本実施の形態に係る光記録再生装置は、光記録再生媒体の記録面にレーザ光を集光し、光記録再生媒体に設けられた記録トラックに沿ってレーザ光を配置し、光記録再生媒体とレーザ光との相対的な位置関係を変化させるサーボ手段と、記録データ信号に応じた変調記録信号に基づきレーザ光の強度を変化させて記録面に光学的に信号を記録する信号変調・記録手段と、光学的に信号が記録された記録面から反射するレーザ光の変化に基づき再生信号を検出して記録データ信号を復調する信号再生・復調手段と、光記録再生媒体における前記レーザ光の位置を示すアドレス信号を検出するアドレス信号検出手段と、サーボ手段と信号変調・記録手段と信号再生・復調手段とを制御するシステム制御手段と、を備える光記録再生装置であって、信号変調・記録手段は、光記録再生媒体に変調記録信号を記録しないスペース時間における記録再生媒体から反射するレーザ光の総和に応じたスペース和信号を検出し、スペース和信号の大きさが所定の範囲外となる異常和信号が検出されたときに光記録再生媒体への記録を中止する構成としたものである。
すなわち、フォーカス機構によって光記録再生媒体の記録面にレーザ光を集光し、トラッキング機構によって記録トラックに沿ってレーザ光を配置し、光記録再生媒体とレーザ光との相対的な位置関係の移動機構によって位置関係を変化させるサーボ手段を備えるので光記録再生媒体に時系列の信号を記録できる。
又、信号変調・記録手段と、信号再生・復調手段と、アドレス信号検出手段と、システム制御手段と、を備えるので、光記録再生媒体の所定の領域に書き込み、かつ、書き込んだ信号を読み出すことができる。
特に、本実施の形態に係る光記録再生装置は、光記録再生媒体に変調記録信号を記録しないスペース時間における記録再生媒体から反射するレーザ光の総和に応じたスペース和信号を検出し、スペース和信号の大きさが所定の範囲外となる異常和信号が検出されたときに光記録再生媒体への記録を中止する構成としたので、正確に2重書きの誤記録が検出できる。
すなわち、スペース時間においては、レーザ光の出射強度は一定に保たれるので、未だ記録がされていない領域である未記録領域に書き込みを行う場合には、スペース和信号の大きさは所定の範囲内となる。一方、既に記録が行われた領域である既記録領域に書き込みを行う場合には、既に形成されたピットによってスペース和信号の大きさは変調を受けることとなり、スペース和信号の大きさが所定の範囲外となって異常和信号が検出されることとなる。そして、このような場合には、光記録再生媒体への記録を中止するものである。
又、サーボ手段は、フォーカスはずれ信号、及び/又は、トラックはずれ信号を検出するサーボ異常検出機構を有するものであっても良い。この場合には、記録面に記録データ信号を記録する動作中において、異常和信号のみならずフォーカスはずれ信号、及び/又は、トラックはずれ信号が検出されたときには、記録面への記録を中止するようにしても良いものである。異常和信号を検出することによって、既記録領域に光スポットが位置することを検出して、2重書き込みであるとして誤記録の防止が図られるが、更に、フォーカスはずれ信号を検出することによって、光スポットが絞られないままに記録が行われることを防止できる。又更に、トラックはずれ信号を検出することにより、既記録領域及び未記録領域を問わず所定のトラックからずれることによって生ずる誤記録の防止が図られる。
既記録領域への2重書き込みは、現在書き込んでいる信号が正しく書き込めないのみでなく、既に書き込んだ信号を再生困難にする点で、より被害が大きく、このような2重書き込みを確実に防止できる点において、従来のフォーカスはずれ信号、及び/又は、トラックはずれ信号を検出して記録を中止する記録再生装置に比べて本実施の形態係る記録再生装置はより優れるものである。なお、本実施の形態のフォーカスはずれ信号及びトラックはずれ信号は、従来に比べ穏やかに検出されるので、頻繁に記録動作が中止し、無駄に書き込み時間が消費されることはないものである。
又、信号変調・記録手段は、変調記録信号を時系列で記憶する変調記録信号記憶手段を具備しても良い。そして、異常和信号が検出された場合には、システム制御手段は、光記録再生媒体からの信号の再生を行って、変調記録信号記憶手段に記憶された変調記録信号と再生信号とを比較して一致するか不一致であるかを検出して、誤記録が生じたか否かを判断し、誤記録が生じた記録面の位置をアドレス信号によって検出するものであっても良い。
このように変調記録信号記憶手段の作用によって、実際に誤記録が生じたか否かを更に正確に検出することができ、誤記録が生じたと判断された場合には誤記録が生じた記録面の位置をアドレス信号によって特定できるので、その後、どのように処理をするか、すなわちどこに再書き込みをするか、そのまま放置して、どこに次ぎの書き込みするか等を決めることができる。
又、変調記録信号記憶手段は、変調記録信号が最初の記憶領域から順に記憶され、最後の記憶領域に至った後には再び最初の記憶領域に戻って新しいデータが繰り返し記憶される環状構造を有するものであっても良いものである。このような構成を採用することによって変調記録信号記憶手段の容量を削減することができるにも拘わらず、変調記録信号記憶手段への書き込みが中止されるまでの所定の容量の変調記録信号は保存されるので、誤記録を確実に検出することができる。
更に、信号再生・復調手段は、再生信号を時系列に記憶する再生信号記憶手段を具備しても良く、変調記録信号記憶手段に時系列に記憶された変調記録信号と再生信号記憶手段に時系列に記憶された再生信号とを比較して、実際に再生信号を光記録再生媒体から読み出す時間を消費することなく、回路的な処理で繰り返し誤記録が生じた場所の確認を行うことができる。例えば、時系列に記憶された変調記録信号と時系列に記憶された再生信号とを1ビットずつずらし繰り返して対比することにより、誤記録であるか否かがより正確に検出できる。
更に、光記録再生媒体は、再書き込み可能媒体であるのみならず、追記記録媒体であっても良く、特に再書込みできない追記記録媒体である場合には、2重書きの誤記録を確実に検出できるので、従来のようにトラックはずれ信号等を厳しく検出して頻繁に記録が中断して記録領域が無駄に消費されることがない。
