JP2006137947A - 有機溶剤型一液硬化性分散樹脂液および一液硬化性塗料並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、有機溶剤の単なる揮発のみでリコート時の再溶解、リフティング等の不具合を発生させない有機溶剤型分散樹脂液及び当該樹脂液を用いた塗料並びにその製造方法の提供を図る。
【解決手段】重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜15:85重量%であって、好適には、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上97重量%未満の範囲で、ビニル系単量体混合物(B)を連続的に重合して得られる分散樹脂(C)を樹脂主成分とし、有機溶剤に可溶な樹脂成分が、塗料を構成する全樹脂成分中の3〜15重量%であることを特徴とする一液硬化性塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機溶剤型一液硬化性塗料、特に、建築用塗料分野に適応した場合、リコート時の塗膜の再溶解やリフティングを発生させない技術を提供するものであり、とりわけ塗り替え用塗料に適する有機溶剤型分散樹脂液を主成分とした塗料並びにその製造方法に関するものである。
特開平7−292263号 特開平7−138303号 特公昭47−24480号
塗料の施工においては、隠蔽性や艶ムラの観点から重ね塗りを必要とする場合が一般的である。重ね塗りの可能な時間帯は、塗料の種類や乾燥条件当等により異なり、酸化硬化系の塗料として知られる不飽和二重結合を有するアルキッド系塗料は、例えば、一度目の塗装から、半日から1日以上の硬化時間を経た後、二度塗り目を施すのが専ら一般的であり、その硬化過程に二度塗り目を施すと、一度目の塗膜が溶けたり、リフティングを起こしたり、艶が引ける等と云った様々な不具合を引き起こす。また、2液系のポリオール/ポリイソシアネート硬化系や、エポキシ/アミン硬化系等の塗料にも同様の問題が発生する。また、これら硬化系の塗料は、化学反応によるものである故、塗装作業場所の温度、湿度や風等の塗装環境に影響を受けやすく、二度塗り目を施しても問題が発生しない時間帯の見極めが難しく、寒い時期には二度塗り目を施しても問題の発生しない時間帯が数日後に伸びることも有る等の塗装作業上の問題を有している。
一方、有機溶剤型分散樹脂液を主とした塗料は、分散粒子の存在故、タレ難く、一度に厚塗りが出来る優位性がある点で、各分野の塗料用樹脂として広く使用されている。しかしながら、この有機溶剤型分散樹脂もまた、有機溶剤に不溶な成分が存在するにも係わらず、化学反応が不充分な時に二度塗り目を塗装すると一度塗り目の塗膜が溶ける等の不具合を発生させるのが現状である。
この原因について調査を行った結果、発明者らは、有機溶剤型分散樹脂中に、有機溶剤に可溶な樹脂成分が多量に存在するために、化学反応が不充分な時には、有機溶剤に可溶な樹脂成分が再びその有機溶剤に溶かされ、塗膜の一部、或いはその全体が流動性を示すような様々な不具合を引き起こすことを突き止めた。具体的には、特許文献1や2に記載されているように、有機溶剤型分散樹脂の有機溶剤に不溶な粒子成分と、有機溶剤に可溶な成分との比率が、粒子成分/可溶成分=9以下で設計されているためであり、即ち10%以上有機溶剤に可溶な成分が存在するため、化学反応が不充分な時には再び有機溶剤に溶けてしまうことが考えられる。然しながら、これらの文献によれば、有機溶剤に可溶な成分が10%以下になると、得られた分散液の安定性を欠く問題があり、実質上、塗料用の樹脂成分としては不適切であると記されている。
また、特許文献3には、分散液固体分全重量の1〜3重量%と云った少ない可溶成分樹脂の存在下により分散液を製造する方法が記載されている。この文献によれば、安定剤の組成として好ましいのは、ラウリルメタクリレートの重合体であるか、ラウリルメタクリレートを60〜95%含んだ共重合体であり、この方法により得られる分散樹脂液は、樹脂液としては比較的保存安定性に優れるものの、顔料を含む着色塗料、特に多量の顔料を含むような艶消し塗料を作製すれば、短時間の内に塗料が凝集、固化してしまうと云った塗料保存安定性が不十分な分散樹脂である。また、樹脂固形分全体としては少ない安定剤量ではあるが、この安定剤には多くのラウリルメタクリレートが使用されているため、塗膜が長時間屋外に曝されると汚れが目立ち易く、また、艶の低下が観察される。さらには、塗膜形成には、180F(82.5℃)のような高温の焼き付け条件が必要であり、省エネルギーの観点や塗料の現場施工が不可能である等の汎用性に欠ける問題が依然として残っている。
本発明が解決しようとする課題は、実質上塗料としての保存安定性に優れ、しかも常温にて有機溶剤の揮発だけでその溶剤に再溶解しない塗膜を形成することができ、外気温等の気象条件の影響を受け難く、より短時間で塗装を仕上げることが可能な塗料並びにその製造方法を提供せんとするものである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、有機溶剤型分散樹脂に於いて、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物の比率が、3:97〜15:85重量%を必須とし、望ましくは、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物の組成を特定し、さらに望ましくは、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物の特定の重合率範囲内で、連続的に重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物を重合させて得られる分散樹脂を主成分とした塗料であって、塗料中に含まれる樹脂全量中に占める有機溶剤に可溶な樹脂成分が3〜15重量%で構成される塗料が、保存安定性や希釈安定性が極めて良く、使用した有機溶剤の単なる揮発のみで再びその有機溶剤には溶解しない塗膜を形成し、極めて短時間の内にリコートを行っても、リフティングやにじみ等の問題を発生せずに塗装を仕上げることができることを確認し本発明を完成させた。尚、ここで示す「一液硬化」や「有機溶剤には再溶解しない」と云う表現は、通常の塗装作業に於いて、重ね塗りをした塗料によって、一層目の塗膜が、変質し、リフティングやにじみ等の塗装上の不具合が発生しない塗膜性能となることを意味するものである。
