JP2006124192A - レーザー光照射によるガラスの加工方法及びガラス基板の製造方法 - Google Patents

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佳則 赤松
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Abstract

【課題】大掛かりな装置を必要とせずに簡便な手段で、室温でレーザー光照射によるガラス端部の加工方法を提供とすることを課題とする。
【解決手段】レーザー光の照射による加熱でガラス端部の少なくとも角部を軟化させ、その後該軟化部を冷却することによって固化させるガラス端面部の加工方法において、レーザー光の照射により破断及び融解しない部材でガラスを挟持し、ガラス端部へのレーザー光の照射時に該部材にもレーザー光を照射することで、ガラスを予備加熱することなく室温でガラス端部の軟化及び固化を行うこと。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラスの端部へのレーザー光照射による当該部の加熱、軟化、及び固化を行うことでガラス端部の強度を向上させる技術に関する。
ガラスの強度は、端部の傷、クラック等の欠陥の存在状態に依存し、この欠陥の状態によっては、ガラスの強度は著しく低下する。かくして、ガラスの強度を向上させるために、ガラス端部の欠陥を減少させるべく、端部への加工が施されており、該加工方法として、研削砥石等による研磨加工が一般的に行われている。そして、端部の強度をより向上させる可能性のある方法として、レーザー光照射で端部を加熱、軟化、及び固化させる方法が、研磨屑の発生がないので、検討されている。
特許文献1では、ガラス基板の稜線部にレーザー光を吸収する物質を塗布し、ガラス端部にYAGレーザーのレーザー光を照射し、稜線部を加熱、軟化後、固化を行うことで端部をR形状に加工する技術が開示されている。又、特許文献2では、ガラス全体を予備加熱した状態で端部にCOレーザーのレーザー光を照射することで、端部を前記予備加熱温度よりも高温に加熱、そして軟化、固化を行うことで端部の面取りを行うことを開示している。さらには、特許文献3には、ガラス板を水平に保った状態で、ガラス端面部に対するCOレーザーからのレーザー光の照射角度を変化させることで、端部の丸みを帯びた形状が、種々変化することが開示されている。
そして、特許文献4では、レーザー照射で生じる局所加熱による極端な温度勾配発生に起因する熱割れを防ぐために、加工部位にガラスが加工(軟化)されない程度の強度のレーザー光を照射することでガラスの予備加熱を行い、その後加工部位をレーザー照射による局所加熱で加工する技術が開示されている。
特開平2−48423号公報 特開平2−241684号公報 特開2000−344551号公報 特開2000−288763号公報
レーザー光を照射してガラスを加工する場合、照射される部位が局所加熱されるので、極端な温度勾配が生じ、ガラスの熱割れが発生する大きな原因となる。そのために、特許文献2では、ガラス全体が加熱炉等の手段で予備加熱され、特許文献4では、レーザー光によってガラスが予備加熱されている。
しかしながら、ガラス全体を予備加熱するためには、装置全体が大掛かりなものとなる。そして、ガラスの徐冷工程も必要となることから、生産性を落とすか、さらなる設備増加の対応が必要となるので、大幅なコスト増につながる。又、レーザー光による予備加熱であっても、熱を保持するための保温手段が必要となり装置が大掛かりなものとなることや、加工工程が一つ増えることによる生産性の低下が問題となる。
従って、本発明では、上記点を考慮し、大掛かりな装置を必要とせずに簡便な手段で、室温でレーザー光照射によるガラス端部の加工方法を提供とすることを課題とする。
すなわち本発明のガラス端部の加工方法は、レーザー光の照射による加熱でガラス端部の少なくとも角部を軟化させ、その後該軟化部を冷却することによって固化させるガラス端面部の加工方法において、レーザー光の照射により破断及び融解しない挟持部材でガラスを挟持し、ガラス端部へのレーザー光の照射時に該部材にもレーザー光を照射することで、ガラスを予備加熱することなく室温でガラス端部の軟化及び固化を行ってガラスの強度を向上させることを特徴とする。
