JP2006153850A - 化合物精製濃縮用具及びそれを用いた化合物の精製濃縮方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 流体の流入口と流出口を有する容器内に、化合物を精製・濃縮する充填材とその充填材両端面に充填材を保持する流体透過板とを有する化合物精製・濃縮用具において、両端面の流体透過板の外面側に空間部を有することを特徴とする化合物精製・濃縮用具、及びそれを用いる化合物精製・濃縮方法。本発明では流体が気体で、6〜12L/minの流量で流す場合は流体の流入口または流出口の外周線から流体透過板表面へ垂直に降ろした面によって形成される仮想円柱の側面を通過する気体の線速度を30m/sec以下となるように設計する。
【選択図】 図1
Description
1.流体の流入口と流出口を有する容器内に、化合物を精製濃縮する充填材と、その充填材両端面に充填材を保持する流体透過板とを有する化合物精製・濃縮用具において、両端面の流体透過板の外面側に空間部を有することを特徴とする化合物精製・濃縮用具。
2.流体透過板外面側の少なくとも一方の容器内側面に流体透過板を保持する突起構造を有する前記1に記載の化合物精製・濃縮用具。
3.流体透過板外面側の少なくとも一方の容器内壁がテーパー構造を有する前記1または2に記載の化合物精製・濃縮用具。
4.前記空間部に化合物の精製・濃縮に影響を及ぼさない物質が充填されている前記1乃至3のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
5.前記化合物の精製・濃縮に影響を及ぼさない物質が、ガラス粒子、ガラス繊維、石英粒子、石英繊維、セラミック粒子、金属粒子、金属繊維、ポリマー粒子、ポリマー繊維、砂礫及びそれらの焼結体よりなる群から選ばれる1種または2種以上である前記4に記載の化合物精製・濃縮用具。
6.流体透過板の外面側の少なくとも一方に溝状の構造物を有する前記1乃至3のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
7.前記溝状の構造物が容器内壁に設けられている前記6に記載の化合物精製・濃縮用具。
8.前記空間部の容積が、片側で全容積の0.2〜50%、両側合計で全容積の0.5〜50%である前記1または4に記載の化合物精製・濃縮用具。
9.充填材がモノリス(ロッド状の多孔質連続体)または繊維状である前記1乃至8のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
10.充填材が平均粒径5μm以上の、球状、破砕状、または不定形の粒状体である前記1乃至8のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
11.充填材が流体との接触により体積変化する材料からなる前記1、4または10に記載の化合物精製・濃縮用具。
12.前記充填材の体積変化率が0.5〜50%である前記11に記載の化合物精製・濃縮用具。
13.固相抽出用カートリッジまたはカラムの形態である前記1乃至12のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
14.流入口及び流出口の一方がオス構造、他方がそれに連結可能なメス構造である前記1乃至13のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
15.流体が気体であり、気体を6〜12L/minの流量で流す場合に、前記流体の流入口または流出口の外周線から流体透過板表面へ垂直に降ろした面によって形成される仮想円柱の側面を通過する気体の線速度が30m/sec以下となるように設計された前記1乃至14に記載の化合物精製・濃縮用具。
16.前記1乃至15のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具を用いることを特徴とする流体に含まれる化合物の精製・濃縮方法。
17.化合物が、環境汚染物質、ダイオキシン類、環境ホルモン、農薬、界面活性剤、生物毒素、天然薬物、天然色素、天然香料、及び天然調味料よりなる群から選ばれる1種または2種以上である前記16に記載の化合物の精製・濃縮方法。
18.化合物を含む流体が、液体及び/または気体である前記16に記載の化合物の精製・濃縮方法。
19.液体が、環境水、体液、分離液、抽出液及び吸収液から選ばれる前記18に記載の化合物の精製・濃縮方法。
20.気体が、大気、室内空気、分離ガス及び抽出ガスから選ばれる前記18に記載の化合物の精製・濃縮方法。
21.前記1乃至15に記載の化合物精製・濃縮用具を用い、気体試料を6〜12L/minの流量で、かつ流体の流入口または流出口の外周線から流体透過板表面へ垂直に降ろした面によって形成される仮想円柱の側面を通過する線速度を30m/sec以下となるよう流すことを特徴とする気体試料中の化合物の精製・濃縮方法。
本発明の化合物精製・濃縮用具は、図1に一例の概要図を示すように、流体の流入口(5)、流出口(6)を有する容器(1)内に、流体に含まれる被測定化合物または有用化合物を精製または濃縮する充填材(4)と、その充填材両端面に充填材を保持する流体透過板(3a,3b)を有する化合物精製・濃縮用具において、両方の流体透過板(3a,3b)の外面側に空間部(7a,7b)を設けることを特徴とするものである。
この空間部を確保するためには、流体透過板外面側の容器内側面に突起構造を設けてもよい。この突起は容器内側面の全周にわたってもよいし、流体透過板を安定に保持できれば一部であってもよい。この突起構造によって流体透過板を容易に保持することができる。
