JP2006143595A - スルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法 - Google Patents

スルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 式(1)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−X (1)
(R1及びR2はそれぞれ1価炭化水素基、R3は2価炭化水素基、Xはハロゲン原子、pは0,1又は2)
で表されるハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と硫黄との混合物を相間移動触媒の存在下、M2S(Mはアンモニウム又はアルカリ金属を示す)で表される硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液と反応させることにより、式(2)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sm−R3−Si(OR1(3-p)(R2p (2)
(mは平均値として2≦m≦6)
で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物を得ることを特徴とするスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法。
【効果】 本発明によれば、ゴムとの反応性が低く、有用でないモノスルフィド含有有機珪素化合物の含有量の少ないスルフィド鎖含有有機珪素化合物を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、下記平均組成式(2)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sm−R3−Si(OR1(3-p)(R2p (2)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、mは平均値として2≦m≦6の正数を示し、pは0,1又は2を示す。)
で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物を、相間移動触媒を用い、モノスルフィド鎖含有有機珪素化合物の生成を抑制して製造する方法に関する。
bis−トリエトキシシリルテトラスルフィドは、シリカ配合タイヤにおいて、ゴムとシリカのカップリング剤として広く使用されている。しかし、該化合物は、ゴム、シリカと共に高温で混練した場合、配合物の粘度を上昇させ、その後の加工性に問題があった。
このために、これを改良したbis−トリエトキシシリルプロピルジスルフィドのような短鎖ポリスルフィド化合物が提案され、特許文献1:特開平9−169774号公報には、NaCNを用いるジスルフィドシランの製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法は、NaCNという有毒な化合物を使うという問題点があり、これに替わる安価で安全な短鎖スルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法が求められていた。
そこで、本発明者らは、一般式(RO)3SiC36x36Si(OR)3(Rはメチル基又はエチル基、xは平均3〜6の正数を示す)のポリスルフィドシランと、M1 2S(M1はアルカリ金属又はアンモニウムを示す)及びM2S(M2はアルカリ土類金属又は亜鉛を示す)の無水硫黄化合物の1種以上と、一般式XC36Si(OR)3(Xはハロゲン、Rはメチル基又はエチル基を示す)のハロゲノアルコキシシランとを反応させて、短鎖スルフィド鎖含有有機珪素化合物を製造する方法を提案している(特許文献2:特開平11−100388号公報)。しかし、このような方法で短鎖スルフィド鎖含有有機珪素化合物を製造すると、シリカとゴムとの反応にあまり関与しないスルフィド鎖を有するモノスルフィド鎖含有有機珪素化合物が生成してしまう場合があるという問題があった。
更に、本発明者らは、下記一般式(i)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sm−R3−Si(OR1(3-p)(R2p (i)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、mは平均値として2<m≦6の数を示し、pは0,1又は2を示す。)
で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物と、下記一般式(ii)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−X (ii)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、Xはハロゲン原子、pは0,1又は2を示す。)
で表されるハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と、場合により硫黄とを予め混合した後、Na2Sで表される無水硫化ソーダを加えて反応させることにより、下記一般式(iii)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sn−R3−Si(OR1(3-p)(R2p
(iii)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、nは平均値として2≦n<6、且つm>nを満足する数を示し、pは0,1又は2を示す。)
で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物を、n=1のモノスルフィド含有有機珪素化合物の生成を抑制して得る方法について提案している(特許文献3:特開2003−261580号公報)。
しかしながら、本方法においては、ほぼ完全に無水の硫化ソーダを使用しており、硫化ソーダ水和物の乾燥に時間がかかること、また、塩の濾過が必要であること、更には、基本的に反応溶媒を使用しているため、反応終了後には溶媒留去が必要であること、等から更なる低コストの製造方法が求められていた。
