以下、本発明の実施形態に係る情報記録媒体について説明する。
(情報記録媒体の実施形態)
本発明の情報記録媒体に係る第1実施形態は、記録情報(コンテンツ)の少なくとも一部が、エンボスピットが形成されることによって、予め記録されている再生専用領域(ROMエリア)と、前記記録情報の少なくとも他部が、記録用レーザ光の照射により記録可能であると共に消去用レーザ光の照射により消去可能な記録可能領域(RWエリア)とを有しており、前記再生専用領域及び前記記録可能領域は、前記記録用又は前記消去用レーザ光が照射されることによって光学特性が可逆変化する記録層を備え、前記再生専用領域に含まれるマスキング領域の第1部分においては、第1ダミー情報を担持する第1記録ピットが、前記記録用レーザ光の照射によって記録されることによって(マスキング処理)、前記少なくとも一部が再生不可能となると共に、前記第1記録ピットが、前記消去用レーザ光の照射によって消去されることによって(マスキング解除処理)、前記少なくとも一部が再生可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る第1実施形態によれば、再生専用領域において、例えば、映画コンテンツ等の記録情報の少なくとも一部を、例えば、インジェクションモールド等の方法によってエンボスピットが形成されることで、低コストで記録することが可能である。と同時に、記録領域の全面、即ち、再生専用領域及び記録可能領域においては、その製造工程上、相変化膜が、スパッタリングされている。詳細には、記録可能領域とは、消去可能な記録ピットを書き込むことが可能な記録領域のことである。
特に、本実施形態によれば、再生専用領域に含まれるマスキング領域の第1部分においては、第1ダミー情報を担持する第1記録ピットが、記録用レーザ光の照射によって記録されることによって、記録情報の一部が再生不可能となる。ここに、「第1ダミー情報を担持する第1記録ピット」とは、所定長さの第1部分において、エンボスピットと同期して、或いは、非同期でランダムに、記録用レーザ光が、相変化膜に照射される、所定長さの記録ピットである。この第1記録ピットによって、エンボスピットに記録された記録情報を再生不可能とさせる、謂わば、マスキングする(隠ぺいする)ことが可能となる。他方、この第1記録ピットが、消去用レーザ光の照射によって消去されることによって、この一部が再生可能となる。即ち、エンボスピットに重畳されて記録されている第1記録ピットだけが消去されるので、エンボスピットに記録された記録情報を再生可能とさせる、謂わば、マスキングを解除する(隠ぺいを解除する)ことが可能となる。
仮に、上述したマスキングを行わないで記録情報の再生に制限を掛けるために、例えばハイブリッド型の情報記録媒体の記録可能な記録領域に対して、該ハイブリッド型の情報記録媒体に固有な暗号化情報の記録を1枚1枚に対して行うのは高コストになってしまう。
これに対して、本実施形態によれば、所定長さの第1部分において、第1記録ピットの記録によって、エンボスピットに記録された記録情報を再生不可能とさせる、謂わば、マスキングすることが可能となる。他方、エンボスピットに重畳されて記録されている第1記録ピットの消去によって、エンボスピットに記録された記録情報を再生可能とさせる、謂わば、マスキング解除することが可能となる。このように、例えばハイブリッド型の情報記録媒体の再生専用領域に対して、後述される情報記録装置の位置制御に基づいて、記録用又は消去用レーザ光の照射を行うだけで、低コストで、記録情報の再生に制限を掛けることが可能となる。尚、記録可能領域(RWエリア)において、記録情報の少なくとも他部として、暗号化情報が、記録されているように構成されていてもよい。
また、一般に、例えばハイブリッド型の情報記録媒体を含む記録型情報記録媒体における記録可能な記録領域に対して、再生専用型光ディスクに記録された、例えば暗号化情報を含む全体のコンテンツの複製を、ビット単位の物理的なコピーによって行う記録機器も存在している。このため、上述したマスキングを行わない場合、記録情報の著作権を正確に保護することができなってしまう。
これに対して、本実施形態によれば、前述のようにマスキングされた記録情報が、例えば、前記のような記録機器における、チャネルデータをそのままの単位で読み出され、即ち、RAWモードによって読み出され、例えば、DVD−RW等の記録型情報記録媒体へ、ビット単位の物理的なコピーが行われた場合、第1記録ピットを除く、エンボスピットに記録された記録情報だけを取捨選択的にコピーすることはできない。よって、このようにコピーが行われた記録型情報記録媒体が正常に再生されることは殆ど又は完全にないと言える。
以上より、本発明の情報記録媒体に係る第1実施形態によれば、例えば、コンテンツ等の記録情報の機密性及び秘匿性を高めることが可能であり、且つ、比較的低コストで製造することが可能となる。詳細には、記録情報として映画等の情報量の大きいコンテンツをスタンパによって、一挙に再生専用領域に記録できるので、情報記録媒体1枚当りの作成時間を短縮させ、生産性を向上させることが可能である。
本発明の情報記録媒体に係る第1実施形態の一態様では、前記再生専用領域に含まれるマスキング領域の第2部分においては、第2ダミー情報を担持する第2記録ピットが、前記記録用レーザ光の照射によって記録されることによって、前記記録情報(コンテンツ)の少なくとも残部が再生可能となると共に、前記第2記録ピットが、前記消去用レーザ光の照射によって消去されることによって、前記少なくとも残部が再生不可能となる。