別の本実施の形態に係る光記録再生装置は、光記録再生媒体の記録面にレーザ光を集光し、光記録再生媒体に設けられた記録トラックに沿ってレーザ光を配置し、光記録再生媒体とレーザ光との相対的な位置関係を変化させるサーボ手段と、記録データ信号に応じた変調記録信号に基づきレーザ光の強度を変化させて記録トラックに沿って略連続的に信号を記録する信号変調・記録手段と、光学的に信号が記録された記録面から反射するレーザ光の変化に基づき再生信号を検出して記録データ信号を復調する信号再生・復調手段と、光記録再生媒体における前記レーザ光の位置を示すアドレス信号を検出するアドレス信号検出手段と、サーボ手段と信号変調・記録手段と信号再生・復調手段とを制御するシステム制御手段と、を備える光記録再生装置であって、信号変調・記録手段は、変調記録信号を時系列で記憶する変調記録信号記憶手段と、光記録再生媒体に変調記録信号を記録しないスペース時間における記録再生媒体から反射するレーザ光の総和に応じたスペース和信号を検出するスペース和信号検出手段とを具備し、スペース和信号の大きさが所定の範囲外となる異常和信号が検出されたときには、光記録再生媒体への記録を中止し、記録が中止された位置より先の位置において、光記録再生媒体に未記録であることを表す未記録信号を記録面から反射するレーザ光の変化に基づき検出し、未記録信号が、所定の区間連続した後に、記録データ信号を記録する構成としたものである。
すなわち、フォーカス機構と、トラッキング機構と、光記録再生媒体移動機構とを具備するサーボ手段と、信号変調・記録手段と、アドレス信号検出手段と、システム制御手段と、を備える光記録再生装置であるので、光記録再生媒体上の所定の位置に所望の信号を記録することができる。しかも、記録トラックに沿って略連続的に信号を記録するので、未記録領域と既記録領域とが区画分けされるものである。
本実施の形態では、信号変調・記録手段は、変調記録信号を時系列で記憶する変調記録信号記憶手段と、光記録再生媒体に変調記録信号を記録しないスペース時間における記録再生媒体から反射するレーザ光の総和に応じたスペース和信号を検出するスペース和信号検出手段とを具備するので、光記録再生媒体に記録しようとした信号を記憶できると共に、レーザスポットが未記録領域に位置されているか、既記録領域に位置されているかを知ることができる。
そして、本実施の形態では、特に、スペース和信号の大きさが所定の範囲外となる異常和信号が検出されたときには、記録再生装置は以下のように作用するものである。
まず、異常和信号が検出されたときには、光記録再生媒体への記録を中止するので、2重書き込みがされるのを防止することができる。
更に、記録が中止された位置より先の位置において、光記録再生媒体に未記録であることを表す未記録信号を記録面から反射するレーザ光の変化に基づき検出し、未記録信号が、所定の区間連続した後に、記録データ信号を記録するようにしたので、既記録領域が終了するまで再書き込みを行わず、未記録領域を検出した後に再書き込みを行うので2重書き込みをすることがないものである。
続いて、本実施の形態の光記録再生装置について図を参照して詳細に説明する。図1は光記録再生装置の一種である光ディスク装置10の構成を示すブロック図である。
以下の説明においては、光記録再生媒体の一種である光ディスク20は、例えばISO/IEC13490−1で規格化されている追記型の光ディスクの一種であるCD−R(Compact Disk−Recordable)であるとして説明をする。CD−Rでは、光ビームガイド用の案内溝(以下「プリグルーブ」という)が光ディスク20の回転中心を中心としてスパイラル状に形成されており、このプリグルーブの両側面は僅かに正弦波状に同相で蛇行している。この蛇行成分を示すウォブル信号WBSは、バイフェーズ変調されて、所定周期毎に論理レベル「1」と「0」が入れ替わると共に「1」と「0」の平均個数が等しくなるようにFM変調され、光ディスク20上の位置を示すアドレス情報を含む情報が記録されている。この情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)情報と呼ばれ(図1においてATIPで示す)、光ディスク20の内周側から外周側に向けてディスク上のアドレス情報の一つである絶対時間が記録されている。
又、CD−Rの記録面は、有機色素系材料よりなる記録膜を備えており、この記録膜に書き込むべき記録データ信号WDに応じて変調されたレーザ光が照射されることで、データに対応したピット列が非可逆的に形成され、データの追記が行われる。そして、このピット列にレーザ光が照射され、ピット列に応じた反射率変化が生じるようになされている。
光ディスク20は、レーザ光との相対的な位置関係を変化させるための光記録再生媒体移動機構であるスピンドルモータ21によって、所定の速度で回転される。スピンドルモータ21は、スピンドルモータドライバ22を介して電力が供給され、サーボ制御部24からのスピンドル制御信号SPDSに応じて光ディスク20の回転速度を制御するようになされている。
光ディスク20には、光ディスク装置10に備えられたOP(Optical Pickup:光ピックアップ)30からレーザ光が照射されるようになされている。OP30は、レーザ光を発射するレーザダイオード(図示せず)と、レーザ光を光ディスク20の記録面に集光するための集光レンズ及びその他の種々の光学部品(図示せず)と、レーザ光のフォーカス点(合焦点)を移動させるフォーカスアクチュエータ及びトラッキング点を移動させるトラッキングアクチュエータ(図示せず)と、光ディスク20で反射されたレーザ光を検出する受光素子から成る光検出部(図示せず)とレーザダイオードから出射するレーザの強度を一定の値に保つAPC(Auto Power Control)回路(図示せず)等を具備している。
フォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータは、集光レンズをフォーカス方向(光ディスク20の記録面に対して垂直方向)及びトラッキング方向(光ディスク20の回転中心から外周に向かう放射状の線に沿った方向)に移動させるものであり、トラッキングドライバ25を介して電力が供給されている。そして、フォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータの各々は、サーボ制御部24からのフォーカス制御信号FDS及びトラッキング制御信号TDSによって制御されるようになされている。