一方、スルフィド鎖含有有機珪素化合物の他の製造方法として、相間移動触媒を用いる方法も知られている。
これは、例えば、特許文献4〜7:米国特許第5405985号、第5468893号、第5483245号、第6448426号明細書、或いは特許文献8,9:特表2004−521945号、2004−521946号公報に教示されている。
しかし、これらの提案は、相間移動触媒を用いたスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法を教示したものであるが、これらの方法では、モノスルフィド鎖含有有機珪素化合物の生成を抑制させる方法については教示されていない。
特開平9−169774号公報 特開平11−100388号公報 特開2003−261580号公報 米国特許第5405985号明細書 米国特許第5468893号明細書 米国特許第5483245号明細書 米国特許第6448426号明細書 特表2004−521945号公報 特表2004−521946号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、組成中のモノスルフィド鎖含有有機珪素化合物が少ない上記平均組成式(2)で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物を、安全且つ安価に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−X (1)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、Xはハロゲン原子、pは0,1又は2を示す。)
で表されるハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と硫黄との混合物を相間移動触媒の存在下、M2S(式中、Mはアンモニウム又はアルカリ金属を示す)で表される硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液と反応させることにより、下記平均組成式(2)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sm−R3−Si(OR1(3-p)(R2p (2)
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、mは平均値として2≦m≦6、pは0,1又は2を示す。)
で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物を、m=1のモノスルフィド含有有機珪素化合物の生成を抑制して製造し得ることを知見した。
即ち、相間移動触媒を用いて上記式(2)のスルフィド鎖含有有機珪素化合物を製造する場合、上記M2Sの硫化物を硫黄と反応させた後に、式(1)のハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物を添加して反応させた場合、モノスルフィド含有有機珪素化合物の生成が多くなる(例えば6モル%、又はそれ以上)のに対し、まずハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と硫黄とを混合物させた後、相間移動触媒の存在下、M2Sの硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液を反応させた場合、モノスルフィド含有有機珪素化合物の生成量が顕著に減少し(例えば3モル%以下、特に1.5モル%以下)、モノスルフィド含有有機珪素化合物の生成抑制には、原料物質の反応順序が重要であることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、上記一般式(1)のハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と硫黄との混合物を相間移動触媒の存在下、上記M2Sの硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液と反応させることにより、上記平均組成式(2)のスルフィド鎖含有有機珪素化合物を、m=1のモノスルフィド含有有機珪素化合物の生成を抑制して得ることを特徴とするスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法を提供する。
本発明によれば、平均組成式(2)において、m=1のモノスルフィド含有有機珪素化合物の含有量を低減でき、特に含有量を3モル%以下とすることができる。また、mが平均2≦m≦6、好ましくは2<m≦4、特に好ましくは2<m<3のスルフィド鎖含有有機珪素化合物を高収率で製造できる。
本発明によれば、相間移動触媒を用いたハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物からスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造において、高収率で且つ安価に製造することができ、更に組成中にゴムとの反応性が低く、有用でないモノスルフィド含有有機珪素化合物の含有量の少ない組成となることから、シリカ配合タイヤ用ゴム組成物の添加剤等、工業的に極めて有用である。
本発明は、上述したように、下記一般式(1)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−X (1)
で表されるハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と硫黄との混合物を相間移動触媒の存在下、M2Sで表される硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液と反応させることにより、下記平均組成式(2)
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sm−R3−Si(OR1(3-p)(R2p (2)
で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物を、m=1のモノスルフィド含有有機珪素化合物の生成を抑制して得るものである。
ここで、出発原料として使用されるハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−X (1)
