JP2006101872A - 薬効評価用動物、薬効評価用動物の喘息発症方法及びその動物を用いた薬効評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば鼻腔及び咽頭に炎症がなく、喘息のみを発症した薬効評価用動物及びかかる薬効評価用動物に喘息のみを発症する方法、同時にかかる薬効評価用動物に薬剤を投与して喘息に対する選択的な薬効を評価する方法を提供する。
【解決手段】感作物質を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより感作を行った後、惹起物質を該下気道へ直接投与することにより喘息を発症させた薬効評価用動物。感作物質を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより感作を行った後、惹起物質を該下気道へ直接投与する薬効評価用動物の喘息発症方法。前記の薬効評価用動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価する薬効評価方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、鼻腔及び咽頭に炎症がなく、喘息を発症した薬効評価用動物、その薬効評価用動物の喘息発症方法及びかかる薬効評価用動物を用いた薬剤の薬効評価方法に関する。
従来、抗喘息物質の薬効評価方法としては、以下の方法により、実験的に喘息を惹起した薬効評価用動物を作製し、薬剤の薬効評価を行っていた。
(1)感作液又は惹起液をネブライザー等によりミスト化してから、鼻腔を経由して吸入させることにより、感作及び惹起を行って作製した喘息を惹起した薬効評価用動物を用いて評価を行う方法(例えば、非特許文献1参照)。
(2)注射液とした感作液又は惹起液を、腹腔内或いは静脈内へ投与することにより感作及び惹起を行って作製した喘息を惹起した薬効評価用動物を用いて評価を行う方法(例えば、非特許文献2参照)
従来、上記(1)のミスト化してから吸入させる方法が一般的に行われてきたが、本法では鼻腔を経由して投与することから、喘息以外での炎症反応を併発することが知られていた(例えば、非特許文献3参照)。かかる文献によれば、着色剤であるエバンスブルー溶液を種々のネブライザーを用いてモルモットに投与し、生体部位の着色量により、ミスト化されたエバンスブルー溶液の到達部位とその割合についての検討結果が開示されている。それによれば、ネブライザーとして、ガラス製加圧ネブライザー、デビルビスネブライザー、及び超音波ネブライザーを用いて、鼻腔及び咽頭、又は肺に到達した割合を算出した結果、鼻腔及び咽頭:肺への到達の比率が、各々、21:79、49:51、79:21であったとの報告がある。これは、溶液或いは懸濁液をミスト化して鼻腔や咽頭経由で投与した場合、発生させる条件により、炎症の部位や強度が一定にならず、安定した薬効評価用喘息モデル動物の作製は困難であることを示している。
又、従来のミスト化してから吸入させる方法では、一般的にかかる喘息モデル動物の作製のための感作及び惹起に長期間を必要とし、該喘息モデル動物の効率的な作製が出来ず、薬効評価試験が迅速に行えない状況であった。
上記(2)の方法では、感作及び惹起は全身に及ぶ事から選択的な部位における薬効評価用喘息モデル動物を作製できない欠点を有していた。
このように、薬剤の薬効評価用動物では、評価の対象とする喘息を発症した動物が、安定的に、選択的に、且つ効率的に作製されることが必要であるが、従来の方法では不十分であった。
ケー.イケガミら(K. Ikegami et al)著、ヨーロピアン ジャーナル オブ ファーマコロジー(Europian Journal of Pharmacology.)、1997年、第328巻、p.75−81
エイチ.オー.ヘウアーら(H.O.Heuer et al)著、ジャーナル オブ リピド メディエーターズ アンド セル シガナリング(J. Lipid Mediators Cell Signalling)、1996年、第15巻、p.17−28
ティー、ナベら(T. Nabe et al)著、 アレルゴロジー インターナショナル(Allergology International)、1997年、第46巻、p.261−267
本発明の課題は、例えば鼻腔及び咽頭に炎症がなく、喘息のみを発症した薬効評価用動物及びかかる薬効評価用動物に喘息のみを発症する方法を提供し、同時にかかる薬効評価用動物に薬剤を投与して喘息に対する選択的な薬効を評価する方法を提供することにある。