この態様によれば、再生専用領域に含まれるマスキング領域の第2部分においては、第2ダミー情報を担持する第2記録ピットが、記録用レーザ光の照射によって記録されることによって、記録情報の残部が再生可能となる。ここに、「第2ダミー情報を担持する第2記録ピット」とは、所定長さの第2部分において、エンボスピットと同期して、記録用レーザ光が、相変化膜に照射される、所定長さの記録ピットである。この第2記録ピットによって、エンボスピットに記録された記録情報を補完し、再生可能とさせる、謂わば、マスキングを解除することが可能となる。他方、この第2記録ピットが、消去用レーザ光の照射によって消去されることによって、この残部が再生不可能となる。即ち、エンボスピットと同期して記録され、残部を再生可能とさせている第2記録ピットが消去されるので、エンボスピット及び第2記録ピットの両者によって記録されている記録情報を再生不可能とさせる、謂わば、マスキングすることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る第2実施形態は、記録情報(コンテンツ)の少なくとも一部が、エンボスピットが形成されることによって、予め記録されている再生専用領域(ROMエリア)を有しており、前記再生専用領域は、記録用又は消去用レーザ光が照射されることによって光学特性が可逆変化する記録層を備え、前記再生専用領域に含まれるマスキング領域の一部分においては、ダミー情報を担持する記録ピットが、前記記録用レーザ光の照射によって記録されることによって、前記少なくとも一部が再生可能となると共に、前記記録ピットが、前記消去用レーザ光の照射によって消去されることによって、前記少なくとも一部が再生不可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る第2実施形態によれば、その物理的構成は、前述した本発明の情報記録媒体に係る第1実施形態と概ね同様である。
特に、再生専用領域に含まれるマスキング領域の一部分においては、ダミー情報を担持する記録ピットが、記録用レーザ光の照射によって記録されることによって、記録情報の一部が再生可能となる。ここに、「ダミー情報を担持する記録ピット」とは、所定長さの一部分において、エンボスピットと同期して、記録用レーザ光が、相変化膜に照射される、所定長さの記録ピットである。この記録ピットによって、エンボスピットに記録された記録情報を補完し、再生可能とさせる、謂わば、マスキングを解除することが可能となる。他方、この記録ピットが、消去用レーザ光の照射によって消去されることによって、この一部が再生不可能となる。即ち、エンボスピットと同期して記録され、一部を再生可能とさせている記録ピットが消去されるので、エンボスピット及び記録ピットの両者によって記録されている記録情報を再生不可能とさせる、謂わば、マスキングすることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る第1及び第2実施形態の他の態様では、前記記録可能領域は、前記記録情報の再生又は記録を制御する制御情報を記録可能な制御情報記録領域(コントロールデータゾーン)を含み、前記少なくとも他部は、前記制御情報である。
この態様によれば、制御情報を記録可能な、例えば、コントロールデータゾーン等の制御情報記録領域は、記録可能領域(RWエリア)として形成されている。従って、例えば、悪意あるユーザが、後述される情報記録装置による消去用レーザ光の記録領域の全体への照射によって、マスキングの解除を試みた場合、制御情報が、消去用レーザ光の照射により消去されてしまう。
その結果、記録情報の少なくとも一部が、正規のマスキング解除に基づかずに再生されるのを未然に防止することが可能となる。
更に、加えて、制御情報は、再生回数を制限するために、例えば、マスキングの解除回数を示す情報を含むように構成してもよい。よって、後述される情報記録再生装置によって、再生又は記録回数を制限することも可能となる。
この制御情報記録領域の態様では、前記制御情報記録領域(コントロールデータゾーン)においては、前記マスキング領域が存在するか否かを示す第1フラグ情報が記録されているように構成してもよい。
このように構成すれば、後述される情報記録装置によって、例えば、シーク動作等の初期動作により、各種制御及び管理情報と同時に、又は、相前後して、第1フラグ情報が取得される。よって、情報記録装置によって、マスキング及びマスキングの解除が、より迅速且つ的確に行われることが可能となる。
この制御情報記録領域に係る態様では、前記制御情報記録領域(コントロールデータゾーン)においては、前記マスキング領域の開始位置を示す開始アドレス、及び、終了位置を示す終了アドレスを示す一のアドレステーブルが記録されているように構成してもよい。
このように構成すれば、後述される情報記録装置によって、例えば、シーク動作等の初期動作により、各種制御及び管理情報と同時に、又は、相前後して、一のアドレステーブルが取得される。よって、情報記録装置によって、マスキング及びマスキングの解除が、より迅速且つ的確に行われることが可能となる。
この制御情報記録領域に係る態様では、前記再生専用領域は、複数のマスキング領域を有し、前記複数のマスキング領域には、識別情報が夫々付与されており、前記制御情報記録領域(コントロールデータゾーン)においては、前記複数のマスキング領域の個数、及び、前記識別情報の少なくとも一方が記録されているように構成してもよい。