上記式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、アリル基、メタリル基等のアルキル基、アルケニル基などが例示され、メチル基、エチル基が好ましい。R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基を示し、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、フェニレン基、メチルフェニルエチレン基等のアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基やこれらの基が結合した基などが例示され、エチレン基、プロピレン基が好ましく、特にプロピレン基が好ましい。Xは塩素等のハロゲン原子を示し、具体的にはCl、Br、Iなどが例示され、好ましくはCl、Brであり、pは0,1又は2であり、好ましくは0,1、特に好ましくは0である。
ここで、上記一般式(1)の化合物としては、下記のものが代表例として挙げられる。
(CH3O)3Si−(CH23−Cl
(CH3O)3Si−(CH23−Br
(CH3CH2O)3Si−(CH23−Cl
(CH3CH2O)3Si−(CH23−Br
(CH3CH2O)3Si−CH2CH(CH3)CH2−Cl
ここで使用される相間移動触媒は、第4級オニウムカチオンであり、特に限定されないが、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、燐酸テトラブチルアンモニウム、亜燐酸テトラブチルアンモニウム、硫酸テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラフェニルアンモニウム等が例示され、特に好ましくは、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウムである。
相間移動触媒は、一般式(1)の化合物と硫黄との混合物と混ぜておいても、M2Sで表される硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液と混ぜておいてもよい。
この相間移動触媒は、そのまま一般式(1)の化合物及び硫黄と混合してもよいが、水に希釈して使用してもよく、その際の水の添加量は、相間移動触媒に対し、0〜500質量%程度でよく、好ましくは100〜300質量%である。
なお、水の添加は、一般式(1)の化合物と相間移動触媒を混合した後に添加することも任意である。その際の添加量も前述の通りである。
また、相間移動触媒は、一般式(1)の化合物と硫黄との混合物に添加しない場合、或いは添加量が少ない場合には、M2Sの硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液に添加される。
相間移動触媒の添加量は、任意であるが、一般式(1)の化合物に対して、0.1〜10.0質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜2.0質量%添加すればよい。
2Sは、硫化物であり、Mはアンモニウム又はアルカリ金属を示し、特に限定されないが、例えば、Na、K、Cs、Li、NH4が例示され、特に好ましくはNaである。
これらの硫化物M2Sとしては、Na2S、K2S、Cs2S、Li2S、(NH42S等が例示され、特にNa2Sが好ましい。更に、この硫化物としては水和物の使用も可能であり、例えばNa2S・6H2O、Na2S・9H2O等が挙げられる。
これらの硫化物は、水溶液又は水分散液にして使用する。その水の添加量は任意であるが、一般式(1)の化合物に対し、水の合計添加量が1〜200質量%であり、これより少ないと硫化物又はその水和物が析出し、分散しにくくなるおそれがあり、これより多いと一般式(1)の化合物が加水分解し易くなる場合がある。より好ましくは水の合計添加量は、一般式(1)の化合物に対し、30〜100質量%である。
上記一般式(1)の化合物と硫化物M2Sと硫黄とのモル比は、所望の平均組成式(2)の化合物のmにあわせて硫化物M2S及び硫黄を加えればよく、加えた硫化物M2SのMと基本的には等モルの一般式(1)の化合物を使用すればよい。但し、一般式(1)の化合物のモル数を少なくすれば、系をアルカリ性にすることができ、モル数を多くすれば中性付近にすることができる。具体的には、一般式(1)の化合物/硫化物M2Sとのモル比は、好ましくは1.9〜2.2であり、特に好ましくは、2.0〜2.1である。硫黄の添加量は、所望のmとなるよう添加すればよく、硫黄/硫化物M2Sのモル比は、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜3.0であり、特に好ましくは1.0〜2.0である。具体的には、一般式(1)の化合物2molと硫化物M2S1molと硫黄3molとを反応させた場合、得られる平均組成式(2)の化合物のmは平均4となり、一般式(1)の化合物2molと硫化物M2S1molと硫黄1molとを反応させた場合、得られる平均組成式(2)の化合物のmは平均2となる。
本発明の化合物を製造する際、有機溶媒の使用は任意であり、無溶剤が好ましいが、水溶性の少ない溶媒の使用は可能であり、例えば、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が好ましい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から200℃程度でよく、好ましくは40〜170℃程度、より好ましくは50〜100℃である。反応時間は、通常30分以上であるが、1時間から15時間程度で反応は完結する。
本発明において、反応終了後は、目的物層と水層に分離するため、目的物を分液すればよい。塩が析出している場合には、水を添加して溶解させてもよいし、分液前及び/又は分液後に濾過をしてもよい。
また、溶媒を使用した場合には、分液後に減圧下で留去すればよい。
目的物中の水分除去のため、分液後に減圧下で水を留去してもよく、又は、水層分離後に乾燥剤を添加して脱水してもよく、乾燥剤としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。
