JP2006128870A - 音響シミュレーション装置、音響シミュレーション方法、および音響シミュレーションプログラム - Google Patents

音響シミュレーション装置、音響シミュレーション方法、および音響シミュレーションプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 複数のスピーカを使用して受聴者後方の音像の定位をより正確に実現する。
【解決手段】 再生音場データ取得手段1と、音響信号入出力手段2と、再生音場データにより音場の音線に関するデータを算出する音場解析データ算出手段3と、音場分割手段4と、全方向頭部伝達関数データ記憶手段5と、該当する頭部伝達関数データを選択し加工処理するとともに使用するスピーカごとに頭部伝達関数データを加算してインパルス応答を作成するインパルス応答作成手段6と、スピーカごとのインパルス応答から算出する伝達関数と再生用音響信号とを畳み込みクロストークキャンセル処理を行うことにより可聴化された音響信号を作成する可聴化手段7とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、音響再生対象となる音場内に設定された受音点における音場解析データに基づき、分割された前記音場の各エリアに再生用音響信号が振り分けられ各エリアにそれぞれ設置された複数のスピーカを用いて音響再生が行われる音響シミュレーション装置、音響シミュレーション方法、および音響シミュレーションプログラムに関する。
近年、DVDなどの普及に伴い、マルチチャンネルを使ったサラウンドシステムが浸透し、臨場感にあふれた音響再生が可能となっている。一般の家庭においてもスピーカを受聴者の正面、右前方、左前方、右後方、左後方、低音出力用(通常は正面に配置されたサブウーファースピーカ)に6つ設置する5.1chまたはさらに後方中央に2つ設置する7.1chサラウンドの使用が増加してきている。これらは、マルチチャンネルで録音したものを5チャンネルまたは7チャンネルに振り分けることによって、臨場感のある音響効果を再現することができる。
また、特許文献1の「音響再生システム」では、サラウンドシステムにおける複数のスピーカの出力音声にクロストークキャンセル処理を施すことが記載されている。スピーカの出力音声にクロストークキャンセル処理を施すことにより、一方の耳で再現されるためにスピーカから再生された音が他方の耳で再現されないように処理され、音像がはっきりと定位し、さらに臨場感のある音響環境を実現することができる。
特表2002−50507号
しかし、これらの従来のサラウンドシステムでは音像をスピーカの高さに落とし込み平面方向の360度に割り振ったサラウンド効果は再現できるが、垂直方向のサラウンド効果については考慮されていない。実際の音場は受聴者を囲む天球状であるのに対し、これらのシステムで再生する音響信号は平面状であり、実際には上方から聞こえてくる音が再生音では実際よりも低いところから聞こえてくるという違和感があったり、実際には垂直方向に広がって聞こえる音が再生音では広がりがなくなるという物足りなさを感じたりすることがあった。
これを解決するものとして、本願と同一出願人により出願された特願2003−300935号(2003年8月26日出願)に記載されている装置がある。これは、音響再生対象となる音場の頭部伝達関数とインパルス応答とを畳み込むことで、全球上のあらゆる方向から来る音をほぼ再現することができるものであるが、スピーカを受聴者の前方に置いた場合の後方の音像の定位等については、さらに改善することができるものであった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スピーカが設置された受聴者前方のエリアのみならず、後方の音像の定位をより正確に実現することができる音響シミュレーション装置、音響シミュレーション方法、および音響シミュレーションプログラムを提供することである。
上記目的を達成するための本発明の音響シミュレーション装置は、音響信号を再生する複数のスピーカが配置されてなる音場の固有データである再生音場データを取得する再生音場データ取得手段と、再生音場データに基づいて、音場の受音点における音線の到来方向を含むデータである音場解析データを算出する音場解析データ算出手段と、配置されているスピーカの数から音場を分割するための分割数を算出し、この分割数に基づいて音場を複数のエリアに分割する音場分割手段と、人頭の両耳における方向別の頭部伝達関数データを記憶する全方向頭部伝達関数データ記憶手段と、音場解析データに含まれる各音線の到来方向データに基づいて全方向頭部伝達関数データ記憶手段に記憶された頭部伝達関数データから該当する頭部伝達関数データを選択する処理、配置されているスピーカの中から該当するエリアのスピーカを特定する処理、選択された頭部伝達関数データに到達遅れ時間分の遅延をかける処理を含む加工処理を施す処理、および加工された頭部伝達関数データを特定されたスピーカごとに加算する処理を実行して配置されたスピーカごとのインパルス応答を求めるインパルス応答作成手段と、スピーカごとのインパルス応答から算出される伝達関数と再生用音響信号とを畳み込みクロストークキャンセル処理を行うことにより可聴化された音響信号を作成する可聴化手段と、可聴化された音響信号を該当するスピーカへ出力する音響出力手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、これまで実現し難かった受聴者の後方の音像を正確に定位し、実際の音場にさらに近く臨場感にあふれた音響を受聴者に提供することができる。