このように構成すれば、識別情報によって識別される複数のマスキング領域が形成されることによって、記録情報の種類や再生順序等に対応した、より応用性の高い例えばハイブリッド型の情報記録媒体を提供することが可能となる。
また、後述される情報記録装置によって、例えば、シーク動作等の初期動作により、各種制御及び管理情報と同時に、又は、相前後して、マスキング領域の個数、及び、前記識別情報の少なくとも一方が取得される。よって、情報記録装置によって、マスキング及びマスキングの解除が、より迅速且つ的確に行われることが可能となる。
更に、この制御情報記録領域に係る態様では、前記制御情報記録領域(コントロールデータゾーン)においては、前記複数のマスキング領域の識別情報に夫々対応して、該マスキング領域の開始位置を示す開始アドレス、及び、終了位置を示す終了アドレスを示す他のアドレステーブルが記録されているように構成してもよい。
このように構成すれば、後述される情報記録装置によって、例えば、シーク動作等の初期動作により、各種制御及び管理情報と同時に、又は、相前後して、他のアドレステーブルが取得される。よって、情報記録装置によって、マスキング及びマスキングの解除が、より迅速且つ的確に行われることが可能となる。
更に、このアドレステーブルに係る態様では、前記アドレステーブルが暗号化キーによって暗号化されているように構成してもよい。
このように構成すれば、アドレステーブルが暗号化されていることによって、記録情報の再生により高度な制限を掛けることが可能となる。よって、記録情報の機密性及び秘匿性をより高めることが可能である。尚、暗号化キー、及び、この暗号化キーに対応される復号化キーは、例えば、制御情報記録領域や、外部ネットワーク等から取得されるように構成してもよい。
更に、この暗号化キーに係る態様では、前記記録情報は、再生制御情報(ファイルシステム、PGC)を含み、前記再生制御情報は、前記暗号化キーに対応する復号化キーを含むように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば、ゲームコンテンツ等の記録情報は、例えば、ファイルシステムやPGC等の再生制御情報を含む。よって、例えば、ゲームにおいて、ユーザが、所定の点数以上の点数を獲得した場合に、再生制御情報に含まれる復号化キーによって、アドレステーブルが復号化され、後述される情報記録再生装置によって、アドレステーブルが取得される。そして、マスキングが解除され、例えば、次のステージの記録情報の再生が可能となる。
以上より、より応用性の高いアプリケーションを含んだ記録情報を、該記録情報の機密性及び秘匿性を高めつつ、例えばハイブリッド型の情報記録媒体に記録することが可能となる。
この制御情報記録領域に係る態様では、前記再生専用領域(ROMエリア)のみを有す再生専用型情報記録媒体であるか否かを示す第2フラグ情報が、前記制御情報記録領域に記録されているように構成してもよい。
このように構成すれば、第2フラグ情報によって、再生専用型情報記録媒体ではないことが示されることによって、例えば、DVDプレーヤー等の再生専用型情報再生装置では、例えばハイブリッド型の情報記録媒体を再生できないようにすることが可能となる。
その結果、映画コンテンツ等の記録情報の著作権の保護をより実現可能である。
本発明の情報記録装置に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録媒体に係る実施形態(但し、その各種態様を含む)に記録する情報記録装置であって、前記記録情報を記録する記録手段と、前記マスキング領域の第1部分において、前記第1記録ピットを、前記記録用レーザ光の照射によって記録するように前記記録手段を制御するマスキング処理手段と、前記第1記録ピットを、前記消去用レーザ光の照射によって消去するように前記記録手段を制御するマスキング解除処理手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、マスキング処理手段の制御下で、例えば、シーク動作等の初期動作により、各種制御及び管理情報と同時に、又は、相前後して、所定長さの第1部分の位置情報が取得されると共に、記録情報のマスキングを行なうために、記録手段による記録用レーザ光の照射によって、第1ピットが記録される。他方、記録情報のマスキングの解除を行なうために、記録手段による消去用レーザ光の照射によって、第1ピットが消去される。
以上より、本実施形態によれば、マスキング及びマスキングの解除が、より迅速且つ的確に行われることが可能となる。
その結果、本実施形態によれば、前述した本発明の情報記録媒体に記録された記録情報の再生、及び、記録可能な記録情報の記録を行なうユーザに対して、比較的容易に制限をかけることが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録媒体に係る第1及び第2実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報記録装置に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の一の態様は、前記制御情報記録領域から前記第1フラグ情報及び前記アドレステーブルのうち少なくとも一方を取得する取得手段と、前記取得された第1フラグ情報を識別する識別手段と、前記識別された第1フラグ情報が、前記マスキング領域が存在することを示す場合、前記マスキング処理手段及び前記マスキング解除処理手段は、前記取得されたアドレステーブルに基づいて、前記記録手段を制御する。