本発明は、感作物質を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより感作を行った後、惹起物質を該下気道へ直接投与することにより喘息を発症させたことを特徴とする薬効評価用動物を提供する。
また、本発明は感作物質を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより感作を行った後、惹起物質を該下気道へ直接投与する薬効評価用動物の喘息発症方法を提供する。
また、本発明は前記の薬効評価用動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価する薬効評価方法を提供する。
本発明によれば、喘息のみを選択的に発症した薬効評価用動物を確実に作製することができ、医薬品の開発、特に抗喘息物質のスクリーニングに有用な評価方法を実行するための薬効評価用動物を迅速に提供することができる。
尚、本発明の効果について、より具体的に下記に示す。
(1)ミスト化により鼻腔を経由して吸入する従来法と比較して、本発明ではミスト化に限定されないこと及び直接下気道に投与できることから、高濃度の感作物質、惹起物質を調製することが可能となり、それにより高濃度の感作物質、惹起物質を直接下気道に投与して短期間で喘息発症動物の作製が可能となる。
(2)注射液による感作液又は惹起液を、腹腔内或いは静脈内へ投与することにより感作及び惹起を行って作製した薬効評価用動物では、炎症反応が全身に及び、選択的な疾患部位における喘息を発症した薬効評価用動物の作製が不可能であるが、本発明では、喘息を選択的に発症した薬効評価用動物の作製ができ、正確に喘息に対する効果を確認することが可能となる。
(3)従来の薬効評価用動物では、感作後の抗原連続投与により、抗原惹起を反復しないと、即時型と遅発型を含んだ二相性喘息を発症した薬効評価用動物を作製できなかったが、本発明では、惹起1回目で二相性喘息を発症するため、短期間で薬効評価に供することができる薬効評価用動物の作製が可能となる。
(4)ミスト化により吸入する従来法では、鼻腔を介して抗原が吸入されるため、喘息反応だけでなく鼻閉反応を併発する。例えば、実験的動物として広く用いられているモルモットを使用した場合、鼻腔のみを介して呼吸をしているため、卵白アルブミンをミストにて吸入させる従来の方法では、感作物質、及び惹起物質が鼻でトラップされて喘息反応だけでなく鼻閉反応を併発する。本発明では、鼻腔を介すことなく下気道に直接感作物質及び惹起物質を投与することにより、下気道のみの反応を捉えることから、疾患部位に限定した感作および惹起が可能となる。
(5)本発明によらず、ミストを用いて選択的に肺に炎症を起こそうとする場合、喉を切開して投与する必要があり、実験動物を覚醒下で評価することが不可能であったが、本発明による方法では、動物を覚醒下で薬効評価を行うことが可能となる。
(6)下気道へ投与することによって、ミスト化してから吸入させる従来法では不可欠であったドラフトなどの装置が不要となった。また、吸入による従来法より使用する試薬量が少なくてすみ安価に薬効評価用動物が作製できる。
以下に、本発明をより詳細に説明する。
はじめに、本発明で使用する水分散性ポリイソシアネート(A)について説明する。
近年、食物、ストレス、汚染物質等の様々な要因によりアレルギー疾患罹患者は増大の傾向にあり、特に喘息を代表とする呼吸器系アレルギー疾患は重篤な結果を引き起こす可能性があることから、その有効な治療法や治療薬の開発は、医療上特に重要な課題となっている。とりわけ、喘息では、即時型と遅発型を含む二相性喘息において、遅発型に対する治療効果を有する薬剤の開発が望まれており、確実に遅発型を発症する薬効評価用動物が待たれていた。
本発明では、喘息を発症した薬効評価用動物(以下、喘息モデル動物という)が遅発型を発症したものであり、市場で望まれている喘息モデル動物を確実に提供することができる。
本発明の喘息モデル動物は、ミスト、溶液又は懸濁液である感作物質を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより感作を行った後、ミスト、溶液又は懸濁液である惹起物質を該下気道へ直接投与することにより喘息を発症したものである。ここでいう下気道とは、気道の内、気管、気管支、細気管支、肺胞等と定義される。また、ここでいう直接投与とは、感作及び惹起物質が鼻腔と触れることなく、直接下気道に投与されることをいう。
