JP2006127928A - 多機能性透明導電膜付き基板、塗布液及びその製造方法 - Google Patents

多機能性透明導電膜付き基板、塗布液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属網目を有する基板が提供する透明性・導電性に加え、特定波長域の光を吸収する機能を備えることにより、該多機能透明導電膜付き基板をプラズマディスプレイパネルの光学フィルターに使用した場合色再現性の向上や色調調整が可能であり、かつ、金属網目から電極や接地が容易に取れる多機能膜性導電膜付き基板、該多機能性導電膜付き基板用塗布液、及び該多機能性導電膜付き基板用の製造方法を提供する。
【解決手段】 透明基板上に網目状の金属層を有し、その開口部に可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上有し、該光吸収性化合物が金属層上には存在しないことを特徴とする多機能性透明導電膜付き基板、及び、該多機能透明性導電膜付き基板形成用塗布液。
【選択図】 なし

Description

本発明は金属網目状構造を有することにより導電性を有しかつ網目の開口部に可視域および/または近赤外域での光を吸収する光吸収性化合物を充填することにより導電性と光吸収性を併せ持つ多機能性導電膜付き基板、該多機能性導電膜を形成するための塗布液および該多機能性導電膜付き基板の製造方法に関する。
透明導電膜は、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)パネルなどの表示装置の電磁波遮蔽体、LCD、タッチパネル等の透明電極、自動車のデフロスター等の面状発熱体等として用いられ、近年特に需要が増加して来ている。
従来、透明導電膜は酸化インジウム等の透明導電性酸化物をスパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法といった物理的プロセスによる製膜方法で作成されたものが一般的であるが、透明導電性酸化物が導電層を形成しているために透明性には優れているものの導電性には限界があり、そのためPDP用電磁波遮蔽用途などの極めて高い電磁波シールド特性が要求される用途には適用できない場合もある。また、より導電性に優れた金属膜を前記方法により作成したものにおいては、導電性は充分であるものの透明性の点で適用できない問題点が存在する。また、前記物理的手法による透明導電膜の形成方法では真空下での成膜を必要とするため、結果として成膜コストが高く、さらに大面積での成膜が困難であるという欠点もある(例えば、特許文献1参照)。
さらに、高透明性・高導電性の両立が成されておりPDP用電磁波遮蔽用途に用いられている銅メッシュに至っては、銅箔貼り合せ、フォトレジストエッチング処理等の煩雑で高度な微細加工技術により作成されておりコストが高いという問題がある。
一方、成膜コストを低くする目的で、金属微粒子や酸化物微粒子を含む塗布液を基板上にスピンコート、ディップコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、スプレーコート等の手段で塗布する方法が検討されているが(例えば特許文献2)、特に、金属微粒子を用いた場合は透明性に、また、酸化物微粒子を用いた場合は導電性に課題が残り、充分な透明性と導電性は両立されていない。
前記塗布方法の問題を解決する方法として、基板上に金属の網目構造を自発的に形成する方法及び該方法により得られる透明導電膜が提案されている(特許文献3)。該透明導電膜は、基板上に金属の網目を有し、金属網目が導電性を、網目の開口部が透明性を提供するものであるが、この場合、油相に金属粉および/または金属微粒子を分散させ、水を混合することにより、不連続相が水、連続相が金属粉および/または金属微粒子を含む油であるエマルション塗布液を形成し、これを基板上に塗布・乾燥することで金属粉および/または金属微粒子から成る網目状構造が形成される。しかしながら、特許文献3に記載の透明導電膜は、金属網目の開口部の空間には何も充填されておらず、このようにして得られる膜は、開口部に由来する透明性と金属網目に由来する導電性を有するのみで、それ以上の機能を提供するものではない。
一方、PDPの光学フィルターや液晶ディスプレイパネルにおいては、各種機能部材が組み合わされて構成されている。例えばPDPの光学フィルターの場合、支持基板であるガラス、電磁波遮蔽フィルム、近赤外遮蔽フィルム、色調調整フィルム、反射防止フィルムが組み合わされて構成されている。この場合、必要部材数が多くさらに各部材毎に貼り合せるというプロセス的に煩雑な工程が必要とされ、光学フィルターの製造コストが高くなるという重要な課題がある。
かかる課題に対し、前記の自発的に形成された金属網目を有する基板の上に各種機能部材を塗布して透明導電性以外の機能を付与し、多機能フィルムさらには光学フィルターとする方法もありえるが、多数回の塗布を必要とするため、結果として多機能フィルム、光学フィルターとしての製膜コストが高くなるため、本質的な解決とならない。更に、このように、金属網目を有する基板の上に各種機能部材を塗布すると、金属網目の開口部と共に金属網目も他の機能部材により覆われてしまうため、金属網目から電極や接地が取り難いという重要な課題が付随する。
特許第3464590号 特開平11-80618号公報 PCT WO 03/106573 A1
