JP2006126076A - 溶接継手部の残留応力の解析方法 - Google Patents

溶接継手部の残留応力の解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を短時間で正確に算出する。
【解決手段】 大径厚肉管62の溶接継手部63の残留応力を、軸対称シェルモデルを用いて複数の要素Eに分割し、6行6列の行列による基本式に基づいてFEM解析する解析方法において、 上記軸対称シェルモデルの所定の要素Eに、通常の軸対称シェルモデルによるFEM解析で算出した径方向変位と実際の径方向変位との差分に応じた剛性を有する径方向バネ拘束を導入すると共に、上記軸対称シェルモデルの所定の要素Eに、通常の軸対称シェルモデルによるFEM解析で算出した軸方向変位と実際の軸方向変位との差分に応じた剛性を有する軸方向バネ拘束を導入してFEM解析を行う。
【選択図】 図19

Description

本発明は、大径厚肉管の溶接継手部の残留応力の、軸対称シェルモデルを用いたFEM解析による解析方法に関するものである。
従来、原子力発電プラントに供用される厚肉配管溶接部においては、溶接残留応力に起因した応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking−以下、SCCと称する)を防止するため、高周波誘導加熱残留応力改善法(Induction Heating Stress Improvement−以下、IHSIと称する)施工による溶接残留応力緩和が実施されている。
IHSIは、誘導加熱を用いた熱処理方法である。被加熱物(配管の溶接部)の管外面周りにコイルを巻き、この加熱コイルに交流電流を通じることで誘導加熱により被加熱物の表面を加熱する。誘導加熱の原理は、交流電流によってできる交番磁束が、被加熱物を貫通して非常に密度の高い電流(うず電流)を誘導することにより短時間に加熱可能とするものである。一方、IHSI施工時に管内を水冷する(例えば、流速2m/sec、約300°K(ケルビン)の冷却水を流したり、管内に冷却水を停滞させる)ことで管内面側を冷却し配管内外面に温度差を生じさせ、熱歪により配管内面側に圧縮残留応力を導入(もしくは引張残留応力を緩和)することができる。
IHSIを実施する上で残留応力緩和効果の支配的なパラメーターとしては、(1)最高加熱温度、(2)内外面の必要温度差、(3)コイル幅、(4)加熱時間、(5)溶接線とコイル幅中心の相対位置の5つが挙げられる(非特許文献1参照)。これらの値をEV(エッセンシャル・バリアブル)と称し、実施工前にEVと残留応力との関係を確認することで、IHSIの施工条件の計画を行う。
EVと残留応力との関係は、設定したEVで実験を行って、残留応力を実測することで導かれるが、すべての配管を対象として実験的に、有効なIHSI施工条件を求めるのは時間・費用の面から困難である。
そこで、溶接からIHSIまでの工程について、FEM解析を実施することによって、SCCが懸念される溶接継手部近傍の残留応力分布を推定し、解析により有効なIHSI施工条件を明らかにする必要がある。
FEM解析は、配管の溶接部周辺を複数の要素に分けて考え、基本式に要素ごとのデータを入力して方程式を組み立て、それを基に残留応力を解析する方法である。従来、配管の溶接継手部の残留応力を算出するには、軸対称シェルモデルを用いて、一般的な解析コードでそのまま解析を行っていた(非特許文献2参照)。
飯田他、「高周波誘導加熱による応力緩和法に関する指針(SCC対策工法)TNS−G2804−1985」、社団法人火力原子力発電技術協会、原子力発電技術委員会、p.5−26 「有限要素法ハンドブックI、II」、1992年発行、培風館
ところで、実プラントにおいては、既存・新設の別なく、IHSI施工を実施することでSCCによる損傷を未然に防止することが期待される。既存のプラントにおいては多種多様な形状(口径および肉厚)の配管が存在しており、それぞれの配管継手部に対して溶接残留応力を効果的に低減させるためのIHSI施工条件を明らかにする必要がある。
しかしながら、上述のFEM解析を行った場合、直径50mm程度の小径配管
では、解析値と実測値との差は少なく、問題とならなかったが、直径500mmを越える大径且つ厚肉の管では、解析値と実測値との誤差が大きくなるといった問題があった。特に、解析値の方が実測値よりも低く計算される(実測値よりも有利な側に出る)ため、IHSIの評価に用いることが困難であった。
大径厚肉管でFEM解析を行うに際しては、3次元シェルモデルまたは3次元ソリッドモデルを用いて実際の溶接を模擬した移動熱源の解析を行えば、溶接による残留応力の解析値と実測値との誤差を小さくすることができる。しかし、3次元モデル、特に3次元ソリッドモデルでは誤差を非常に小さくできるが、計算が非常に複雑になるため、軸対称シェルモデルの場合の解析時間(例えば2時間)と比較して、解析に多くの時間(例えば3ヶ月)を要するという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題を解決すべく案出されたものであり、その目的は、大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を短時間で正確に算出できる解析方法を提供することにある。
請求項1の発明は、大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を、軸対称シェルモデルを用いて複数の要素に分割し、
Figure 2006126076
に基づいてFEM解析する解析方法において、上記軸対称シェルモデルの所定の要素に、通常の軸対称シェルモデルによるFEM解析で算出した径方向変位と実際に実験で求めた径方向変位との差分に応じた剛性を有する径方向バネ拘束を導入すると共に、上記軸対称シェルモデルの所定の要素に、通常の軸対称シェルモデルによるFEM解析で算出した軸方向変位と実際に実験で求めた軸方向変位との差分に応じた剛性を有する軸方向バネ拘束を導入してFEM解析を行う溶接継手部の残留応力の解析方法である。
請求項2の発明は、上記径方向バネ拘束及び軸方向バネ拘束の導入位置と、上記径方向バネ拘束及び軸方向バネ拘束の剛性は、FEMによる試解析により軸対称シェルモデルと実際に実験で求めた変位挙動が一致する値を算出して設定した請求項1記載の溶接継手部の残留応力の解析方法である。
請求項3の発明は、上記軸対称シェルモデルによる径方向及び軸方向変位は、軸対称シェルモデルによる大径厚肉管の局所加熱時の解析によって算出され、上記実際に実験で求めた径方向及び軸方向変位は、3次元シェルモデルによる大径厚肉管の全周加熱時の解析によって算出される請求項1または2記載の溶接継手部の残留応力の解析方法である。