本発明において、製造する目的の化合物は、下記平均組成式(2)で表されるものである。
(R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sm−R3−Si(OR1(3-p)(R2p (2)
式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、pは0,1又は2を示し、これらは上述した一般式(1)と同様のものを例示することができる。また、mは平均値として2≦m≦6、好ましくは2<m≦4、特に好ましくは2<m<3である。なお、本発明においては、式(2)のmが1である化合物の生成を有効に抑制することができ、その生成量を3モル%以下、特に2モル%以下、とりわけ1モル%以下とすることができる。
本発明で得られる式(2)の化合物として、具体的には
(CH3O)3Si−(CH23−Sm−(CH23−Si(OCH33
(CH3CH2O)3Si−(CH23−Sm−(CH23−Si(OCH2CH33
(CH3CH2O)3Si−CH2CH(CH3)CH2−Sm−CH2CH(CH3)CH2−Si(OCH2CH33
などが挙げられる。但し、mは平均値として上述した数を示す。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、3−クロロプロピルトリエトキシシラン493.0g(2.05mol)、硫黄96.0gを仕込み、80℃に昇温した。ここにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド8.0gをイオン交換水20gに溶解させた水溶液を加えた。次いで、59質量%硫化ソーダ含有量のフレーク硫化ソーダ132.0g(1.0mol)をイオン交換水250gに溶解させた水溶液を80〜90℃の温度を保持するようにゆっくり滴下した。加えるのにかかった時間は40分を要した。滴下終了後、更に3時間熟成を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、反応液を上層と下層に分離した。下層は生成したNaClが溶解した水溶液であった。上層は541.0gが得られた。この上層に硫酸マグネシウム25gを加えて脱水し、濾過を行ったところ、512.0gの褐色透明な液体を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル分析及び1H核磁気共鳴スペクトル分析、硫黄含有量分析を行った結果、下記平均組成式
(CH3CH2O)3Si(CH23−S3.8−(CH23Si(OCH2CH33
で表されるスルフィド基含有アルコキシシランであることが確認された。
このもののスルフィド分布を超臨界クロマトグラフィー分析にて分析したところ、以下のスルフィドシラン分布であることが判明した。
m=1 0.1%以下(モル%)
m=2 15.7%
m=3 30.4%
m=4 28.5%
m=5 15.7%
m=6 6.2%
m=7 2.1%
m=8 1.4%
[実施例2]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、3−クロロプロピルトリエトキシシラン493.0g(2.05mol)、硫黄41.6g(1.3mol)を仕込み、80℃に昇温した。ここにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド8.0gをイオン交換水20gに溶解させた水溶液を加えた。次いで、59質量%硫化ソーダ含有量のフレーク硫化ソーダ132.0g(1.0mol)をイオン交換水250gに溶解させた水溶液を80〜90℃の温度を保持するようにゆっくり滴下した。加えるのにかかった時間は35分を要した。滴下終了後、更に5時間熟成を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、反応液を上層と下層に分離した。下層は生成したNaClが溶解した水溶液であった。上層は470.0gが得られた。この上層に硫酸マグネシウム25gを加えて脱水し、濾過を行ったところ、445.0gの褐色透明な液体を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル分析及び1H核磁気共鳴スペクトル分析、硫黄含有量分析を行った結果、下記平均組成式
(CH3CH2O)3Si(CH23−S2.3−(CH23Si(OCH2CH33
で表されるスルフィド基含有アルコキシシランであることが確認された。
このもののスルフィド分布を超臨界クロマトグラフィー分析にて分析したところ、以下のスルフィドシラン分布であることが判明した。
m=1 0.9%(モル%)
m=2 70.7%
m=3 25.1%
m=4 2.7%
m=5 0.6%
m=6 0.1%以下
[実施例3]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、3−クロロプロピルトリエトキシシラン493.0g(2.05mol)、硫黄41.6g(1.3mol)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド5.0gを仕込み、80℃に昇温した。ここにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド5.0gと59質量%硫化ソーダ含有量のフレーク硫化ソーダ132.0g(1.0mol)を水300gに溶解させた水溶液を70〜80℃の温度を保持するようにゆっくり滴下した。加えるのにかかった時間は50分を要した。滴下終了後、更に5時間熟成を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、反応液を上層と下層に分離した。下層は生成したNaClが溶解した水溶液であった。上層は475.0gが得られた。この上層に硫酸マグネシウム25gを加えて脱水し、濾過を行ったところ、448.0gの淡褐色透明な液体を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル分析及び1H核磁気共鳴スペクトル分析、硫黄含有量分析を行った結果、実施例2と同様の下記平均組成式
(CH3CH2O)3Si(CH23−S2.3−(CH23Si(OCH2CH33
