JP2006122044A - 薬効評価用動物、薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法及びその動物を用いた薬効評価方法 - Google Patents

薬効評価用動物、薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法及びその動物を用いた薬効評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鼻腔及び咽頭に炎症がなく、慢性閉塞性肺疾患のみを発症した薬効評価用動物、及び動物に該疾患を発症する方法を提供し、更にその動物に薬剤を投与して慢性閉塞性肺疾患に対する選択的な薬効を評価する方法を提供する。
【解決手段】水又は生理的食塩水にタバコ煙を溶解した水溶液を、人以外の動物の下気道へ直接投与することにより、慢性閉塞性肺疾患を発症させたことを特徴とする薬効評価用動物、及びその発症方法、更に前記動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価することを特徴とする薬効評価方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、鼻腔、及び咽頭には炎症がなく、慢性閉塞性肺疾患を発症した薬効評価用動物、その薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法及びかかる薬効評価用動物を用いた薬剤の薬効評価方法に関する。
従来、抗慢性閉塞性肺疾患物質の薬効評価方法としては、タバコ煙を慢性閉塞性肺疾患の発症要因として実験動物に吸引させ、実験的に慢性閉塞性肺疾患を発症した薬効評価用動物を作製し、薬剤の評価を行っていた(例えば、特許文献1参照)。かかる文献に開示される薬効評価動物は、6週齢マウスにKentucky Reference Cigarette lRlから発生する主流煙を、1〜4時間/日、5日/週ずつ計6ヶ月吸入させて作製しており、試験開始から薬物評価を行うまで長期間を要し、効率的な薬効評価を行えない欠点を有していた。
また、タバコ煙を吸入させる方法では、口腔、或いは鼻腔を経由することから、慢性閉塞性肺疾患部以外での炎症反応を併発させる可能性があり、選択的に患部の特定された薬効評価動物を発症させることが困難であった。
特開2004−105173号公報
本発明の課題は、例えば鼻腔及び咽頭に炎症がなく、慢性閉塞性肺疾患のみを発症した薬効評価用動物、及びかかる薬効評価用動物に慢性閉塞性肺疾患のみを発症する方法を提供し、同時にかかる薬効評価用動物に薬剤を投与して慢性閉塞性肺疾患に対する選択的な薬効を評価する方法を提供することにある。
本発明は、水又は生理的食塩水にタバコ煙を溶解した水溶液を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより慢性閉塞性肺疾患を発症せしめたことを特徴とする薬効評価用動物を提供する。
また本発明は、水又は生理的食塩水にタバコ煙を溶解した水溶液を人以外の動物の下気道へ直接投与することを特徴とする薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法を提供する。
さらに、本発明は、前記薬効評価用動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価する薬効評価方法を提供する。
本発明によれば、慢性閉塞性肺疾患のみを選択的に発症した薬効評価用動物を確実に提供することができ、医薬品の開発、特に抗慢性閉塞性肺疾患物質のスクリーニングに有用な評価方法を実行するための薬効評価用動物を迅速に提供することができる。
尚、本発明の効果について、より具体的に下記に示す。
(1)従来の実験動物モデルは慢性閉塞性肺疾患の症状が出現するまでに24週以上かかったが、本発明によれば4週間以内という短期間で作製できる。
(2)従来の実験動物モデルでは、タバコ煙を鼻腔を介して吸入させていたが、本発明では水又は生理的食塩水にタバコ煙を溶解した水溶液を作製し、それを下気道に直接投与することでタバコ煙に含まれる成分の水溶液中への濃度を変化させることが可能となった結果、病態の程度を調節することが可能となり、バラツキの少ない薬効評価用動物を作製することが可能となる。