本発明は、従来技術におけるこれらの問題点に鑑みてなされたものであって、その解決のための具体的な課題は、金属網目を有する基板が提供する透明性・導電性に加え、特定波長域の光を吸収する機能を備えることにより、該多機能透明導電膜付き基板をプラズマディスプレイパネルの光学フィルターに使用した場合色再現性の向上や色調調整が可能であり、かつ、金属網目から電極や接地が容易に取れる多機能膜付き基板を提供することにある。さらに本発明の別の課題は、部材の貼り合せ、ないしは、逐次的な塗布を用いることなく上記多機能膜付き基板を製造するための方法、及びそれに係わる塗布液を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑みて、鋭意検討を重ねた結果、連続相に金属層を形成する金属成分を含み、不連続相に可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上含むエマルションを透明基板上に塗布することにより自発的に金属成分からなる網目構造が形成され、同時に網目構造の開口部に光吸収性化合物が充填されることで導電性と可視域および/または近赤外域の光吸収性を単層膜に付与することができ、さらに網目状金属層の金属層上には該光吸収性化合物が存在しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1の要旨は、透明基板上に網目状の金属層を有し、その開口部に可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上有し、該光吸収性化合物が金属層上には存在しないことを特徴とする多機能性透明導電膜付き基板、に存する。
また本発明の第2の要旨は、上記多機能性透明導電膜付き基板における該網目状の金属層が不規則な網目状の金属層であることに存する。
また本発明の第3の要旨は、上記多機能性透明導電膜付き基板における該金属層がAu、Ag、Cu、Pt、Al、Pdから選ばれる一種類以上の元素からなることに存する。
また本発明の第4の要旨は、連続相に金属層を形成する金属成分を含み、不連続相に可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上含むエマルションからなることを特徴とする多機能性透明導電膜付き基板形成用塗布液、に存する。
また本発明の第5の要旨は、上記該多機能性透明導電膜付き基板形成用塗布液を透明基板上に塗布することを特徴とする多機能性透明導電膜付き基板の製造方法、に存する。
本発明の多機能透明導電膜付き基板は、金属網目状構造を有することにより導電性を有
し、かつ網目の開口部に特定波長域の光を吸収する化合物を有することにより、該多機能透明導電膜付き基板をプラズマディスプレイパネルの光学フィルターに使用する場合には、場合色再現性の向上や色調調整並びに近赤外遮蔽が可能であり、しかも金属網目構造上に該光吸収性化合物を有しないため、金属網目から電極や接地が容易に取れる利点がある。
以下、本発明の実施の態様の一例を詳細に説明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
本発明の多機能透明導電膜付き基板は、後述の如き透明基板上に網目状の金属層を有し、その開口部に後述の如き、可視域における特定波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外域における特定波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上含有する。本発明の多機能透明導電膜付き基板は、網目状の金属層を有することにより導電性を有し、かつ網目の開口部に特定波長域の光を吸収する化合物を有することにより、プラズマディスプレイパネルの光学フィルターに使用し色再現性の向上、色調調整、近赤外遮蔽が可能である。
又、本発明の透明導電膜付き基板は該光吸収性化合物が該金属層上には存在しない。該光吸収性化合物が該金属層上に存在する場合には、金属網目から電極や接地を取る場合に制限があり好ましくない。
本発明に用いる透明基板としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない基板であれば良く、特に制限はない。その具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリレート樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等を挙げることができる。これらの中では、特にノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン重合体からなる非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロース樹脂等が、良好な透明性及び/又は耐熱性の観点で好ましい。また、係る透明基板は、単一の材料で構成されていても良く、また、複数の材料が混合されることで構成されていても良い。
上記の樹脂には、一般に公知である添加剤、例えばフェノール系、燐系などの酸化防止剤、ハロゲン系、燐酸系等の難燃剤、耐熱老化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を配合することができる。また上記樹脂は、公知の射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方法などを用い、フィルムまたはシート(板)に成形される。その厚みとしては、目的に応じて10μm〜5mmの範囲が望ましい。かかる透明基板を構成する基材は、未延伸でも延伸されていても良い。また、他の基材と積層されていても良い。
さらに、該透明基板は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施し、表面の疎水性、親水性の度合いを調節しても良い。
本発明の多機能性透明導電膜付き基板において、透明性と導電性は、上記の透明基板上に形成された網目状の金属層によって提供される。ここで、網目状の金属層とは、主に金属で形成された、太さ及び高さを有する不定形の線状部分および、係る線状部分によって囲われた不定形のセル状構造(以下、開口部という)が多数連結したものである。係る線状部分が導電性を担い、一方、開口部が透明性を担う。なお、開口部のサイズは、個々の開口部サイズを平均したものである。また、該金属で形成された線状部分は、電極や接地