この態様によれば、取得手段によって、第1フラグ情報、並びに、マスキング領域の開始位置を示す開始アドレス、及び、終了位置を示す終了アドレスを示すアドレステーブルが取得される。識別手段によって、第1フラグ情報が識別される。そして、マスキング領域が存在すると識別された場合に、マスキング処理手段及びマスキング解除処理手段の制御下で、アドレステーブルに基づいて、マスキング及びマスキングの解除が行われる。
その結果、マスキング及びマスキングの解除が、より迅速且つ的確に行われることが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記取得手段は、前記制御情報記録領域に加えて又は代えて外部ネットワークから前記少なくとも一方を取得する。
この態様によれば、より応用性の高いアプリケーションを含んだ記録情報が記録された、例えばハイブリッド型の情報記録媒体に対して、マスキング及びマスキングの解除を、より迅速且つ的確に行うことが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記取得手段は、前記復号化キーを更に取得し、前記アドレステーブルを、前記取得した復号化キーによって復号化する復号化処理手段を更に備える。
この態様によれば、より応用性の高いアプリケーションを含んだ記録情報を、該記録情報の機密性及び秘匿性を高めつつ、例えばハイブリッド型の情報記録媒体に対して、マスキング及びマスキングの解除を行うことが可能となる。
(情報記録方法の実施形態)
本発明の情報記録方法に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録媒体に係る実施形態(但し、その各種態様を含む)に、前記記録情報を記録する記録手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記マスキング領域の第1部分において、前記第1記録ピットを、前記記録用レーザ光の照射によって記録するように前記記録手段を制御するマスキング処理工程と、前記第1記録ピットを、前記消去用レーザ光の照射によって消去するように前記記録手段を制御するマスキング解除処理工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報記録方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記マスキング処理手段、及び、前記マスキング解除処理手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る各実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録媒体に係る第1及び第2実施形態は、少なくとも記録層と、マスキング領域を含む再生専用領域とを備える。また、本発明の情報記録装置又は方法に係る実施形態は、記録手段と、マスキング処理手段と、マスキング解除処理手段と、を、又は、マスキング処理工程と、マスキング解除処理工程とを備える。従って、例えば、コンテンツ等の記録情報の機密性及び秘匿性を高めることが可能であり、且つ、比較的低コストで製造することが可能となる。
(情報記録媒体に係る第1実施例)
次に図1から図4を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係るハイブリッド型光ディスクにおける記録領域の構造及び物理的特性について、詳細に説明する。
先ず図1を参照して、本実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図1は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係るハイブリッド型光ディスクの基本構造を示し、上側部分は複数の記録領域を有する光ディスクの概略平面図であり、これに対応付けられる下側部分は、その径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として内周側から外周側に向けて、本実施例に係るリードインエリア101、データゾーン102及びリードアウトエリア103が設けられている。特に、リードインエリア101においては、本願発明に係る「制御情報記録領域」の一例を構成するコントロールデータゾーンCDZが備えられている。このコントロールデータゾーンCDZには、本願発明に係る「制御情報」、「第1フラグ情報」、及び「アドレステーブル」に加えて、後述される「マスキングの解除回数を示す情報」が記録可能に構成されている。
そして、各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。このトラック10上には、データがECCブロックという単位で分割されて記録される。ECCブロックは、記録情報がエラー訂正可能なプリフォーマットアドレスによるデータ管理単位である。尚、本発明の光ディスク100は、1層構造でなくてもよい。片面2層(即ち、デュアルレイヤー)又は両面(即ち、ダブルサイド)であってもよい。
本実施例に係る光ディスクは、物理的特性の観点から分類した2種類の記録領域、より詳細には、再生専用領域150及び記録可能領域160を併せ持つハイブリッド型光ディスクとして構築されている。
再生専用領域150においては、記録情報(即ち、本願発明に係る「記録情報の少なくとも一部」)が、例えばエンボスピットとして記録されており、物理的に何度でも再生用レーザの照射による記録情報の再生が可能であるROM型光ディスクとしての性質が有される。