(3)タバコ煙を吸入させる従来法では、口腔、或いは鼻腔を経由することから、慢性閉塞性肺疾患部以外での炎症反応を併発する。しかしながら、本発明では口腔、鼻腔を介することなく下気道に直接タバコ煙を溶解させた水溶液を投与することにより、選択的に患部を特定し慢性閉塞性肺疾患のみを発症させることが可能となる。
(4)これまで、モデル作製にはタバコ煙を発生させる装置、及び動物に煙を吸入せしめる曝露チャンバ等が必要であったが、そのような大掛かりな装置は必要とせず、安価に、しかも確実に薬効評価用動物を作製できる。
近年、欧米、日本において、喫煙が主原因と考えられる慢性閉塞性肺疾患による死亡者の増加が問題となっており、その有効な治療法、治療薬の開発は、医療上非常に重要な課題となっていることから、治療効果を有する薬剤の開発が望まれており、薬剤のスクリーニング試験のための薬効評価用動物が待たれていた。
本発明では、市場で望まれている慢性閉塞性肺疾患を発症した薬効評価用動物(以下、「慢性閉塞性肺疾患モデル動物」という)を確実に提供することができる。
ここで、本発明にいう慢性閉塞性肺疾患について以下に簡単に説明する。
慢性閉塞性肺疾患とは、慢性気管支炎および肺気腫を含む肺疾患である。慢性閉塞性肺疾患は、一部可逆性のものもあるが、一般的に進行性の非可逆的気道閉塞として特徴づけられ、多くの場合、気道過敏性を伴う。慢性気管支炎は、連続した2年間の各年において3カ月以上続く慢性湿性咳により特徴づけられる。また、肺気腫は、肺胞壁の破壊性変化を伴い、明らかな線維症のない、終末細気管支より遠位の気腔の異常な永続的腫大である。破壊は、呼吸性気腔の不規則な腫大として定義され、肺細葉とその成分の規則正しい外観が失われることもある。
上記の如く、慢性閉塞性肺疾患は非可逆性の気道閉塞を特徴とし、可逆性の気道閉塞性疾患である喘息とは異なる疾患概念をもつ。更には、気管支喘息に対する薬物療法としては、世界的な喘息治療法ガイドラインであるガイドライン フォー ザ ダイアグノーシス アンド マネージメント オブ アズマ(Guideline for the Diagnosis and Management of Asthma)(NHLBI,2002)において、吸入ステロイドが第一選択薬として推奨され、優れた有用性が確認されているが、慢性閉塞性肺疾患に対しては、同様のグローバルガイドラインであるグローバル イニシアティブ フォー クロニック オブストラクティブ ラング ディゼィーズ(Global initiative for chronic obstructive lung disease) (GOLD;NHLBI/WHO, 1998年)において、ステロイドの効果は限定的であり、その使用をあまり推奨していない。このように慢性閉塞性肺疾患と気管支喘息では薬物に対する反応性も異なる。
慢性閉塞性肺疾患のリスク因子は、喫煙および大気汚染による有害微粒子であり、これらの長期間暴露により末梢気道および肺胞において慢性的な炎症状態を持続することが発症原因と考えられている。即ち、前述のグローバルガイドラインであるグローバル イニシアティブ フォー クロニック オブストラクティブ ラング ディゼィーズ(Global initiative for chronic obstructive lung disease)(GOLD;NHLBI/WHO,1998年)では、慢性閉塞性肺疾患では肺における好中球性炎症がみられ、その原因・進展因子として重要なものは、プロテアーゼとプロテアーゼインヒビターの不均衡および酸化ストレスによる炎症であると明確に述べられている。
本発明では、従来の慢性閉塞性肺疾患モデル動物と相違する慢性閉塞性肺疾患のみを発症した慢性閉塞性肺疾患モデル動物を選択的に提供することにより薬剤の薬効を的確に、且つ経時的に評価することを可能にしている。
本発明の慢性閉塞性肺疾患モデル動物は、水又は生理的食塩水にタバコ煙を溶解した水溶液(以下、「タバコ煙液」という)を人以外の動物の下気道へ直接投与するか、タバコ煙液の投与とエンドトキシンを含有する水溶液(以下、エンドトキシンを含有する水溶液を、単に「エンドトキシン含水溶液」という)の投与を併用して人以外の動物の下気道へ直接投与するか、或いは水又は生理的食塩水にタバコ煙とエンドトキシンを溶解した水溶液(以下、「タバコ煙・エンドトキシン含水溶液」という)を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより作製される。なお、ここでいう「下気道」とは、気道の内、気管、気管支、細気管支、肺胞等と定義される。また、ここでいう「直接投与する」とは、タバコ煙液、エンドトキシン含水溶液、タバコ煙・エンドトキシン含水溶液を鼻腔に触れさせずに直接該下気道へ投与することをいう。