を取ることを容易とするため、実質的に、他の材料によって被覆されていないことが好ましい。なお、本発明の透明導電膜付き基板の利用にあたっては、電極や接地のために必要な部分を除き、それ以外の部分が他のフィルム、粘着剤、接着剤等によって貼合、別途被覆されても良い。
該網目状金属層を形成する金属は、形成された網目状金属層において実質的に高導電性を示すものであれば特に限定されないが、例えばAu、Ag、Cu、Pt、Al、Pd、Ni、Fe、In、Sn、Zn、Cr、Co、Ru、Rh、Sb、Ti、Ta、Pb、Os、Irなどから選ばれる一種類以上の元素からなる金属、またはこれらの混合物などが挙げられる。特にAu、Ag、Cu、Pt、Al、Pdから選ばれる一種類以上の元素からなる金属が好ましい。二種類以上からなる金属の場合は、二種元素の固溶状態、または共晶状態であっても良く、または二種以上の元素が中心と外側に分かれているコアシェル型構造を元にするものでも良い。
該金属で形成された線状部分の幅は0.1mm〜50mmの範囲が好ましく、0.5mm〜30mmの範囲がより好ましく、1mm〜20mmの範囲がさらに好ましい。該金属で形成された線状部分の厚みは、0.1μm〜100mmの範囲が好ましく、0.5μm〜50mmの範囲がより好ましく、1mm〜10mmの範囲がさらに好ましい。該網目状の開口部における開口部のサイズは、10mm〜1000mmの範囲が好ましく、30mm〜500mmの範囲がより好ましく、50mm〜300mmの範囲がさらに好
ましい。かかる幅、厚み及び開口部サイズが首記範囲より逸脱すると、導電性と透明性を両立することができず好ましくない。
本発明において、可視波長域または近赤外波長域の光を吸収する機能を有する化合物は、該開口部に単独で存在するかあるいは樹脂と混合された状態で存在する。樹脂と混合された状態で存在する場合、該化合物は、係る樹脂中に分子状に分散していても、及び/又は、粒子状に分散していてもよい。該樹脂中、該化合物が占める割合は0.001重量%〜95
重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01重量%〜70重量%である。該樹脂は、金属網目層が有する透明性を著しく損なわない範囲であれば、任意の樹脂を利用することができ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等、公知の樹脂から適宜選択される。該樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂等のアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、AS樹脂、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、フェノール系樹脂、ポリスルフォン、ナイロン、セルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、などが挙げられる。なお、樹脂の他、ゾル−ゲル法で形成される無機酸化物を単独もしくは樹脂と混合して利用してもよい。
該開口部に充填される可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物としては、具体的には380nm近辺から780nm近辺の可視域において使用目的に適合した特定波長域の光を実質的に吸収する化合物であれば良く、特に制限はない。使用目的としては例えばプラズマディスプレイパネルやフィールドエミッションディスプレイパネル、液晶ディスプレイなどの表示パネルにおける色再現性の向上や色調調整などが挙げられる。その具体的な例としては、ポリ(ジアルキルフルオレン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ジアルキルフルオレン−ジチオフェン共重合体、可溶性ポリパラフェニレンビニレンなどの可溶性導電性高分子、テトラアザポルフィリン系化合物、スクアリリウム系化合物、ジピラゾリルスクアリリウム系化合物、アントラキノン系化合物、ジフェニルスクリリウム系化合物、メチン系化合物、ピラゾール系化合物、ジピラゾリルメチン系化合物、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、インジゴ系化合物、またはInP、GaPなどのIII-V族化合物半導体微粒子
、ZnO、CdSeなどのII-VI族化合物半導体微粒子に代表される無機微粒子等が挙げられる。これらのなかで、例えばプラズマディスプレイパネルにおけるネオンオレンジ光カットの目的のためにはテトラアザポルフィリン系化合物、スクアリリウム系化合物が好ましい。
該開口部に充填される近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物は780nm近辺から3000nm近辺の近赤外域において使用目的に適合した特定波長域の光を実質的に吸収する化合
物であれば良く、特に制限はない。使用目的としては例えばプラズマディスプレイパネルなどの表示パネルにおける近赤外遮蔽などが挙げられる。その具体的な例としては、ジインモニウム系化合物、インドアニリン金属錯体系化合物、ジチオレート金属錯体系化合物、含フッ素フタロシアニン系化合物、縮合ベンゾピラン系化合物、縮合キノリン系化合物、インモニウム系化合物、アミニウム塩系化合物、ナフタロシアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジオキサジナフトペンタセン系化合物、スクアリリウム系金属錯体化合物、ジチオール金属錯体系化合物、アミノチオフェノレート系金属錯体、金属−芳香族化合物複合体の塩類、ビス(エチレン−1、2−ジチオラト)金属錯体、ポリスチレンスルホン酸ドープ−ポリ(3、4エチレンジオキシチオフェン)、高濃度ドープされたポリアニリン等が挙げられる。高濃度ドープされたポリアニリンやポリスチレンスルホン酸ドープ−ポリ(3、4エチレンジオキシチオフェン)などにおける近赤外域の吸収は、いわゆる色素系化合物とは異なり高濃度ドープされ電気伝導度の高い金属的な性質を持つ導電性高分子の自由電子によるものであるが問題は無い。または、可視域で透明であり、近赤外域に自由電子に由来する吸収を有する酸化物微粒子、例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)