OP30に設けられたAPC回路は、サーボ制御部24からのレーザパワー制御信号LDSによってレーザ光の照射強度(レーザ消灯を含む)が設定されるようになされている。又、記録時においては、レーザ光の強度は、後述するエンコーダ38からの変調記録信号ENCSの「0」又は「1」のレベルに応じて変化するようになされており、「0」の場合には光ディスク20にピット列が形成されることがなく、「1」の場合には光ディスク20にピット列が形成されるようなレーザ光の強度設定がなされている。
OP30はスレッドモータ26によってトラッキングアクチュエータよりも広範囲なトラッキングを行うようになされ、光ディスク20の記録面の内周から外周までの全面に渡りレーザ光を照射することを可能としている。スレッドモータ26には電力供給のためのスレッドモータドライバ27を介してサーボ制御部24からスレッドモータ制御信号SMDSが供給されている。
受光素子から成る光検出部は、メインスポットの戻り光を検出する4分割光検出器と、先行サイドスポットの戻り光を検出する2分割光検出器、後行サイドスポットの戻り光を検出する2分割光検出器とから構成されており、各分割光検出器に入射する戻り光をマトリックスアンプ31において加算及び減算して各種信号が生成される。
マトリックスアンプ31は、メインスポットの戻り光を検出する4分割光検出器のトラック方向に分割した光検出器からの差分信号と先行サイドスポットの戻り光を検出する2分割光検出器からの差分信号と後行サイドスポットの戻り光を検出する2分割光検出器から差分信号とを演算して、直流変動がほとんど含まれないトラッキング誤差信号TEを差動プッシュプル法によって得、メインスポットの戻り光を検出する4分割光検出器の対角方向に分割した光検出器からの差分信号からフォーカス誤差信号FEをアスティグマ法によって得、先行サイドスポット又は後行サイドスポットの戻り光を利用してウォブル信号SWBを得、メインスポットの戻り光を検出する4分割光検出器の信号の和から和信号SUMSを得るようになされている。
ここで、光ディスク20の記録面のピットが形成されているマーク領域からのレーザ戻り光に応じた和信号SUMSの出力レベルは高く、ピットが形成されていないスペース領域からのレーザ戻り光に応じた和信号SUMSの出力レベルは未記録領域と略等しく、低いレベルであるので、この出力レベルの違いを利用してEFM信号を検出している。
本実施の形態においては、マトリックスアンプ31は、変調記録信号ENCSに応じてレーザ光を変調する記録中において、スペース時間(光ディスク20にピットを設けないようにレーザ光の強度が設定されている時間)における和信号であるスペース和信号SPMSの検出回路を備えている。この検出回路は、変調記録信号ENCSが「0」であるときに、和信号SUMSをサンプル/ホールドするものであるが、これについては後述する。
ここで、変調記録信号ENCSが「0」であるときにレーザダイオードからのレーザ光の出射強度は零ではなく、記録面にピットを形成せず、かつ、戻り光を検出できる程度の出射強度に設定されている。和信号SUMSをサンプル/ホールドしたスペース和信号SPMSは、システム制御部39へと送出され光ディスク20への書き込み動作中に定期的に監視をされるようになされ、スペース和信号SPMSに異常が生じると異常和信号ISKS(図2を参照)が発生するようになされている。
異常和信号ISKSの検出方法を以下に示す。図2に光スポットLspが変調記録信号ENCSによって強度変調を受けている場合の和信号SUMSとスペース和信号SPMSと異常和信号ISKSの関係を図示する。例えば、記録動作中に光記録再生装置10に衝撃が加わって既記録領域に光スポットが照射される場合について説明をする。光記録再生装置10に衝撃が加わる前の時間T1においては、光スポットLspは蛇行したプリグルーブ(図示せず)に沿って図面の左側から右側方向に移動している。この場合には、光スポットは、既に形成されたピットPTで代表されるピット列を殆ど照射することはないので、光ディスク20で反射する戻り光に応じた信号は殆どこのピットによって影響を受けず、変調記録信号ENCSに応じたレーザの強度変化のみの影響を受ける。なお、図2では光スポットLspについては、時間T1及び時間T2において各々1つずつ表したが、実際には光スポットLspは連続して移動しており、その軌跡をTlspで表している。
ホールド点Hpは、スペース時間Tspにおける所定の時点、例えば、スペース時間Tspの開始から再生クロック信号CKRの1クロック分時間が遅れた点であり、ホールド点Hp毎にサンプル/ホールドしたのがスペース和信号SPMSである。スペース和信号閾値THspmsは、異常和信号ISKSを出力するか否かの閾値であり、この閾値以上の値にスペース和信号SPMSがなった場合には、異常和信号ISKSが「1」となって異常が検出されるようになされている。時間T1の範囲においてホールドされたスペース和信号SPMSはスペース和信号閾値THspmsを超えることはなく、異常和信号ISKSは「0」となっている。
時間T2以降においては、和信号SUMSは変調記録信号ENCSに応じたレーザの強度変化の影響を受けるとともに、ピット列の影響を受けるようになる。そして、スペース和信号SPMSはスペース和信号閾値THspmsを越える事態が生じることとなり、時間T2における最初のサンプル/ホールドの時点より異常和信号ISKSは「1」となる。スペース和信号SPMSのレベルはA/Dコンバータ(図示しない)でサーボ制御部24に取り込まれた後に、サーボ制御部24よりシステム制御部39に送出される。スペース和信号閾値THspmsの値はシステム制御部39に予め保存されているので、異常和信号ISKSが「1」となるか「0」となるかはシステム制御部39で検出される。又、スペース和信号SPMSを求めるためのサンプル/ホールドの処理は高速処理が要求されるので、上述したようにマトリックスアンプ31で行われる。
未記録信号検出部40は、光ディスク20の記録面から反射するレーザ光の変化に基づき記録されている領域であるか未記録領域であるかを判別するものである。CD−Rにおいては、記録領域ではレーザ光の反射率が高くなるので戻り光の信号レベルが大きなものとなるので、再生動作時における和信号SUMSの直流成分を検出し、所定のレベルの範囲であれば、未記録と判断し、未記録信号MKRSをシステム制御部39に送出する。ここで、変調方式としてEFM変調を採用する場合には、記録領域であっても、最大、11Tに渡り未記録であることを表す信号を発生する場合があるので、未記録信号検出部40には再生クロック信号CKRが入力され11T以上の所定の区間、所定のレベルの範囲であれば、未記録と判断して未記録信号MKRSをシステム制御部39に出力するようにしている。なお、再生信号DECSを用いることなく、未記録信号MKRSを検出して用いることとしたのは、未記録領域では、後述するアシンメトリ補正によって再生信号DECSは「1」、「0」をランダムに発生するので、正確な検出ができないからである。