上記タバコ煙液は、例えば、図1の模式図に示す方法で作製される。即ち、タバコ1のフィルタ吸口部を導入管4の一端と接合し、その導入管4の他端を容器3内の水又は生理的食塩水2などの中に没する。一方、吸引ポンプ6と吸引管7を接合し、該水液面に触れないように、その容器3と吸引管7の他端を結合する。なお、吸引管7には、バルブ5が設けられている。タバコ1に点火した後、吸引ポンプ6を作動させ、適宜バルブ5を開閉しながらタバコ煙を水中にバブルさせることにより、タバコ煙液を作製する。
タバコ煙液及びタバコ煙・エンドトキシン含水溶液のタバコ煙の濃度は、適用する動物に慢性閉塞性肺疾患を発症するに足る濃度であれば差し支えなく、例えば、10mL当たりタバコ1本以上、好ましくは5本以上の煙を吸引させることによりもたらすことが出来る。また、該タバコ煙液の使用量は、適用する動物に慢性閉塞性肺疾患を発症するに足る量であれば差し支えなく、動物1匹当たり1回の投与において、好ましくは20μL以上、より好ましくは、50μL〜5mLの範囲を挙げることができる。上記水溶液には、水、生理的食塩水及び人以外の動物に対して有害な作用を及ぼすことのない水溶性有機溶媒を含有することができる。ここで、かかる有機溶媒としては、例えば、エタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が挙げられ、これらの含水溶液に含まれる割合としては、使用される動物により異なるが、例えば、目安として0.01〜10重量%程度の濃度が挙げられる。
次に、本発明に於いて使用するグラム陰性菌の産生するエンドトキシンについて説明する。
グラム陰性菌の産生するエンドトキシンを併用する目的は、慢性閉塞性肺疾患の発症の原因は、タバコが主要因と考えられているが、感染等による二次的な要因が症状を悪化せしめるといわれており、この二次的な要因を加えることにより、より実際の症状に近い疾患モデルを作製することにある。ここでいうグラム陰性菌の産生するエンドトキシンとは、グラム陰性菌の細胞壁から放出させる内毒素をいい、例えば、リポ多糖が挙げられる。かかるエンドトキシンは、溶液状で、例えば生理的食塩水に溶解して投与することが好ましい。
該グラム陰性菌の産生するエンドトキシンの濃度は、適用する動物に慢性閉塞性肺疾患を発症するに足る濃度であれば差し支えなく、例えば、水又は生理的食塩水又はタバコ煙液に対して、好ましくは10μg/mL以上、より好ましくは、50μg/mL〜2g/mLの範囲を挙げることができる。このグラム陰性菌の産生するエンドトキシンを含有しなくてもよいが、前記した理由により、水又は生理的食塩水又はタバコ煙液に該エンドトキシンを含有した方が好ましい。
タバコ煙液、エンドトキシン含水溶液及びタバコ煙・エンドトキシン含水溶液の投与量、投与回数等は、用いる実験動物の種類によって最適条件が異なるので、抗慢性閉塞性肺疾患作用を評価する前に、予備試験を行い、条件の設定を行うことが好ましい。
また、タバコ煙液、エンドトキシン含水溶液及びタバコ煙・エンドトキシン含水溶液の投与回数及び投与期間については、慢性閉塞性肺疾患の発症程度で決定することができる。発症程度は、ピーク呼気フロー(mL/sec)で評価し、コントロール群である生理的食塩水投与群に対して、10%以上減少となる回数と期間を設定する。尚、前記タバコ煙液の投与とエンドトキシン含水溶液の投与とを併用して行う場合、エンドトキシン含水溶液の投与は、タバコ煙液の投与と投与の間に行うことが好ましい。
グラム陰性菌の産生するエンドトキシンの投与を、前記水溶液投与に追加して行うことにより、短期間に、しかも確実に慢性閉塞性肺疾患を発症させることが可能となる。
こうして得られた慢性閉塞性肺疾患モデル動物では、選択的に目的とする慢性閉塞性肺疾患部位に炎症を発症させ得る特徴を有する。例えば、エバンスブルー溶液を、本発明の特徴とする下気道へ投与し、生体の着色部分を確認したところ、着色部位は、鼻部、鼻腔には認められず、口部、下気道に限定され、その割合はほぼ100%であった。
次いで、タバコ煙液、タバコ煙液及びエンドトキシン含水溶液又はタバコ煙・エンドトキシン含水溶液を人以外の動物の下気道へ直接投与する方法について説明する。