、亜鉛ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等でも良い。さらにこれ
ら微粒子または上記導電性高分子は導電性を有するため、結果として網目状金属層と開口部を等電位にすることも可能である。これらのなかで、例えばプラズマディスプレイパネルにおける近赤外遮蔽の目的のためにはジインモニウム系化合物、インドアニリン金属錯体系化合物、ジチオレート金属錯体系化合物、ジチオール金属錯体系化合物が好ましい。
上記の光吸収性化合物は、必要に応じてそれぞれ1種類以上を用いても良く、また必要に応じて、該可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上と該近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上共存させて用いても良い。また、該可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物及び/又は該近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物が充填された金属網目の開口部は、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱老化防止剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
本発明の多機能性透明導電膜付き基板は、以下に述べる塗布液を上記の透明基板の上に塗布することにより製造される。
本発明の塗布液は、連続相に金属層を形成する金属成分を含み、不連続相に可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上含むエマルションからなり、通常、溶媒1に金属微粒子が分散した金属微粒子分散液と、かかる溶媒1に難溶な溶媒2を用いて上記の光吸収性化合物を溶解及び/又は分散させた化合物溶液を、必要に応じて界面活性剤の存在のもと混合して得られるエマルションである。なお、溶媒1及び溶媒2は、夫々、単独の溶媒であっても混合溶媒であっても良い。かかるエマルションにおいて、該金属微粒子分散液は連続相を形成し、一方、該化合物溶液は分散相(不連続相)を形成する(図1)。溶媒1が水を主体とした溶媒である場合、溶媒2はかかる溶媒に難溶な溶媒から構成され、係るエマルションは、O/W(oil in water)エマルションとなる。一方、溶媒2が水を主体とした溶媒である場合、溶媒1は係る溶媒に難溶な溶媒から構成され、係るエマルションは、W/O(water in oil)エマルションとなる。なお、首記の難溶とは、適切な界面活性剤の選択により、エマルションを形成できる溶媒の組み合わせを指す。
O/Wエマルション、W/Oエマルションの選択は任意であり、塗布液の主要成分である光吸収性化合物の溶解性ないしは分散性及び/又は金属微粒子の分散性を考慮して適宜選択される。
本発明の塗布液を構成する該金属微粒子分散液における金属微粒子は、本発明の多機能
性透明導電膜付き基板において導電性を提供する金属網目を形成するためのものであり、金属網目を形成する金属として前述の金属が挙げられる。これらの金属微粒子は、還元法、気相法、粉砕法等の公知の方法により製造される。
該金属微粒子の平均粒径(直径)は、0.005μm〜1μm、好ましくは0.01μm〜0.5μ
m、より好ましくは0.01μm〜0.2μmの範囲である。係る範囲より小さなものは、接触
抵抗が増大し良好な導電性が得られない傾向がある。一方、かかる範囲よりも大きなものは分散不良を起こしやすくなり、良好な導電性が得られない傾向がある。なお、金属微粒子の形状は、球状、鱗片状、針状、樹枝状、鎖状など任意の形状のものを用いることができる。また用いる金属微粒子の粒径が、大きい粒子と小さい粒子との混合系であっても構わない。また導電性を向上させる目的で、添加剤として、金属塩化合物、金属錯体化合物、金属酸化物等を加えてもよい。
該金属微粒子分散液に含有される金属微粒子の濃度は、該金属微粒子分散液中の重量濃度として、0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%の範囲
である。かかる範囲の下限よりも少なくなると、導電性が低下する傾向にあるため好ましくない。一方、係る範囲の上限よりも多くなると、得られる金属網目構造の開口部面積が減少し、透明性が低下する傾向にあり、また、塗布液の安定性が低下するため好ましくない。
該金属微粒子分散液には、更に、金属微粒子の分散安定性を高めるための添加剤や得られる金属網目の強度や透明基板との接着性を更に高めるための樹脂成分を適宜添加してもよい。このような添加成分の例としては、溶媒1が水系の場合、クエン酸等の多価カルボン酸類、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ピロリドン系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂、セルロース誘導体等の樹脂が等が例示され、これらは単独でも、または混合して用いてもよい。一方、溶媒1が水と実質的に非混和な溶媒の場合、ポリビニルブチラール系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、AS樹脂、塩酢ビ樹脂などが挙げられる。これらは単独でも、または混合して用いてもよい。