トラッキング誤差信号TE及びフォーカス誤差信号FEはサーボ制御部24に供給され、ウォブル信号SWBは後述するATIP再生部32に入力され、和信号SUMSは後述する抜き出し回路部33を経て、「0」と「1」とに2値化された再生信号DECSに変換された後、再生信号保存用メモリ34及びデコーダ35に入力されるようになされている。
サーボ制御部24は、記録面におけるレーザ光が最も集光した点からのずれを示すフォーカス誤差信号FEが所定の距離離間したことを示すフォーカスはずれ信号、現在トラッキング中の所定の記録トラックからレーザ光が所定の距離以上に離間したことを示すトラックはずれ信号を検出するサーボ異常検出回路(図示せず)を備えている。従来は例えば、フォーカス誤差に関してはS字曲線のP−P(Peak to Peak)値の1/10以上フォーカス誤差信号の値が増加するとフォーカスはずれ信号を出力し、トラッキング誤差に関しては隣のトラックとの距離の1/8の距離以上、所定のトラックから光スポットの中心点が離間したことをトラッキング誤差信号が示すとトラックはずれ信号を出力していたが、本実施の形態では、従来に比べて、より大きなフォーカス誤差、より大きなトラッキング誤差を検出して初めてフォーカスはずれ信号、トラックはずれ信号を出力するようにしている。
このような、フォーカスはずれ信号を検出するには、例えば、図3(B)に示すようなコンパレータCP1及びコンパレータCP2を用いて、その閾値を閾値THfe+と閾値THfe−に設定している。閾値THfe+と閾値THfe−は、例えば、図3(A)に示すようにフォーカスサーチS字曲線(フォーカスサーチしたときに発生するフォーカス誤差信号大きさと時間との関係を表した線図)のP−P値の1/2に設定している。
トラックはずれ信号の検出においては、例えば、図4に示すような回路を用いる。コンパレータCP3のマイナス端子には閾値THte+が、コンパレータCP4のプラス端子には閾値THte−が入力され、トラッキング誤差信号TEが閾値THte+又は閾値THte−の範囲から外れた場合にのみコンパレータCP3又はコンパレータCP4が動作するようにしてノイズによる誤動作を防止している。又、カウンタの値を2に設定して、1/2トラック以上のトラックはずれに相当するトラッキング誤差信号を検出したときにトラックはずれ信号が検出されるようになされている。なお、カウンタの設定値を適宜設定することによって、1/4トラック毎に任意のトラックはずれの検出が可能となる。なお、図4のカウンタのCKはクロック端子を、CLRはクリア端子を表しRSフリップフロップのSはセット端子、Rはリセット端子を表すものである。又、フォーカスはずれ又はトラックはずれ信号が発生したと判断するサーボ異常検出機構は、図3、図4に示すハードウエア処理のみならず、サーボ制御部24をDSP(Digital Signal Processor)で構成する場合においては、DSPで実行されるソフトウエアによって構成される。
又、フォーカスはずれ信号、トラックはずれ信号に替えて、光ディスク記録再生装置10に衝撃が加わったことを検出する衝撃検出信号を、記録動作を中止する信号として用いるものであっても良く、この場合には衝撃を検出する手段として加速度センサ(図示しない)等が用いられる。
デコーダ35に前置する抜き出し回路33では、マトリックスアンプ31から供給された和信号SUMSのアシンメトリ補正(EFMがDCフリーコードであることを利用した和信号SUMSのデジタル化におけるスライス点の調整)及び和信号SUMSの2値化を行い、「0」と「1」のいずれかの、時系列の1ビットのデジタル信号に変換して、再生信号DECSを得ると共に、得られた再生信号DECSに同期する再生クロック信号CKRの生成も行い、再生信号DECSと共に再生クロック信号CKRをデコーダ35に供給するようになされている。
エンコーダ38は、信号処理においてデコーダ35とは逆の作用を行うものであり、信号を記録する場合には、エンコーダ38では、光ディスク20に記録するホストコンピュータ等から送出される記録データ信号WDをCIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Code)へ変換する処理を行い、この処理が行われた信号をEFM(Eight to Fourteen Modulation)変調するようになされている。CIRC変換処理では記録データ信号WDを8ビット毎に区切りこの8ビットを1シンボルとしてインターリーブ処理並びに24シンボルに対して8シンボルのECC(Error Correction Code)の生成と付加の処理が行われるようになされ、EFM変調では1シンボル(8ビット)のデータを14ビットの信号に変換するようになされている。
更に、エンコーダ38では、このEFM変調処理された32(24+8)シンボルの信号に対して、24ビットのフレーム同期信号や14ビットのサブコード信号を更に付加すると共に、DCフリー化のための3ビットの信号を付加して、1フレーム(588チャネルビット)の信号が構成されようになされている。このようにしてエンコーダ38において生成される変調記録信号ENCSは書込みクロック毎の時系列の「0」、又は「1」のいずれかの信号であり、変調記録信号ENCSは上述したようにレーザ光の強度を変調するために用いられ、「0」は弱いレーザの強度に対応し、「1」は光ディスク20にピット列を形成する強いレーザの強度に対応する。EFM変調により生成される変調記録信号ENCSはRLL符号(Run Length Limited Code)であり、3ビット(3T)から11ビット(11T)まで1ビット毎に反転長が可変となる可変長NRZ(Non Return to Zero)符号である。
デコーダ35では、再生信号DECSに含まれるフレーム同期信号、サブコード信号及びDCフリー化のための3ビットの信号を抜き出すと共に、これらの信号を含まない14ビットの信号を8ビットの信号に復調し、ECCの作用により誤り訂正をした後、光ディスク20に書き込まれている記録データ信号WDを得るようになされている。
