JP2006131746A - 合成白炭、およびその製造方法 - Google Patents

合成白炭、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
備長炭(白炭)の供給不足に対し、極めて安価に、確実に材料の調達が可能で、大量生産が可能な合成白炭を提供することを目的とし、更に、老木の乱伐を防ぎ、山林の環境の延命に貢献できる合成白炭を提供することを目的とする。
【解決手段】
主として植物繊維質を含む廃材を一種類、又は二種類以上と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として混合した混合物を、混練・加圧して成形・固形化し、炭窯にて700℃以上で焼成・炭化してなる合成白炭によって上記課題を解決する。
【選択図】
図1

Description

本発明は、備長炭(白炭)の代替品として使用可能な、主として植物繊維質を含む廃材を利用した合成白炭に関連し、さらにその製造方法に関連する。
木炭は、黒炭と白炭とに分類できる。黒炭は比較的低温で炭化させたものであり、低温炭とも呼ばれ、柔らかく、一般の木炭はこれに当たる。白炭は、黒炭より高温で炭化させたもので高温炭とも呼ばれ、黒炭に比べて硬く、上記備長炭はこれに当たる。このような備長炭は、空気口を塞いだ窯の中で一旦炭化させた後、空気孔を除々に開けて酸素量を増やしながら窯内の温度を上昇させ、発生する揮発成分を除々に燃焼させて焼成される。
このようにして製造される備長炭は、燃焼の熱量が高く、料理における熱源としては他に代わるものがなく、料理店等において重宝されている。又、このような熱源としての用途のみならず、木炭の持つ微粒子の吸着作用を利用して、不純物の吸着処理用の用途もあり、特に、高温炭は弱アルカリ性であり、水質浄化用活性炭としては大変に適している。
我が国の備長炭(以降、白炭と表記する場合あり)の需要は、その1/3が中国に依存していたが、近年、中国の備長炭(白炭)輸出が全面禁止となり、それに伴って代替合成白炭の開発が急務の課題となっている。
備長炭(白炭)用の木材として針葉樹が用いられ、特に楢木は最良の白炭材とされているが、白炭用として使用するには最低樹齢20年のものが必要である。即ち、需要に応じて植林しても使用可能となるまでに20年の歳月が必要であり、緊急の供給不足には対応不可能である。本発明は、備長炭(白炭)の供給不足に対し、極めて安価に、確実に材料の調達が可能で、大量生産が可能な合成白炭を提供することを目的とし、更に、老木の乱伐を防ぎ、山林の環境の延命に貢献できる合成白炭を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(1)主として植物繊維質を含む廃材を一種類、又は二種類以上と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として混合した混合物を、混練・加圧して成形・固形化し、炭窯にて700℃以上で焼成・炭化してなることを特徴とする合成白炭。
(2)上記植物繊維質を含む廃材は、粉砕して平均粒子径3000μm±2000μmとしたものが全廃材量の60〜80重量%を占め、上記無機質材料は、平均粒子径1000μm±500μmに粉砕したものと、さらに平均粒子径500μm以下の微粒子の粉砕品を含み、廃材100重量部に対する無機質材料の添加量が、平均粒子径1000μm±500μmのものが5重量部以上30重量部以下であり、平均粒子径500μm以下の微粒子が5重量部乃至20重量部であることを特徴とする(1)に記載の合成白炭。
(3)上記固形化成形物の形状が円柱、半円柱、又は多角柱であり、該円柱、半円柱の直径、又は該多角柱の外接円の直径が100mm以下、長さが2000mm以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の合成白炭。
(4)上記固形化成形物の表面に凹凸および意匠を設け、さらに貫通孔を設けたことを特徴とする(1)乃至(3)に記載の合成白炭。
(5)主として植物繊維質を含む廃材を一種類、又は二種類以上と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として混合した混合物を、混練・加圧して成形・固形化した後、炭窯にて700℃以上で焼成・炭化することを特徴とする合成白炭の製造方法。