より詳細に説明をすれば、請求項1に記載した、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜15:85重量%であり、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上97重量%未満の範囲で、ビニル系単量体混合物(B)を連続的に重合して得られる分散樹脂液(C)。
さらには、請求項2に記載した、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜15:85重量%であって、ビニル系単量体混合物(A)が、炭素数8〜18のアルキル基を有すビニル系単量体が20重量%以上60重量%未満、脂環式炭化水素基を有すビニル系単量体が30重量%以上80重量%未満であり、ビニル系単量体混合物(B)が、炭素数1〜4のアルキル基を有すビニル系単量体が85重量%以上であって、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上に到達した後に、ビニル系単量体混合物(B)を重合して得られる分散樹脂(C)。望ましくは、上記の請求項2に係る分散樹脂(C)であって、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜9:91重量%である分散樹脂(C)。
さらには、請求項4に記載した、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜15:85重量%であって、ビニル系単量体混合物(A)が、炭素数8〜18のアルキル基を有すビニル系単量体が20重量%以上60重量%未満、脂環式炭化水素基を有すビニル系単量体が30重量%以上80重量%未満であり、ビニル系単量体混合物(B)が、炭素数1〜4のアルキル基を有すビニル系単量体が85重量%以上であって、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上97重量%未満の範囲で、ビニル系単量体混合物(B)を連続的に重合して得られる分散樹脂(C)。
さらに付け加えて述べるならば、前記した分散樹脂(C)を主成分とした塗料であって、有機溶剤に可溶な樹脂成分が、塗料を構成する全樹脂成分中の3〜15重量%であることを特徴とする塗料が本願目的を満足させるものである。
先ず、分散樹脂(C)成分中に含まれる、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率について説明すれば、リコート適性をよりよく満足させるためには、(A):(B)=3:97〜15:85重量%の範囲内で、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の量を多めに設計するのがよく、希釈安定性をよりよくするためには、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の量を少なめに設計すればよい。
しかし、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)が3重量%以下の場合、得られた塗料は希釈安定性や低温安定性が悪くなることがあり、また、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)が15重量%を越える場合、溶剤の揮発のみでは、リコート適性が不十分となる場合があるため、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)が3重量%未満、(A)が15重量%を越える組成は避けるべきである。
また、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)は、炭素数8〜18のアルキル基を有す重合性ビニル系単量体が、20重量%以上60重量%未満であり、脂環式炭化水素基を有す重合性ビニル系単量体が、30重量%以上80重量%未満が望ましい。
重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)をさらに詳細に説明すれば、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミドに例示されるような、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基のような極性基を有すビニル系単量体は、ビニル系単量体混合物(A)の全量に対して10%以上使用すると貯蔵安定性が悪くなるために、望ましくは、5%以下、さらに望ましくは一切使用しない方が、より貯蔵安定性に優れた分散樹脂(C)を得ることができる。具体的にビニル系単量体混合物(A)を例示すれば、炭素数8〜18のアルキル基を有す重合性ビニル系単量体としては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール等の炭素数8から18のアルコールと、メタクリル酸やアクリル酸とのエステル化された重合性ビニル系単量体や、前記アルコールの酸誘導体とビニルアルコールのエステル化された重合性ビニル系単量体等が挙げられる。
