、次のステップS805にて、スタート時の状態に戻る。
次に、ストロボ3での動作について、図9(c)のフローチャート及び図10を用いて説明する。
ステップS811は、ストロボ3の不図示の電源スイッチがオンとなっており、不図示の発光用メインコンデンサの充電が開始され、発光準備完了信号を既にカメラ1に出力している状態である。また、前述の様に照射角モードは高画質モードに設定されている。この状態からステップS812へ進み、撮影レンズ4の焦点距離情報をカメラ1から入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離情報は36mmである。次のステップS813では、ストロボシステム制御部21にある図10(a)及び図10(b)に示す内容を保持した不図示テーブルにしたがったストロボ3内の表示焦点距離をストロボ表示部23に表示する。この際は撮影レンズ4の焦点距離が36mmであるので、図10(b)より表示焦点距離が35mmレンズが表示される。
次のステップS814では、前記テーブルにしたがい、ガイドナンバ25をストロボ表示部23に表示する。そして、次のステップS815にて、前記テーブルにしたがい、制御照射角を28mmレンズカバーに制御する。続くステップS816では、カメラ1からの発光指示にしたがって発光及び発光制御を行い、次のステップS817にて、一連の動作を終了する。
ここで、図10(a)及び図10(b)の内容について説明する。図10(a)は通常モードの時を示すものであり、撮影レンズ4の焦点距離であるレンズ焦点距離に対応してストロボ表示部23に表示される表示焦点距離、前記一般的に定義されている制御照射角、該制御照射角に対応したガイドナンバを記している。例えば、撮影レンズ4の焦点距離が25mmであった時は表示焦点距離は24mmとなり、24mm及びその時のガイドナンバ23がストロボ表示部23に表示される。撮影レンズ4の焦点距離が20mmであった時は表示焦点距離は24mmとなるが、制御できる照射角は24mmまでなので24mmの表示が点滅し、適正にストロボの発光が被写体を照射できないことを撮影者に警告する。
図10(b)は高画質モードの時を示すものであり、撮影レンズ4の焦点距離であるレンズ焦点距離に対応してストロボ表示部23に表示される表示焦点距離、制御照射角、該制御照射角に対応したガイドナンバを記している。図10(b)において、レンズ焦点距離が25mm以下の時は表示焦点距離が24mmとなり、図10(a)の説明と同様に、ストロボ表示部23に表示された24mmが点滅し、警告する。
図10(a)及び図10(b)からも明らかなように、高画質モードをストロボ3で選択した場合は同じレンズ焦点距離でも照射角は通常モードより広くなり、より良い画質がえられることが解かる。前述した様にストロボシステム制御部21内のテーブルは図10(a)及び図10(b)が実現できるように作成されている。
以上の図9のフローからも明らかな様に、カメラ1に設定された画質に応じてストロボ3の画質モードを選択することができる。また、カメラ1で設定された画質にかかわらず画質モードを設定することもできる。例えば、カメラ1が高画質モードであっても、ガイドナンバを優先したい場合は通常モードを設定することもできる。
次に、本発明の実施例6に係わるストロボ撮影システムについて説明する。なお、ストロボ撮影システムの回路構成は実施例1(図1)と同様であるものとする。
本発明の実施例6は、ストロボ撮影において、自然光輝度によりストロボ光と自然光の露光の割合を変化させている露光システムに着目したものである。一般的に前記のような露光システムにおいては自然光が低輝度程ストロボ光の割合が大きく、暗黒では100%である。また、高輝度程自然光の割合が大きく、逆にストロボ光の割合が少なく、40%あるいはそれ以下である。当然のことながらストロボ光の割合が大きい低輝度程、撮影画面周辺での光量落ちが目立つことになる。逆に高輝度の場合は、自然光により撮影画面の周辺での光量落ちが目立たなくなる。
上記より、本発明の実施例6では、自然光が低輝度な時はガイドナンバより照射角を優先し、高輝度になる程、照射角よりガイドナンバを優先したストロボ撮影システムとするものである。
本発明の実施例6におけるカメラ1での動作について、図11(a)のフローチャート及び図12(a)を用いて説明する。
ステップS901は、図6(a)での動作にて画像サイズと圧縮率が設定されている状態である。この状態からステップS902へ進み、不図示のシャッタボタンの半押しでオンとなるスイッチSW1がオンであるかを判定し、オフであればオンになるまでこのステップで待機する。その後、スイッチSW1がオンするとステップS903へ進み、ここではストロボ3から発光準備完了信号を入力し、発光準備完了状態であればステップS904へ進み、発光準備完了状態にない時はステップS913に進む。
ストロボ3が発光準備完了状態であるとしてステップS904ヘ進むと、レンズ1より撮影レンズ4の焦点距離を入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は31mmとするそして、ステップS905にて、撮影レンズ4の焦点距離31mmをストロボ3に出力する。次のステップS906では、不図示の測光手段で自然光輝度を測定する。測定結果はアペックス値でBV2とする。続くステップS907では、システム制御部14内の図12(a)及び図13に示す内容を保持した不図示のテーブルに基づいてストロボ発光の露光量に対する寄与率を決定する。自然光輝度に対するストロボ光の寄与率の詳細は、図13に示す通りである。ストロボ光の割合はBV2であるから、70〜100%の間の数値75%となる。