(6)上記植物繊維質を含む廃材は、粉砕して平均粒子径3000μm±2000μmとしたものが全廃材量の60〜80重量%を占め、上記無機質材料は、平均粒子径1000μm±500μmに粉砕したものと、さらに平均粒子径500μm以下の微粒子の粉砕品を含み、廃材100重量部に対する無機質材料の添加量が、平均粒子径1000μm±500μmのものが5重量部以上30重量部以下であり、平均粒子径500μm以下の微粒子が5重量部乃至20重量部であることを特徴とする(5)に記載の合成白炭の製造方法。
(7)上記固形化成形物の形状が円柱、半円柱、又は多角柱であり、該円柱、半円柱の直径、又は該多角柱の外接円の直径が100mm以下、長さが2000mm以下である固形化成形物を使用することを特徴とする(5)又は(6)に記載の合成白炭の製造方法。
(8)上記固形化成形物の表面に凹凸および意匠を設け、さらに貫通孔を設けた固形化成形物を使用することを特徴とする(5)乃至(7)に記載の合成白炭の製造方法。
本発明の合成白炭は、廃材として大量に発生する植物繊維質と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として混合した混合物を炭化してなるものであり、該無機質材料として、廃材としてのガラス粉砕粒子が使用できるため、極めて安価に、確実に材料の調達が可能で、大量生産が可能であり、備長炭の供給不足に対して即応可能である。又、備長炭用針葉樹の老木の乱伐を防ぎ、山林の環境の延命に貢献できるという効果を得ることができる。さらに、様々な寸法、形状に成形できるため、各種の炉窯および壁材、床下など活性炭としての適した任意形状に設計可能であり、用途拡大が期待できる。
本発明の合成白炭は、廃材として分類され、大量に発生する籾殻と木材、竹等を粉砕した植物繊維質を一種類、又は二種類以上と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として適宜混合・混練し、炭窯にて700℃以上で焼成・炭化した後に白炭に近似した性状を示すようにしたもので、備長炭(白炭)の供給不足への対応を図るものである。
本発明の合成白炭の原料として使用可能な、植物繊維質を含む廃材としては、竹屑、木屑(おが屑)、紙屑や、胡桃、豆殻、椰子殻、栗皮、籾殻、蕎麦殻、玉蜀黍皮、豆腐粕等の植物残渣、天然繊維屑(わら屑)等を例示することができる。
本発明の合成白炭の原料として使用可能な植物繊維質を含む廃材は、全廃材量の60〜80重量%が平均粒子径3000μm±2000μmである粉砕物であることが好ましい。
上記植物繊維質を含む廃材の平均粒子径が5000μmを超えると固形化時の結合力が脆弱となり、好ましくない場合が多い。又、平均粒子径を1000μm未満とするにはコストが掛かりすぎ、廃材を利用する意味が無くなってしまうため好ましくない。
上記植物繊維質を含む廃材のうち、平均粒子径3000μm±2000μmのものの占める割合が60重量%未満では固形化時の結合力が不均一となり、好ましくない場合が多い。又、平均粒子径3000μm±2000μmのものの割合が80重量%を超える場合、その範囲に入れるためのコストが掛かりすぎ、廃材を利用する意味が無くなってしまうため好ましくない。
本発明の合成白炭は、上記植物繊維質混合物を固形化するために、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として用いるが、焼成前の固形化には高分子組成物がいわゆる糊剤として機能し、無機質材料は、焼成過程で、500℃〜750℃の加熱溶融温度領域での結合において機能し、冷却に伴って固化、接着される。
上記糊剤として機能する高分子組成物としては、
a)蛋白質系;にかわ、ゼラチン、アルビミン、カゼイン、大豆タンパク
b)澱粉質系;米、小麦、葛、玉蜀黍、じゃがいも、さつまいも、酸変性澱粉、酸化澱粉、澱粉誘導体
c)セルロース系;セルロースエーテル類、セルロースエステル類
d)複合多糖系;アラビアゴム、トラカンゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、グァーゴム、アルギン酸ナトリウム、布海苔、寒天
e)熱可塑性樹脂;熱可塑性樹脂全般の廃材(ペレット、粉末、フィルム、繊維)、及びエマルジョン、溶液、官能モノマー、共重合体、変性ポリマー
f)熱硬化性樹脂;アミノ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート系樹脂、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂の未架橋ポリマー、及びこれらの樹脂を使用した製品の廃材
g)ゴム類;天然ゴム、合成ゴム(IR、SBR、NBR、BR、CR、EPT、IIR、RB、AR等)、これらのラテックス、共重合体、変性体の未加硫ポリマー及び複合型ブレンド組成物