本実施の形態においては、変調記録信号保存用メモリ37を設けている。変調記録信号保存用メモリ37及び上述した再生信号保存用メモリ34は1ビットのシフトレジスタであり、変調記録信号保存用メモリ37への変調記録信号ENCSの書込みは書込みクロック信号の周期毎に行われ、再生信号保存用メモリ34への再生信号の書込みは再生クロック信号CKRの周期毎に行われるようにされている。なお、1ビットのシフトレジスタに替えて通常のRAM(Random Access Memory)(図示せず)を用いRAMのLSB(Least Significant Bit)側から時系列順に変調記録信号ENCS又は再生信号DECSを詰めて書き込み、そのワード分のデータを書き終わると次のアドレスに配置されたメモリのLSBから順次1ビットずつ記憶するようにしても良い。変調記録信号保存用メモリ37の容量は、例えば、1フレーム分(588ビット)であっても、98フレームを、1セクタとして、1セクタ(57624ビット)のデータを記憶するものであっても良く、これ以外の任意の数のデータ、例えば2000フレーム分の変調記録信号を記憶するようにしても良い。
又、変調記録信号保存用メモリ37及び再生信号保存用メモリ34の容量が有限である場合に、順に記憶を続け、最後の記憶領域に至った後には再び、最初の記憶領域に戻り、新しいデータを上書きするようにしても良く、このようなメモリ構成を採用すれば、有限の容量のメモリにおいて、メモリに記憶する動作が中止される直前のメモリに記憶されたデータを再生することができる。
システム制御部39は、光記録再生装置10と外部回路、例えばホストコンピュータ(図示せず)とのインタフェイス機能を有しており、光記録再生装置10に対する記録又は再生の命令に基づいてサーボ制御部24の制御、エンコーダ38への記録データ信号WDの送出制御、デコーダ35からの光ディスク20に記録された記録データ信号WDの読出制御を行うと共に、再生信号保存メモリ34の読み書きの制御及び変調記録信号保存用メモリ37の読み書きの制御を行うようになされている。
更に、システム制御部39は、変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSと光ディスク20からの再生信号DECS又は変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSと再生信号保存メモリに記憶され再生信号DECSとを比較して一致するか不一致であるかの検出信号を出力する信号比較機能を有している。この信号比較機能は、変調記録信号保存用メモリ37及び再生信号保存用メモリ34が1ビットシフトレジスタである場合には、2入力のEXOR(Exclusive OR)回路によって2つのメモリのデジタル値の一致を検出するものであって良く、変調記録信号保存用メモリ37及び再生信号保存用メモリ34としてRAMが用いられる場合には、システム制御部39に設けられたCPU(Central Processing Unit)(図示せず)で1ビット毎に各々のRAMの内容を比較するものであっても良い。
更に又、システム制御部39は、2つのデジタル値の一致、不一致の検出信号を検出して、誤記録であると判断する誤記録検出機能を有する。理想的には誤記録が1ビットでもあれば、すなわち、変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSと光ディスク20からの再生信号DECS又は変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSと再生信号保存メモリに記憶され再生信号DECSとを比較して1ビットでも差異があれば、誤記録ということになる。しかし、ランダム誤り、又は連続した長いバースト誤りであってもECCの作用で誤りの訂正が可能であるので、誤記録と判断して書き込みを中止しない方が、CD−Rの記録領域をいたずらに消費しない点において望ましい。従って、1フレーム(588ビット)において所定の数の誤り、例えば、2ビットまでの誤りが生じても誤記録であると判断せずに、3ビット以上の誤りが生じた場合に誤記録と判断して誤記録検出信号(図示せず)を出力するようになされている。
このように変調記録信号ENCSと再生信号DECSとを比較する誤記録検出方法は、最終の記録データ信号WDをチェックして誤記録が生じたか否かを検出する方法を採用した場合には検出が出来ない24ビットのフレーム同期信号、DCフリー化のための3ビットの信号の誤記録等を直接に検出できる。フレーム同期信号に誤記録がある場合にはフレーム同期に障害が発生する可能性があり、DCフリー化のための3ビットの信号に誤記録がある場合には、抜き出し回路部33において正しい2値化が困難となる可能性があり、このような問題を事前に回避できる点において記録データ信号WDをチェックして誤記録が生じたか否かを検出する方法よりも、本実施の形態の変調記録信号ENCSと再生信号DECSとを比較する誤記録検出方法は優れている。
なお、本実施の形態では、OP30、マトリクスアンプ31、サーボ制御部24及びフォーカス、トラッキングドライバ25がフォーカス機構及びトラッキング機構の1例として機能し、システム制御部39、エンコーダ38及び変調記録信号保存用メモリ37が信号変調・記録手段の1例として機能し、システム制御部39、デコーダ35、抜き出し回路部33及び再生信号保存用メモリ34が信号再生・復調手段の1例として機能し、ATIP再生部32及びシステム制御部39がアドレス信号検出手段の1例として機能する。
次に光ディスク装置10の動作について説明する。以下、初期動作、書込み動作、読出し動作、誤記録位置検出動作、再書き込み動作の順に説明をする。
(初期動作)
光ディスク装置10に電源が投入されると、システム制御部39は初期設定のための指示をサーボ制御部24に出して、光ディスク20の最内周部にレーザ光が照射する位置にOP30を配置するようにスレッドモータ26を制御する。そして、スピンドルモータ21を予め定められた所定の回転数で回転させ、レーザ光の強度をウォブル信号SWBが読み出せる程度に小さく設定して記録面にピットが形成されることがないようにしながら、光ディスク20の最内周部の記録面にレーザ光が焦点を結ぶようにフォーカスアクチュエータ制御する。このフォーカスサーボは、マトリックスアンプ31から出力されるフォーカス誤差信号FEに基づいて行われ、位相補償やサーボ系のゲイン設定を経たサーボ制御部24からのフォーカス制御信号FDSをフォーカス、トラッキングドライバ25に印加することにより行われる。