他方で、記録可能領域160においては、記録情報(即ち、本願発明に係る「記録情報の少なくとも他部」の一例)が、例えば記録層の相変化による記録マークとして、記録用レーザ光の照射によって記録可能である。と同時に、消去用レーザ光の照射によって記録情報が消去される。更に消去後に再び記録用レーザの照射による記録情報の再記録が可能である。
尚、再生専用領域150と記録可能領域160との配置については、例えば、ピット毎、ECCブロック毎といった極めて細かい単位で混在させてもよいし、例えば、光ディスク100の内周側寄りと外周側寄りとのなど極めて粗い単位で混在させてもよい。
以下に説明するように、映像情報や音楽情報等のコンテンツ情報を記録する領域は概ね再生専用領域150とされ、係るコンテンツ情報の再生を制御する情報を記録する領域の少なくとも一部分は記録可能領域160とされる。即ち、このような構成とすることで、比較的小さい領域を占める記録可能領域160のみに、例えば、暗号化情報等の情報を記録することが可能となる。但し、記録可能領域160が占める領域を広げることは任意であるようにしてもよい。尚、本実施例に係る「記録マーク」とは、再生専用領域150、及び、記録可能領域160において、記録情報(即ち、本発明に係る「記録情報の一部、他部、及び、残部」に加えて又は代えて、本発明に係る「第1及び第2ダミー情報」の一例)を担持する記録マーク(即ち、本発明に係る「第1及び第2記録ピット」の一例)であるようにしてもよい。その他に、「記録マーク」とは、再生専用領域150において、例えば、NULLデータ等の情報に意味を持たせないマスキングを行うためだけのダミーの記録マーク(即ち、本発明に係る「第1ダミー情報を担持する第1記録ピット」の他の一例)を含む趣旨である。加えて、本願発明に係る「ダミー情報」とは、マスキングを行うためだけの架空(ダミーdummy)の情報であるばかりでなく、何らかの規則等に従った意味のある情報であるようにしてもよい。
次に、図2から図4を参照して本発明の第1実施例に係る光ディスク100における再生専用領域の一例を構成するリーダブルエンボスエリアEA、及び、記録可能領域160の詳細な物理構造について説明する。図2は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係るハイブリッド型光ディスクの一部を、光ディスクの記録面側から見た図式的拡大斜視図である。図3は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係るハイブリッド型光ディスクを構成する再生専用領域の一部を、光ディスクの記録面側、一方及び他方の断面側から見た図式的拡大図である。図4は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係るハイブリッド型光ディスクを構成する記録可能領域の一部を、記録済み状態の場合と、未記録状態の場合とにおける、光ディスクの記録面側、一方及び他方の断面側から見た図式的拡大図である。
図2に示されるように、本実施例に係る光ディスク100は、基板32と、基板32上に積層された上に、記録層30、反射層31及び保護層33とを備えて構成されている。尚、これらの層の他、記録層30の上部や下部に誘電体層等が配置されてもよいし、接着層等から構成される保護層33の下層側にカバー基板等が貼り付けられてもよい。
基板32には、その表面全域(図2中、該基板32の下側の表面全域)に、グルーブトラックG及びランドトラックLがエンボス加工等により形成されている。リーダブルエンボスエリアEA内におけるグルーブトラックG上には、エンボスピットEP及びエンボススペースESがエンボス加工により形成されている。他方で、記録可能領域160内におけるグルーブトラックG上には、記録マーク20が記録層30に形成されている。記録マーク20は、記録用レーザ光を照射することで、相変化によるピットとして構成されている。反射層31は、エンボス加工された基板32に成膜された記録層30上に直接又は不図示の誘電体層或いは絶縁膜を介して成膜された、例えばAl(アルミニウム)膜等である。
光ディスク100は、リーダブルエンボスエリアEAについては、記録層30の存在とは無関係にエンボスピットEPを備えたROM型ディスクの一種として構成されている。具体的には、ポリカーボネート製の基板32にはレーザ光等のビームを誘導するためのガイド用トラックとしてのグルーブトラックGが形成されている。尚、この基板32において、隣り合ったグルーブトラックGとグルーブトラックGとの間の領域をランドトラックLと呼ぶ。グルーブトラックG及びランドトラックLとの呼び名は、ベースとしての基板32から見て凹部をグルーブトラックGと呼び、凸部をランドトラックLと呼んでいることを付記しておく。即ち、光ピックアップの側から見ると、グルーブ(溝)が凸状部に相当し、ランド(丘)が凹状部に相当する。(詳細には、エンボスピットEP、反射層31、基板32、及び、保護層33については、図3に示された、記録面側、一方の断面側、及び、他方の断面側から見た図式的拡大図を参照)。尚、このリーダブルエンボスエリアEAにおいては、後述される情報記録再生装置による再生及び記録制御を行なうためのアンリーダブルエンボスが含まれていてもよい。