通常、該金属微粒子分散液中の添加剤の濃度は、該金属微粒子分散液中の重量濃度として、30重量%以下が好ましい。これを越えると、導電性が悪化するため好ましくない。
該金属微粒子分散液は、必要に応じて分散処理して製造される。かかる分散処理に使用する分散機としては、これに限定されるものではないが、ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、パールミル、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー、マグネティックスターラー、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー等の公知の方法を用いることができる。分散機としてメディアを使うものには、例えば、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等を用いることができる。
なお、該金属微粒子分散液には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常、微粒子分散液に添加される各種添加剤、例えば、酸化防止剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤、消泡剤等が必要に応じて含まれていても良い。
本発明の塗布液を構成する化合物溶液に含まれる可視波長域及び/又は近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物は、本発明の多機能性透明導電膜付き基板において特定波長域の光を吸収するためのものであり、前述の化合物が挙げられる。
本発明の塗布液を構成する化合物溶液は、該可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物あるいは該近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を、必要に応じてそれぞれ1種類以上を含んでいても良く、また必要に応じて、これらをそれぞれ1種類以上混合して含ん
でいても良い。
該化合物溶液における該光吸収性化合物の濃度は、該光吸収性化合物の吸光度及び多機能透明導電膜付き基板に要求される特定波長の光の吸収性によって定まるため、一概にその値を規定することはできないが、通常、該化合物溶液中の重量濃度として、0.0001重量%〜50重量%の範囲が好ましい。0.0001重量%を下回ると、得られる多機能透明導電膜付き基板の特定の光吸収性が十分に発現せず好ましくない。一方、50重量%を越えると、該光吸収性化合物の溶解不良や分散不良が起き易くなるため好ましくない。
該化合物溶液における該光吸収性化合物は、上記溶媒2中において、分子状に溶解していても良く、また、会合体を形成して溶解していても良い。更に、粒子状に分散している状態でもよい。かかる粒子状に分散する場合には、多機能透明導電膜付き基板を作製した際に、該粒子に起因する可視光散乱による濁りが発生しやすくなるため、これを抑制するために、通常、0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒径に分散することが望ましい。
該化合物溶液は、多機能透明導電膜付き基板の開口部において該光吸収性化合物のバインダーとなる樹脂成分を含有するのが好ましい。かかる樹脂成分については、該光吸収性化合物の特性や溶解性もしくは分散性に応じて適宜選択されるものであり、透明基板上の金属網目層が有する透明性を著しく損なわない範囲であれば、任意の樹脂を添加することができる。例えば、各種熱可塑性樹脂や、及び/又は、塗布後に重合及び硬化させる場合であれば、熱硬化性樹脂モノマーや紫外線硬化樹脂モノマー等、公知の樹脂ないしはモノマーから適宜選択されるが、通常、該光吸収性化合物の良溶媒もしくは分散媒に対して溶解性を有する樹脂及び/又はモノマーを利用することが好ましい。また、該光吸収性化合物のバインダーのみならず、金属網目の強度や透明基板に対する密着性を向上させる樹脂を利用することも好ましい。該樹脂の例としては、これらに限定されるわけではないが、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂等のアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、AS樹脂、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、(PVPA)、フェノール系樹脂、ポリスルフォン、ナイロン、セルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、などが挙げられる。なお、かかる樹脂やモノマーは、単独で用いても良く、また、混合して用いてもよい。また、かかる樹脂やモノマーの他、ゾル−ゲル法により形成されるマトリックスをバインダーとするための金属アルコキシド等も用いることができる。
かかる化合物溶液中の該樹脂成分の濃度は、該化合物溶液中の重量濃度として、通常、0.01重量%〜50重量%が好ましい。0.01重量%より小さいとバインダーとしての効果が不十分となり、また、50重量%を越えると化合物溶液の粘度が上昇したり、多機能透明導電膜が形成不良を起こすために好ましくない。
該化合物溶液の調製方法は、公知の方法をもってなされ、特に限定されるものではないが、該光吸収性化合物の溶媒2に対する溶解性が高い場合は、マグネティックスターラーや、通常の羽翼を備えた撹拌機による撹拌の他、高速の分散機、超音波分散機、ホモジナイザー等でおこなうことができる。また、該光吸収性化合物を溶媒2に分散する場合は、適宜、公知の分散剤を併用し、公知の分散処理、例えば、ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、パールミル、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー、マグネティックスターラー、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー等の方法を用いて調製することができる。分散機としてメディアを使うものには、例えば、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等を用いることができる。