かかる喘息モデル動物は、ミスト、溶液又は懸濁液である感作物質、即ち感作液中の抗原で能動感作した後、ミスト、溶液又は懸濁液である惹起物質で抗原誘発を行うことにより喘息を発症する。該感作物質に用いられる抗原としては、例えば、卵白アルブミン、DNP−アスカリス、DNP−ウシ血清アルブミン等が挙げられるが、卵白アルブミンが好ましい。抗原は、単独で感作液として用いることもできるが、感作を強める目的で、アジュバントを併用した感作物質で用いることもできる。用いられるアジュバントとしては、水酸化アルミニウムが好適である。感作物質は、通常公知の方法にてミスト化を行うか、一般に用いられる生理食塩水を希釈液として含有した溶液又は懸濁液で用いてもよい。
本発明の薬効評価用動物の発症には、ミスト、溶液又は懸濁液である感作物質、及び惹起物質を下気道に直接投与することにより可能となるが、溶液又は懸濁液の場合の方が、高濃度に調整することにより、強い反応を短期間に引き起こすことができること、また、投与する溶液又は懸濁液の量及び濃度を容易に、且つ正確に設定することが可能であることから、ミストよりも好ましい。さらに、感作物質である水酸化アルミニウムをミスト化することは一般的に困難なため、水酸化アルミニウムに特殊な処理を施す必要がある。その結果、処理法及びその程度により、ミスト化の状態にバラツキが生じ易く、投与量を一定にして薬効評価用動物を安定的に作製する為には精度の高い調製が必要となる。このような理由からも、感作物質、及び惹起物質の投与には、溶液又は懸濁液であるとより簡便に行えるため好ましい。
上記感作液中の抗原及びアジュバントの濃度範囲は、適用する動物に喘息を発症するに足る量であれば差し支えなく、好ましくは動物1匹当たり1回の投与において、0.01mg/mL以上、より好ましくは、0.01〜500mg/mLの範囲を挙げることができる。その際の投与量の範囲は、動物1匹の重量当たり1回の投与において、20μL/kg以上、好ましくは20μL/kg〜5mL/kgの範囲を挙げることができる。
次に、先に感作を行った実験動物に対して、惹起物質の投与により抗原惹起を行う。かかる惹起物質は、抗原を含有して用いることができる。惹起を行うために使用される抗原としては、例えば、卵白アルブミン、DNP−アスカリス、DNP−ウシ血清アルブミン等が挙げられるが、卵白アルブミンが好ましい。惹起物質は、感作物質と同様に、通常公知の方法にてミスト化を行うか、一般に用いられる生理食塩水を希釈液として含有した溶液又は懸濁液で用いてもよい。かかる抗原の濃度範囲は、動物1匹当たり1回の投与において、好ましくは0.01mg/mL以上、より好ましくは、0.01〜500mg/mLの範囲を挙げることができる。その際の投与量の範囲は、動物1匹の重量当たり1回の投与において、好ましくは20μL/kg以上、より好ましくは20μL〜5mL/kgの範囲を挙げることができる。試験に使用されるこれらの感作液及び惹起液の濃度は、薬効を評価する前に、喘息モデル動物が確実に作製されたことを確認する予備試験を行い、設定することが好ましい。
感作及び惹起の回数やその期間は、特異的気道抵抗(specific airway resistance; sRaw)の程度を判断して設定することができる。特異的気道抵抗は、例えば、ペノックら(Pennock BE, et al)著、ジャーナル オブ アプライド フィジオロジー(J. Appl. Physiol.)、1979年、第46巻、第2号、p.399−406に記載された方法(以下、「ペノックらの方法」という)に準拠して、フローセンサーを介して総合呼吸機能測定システム(例えばPULMOS−I;M.I.P.S等)により測定することができる。
本発明の喘息モデル動物の喘息発症程度は、特異的気道抵抗の増加率(%)で評価し、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上の段階で評価が可能となる。従って、感作及び惹起の操作は、特異的気道抵抗が5%以上となる回数と期間を設定する。また、感作と惹起の実施期間の間隔は、設けても、設けなくてもどちらでもよい。
こうして得られた喘息モデル動物では、選択的に目的とする喘息疾患部位に炎症を発症させ得る特徴を有する。例えば、エバンスブルー溶液を、本発明の方法により直接下気道へ投与し、生体の着色部分を確認したところ、着色部位が肺に限定され、その割合は、ほぼ100%であった。
次に、下気道への投与法について、以下に説明する。
まず、感作物質及び惹起物質が溶液又は懸濁液である場合、例えば、金属ゾンデを用いて投与を行う。