他方、光ディスク100は、記録可能領域160については、例えば、相変化層等により構成された記録層30を備えた相変化型ディスクの一種として構成されている。この記録層30の一部に記録マーク20が形成されることで、データ(記録情報)が記録される。より詳細には、反射率の大きい結晶状態の記録層30にレーザビームが照射され、部分的に記録層30が融解されると共に、急速に冷やされる。このことにより、記録層30が部分的にアモルファス状態にされることで、反射率を小さくさせることができる。このようにアモルファス状態にされた記録層30の一部に記録マーク20が形成される。(詳細には、記録マーク20、記録層(アモルファス状態)30、基板32、及び、保護層33については、図4の右側に示された、記録面側、一方の断面側、及び、他方の断面側から見た図式的拡大図を参照)。他方、アモルファス状態の記録層30にレーザビームが照射され、部分的に記録層30が融解されると共に、ゆっくりと冷やされる。このことにより、記録層30が結晶状態に戻されることで、反射率を大きく戻すことができる。即ち、データ(記録情報)が消去可能となる。(詳細には、記録層(結晶状態)30、基板32、及び、保護層33については、図4の左側に示された、記録面側、一方の断面側、及び、他方の断面側から見た図式的拡大図を参照)。
このように本実施例に係る光ディスク100は、記録可能領域160については相変化型ディスクの一種として構成され、且つ、再生専用領域の一例であるリーダブルエンボスエリアEAについてはROM型ディスクの一種として構成され、全体としてハイブリッド型ディスクとして構成されている。
尚、本実施例では、リーダブルエンボスエリアEAにも、記録可能領域160と同一の記録層30に形成されると共に、記録可能領域160と同一の記録膜が蒸着されている。このように記録層30をリーダブルエンボスエリアEAにも形成するので、基板32の表面全域に記録層30を成膜すれば、その後の部分的な記録層30の除去や剥離等を行う必要もないので、製造上便利である。
特に、図2においては便宜上図示していないが、光ディスク100においては、好ましくは、グルーブトラックGをディスクの回転速度に対応する周波数でウォブリングさせている。このウォブリングされたグルーブトラックGは、後述されるランドプリピットと同様に、光ディスク100を出荷する前に予め形成されるものである。そして、光ディスク100に記録情報、即ち、プリ情報以外の本来記録するべき画像情報等の情報を記録する際には、後述される情報記録再生装置によってこのグルーブトラックGのウォブリング周波数を抽出することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転制御するとよい。
また特に、ランドトラックLにはプリ情報に対応する図示しないランドプリピットが形成されていてもよい。このランドプリピットは一般に光ディスク100を出荷する前に予め形成されているものである。また、このランドプリピットを検出することにより予めプリ情報を取得し、それに基づいて記録光としてのレーザ光の最適出力等が設定されると共に、記録情報を記録すべき光ディスク100上の位置を示すアドレス情報等が取得され、このアドレス情報に基づいて記録情報が対応する記録位置に記録される。
(マスキング及びマスキングの解除の原理)
次に、図5及び図6を参照して、本発明の情報記録媒体の本実施例に係るハイブリッド型光ディスクを構成する再生専用領域に含まれるマスキング領域の物理的構造、各種特性、並びに、マスキング及びマスキングの解除の原理について説明する。ここに、図5は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係るハイブリッド型光ディスクを構成する再生専用領域に含まれるマスキング領域の一部を、マスキングされた状態と、マスキングが解除された状態とにおける、光ディスクの記録面側、断面側から見た図式的拡大図である。図6は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係るハイブリッド型光ディスクを構成する再生専用領域に含まれるマスキング領域の一部を、マスキングされた状態と、マスキングが解除された状態とにおける、ピット列と、復調前のデータ信号との関係を図式的に示した模式図である。
図5の左側の平面図において示されるように、マスキングがされた状態においては、再生専用領域に含まれるマスキング領域150aの一部においては、エンボスピットEPの間に記録マーク20a(即ち、本発明に係る「第1ダミー情報を担持する第1記録ピット」の一例)が、記録用レーザ光の照射によって記録されている。よって、エンボスピットの形成によって記録されている記録情報が再生不可能となる、言い換えると、記録情報がマスキングされる(隠ぺいされる)ことが可能となる。詳細には、エンボスピットEPが間欠的に形成されることによって、記録情報が記録されているのも関わらず、記録マーク20aがエンボスピットの間欠、即ち、エンボススペースに同期して記録されている。このため、例えば、チャネルデータ等の記録情報は、「0000000」を示し、記録情報はマスキング(隠ぺい)されている。より詳細には、図6の上側において示されるように、例えば、チャネルデータ等の記録情報を担持するピット列においては、記録マーク20aが、エンボスピットEPの間欠であるエンボススペースと、殆ど又は完全に同期して記録されることによって、本来、エンボスピットEPによって記録されている記録情報を正常に再生することが不可能となる。尚、このマスキングがされた状態における復調前のデータ信号の波形20Mと、後述されるマスキングが解除された状態における復調前のデータ信号の波形20Eと比較によって、記録情報がマスキングされることが分かる。