なお、該化合物溶液には、本発明の効果を損なわない範囲において、各種添加剤、例え
ば、酸化防止剤、表面張力調整剤、粘度調製剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤、消泡剤等が必要に応じて含まれていても良い。
本発明の塗布液は、前述のように上記の金属微粒子分散液と化合物溶液を、通常、界面活性剤の存在のもと機械的に混合して得られるエマルションであるが、かかる化合物溶液に含まれる光吸収性化合物が水又は水を主体とした溶媒に溶解及び/もしくは分散する場合、溶媒2として水又は水を主体とした溶媒を用いた化合物溶液が、適切な乳化剤の選択のもと分散相をなすW/Oエマルションをなすように、金属微粒子分散液の溶媒1を選択す
る。溶媒2として水水又は水を主体とした溶媒を用いた場合、溶媒1は、金属微粒子の分散性に応じて選択されることが好ましい。一方、かかる化合物溶液に含まれる光吸収性化合物が、水に難溶な溶媒に溶解及び/もしくは分散する場合、溶媒2としてかかる溶媒を用いた化合物溶液が、適切な乳化剤の選択のもと分散相をなすO/Wエマルションをなすよ
うに、金属微粒子分散液の溶媒1を水水又は水を主体とした溶媒とする。溶媒1として水水又は水を主体とした溶媒を用いた場合、溶媒2としては、光吸収性化合物の溶解性及び/又は分散性に応じて選択されることが好ましい。
かかる溶媒の組み合わせとしては、金属微粒子の分散性及び光吸収性化合物の溶解性及び/又は分散性に応じて選択されるため、特に限定されるわけではないが、溶媒1(あるいは溶媒2)を水もしくは水を主体とした溶媒とした場合、溶媒2(あるいは溶媒1)としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ベンジン、テレピン油等で例示される炭化水素系溶媒、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエタン等で例示されるハロゲン系溶媒、エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、イソホロン等で例示されるケトン系溶媒、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸sブチル、酢酸ベンジル、酢酸メチルシクロヘキシル
等で例示されるエステル系溶媒などが例示される。なお、これらの溶媒は単独で用いても、あるいは2種以上混合して用いても良い。
なお、光吸収性化合物は、通常、水に対する溶解性が低いことから、水に難溶な溶媒に溶解させた化合物溶液を用い、連続相として水系の金属微粒子分散液を用いるO/Wエマル
ションか、もしくは、水に光吸収性化合物を分散させた化合物溶液を用い、水に難溶な溶媒を用いた金属微粒子分散液を用いるW/Oエマルションが好ましい。あるいは、光吸収性
化合物に化学修飾を施し、水に対する溶解性を高めることによって、W/Oエマルションと
することもできる。
エマルションにおいて連続相をなす金属微粒子分散液Cと分散相をなす化合物溶液水Dの比率は、重量にてD/C=1/20〜20/1である。本発明の網目構造を良好に形成させるためには、D/C=1/15〜10/1が好ましく、より好ましくは1/10〜5/1、とりわけ1/5〜3/1の範囲が好適である。分散相の比率が係る上限を越えると、エマルションの形成に難があり、また、エマルションの分散性が悪化するため傾向にあり、一方、分散相の比率が下限を下回ると、得られる多機能透明導電膜の透明性が悪化する傾向にある。
かかるエマルションを形成するための界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。
そのアニオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ス
テアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、オクチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルアンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、アセチルアルコール硫酸エステルナトリウム等の脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ラウリル燐酸ナトリウム、ステアリル燐酸ナトリウム等のアルキル燐酸エステル塩類、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸アンモニウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ラウリルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類等を挙げることができる。
又、カチオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラノリン誘導第4級アンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩類、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩類、2−ステアリル−ヒドロキシエチル−2−イミダゾリン誘導体等のイミダゾリニウム塩類、N,N−ジエチル−ステアロアミド−メチルアミン塩酸塩、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のアミン塩類等を挙げることができる。