請求項4の発明は、上記大径厚肉管は、ステンレス鋼600A配管が用いられ、上記径方向バネ拘束は、上記溶接継手部の溶接中心から軸方向に±略30mmの位置に導入され、その剛性は2.581×1010(N/m)であり、上記軸方向バネは、上記溶接継手部の溶接中心から軸方向に±略100mmの位置に導入され、その剛性は11.621×1010(N/m)である請求項1から3いずれかに記載の溶接継手部の残留応力の解析方法である。
請求項5の発明は、大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を、軸対称シェルモデルを用いて複数の要素に分割し、
Figure 2006126076
に基づいてFEM解析する解析方法において、予めモックアップを用いて上記溶接継手部の硬さ分布を計測しその硬さ分布より予ひずみ量分布を推定しておき、他方、軸対称シェルモデルを用いたFEM解析にて上記溶接継手部の相当塑性ひずみ量分布を解析し、上記予ひずみ量分布と上記相当塑性ひずみ量分布を比較してひずみ量の差分の分布を求め、そのひずみ量の差分が発生した部分の材料を上記差分に応じた加工硬化を受けた材料に置き換えてFEM解析を行うことを特徴とする溶接継手部の残留応力の解析方法である。
本発明によれば、大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を短時間で正確に算出できるといった優れた効果を発揮する。
高周波誘導加熱残留応力改善法(IHSI)は、既設原子力発電所のオーステナイト系ステンレス鋼製配管のSCC対策工法の一つとして開発されており、溶接線近傍内面熱影響部における残留引張応力を改善する工法である。
IHSIは、誘導加熱を用いた熱処理方法であり、被加熱物(配管の溶接部)の管外面周りにコイルを巻き、この加熱コイルに交流電流を通じることで誘導加熱により被加熱物の表面を加熱することができる。誘導加熱の原理は交流電流によってできる交番磁束が、被加熱物を貫通して非常に密度の高い電流(うず電流)を誘導することにより短時間に加熱可能とするものである。一方、IHSI施工時に管内を水冷し(例えば、管内に約300°K(ケルビン)(略27℃)の冷却水を満たしたり流したりする)、水冷ありの状態で管内面側を冷却し配管内外面に温度差を生じさせ、熱歪により配管内面側に圧縮残留応力を導入(もしくは引張残留応力を緩和)することができる。
IHSIを実施する上で残留応力緩和効果の支配的なパラメーターとなるEVについて、実施工前にEVと残留応力との関係を確認することで、IHSIの施工条件の計画を行う。
本実施の形態では、設定したEVに対する残留応力をFEM解析によって算出する。そして、その算出された残留応力が、所望の残留応力となっているかを確認する。
FEM解析は、解析すべき部分(配管の溶接部周辺)を複数の要素に分けて考え、要素ごとのデータをコンピュータに入力して、コンピュータで基本式を基に方程式を組み立て、これを基に残留応力を解析する。
本実施の形態では、軸対称シェルモデルを用いて、要素に分割している。要素の分割は、図3に示すように、IHSIによる応力緩和の解析で特に重要となる、溶接部2と配管(大径厚肉管)62の母材部1との境界近傍61を細かく分割している。また、溶接部2は、溶接パスに相当するように要素Eに分割している。
そして、各要素Eごとに下記の基本式を基に解析を行っている。
Figure 2006126076
上記式において、rは配管の径方向、θは配管の周方向、zは配管の軸方向を示し、σは応力、τは剪断応力、εは直ひずみ、γは剪断ひずみを示す。[D]は弾性マトリックスを示し、これに直ひずみεと、剪断ひずみγをかけることで、応力σと剪断応力τが表される。
本実施の形態では、解析コードは、例えばABAQUS Ver6.4、モデルは軸対称シェルモデル、解析方法は非定常熱伝導温度分布解析及び熱弾塑性応力解析を用いて解析を行う。
上記ABAQUSでは、材料の各温度でのヤング率Eやポアソン比ν等の材料物性を入力すると共に、各要素Eの節点や溶接部及び配管部のグループ定義等を行うことで、上記基本式を基に各要素Eごとに方程式を組み立てて、計算を行い、各要素ごとの応力を算出する。
ところで、本発明は、軸対称シェルモデルによる本解析と、実際の応力との相違点を補完するため、軸方向および径方向にバネによる拘束を導入してFEM解析することを特徴とする。
これは、配管を溶接で接合する際には、実際の溶接では溶接ビードに沿って熱源が移動して行くのに対して、軸対称シェルモデルでは全周に渡って溶接ビードを同時に温めてしまい、軸方向へ自由膨張すると共に径方向にも比較的変形しやすくなるためである。この実際には起こらない軸方向への自由膨張と径方向への変形の容易さを適度に拘束することを目的として、バネ拘束条件を導入している。
すなわち、配管における周溶接という事象を考えた場合、溶接に伴う入熱は点熱源が移動することから、3次元的な挙動となる。しかし軸対称シェルモデルを用いて、溶接部を有する配管の残留応力を解析する場合、溶接を模擬した入熱を与えると環状のリングが同時期に加熱される状態となり、実機のような点熱源の移動とは異なる挙動を示す。実機においては溶接により局部的に加熱された領域は周りの構造(低温であるため)により変形が拘束されるが、軸対称シェルモデルでは径方向への変位が比較的自由に膨張・収縮することとなり、主に周方向の解析結果が実機と差異が生じると考えられる。以上の点に着目して、軸対称シェルモデルで実際の変形挙動を再現するために、便宜的な拘束条件を付与することとした。
バネ拘束の導入位置及び剛性は、FEMによる試解析により、軸対称シェルモデルによる解析の変位挙動と、実際に実験で求めた変位挙動とが一致する値を算出して、決定される。なお、実際に実験で求める変位挙動は、3次元シェルモデルを用いてFEM解析を行って求める。
以上のように、軸対称シェルモデルにバネ拘束を導入することにより、溶接による配管溶接継手部(図3参照)63の残留応力を短時間で正確に算出できることとなる。
また、本発明は、IHSIによる応力緩和の実施後の残留応力を解析するに際して、予めモックアップを用いて溶接継手部の硬さ分布を計測しその硬さ分布より予ひずみ量分布を推定しておき、他方、軸対称シェルモデルを用いたFEM解析にて溶接継手部の相当塑性ひずみ量分布を解析し、上記予ひずみ量分布と上記相当塑性ひずみ量分布を比較してひずみ量の差分の分布を求め、そのひずみ量の差分が発生した部分の材料を上記差分に応じた加工硬化を受けた材料に置き換えてFEM解析を行うことを特徴とする。