等を例示することができ、これらの中から一種類、又は二種類以上を選ぶことができる。
上記糊剤としての高分子組成物は、上記植物繊維質混合物を焼成前に固形化するために機能する。その添加量は特に規定しないが、上記植物繊維質混合物100重量部に対して固形分で10〜50重量部の範囲内であることが好ましい。
本発明の合成白炭は、上記植物繊維質混合物を固形化するために、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として使用するが、無機質材料は、焼成過程で、500℃〜750℃の加熱溶融温度領域での結合において機能し、冷却に伴って固化、接着される。該無機質材料としてはガラス粉砕粒子が好適に使用できる。該ガラス粉砕粒子としては特に規定はなく、ケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、低融点ガラス、結晶化低融点ガラス、及び廃車の窓ガラス、ビン類や光学レンズの廃棄ガラス等、あらゆるガラス類が使用可能である。その他、水ガラス(NaSiO)も、酸性物でゲル化することによって使用可能である。
又、本発明の合成白炭における結合材としての無機質材料は、焼成過程で、500℃〜750℃の加熱溶融温度領域での結合に関与し、冷却に伴って固化・接着するという機能を発揮させるために配合されるものであるから、透光性である必要は無く、同じ温度域で同様に機能する無機質材料も同じように使用できる。使用可能な無機質材料としては、アルカリ金属ケイ酸塩系、燐酸塩系、コロイダルシリカ系、アルキルシリケート系、歯科用セメント、リサージセメント、石膏、アルミナセメント、マグネシアセメント、硫黄セメント等が例示でき、これらは単独でも2種類以上を混合しても良い。又、上記ガラス類との併用も可能である。
本発明の合成白炭における結合材としての無機質材料は、平均粒子径1000μm±500μmに粉砕したものと、さらに平均粒子径500μm以下の微粒子の粉砕品を含み、植物繊維質を含む廃材100重量部に対する無機質材料の添加量が、平均粒子径1000μm±500μmのものが5重量部以上30重量部以下であり、平均粒子径500μm以下の微粒子が5重量部乃至20重量部であることが好ましい。
本発明の合成白炭における無機質材料の平均粒子径500μm以下の微粒子は、上記植物繊維質混合物との混合・混練時に生じる微細な空隙に入り込んで充填率を上げる効果があり、その添加量は上記範囲であることが好ましい。平均粒子径500μm以下の微粒子の添加量が5重量部未満では充填率を上げるという前記効果が得られにくく、20重量部を超えて添加しても効果は飽和し、コストアップにつながり、経済的に好ましくない。
本発明の合成白炭における結合材としての無機質材料の平均粒子径が1500μmを超える場合、上記植物繊維質混合物との混練時に沈殿し易く、均一な混合物を得にくくなる。平均粒子径が500μm未満の場合、上記微粒子に関する説明のとおり特に問題は生じないが、平均粒子径500μm以下の微粒子は上記のとおり植物繊維質を含む廃材100重量部に対して5重量部乃至20重量部配合すればよく、それ以上は経済的に好ましくない。
本発明の合成白炭における結合材としての無機質材料の添加量が上記規定範囲を上回る場合、白炭としての燃焼性能低下を招き、上記規定範囲を下回る場合には焼成後の形状維持が困難となり易い。
本発明の合成白炭は、次のように製造される。即ち、前記植物繊維質を含む廃材を一種類、又は二種類以上と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として配合し、加圧式ニーダー等で混練した後、金型に装填し、加熱・加圧して成型し、固形化成形物を得る。次に、得られた固形化成形物を図1に示した試験用炭窯に装填し(図1−2、符号g)、保温のため周囲を粘土hで覆い、空気穴dより薪eに着火して、開口孔bおよび空気穴dの開口を徐々に閉めながら希酸素状態に調整し、無酸素炭化させる。温度計fの温度が350℃に達したら開口孔bを完全に密閉し、空気穴dを2〜3個にして空気を除々に増やしながら窯内の温度を上昇させて有酸素炭化を行い、温度計fの温度が1,000℃に達するまで自発炭化を継続し、1,000℃に達した時点でその温度を維持して精錬を行う。着火から72時間後に窯だしし、直ちに酢灰を掛けて消火し冷却を24時間行い、本発明の合成白炭を得る。
上記の、炭窯での合成における燃焼、炭化温度と時間の関係は〔グラフ1〕に示した。
〔グラフ1〕本発明の実施例の炭窯での合成白炭製造過程における燃焼、炭化温度と時間の関係を示す。
Figure 2006131746