ガラスを上記のような部材で挟持することで、ガラス端部へのレーザー光照射時に該部材にもレーザー光を同時に照射できるようになる。結果、該部材も加熱されるので、それに伴いガラス端部の加工部位以外もガラスが軟化しない程度に加熱される。従って、レーザーによるガラス加工による局所加熱が生じにくくなり、ガラスの熱割れを抑制することに奏功する。
そして、ガラスが挟持される形状が断面視において、凸形状とする場合、ガラスによる突出部の長さを長くしすぎると、挟持部材の加熱によるガラスの局所加熱の抑制効果が少なくなる。
この制限されるべき突出部の長さは、ガラスの種類、厚み等に影響されるが、ディスプレー基板、窓材等に使用されるフロートガラス、PDP等のディスプレー用に好適に使用される高歪点ガラス(フロート法で製造されるものであるが、本発明では、前述のフロートガラスとは区別して扱う)、無アルカリガラス等のガラス基板で、その厚みが0.4mm乃至10mmの場合、ガラスの挟持部材からの突出部を垂直方向で20mm以内、好ましくは、10mm以内、より好ましくは5mm以内とすることで、ガラスの熱割れが抑制されるようになる。
そして、ガラスが挟持される形状が断面視において、凸形状とすると、ガラスの軟化及び固化時の挟持部材等からの影響を回避できる等の効果を奏するので好ましい。
加えて、照射されるビームを1つとし、該ビームの径をガラス厚みより大きいものとすれば、光学系を簡便なものとできるので好ましい。
レーザー光の照射により破断及び融解しない部材でガラスを挟持し、ガラス端部へのレーザー光の照射時に該部材にもレーザー光を照射することだけで、ガラスの熱割れが生じることなく、ガラスの端面加工を行うことが可能となる。従って、従来必要であった加熱炉等の予備加熱装置を省略化でき、端面加工により強度が向上されたガラス基板の製造の低コスト化に奏功する。そして、本発明のガラスの加工方法は、0.4mm〜2mm程度の薄い厚みガラスであっても、端部の強度を向上させることが可能なので、ディスプレー等のガラス基板の薄板化に寄与し、結果、ディスプレー等の商品の軽量化に奏功する。
本発明のガラス端部の加工方法は、レーザー光の照射による加熱でガラス端部の少なくとも角部を軟化させ、その後該軟化部を冷却することによって固化させるガラス端面部の加工方法において、レーザー光の照射により破断及び融解しない部材でガラスを挟持し、ガラス端部へのレーザー光の照射時に該部材にもレーザー光を照射することを特徴とする。
レーザー光の照射により破断及び融解しない部材には、煉瓦、セラミックス等の無機物部材を使用することができる。これら部材で、ガラスを挟持すると、ガラス表面が擦傷されやすくなるので、擦傷の発生を防止するためにガラスと部材との間への窒化ホウ素粉末等の離型剤の配置、又は、窒化ホウ素粉末等の離型剤がまぶせられたガラスクロス、セラミックスクロス等を配置することが好ましい。
又、上記無機物部材以外にも、加工に用いるレーザー光の波長に吸収がなく、且つレーザーの1/2波長、又は1/3波長に吸収を有するプラスチック部材も使用することができる。該部材は、レーザー光の2光子吸収、又は3光子吸収を利用して部材の加熱を行う。この2光子吸収、又は3光子吸収の加熱によって、部材が破断及び融解が生じないものであれば、ガラスの加工部位以外もガラスの加熱を行うができる。
そして、上記部材の厚みは、レーザー照射時にガラスの熱割れが生じない程度に加熱されるものであれば、特に制限されないが、例えば、加工されるガラスの厚みに対して、1.2倍〜10倍とすることが好ましい。
ガラスの加工を行うレーザーには、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等が使用され、ガラスの吸収波長である10.6μmの波長のビームを発する炭酸ガスレーザーを使用することが好ましい。そして、ビームの径は、ガラスに照射される時点で、ガラス厚みの1.2〜10倍とすることが好ましい。ビームを複数使用し、ガラス端面にビームを照射しつつ、他のビームで挟持部材を照射してもよいが、1つのビームでガラスと挟持部材とを同時に照射する方法が光学系を簡単なものとできるので好ましい。この場合、一つのビームで、ガラスにビームを照射すると同時にガラスを挟持する部材にもビームを照射するので、ビームの径はガラス厚みよりも、大きいものでなければならない。ビームの径の上限は、使用されるレーザー、光学系、ガラスを挟持する部材の熱伝導率に左右されるが、10倍以内とすることが好ましい。