フォーカスサーボが適切に行われた後は、マトリックスアンプ31からトラッキング誤差信号TEが発生し、このトラッキング誤差信号TEに対して位相補償やサーボ系のゲイン設定を行ったサーボ制御部24からのトラッキング制御信号TDSをフォーカス、トラッキングドライバ25に印加することによりトラッキングサーボが行われる。
フォーカスサーボ及びトラッキングサーボが適切に行われた後は、ウォブル信号SWBがマトリックスアンプ31から検出され、ATIP再生部32ではウォブル信号SWBの復調処理を行う。具体的には、バイフェーズ信号を生成すると共にバイフェーズ信号に同期したバイフェーズクロック信号CKBを生成し、この生成されたバイフェーズ信号及びバイフェーズクロック信号CKBとから絶対時間を含むATIP情報がデコードされシステム制御部39へ供給され、バイフェーズクロック信号CKBはサーボ制御部24に供給される。
そして、サーボ制御部24ではバイフェーズクロック信号CKBに基づいたスピンドル制御信号SPDSの生成がなされると共にATIP情報がサーボ制御部24に入力され、システム制御部39からの初期設定の指令に基づきサーボ制御部24は、ATIP情報を手がかりにOP30の位置を制御して所定の初期設定に必要なデータを光ディスク20より読み出すようになされている。そして、初期設定に必要な情報をシステム制御部39が得ると、所定の位置にOP30が留まり、次の動作指令を待つ待機状態となる。
(書込み動作)
次に、システム制御部39を介して光ディスク装置10にホストコンピュータ等から記録データ信号WDを記録するように記録命令が発せられた場合の光ディスク装置10の動作を説明する。
記録命令は通常、記録開始アドレスと記録データ数とを指定した後、記録データ信号WDをシステム制御部39に送出することにより行われる。記録開始アドレスは論理アドレスにより指定されることが多い。論理アドレスとATIP情報との関係は、システム制御部39に設けられた変換テーブルによって関係づけられているので、論理アドレス又はATIP情報のいずれかに基づき記録をするかは任意に選択可能である。
一般的には、記録データ信号WDがオーディオデータである場合にはATIP情報をそのまま用いることが好適であり、記録データ信号WDがホストコンピュータからのデジタルデータである場合には、論理アドレスを更に光ディスク20のヘッダ部に書き込むことが好適である。
そして、エンコーダ38において光ディスク20に記録する記録データ信号WDに対してCIRC変換処理を行い、このCIRC変換処理が行われた信号をEFM変調してから光ディスク20に記録する。光ディスク20に記録される信号のフォーマットの1例としては、先頭の12バイトは同期パターンを設け、次の4バイトは記録位置を示す論理アドレスを有するヘッダを設け、残りの2336バイトがデータあるいはデータとECC等の領域とされており、2352バイトで1セクタとされる。例えば、記録された信号の1セクタは、ATIP情報の1セクタと対応するものとされている。
(読出し動作)
次に、システム制御部39を介して光ディスク装置10にホストコンピュータ等から光ディスク20に記録された記録データ信号WDを読み出すように命令が発せられた場合の動作を説明する。
読出し命令は通常、読出し開始アドレスと読出しデータ数を指定することにより行われる。読出し開始アドレスとしてATIP情報を採用するか論理アドレスを採用するかの選択は任意である。
抜き出し回路33において和信号SUMSがデジタル化され、再生信号DECSが生成される。再生信号DECSがデコーダ35に供給されると、デコーダ35は、再生信号DECSに同期する再生クロック信号CKRの生成を行い、この再生クロック信号CKR毎に変化する時系列のEFM変調された再生信号DECSから8ビットの信号を得て、更に、デインターリーブ処理(インターリーブされた信号をもとの順番に戻す処理)と所定のECCストラテジィに基づく誤り訂正処理を行い、光ディスク20に記録された記録データ信号WDを再生してホストコンピュータ等に送出する。
(誤記録位置検出動作)
次に誤記録位置検出動作について説明する。誤記録位置検出は、上述の構成を有する光ディスク装置10においては種々の態様で実施できるので、いくつかの例について説明する。まず、第1実施例を説明する。
(第1実施例)
第1実施例では、変調記録信号ENCSを所定の容量、例えば、2000フレーム分(1176000ビット)を光ディスク20に書き込む。このときに同時に変調記録信号保存用メモリ37にも2000フレーム分の変調記録信号ENCSを書き込む。このように大量の容量を一度に書き込むのは、CIRCを採用する場合には、インターリーブが最大108フレームに及ぶので、これに対応するものである。しかし、インターリーブが短い方式、例えば、CD−Rの媒体を使いながらも、符号方式としてはCIRCを採用することなく、1セクタ内でインターリーブが完結する符号を採用する場合には、1セクタ毎にデータを記録しても記録が効率的に行われるので、それに合わせて変調記録信号保存用メモリ37の容量を定めることができる。
そして、異常和信号ISKSが検出されない場合には、2000フレーム分の記録を終了する。一方、2000フレーム分の記録の途中で、異常和信号ISKSが検出された場合には、記録を中止した後、ATIP情報から変換された論理アドレス、又は追記部分に書き込まれた4バイトの論理アドレスから書き込まれた1フレームのデータの先頭の位置を見つけ、再生信号DECSと変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSとを1ビットずつ比較して、記録誤りのビット数を検出する。そして、所定の数以上のビット誤りがあれば、誤記録が行われたと判断して、所定数のビット誤りが発生した時点の論理アドレスを検出する。以上の動作は主としてシステム制御部39において行われる。
第1実施例では、従来のようにフォーカスはずれ信号やトラックはずれ信号を検出して、記録を中断する動作を行わないので、実際には、致命的なフォーカスはずれやトラッキングはずれが生じていないのに、これらの信号によって記録動作が中断されることがなく、無駄に記録時間、記録領域を消費することがない。異常和信号ISKSが生じた場合には、記録動作を中止して誤記録を防止すると共に、誤記録が発生した場所も特定できるので、光ディスク装置10を使用するユーザは、その後どのように処理をするかを判断することができる。
(第2実施例)