上記有酸素炭化工程は、窯内の温度を上昇させ、発生する揮発成分を除々に燃焼させるために行われるもので、この工程において、急に空気を増やすと炭自体まで燃焼してしまい、白炭とはならずに柔らかい炭(黒炭)になってしまうため、特に注意が必要である。
上記固形化成形物の形状は円柱、半円柱、又は多角柱であり、該円柱、半円柱の直径、又は該多角柱の外接円の直径が100mm以下、長さが2000mm以下であることが好ましい。
上記固形化成形物の直径が100mmを超える場合、及び/又は長さが2000mmを超える場合、炭化にムラが生じ易く、均一な組成の合成白炭が得られにくい。
上記固形化成形物は、金型にて加熱・加圧して成形するものであるため、その表面に凹凸および意匠を設けることが可能であり、さらに貫通孔を設けてもよい。
本発明の合成白炭は備長炭代替燃料としての用途のほか、不純物の吸着処理用の用途もあり、活性炭として使用可能である。
上記固形化成形物の実施形体の例を図2A〜Gに示す。図2A〜Gに示すように様々な寸法、形状に前記した成形金型で固形化でき、各種の炉窯および壁材、床下など活性炭としての適した任意形状に設計可能である。
以下、実施例を挙げて本発明の内容及び効果を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例で得られた合成白炭は以下のように評価した。
[合成白炭の評価]
実施例1〜5で得た合成白炭1〜5を使用し、それぞれ300gを計量し、小型七輪にセットして着火、燃焼させ、燃焼時間と温度、及び放射熱量の関係を、着火から6時間、測定した。尚、放射熱量は、携帯放射温度計((株)テックジャム製、IGA8+型)を用い、被燃焼体から15mmの位置で測定した。又、備長炭(参考例1)、黒炭(比較例1)も同様の測定を行った。
[実施例1]
[焼成前の固形化成形]
植物繊維質を含む廃材として、籾殻(破砕なし、平均粒子径:3000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)40重量部、竹粉(竹串の削り粉、平均粒径:1000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)40重量部、おが屑(平均粒子径:3000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)20重量部の合計100重量部を用い、無機質材料としてガラス粉(廃車窓ガラスを粉砕したもの、平均粒子径:1000μm)5重量部、ガラス微粒子(平均粒子径:300μm)5重量部を加え、水素基末端液状ポリブタジエン(出光アーコ(株)製、商品名:Poly bd MC−50)20重量部を添加し、加圧式ニーダー機で10分間混練し、鉄製金型(50mm×50mm×300mm)に装填し、160℃×5分間、加圧(150kgf/cm)プレスで成型し実施例1の固形化成形物1を得た。
[合成白炭の製造]
前記固形化成形物1を、図1−1、図1−2に示した試験用炭窯(鉄製ペール缶20Lを利用したもの)に装填し(図1−2、符号g)、保温のため周囲を粘土hで覆い、空気穴dより薪eに着火して、開口孔bおよび空気穴dの開口を徐々に閉めながら希酸素状態に調整し、無酸素炭化させる。温度計fの温度が350℃に達したら開口孔bを完全に密閉し、空気穴dを2〜3個にして空気を除々に増やしながら窯内の温度を上昇させて有酸素炭化を行い、温度計fの温度が1,000℃に達するまで自発炭化を継続し、1,000℃に達した時点でその温度を維持して精錬を行う。着火から72時間後に窯だしし、直ちに酢灰を掛けて消火し冷却を24時間行い、実施例1の合成白炭1を得た。実施例1の炭窯での合成における燃焼、炭化温度と時間の関係は〔グラフ1〕に示したとおりであった。
[合成白炭の評価]
実施例1で得た合成白炭1の燃焼時間と温度、及び放射熱量の関係を測定した。結果は表1に示した。
表1から明らかなように、合成白炭1は、備長炭と同等の放射熱量を示し、代替品として充分な性能を持つことが確認された。
[実施例2]
[焼成前の固形化成形]