本発明の音響シミュレーション装置の一実施形態を、図1を用いて説明する。
図1は本発明の音響シミュレーション装置の第一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の音響シミュレーション装置は、再生音場データ取得手段1と、音響入出力手段2と、音場解析データ算出手段3と、音場分割手段4と、全方向頭部伝達関数データ記憶手段5と、インパルス応答作成手段6と、可聴化手段7と、制御手段8とを備える。
再生音場データ取得手段1は、音響信号を再生する音場の室形に関するデータや受音点のデータとしての座標等の固有データを再生音場データとして取得する。
音響入出力手段2は、録音された再生用音響信号を入力するとともに、再生するために可聴化された音響信号を出力する。音響入出力手段2により出力する音源を左右それぞれの耳で再現させるためにスピーカは2個で一対であり、スピーカ数は2n個(nは正の整数である)になる。
音場解析データ算出手段3は、音響再生対象となる音場内に設定された受音点における全音線の到来方向、周波数特性、および到達遅れ時間を算出する。
音場分割手段4は、使用するスピーカの数を基に再生対象となる音場を分割するための分割数を算出し、この分割数に基づいて音場を複数のエリアに分割する。
全方向頭部伝達関数データ記憶手段5は、人頭の両耳における方向別の頭部伝達関数データを記憶している。全方向頭部伝達関数について図2を参照して説明する。図2は、頭部伝達関数を測定する方向の拠点を示す概念図である。全方向頭部伝達関数とは、人頭を取り囲む全周囲方向に音源を置いた場合の頭部伝達関数である。本実施形態の場合、人頭を中心に半径1mの天球を考え、仰角は上下方向に10度おき、水平角は5度おきにスピーカを置き、インパルス応答を両耳で測定したデータをファイルとして記憶している。スピーカを各拠点に置いて両耳でそれぞれ測定したデータは、左右ペアで1セットである。左右の耳に各々のデータを音声として提供すれば測定した方向に聞こえてくることを示す。
インパルス応答作成手段6は、音場解析データ算出手段3により算出された全音線に関するデータにより、全方向頭部伝達関数データ記憶手段5に記憶されている中から該当する方向の頭部伝達関数データを選択し、イコライジング処理および到達遅れ時間分の遅延をかける処理などのデータ加工処理を行う。さらに、全音線に関するデータから音場分割手段4で分割されたエリアの内の該当するエリアのスピーカを特定し、特定したスピーカごとに加工処理した頭部伝達関数データを振り分ける。そしてスピーカごとに振り分けた頭部伝達関数データを加算し、インパルス応答を作成する。
可聴化手段7は、スピーカごとに作成したインパルス応答から算出した伝達関数と再生用音響信号とを畳み込み、さらにクロストークキャンセル処理を行うことにより各スピーカの可聴化された音響信号を作成する。
次に、本実施形態の動作について図3〜図6を用いて説明する。
図3は本発明の音響シミュレーション方法の第一実施形態を示すフローチャートである。まず、再生音場データ取得手段1にて、音響再生対象となる音場の室形を構築するための室形データや壁面に使用されている内装材料の吸音率データ、音源の位置や大きさ、および受音点の位置が使用者からの入力により取得される(S1)。ここで音源、受音点ともに1個とする。入力されたこれらのデータが制御手段8により音場解析データ算出手段3に送信されることにより、音響再生対象となる音場内に設定された受音点における直接音および反射音の音線に関する全音線データが算出される(S2)。このとき、次の3種類の音場解析データが算出される。
(1)受音点に到来する各音線の到来方向、すなわち水平角および仰角のデータ。
(2)受音点に到来する各音線の壁面材料の吸音率や空気吸収を反映した周波数特性データ。
(3)受音点に到来する各音線の音源から受音点に到達するまでの到達遅れ時間データ。
次に音場分割手段4にて、音響入出力手段2に接続されているスピーカ数が制御手段8を介して取得され(S3)、スピーカ数が偶数かつ4個以上(2n≧4(nは正の整数である))(S4)でない場合はエラーとなり終了する。2n≧4の条件を満たす場合は再生対象となる音場を水平面上のエリアA1〜Anにn分割する(S5)。スピーカは、n分割されたエリアごとに2個ずつ左右に設置される。分割されたエリアA1〜Anの範囲は下記の式により算出される。