他方、図5の右側の平面図において示されるように、マスキングが解除された状態においては、再生専用領域に含まれるマスキング領域の一部においては、エンボスピットEPの間に記録されていた記録マーク20aが、例えば、DCによる消去パワーを保持する消去用レーザ光の照射によって消去されている。よって、エンボスピットの形成によって記録されている記録情報が再生可能となる、言い換えると、記録情報のマスキングが解除される(隠ぺいが解除される)ことが可能となる。詳細には、エンボスピットの間欠、即ち、エンボススペースに同期して記録されていた記録マーク20aが消去され、間欠的に形成されているエンボスピットEPが、顕著に現れる、謂わば、浮かび上がることによって、記録情報の再生が可能となる。従って、例えば、チャネルデータ等の記録情報は、例えば、NRZI(Non Return to Zero Inverted)の変調方式の下で、「1010100」を示し、記録情報のマスキングが解除される(隠ぺいが解除される)。より詳細には、図6の下側において示されるように、例えば、チャネルデータ等の記録情報を担持するピット列においては、エンボスピットEPの間欠であるエンボススペースと、殆ど又は完全に同期して記録されていた記録マーク20aが、消去されることによって、本来、エンボスピットEPによって記録されている記録情報を正常に再生することが可能となる。尚、このマスキングが解除された状態における復調前のデータ信号の波形20Eと、前述したマスキングがされた状態における復調前のデータ信号の波形20Mとの比較によって、記録情報のマスキングが解除されたことが分かる。
以上より、本実施例に係る光ディスクの再生専用領域に含まれるマスキング領域に対して、後述される情報記録装置の位置制御に基づいて、記録用又は消去用レーザ光の照射を行うだけで、低コストで、記録情報の再生に制限を掛けることが可能となる。
また、前述のようにマスキングされた記録情報が、例えば、記録機器におけるチャネルデータをそのままの単位で読み出され、即ち、RAWモードによって読み出され、例えば、DVD−RW等の記録型光ディスクへ、ビット単位の物理的なコピーが行われた場合、記録マーク20aを除く、エンボスピットEPに記録された記録情報だけを取捨選択的にコピーすることはできない。よって、このようにコピーが行われた記録型情報記録媒体が正常に再生されることは殆ど又は完全にないと言える。
以上の結果より、本実施例に係る光ディスクによれば、例えば、コンテンツ等の記録情報の機密性及び秘匿性を高めることが可能であり、且つ、比較的低コストで製造することが可能となる。詳細には、記録情報として映画等の情報量の大きいコンテンツをスタンパによって、一挙に再生専用領域に記録できるので、情報記録媒体1枚当りの作成時間を短縮させ、生産性を向上させることが可能である。
(1)情報記録装置に係る第1実施例
(1−1)基本構成
次に、図7を参照して、本発明の情報記録装置に係る第1実施例における情報記録再生装置300及び、ホストコンピュータ400の基本構成について説明する。特に、本実施例は、本発明に係る情報記録装置を光ディスク用の情報記録再生装置に適用した例である。ここに、図7は、本発明の情報記録装置に係る第1実施例における情報記録再生装置及び、ホストコンピュータの基本構成を示したブロック図である。尚、情報記録再生装置300は、光ディスク100に記録データを記録する機能と、光ディスク100に記録された記録データを再生する機能とを備える。
図7を参照して情報記録再生装置300の内部構成を説明する。情報記録再生装置300は、ドライブ用のCPU(Central Processing Unit)354の制御下で、光ディスク100に情報を記録すると共に、光ディスク100に記録された情報を読み取る装置である。
情報記録再生装置300は、光ディスク100、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、データ入出力制御手段306、及びバス357を備えて構成されている。また、ホストコンピュータ400は、CPU359、メモリ360、操作制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、及び、データ入出力制御手段308を備えて構成される。
特に、情報記録再生装置300と、ホストコンピュータ(以下、適宜ホストと称す)400を同一筐体内に収めることにより、或いは、CPU(ドライブ制御手段)354、データ入出力制御手段306、及びバス357によって、本発明に係る通信手段が構成されていてもよい。
スピンドルモータ351は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスクへのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
光ピックアップ352は光ディスク100への記録再生を行うもので、半導体レーザ装置とレンズから構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
信号記録再生手段353は、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオード(LD)ドライバ及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバ(LDドライバ)は、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段353は、OPC(Optimum Power Control)処理時には、CPU354の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。特に、信号記録再生手段353は、光ピックアップ352と共に、本発明に係る「書込手段」及び「取得手段」の一例を構成する。