また、脂環式炭化水素基を有する重合性ビニル系単量体は、シクロヘキシルアルコール、メチルシクロヘキシルアルコール、ブチルシクロヘキシルアルコール、ジシクロペンタニルアルコール、イソボニルアルコール、アダマンチルアルコール等の環状炭化水素系アルコールとアクリル酸やメタクリル酸のエステル化された重合性ビニル系単量体や、前記アルコールの酸誘導体とビニルアルコールのエステル化された重合性ビニル系単量体等が挙げられる。前記脂環式炭化水素基を有する重合性ビニル系単量体の使用は、脂環式炭化水素系溶剤に対して、溶解し易い性質を示すために好適であり、また、得られる樹脂の硬度が塗料用樹脂として相応しい硬さに調整し易いと云う優位性を備えている。
一方、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)は、炭素数1〜4のアルキル基を有すビニル系単量体が、ビニル系単量体混合物(B)の全量に対して85%重量以上であることが望ましい。具体的にビニル系単量体混合物(B)を例示すれば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の炭素数1〜4のアルコールと、メタクリル酸やアクリル酸とのエステル化された重合性ビニル系単量体や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のグリコールとアクリル酸やメタクリル酸のモノエステル化された水酸基を有す重合性ビニル系単量体でもよく、更には、前記アルコールやグリコールの酸誘導体とビニルアルコールとのエステル化された重合性ビニル系単量体や、カルボキシル基を有すアクリル酸やメタクリル酸や等が挙げられる。
重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)や重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)に使えるその他のビニル系単量体としては、それぞれの重量規定範囲を逸脱しない範囲で、アルコキシシリル基やイソシアナート基等の湿気による反応を引き起こす基を有するビニル系単量体を用いることができる。
使用できるアルコキシシリル基やイソシアナート基を有するビニル系単量体としては、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物や、2−ヒロドキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基を有する重合性ビニル単量体にヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等の一分子にイソシアナート基を2個以上有するポリイソシアネートとを反応させて得られるラジカル重合性のイソシアネート化合物が挙げられる。
さらに、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)は、炭素数6から18のアルキル基を有するイソシアネート化合物を変性することにより、希釈安定性、低温安定性等がより優れた有機溶剤型分散樹脂液が得られ、さらには、強靭な塗膜を形成させることができる。
炭素数6から18のアルキル基を有するイソシアネート化合物としては、炭素数6〜18のモノアルコールや、モノアミンをポリイソシアネート化合物に変性させて得ることができる。具体的にはヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコールや、ヘキシルアミン、ペプチルアミンのような上記アルコールのアミン誘導体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、モノイソシアネート化合物を除く、ポリイソシアネート化合物でよく、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのヌレート体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト、その他、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等のジイソシアネート単量体やこれらの変性物でもよいが、耐候性の観点から脂肪族系のイソシアネート化合物が望ましい。
上述したように、活性水素を有する炭素6から18のアルキルアルコールまたはアミンは、これらのジイソシアネート、ポリイソシアネート化合物と反応させる。その際、少なくとも一分子に1個以上のイソシアナート基が残るように反応比を調整する必要がある。
本願記載の炭素数6から18のアルキル基を有するイソシアネート化合物は、予め、重合前に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)中の水酸基を有するビニル系単量体と反応させておくことも出来るし、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の高分子量化過程、或いは高分子量体に変性させることもできる。但し、湿気硬化基としてイソシアナート基を重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)の高分子量体に導入しようとする場合には、重合前に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)に水酸基のようなイソシアナート基と反応性のある官能基の導入が困難なので、このような場合は、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の高分子量体に変性させるのではなく、予め、重合前に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)中の水酸基を有するビニル系単量体と反応させておく必要がある。