Figure 2006128870
図4、および図5はスピーカが4個の場合において分割された音場および分割された各エリアのスピーカの設置位置の一例を真上および真横から見た説明図である。本実施形態においてはスピーカは4個であるので、n=2であり、音場は2つに分けられる。ここで、受聴者を取り囲む全球面を考えた場合に、受聴者を中心とした円上でエリアが分けられ、球を分割する場合、仰角0度上で図4に示すようにエリアA1、A2に分けられる。例えば、水平角10°、仰角0°の反射音はエリアA1に対応する。また、水平角275°、仰角マイナス80°の反射音はエリアA2に対応する。このように、直接音および反射音が対応する各エリアに分けられる。
本実施形態においては、4個のスピーカが2個ずつ2つのエリアに設置され、前方2つのスピーカ(フロントスピーカ)L1、R1で前方半球のエリアの音源が再現され、後方2つのスピーカ(リアスピーカ)L2、R2で後方半球のエリアの音源が再現される。分割された音場に関するデータおよびそれぞれの音場に設置されたスピーカに関するデータは、インパルス応答作成手段6に送信される。
次にインパルス応答作成手段6にて、受信した音場に関するデータおよびそれぞれの音場に設置されたスピーカに関するデータに基づき、各エリアに設置されたスピーカごとのインパルス応答が作成される。まず、音線本数分の頭部伝達関数データの算出処理を行うため処理の回数i=0として(S6)、直接音の処理が行われる。直接音の処理を行うため、(1)で算出された直接音の水平角および仰角のデータから対応する左右ペアの頭部伝達関数データが全方向頭部伝達関数データ記憶手段5より取得される(S7、S8)。次に、取得された左右ペアの頭部伝達関数データが、(2)で算出された直接音の周波数データを用いて各々帯域ごとにイコライジングされる(S9)。このイコライジングは、どのような方法でもよく、例えば、70dbを基準としてFIRフィルタ処理を行ってもよい。
次に、イコライジングされた左右ペアの頭部伝達関数データに、(3)で算出された直接音の到達遅れ時間データに基づき、遅れ時間分遅延がかけられる(S10)。これらの加工処理が行われた左右ペアの頭部伝達関数データが、(1)で算出された水平角および仰角のデータから分割された音場の該当するエリアに振り分けられ、さらに左右それぞれ対応するスピーカに振り分けられる(S11)。振り分けられた頭部伝達関数データはスピーカごとに分けて保持される(S12)。
次に、処理の回数iを1増加し(S13)、i=1として1番目の反射音の処理に移る(S14→YES)。反射音の処理も上記の直接音の処理と同様に、対応する左右ペアの頭部伝達関数データが全方向頭部伝達関数データ記憶手段5より取得され(S7、S8)、イコライジングされる(S9)。このとき、直接音のイコライジング処理で70dbを基準に行われたときは、反射音も同じ基準である70dbが用いられる。さらにこの反射音の頭部伝達関数に到達遅れ時間分遅延がかけられることにより加工処理された後(S10)、対応するスピーカが求められ、既に加工処理され各々のスピーカごとに保持されている頭部伝達関数に到達時刻ごとに加算される(S12)。
このようにして、全反射音分(全音線本数分)の頭部伝達関数データが累積加算され、スピーカごとのインパルス応答が作成される。全反射音分の処理が終わると(S10→NO)、受音点に人頭をおいた場合の両耳におけるインパルス応答がスピーカごとに作成される。
作成されたインパルス応答は制御手段8を介して可聴化手段7に送信される。可聴化手段7では、受信したインパルス応答から伝達関数が算出され(S16)、この伝達関数と録音された再生用音響信号(S17)とが畳み込まれ、あらかじめ測定しておいたクロストークによって、クロストークキャンセル処理が行われる(S18)ことにより可聴化される。可聴化された再生用音響信号は制御手段8を介して音響入出力手段から出力される。
本実施形態のクロストークキャンセル処理について図6を参照して説明する。まず、エリアA1のスピーカSP1に入力する音響信号をs1(t)とし、このs1(t)にスピーカSP1の左右ペアの伝達関数であるh1l(t)およびh1r(t)を畳み込むことによって、受聴者の左耳および右耳に再生されるべき信号VL1(t)およびVR1(t)を得る。このVL1(t)およびVR1(t)は下記(1)で表される。
Figure 2006128870
得られたVL1(t)およびVR1(t)は伝達関数が畳み込まれることによって音像定位処理された信号であり、VL1(t)を左耳に、VR1(t)を右耳に再生することで受聴者はスピーカSP1から鳴ってように聞こえる。