投与には、金属ゾンデを使用することができるが、これは一般に使用されるステンレス製ゾンデを用いることができ、実験に使用される動物の種類により、大きさ、形状等好ましい金属ゾンデを選択できる。通常、下気道への直接投与が確実に行えるようにチューブ先端の加工を行って使用するのが好ましい。加工の方法としては、例えば、ステンレスゾンデの先端を下気道に直接投与しやすいように湾曲させる方法がある。湾曲の程度・形状は使用される動物の種類、形状により異なるが、一般的に、湾曲させた先端に相当する部分と、ゾンデの付け根にあたる部分のなす角度が90〜150°になるように湾曲させることが好ましい。直接投与は、口腔より湾曲させたゾンデを挿入し、その先端を動物の咽頭の下気道上部にあてがい、動物の自発呼吸によって、ゾンデの他端より前記水溶液を直接下気道に投与させる。
本発明において使用される実験動物は、下気道を有し肺呼吸を行う動物を用いることができ、例えば、モルモット、マウス、ラット、ハムスター等のげっ歯目、ウサギ等の重歯目、ヤギ、ヒツジ、ブタ等の偶蹄目、ウマ、ロバ等の奇蹄目、イヌ、ネコ等の食肉目、サル、チンパンジー等の霊長目等の哺乳動物を挙げることができるが、通常の実験動物である、モルモット、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、サル、チンパンジー、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等が好ましく、形状等による実験操作上の有利性、及び実験動物の費用を考慮すると、モルモット、マウス、ラット、ハムスター等のげっ歯目動物が特に好ましい。
薬効評価方法としては、前記慢性閉塞性肺疾患モデル動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価する。作用効果に評価は呼吸機能の変化をもって行えばよい。本発明の慢性閉塞性肺疾患動物モデルにおける慢性閉塞性肺疾患の評価は、当該疾患の評価パラメータとして通常用いられる呼吸機能の変化の評価、すなわち特異的気道抵抗、ピーク呼気フロー、一回換気量、分時呼吸回数、分時換気量をもって行い、これらは公知の方法によって測定することができる。例えば、特異的気道抵抗は、ペノックら(Pennock BE, et al)著、ジャーナル オブ アプライド フィジオロジー(J. Appl. Physiol.)、1979年、第46巻、第2号、p.399−406に記載された方法(以下、「ペノックらの方法」という)に準拠して、フローセンサーを介して総合呼吸機能測定システム(例えばPULMOS−I;M.I.P.S等)により測定することができる。また、ピーク呼気フロー、一回換気量、分時呼吸回数、分時換気量の測定は、例えば、PULMOS−I;M.I.P.Sを用いて、測定することができる。
また、慢性閉塞性肺疾患では、炎症性細胞のうち、好中球が細胞膜に浸潤することが特徴となることから、好中球の細胞数を測定することにより、炎症の程度を確認することも可能である。
本発明の内容を更に具体的に説明するため、以下の実施例を示すが、もとより本実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
(実施例1)
<慢性閉塞性肺疾患モデル動物の作製>
実験動物がモルモットである場合の慢性閉塞性肺疾患モデル動物の作製及びそれを用いた薬剤の評価結果について示した。
1.タバコ煙液の調製
図1の模式図による装置によりタバコ煙液を調製した。
1)使用するタバコ本数:40本
2)生理的食塩水量:40mL
3)ポンプの吸気量と吸気時間:吸引ポンプ(吸気量:6.5mL/min.)を用いて、タバコ1本当たり、約5分間の吸引時間を目安としてタバコ煙を生理的食塩水に吸引を行い、目的とするタバコ煙液を調製した。
2.リポ多糖液の調製
グラム陰性菌の産生するエンドトキシンとしてリボ多糖を用いた溶液の調製を以下のとおり行った。すなわち、リポ多糖50mgを100mLの生理的食塩水に溶解し、500μg/mLのリポ多糖溶液を調製した。
3.疾患動物の発症
1.及び2.にて調製した、タバコ煙液及びリポ多糖液を用いて以下のように疾患動物を発症させた。
1)使用動物:ハートレイ(Hartley)系雄性モルモット6匹(4週齢で購入し、試験前1週間の予備飼育を行った)
2)投与形態及び投与期間:1日1回、4日間連続して、タバコ煙液200μL/動物/回を投与し、5日目にリポ多糖溶液500μL/動物/日を投与した。これを1サイクルとして、6日目、11日目に同様の操作を繰り返し、16〜19日目にタバコ煙液200μL/動物/回を投与した。
3)投与方法:直接投与は、口腔より湾曲させたゾンデを挿入し、その先端を動物の咽頭の下気道上部にあてがい、動物の自発呼吸によって、ゾンデの他端よりタバコ煙液およびリポ多糖液を直接下気道に投与させた。