次のステップS908では、前記テーブルより焦点距離補正値をストロボに出力する。自然光輝度がBV2であるので焦点距離補正値は31mm×0.15=4.65となる。続くステップS909では、前記外光輝度に基づいてAEに用いるシャッタスピード及び絞り値を決定する。また、不図示のオートフォーカス手段で合焦状態に制御する。そして、ステップS910にて、不図示のシャッタボタンの全押しでオンとなるスイッチSW2がオンであるかを判定し、オフであればオンになるまでこのステップで待機する。その後、スイッチSW2がオンするとステップS911へ進み、ストロボ撮影動作を実行するとともに撮像された画像データを外部メモリ13に記憶する。前述の様にストロボ光の寄与率は75%で制御される。そして、次のステップS712にて、一連の動作を終了する。
上記ステップS903にてストロボ3が発光準備完了状態でないと判定した場合は、ステップS913へ進み、自然光による撮影処理(詳細は本発明とは直接関係しないので説明は省略する)を実行し、次のステップS914にて、一連の動作を終了する。
次に、ストロボ3での動作について、図11(b)のフローチャート及び図12(b)を用いて説明する。
ステップS1011は、ストロボ3の不図示の電源スイッチがオンとなっており、不図示の発光用メインコンデンサの充電が開始され、発光準備完了信号を既にカメラ1に出力している状態である。この状態よりステップS1012へ進み、撮影レンズ4の焦点距離情報をカメラ1から入力する。ここでは撮影レンズ4の焦点距離は31mmである。次のステップS1013では、撮影レンズ4の焦点距離情報をストロボ表示部23に表示する。続くステップS1014では、焦点距離補正値を入力する。焦点距離補正値は前述のように4.65mmである。
次のステップS1015では、撮影レンズ4の焦点距離から焦点距離補正値を引き算し、補正後の焦点距離を算出する。算出結果は31−4.65=26.25(mm)となる。そして、ストロボシステム制御部21内の不図示のテーブルの図12(b)にしたがって制御照射角を決定する。決定された制御照射角は26mmとなる。続くステップS1016では、制御照射角に応じたガイドナンバをストロボ表示部23に表示する。ここでは「29」が表示される。この時、補正後焦点距離が23mm以下の時は照射角制御の範囲外であるので前記表示されている焦点距離が点滅し、警告する。次のステップS1017にて、前記決定された制御照射角にしたがって照射角を制御する。続くステップS1018では、カメラ1からの発光指示にしたがって発光及び発光制御を行い、ステップS1019にて、一連の動作を終了する。
次に、図12(a)及び図12(b)の内容について説明する。
図12(a)において、輝度はカメラ1の不図示の測光手段で測光された自然光輝度であり、ストロボ光寄与率は自然光輝度に対して一義的に決定される。図13に示すように、例えば輝度BV2(アペックス値)の時は75%、BV5の時は50%となるようにプログラム的にカメラ1内のシステム制御部14内に設定されている。ストロボ光寄与率の非常に高い輝度BV3未満では、焦点距離補正値はレンズ焦点距離×0.15(mm)であり、ストロボ光寄与率が比較的高いBV3以上BV6未満までは焦点距離補正値はレンズ焦点距離×0.075(mm)となっている。また、ストロボ光の寄与率が低いBV6以上では焦点距離補正値は0(mm)となっている。レンズ焦点距離より焦点距離補正値を減ずると、図12(b)に示す補正後焦点距離となる。補正後焦点距離に応じて制御照射角が決定され、ガイドナンバも決定される。
上記フローでは、レンズ焦点距離31mmでBV2の場合について述べたが、レンズ焦点距離31mmでBV4の時においては焦点距離補正値は31×0.075=2.325mmとなり、補正後焦点距離は28.675mmとなり、制御照射角は28mmとなる。したがって、輝度が低くなる程、すなわちストロボ光の寄与率が高くなる程制御照射角はワイド側になることが解かる。
上記実施例6では、カメラで焦点距離補正値を決定しストロボに送っているが、カメラから自然光輝度情報を受け取りストロボで焦点距離補正値を決定しても良い。
上記の実施例1〜実施例6における効果について、以下にまとめて述べる。
(1)撮影レンズ4の焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を変更する手段と、撮影画質を選択する手段とを有し、撮影画質の選択結果に応じてストロボ光の照射角を変更するようにしている。よって、撮影画質に応じた適切な照射角でストロボ撮影が行うことが可能となる。詳しくは、撮影画質を選択する手段により高画質が選択された場合は、ワイド(広角)側の照射角になるように変更しているので、画面周辺での光量落ちの少ない良好な撮影結果を得ることができる。