これらの信号を、フロントスピーカL1およびR1で再生したときにスピーカSP1から鳴っているように受聴者に聞こえるように、周知のクロストークキャンセル処理を行う。ここで、再生される音場においてフロントスピーカL1からの音響を受聴者の左耳に再生するための伝達関数をh1ll(t)、右耳に再生するための伝達関数をh1lr(t)、フロントスピーカR1からの音響を受聴者の左耳に再生するための伝達関数をh1rl(t)、右耳に再生するための伝達関数をh1rr(t)とする。これにより、フロントスピーカL1およびR1に送信すべき信号は、下記(2)で表される。
Figure 2006128870
上記はエリアA1に到来する1つの直接音または反射音について示している。これを、エリアA1に到来する全反射音数をM1としたとき、エリア1内の全反射音信号VL1AllおよびVR1Allは下記(3)で表される。
Figure 2006128870
よって、エリアA1の左右のスピーカL1およびR1に送信すべき信号をL1All、R1Allとすると、これらは下記(4)で表される。
Figure 2006128870
エリアA2についても同様の関係が得られ、スピーカSP2に入力する音響信号s2(t)と伝達関数h2l(t)とを畳み込むことによって得られる信号VL2(t)を左耳に、s2(t)と伝達関数h2r(t)とを畳み込むことによって得られる信号VR2(t)を右耳に再生することによって受聴者はスピーカSP2から鳴っているように聞こえる。このVL2(t)およびVR2(t)は下記(1)’で表される。
Figure 2006128870
よって、エリアA2におけるリアスピーカL2からの信号を受聴者の左耳に再生するための伝達関数をh2ll(t)、右耳に再生するための伝達関数をh2lr(t)、リアスピーカR2からの信号を受聴者の左耳に再生するための伝達関数をh2rl(t)、右耳に再生するための伝達関数をh2rr(t)とすることにより、リアスピーカL2およびR2に送信すべき信号は、下記(2)’で表される。
Figure 2006128870
また、エリアA2に到来する全反射音数M2としたときの、エリア2内の全反射音信号VL2AllおよびVR2Allは下記(3)’で表される。
Figure 2006128870
よって、エリアA2の左右のスピーカL2およびR2に送信すべき信号をL2All、R2Allとすると、これらは下記(4)’で表される。
Figure 2006128870
以上より、エリアAnにおける左右のスピーカLnおよびRnに送信すべき信号LnAllおよびRnAllは、下記(5)で表される。
Figure 2006128870
これらのクロストークキャンセル処理が行われることにより可聴化された音響信号がそれぞれ該当するスピーカに送信され(S19)、スピーカから出力される直接音を含む全反射音がしかるべき到来方向より聞こえるように再生される。
図7は、6個のスピーカを用い、3つのエリアに分割した場合の第二実施形態である。このように、3組のスピーカを使用することにより各スピーカで再生音場の1/3を再現することが可能であり、2組のスピーカを使用した場合より高精度に音響を再現することができる。更にスピーカ数を増やすことも可能であり、また配置位置も水平方向だけでなく垂直方向に増やすことも可能である。垂直方向に増やすことにより、上下方向の音像定位をより高精度に行うことが可能になる。
以上により、全方向の頭部伝達関数データを基に再生用音響信号から可聴化された音響信号が作成され、さらにその可聴化された音響信号が複数のエリアに分けられて2組以上のペアのスピーカを用いて後方からも再生されるので、今まで不十分であった後方や上下方向の音像定位をより正確に行うことができ、より臨場感のある高音質な再生音場を提供することができる。
なお、本発明は上記の音響シミュレーション装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含む。このプログラムは、記録媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
本発明の第一実施形態による音響シミュレーション装置を示すブロック図である。 本発明の第一実施形態による音響シミュレーション装置の全方向頭部伝達関数に使用される方向を示す概念図である。 本発明の第一実施形態による音響シミュレーション装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態による音響シミュレーション装置の分割されたエリアおよびスピーカの設置位置を示す水平方向の説明図である。 本発明の第一実施形態による音響シミュレーション装置の分割されたエリアおよびスピーカの設置位置を示す垂直方向の説明図である。 本発明の第一実施形態による音響シミュレーション装置のスピーカの設置位置および各スピーカから受聴者の両耳への伝達関数を示す水平方向の説明図である。 本発明の第二実施形態による音響シミュレーション装置の分割されたエリアおよびスピーカの設置位置を示す水平方向の説明図である。
符号の説明
1 再生音場データ取得手段
2 音響入出力手段
3 音場解析データ算出手段
4 音場分割手段
5 全方向頭部伝達関数データ記憶部