植物繊維質を含む廃材として、籾殻(破砕なし、平均粒子径:3000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)40重量部、竹粉(竹串の削り粉、平均粒径:1000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)40重量部、おが屑(平均粒子径:3000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)20重量部の合計100重量部を用い、無機質材料としてガラス粉(廃車窓ガラスを粉砕したもの、平均粒子径:1000μm)10重量部、ガラス微粒子(平均粒子径:300μm)5重量部を加え、シンジオタクチック1,2ポリブタジエン(日本合成ゴム(株)製、商品名:RB−820)50重量部を添加し、加圧式ニーダー機のストック温度130℃で5分間混練し、圧延ロールで6mm厚みに押し出したものを鉄製金型300×300mm×5mmに装填し、160℃×20秒間加圧(150kgf/cm)プレスで成型し、成型物が冷めない内(80℃以上)に10枚を重ね合わせ圧着し固形化し、さらに裁断機で50mm×50mm×300mmの寸法形状とし実施例2の固形化成形物2を得た。
[合成白炭の製造]
前記固形化成形物2を用い、実施例1に準じて焼成を行い、実施例2の合成白炭2を得た。
[合成白炭の評価]
実施例2で得た合成白炭2の燃焼時間と温度、及び放射熱量の関係を測定した。結果は表1に示した。
表1から明らかなように、合成白炭2は、備長炭と同等の放射熱量を示し、代替品として充分な性能を持つことが確認された。
[実施例3]
[焼成前の固形化成形]
植物繊維質を含む廃材として、竹粉(竹串の削り粉、平均粒径:1000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)100重量部に、無機質材料としてガラス粉(廃車窓ガラスを粉砕したもの、平均粒子径:1000μm)5重量部、ガラス微粒子(平均粒子径:300μm)5重量部を加え、水素基末端液状ポリブタジエン(出光アーコ(株)製、商品名:Poly bd MC−50)15重量部を添加し、加圧式ニーダー機で10分間混練し、鉄製金型(50mm×50mm×300mm)に装填し、160℃×5分間、加圧(150kgf/cm)プレスで成型し実施例3の固形化成形物3を得た。
[合成白炭の製造]
前記固形化成形物3を用い、実施例1に準じて焼成を行い、実施例3の合成白炭3を得た。
[合成白炭の評価]
実施例3で得た合成白炭3の燃焼時間と温度、及び放射熱量の関係を測定した。結果は表1に示した。
表1から明らかなように、合成白炭3は、備長炭と同等の放射熱量を示し、代替品として充分な性能を持つことが確認された。
[実施例4]
[焼成前の固形化成形]
植物繊維質を含む廃材として、籾殻(平均粒子径:1000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)50重量部、おが屑(平均粒子径:1000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)50重量部の合計100重量部を用い、無機質材料としてガラス粉(使用済ビールビンを粉砕したもの、平均粒子径:500μm)7重量部を加え、シンジオタクチック1,2ポリブタジエン(日本合成ゴム(株)製、商品名:RB−820)10重量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成(株)製、商品名:タフプレンA)10重量部を添加し、加圧式ニーダー機で10分間混練し、鉄製金型(50mm×50mm×300mm)に装填し、160℃×5分間、加圧(150kgf/cm)プレスで成型し実施例4の固形化成形物4を得た。
[合成白炭の製造]
前記固形化成形物4を用い、実施例1に準じて焼成を行い、実施例4の合成白炭4を得た。
[合成白炭の評価]
実施例4で得た合成白炭4の燃焼時間と温度、及び放射熱量の関係を測定した。結果は表1に示した。
表1から明らかなように、合成白炭4は、備長炭と同等の放射熱量を示し、代替品として充分な性能を持つことが確認された。
[実施例5]
[焼成前の固形化成形]
植物繊維質を含む廃材として、籾殻(破砕なし、平均粒子径:5000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)40重量部、竹粉(竹串の削り粉、平均粒径:1000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)40重量部、おが屑(平均粒子径:2000μm、左記粒径粒子の占める割合:60重量%)20重量部の合計100重量部を用い、無機質材料として水ガラス(NaSiO)10重量部を加え、ポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:ポバールPVA#117)20重量部、寒天30%水溶液10重量部を添加し、加圧式ニーダー機で10分間混練し、鉄製金型(50mm×50mm×300mm)に装填し、160℃×5分間、加圧(150kgf/cm)プレスで成型し実施例5の固形化成形物5を得た。