使用される金属ゾンデは、一般に使用されるステンレス製ゾンデを用いることができ、実験に使用される動物の種類により、大きさ、形状等好ましい金属ゾンデを選択できるが、下気道への投与が確実に行えるようにゾンデ先端の加工を行って使用するのが好ましい。加工の方法としては、例えば、ステンレスゾンデの先端を下気道に投与しやすいように湾曲させる方法がある。湾曲の程度・形状は使用される動物の種類、形状により異なるが、一般的に、湾曲させた先端に相当する部分と、ゾンデの付け根にあたる部分のなす角度が90〜150°になるように湾曲させることが好ましい。直接投与は、湾曲させたゾンデを口腔より挿入し、その先端を咽頭の下気道上部にあてがい、動物の自発呼吸に合わせて、ゾンデのもう一方の他端から感作物質、及び惹起物質を投与する。
また、感作物質及び惹起物質がミストの場合、例えば、金属ゾンデを介して投与を行う。口腔よりゾンデの先端を咽頭の下気道上部にあてがった後、これを介して自発呼吸的下にミストを吸入させる。ミスト化は、例えばネブライザーを用いて、通常公知の方法にて作製することができる。即ち、感作物質又は惹起物質の溶液又は懸濁液をネブライザーに送液し、ミスト化を行う。溶液又は懸濁液の濃度範囲は、適用する動物に喘息を発症するに足る量であれば差し支えなく、好ましくは動物1匹当たり1回の投与において、0.01mg/mL以上、より好ましくは、0.01〜500mg/mLの範囲を挙げることができる。その際の好ましい吸入時間は、10秒〜3時間を挙げることができる。
本発明における薬効評価に使用される喘息モデル動物は、下気道を有し肺呼吸を行う人以外の動物を用いることができ、例えば、ラット、マウス、モルモット、ハムスター等のげっ歯目、ウサギ等の重歯目、ヤギ、ヒツジ、ブタ等の偶蹄目、ウマ、ロバ等の奇蹄目、イヌ、ネコ等の食肉目、サル、チンパンジー等の霊長目等の哺乳動物を挙げることができるが、通常の実験動物である、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、ウサギ、サル、チンパンジー、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等が好ましく、形状等による実験操作上の有利性及び実験動物の費用を考慮すると、モルモット、ラット、マウス、ハムスター等のげっ歯目動物が特に好ましい。これらの動物は、感作、惹起反応の後に、適当な休薬期間を経て、繰り返し使用することができる。
薬効評価方法としては、前記喘息モデル動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価する。作用効果の評価は呼吸機能の変化をもって行えばよい。すなわち、本発明の喘息モデル動物における気道過敏性の評価は、肺抵抗(lung resistance; RLung)を指標とし、例えばレ ギルスら(Giles RE et al)著、アーカイブス インターナショナルズ デ ファルマコダイナミー(Arch. Int.Pharmacodyn.)、1976年、第194巻、p.213−222に記載された方法(以下、「ギルスらの方法」という)に準拠して測定することができる。
本発明の内容を更に具体的に説明するため、以下の実施例を示すが、もとより本実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
(実施例1)
感作液の濃度、及び惹起液の濃度は、使用する動物によって異なるので、試験前の予備検討により設定を行うことが好ましく、以下に、モルモットにおける感作液 卵白アルブミン1mg/水酸化アルミニウム 10 mg/mL溶液の場合の抗原惹起濃度の検討結果を示した。
1.感作液(1−1)の調製方法
1) 水酸化アルミニウム溶液の調製
水酸化アルミニウムを秤量し、15 mg/mLとなるように生理食塩液で調製した。水酸化アルミニウム溶液調製後、粒子を細かくするため 4〜5時間超音波処理した。
2) 卵白アルブミン溶液の調製
卵白アルブミンを秤量し、3 mg/mLの濃度となるように生理食塩液で調製する。
3) 卵白アルブミン溶液 3 mg/mLと水酸化アルミニウム溶液 15 mg/mLを 1:2で混合して 感作液(1−1)を得た。
2.惹起液(2−1)(卵白アルブミン溶液)の調製方法
卵白アルブミンを秤量し、2、10、20 mg/mLの濃度となるように生理食塩液で調製し、惹起液(2−1)を得た。
3.ピリラミン(Pyrilamine)溶液(3−1)の調製方法
ピリラミンを秤量し、5 mg/mLの濃度となるように生理食塩液で調製してピリラミン溶液(3−1)を得た。
4.使用動物
動物を入手し、7日間以上検疫馴化した後、健常な動物を用いた。
