JP2006130402A - リン除去方法、リン回収方法、リン吸着用カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
浄化槽の下流にリン吸着材を収納したリン吸着用カートリッジ装着部を設け、このカートリッジ装着部に装着したリン吸着用カートリッジのリン吸着材に、浄化槽から排出される排水に含まれるリンを吸着させ、排水からリンを除去する。リン吸着用カートリッジは定期的に交換されリン除去機能の低下を防ぐ。
【選択図】 図1
Description
(1)生物脱リン法(嫌気・好気法):浄化微生物の集合体である活性汚泥の培養条件を人為的に操作して嫌気状態と好気状態に設定することによって、これら微生物体が物質代謝反応で引き起こすリンの溶出と過剰摂取反応を利用して水中のリン酸態リンの濃度を下げる方法。
(2)凝集沈殿法:リン酸イオンPO43−と反応する金属イオンのFe2+、Fe3+を成分とする硫酸第一鉄溶液、塩化第二鉄溶液、Al3+を成分とする液体のポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などの凝集剤溶液を添加して凝集沈殿除去する方法。
(3)鉄電解法:上記の金属イオンFe2+を鉄の電気分解により作り出す方法である。水に浸した2枚の鉄板に直流電流を流すと、プラス側の電極(陽極)から2価の鉄イオン(Fe2+)が解け出す。
(4)アルミ電解法:同じくアルミニウムイオンを電気化学的に溶出させる方法。
(5)石灰凝集沈殿法:アルカリ金属イオンのCa2+を成分とする消石灰溶液を添加して、リン酸イオンと反応して凝集沈殿させる方法。この反応はPHに依存し、PHが高いほどリンの除去率は向上し、PH10.5以上では処理水中の残存リン濃度は0.5mg/1以下となる。
(6)フオストリップ法:上記(1)の生物脱リン法でリンを過剰摂取した活性汚泥を別の処理槽に移し、嫌気的雰囲気にしてリン酸イオンを再溶出させ、この分離液に消石灰溶液を添加して凝集沈殿させる組合せ技術。
(7)晶析法(HAP法):消石灰溶液を使用するが、石灰凝集沈殿法は不安定域で微細なヒドロキシアバタイトを急速に生成させる方法であるのに対し、晶析法は準安定域で行うことにより、新たな微細結晶の析出をさせずに、(原理的にいわゆるスラッジの発生は無く)反応槽内の種結晶の表面にヒドロキシアバタイトを晶析させ肥厚化させる方法。
(8)晶析法(MAP法):マグネシウムイオン(Mg2+)とアンモニアイオン(NH4+)とリン酸イオン(PO43−)が等モル(Mg:N:P=1:1:1)で反応し、水に難溶性のリン酸マグネシウムアンモニウム結晶として晶析することを利用する方法。
(9)活性アルミナ吸着法:活性アルミナを主成分とする粉状、粒状の吸着材にリン酸態リン(PO4−P)を吸着させる。活性アルミナは以下のように、OH−を除いてPO43−に強い選択性を示す(非特許文献1)。
(10)ジルコニウムフェライト吸着法:ジルコニウムフェライトは、基本構造としてZrFe2 (OH) 8の組成をもつ、正方晶形の無機化合物である。本吸着材はこのジルコニウムフェライトを粒状に加工したものである。
ジルコニウムフェライトのイオン交換作用は、表面に多数存在する水酸基(OH)-に由来し、その表面水酸基は酸性溶液中では陰イオン交換体、アルカリ性水溶液中では陽イオン交換体として作用する。
ジルコニウムフェライト吸着材の陰イオン吸着序列は下記の通り、PO43-Pに強い選択性を示す。
PO4 3->F->SO4 2->Br->NO2 ->Cl->NO3 -
(11)ハイドロタルサイト吸着法:ハイドロタルサイトはゼオライトに似た人工鉱物である。ゼオライトが陽イオン交換性を有するのに対してハイドロタルサイトは陰イオン交換性を有する。主として医薬品(制酸剤)として使用されているものである。
合田健著 水質工学応用編 丸善
1)生物学脱リン法は凝集沈殿法に比べて処理水中のリン濃度(PO43-P)を1mg/1(リットル)以下にまで下げることは難しい。
2)消石灰凝集法は処理水のリン濃度(PO43-P)を0.5mg/1(リットル)以下にまで下げることができるが処理水のPHが10以上になり、中和処理が必要となる。また生成スラッジ量が多く、薬注管理も必要となることから戸建合併処理浄化槽には適用できない。
3)酸化第二鉄やPACによる凝集沈殿法はリン濃度(PO43-P)を0.5mg/1(リットル)以下にまで下げることができるが、薬注管理が必要で戸建合併処理浄化槽には適用できない。
4)晶析法(HAP法)は消石灰凝集法に比べて、リン除去率が低く、処理水のリン濃度(PO43-P)を1.0mg/1(リットル)以下にまで下げることはできない。また、設備が複雑となり、薬注管理も必要で戸建合併処理浄化槽には適用できない。
5)MAP法はリン除去率が低く、処理水のリン濃度(PO43-P)を1.0mg/1(リットル)以下にまで下げることはできない。また、薬注管理が必要で戸建合併処理浄化槽には適用できない。
6)吸着法は、処理水のリン濃度(PO43-P) 1.0mg/1(リットル)以下にまで下げることができるが、吸着材の再生操作が必要でそのための設備や再生時期を判断する手段が必要である。吸着材の再生は高度な技術が必要で頻雑である。したがって戸建合併処理浄化槽で再生まで行うシステムとしては適用できない。
7)使い捨て型の吸着材による方法は再生が不要であるが、再生時期を判断する手段がない。使用済みの吸着材の処理処分方法などが確立していない。