これは、HAZ部(溶接材と母材との境界部)に関しては溶接による加工硬化によって硬さが増加するが、解析においてはこの挙動を完全に再現することができないため、別途実施した圧延材を用いた試験結果より得られた加工硬化材の物性値に置き換えることで、実際の残留応力を軸対称シェルモデルで模擬できることに着目し、その置き換えを行う材料の硬さを決定することで、本発明をするに至った。
すなわち、溶接時の加熱により加工硬化した降伏点の上昇度合いを、実際の継手断面でモックアップ試験により計測した硬さ分布より求め、溶接残留応力解析結果との差異の分(%)だけ圧延を受けた(硬さが増加した)材料に置き換えて解析を実施している。
以上のように、ひずみ量の差分が発生した部分の材料を上記差分に応じた加工硬化を受けた材料に置き換えてFEM解析を行うことにより、IHSI施工後の配管溶接継手部の残留応力を短時間で正確に算出できることとなる。
以下、本実施の形態におけるFEM解析のバネ拘束及び材料置き換えの条件の決定工程について具体的に説明する。
まず、解析対象と解析モデルを説明する。
本実験では、FEM解析による解析データが、実際の実験データと整合するかを確認するために、図1に示す4体のモックアップを形成し、モックアップ試験を実施した。No.2、3、4は、口径の異なる配管に対して多層の周溶接およびIHSI施工を行った試験体、No.1は、No.2と同口径で溶接施工のみの試験体である。各モックアップについて、それぞれ溶接およびIHSI施工中の温度履歴の計測を行った。さらに施工終了後、切断法による残留応力分布の計測に供した。
一方、解析は4体のモックアップ試験を模擬した軸対称シェルモデルによって実施した。図2及び図3にモックアップを模擬した解析モデルの一例として、口径600Aのモデルを示す。なお、図2は配管の全体断面図、図3は配管の溶接部近傍(図2中、A部分)の要部拡大断面図を示す。
解析は、解析コードはABAQUS Ver6.4、解析方法は非定常熱伝導温度分布解析および熱弾塑性応力解析によって解析を行う。
そして、モックアップ試験から得られた溶接時温度計測結果を基に、溶接による入熱を模擬した熱伝導温度解析を実施し、温度分布を算出する。その結果得られた熱荷重を用いて溶接部を含む熱弾塑性応力解析を実施し、その後IHSI施工を模擬した熱履歴を与えて、溶接部周りの残留応力の変化を確認する。
解析に用いた材料物性(母材、溶着金属の応力−ひずみ関係(降伏応力)及び比熱、熱膨張率、ヤング率、熱伝導率、比重)は、別途実施した「高温引張り強度試験」より得られたデータを使用した。図4〜図6に解析に用いた材料の真応力−塑性ひずみ関係を示す。
一方、塑性降伏の条件は、ミーゼスの降伏条件を採用し、硬化則は等方硬化則とした。なおクリープ、変態膨張など速度依存性がある変形機構については考慮していない。
次に、温度分布の計算方法(非定常熱伝導温度分布解析)について説明する。
溶接およびIHSIによる温度分布の解析は、解析モデルに外部雰囲気や冷却による除熱の条件等を設定し、溶接パスに相当する要素を順次発生させつつ、溶接による入熱を模擬して順次発熱させることで、溶接部及びそのまわりの温度分布を計算する。その際、利用する溶接条件等は、モックアップ試験結果のデータを援用する。
溶接による温度分布解析を説明する。
溶接時の温度分布解析の境界条件および溶接入熱の導入概要を以下に記す。
(1)境界条件は、溶接部を含む内外面に、外部雰囲気に対する熱伝達及び輻射伝熱を考慮した。
(2)溶接パスの設定は、モックアップの溶接による熱影響を模擬するため、実際のモックアップ試験体の溶接パスを模擬した要素分割でモデル化した。溶接の都度、溶着金属に相当する要素を発生させ、この要素を発熱させることによって溶接による入熱を模擬する手法を用いた。解析において実溶接のパスに相当する要素との対応を図7及び図8に示す。なお、図7及び図8は600A配管の例を示す。図7中、1は配管の母材部を示し、2は溶接材部を示す。丸数字は解析の層を示し、層内の数字はモックアップ溶接の溶接パスを示す(詳細は図8参照)。
(3)熱履歴の初期設定を行うに際して、溶接線の単位長さあたりの入熱量は、電流×電圧÷速さ×入熱効率で求めることができる。これら電流、電圧、速さは溶接施工記録を基に設定した。溶接の入熱効率は、「Distribution of temperatures in arc welding, Christensen, N.」に、0.21〜0.48という数字が紹介されており、ここではTIG溶接で0.4を初期値として用いた。
溶接線の単位長さあたりの入熱量を決定するにあたって、本来3次元的に移動する溶接プロセスを軸対称シェルモデルで模擬するため、入熱量の時間的変化を図9のように台形状に仮定する。具体的には、最初の入熱時間に対する所定割合の時間で入熱量が増加し、次に入熱時間に対する所定割合の時間で入熱量は一定であり、最後の入熱時間に対する所定割合の時間で入熱量が減少する。これによって、トータルで同じ熱量を入熱しても時間幅が異なると溶接部の最高温度は異なる。本解析においては、単位長さあたりの入熱量を固定しつつ溶接部の最高温度が1300℃となるような入熱時間幅を設定し、温度フィッティングの初期値とした。温度フィッティングとは、温度の解析値をモックアップ試験計測値に近づけることをいう。
(4)温度フィッティングを行うに際して、モックアップ試験結果より得られた熱電対の温度履歴計測結果と前述の初期設定の温度履歴を比較して、実測温度履歴に沿うように入熱時間、溶接効率を調整し、初期設定温度履歴を、実機の計測結果を反映した温度履歴に調整した。これら入熱時間、溶接効率の調整は、複数の条件を基に試解析して、最も近似する条件を見つけだすことで求める。なお、図10及び図11にモックアップの温度計測位置3を黒塗り点にて示す。温度計測位置3には、熱電対がそれぞれ設置されている。温度計測位置3は、配管1の内面と外面にそれぞれ設けられており、溶接部より所定の間隔を隔てた位置に複数設けられている。
温度フィッティングは、配管断面に90度ピッチで設けた4方位の計測点(温度計測位置3)でのピーク温度に対して、解析結果温度が概ね±6%になる基準を設けて、フィッティングの程度を評価した。±6%に収まらない場合に対しても、ピーク温度の最大値から最小値の間に収まることを確認している(図12〜図14参照)。図9に示す時間幅の調節によって、温度カーブの山の形をほぼ再現し、入熱効率の調節も併用して、計測点でのピーク温度に近づける調節を行った。ただし、入熱効率は0.2から0.8の間にあるものとし、時間幅は概ね10秒を下回らない値を採用した。図12〜図14に、600A配管の温度フィッティング結果の一例を示す。なお、図12〜図14中、4は参照温度計測点を示す。
実際の解析では、これによって得られた熱効率、加熱時間の平均値を算出し、それを全溶接パスの入熱条件として解析を実施した。