炭素数6から18のアルキル基を有するイソシアネート化合物の変性量は、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)に対して、0.2%〜5.0%の範囲が適当で、0.2%を下回ると、希釈安定性の向上に寄与しないこともあるし、5.0%を超えても、その効果があまり反映されないので、好ましくは0.4%〜3.0%である。
次に、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)を用いて分散樹脂(C)を合成する方法を説明する。
合成に使用する有機溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤や脂環式炭化水素系溶剤を主成分とした有機溶剤が好適であり、具体的には、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン等やこれらの混合物、さらには、新日本理化株式会社のリカソルブ800、リカソルブ900、エクソンモービル社のエクソールD−30、エクソールD−40、アイソパーG、アイソパーHや、シェルケミカルズジャパン社のシェルゾールS、コスモ松山石油社のスワクリーン150、コスモ石油ルブリカンツ社のペトロゾールMC、さらには、ミネラルスピリット、ホワイトスピリット等が使用できるが、環境低負荷や衛生性の観点から、芳香族炭化水素系有機溶剤の含有量の少ない溶剤がより望ましい(以上の会社名に続く名称はいずれも商標である)。
重合は、ラジカル開始剤の存在下、この業界で公知の方法で行うことができる。具体的には、加熱した前記有機溶剤中に、ラジカル重合性のビニル系単量体をラジカル開始剤と共に滴下して重合させることができる。
ラジカル開始剤としては、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチル 2−エチルヘキサノエート、アゾビスブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等が挙げられるが、有機溶剤に可溶な成分の重合に際しては、アゾ系の開始剤は溶解力の観点から多量の使用は避けた方が望ましい。
本願目的を満足させる為には、分散樹脂(C)の合成に際しては、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)の重合が終了する前に、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の重合を開始させ、ビニル系単量体混合物(A)の高分子量化過程において存在する末端ラジカルにビニル系単量体混合物(B)の少なくとも一部を重合させることが望ましい。
より具体的に説明すれば、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)の重合率が60〜97%の範囲で、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の重合を開始させることがよく、60%未満の場合、合成中、或いは保存中に分散粒子が沈殿する場合があり、97%以上場合は、比較的安定的に分散樹脂(C)が合成できたとしても、顔料を含む塗料とした場合に、保存性や希釈安定性の欠如した塗料となり、また、造膜性の悪い粒子が形成され、本願目的である、リコート適正が十分ではなくなることがあるため、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が97%以上の場合は、ビニル系単量体混合物(A)が、炭素数8〜18のアルキル基を有す重合性ビニル系単量体が、20重量%以上60重量%未満であり、脂環式炭化水素基を有す重合性ビニル系単量体が、30重量%以上80重量%未満とし、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜9:91重量%とすることがより望ましい。
即ち、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)の重合が終了してから、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の重合を開始するという一般的な重合方法よりも、本願目的をさらに満足させるためには、(A)の重合率が60%以上97%未満の範囲がよく、さらに望ましくは、(A)の重合率が70〜95%の範囲であり、さらに望ましくは、(A)の重合率が80〜93%の範囲でビニル系単量体混合物(B)の重合を開始させることによって、より安定性の高い分散樹脂(C)が得られ、この分散樹脂(C)を樹脂主成分としてなる塗料が、極めて短時間の内にリコートを行っても、リフティングやにじみ等の問題を発生せずに塗装を仕上げることができることを本願発明者によって知見され、この知見を契機として本願発明が完成されたものである。この方法により得られた膜は、有機溶剤による再溶解や、ちぢみ等の不具合をより押さえることができ、また、低温造膜性に優れ、艶のある塗膜を形成する。