第2実施例では、第1の実施例では、異常和信号ISKSが生じた場合には、記録動作を中止したが、それに加えて、フォーカスはずれ信号、及び/又は、トラックはずれ信号を検出した場合に記録動作を中止するものである。
すなわち、第2実施例では、異常和信号ISKSが発生し、フォーカス誤差信号FEがフォーカスサーチS字曲線のP−P値の1/2以上の値となりフォーカスはずれ信号を発生し、又は、トラッキング誤差信号TEが1/2トラック以上離間してトラックはずれ信号を発生した場合には、光ディスク20への記録を中止すると共に変調記録信号保存用メモリ37への変調記録信号ENCSの書き込みを中止する。そして、ATIP情報から変換された論理アドレス、又は追記部分に書き込まれた4バイトの論理アドレスから書き込みの中止が生じたセクタの論理アドレスを知ることができる。
誤記録が生じた記録面における位置は、粗くは、ATIP情報、ATIP情報から変換された論理アドレス、又は追記部分に書き込まれた4バイトの論理アドレスから書き込みの中止が生じたセクタの論理アドレスを知ることによって、フレーム毎、あるいは、セクタ毎の単位で検出することができるが、変調記録信号保存用メモリ37に記憶されている2000フレーム分の変調記録信号ENCSと光ディスク20から再生された再生信号DECSとのビット毎の一致を検出してフレーム同期信号から何ビット目に誤記録が生じたかについても正確に検出することができる。以上の誤記録位置の検出はシステム制御部39において行われる。
第2実施例では、異常和信号ISKSが発生した場合のみならず、フォーカスはずれ信号、トラックはずれ信号を監視するものの、従来のようにフォーカスはずれやトラッキングはずれを厳しく判断するのではなく、緩やかに判断して、記録の動作に実害がない微小な光ディスク20の傷や光ディスク20上の異物が存在したとしても記録を続け、実際には、致命的なフォーカスはずれやトラッキングはずれが生じていないのに、これらの信号によって記録動作が中断されることがなく、無駄に記録領域を消費することがない。一方、致命的なフォーカスはずれやトラッキングはずれが生じて誤記録が生じた場合には、再生信号DECSと変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSとの比較により検出が可能であり、又、誤記録が発生した場所も特定できるので、光ディスク装置10を使用するユーザは、その後どのように処理をするかを判断することができる。
(第3実施例)
第3実施例では、変調記録信号ENCSを所定の容量、例えば、2000フレーム分のデータを光ディスク20に書き込む。このときに同時に変調記録信号保存用メモリ37にも1フレーム分の変調記録信号ENCSを書き込む。このときに、変調記録信号ENCSは2000フレーム分有るのに対して変調記録信号保存用メモリ37の容量は1フレーム分しかないので、順次上書きをする。
そして、異常和信号ISKS、フォーカスはずれ信号又はトラックはずれ信号が発生した場合には、光ディスク20への記録を中止すると共に変調記録信号保存用メモリ37への変調記録信号ENCSの書き込みを中止する。そして、変調記録信号保存用メモリ37に記憶されている1フレーム分の変調記録信号ENCSと光ディスク20から再生された再生信号DECSとのビット毎の一致を検出して誤記録が生じた記録面における位置を検出する。
誤記録が生じた記録面における位置は、上述した変調記録信号保存用メモリ37に2000フレーム分用意した場合と同様に検出が可能である。すなわち、ATIP情報、ATIP情報から変換された論理アドレス、又は追記部分に書き込まれた4バイトの論理アドレスから粗い位置を知ることができるのみならず、変調記録信号保存用メモリ37に記憶されている1フレーム分の変調記録信号ENCSと光ディスク20から再生された再生信号DECSとのビット毎の一致を検出してフレーム同期信号から何ビット目に誤記録が生じたかについても正確に検出することができる。以上の誤記録位置の検出はシステム制御部39において行われる。第3実施例では、小容量の変調記録信号保存用メモリ37を用いても、誤記録が発生した場所を特定できるので、光ディスク装置10のローコスト化が図りながらも、ユーザは、その後どのように処理をするかを判断することができる。
(第4実施例)
第4実施例では、光ディスク装置10は再生信号保存用メモリ34を具備している。変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSと光ディスク20から再生される再生信号DECSとを1ビットずつ照合するためには、その照合する2つのデジタル信号の位置が正確に一致していなければならない。24ビットからなるフレームシンクはEFMのルール外のユニークパターンであるので、一般的にはこのフレームシンクを手がかりにフレーム同期がなされるが、光ディスク20から再生信号ENCSを得た後、フレームシンクの抜き出しの時間がかかる場合もあり、正確なフレーム同期を合わせるために何度か繰り返して照合を要する場合もある。又、正確を期するために再生信号DECSと変調記録信号ENCSとの照合を何度も行いたい場合も生じる。
又、再生信号保存用メモリ34の記憶容量を1フレーム以下に設定する場合には、フレームシンクを検出できない場合も生じる。このような場合には、変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSと再生信号保存用メモリ34に記憶された再生信号DECSとの不一致の数をすべてのビットについて検出した後、比較位置を1ビットずらして、繰り返して不一致の数をすべてのビットについて検出し、所定の範囲で変調記録信号保存用メモリ37に記憶された変調記録信号ENCSと再生信号保存用メモリ34に記憶された再生信号DECSとの相対位置をずらして、最も不一致の数が少なくなる照合位置における所定の不一致の発生点を誤記録が発生した場所として特定できる。このような照合方法を採用すれば、何度も繰り返して光ディスク20から再生信号DECSを得る必要がないので、高速に誤記録が生じた位置を検出できる。
(その他の実施例)
以上の第1実施例乃至第4実施例のいずれか2つ以上を組み合わせて実施することも可能であり、本実施の形態は上述の実施例に限られるものではない。
(再書き込み動作)
誤記録が生じた場合に、光ディスク装置10を使用するユーザは、そのまま放置する場合と、再書き込みを行いたいと判断する場合とがあるが、再書き込みをする場合の動作について説明する。