一例としてNo.3(550A配管)を対象とした解析における熱効率および加熱時間は以下の通りである。
熱効率:0.74
加熱時間:19.0秒
なお、実際のモックアップ試験体は、配管軸方向に収縮するため、実測値に相当する解析メッシュのポイントもオフセットし、実機に沿うように考慮した。
以上、温度フィッティングを行ったことによって、3次元的に移動する溶接プロセスの温度履歴を軸対称シェルモデルで模擬することができた。
次に、IHSIによる温度分布解析を説明する。
IHSI施工時の温度分布解析の境界条件およびコイルによる入熱について以下に記す。
境界条件は、以下のようにする。
(a)管外面は周囲空気による放熱境界とする。
(b)管内面は強制対流境界とする。(管内を約300°K(ケルビン)の冷却水が2m/secで流れる状態を模擬するため、円管内を強制対流熱伝達とし、既存の経験式(Dittus - Boelterの式)を用いて熱伝達率を求める。)
(c)管外面からの発熱は、電磁誘導加熱による内部発熱とする。
ここで、EV(エッセンシャル・バリアブル)と温度フィッティングについて説明する。
IHSIを実施する上で残留応力緩和効果の支配的なパラメーターとして(1)最高温度、(2)必要温度差、(3)コイル幅、(4)加熱時間、(5)溶接線とコイル幅中心の相対位置の5つが挙げられる。これらの値をEV(エッセンシャル・バリアブル)と称し、実施工前に算出・確認することで、IHSIの施工条件の計画を行う。
本解析においては、モックアップの施工条件のEV値を模擬するように、発熱位置を調整した。さらにモックアップ試験体のIHSI施工時で得られた配管外面温度の履歴および分布と一致するようにFEM解析の入熱量を調整して温度フィッティングを行った。
IHSI加熱時の温度計測位置を図10及び図11に示す。図15及び図16に温度フィッティング結果の一例を示す。図15中、5は、図中右側に表示した各温度計測位置での温度履歴を示した温度履歴群である。そして、配管外面側の計測位置の中で最も低い温度の計測結果(温度履歴群5の中で最も低い温度)に合わせるように試解析を行い、解析の温度フィッティングを行った。これによって、図16に示すように、解析により得られた軸方向の温度分布が、MU(モックアップ)の計測結果と同等になった。
以上、温度フィッティングを行ったことによって、3次元的に移動するIHSIプロセスの温度履歴を軸対称シェルモデルで模擬することができた。
次に、残留応力の計算方法(熱弾塑性応力解析)について説明する。
上述の非定常熱伝導解析により得られた温度分布を基に、熱荷重を算出し、熱弾塑性大変形解析により、配管内外面及び、内部の残留応力分布を算出した。
ここで、溶接による残留応力解析を説明する。
まず、溶接による温度分布解析より算出した各節点における温度の時刻暦変化を入力し、線膨張係数を介して熱荷重に変換する。熱荷重は、入熱初期の昇温過程から入熱終了後に溶接部周辺の温度分布がほとんど変化しなくなる時間までを考慮した。応力解析においても、溶接パスに対応して加熱される領域の要素を逐次発生させつつ解析を進めた。この要素の発生タイミングは加熱領域が最も高温となる時間とした。
ところで、本発明は、軸対称シェルモデルによる本解析と、実際の3次元溶接現象の相違点を補完するため、溶接中において、軸方向および径方向にバネによる拘束を導入したことを特徴とする。
拘束のタイミングは、溶金を模擬した入熱を与えた瞬間から冷却後までとし、その後一旦拘束を外し内部応力の自平衡に伴う変形を与える状態を求めている。次のパスを入熱する際は再び同様の拘束を行い、この操作を全ての溶接パスについて繰り返した。
FEM解析における次元の違いによる相違点とは、実際の溶接では溶接ビードに沿って熱源が移動して行く(3次元体の一部を温める)のに対して、軸対称モデルでは全周に渡って溶接ビードを同時に温めてしまい、軸方向へ自由膨張すると共に径方向にも比較的変形しやすい事象のことである。この実際には起こらない軸方向への自由膨張と径方向への変形の容易さを適度に拘束することを目的として、バネ拘束条件を導入した。
この拘束条件の検討は口径、板厚により周辺領域の剛性が異なることから、解析対象の配管ごとに実施する必要がある。バネ拘束条件は、以下の点に着目して決定する。
溶接時の軸方向および径方向拘束条件算定方法については、配管における周溶接という事象を考えた場合、溶接に伴う入熱は点熱源が移動することから、3次元的な挙動となる(図17参照)。そのためFEM解析により配管の周溶接の残留応力を高精度に解析するためには3次元モデルを用いて実際の入熱状況を再現した解析が必要であると考えられる。しかし、実機の溶接が多パス(配管の径や板厚により異なるが30〜50パス程度)となり、昨今の計算機の著しい能力向上を鑑みても3次元モデルでの解析には膨大な時間を要することから、多種多様な条件を検討する上で軸対称シェルモデルに置き換えて解析するのが一般的である。
しかし軸対称シェルモデルを用いて、溶接部を有する配管の残留応力を解析する場合、溶接を模擬した入熱を与えると環状のリングが同時期に加熱される状態(図18参照)となり、実機のような点熱源の移動とは異なる挙動を示す。図19に示すように、実機においては溶接により局部的に加熱された領域は周りの構造(低温であるため)により変形が拘束されるが、軸対称シェルモデルでは径方向への変位が比較的自由に膨張・収縮することとなり、主に周方向の解析結果が実機と差異が生じると考えられる。そこで軸対称シェルモデルで本来3次元の変形挙動を再現するためには、図19に示すような便宜的な拘束条件を付与する必要があると考えられる。
ところで、円柱座標系におけるひずみは3次元の場合、垂直3成分、せん断3成分を考え、軸対称シェルモデルでの径、軸方向変位挙動を3次元モデルに近づけることで、3次元の径、軸、周方向のひずみ挙動を模擬できる。
しかし、対象が円柱であることから、その変位挙動は複雑であり、解析解として周溶接のように本来3次元の変形挙動を軸対称シェルモデルにより再現するために径、軸方向の変形を一致させるような拘束条件を決めるのは困難であると考えられる。
そこで、本発明では軸対称シェルモデル及び3次元シェルモデルを用いたFEMによる試解析を行い、局所加熱と全周加熱の変形挙動の違いを明らかにした。さらにFEMによるケーススタディを実施し局所過熱と全周加熱の変形挙動を一致させるような拘束方法を検討した。
以下にFEMによる拘束方法の決定方法について記す。
まず、FEMによる試解析方法について説明する。
全周を同時に溶接した場合と局所的に溶接した場合の変形挙動の違いを明らかにするため軸対称シェルモデルと3次元シェルモデルを用いて弾性解析を行った。比較に用いたのは以下の3種類の解析である。