又、ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールデシルテトラデシルエーテル等のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル類、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリルのポリエチレンオキサイド付加物、モノオレイン酸グリセリルのポリエチレンオキサイド付加物等のグリセリン脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、モノパルミチン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、モノステアリン酸ソルビタンのポリエチレンオキ
サイド付加物、トリステアリン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、モノオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、トリオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物等のソルビタン脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、モノラウリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、テトラステアリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、ヘキサステアリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、テトラオレイン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物等のソルビット脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、ヒマシ油のポリエチレンオキサイド付加物類等を挙げることができる。
また、両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシルメチル)−2−イミダゾリンナトリウム等のイミダゾリン系両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、アミドベタイン、等のベタイン系界面活性剤等を挙げることができる。
また、界面活性能を有する樹脂成分を添加しても良く、例えば、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル酸/(メタ)アルキルアクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の親水性モノマー及び疎水性モノマー共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなるブロック共重合体等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、例えば、HLBの低いものと高いものを2種以上組み合わせて安定したエマルションとすることができる。
界面活性剤の添加量は、金属微粒子分散液及び化合物溶液を合わせた液重量に対し、0
〜 20重量%、好ましくは0.001 〜 10重量%、より好ましくは0.01 〜 5重量%である。添加量が下限を下回るとエマルションが形成されなかったり、安定なエマルションが得られないため好ましくないが、該金属微粒子分散液および該化合物溶液のみでエマルションが得られる場合には、必ずしも界面活性剤を添加しなくても良い。また、添加量が上限を上回ると、得られる金属網目の導電性の悪化、塗布膜強度の低下等の悪影響があるため好ましくない。
本発明のエマルションは、以上の金属微粒子分散液ならびに化合物溶液を混合し、公知の乳化方法によって調製することができる。この際、上記の界面活性剤は、適宜、金属微粒子分散液もしくは/及び化合物溶液に添加される。乳化の方法は特に限定されることはないが、例えば、羽翼を備えた撹拌機による撹拌、ホモミキサー、オムニミキサー、バブルホモジナイザー、ピストンホモジナイザー、超音波乳化器、マイクロ流動化装置(例えば、マイクロフルーディックス社製「マイクロフルーダイザー」)等の剪断混合装置によって均一に混合し、乳化される。
本発明の多機能透明導電付き基板は、透明基材上に塗られた上記塗布液塗布し、乾燥を経るものであれば限定はなく、公知の塗布方法、例えば、ディッピング法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、スプレー法、ロールコーター法などを用いることができる。なお、塗布液が塗布される透明基板と塗布液との濡れ性が不良な場合には、かかる濡れ性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲において、透明基板の表面を処理することが好ましい。かかる表面処理については、公知の方法を選択すれば良く、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施し、表面の疎水性、親水性の度合いを調節しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲において、塗布液への粘度調製剤の添加を併用してもよい。
かかる塗布、乾燥された多機能透明導電付き基板に対し、導電性を向上させる目的で別途
熱処理を施してもよい。熱処理温度は、透明基板の耐熱温度以下であれば特に限定されない。