5.投与法
投与は、湾曲させたゾンデを口腔より挿入し、その先端を咽頭の下気道上部にあてがい、動物の自発呼吸に合わせて、ゾンデのもう一方の他端から感作物質、及び惹起物質を投与した。
6.感作及び惹起
1) 感作
感作液(1−1)を 1日 1回 7日間、連続で下気道に直接投与することにより感作を行った。なお、無刺激群については非感作とした。
2) 惹起
感作終了 12日後、惹起 30分前に アナフィラキシーショックによる致死を防ぐため、ピリラミン溶液(3−1)を5 mg/mL/kg、i.p.の割合で投与し、惹起液(2−1)を下気道へ直接投与することにより惹起を行った。なお、無刺激群については同様に ピリラミン溶液(3−1)を5 mg/mL/kg、i.p.の割合で投与し、生理食塩液を下気道へ投与した。
7.二相性喘息反応(即時型喘息反応;IAR及び遅発型喘息反応;LAR)の測定
二相性喘息反応は特異的気道抵抗(specific airway resistance)(以下、「sRaw」という)を指標とし、惹起前(pre)、惹起後 5分、5時間目にペノックらの方法に準拠して、フローセンサー(Validyne DP45(Na側及び Th側))を介して総合呼吸機能測定システム(PULMOS−I;M.I.P.S)により測定した。採用した sRawは、各測定開始後の安定している値 100呼吸分とし、その sRawの平均値を算出した。なお、測定中の動物の暴れ等による sRawの異常値は計算には採用しなかった。sRawの増加率は以下の式で算出した。
sRawの増加率(%)=([惹起後のsRaw]−[惹起前のsRaw])/[惹起前のsRaw]×100
その結果を表−1に示した。
本実施例では、感作に7日間を要し、感作終了12日後に惹起を行ったので、惹起までの日数を19日とした。
Figure 2006101872
本発明の薬効評価用動物であるモルモットを用いた場合、本実施例における2〜20mg/kgの範囲で二相性喘息モデルが成立しており、薬効評価が可能と判断される。また、10 mg/mLで鼻腔等の炎症なしに、強い反応が発現しており、好ましい濃度であった。
従って、(実施例1)の結果から、本発明によれば、短時間で、かつ、ドラフトを必要とせず、しかも惹起1回で強い反応の実験的喘息モデルを作製できることが明らかとなった。
(実施例2) モルモットにおける二相性喘息反応に対する抗喘息物質の効果
既知の抗喘息物質を用いて、その効果を確認することで、本発明による喘息モデルの成立を明らかにするため、本実施例を行った。抗喘息物質として、遅発型喘息に有効性を発現することが知られているデキサメタゾンを用いた。
1.デキサメタゾン溶液の調製
デキサメタゾンを必要量秤量してメノウ乳鉢に入れ、乳棒で粉砕した後に、0.5%メチルセルロース水溶液を徐々に加えて懸濁し、デキサメタゾン 2 mg/mL(10 mg/kg投与液)を調製し、デキサメタゾン溶液を得た。
2.感作液(1−2) 卵白アルブミン1mg/水酸化アルミニウム 10 mg/mL溶液の調製方法
実施例1)と同様にして調製した。
3.惹起液(2−2) 卵白アルブミン 10 mg/mL溶液の調製方法
実施例1と同様にして調製した。
4.ピリラミン(Pyrilamine)溶液(3−2)の調製方法
実施例1と同様にして調製した。
5.使用動物
実施例1と同様のものを用いた。
6.投与法
実施例1と同様にして行った。
7.投与条件
デキサメタゾン溶液を 抗原惹起16時間前ならびに2時間前の2回投与した(10mg/kg×2回)。
なお、無刺激群は、非感作で、惹起時に生理的食塩水を投与した群、媒体コントロール群は、感作後、媒体(0.5%メチルセルロース水溶液)を惹起1時間前に投与し、デキサメタゾン非投与とした群である。
8.感作及び惹起
実施例1と同様にして行った。
9.二相性喘息反応(即時型喘息反応;IAR及び遅発型喘息反応;LAR)の測定
実施例1と同様にして行い、デキサメタゾン投与群における反応抑制率(%)を以下の式で算出した。sRawの増加率は以下の式で算出した。
sRawの増加率(%)=([惹起後のsRaw]−[惹起前のsRaw])/[惹起前のsRaw]×100
また、反応抑制率は、以下の式で算出した。
反応抑制率(%)=([媒体コントロール群のsRaw増加率(%)]−[デキサメタゾン投与群のsRaw増加率(%)])/[媒体コントロール群のsRaw増加率(%)]×100
その結果(匹数8における平均値)を表−2に示した。
Figure 2006101872
この結果より、デキサメタゾンに遅発型反応に対する抑制効果が確認され、二相性喘息反応モデルの成立が明らかとなった。