(1)軸対称シェルモデルを用いて中央部加熱(全周同時加熱に相当)
(2)3次元シェルモデルを用いて中央部全周加熱(全周加熱に相当)
(3)3次元シェルモデルを用いて中央部に局所加熱(実機の点熱源に相当)
なお、軸対称シェルモデルと3次元シェルモデルを用いた全周加熱は同じ解析結果が得られるはずであるが、軸対称シェルモデルの変形の妥当性を確認するため比較に供している。
図20に、検討に用いた3次元シェルモデルの一例として600A配管のモデルを示す。図20(a)中、6で示す局所加熱領域の寸法は、600A配管で実施した溶接時温度計測結果を基に設定した。1層1パス溶接時温度計測結果より、配管内面では、開先中心から±8mm位置で約700℃、±13mm位置で約390℃、±23mm位置で約200℃以下である。
よって加熱領域は、解析メッシュも考慮し、温度の下限を200℃として、幅20mmとした。加熱領域の長さは溶接速度90mm/min及び200℃以上での高温持続時間約1.3minより128mmとした。また、全周加熱領域(軸対称シェルモデルでの入熱を想定)7についても図20(b)で示すように、20mm幅を入熱の範囲とした。
次に、試解析結果の比較について説明する。
3次元シェルモデルおよび軸対称シェルモデルを用いた3種類の試解析を実施、径方向および軸方向の変位を図21及び図22に示す。なお、図21及び図22中、11(細線に四角マーク)は3Dシェル(3次元シェルモデル)・局所加熱の場合の変位挙動を示し、12(太線)は3Dシェル・全周加熱の場合の変位挙動を示し、13(細線に丸マーク)は軸対称シェル(軸対称シェルモデル)・全周加熱の場合の変位挙動を示す。
図21より、3次元シェルモデルで全周加熱した場合の変位挙動12と、軸対称シェルモデルで全周加熱した場合の変位挙動13がほぼ等しいことが確認できる。一方、3次元ソリッドモデルで局所加熱した場合の径方向の変位挙動11は、全周加熱した場合の変位挙動12,13と比較して、発生する変位がかなり少ないことが確認できる。この差を補正することで、軸対称シェルモデルでも溶接時の変位挙動が3次元ソリッドモデルと等価になり、結果として塑性ひずみや応力バランスが実機に近づくと考えられる。
図22に示すように、軸方向の変位についても径方向変位と同様、3次元シェルモデルで全周加熱した場合の変位挙動12と、軸対称シェルモデルで全周加熱した場合の軸方向の変位挙動13とがほぼ等しいことがわかる。一方、3次元シェルモデルで局所加熱した場合の変位挙動11は、全周加熱した場合の変位挙動12,13と比較して、発生する変位がかなり少ないことが確認できる。この差を補正することで、軸対称シェルモデルでも溶接時の変位挙動を3次元ソリッドモデルと同等とすることが可能となり、結果として塑性ひずみや応力バランスが実機に近づくと考えられる。
次に、変形挙動を一致させるための拘束条件の検討について説明する。
径・軸方向共に軸対称シェルモデルでは現れない周辺領域の剛性が、加熱による変位を抑制している。その差を軸対称シェルモデルで再現するためには適切な位置に適切な剛性(バネ拘束)を与え、解析モデルを構築するとよい。対象が円柱であることから、その変位挙動は複雑であり、バネ拘束の導入位置、剛性はFEM解析で検証し、求める必要がある。そこでFEMによるケーススタディを実施しバネの拘束設定位置及び剛性を確認・決定した。
さまざまなケーススタディを実施した結果、溶接線中心から±30mmの位置に径方向バネ拘束、溶接中心から±100mm位置に軸方向バネ拘束を導入する事とした。与えるバネ剛性は軸対称シェルモデルと3次元シェルモデルでの変位挙動が一致する剛性を試解析から算出し設定した。
すなわち、軸対称シェルモデルに複数の条件を入力して複数回FEM解析(パラメータサーベイ)を行い、軸対称シェルモデルと3次元シェルモデルでの変位挙動が一致する剛性(バネ定数)を見つけて設定した。具体的には、600A配管の場合には、径方向バネの剛性が、2.581×1010(N/m)、軸方向バネの剛性が、11.621×1010(N/m)とする。
ABAQUSに条件を入力する際に、径方向及び軸方向バネ拘束を導入する要素をそれぞれ指定すると共に、各バネの剛性(バネ定数)を入力する。
本拘束を導入した軸対称シェルモデルの変位挙動と局所加熱した3次元シェルモデルの変位挙動を比較したものを図23及び図24に示す。なお、図23及び図24中、11(細線に四角マーク)は3Dシェル(3次元シェルモデル)・局所加熱の場合の変位挙動を示し、12(太線)は3Dシェル・全周加熱の場合の変位挙動を示し、13(細線に丸マーク)は軸対称シェル(軸対称シェルモデル)・全周加熱の場合の変位挙動を示し、14(太線)は径・軸方向にバネ拘束を導入した軸対称シェル(軸対称シェルモデル)・全周加熱の場合の変位挙動を示す。
図23及び図24に示すように、径・軸方向にバネ拘束を導入した軸対称シェル(軸対称シェルモデル)で全周加熱した場合の径・軸方向の変位挙動14と、3次元シェルモデルで局所加熱した場合の径・軸方向の変位挙動11がほぼ等しいことが確認できる。すなわち、上述の拘束を導入することにより3次元シェルモデルでの局所加熱の変形挙動を軸対称シェルモデルで模擬することが可能となった。
軸対称シェルモデルでのバネ拘束の効果について説明する。
600A配管を対象として軸対称シェルモデルに上記の方法により求めたバネ拘束を導入し解析を行った結果(As Weld解析結果)を図25及び図26に示す。なお、図25及び図26中、15はバネ拘束なしのFEM解析(軸対称シェルモデル)による内面の応力を示し、16はバネ拘束ありのFEM解析(軸対称シェルモデル)による内面の応力を示し、17はバネ拘束なしのFEM解析(軸対称シェルモデル)による外面の応力を示し、18はバネ拘束ありのFEM解析(軸対称シェルモデル)による外面の応力を示す。また、19はMUの内面の各温度計測位置の応力を示し、20はMUの外面の各温度計測位置の応力を示す。
図25よりAs Weldでの解析結果(バネ拘束ありのFEM解析による内面の応力16及び外面の応力18)は、配管内面軸方向応力分布においては従来解析結果(バネ拘束なしのFEM解析による内面の応力15及び外面の応力17)と比較し、内外面共に径方向拘束の影響が若干、発生しているもののその応力分布の傾向は等しく、また溶金近傍での応力レベルはほとんど変化しない。また、図26に示すように、バネ拘束ありのFEM解析による内面の応力16及び外面の応力18の配管内面周方向応力分布は、溶金近傍での応力レベルが下がり、実測結果(MUの内面の各温度計測位置の応力19及び外面の各温度計測位置の応力20)と傾向が近づく結果が得られることを確認した。