尚、水ガラス(NaSiO)は、通常、塩酸を用いてゲル化して使用するが、実施例5では塩酸は使用せず、竹、籾殻、おが屑に含まれる酸性物によるゲル化反応を利用した。
[合成白炭の製造]
前記固形化成形物5を用い、実施例1に準じて焼成を行い、実施例5の合成白炭5を得た。
[合成白炭の評価]
実施例5で得た合成白炭5の燃焼時間と温度、及び放射熱量の関係を測定した。結果は表1に示した。
表1から明らかなように、合成白炭5は、備長炭と同等の放射熱量を示し、代替品として充分な性能を持つことが確認された。
[表1]
以上、説明したように、本発明の合成白炭は、廃材として大量に発生する植物繊維質と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として混合した混合物を炭化してなるものであり、該無機質材料として、廃材としてのガラス粉砕粒子が使用できるため、極めて安価に、確実に材料の調達が可能で、大量生産が可能であり、備長炭の供給不足に対して即応可能である。又、備長炭用針葉樹の老木の乱伐を防ぎ、山林の環境の延命に貢献できるという効果を得ることができる。さらに、様々な寸法、形状に成形できるため、各種の炉窯および壁材、床下など活性炭としての適した任意形状に設計可能であり、用途拡大が期待できる。
本発明の試験用炭窯 [図1−1]本発明の試験用炭窯の外観図 [図1−2]炭材を装填した本発明の試験用炭窯の断面図 固形化成形物の実施形体の例(A〜G)
符号の説明
a:密閉型上蓋
b:開口孔を有する取替え蓋
c:開閉型空気孔
d:複数の空気穴
e:燃焼開始用の薪
f:温度計
g:本発明の合成白炭材
h:試験用炭窯保温用の粘土

Claims (8)

  1. 主として植物繊維質を含む廃材を一種類、又は二種類以上と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として混合した混合物を、混練・加圧して成形・固形化し、炭窯にて700℃以上で焼成・炭化してなることを特徴とする合成白炭。
  2. 上記植物繊維質を含む廃材は、粉砕して平均粒子径3000μm±2000μmとしたものが全廃材量の60〜80重量%を占め、上記無機質材料は、平均粒子径1000μm±500μmに粉砕したものと、さらに平均粒子径500μm以下の微粒子の粉砕品を含み、廃材100重量部に対する無機質材料の添加量が、平均粒子径1000μm±500μmのものが5重量部以上30重量部以下であり、平均粒子径500μm以下の微粒子が5重量部乃至20重量部であることを特徴とする請求項1に記載の合成白炭。
  3. 上記固形化成形物の形状が円柱、半円柱、又は多角柱であり、該円柱、半円柱の直径、又は該多角柱の外接円の直径が100mm以下、長さが2000mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成白炭。
  4. 上記固形化成形物の表面に凹凸および意匠を設け、さらに貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の合成白炭。
  5. 主として植物繊維質を含む廃材を一種類、又は二種類以上と、無機質材料を含む高分子組成物を結合材として混合した混合物を、混練・加圧して成形・固形化した後、炭窯にて700℃以上で焼成・炭化することを特徴とする合成白炭の製造方法。
  6. 上記植物繊維質を含む廃材は、粉砕して平均粒子径3000μm±2000μmとしたものが全廃材量の60〜80重量%を占め、上記無機質材料は、平均粒子径1000μm±500μmに粉砕したものと、さらに平均粒子径500μm以下の微粒子の粉砕品を含み、廃材100重量部に対する無機質材料の添加量が、平均粒子径1000μm±500μmのものが5重量部以上30重量部以下であり、平均粒子径500μm以下の微粒子が5重量部乃至20重量部であることを特徴とする請求項5に記載の合成白炭の製造方法。
  7. 上記固形化成形物の形状が円柱、半円柱、又は多角柱であり、該円柱、半円柱の直径、又は該多角柱の外接円の直径が100mm以下、長さが2000mm以下である固形化成形物を使用することを特徴とする請求項5又は6に記載の合成白炭の製造方法。
  8. 上記固形化成形物の表面に凹凸および意匠を設け、さらに貫通孔を設けた固形化成形物を使用することを特徴とする請求項5乃至7に記載の合成白炭の製造方法。

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