ここで示す重合率とは、下記の式に示すように、使用したビニル系単量体混合物(A)のポリマー化率によって表現され、言い換えれば残存するビニル系単量体混合物(A)の量で表現することができる。数値化するに際しては、150℃×1時間の加熱残分重量分析により求めることができ、反応中の溶液を採取し、ラジカル重合停止剤としてメトキノンを適量加えた後、150℃×1時間乾燥後の残分重量にて数値化している。
(式)
単量体(A)の重量/(単量体(A)の重量+有機溶剤の重量)=N
150℃×1時間加熱後の重量/(単量体(A)の重量+有機溶剤の重量)=F
F/N×100=重合率(%)
尚、本願発明では、単量体(A)の重合工程中の消費されていない単量体(A)の残存量によって、本願目的の一液硬化性分散樹脂液の製造方法を述べているが、この方法により、簡便に単量体(B)の適切な重合開始時期が見極めることができるために採用した方法であり、単量体(A)の高分子量化が完全に終了した後に、その樹脂溶液中に再び単量体(A)を加えて、本願で示す重合率60〜97%の数値に併せても本願目的を満足するものではない。即ち、本願目的を満足させる為には、単量体(B)の重合開始時に存在する単量体(A)の量だけではなく、単量体(A)の高分子量化過程において存在する、単量体(A)の重合物末端に存在する反応性ラジカル量が重要である。
かくして得られた分散樹脂(C)は、既に、溶剤の揮発のみで該溶剤に不溶な塗膜を形成する性質を有す。この分散樹脂(C)に公知の消泡剤やレベリング剤、溶剤として、脂肪族炭化水素および/または脂環式炭化水素系溶剤は勿論のこと、本願目的を損なわない範囲でエステル系溶剤やアルコール系溶剤を一部使用し、クリアー塗料が製造できるし、また、特に分散があまり要求されない顔料、例えば、アルミ顔料や易分散型のタルク、クレー、シリカ、マイカ等を配合して、メタリック塗料や艶消し塗料が製造できる。
しかしながら、予め顔料の分散工程を踏むことが望ましい、艶あり着色塗料の製造に際しては、有機溶剤に可溶な樹脂(D)を用いて、顔料(E)を充分に分散せしめ、顔料ペーストを準備した上で、分散樹脂(C)と配合して一液硬化性塗料を製造することが望ましい。
本願目的である溶剤の単なる揮発だけで該溶剤に再溶解しない塗膜を形成させる塗料を得るためには、有機溶剤に可溶な樹脂成分はできる限り少ない方が望ましい。その為には、顔料を分散させるための樹脂は、有機溶剤に可溶であることが、顔料分散安定化を図るために必須であるが、少量で以って顔料が分散でき、且つ分散した顔料が塗料中で安定化されるように樹脂の酸価の範囲を限定することが望ましい。
即ち、顔料を分散するための樹脂である、有機溶剤に可溶な樹脂(D)としては、顔料の分散性を付与するために、適当な酸価を有す樹脂がよく、具体的には、酸価5〜20mgKOH/gのビニル系重合物または酸価5〜40mgKOH/gの無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が挙げられる。
酸価5〜20mgKOH/gのビニル系重合物としては、顔料を分散しようとするときに使用する有機溶剤に可溶な樹脂であることが必須であり、有機溶剤が、脂肪族炭化水素および/または脂環式炭化水素を主体とする場合には、前記した重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)のビニル系単量体混合物に加え、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有すビニル系単量体を酸価が5〜20mgKOH/gの範囲となるように共重合させた樹脂がよい。また、必要に応じて水酸基を導入すれば、より顔料分散性に富んだ樹脂が得られるし、前記したアルコキシシリル基やイソシアナート基を有すビニル系単量体を共重合して湿気硬化機能を導入することもできる。しかし、酸価が5mgKOH/g以下の場合は、顔料分散性が悪くなり、顔料分散時に有機溶剤に可溶な樹脂(D)を多量に使うこととなり、得られた塗料のリコート適性が悪くなることがある。また、酸価が20mgKOH/g以上の場合、有機溶剤が、脂肪族炭化水素および/または脂環式炭化水素を主体とする場合には樹脂の溶解性が充分でなく、長期保存や低温時に分離する塗料となる場合がある。
また、酸価5〜40mgKOH/gの無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂としては、日本製紙ケミカル株式会社製の「アウローレン」と称する樹脂が挙げられ、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂をそのまま使用することもでき、酸価が5mgKOH/g以下にならない範囲で炭素数8〜18のアルコールを酸無水物に変性して用いることもできる。
前記した有機溶剤に可溶な樹脂(D)の使用量に関しては、得られる塗料の全樹脂成分中の有機溶剤に可溶な樹脂成分が4〜15重量%の範囲となるよう充分注意する必要がある。即ち、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と有機溶剤に可溶な樹脂(D)の総和が、塗料を構成する全樹脂成分中の4〜15重量%となることが必須で、15重量%以上の有機溶剤に可溶な樹脂が塗料中に存在する場合、本願目的の、リコート性に優れる塗料とはならない場合がある。