以上より解析上の境界条件を付与することにより軸対称シェルモデルによるFEM解析でも実機の3次元的な影響によるひずみ挙動を模擬できることが判明した。
次に、IHSIによる残留応力解析について説明する。
IHSI施工時の温度分布の計算により算出した時刻暦データ(図15参照)を、溶接時の解析と同様に各節点に時間変化する温度として入力し、線膨張係数を介して熱荷重に変換する。熱荷重は、入熱初期の昇温過程から入熱終了後に溶接部周辺の温度分布がほとんど変化しなくなる時間までを考慮した。
実機のIHSIの施工時は軸方向にはほとんど拘束がない状態となる。そこで解析においても剛体変形を防止するために配管の片端部のみ拘束して解析を実施した。
なお、HAZ部(溶接材と母材との境界部)に関しては溶接による加工硬化によって硬さが増加するが、解析においてはこの挙動を完全に再現することができないことから、図27中、ハッチングA、Bに示す領域を、別途実施した圧延材を用いた試験結果より得られた加工硬化材の物性値に置き換えた後、IHSI施工時の温度分布の計算で得られた熱荷重を付与して解析を実施した。
すなわち、溶接時の加熱により加工硬化した降伏点の上昇度合いを実際の継手断面で計測した硬さ分布より求め、溶接残留応力解析結果との差異の分だけ補正した解析を実施している。詳細については以下に説明する。
図28及び図29に圧延材の試験から得られた応力―ひずみ線図(真応力−塑性ひずみ曲線)を示す。
溶接部近傍の塑性ひずみ量修正方法について説明する。
溶接工程の後、IHSI施工により溶接部近傍の残留応力が緩和される挙動については、バネ拘束を導入した軸対称シェルモデルを用いたFEM解析の結果とモックアップによる実験結果が定性的によく一致することが明らかとなった。しかし溶接裏波部近傍(配管内面)の軸方向応力においては、定量的に完全な一致が得られていない。特に、解析ではIHSI後の残留応力がモックアップと比較して圧縮残留応力が高い傾向を示すことから、実機の残留応力を解析で評価する上では安全側とは逆の評価となる。
この部位は溶金及び近傍の溶融・凝固、及び熱変形を受けるため解析において完全に再現することが難しい加工硬化が生じていると考えられる。そこで解析とモックアップの加工硬化の度合いを比較するため、600A配管のモックアップ試験体を対象としてAs Weldの溶接部近傍の硬さ分布を計測した。
図30に実測の硬さ分布を示す。図30中のハッチングAで示される配管内面側の溶金近傍の硬さはHv260程度、また板厚中心の溶金近傍の硬さはHv220程度(ハッチングBの領域)であった。一般に硬さと引張強度とは比例関係にあることが知られており、0.2%耐力とも比例関係が予想される。そこで予ひずみ(圧延)を与えたSUSF316(LC)材の引張試験を実施し予ひずみによる硬さと0.2%耐力の関係を求めた。
図31及び図32に試験結果一覧および硬さと0.2%耐力の関係を示す。これらの図から硬さと0.2%耐力は比例関係にあることが明らかとなった。モックアップから計測された硬さと図32から溶金近傍の0.2%耐力は600MPa程度と推定される。この値と図31の表から図30のハッチングAの部分で15%程度、ハッチングBの部分で10%程度のひずみ履歴を受けたと推定される。
このような推定手法によりモックアップの硬さ分布から予ひずみ量を推定し、対応するFEMモデルの要素ごとに予ひずみ量をコンター図で示したものを図33及び図34に示す。図33に示すように、溶金部に近いほど予ひずみ量が大きく、また内面の方が予ひずみ量が大きいことが判る。また、図34に示すように、溶金でも中心部及び内面に近いほど予ひずみ量が多いことが判る。
一方、FEM解析で得られた相当塑性ひずみの分布を図35及び図36に示す。図33と図35の差分(配管母材部の予ひずみ量と相当塑性ひずみ量との差分)、図34と図36の差分(溶接材部の予ひずみ量と相当塑性ひずみ量との差分)を表示した結果を図37、図38にそれぞれ示す。なお、図33〜図38中、数値(%)は塑性ひずみを示す。
図示するように、概ねモックアップのほうが高い塑性ひずみが生じており、溶金とSUS母材との境界において5〜10%程度の塑性ひずみの差異がある。特に内面側の差異が大きい。この差がFEM解析で再現することのできない変形挙動であると考えられる。
この塑性ひずみの差を模式化した応力ひずみ関係で示したのが図39である。ここで、As Weldの応力−ひずみの状態はFEM解析結果では図39中のAにあると仮定する。これに対して、実測から推定した塑性ひずみ量と解析による塑性ひずみ量の差からモックアップではA’にあると予想される(応力は等しいが、塑性ひずみ量が異なる)。
次に溶接施工後にIHSIの熱サイクルを受けた場合の配管内面の応力−ひずみ挙動を図40に示す。解析においては加熱に伴いA→B→C、冷却によってC→Dのような経路をたどり、IHSI施工後は高い圧縮残留応力が導入される。しかし塑性ひずみがA’であった場合、IHSI施工により加熱過程はA’→B’→C’、冷却過程はC’→D’をたどる。すなわち、予ひずみの履歴が大きいA’の場合はB’において再降伏する応力がBと比べて高い値となるため、結果としてIHSIにより導入される圧縮残留応力は相対的に低い値となる。SUS材のように加工硬化が顕著な材料においては加工硬化に伴う降伏応力の増大が、IHSI後の残留応力分布に対して顕著に影響すると考えられる。
そこで、解析においてAの状態からIHSIによる熱サイクルによってD’時の応力を得るためには、IHSIの過程において図41のようなA→B”→C”→D”挙動をするような応力−ひずみ関係を用いることで模擬できると考えられる。つまりB”C”を通るような破線で示すような応力ひずみ関係を持つ材料物性値にIHSI解析直前に入れ替えることが必要となる。
破線で示す応力ひずみ関係を求めるため、図42に実験から得られた圧延材の真応力―塑性ひずみ曲線を示す。図42中、21で示された線は予ひずみを受けていない材料の真応力―塑性ひずみ曲線である。仮にモックアップのAs Weld時の塑性ひずみが20%であった場合、IHSI施工中は図42中の22のループをたどると考えられる。一方、FEMにおいて相当塑性ひずみが15%の領域においてモックアップと同様のループをたどるためには21の真応力―塑性ひずみ曲線を5%左にシフトした線上(図中の一点鎖線23)をたどる必要がある。この5%シフトした真応力―塑性ひずみ曲線23は5%圧延を受けた材料の真応力―塑性ひずみ曲線(図中の24の曲線)とほぼ等価である。またFEMにおいて相当塑性ひずみが10%の領域においても同様にモックアップと同じループをたどるためには21の真応力―塑性ひずみ曲線を10%左にシフトした線上(図中の破線25)をたどる必要がある。この線図25は10%圧延を受けた材料の真応力―塑性ひずみ曲線(図中の26の曲線)に近いことがわかる。