以上のことから、空間部の容積は、片側で全容積の0.2〜50%、両側合計で全容積の0.5〜50%の範囲とすることが好ましい。
内径約12mmのカートリッジに、粒径500〜700μmのポリスチレン粒子約300mgを、ポリエチレン粒子を焼成して作った流体透過板2枚で挟み充填保持した。両方の流体透過板の外面側には中央部で高さ約2mmの空間ができるよう図1に示すテーパー構造を設けた。この時、流入口(流出口)の内径は2mmで、流体透過板との間にできる仮想円柱の側面積は2×2×πmm2=1.26×10-5m2となる。カートリッジに真空ポンプを接続して吸引法により通気を行い、通気速度を変えながらカートリッジの上流側と下流側の差圧を測定した。その結果、通常(2.8L/min)より速い通気速度6L/minで通気した時、仮想円柱の側面通気線速度は6L/min÷60÷(1.26×10-5)m2÷1000=8.0m/secであり、カートリッジの差圧は約60hPa、通気速度8L/minで通気した時、仮想円柱の側面通気線速度は10.6m/secであり、カートリッジの差圧は約90hPaであった。
図3に示す内径(W)約12mmのカートリッジ(1)に、粒径500〜700μmのポリスチレン粒子約300mgを、ポリエチレン粒子を焼成して作った流体透過板2枚で挟み充填保持した。両方の流体透過板の外面側には中央部で高さ(h)約1.5mmの空間ができるよう突起(8)(L=3mm)を設けて、放射状の扇形溝状構造(9)を構築した。この時、流入口(5)(流出口(6))の内径(d)は2mmで、流体透過板との間にできる仮想円柱の側面積(d・h・π)は2×1.5×πmm2=0.94×10-5m2となる。カートリッジに真空ポンプを接続して吸引法により通気を行い、通気速度を変えながらカートリッジの上流側と下流側の差圧を測定した。その結果、通気速度6L/minで通気した時、仮想円柱の側面通気線速度は10.6m/sec、カートリッジの差圧は約65hPaであり、通気速度8L/minで通気した時、仮想円柱の側面通気線速度は14.2m/sec、のカートリッジの差圧は約100hPaであった。
実施例1と同径でテーパー構造をもたない図2に概要を示すカートリッジ(粒径500〜700μmのポリスチレン粒子約300mg充填)を作製した。このカートリッジを用い、同様の試験を行ったところ、通気速度3L/minで通気した時のカートリッジの差圧は約108hPaであり、それ以上の流速は、実際の測定範囲外のため測定できなかった。
実施例1と同径で、両方の流体透過板の外面側中央部に高さ約0.5mmの空間ができるような構造のカートリッジ(粒径500〜700μmのポリスチレン粒子約300mg充填)を作製した。この時、流入口(流出口)の内径は2mmで、流体透過板との間にできる仮想円柱の側面積は2×0.5×πmm2=0.31×10-5m2となる。このカートリッジを用い、同様の試験を行ったところ、通気速度6L/minで通気した時、仮想円柱の側面通気線速度は31.8m/sec、カートリッジの差圧は約190hPaであり、それ以上の流速は圧力損失が大きく測定できなかった。
実施例1で使用したものと同型のカートリッジに、粒径50〜90μmのポリスチレン粒子約300mgを、ポリエチレン粒子を焼成して作った流体透過板2枚で挟み充填保持した。カートリッジに定量ポンプを接続して加圧法により純水を通液し、通液速度を変えながらカートリッジの上流側にかかる圧力を測定した。その結果は、通液速度10mL/minで通液した時のカートリッジ上流側の圧力は約85hPa、通液速度20mL/minで通液した時のカートリッジ上流側の圧力は約160hPa、通液速度40mL/minで通液した時のカートリッジ上流側の圧力は約330hPaであった。
比較例1で使用したものと同型のカートリッジに、粒径50〜90μmのポリスチレン粒子約300mgを、ポリエチレン粒子を焼成して作った流体透過板2枚で挟み充填保持した。このカートリッジを用い、実施例3と同様の試験を行った。その結果は、通液速度10mL/minで通液した時のカートリッジ上流側の圧力は約160hPa、通液速度20mL/minで通液した時のカートリッジ上流側の圧力は約240hPa、通液速度40mL/minで通液した時のカートリッジ上流側の圧力は約420hPaであった。
実施例3で使用したカートリッジを用い、農薬ベンダイオカルブの添加回収試験を行った。
方法:カートリッジを2本連結し、アセトン/酢酸エチル(1/1)10mL、メタノール10mL、純水10mLを通液して前処理を行った。1Lの純水に、メタノールにて300ppmに調整したベンダイオカルブを50μL添加した検液を10mL/min、30mL/min、50mL/minで通液した。通液後のカートリッジから、アセトン/酢酸エチル(1/1)10mLでベンダイオカルブを溶出し、窒素を緩やかに吹付けて0.5mLに濃縮し、アセトニトリルで3mLにメスアップ後、HPLC(UV254nm)にて分析、回収率を算出した。
結果:いずれの通液速度でも、回収率は94〜98%であった。
比較例3で使用したカートリッジを用い、農薬ベンダイオカルブの添加回収試験を行った。
方法:実施例3と同様。
結果:通液速度10mL/min、30mL/minの時の回収率は両方とも94%であった。50mL/minでは、圧力損失が大きく、通液ができなかった。
実施例3で使用したカートリッジを用い、河川水の通液性試験を行った。
方法:カートリッジ2本を連結し、真空ポンプにて−0.07〜0.075MPaの吸引法にて神奈川県T河川水(5月採取)を吸引通液し、その通液速度を経時的に測定した。