また、リン回収を積極的に行う観点から従来技術を評価すると、これまでのリンの回収を目的として実施されている晶析技術は、リン濃度の高い一部の排水を対象に実施しているリン回収システムであって、合併処理浄化槽や工場廃水、下水処理場などのリン濃度が通常5mg/1(リットル)以下の低い廃水から広域的にリンを除去・回収するシステムは開発されていなかった。
更に詳しくは合併処理浄化槽や工場廃水処理水にはPO43-Pで約 5.0mg/1(リットル)のリンを含んでおり、これらの分散した個別の発生源で処理水のリン酸態リンを1mg/1(リットル)以下に安定維持できるリン除去方法とリン回収方法及びこれに用いるリン回収用カードリッジを開発することである。
更に他の目的は、我国はリンの全量を輸入にたよる消費国であり、リンの産出国の異変や政治・経済上の輸出規制、輸入リン価格の高騰を社会リスクとして捉え、リンの国内循環利用を図る社会システムの構築のため、リン資源循環利用を促進するシステムを開発することである。
本発明では更に所定の期間毎にカートリッジ装着部に装着したリン吸着用カートリッジ(以下単にカートリッジと称す)からリンを回収するリン回収方法を提案する。
この発明では更にリン吸着材に吸着されたリンを苛性ソーダ溶液で脱離させ、リンを含む苛性ソーダ溶液を低温真空濃縮し、リン酸ナトリウムの結晶の形態でリンを回収するリン回収方法を提案する。
特にカートリッジの交換を特定の業者が定期的に行うシステムを確立することにより、利用者はカートリッジの性能を測る必要がなく、定常的にリン除去機能を維持することができる。従って、このカートリッジ交換方式のリン除去方法を広域に普及させることにより、河川或は湖に流入するリンの総量を大きく低減することができる。
更に、本発明ではリン吸着材に吸着したリンを回収し、資源として供給可能とすることを提案するものであるから、リンを輸入に頼る現状に鑑みれば、環境保護の観点と併せて資源の供給を可能とする頗る大きい作用効果が得られる。
円管31は直径が例えば300mmφ程度のエンビパイプ等を用いることができ、その上端側に把手33を装着し、把手33により持ち運びは元より、カートリッジ装着部21への挿入及び取り出しの双方を簡単に行うことができる。
図1では家庭用の合併処理浄化槽を対象として説明したが、下水処理場および規模の大きい浄化槽にも本発明を適用することができる。つまり、排水の排出量の大小と、再生までの運転日数に応じてカートリッジ30の実装本数を選択すればよく、排水量と運転日数が大きくなるに従ってカートリッジ30の本数を増やせばよい。また、吸着材容積当りの通水量(SV)を1.0m3/m3・hr以下とすると損失水頭が小さく、カートリッジに下向流で通水する方法もとれる。このときの線速度(LV)は概ね0.5m/hrである。
図3にリン回収システムの概要を示す。戸建合併処理浄化槽A、或は工場廃水処理場B、下水処理場C等から、カートリッジ30を回収する。この回収と共に、地域サービスセンタ40は再生したカートリッジ30を個別のカートリッジ装着部21(図1参照)に装着し、カートリッジ30の機能の回復を達する。
次に、ステップSP3ではリン脱離工程を実行する。リン吸着材からリンを脱離させるにはリン吸着材を苛性ソーダ溶液に浸し、苛性ソーダ溶液をポンプで循環させて行われる。
脱離工程で用いられた苛性ソーダ溶液はステップSP4で真空濃縮法により濃縮されてリンを抽出する。
再生処理されたリン吸着材はステップSP7でカートリッジに充填され、カートリッジが再生される。
図2に示した容積を持つカートリッジを用いて実験を行なった結果を図5乃至図8に示す。ここでの実験は再生されたカートリッジを用いた場合のリンの除去率を計測した。各図に表す曲線A〜Kは図4に示す人槽比で与えられる条件で浄化槽が用いられた場合の浄化槽へ流入する生活排水に含まれるリンの濃度を示す。各図において、白抜きで表わすプロット点を結ぶ曲線はカートリッジ装着部21を通過したリン除去後のリンの濃度を表わす。
20 埋設槽 31 円管
21 カートリッジ装着部 32 リン吸着材
25 放流口 33 把手
Claims (4)
- 浄化槽の下流にリン吸収材を収納したカートリッジ装着部を設け、このカートリッジ装着部に装着したリン吸着用カートリッジのリン吸着材に、上記浄化槽から排出する排水に含まれるリンを吸着させ、上記排水からリンを除去することを特徴とするリン除去方法。
- 所定の期間毎に請求項1記載のカートリッジ装着部に装着したリン吸着用カートリッジからリンを回収するリン回収方法。
- 請求項2記載のリン回収方法において、上記リン吸着材に吸着されたリンを苛性ソーダ溶液で脱離させ、リンを含む苛性ソーダ溶液を低温真空濃縮し、リン酸ナトリウムの結晶の形態でリンを回収することを特徴とするリン回収方法。
- 請求項1又は2記載のリン除去方法又はリン回収方法の何れかに用いられるリン吸着用カートリッジに格納されるリン吸収材は、ジルコニウムフェライト系吸着材であることを特徴とするリン吸着用カートリッジ。
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JP2004321948A JP2006130402A (ja) | 2004-11-05 | 2004-11-05 | リン除去方法、リン回収方法、リン吸着用カートリッジ |
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2004
- 2004-11-05 JP JP2004321948A patent/JP2006130402A/ja active Pending
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