また、更に詳しく前記した有機溶剤に可溶な樹脂(D)の使用量を説明するならば、塗料が顔料を含まない場合には、有機溶剤に可溶な樹脂(D)は、上記重量比率の条件を満足する適宜範囲において含有させることができる。他方、塗料が顔料を含む場合にあっては、当該有機溶剤に可溶な樹脂(D)の種類、配合する顔料の量、当該顔料を分散させるために必要な上記の有機溶剤に可溶な樹脂(D)の量、分散樹脂(C)の総量、分散樹脂(C)中のビニル系単量体混合物(A)の量との関係において決定する必要があるが、例えば、当該有機溶剤に可溶な樹脂(D)として、前述の酸価5〜20mgKOH/gのビニル系重合物または酸価5〜40mgKOH/gの無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用いた場合には、重量部比率で(A):(B)が3:97〜9:91で構成させる分散樹脂(C)が汎用的利用に際して望ましく、前記重量範囲の分散樹脂(C)と、当該有機溶剤に可溶な樹脂(D)とが、重量部比率で(C):(D)=99:1〜93:7の範囲となるように使用量を設定することが望ましい。
次に、顔料(E)について説明する。顔料(E)は特に限定はなく、通常塗料として用いられる顔料であり、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄、黄色酸化鉄、クロム酸鉛、黄鉛、群青等の無機顔料や、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アゾ系、ジスアゾ系、アンスラピリミジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キナクリドン系、ペリレン系、インダスレンブルー等の有機顔料が使用できる。また、体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウム、シリカ等が使用できる。なお、顔料としての合成樹脂微粉体は、本願の前述の樹脂(C)(D)には含まれないものとする。
各種添加剤としては、本願目的を逸脱しない範囲であれば特に限定はなく、例えば、消泡剤、たれ止め防止剤、レベリング剤、表面調整剤、沈降防止剤、可塑剤、艶消し剤等の使用は勿論のこと、耐候性の向上を目的として、紫外線吸収剤、光安定剤等の使用もできる。さらに、微生物の繁殖による汚染を抑制するために、防藻、防黴剤の添加もできる。
本発明の塗料製造に際しては、公知の顔料分散技術が使用でき、例えば、ビーズミル、ポットミル、ボールミル、ペイントシェーカー等で分散することができる。
本願請求項1乃至請求項5の発明により得られた分散樹脂(C)は、保存安定性に優れ、有機溶剤の単なる揮発のみでリコート時の再溶解、リフティング等の不具合を発生させない新規な樹脂を提供することができるものであり、顔料成分を含まないクリアー塗料としては勿論のこと、シリカ等の艶消し剤を含有する一液硬化性塗料が得られるものであり、請求項6乃至請求項11の発明により得られた塗料は、同じく保存安定性に優れ、有機溶剤の単なる揮発のみでリコート時の再溶解、リフティング等の不具合を発生させない新規な塗料であり、塗装の時間短縮化が図れ、短時間の内に塗装を仕上げることが可能となることが明らかである。また、本願の請求項12の発明は、同有機溶剤型分散樹脂塗料の製造方法を提供することができたものである。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるのもではない。なお、以下の表を含む説明において、配合量の単位は、原則として重量部である。
有機溶剤型分散樹脂液の合成
窒素雰囲気下、フラスコに溶剤を仕込み100℃に加熱した。攪拌しながら表1の組成を、表2の条件に従い、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)を所定の時間をかけて滴下させた。尚、各実施例の(A)の重合率は前実験にて計測しておき、熟成時間を決定させておいた。次いで、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)を所定の時間をかけて滴下し重合を完了させた(実施例C1〜C6)。
尚、以下に記載した略号や原料は次の通りである。
溶剤:エクソールD−30
開始剤:t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート
LMA:ラウリルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
i−BMA:iso−ブチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
n−BA:n−ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
変性HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート1モルとラウリルアルコール1モルの反応物
実施例の分散樹脂(C)および比較例の分散樹脂の合成に使用した単量体(A)および単量体(B)の組成を表1に示す。
Figure 2006137947
表1に記載の単量体(A)の組成1および単量体(B)の組成1を用いて、表2の方法にて分散樹脂(C)を合成した。
Figure 2006137947
また、実施例C2の条件である「(A)/(B)=4/96、単量体(A)の重合率85%にて単量体(B)の重合を開始する」と同様の条件で、表3に示す各組成で合成して分散樹脂(実施例C7〜C9)を得た。さらに、単量体(B)へのウレタン変性させた樹脂を合成した(実施例C10およびC11)。また、単量体(A)の重合率が100%に到達後、単量体(B)の組成1および組成2を重合して分散樹脂(実施例C12およびC13)を得た。また、単量体(A)組成4の重合率85%にて単量体(B)組成1を重合して分散樹脂(実施例C14)を得た。
比較例