結果:通液開始直後の通液速度は約25mL/minで、2分後に20mL/minに減少したが、その後1L通液後も通液速度はほとんど変わらず18mL/min以上を維持していた。
比較例3で使用したカートリッジを用い、河川水の通液性試験を行った。
方法:実施例5と同様。
結果:通液開始直後の通液速度は約10mL/minであった。その後、すぐに通液速度が落ち始め、500mL通液後は閉塞によりほとんど流れなくなった。
2 テーパー構造
3a,3b 流体透過板
4 充填材
5 流入口
6 流出口
7a,7b 空間部
8 突起状構造
9 溝状構造
10 仮想円柱
Claims (21)
- 流体の流入口と流出口を有する容器内に、化合物を精製濃縮する充填材と、その充填材両端面に充填材を保持する流体透過板とを有する化合物精製・濃縮用具において、両端面の流体透過板の外面側に空間部を有することを特徴とする化合物精製・濃縮用具。
- 流体透過板外面側の少なくとも一方の容器内側面に流体透過板を保持する突起構造を有する請求項1に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 流体透過板外面側の少なくとも一方の容器内壁がテーパー構造を有する請求項1または2に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 前記空間部に化合物の精製・濃縮に影響を及ぼさない物質が充填されている請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
- 前記化合物の精製・濃縮に影響を及ぼさない物質が、ガラス粒子、ガラス繊維、石英粒子、石英繊維、セラミック粒子、金属粒子、金属繊維、ポリマー粒子、ポリマー繊維、砂礫及びそれらの焼結体よりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項4に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 流体透過板の外面側の少なくとも一方に溝状の構造物を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
- 前記溝状の構造物が容器内壁に設けられている請求項6に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 前記空間部の容積が、片側で全容積の0.2〜50%、両側合計で全容積の0.5〜50%である請求項1または4に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 充填材がモノリス(ロッド状の多孔質連続体)または繊維状である請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
- 充填材が平均粒径5μm以上の、球状、破砕状、または不定形の粒状体である請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
- 充填材が流体との接触により体積変化する材料からなる請求項1、4または10に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 前記充填材の体積変化率が0.5〜50%である請求項11に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 固相抽出用カートリッジまたはカラムの形態である請求項1乃至12のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
- 流入口及び流出口の一方がオス構造、他方がそれに連結可能なメス構造である請求項1乃至13のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具。
- 流体が気体であり、気体を6〜12L/minの流量で流す場合に、前記流体の流入口または流出口の外周線から流体透過板表面へ垂直に降ろした面によって形成される仮想円柱の側面を通過する気体の線速度が30m/sec以下となるように設計された請求項1乃至14に記載の化合物精製・濃縮用具。
- 請求項1乃至15のいずれかに記載の化合物精製・濃縮用具を用いることを特徴とする流体に含まれる化合物の精製・濃縮方法。
- 化合物が、環境汚染物質、ダイオキシン類、環境ホルモン、農薬、界面活性剤、生物毒素、天然薬物、天然色素、天然香料、及び天然調味料よりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項16に記載の化合物の精製・濃縮方法。
- 化合物を含む流体が、液体及び/または気体である請求項16に記載の化合物の精製・濃縮方法。
- 液体が、環境水、体液、分離液、抽出液及び吸収液から選ばれる請求項18に記載の化合物の精製・濃縮方法。
- 気体が、大気、室内空気、分離ガス及び抽出ガスから選ばれる請求項18に記載の化合物の精製・濃縮方法。
- 請求項1乃至15に記載の化合物精製・濃縮用具を用い、気体試料を6〜12L/minの流量で、かつ流体の流入口または流出口の外周線から流体透過板表面へ垂直に降ろした面によって形成される仮想円柱の側面を通過する線速度を30m/sec以下となるよう流すことを特徴とする気体試料中の化合物の精製・濃縮方法。
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