4.疾患の評価
疾患モデルの評価は、3.で発症させた動物に対して、20日目に特異的気道抵抗、ピーク呼気フロー、一回換気量、分時呼吸回数、分時換気量を測定することにより行った。
表1にその結果を示した(匹数6の平均値)。
Figure 2006122044
本実施例により、発症させた動物には、特異的気道抵抗の増加、ピーク呼気フローの減少、1回換気量の減少、分時呼気回数の減少、分時換気量の減少がみられ、慢性閉塞性肺疾患が発症していることが確認された。
従って、実施例1の結果から、本発明によれば、口腔、鼻腔等他の部位に炎症を起こすことなく、短期間で、しかも強い反応の実験的慢性閉塞性肺疾患モデル動物を、曝露チャンバ等の大掛かりな装置を用いずに作製できることが明かとなった。
<肺臓器、及び肺組織の所見>
上記の発症させた動物の慢性閉塞性肺疾患について、かかるモルモットにおける肺臓器の写真及び肺組織の顕微鏡写真を提示した。
即ち、図2は生理食塩水のみを投与して発症していないモルモットの肺の外観図であり、図3は本実施例による発症したモルモットの肺の外観図である。本実施例の発症したモルモットは、慢性閉塞性肺疾患の特徴である肺の過膨張が確認された。
また、図4が生理食塩水のみを投与して発症していないモルモットの肺組織の顕微鏡写真で、図5が本実施例の発症したモルモットの肺組織の顕微鏡写真であるが、実施例の発症したモルモットは正常のモルモットに比べて慢性閉塞性肺疾患の特徴である肺胞壁の空洞化が確認された。
以上の肺臓器の写真、及び肺組織の顕微鏡写真により、慢性閉塞性肺疾患の症状が確認され、本例のモルモットが当該疾患を発症していることが明らかとなった。
<肺胞洗浄液における好中球数の測定>
慢性閉塞性肺疾患においては、炎症性細胞のうち、好中球が細胞粘膜に浸潤し、炎症を惹起することが知られている。そこで、好中球数を測定することにより、本発明の実験モデルで慢性閉塞性肺疾患反応が起こっていることを確認する目的で好中球数の測定を行った。
5.白血球の採取法
発症したモルモットを呼吸機能測定後に動物を放血致死させた後、肺動脈より血管を生理的食塩液で灌流し、挿管されている気管カニューレから生理食塩液(液量 5 mL×2/匹(animal))を注入して 肺胞洗浄(BAL)を行い、BAL液(BALF)を回収した。BALFを冷却遠心機により遠心(4℃、400×g、10分間)後、溶血処理を行い、再度、同条件で遠心し、得られたペレットを生理食塩液に懸濁した。
6.総白血球数の計測
5.にて得られた BALF 25μLに対してチュルク液 100μLを加えて染色し、ビルケルチュルク血球計算器(エルマ販売)を用いて総白血球数をカウントした。
7.細胞塗沫標本の作製法及び好中球の計測
6.の総白血球数を基に生理食塩液でBALFの白血球濃度を 3×10cell/mLに調整し、そこから 25μLを採取してスライドグラス上で細胞を沈降させ、Diff−Quick染色標本を作製し、好中球を鏡検下にカウントした。
結果(匹数6における平均値)を、表2に示した。
Figure 2006122044
本実施例では、タバコ煙液及びリポ多糖投与群で、無刺激群に比較して好中球数が増加し、慢性閉塞性肺疾患の症状が発症していることが明らかとなった。
(実施例2)既知薬テオフィリンの効果の確認
本発明の薬剤の評価方法としての有用性を明らかにする目的で、慢性閉塞性肺疾患の治療薬として既知であるテオフィリンを用いて、効果の確認を行った。
本実施例では、タバコ煙液の調製、リポ多糖の調製、疾患動物の発症、疾患の評価は実施例1と同様にして行った。尚、テオフィリンは、タバコ煙液投与、及びLPS溶液投与の1時間前に経口投与(10mg/kg)した。
表3にその結果を示した(匹数6の平均値)。
Figure 2006122044
本実施例により、本発明による評価方法において、テオフィリンに呼吸機能の改善効果が確認され、慢性閉塞性肺疾患の評価方法として有用であることが明らかとなった。
(実施例3)慢性閉塞製肺疾患モデル動物の作製
実施例1と同様にして、イヌ、ヒツジ、サルの実験動物を用いて、慢性閉塞性肺疾患モデル動物の作成を行った。発症の確認として好中球数を実施例1と同様の方法で測定した。
その結果(匹数6における平均値)を、表4に示した。
Figure 2006122044
本例より、各実験動物とも、タバコ煙液及びリポ多糖投与群において慢性閉塞性肺疾患の発症が明らかとなった。