(2)撮影レンズ4の焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を変更する手段と、撮影画質を選択する手段とを有し、撮影画質の選択結果に応じて撮影レンズ4の焦点距離情報を所定量補正するようにしている。よって、撮影画質に応じた適切な照射角でストロボ撮影が行うことが可能となる。詳しくは、撮影画質を選択する手段によって高画質が選択された場合は、撮影レンズ4の焦点距離情報をワイド側に補正するようにしているので、この際には照射角がワイド側になるように変更されることから、画面周辺での光量落ちの少ない良好な撮影結果を得ることが可能となる。なお、カメラ1が、画質の選択結果に応じて撮影レンズ4の焦点距離情報を補正し、該補正した焦点距離情報をストロボ3に伝達する、あるいは、ストロボ3が、画質の選択結果に応じてカメラ1からの撮影レンズ4の焦点距離情報を補正するようにしている。
(3)撮影レンズ4の焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を変更する手段と、撮影画質を選択する手段とを有し、撮影画質の選択結果に応じて照射角をステップ的(段階的)にシフトさせるようにしている。よって、撮影画質に応じた適切な照射角でストロボ撮影が行うことが可能となる。詳しくは、撮影画質を選択する手段によって高画質が選択された場合は、撮影画質をワイド側にシフトするようにしているので、画面周辺での光量落ちの少ない良好な撮影結果を得ることができる。
(4)上記(1)乃至(3)のストロボ撮影システムにおいて、撮影画質を選択する手段により選択される画質とは、画像サイズあるいは圧縮率である。よって、画像サイズあるいは圧縮率に応じて適切な照射角のストロボ撮影が可能である。
(5)撮影レンズ4の焦点距離情報に応じてストロボ光の照射角を変更する手段と、画質モードを選択する手段とを有するストロボ装置において、選択された画質モードに応じて照射角を変更するようにしている。よって、スロボ光の照射角を画質モードに応じて変更することが可能であり、該ストロボ装置を含むストロボ撮影システムを構成した場合、撮影画質に応じた適切な照射角でストロボ撮影が行うことが可能となる。
(6)撮影レンズ4の焦点距離に応じてストロボ光の照射角を制御する手段と、外光輝度(自然光輝度)を測光する手段と、この自然光輝度の結果に基づいてストロボ光寄与率を決定する手段とを有し、ストロボ光寄与率の決定結果に基づいて、撮影レンズ4の焦点距離に応じて制御された前記ストロボ光の照射角を補正するようにしている。よって、ストロボ光の照射角をストロボ光の露出に対する寄与率に応じて適切に変更することが可能である。詳しくは、ストロボ光寄与率の決定結果による該ストロボ光寄与率が高い時程、前記ストロボ光の照射角をワイド側に補正するようにしている。よって、低輝度時のストロボ光の照射むらを軽減することができる。
上記実施例1乃至6では、ストロボシステム制御部21にて制御照射角を決定しているが、これに限られるものではない。カメラがストロボの代わりに複数の制御照射角のテーブルを有し、カメラのシステム制御部14が装着されたストロボに応じてテーブルを選択して制御照射角を決定し、制御照射角の情報をストロボシステム制御部21に送信する構成としても構わない。
また、カメラに着脱可能なストロボとカメラからなるシステムを例にあげて説明を行ったが、内蔵ストロボを有するカメラであっても上記と同様の制御照射角の設定を行える。
なお、上述したように実施例1〜6においてガイドナンバがストロボ2の表示部23に表示されるが、この値は発光可能な最大ガイドナンバを示しているのであって、被写体の輝度に応じてガイドナンバは適当な値に設定される。
本発明の各実施例に係わるストロボ撮影システムの回路構成を示すブロック図である。
本発明の実施例1におけるカメラ及びストロボでの動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例1において画質モードとレンズ焦点距離等の関係を示す図である。
本発明の実施例2におけるストロボでの動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例2において画質モードとレンズ焦点距離等の関係を示す図である。
本発明の実施例3におけるカメラ及びストロボでの動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例4におけるストロボでの動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例4において画質モードとレンズ焦点距離等の関係を示す図である。
本発明の実施例5におけるカメラ及びストロボでの動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例5において画質モードとレンズ焦点距離等の関係を示す図である。
本発明の実施例6におけるカメラとストロボでの動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例6において自然光輝度とストロボ光寄与率、焦点距離補正値等の関係を示す図である。
本発明の実施例6において自然光輝度とストロボ光寄与率の関係を示す図である。
一般的なストロボ撮影時のストロボ光の照射特性を示す図である。
符号の説明
1 カメラ
2 レンズ
3 ストロボ(装置)
4 撮影レンズ
8 撮像素子
14 システム制御部
21 ストロボシステム制御部
24 発光部