(実施例3) ヒスタミンに対する気道過敏性の測定
実施例2を行った後、引き続き以下の実験を行った。すなわち、気道過敏性は肺抵抗(lung resistance)(以下、「RLung」という)を指標とし、惹起の翌日、ギルスらの方法に準拠して測定した。
1.ヒスタミン溶液の調製方法
ヒスタミンを秤量し、800μg/mLの濃度となるように生理食塩液で調製し分注後、使用時まで試薬冷凍保管庫(設定温度:−20℃)にて保存した。
気道過敏性の測定日毎に分注液を解凍して、50、100、200μg/mLの濃度となるように生理食塩液で希釈調製してヒスタミン溶液を得た。
2.投与法
実施例1と同様にして行った。
3.投与条件
デキサメタゾン溶液を抗原惹起16時間前ならびに2時間前の2回投与した(10mg/kg×2回)。
なお、「無刺激群」は、非感作で、惹起時に生理的食塩水を投与した群、「媒体コントロール群」は、感作後、媒体(0.5%メチルセルロース水溶液)を惹起1時間前に投与し、デキサメタゾン非投与とした群である。
3.感作及び惹起
実施例1と同様にして行った。
4.測定方法
ネンブタール(50 mg/kg、i.p.)で麻酔し、食道、下気道及び頸静脈 (ヒスタミン溶液投与用)にカニュレーションを行い、気管カニューレを人工呼吸器(換気量 6 mL/kg、換気回数 60回/分、SN−480−7)に接続し、フローセンサー(Validyne DP45(流速用及び圧力用))を介して総合呼吸機能測定システム(PULMOS−II;M.I.P.S) により、生理食塩液及び ヒスタミン溶液を5、10、20 μg/0.1 mL/kg、i.v.の割合で投与した後の RLungを測定した。デキサメタゾンは、(実施例2)で調製したものを用いた。
ヒスタミン溶液投与前の RLungは測定開始後 20呼吸から 3呼吸分、生理食塩液投与の RLungは、生理食塩液投与後 5呼吸から 3呼吸分、ヒスタミン溶液投与による RLungは、ヒスタミン溶液投与後 20呼吸以内の最大 RLungとその前後の計 3呼吸分の平均値とした。なお、測定中の動物の胎動等による RLungの異常値はこれらの計算には採用しなかった。RLungの増加率は以下の式で算出した。
RLungの増加率(%)=([ヒスタミン溶液投与後のRLung]−[ヒスタミン溶液投与前のRLung])/[ヒスタミン溶液投与前のRLung]×100
デキサメタゾン溶液投与群における反応抑制率(%)を以下の式で算出した。
反応抑制率(%)=([媒体コントロール群のRLung]−[デキサメタゾン投与群のRLung])/[媒体コントロール群のRLung]×100
その結果(匹数8における平均値)を、表−3に示した。
Figure 2006101872
本実施例により、気道過敏性反応に対する実験的動物モデルが成立していることが明らかとなった。
(実施例4) 肺胞洗浄液における好酸球数の測定
喘息においては、炎症性細胞のうち、好酸球が気道粘膜に浸潤し、気道炎症を惹起することが知られている。そこで、好酸球数を測定することにより、本発明の実験モデルで喘息反応が起こっていることを確認する目的で、本実施例を行った。
1.白血球の採取法
気道過敏性測定後に動物を放血致死させた後、肺動脈より血管を生理的食塩液で灌流し、挿管されている気管カニューレから生理食塩液(液量 5 mL×2/匹(animal))を注入して肺胞洗浄(以下、「BAL」という)を行い、BAL液を回収した。BAL液を冷却遠心機により遠心(4℃、400×g、10分間)後、溶血処理を行い、再度、同条件で遠心し、得られたペレットを生理食塩液に懸濁した。
2.総白血球数の計測
1.にて得られた BAL液 25μLに対してチュルク液 100μLを加えて染色し、ビルケルチュルク血球計算器(エルマ販売)を用いて総白血球数をカウントした。
3.細胞塗沫標本の作製法及び好酸球の計測
2.の総白血球数を基に生理食塩液で 3×10cell/mLに調整し、そこから 25μLを採取してスライドグラス上で細胞を沈降させ、Diff−Quick染色標本を作製し、好酸球を鏡検下にカウントした。
その結果(匹数6における平均値)を、表−4に示した。
Figure 2006101872
本実施例では、媒体コントロール群で、無刺激群に比較して好酸球数が増加し、喘息が発症していることが明らかとなった。
(実施例5)
実施例1と同様にして、イヌ、ウサギ、ヒツジ、サルの実験動物を用いて、二相性喘息反応モデルの作製を目的として、本実施例を行った。
その結果(匹数6における平均値)を、表−5に示した。