上記の検討からモックアップとFEM解析のIHSI後の応力を等価にするためには、As Weld後の塑性ひずみの差分だけ予ひずみを受けた材料の応力ひずみ曲線をFEM解析で用いることで再現できると考えられる。そこで600A配管を対象に軸対称シェルモデルを用いた試解析を実施し、材料入れ替えがIHSI後の残留応力分布に与える影響を検討した。図37,38の塑性ひずみ差分を単純化した図27に示すような領域においてそれぞれ5%および10%圧延を受けた材料の応力ひずみ挙動に溶接の解析終了後の計算で入れ替えを行った。
上述のFEM解析の結果を図43及び図44に示す。図43は材料入れ替えが軸方向残留応力分布に与える影響を示し、図44は材料入れ替えが周方向残留応力分布に与える影響を示す。図43中、太線27は材料入れ替えを行った解析結果の配管内面における軸方向応力分布を示している。図44中、太線27は材料入れ替えを行った解析結果の配管内面における周方向応力分布を示している。一方材料を入れ替えない解析結果を細線28で示す。これらの比較より材料の入れ替えによりFEM解析値とモックアップの応力分布とがほぼ一致した結果が得られていることがわかる。なお、太線29は材料入れ替えを行った解析結果の配管外面における軸方向応力分布(図43)及び周方向応力分布(図44)を示している。一方材料を入れ替えない解析結果を細線30で示す。また、31はMUの内面の各温度計測位置の応力を示し、32はMUの外面の各温度計測位置の応力を示す。
以上の結果からFEM解析において溶接工程終了後の硬さ分布を反映した材料の入れ替えをおこなうことで、IHSI後の軸方向応力をモックアップと等価に推定できることが判った。
ここで、解析結果と実験結果の比較を行う。
As Weldの状態でのモックアップ試験結果と解析結果とを比較する。
No.1モックアップ試験体(600A配管)の実験結果とそれを模擬したFEM解析結果を比較した結果を図45および図46に示す。図45は配管外表面および内表面における軸方向応力の応力分布を示し、図46は配管外表面および内表面における周方向応力の応力分布を示す。図45及び図46中、線33はFEM解析による配管内面の応力分布を示し、線34はFEM解析による配管外面の応力分布を示す。また、35はMUの内面の各温度計測位置の応力を示し、36はMUの外面の各温度計測位置の応力を示す。
図45および図46から、As Weldの状態における溶接部近傍(溶接中心より±50mm以内)の残留応力分布は、解析(FEM解析による配管内面の応力分布33及びFEM解析による配管外面の応力分布34)と実験(MUの内面の各温度計測位置の応力35及びMUの外面の各温度計測位置の応力36)とでよい一致(ほぼ同等の傾向)を示していることがわかる。また軸方向の最大応力は400MPa程度に達する結果が得られた。
IHSI施工後のモックアップ試験結果と解析結果の比較を行う。
No.2モックアップ試験体(600A配管)の実験結果とそれを模擬したFEM解析結果を比較した結果を図47および図48に示す。図47は配管外表面および内表面における軸方向応力の応力分布を示し、図48は配管外表面および内表面における周方向応力の応力分布を示す。図47及び図48中、線37はFEM解析による配管内面の応力分布を示し、線38はFEM解析による配管外面の応力分布を示す。また、39はMUの内面の各温度計測位置の応力を示し、40はMUの外面の各温度計測位置の応力を示す。
図47および図48から、IHSI後における溶接部近傍(溶接中心より±50mm以内)の残留応力分布は、解析(FEM解析による配管内面の応力分布37及びFEM解析による配管外面の応力分布38)と実験(MUの内面の各温度計測位置の応力39及びMUの外面の各温度計測位置の応力40)でよい一致(ほぼ同等の傾向)を示していることがわかる。材料の硬さ入れ替えを行った解析が、モックアップの結果によく一致することがわかる。
No.3モックアップ試験体(550A配管)の実験結果とそれを模擬したFEM解析結果を比較した結果を図49および図50に示す。図49は配管外表面および内表面における軸方向応力の応力分布を示し、図50は配管外表面および内表面における周方向応力の応力分布を示す。図49及び図50中、線43はFEM解析による配管内面の応力分布を示し、線44はFEM解析による配管外面の応力分布を示す。また、45はMUの内面の各温度計測位置の応力を示し、46はMUの外面の各温度計測位置の応力を示す。
傾向としてはNo.2モックアップ試験同様、硬さ入れ替えを行うことにより軸方向の応力分布がモックアップの実験結果によく一致することがわかる。
No.4モックアップ試験体(300A配管)の実験結果とそれを模擬したFEM解析結果を比較した結果を図51及び図52に示す。図51は配管外表面および内表面における軸方向応力の応力分布を示し、図52は配管外表面および内表面における周方向応力の応力分布を示す。図51及び図52中、線47はFEM解析による配管内面の応力分布を示し、線48はFEM解析による配管外面の応力分布を示す。また、49はMUの内面の各温度計測位置の応力を示し、50はMUの外面の各温度計測位置の応力を示す。
以上のように、軸対称シェルモデルにより厚肉配管の多層溶接およびIHSIを模擬した解析を行ったことにより、以下の結果を得た。
モックアップの多層の溶接パスを模擬した非定常温度解析を実施し、これを荷重条件とした熱弾塑性解析により溶接残留応力解析を実施した。その結果大口径管においては軸方向および径方向に適切なバネ拘束および溶金近傍の材料特性入れ替えを導入することによりモックアップ溶接部近傍の残留応力分布と良く一致することがわかった。一方、300A程度の中口径管においては大口径管と比べて入熱の範囲が大きくバネ拘束の影響が小さいことがわかった。
以上要するに、バネ拘束及び材料の硬さ入れ替えを行うことで、大径厚肉管の溶接継手部であっても、解析時間の短い軸対称シェルモデルで、実際の残留応力と同等の値を算出することができ、大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を短時間で正確に算出できる。
なお、本発明は、IHSIにおける溶接継手部の残留応力の解析を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、配管の溶接部全般に渡って残留応力を解析できるのは勿論である。