本発明の、透明導電付き基板の金属網状構造は、透明基板上に上記塗布液を塗布、乾燥、必要により熱処理を行うという単純な方法で、印刷法等の特殊な手法を用いることなく自発的に形成可能であり、その開口部に透明膜状物質を有し、金属層上には透明膜状物質が存在しないこととなる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越さない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1
(多機能化透明導電膜付基板形成用塗布液の調製)
(1)水相
Agコロイド水溶液(触媒化成社製:固形分濃度4%)を、エバポレーターを用いて濃縮し、固形分濃度を13.9%に調製した。該Agコロイド水溶液6mlに、ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA505)を0.012g、界面活性剤ポリエチレングリコールモノステアラート(n=40)(東京化成社製)を0.018gを混ぜ、マグネチックスターラーを用いて30分攪拌した。その後、ヒドロキシエチルエーテルセルロース(ポリサイエンス社製)を0.024g添加し、更に攪拌した。
(2)油相
トリメチルベンゼン1mlに蛍光色素クマリン6(アルドリッチ社製)を0.5mg添加し、マグネチックスターラーを用いて攪拌した。
(3)O/Wエマルションの調製
上記の方法(1)で調製した水相1mlをマグネチックスターラーで攪拌させながら、(2)で調製した油相1mlを徐々に添加し、30分程度攪拌を続け、O/Wエマルションを調製した。
(多機能化透明導電膜付基板の形成)
上記で調製したO/Wエマルションを、ポリビニルアルコール(クラレ 社製:PVA117)をコートしたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製PETフィルム 厚み100μm )に、ドクターブレードを用いて塗布した。この時のドクターブレードのギャップは100mmであった。塗布後、室温にて乾燥した。
(多機能化透明導電膜付基板の評価)
上記により得られた透明導電膜付基板の蛍光顕微鏡観察(オリンパス社製IX70倒立型蛍光顕微鏡)を実施した結果、Agからなる網目状構造がみられ、その開口部は緑に蛍光しており、蛍光色素クマリン6が含有されていることが確認された。ここで、Agからなる網目状構造の領域には、緑の蛍光は観測されず、網目状には蛍光色素が含有されていないことが確認された。
実施例2
(多機能化透明導電膜付基板形成用塗布液の調製)
(1)水相
上記実施例1とに同様に調製した。
(2)油相
トリメチルベンゼン1mlに、可視波長域の光を吸収する導電性である高分子ポリジオクチルフルオレン(トスコ社製:Poly(9,9-dioctylfluoren-2,7-diyl)を10mg添加し、マグネチックスターラーを用いて攪拌した。
(3)O/Wエマルションの調製
実施例1と同様の方法で、O/Wエマルションを調製した。
(多機能化透明導電膜付基板の形成)
上記で調製したO/Wエマルションを、ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA117)をコートしたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製PETフィルム 厚み100μm )に、ドクターブレードを用いて塗布した。この時のドクターブレードのギャップは100mmであった。塗布後、室温にて乾燥した。
(多機能化透明導電膜付基板の評価)
上記により得られた多機能化透明導電膜付基板の吸収スペクトル測定(ヒューレッドパッカード社製(現Agilent technologies):8453紫外可視分光高度計)を実施した結果を図2に示す。図2に示されるように、400nm近傍にのみ、ポリジオクチルフルオレン(PFO)に由来する吸収ピークが確認された。
実施例1及び実施例2から示されるように、エマルションの不連続相に光吸収性化合物を含有させることにより、光吸収性化合物を金属網目構造の金属層上に存在させず開口部へのみ充填させることができ、かつ特定波長域の光を吸収する機能を金属網目の開口部を利用して提供することができる。
即ち、実施例1で網目開口部へのみ蛍光色素が充填しており、金属網目構造の金属層上にないことが明らかであり、実施例2に於いては、色素を変更した以外実施例1と同様に行なったことからポリフルオレン色素は開口部のみに存在し、金属上には無いことは明らかである。又、図2に示した様に、多機能化透明導電膜付基板は、可視域の特定波長(400nm近辺)の吸収を有するものである。
本発明の塗布液(エマルション)を模式的に示す図である。 実施例2の多機能化透明導電膜基板の吸収スペクトルを示す図である。

Claims (5)

  1. 透明基板上に網目状の金属層を有し、その開口部に可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上有し、該光吸収性化合物が金属層上には存在しないことを特徴とする多機能性透明導電膜付き基板。
  2. 該網目状の金属層が不規則な網目状の金属層であることを特徴とする請求項1記載の多機能性透明導電膜付き基板。
  3. 該金属層がAu、Ag、Cu、Pt、Al、Pdから選ばれる一種類以上の元素からなることを特徴とする請求項1又は2記載の多機能性透明導電膜付き基板。
  4. 連続相に金属層を形成する金属成分を含み、不連続相に可視波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上および/または近赤外波長域の光を吸収する光吸収性化合物を1種類以上含むエマルションからなることを特徴とする多機能性透明導電膜付き基板形成用塗布液。
  5. 請求項4記載の多機能性透明導電膜付き基板形成用塗布液を透明基板上に塗布することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の多機能性透明導電膜付き基板の製造方法。
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