次に、単量体(A)組成1および単量体(B)組成1を用いて、(A)/(B)=2/98(比較例C1)、(A)/(B)=20/80(比較例C2)の各組成を、単量体(A)の重合率が85%に到達した時点で、単量体(B)を合成して分散樹脂を得た。また、単量体(A)組成4が4%で、(A)組成4の重合率が100%後に、単量体(B)組成1を重合させた分散樹脂(比較例C3)、および単量体(A)組成1が4%で、(A)組成1の重合率が50%に到達した時点で、単量体(B)組成1を重合して分散樹脂(比較例C4)を合成した。さらに、(A)の組成1、2、4および(B)の組成4を用いて、比較例C5〜C7を合成した。
評価に使用した分散樹脂の内容を表3に示す。
表3において、「(A)重合率」は、実施例の分散樹脂(C)および比較例の分散樹脂の、単量体(B)の重合開始時の単量体(A)の重合率(%)を示す。「(A)」は、単量体(A)の組成、即ち、前述の表1における単量体(A)の組成1〜組成4の何れを用いたかを示す。「(B)」は、単量体(B)の組成、即ち、前述の表1における単量体(B)の組成1〜組成4の何れを用いたかを示す。「(A)/(B)」は、単量体(A)/単量体(B)の配合重量比率を示すものである。また、「実」は実施例を、「比」は比較例を示す(以下の表においても同じ)。
Figure 2006137947
顔料を分散するための樹脂(D)の合成
窒素雰囲気下、フラスコに溶剤50重量部を仕込み100℃に加熱した。攪拌しながら表4の組成の単量体を4時間かけて滴下した。さらに、4時間攪拌を続けた後に溶剤を加え目的の顔料を分散するための樹脂(D)(実施例D1と実施例D2および比較例D1と比較例D2)の固形分15%溶液を得た。また、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂として、市販されている日本製紙ケミカル株式会社製アウローレン350Sを溶剤に溶かし、固形分15%に調整し、実施例D3とした。
Figure 2006137947
塗料の作製
上記実施例D1、実施例D2および比較例D1、比較例D2の顔料を分散するための樹脂(D)と前記実施例C1〜実施例C14の分散樹脂(C)と、比較例C1〜比較例C7の分散樹脂を用いて、表5の樹脂組成にて酸化チタン顔料を含む固形分50%のホワイト塗料を作製した。尚、顔料分散は顔料を分散するための樹脂(D)と溶剤と顔料とを混ぜ合わせ、ビーズミルにて全て同条件下で行い、酸化チタン顔料と塗料作製に使用した全樹脂量の重量比を1:1で統一した。
Figure 2006137947
作製した表5のホワイト塗料と、これらのホワイト塗料に、ロックペイント株式会社製ロックトーンカララント#3000の黒着色剤を5%配合したグレー色の塗料とを用いて本願目的の硬化性を評価した。先ずスレート板にグレー塗料をローラーにて塗装し、室温で30分、1時間、および2時後、その上に白塗料を、刷毛を用いて塗装した。結果を表6(実施例の塗料1から塗料20および比較例の塗料21から30のリコート適性評価)に示す。
Figure 2006137947
表5に示したように、実施例の分散樹脂(C)のC1〜C14で得られた塗料1から塗料20は、何れも2時間のセッティング時間を置くことで、一回目の塗料が溶けてにじむことなく二回目の塗料を塗装することができた。また、比較例の塗料21、22は、顔料を分散するための樹脂の酸価が不適切なため、塗料中の顔料と溶剤成分が分離してしまった。塗料23は、分散樹脂を構成する重合後に有機溶剤に可溶となる単量体混合物(A)が2%であることから、塗料の希釈安定性が不十分となった。塗料24および塗料30は塗料中の可溶な樹脂成分が25%および20%含まれることから、硬化性が不十分な塗料となった。塗料25および26は、分散樹脂を得る工程で、重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)の重合率が、それぞれ100%および50%で得られた樹脂(比C3,比C4)を用いて塗料を作製したが、塗料25は、ビニル系単量体混合物の組成が不適切なため硬化性が不十分であり、また保存により塗料粘度が上昇した。塗料26は、比C4の分散樹脂の安定性が悪く塗料用樹脂として不適切であった。塗料27から塗料29は、分散樹脂を構成する重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)が適切でないために、得られた分散樹脂が異常な高粘度となり塗料用樹脂としては不適切であることが判った。尚、実施例の分散樹脂(C1〜C14)は、顔料を含まないクリアー塗料としてそのまま用いても、何れも2時間後に二度塗り目を塗装しても一回目のクリアー塗膜が再溶解することなく、二度塗り目が塗装できた。
以上のように上記の各実施例に係る有機溶剤型分散樹脂液によって、保存安定性に優れ、有機溶剤の単なる揮発のみでリコート時の再溶解、リフティング等の不具合を発生させない塗料を得ることが確認されたものである。

Claims (12)

  1. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜15:85重量%であって、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上97重量%未満の範囲で、ビニル系単量体混合物(B)を連続的に重合して得られる分散樹脂(C)。
  2. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜15:85重量%であって、ビニル系単量体混合物(A)が、炭素数8〜18のアルキル基を有すビニル系単量体が20重量%以上60重量%未満、脂環式炭化水素基を有すビニル系単量体が30重量%以上80重量%未満であり、ビニル系単量体混合物(B)が、炭素数1〜4のアルキル基を有すビニル系単量体が85重量%以上であって、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上に到達した後に、ビニル系単量体混合物(B)を重合して得られる分散樹脂(C)。