モックアップの構成を示した一覧表である。 モックアップを模擬した解析モデルの一例で口径600Aのモデルを示した全体断面図である。 モックアップを模擬した解析モデルの一例で口径600Aのモデルを示した要部拡大断面図である。 母材の応力−ひずみ特性を示したグラフである。 母材の応力−ひずみ特性を示したグラフである。 母材の応力−ひずみ特性を示したグラフである。 溶接パスを示した断面図である。 溶接層と溶接パスとの関係を示した表である。 溶接の入熱量の時間変化を示したグラフである。 モックアップの温度計測位置を示した断面図である。 モックアップの温度計測位置を示した断面図である。 600A配管の溶接時の温度フィッティング例を示したグラフである。 600A配管の溶接時の温度フィッティング例を示したグラフである。 600A配管の溶接時の温度フィッティング例を示したグラフである。 配管外面側温度の時刻暦温度フィッティングを示したグラフである。 配管軸方向の温度分布フィッティングを示したグラフである。 周溶接の挙動を示した斜視図である。 軸対称シェルモデルとその加熱範囲を示した図である。 局所加熱時の溶接部周辺領域の拘束状態を示した斜視図である。 (a)は3次元シェルモデルの局所加熱の加熱領域を示した図、(b)は3次元シェルモデルの全周加熱の加熱領域を示した図である。 軸対称シェルと3次元シェルモデルの径方向変位の比較を示したグラフである。 軸対称シェルと3次元シェルモデルの軸方向変位の比較を示したグラフである。 バネ拘束を入れたモデルでの軸対称シェルと3次元シェルモデルの径方向変位の比較を示したグラフである。 バネ拘束を入れたモデルでの軸対称シェルと3次元シェルモデルの軸方向変位の比較を示したグラフである。 軸対称シェルモデルによるバネ拘束の効果(軸方向応力分布)を示したグラフである。 軸対称シェルモデルによるバネ拘束の効果(周方向応力分布)を示したグラフである。 加工硬化を受けた領域を示した分布コンター図である。 5%加工硬化を受けた圧延材から得られた応力−ひずみ線図である。 10%加工硬化を受けた圧延材から得られた応力−ひずみ線図である。 600A配管の溶接部硬さ分布計測結果を示した図である。 引っ張り試験結果を示した表である。 SUS316Lの硬さと0.2%耐力の関係を示したグラフである。 SUS母材部の予ひずみ(塑性ひずみ)分布を示した分布コンター図である。 溶金部の予ひずみ(塑性ひずみ)分布を示した分布コンター図である。 SUS母材部の相当塑性ひずみ分布を示した分布コンター図である。 溶金部の相当塑性ひずみ分布を示した分布コンター図である。 SUS母材部における実測とFEM解析の塑性ひずみの差分を示した分布コンター図である。 溶金部における実測とFEM解析の塑性ひずみの差分を示した分布コンター図である。 As Weld状態での解析とモックアップの応力−ひずみ状態の比較を表した図である。 IHSI施工中の応力−ひずみ挙動の比較を示した図である。 IHSI後のモックアップとFEM解析の応力を等価にするために必要な応力−ひずみ曲線を示した図である。 圧延材の真応力−ひずみ挙動とIHSI施工中の真応力−ひずみ挙動を示したグラフである。 材料入れ替えが軸方向残留応力分布に与える影響を示したグラフである。 材料入れ替えが周方向残留応力分布に与える影響を示したグラフである。 モックアップNo.1(600A配管 As Weld)の軸方向応力分布を示したグラフである。 モックアップNo.1(600A配管 As Weld)の周方向応力分布を示したグラフである。 モックアップNo.2(600A配管 IHSI後)の軸方向応力分布を示したグラフである。 モックアップNo.2(600A配管 IHSI後)の周方向応力分布を示したグラフである。 モックアップNo.3(550A配管 IHSI後)の軸方向応力分布を示したグラフである。 モックアップNo.3(550A配管 IHSI後)の周方向応力分布を示したグラフである。 モックアップNo.4(300A配管 IHSI後)の軸方向応力分布を示したグラフである。 モックアップNo.4(300A配管 IHSI後)の周方向応力分布を示したグラフである。
符号の説明
1 配管母材部
2 溶接材部
62 大径厚肉管
63 溶接継手部
E 要素

Claims (5)

  1. 大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を、軸対称シェルモデルを用いて複数の要素に分割し、
    Figure 2006126076
    に基づいてFEM解析する解析方法において、
    上記軸対称シェルモデルの所定の要素に、通常の軸対称シェルモデルによるFEM解析で算出した径方向変位と実際に実験で求めた径方向変位との差分に応じた剛性を有する径方向バネ拘束を導入すると共に、上記軸対称シェルモデルの所定の要素に、通常の軸対称シェルモデルによるFEM解析で算出した軸方向変位と実際に実験で求めた軸方向変位との差分に応じた剛性を有する軸方向バネ拘束を導入してFEM解析を行うことを特徴とする溶接継手部の残留応力の解析方法。
  2. 上記径方向バネ拘束及び軸方向バネ拘束の導入位置と、上記径方向バネ拘束及び軸方向バネ拘束の剛性は、FEMによる試解析により軸対称シェルモデルと実際に実験で求めた変位挙動が一致する値を算出して設定した請求項1記載の溶接継手部の残留応力の解析方法。
  3. 上記軸対称シェルモデルによる径方向及び軸方向変位は、軸対称シェルモデルによる大径厚肉管の局所加熱時の解析によって算出され、上記実際に実験で求めた径方向及び軸方向変位は、3次元シェルモデルによる大径厚肉管の全周加熱時の解析によって算出される請求項1または2記載の溶接継手部の残留応力の解析方法。
  4. 上記大径厚肉管は、ステンレス鋼600A配管が用いられ、上記径方向バネ拘束は、上記溶接継手部の溶接中心から軸方向に±略30mmの位置に導入され、その剛性は2.581×1010(N/m)であり、上記軸方向バネは、上記溶接継手部の溶接中心から軸方向に±略100mmの位置に導入され、その剛性は11.621×1010(N/m)である請求項1から3いずれかに記載の溶接継手部の残留応力の解析方法。
  5. 大径厚肉管の溶接継手部の残留応力を、軸対称シェルモデルを用いて複数の要素に分割し、
    Figure 2006126076
    に基づいてFEM解析する解析方法において、
    予めモックアップを用いて上記溶接継手部の硬さ分布を計測しその硬さ分布より予ひずみ量分布を推定しておき、他方、軸対称シェルモデルを用いたFEM解析にて上記溶接継手部の相当塑性ひずみ量分布を解析し、上記予ひずみ量分布と上記相当塑性ひずみ量分布を比較してひずみ量の差分の分布を求め、そのひずみ量の差分が発生した部分の材料を上記差分に応じた加工硬化を受けた材料に置き換えてFEM解析を行うことを特徴とする溶接継手部の残留応力の解析方法。
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