本発明の慢性閉塞性肺疾患モデル動物は、医薬品の開発、特に抗慢性閉塞性肺疾患治療薬の開発における化合物のスクリーニングに利用することができるため、有用である。
本発明で使用されるタバコ煙液を作製する方法を示す模式図である。 実施例1に於いて比較対象とした生理食塩水のみを投与して発症していないモルモットの肺の外観図である。 実施例1に於ける発症したモルモットの肺の外観図である。 実施例1に於いて比較対象とした生理食塩水のみを投与して発症していないモルモットの肺の肺組織の顕微鏡写真である。 実施例1に於ける発症したモルモットの肺の肺組織の顕微鏡写真である。
符号の説明
1 タバコ
2 水又は生理食塩水
3 容器
4 導入管
5 バルブ
6 吸引ポンプ
7 吸引管

Claims (22)

  1. 水又は生理的食塩水にタバコ煙を溶解した水溶液を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより慢性閉塞性肺疾患を発症させたことを特徴とする薬効評価用動物。
  2. 上記水溶液がグラム陰性菌の産生するエンドトキシンを含有する請求項1に記載の薬効評価用動物。
  3. 前記グラム陰性菌の産生するエンドトキシンが、リポ多糖である請求項2に記載の薬効評価用動物。
  4. 前記水溶液が、水溶性有機溶媒を含有する請求項1に記載の薬効評価用動物。
  5. 前記動物が、げっ歯目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  6. 前記動物が、食肉目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  7. 前記動物が、重歯目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  8. 前記動物が、偶蹄目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  9. 前記動物が、霊長目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  10. 前記げっ歯目である動物が、モルモット、マウス、ラット、ハムスターである請求項5に記載の薬効評価用動物。
  11. 前記食肉目である動物が、イヌ、ネコである請求項6に記載の薬効評価用動物。
  12. 前記重歯目である動物が、ウサギである請求項7に記載の薬効評価用動物。
  13. 前記偶蹄目である動物が、ヤギ、ヒツジ、ブタである請求項8に記載の薬効評価用動物。
  14. 前記霊長目である動物が、サル、チンパンジーである請求項9に記載の薬効評価用動物。
  15. 水又は生理的食塩水にタバコ煙を溶解した水溶液を人以外の動物の下気道へ直接投与することを特徴とする薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法。
  16. 前記水溶液がグラム陰性菌の産生するエンドトキシンを含有する請求項15に記載の薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法。
  17. 前記グラム陰性菌の産生するエンドトキシンが、リポ多糖である請求項16に記載の薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法。
  18. 前記水溶液が、水溶性有機溶媒を含有する請求項15に記載の薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法。
  19. 前記直接投与が、口腔より湾曲させたゾンデを挿入し、その先端を動物の咽頭の下気道上部にあてがい、動物の自発呼吸によって、ゾンデの他端より前記水溶液を直接下気道に投与する方法である請求項15に記載の薬効評価用動物の慢性閉塞性肺疾患発症方法。
  20. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬効評価用動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価することを特徴とする薬効評価方法。
  21. 前記作用効果が、呼吸機能の変化である請求項20に記載の薬効評価方法。
  22. 前記呼吸機能の変化が、特異的気道抵抗、ピーク呼気フロー、一回換気量、分時呼吸回数、分時換気量である請求項21に記載の薬効評価方法。
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