そして、本発明のガラスの加工方法には、ディスプレー基板、窓材等に使用されるフロートガラス、PDP等のディスプレー用に好適に使用される高歪点ガラス、ディスプレー基板として使用される無アルカリガラス等のガラス基板が使用される。そして、適用されるガラスの厚みには、特に制限されないが、加工の効率、ビームの安定性を考慮すると、0.4〜5mmの厚みのガラスを使用することが好ましい。又、本発明のガラスの加工方法は、ガラスを部材で挟持された状態で扱うことができるので、0.4〜2mmの薄い厚みのガラスであっても、取扱が容易となる等の効果を奏する。
本発明のガラスの加工方法について図面を用いて説明する。図1はレーザー照射によるガラス加工時の状態を表す断面図である。ガラスGを、ガラスを挟持する部材1、すなわち、レーザー光の照射により破断及び融解しない挟持部材1で挟持する。挟持する際、部材1が無機質部材等の硬質の部材である場合、ガラスの擦傷を防ぐために、部材1とガラスGとの間に窒化ホウ素粉末等の離型剤をまぶすか、窒化ホウ素粉末等の離型剤がまぶせられたガラスクロス、セラミッククロス等を配置することが好ましい。
該挟持において、ガラス端面と挟持部材1の端面の位置を合せるか、断面視において、ガラスG及び部材1の端部の形成態様が凹状、凸状等の態様をとるようにできる。ガラスGと部材1の端面の位置を合せない場合、ガラスの角部と部材1との角部の距離が離れすぎると、部材1によるガラスGの予備加熱効果が発揮しにくくなるので、ガラスGの角部と部材1のガラス側角部の距離は、10mm以内に設定することが好ましい。
そして、レーザー光Bを固定した状態で、ガラスをスクロールさせるか、ガラスを固定した状態で、レーザー光Bをスキャンさせ、ガラス端面の加工を行っていく。
実施例1
2mmの厚みのフロートガラスを、表面に窒化ホウ素粉末を塗布した2枚の煉瓦部材(挟持部材)で、断面視においてガラスと煉瓦の端部の形成態様が凸状の態様をとるように挟持した。このときフロートガラスの角部と煉瓦部材のガラス側角部との距離(突出部)を2mmとした。このガラスの端面に対して垂直の方向からビーム径10mmφの炭酸ガスレーザー光(出力120W/平行光)を照射し、30mm/minの速度でスキャンさせてガラス端面部の軟化及び固化を行い、ガラス端面部の加工を行った。
レーザー照射中および照射後もガラスの熱割れは発生しなかった。次に、加工されたガラスの端面部の強度をJIS R 1601(1995年)に準拠する4点曲げ試験にて評価した。すなわち、支持点間隔30mm、負荷点間隔10mm、負荷速度0.5mm/minでガラスに荷重を負荷し、破壊したときの破壊応力を求めた。その結果、従来の端面研磨品、すなわち、切断したガラスの端面を例えば#200の研磨ホイールで湿式研磨したものに対して約1.8倍の端面強度が得られた。
比較例1
ビーム径を2mmφとし、挟持部材にレーザーを照射しなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果、レーザー照射中にガラスの割れが発生した。
レーザー照射によるガラス加工時の状態を表す断面図である。
符号の説明
G ガラス
B ガラス端面に照射されるレーザー光
1 ガラスを挟持する部材

Claims (3)

  1. レーザー光の照射による加熱でガラス端部の少なくとも角部を軟化させ、その後該軟化部を冷却することによって固化させるガラス端面部の加工方法において、レーザー光の照射により破断及び融解しない挟持部材でガラスを挟持し、ガラス端部へのレーザー光の照射時に該部材にもレーザー光を照射することで、ガラスを予備加熱することなく室温でガラス端部の軟化及び固化を行ってガラス強度の向上を行うことを特徴とするガラスの加工方法。
  2. 照射されるビームが1つであり、該ビームの径がガラス厚みより大きいことを特徴とする請求項1に記載のガラスの加工方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の加工工程を有するガラス基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013050165A1 (de) * 2011-10-07 2013-04-11 Schott Ag Glasfolie mit glatter und mikorrissfreier oberfläche der kante und deren herstellungsverfahren

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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