で表されるスルフィド基含有アルコキシシランであることが確認された。
このもののスルフィド分布を超臨界クロマトグラフィー分析にて分析したところ、以下のスルフィドシラン分布であることが判明した。
m=1 0.8%(モル%)
m=2 70.6%
m=3 25.5%
m=4 2.4%
m=5 0.7%
m=6 0.1%以下
[実施例4]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、3−クロロプロピルトリエトキシシラン493.0g(2.05mol)、硫黄48.0g(1.5mol)、トルエン200.0gを仕込み、80℃に昇温した。ここにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド8.0gをイオン交換水20gに溶解させた水溶液を添加した。次いで59質量%硫化ソーダ含有量のフレーク硫化ソーダ132.0g(1.0mol)を水300gに溶解させた水溶液を90〜95℃の温度を保持するようにゆっくり滴下した。加えるのにかかった時間は45分を要した。滴下終了後、更に5時間熟成を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、反応液を上層と下層に分離した。下層は生成したNaClが溶解した水溶液であった。上層は690.0gが得られた。この上層に硫酸マグネシウム25gを加えて脱水し、濾過を行ったところ、665.0gの淡褐色透明な液体を得た。得られた溶液を80℃にて減圧濃縮を行ったところ、470.0gの淡褐色透明な液体が得られた。
このものの赤外線吸収スペクトル分析及び1H核磁気共鳴スペクトル分析、硫黄含有量分析を行った結果、下記平均組成式
(CH3CH2O)3Si(CH23−S2.5−(CH23Si(OCH2CH33
で表されるスルフィド基含有アルコキシシランであることが確認された。
このもののスルフィド分布を超臨界クロマトグラフィー分析にて分析したところ、以下のスルフィドシラン分布であることが判明した。
m=1 1.1%(モル%)
m=2 58.2%
m=3 30.4%
m=4 7.3%
m=5 2.1%
m=6 0.9%
m=7 0.1%以下
[比較例1]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、59質量%硫化ソーダ含有量のフレーク硫化ソーダ132.0g(1.0mol)、硫黄48.0g(1.5mol)テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド8.0g、水300gを仕込み、80℃にて1時間撹拌した。次いで3−クロロプロピルトリエトキシシラン493.0g(2.05mol)を80〜90℃の温度を保持するようにゆっくり滴下した。加えるのにかかった時間は40分を要した。滴下終了後、更に5時間熟成を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、反応液を上層と下層に分離した。下層は生成したNaClが溶解した水溶液であった。上層は485.0gが得られた。この上層に硫酸マグネシウム25gを加えて脱水し、濾過を行ったところ、450.0gの淡褐色透明な液体を得た。
このものの赤外線吸収スペクトル分析及び1H核磁気共鳴スペクトル分析、硫黄含有量分析を行った結果、実施例4と同様の下記平均組成式
(CH3CH2O)3Si(CH23−S2.5−(CH23Si(OCH2CH33
で表されるスルフィド基含有アルコキシシランであることが確認された。
このもののスルフィド分布を超臨界クロマトグラフィー分析にて分析したところ、以下のスルフィドシラン分布であることが判明した。このように先に硫化ソーダと硫黄とを反応させた後、3−クロロプロピルトリエトキシシランとを反応させると、モノスルフィド体が多く生成することが確認された。
m=1 6.0%(モル%)
m=2 51.3%
m=3 31.4%
m=4 7.3%
m=5 3.0%
m=6 1.0%
m=7 0.1%以下

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    (R1O)(3-p)(R2pSi−R3−X (1)
    (式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、Xはハロゲン原子、pは0,1又は2を示す。)
    で表されるハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と硫黄との混合物を相間移動触媒の存在下、M2S(式中、Mはアンモニウム又はアルカリ金属を示す)で表される硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液と反応させることにより、下記平均組成式(2)
    (R1O)(3-p)(R2pSi−R3−Sm−R3−Si(OR1(3-p)(R2p (2)
    (式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜4の1価炭化水素基、R3は炭素数1〜10の2価炭化水素基、mは平均値として2≦m≦6、pは0,1又は2を示す。)
    で表されるスルフィド鎖含有有機珪素化合物を得ることを特徴とするスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法。
  2. ハロゲノアルキル基含有有機珪素化合物と硫黄と相間移動触媒水溶液又は水分散液を混合した後、M2Sで表される硫化物又はその水和物の水溶液又は水分散液と反応させることを特徴とする請求項1記載のスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法。
  3. m=1のモノスルフィド含有有機珪素化合物含有量が3モル%以下である請求項1又は2記載のスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法。
  4. 平均組成式(2)において、mは平均値として2<m<3である請求項1乃至3のいずれか1項記載のスルフィド鎖含有有機珪素化合物の製造方法。
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