Figure 2006101872
本実施例より、各種の実験動物において、本発明の二相性喘息反応した喘息モデル動物の作製が可能であることが明らかとなった。
本発明の喘息モデル動物は、医薬品の開発、特に抗喘息薬の開発における化合物のスクリーニングに利用することができるため、産業上有用である。


Claims (22)

  1. 感作物質を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより感作を行った後、惹起物質を該下気道へ直接投与することにより喘息を発症させたことを特徴とする薬効評価用動物。
  2. 感作物質及び惹起物質が、ミスト、溶液又は懸濁液である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  3. 感作物質及び惹起物質が、溶液又は懸濁液である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  4. 前記感作物質が、卵白アルブミン及び水酸化アルミニウムを含むミスト、溶液又は懸濁液であり、又前記惹起物質が、卵白アルブミンを含むミスト、溶液又は懸濁液である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  5. 前記喘息が、即時型及び遅発型の喘息反応を含む二相性喘息反応である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  6. 前記喘息が、気道過敏性反応である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  7. 前記動物が、げっ歯目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  8. 前記動物が、食肉目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  9. 前記動物が、重歯目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  10. 前記動物が、偶蹄目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  11. 前記動物が、霊長目である請求項1に記載の薬効評価用動物。
  12. 前記げっ歯目である動物が、モルモット、マウス、ラットである請求項7に記載の薬効評価用動物。
  13. 前記食肉目である動物が、イヌ、ネコである請求項8に記載の薬効評価用動物。
  14. 前記重歯目である動物が、ウサギである請求項9に記載の薬効評価用動物。
  15. 前記偶蹄目である動物が、ヤギ、ヒツジ、ブタである請求項10に記載の薬効評価用動物。
  16. 前記霊長目である動物が、サル、チンパンジーである請求項11に記載の薬効評価用動物。
  17. 感作物質を人以外の動物の下気道へ直接投与することにより感作を行った後、惹起物質を該下気道へ直接投与することを特徴とする薬効評価用動物の喘息発症方法。
  18. 前記感作物質及び惹起物質が、ミスト、溶液又は懸濁液である請求項17に記載の薬効評価用動物の喘息発症方法。
  19. 前記感作物質及び惹起物質が、溶液又は懸濁液である請求項17に記載の薬効評価用動物の喘息発症方法。
  20. 直接投与が、口腔より湾曲したゾンデを挿入し、その先端を咽頭の下気道上部にあてがい、動物の自発呼吸に合わせて、ゾンデの他端より感作物質および惹起物質を投与する方法である請求項17に記載の薬効評価動物の喘息発症方法。
  21. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の薬効評価用動物に薬剤を投与し、その作用効果を評価することを特徴とする薬効評価方法。
  22. 前記作用効果が、特異的気道抵抗或いは肺抵抗である請求項21に記載の薬効評価方法。
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JP2008237750A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Daicel Chem Ind Ltd 呼吸器感作性を評価する方法
CN104396880A (zh) * 2014-11-05 2015-03-11 季旭明 一种湿热哮喘动物模型的建立方法

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