光ディスク20はスパイラル構造のトラックを有し、このトラックに沿って、変調記録信号ENCSに応じた信号を略連続的に書きこんで行くので、トラッキングサーボが外れて誤記録が生じた場合は、再び誤記録の発生状況に応じて再記録を行うことが一般的である。この場合に、再び、既に記録がなされている領域に書き込むような場合には、誤記録が再び生じてしまうのでこれを避けなければならない。
図5(A)に示すように、変調記録信号保存用メモリに記録された変調記録信号ENCSが「1」であるにも拘わらず、再生信号DECSが「0」である場合には、本来記録すべき領域に記録がされなかったと考えられる。そして、この「1」と「0」とが正確に一致しなかった場所が誤記録の生じた位置であり、上述したようにビット(チャンネルビット)単位で特定できる。なお、再生信号DECSが「1」であるのはピット形成領域であり、「0」であるのは、スペース領域である。記録中止点よりも先の未記録領域に再書き込みを行うこととなるが、この場合に未記録領域であることを確かめて再書き込みを行う必要がある。
未記録領域を検出するためには、再生動作時における和信号SUMSを所定のレベルでスライスしたデジタル和信号DSUMSを検出して、再生クロック信号CKRを基準として少なくとも11クロックの長さデジタル和信号DSUMSが「0」である場合に未記録信号MKRSを「1」とするようにしている。ここで、未記録信号MKRSが「1」である場合に未記録領域であることを表すものとする。
一方、図5(B)に示すように、変調記録信号保存用メモリに記録された変調記録信号ENCSと、再生信号DECSと一致している場合には、誤記録が生じなかったとも考えられるが、2重書きをしている場合もある。この場合も同様に、未記録領域を検出するために、再生動作時における和信号SUMSを所定のレベルでスライスしたデジタル和信号DSUMSを検出して、再生クロック信号CKRを基準として少なくとも11クロックの長さデジタル和信号DSUMSが「0」である場合に未記録信号MKRSを「1」とするようにしている。
本発明の光記録再生装置は、主として、光記録再生媒体の記録面にレーザ光を集光し、光記録再生媒体に設けられた記録トラックに沿ってレーザ光を配置し、光記録再生媒体とレーザ光との相対的な位置関係を変化させるサーボ手段と、記録データ信号に応じた変調記録信号に基づきレーザ光の強度を変化させて記録面に光学的に信号を記録する信号変調・記録手段と、光学的に信号が記録された記録面から反射するレーザ光の変化に基づき再生信号を検出して記録データ信号を復調する信号再生・復調手段と、光記録再生媒体における前記レーザ光の位置を示すアドレス信号を検出するアドレス信号検出手段と、サーボ手段と信号変調・記録手段と信号再生・復調手段とを制御するシステム制御手段と、を備える光記録再生装置であって、信号変調・記録手段は、光記録再生媒体に変調記録信号を記録しないスペース時間における記録再生媒体から反射するレーザ光の総和に応じたスペース和信号を検出し、スペース和信号の大きさが所定の範囲外となる異常和信号が検出されたときに光記録再生媒体への記録を中止する構成としたものであるが、光記録再生媒体は本実施の形態に示した円盤状の光ディスクにスパイラル状のトラックを配したものに限られず、例えば、方形の板状体に直線状のトラックを配した形状等であっても良く、光記録再生媒体の記録面を構成する材料は有機色素材料に限らず、相変化材料等であっても良く、サーボ手段は、レーザ光を集光し、記録トラックに沿ってレーザ光を配置し、光記録再生媒体とレーザ光との相対的な位置関係を変化させるものであれば、本実施の形態に示したものに限定されず、信号変調・記録手段、アドレス信号検出手段、システム制御手段、変調記録信号記憶手段、信号比較機能及び誤記録判断手段のいずれもが本実施の形態に限定されるものではなく、変調方式、ECC方式、記録データのフォーマット等も何ら限定されるものではなく、スペース和信号の検出方法及び検出手段の具体的構成並びに異常和信号の検出方法及び検出手段の具体的構成のいずれもが本実施の形態に限定されるものではない。
又、別の本発明の光記録再生装置は、光記録再生媒体の記録面にレーザ光を集光し、光記録再生媒体に設けられた記録トラックに沿ってレーザ光を配置し、光記録再生媒体とレーザ光との相対的な位置関係を変化させるサーボ手段と、記録データ信号に応じた変調記録信号に基づきレーザ光の強度を変化させて記録トラックに沿って略連続的に信号を記録する信号変調・記録手段と、 光学的に信号が記録された記録面から反射するレーザ光の変化に基づき再生信号を検出して記録データ信号を復調する信号再生・復調手段と、光記録再生媒体における前記レーザ光の位置を示すアドレス信号を検出するアドレス信号検出手段と、サーボ手段と信号変調・記録手段と信号再生・復調手段とを制御するシステム制御手段と、を備える光記録再生装置であって、信号変調・記録手段は、変調記録信号を時系列で記憶する変調記録信号記憶手段と、光記録再生媒体に変調記録信号を記録しないスペース時間における記録再生媒体から反射するレーザ光の総和に応じたスペース和信号を検出するスペース和信号検出手段とを具備し、スペース和信号の大きさが所定の範囲外となる異常和信号が検出されたときには、光記録再生媒体への記録を中止し、記録が中止された位置より先の位置において、光記録再生媒体に未記録であることを表す未記録信号を記録面から反射するレーザ光の変化に基づき検出し、未記録信号が、所定の区間連続した後に、記録データ信号を記録する構成としたものであるが、光記録再生媒体は本実施の形態に示した円盤状の光ディスクにスパイラル状のトラックを配したものに限られず、例えば、方形の板状体に直線状のトラックを配した形状等であっても良く、光記録再生媒体の記録面を構成する材料は有機色素材料に限らず、相変化材料等であっても良く、サーボ手段は、レーザ光を集光し、記録トラックに沿ってレーザ光を配置し、光記録再生媒体とレーザ光との相対的な位置関係を変化させるものであれば、本実施の形態に示したものに限定されず、信号変調・記録手段、アドレス信号検出手段、システム制御手段、変調記録信号記憶手段、信号比較機能及び誤記録判断手段のいずれもが本実施の形態に限定されるものではなく、変調方式、ECC方式、記録データのフォーマット等も何ら限定されるものではなく、スペース和信号の検出方法及び検出手段の具体的構成並びに異常和信号の検出方法及び検出手段の具体的構成のいずれもが本実施の形態に限定されるものではない。又、未記録信号は、和信号を基準として検出するものに限られるものではない。