6 インパルス応答作成手段
7 可聴化手段
8 制御手段

Claims (3)

  1. 音響信号を再生する複数のスピーカが配置されてなる音場の固有データである再生音場データを取得する再生音場データ取得手段と、
    前記再生音場データに基づいて、前記音場の受音点における音線の到来方向を含むデータである音場解析データを算出する音場解析データ算出手段と、
    前記配置されているスピーカの数から前記音場を分割するための分割数を算出し、この分割数に基づいて前記音場を複数のエリアに分割する音場分割手段と、
    人頭の両耳における方向別の頭部伝達関数データを記憶する全方向頭部伝達関数データ記憶手段と、
    前記音場解析データに含まれる各音線の到来方向データに基づいて前記全方向頭部伝達関数データ記憶手段に記憶された前記頭部伝達関数データから該当する前記頭部伝達関数データを選択する処理、前記配置されているスピーカの中から該当するエリアのスピーカを特定する処理、前記選択された頭部伝達関数データに到達遅れ時間分の遅延をかける処理を含む加工処理を施す処理、および前記加工された頭部伝達関数データを前記特定されたスピーカごとに加算する処理を実行して前記配置されたスピーカごとのインパルス応答を求めるインパルス応答作成手段と、
    前記スピーカごとの前記インパルス応答から算出される伝達関数と前記再生用音響信号とを畳み込みクロストークキャンセル処理を行うことにより可聴化された音響信号を作成する可聴化手段と、
    前記可聴化された前記音響信号を該当する前記スピーカへ出力する音響出力手段と、
    を備えることを特徴とする音響シミュレーション装置。
  2. 音響信号を再生する複数のスピーカが配置されてなる音場の固有データである再生音場データを取得するステップと、
    前記再生音場データに基づいて、前記音場の受音点における音線の到来方向を含むデータである音場解析データを算出するステップと、
    前記配置されているスピーカの数から前記音場を分割するための分割数を算出し、この分割数に基づいて前記音場を複数のエリアに分割するステップと、
    人頭の両耳における方向別の頭部伝達関数データを記憶するステップと、
    前記音場解析データに含まれる各音線の到来方向データに基づいて前記全方向頭部伝達関数データ記憶手段に記憶された前記頭部伝達関数データから該当する前記頭部伝達関数データを選択する処理、前記配置されているスピーカの中から該当するエリアのスピーカを特定する処理、前記選択された頭部伝達関数データに到達遅れ時間分の遅延をかける処理を含む加工処理を施す処理、および前記加工された頭部伝達関数データを前記特定されたスピーカごとに加算する処理を実行して前記配置されたスピーカごとのインパルス応答を求めるステップと、
    前記スピーカごとの前記インパルス応答から算出される伝達関数と前記再生用音響信号とを畳み込みクロストークキャンセル処理を行うことにより可聴化された音響信号を作成するステップと、
    前記可聴化された音響信号を該当する前記スピーカへ出力するステップと、
    を備えることを特徴とする音響シミュレーション方法。
  3. 音響信号を再生する複数のスピーカが配置されてなる音場内に音響再生を行う音響シミュレーション装置に、
    前記音場の固有データである再生音場データを取得する再生音場データ取得機能と、
    前記再生音場データに基づいて、前記音場の受音点における音線の到来方向を含むデータである音場解析データを算出する音場解析データ算出機能と、
    前記配置されているスピーカの数から前記音場を分割するための分割数を算出し、この分割数に基づいて前記音場を複数のエリアに分割する音場分割機能と、
    人頭の両耳における方向別の頭部伝達関数データを記憶する全方向頭部伝達関数データ記憶機能と、
    前記音場解析データに含まれる各音線の到来方向データに基づいて前記全方向頭部伝達関数データ記憶機能に記憶された前記頭部伝達関数データから該当する前記頭部伝達関数データを選択する処理、前記配置されているスピーカの中から該当するエリアのスピーカを特定する処理、前記選択された頭部伝達関数データに到達遅れ時間分の遅延をかける処理を含む加工処理を施す処理、および前記加工された頭部伝達関数データを前記特定されたスピーカごとに加算する処理を実行して前記配置されたスピーカごとのインパルス応答を求めるインパルス応答作成機能と、
    前記スピーカごとの前記インパルス応答から算出される伝達関数と前記再生用音響信号とを畳み込みクロストークキャンセル処理を行うことにより可聴化された音響信号を作成する可聴化機能と、
    前記可聴化された前記音響信号を該当する前記スピーカへ出力する音響出力機能と、
    を実現させることを特徴とする音響シミュレーションプログラム。

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