  3. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜9:91重量%であることを特徴とする請求項2に記載の分散樹脂液(C)。
  4. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜15:85重量%であって、ビニル系単量体混合物(A)が、炭素数8〜18のアルキル基を有すビニル系単量体が20重量%以上60重量%未満、脂環式炭化水素基を有すビニル系単量体が30重量%以上80重量%未満であり、ビニル系単量体混合物(B)が、炭素数1〜4のアルキル基を有すビニル系単量体が85重量%以上であって、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上97重量%未満の範囲で、ビニル系単量体混合物(B)を連続的に重合して得られる分散樹脂(C)。
  5. 有機溶剤が脂肪族炭化水素および/または脂環式炭化水素を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の分散樹脂(C)。
  6. 請求項1乃至4の何れかに記載の分散樹脂(C)を樹脂主成分とする一液硬化性塗料。
  7. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上97重量%未満の範囲で、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)を連続して重合させて得られる分散樹脂(C)を主成分とし、当該分散樹脂(C)に加えて、さらに他の樹脂成分として、有機溶剤に可溶な樹脂(D)と、顔料(E)とを含んでなる塗料であって、ビニル系単量体混合物(A)と有機溶剤に可溶な樹脂(D)の総和が、塗料を構成する全樹脂成分中の4〜15重量%であり、有機溶剤が脂肪族炭化水素および/または脂環式炭化水素を主成分とすることを特徴とする一液硬化性塗料。
  8. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)が、炭素数8〜18のアルキル基を有すビニル系単量体が20重量%以上60重量%未満、脂環式炭化水素基を有すビニル系単量体が30重量%以上80重量%未満であり、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)が、炭素数1〜4のアルキル基を有すビニル系単量体が85重量%以上であって、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上に到達した後に、ビニル系単量体混合物(B)を重合して得られる分散樹脂(C)を主成分とし、当該分散樹脂(C)に加えて、さらに他の樹脂成分として、有機溶剤に可溶な樹脂(D)と、顔料(E)とを含んでなる塗料であって、ビニル系単量体混合物(A)と有機溶剤に可溶な樹脂(D)の総和が、塗料を構成する全樹脂成分中の4〜15重量%であり、有機溶剤が脂肪族炭化水素および/または脂環式炭化水素を主成分とすることを特徴とする一液硬化性塗料。
  9. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)が、炭素数8〜18のアルキル基を有すビニル系単量体が20重量%以上60重量%未満、脂環式炭化水素基を有すビニル系単量体が30重量%以上80重量%未満であり、重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)が、炭素数1〜4のアルキル基を有すビニル系単量体が85重量%以上であって、ビニル系単量体混合物(A)の重合率が60重量%以上97重量%未満の範囲で、ビニル系単量体混合物(B)を連続的に重合して得られる分散樹脂(C)を主成分とし、当該分散樹脂(C)に加えて、さらに他の樹脂成分として、有機溶剤に可溶な樹脂(D)と、顔料(E)とを含んでなる塗料であって、ビニル系単量体混合物(A)と有機溶剤に可溶な樹脂(D)の総和が、塗料を構成する全樹脂成分中の4〜15重量%であり、有機溶剤が脂肪族炭化水素および/または脂環式炭化水素を主成分とすることを特徴とする一液硬化性塗料。
  10. 有機溶剤に可溶な樹脂(D)の少なくとも1種が、酸価5〜20mgKOH/gのビニル系重合物または酸価5〜40mgKOH/gの無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の一液硬化性塗料。
  11. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)と重合後に有機溶剤に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の比率が、(A):(B)=3:97〜9:91重量%であることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の一液硬化性塗料。
  12. 重合後に有機溶剤に可溶となるビニル系単量体混合物(A)の重合が終了する前に、重合後に不溶となるビニル系単量体混合物(B)の重合を開始させて分散樹脂(C)を得る工程と、有機溶剤に可溶な樹脂(D)によって顔料(E)の顔料分散物を得る工程と、分散樹脂(C)と当該顔料分散物とを混合する工程とを含み、ビニル系単量体混合物(A)と有機溶剤に可溶な樹脂(D)の総和が、塗料を構成する全樹脂成分中の4〜15重量%であることを特徴とする一液硬化性塗料の製造方法。
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