メモリ355は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など情報記録再生装置300におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、記録再生データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。尚、ホスト側のメモリ360における構成等も、メモリ355と概ね同様である。
CPU(ドライブ制御手段)354は、信号記録再生手段353及びメモリ355と、バス357を介して接続され、各種制御手段に指示を行うことで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。通常、CPU354が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ355に格納されている。特に、CPU354は、本発明に係る「マスキング処理手段」、「マスキング解除処理手段」、及び、「識別手段」の一例を構成する。
データ入出力制御手段306は、情報記録再生装置300に対する外部からのデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。情報記録再生装置300とSCSIや、ATAPIなどのインターフェースを介して接続されている外部のホストコンピュータ400から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力制御手段308から306を介してCPU354に伝達される。また、記録再生データも同様にデータ入出力制御手段306から308を介して、ホストコンピュータ400とやり取りされる。
特に、データ入出力制御手段308は、本発明に係る「マスキング領域」の位置情報を示す「アドレステーブル」の一例であるアドレス情報を、例えば、外部ネットワークから取得し、例えば、メモリ360等に格納するように構成してもよい。
操作制御手段307はホストコンピュータ400に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU359に伝える。CPU359は、操作制御手段307からの指示情報を元に、データ入出力手段308を介して、情報記録再生装置300に対して制御命令(コマンド)を送信し、情報記録再生装置300全体を制御する。同様に、CPU359は、情報記録再生装置300に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、記録中や再生中といった情報記録再生装置300の動作状態が把握できるためCPU359は、操作制御手段307を介して蛍光管やLCDなどの表示パネル311に情報記録再生装置300の動作状態を出力することができる。
以上説明した、情報記録再生装置300とホストコンピュータ400を組み合わせて使用する一具体例は、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器である。このレコーダ機器は放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビなど外部表示機器にディスクから再生した映像信号を出力する機器である。メモリ360に格納されたプログラムをCPU359で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。また、別の具体例では、情報記録再生装置300はディスクドライブ(以下、適宜ドライブと称す)であり、ホストコンピュータ400はパーソナルコンピュータやワークステーションである。パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータとドライブはSCSIやATAPIといったデータ入出力制御手段306及び308を介して接続されており、ホストコンピュータのCPUにより実行されるライティングソフトウェア等のアプリケーションが、ディスクドライブを制御する。尚、このライティングソフトウェアは、光ディスク上に記録され、読み出し可能な状態にされていてもよいし、ホストコンピュータのメモリ等の記憶装置において格納されていてもよい。
(1−2)動作原理
次に図8から図11を参照して、本発明の情報記録装置に係る第1実施例の情報記録再生装置によるマスキング処理、及び、マスキング解除処理について詳細に説明する。
先ず、図8を参照して本発明の第1実施例に係る光ディスクの情報記録再生装置によるマスキング処理、及び、マスキング解除処理の全体の流れについて説明する。ここに、図8は、本発明の情報記録再生装置に係る第1実施例よるマスキング処理、及び、マスキング解除処理の全体の流れを示したフローチャートである。図9は、図8におけるサブルーチンであるデータアドレス変換の流れを示したフローチャートである。図10は、図8におけるサブルーチンであるマスキング処理の流れを示したフローチャートである。図11は、図8におけるサブルーチンであるマスキング解除処理の流れを示したフローチャートである。
先ず、例えば、DVD−RWライタードライブ等の情報記録再生装置300へ、例えばハイブリッド型光ディスクが挿入される(ステップS101)。尚、より詳細には、各種の制御及び管理情報等の取得が行われると共に、CD、DVD−Video、DVD−ROM、DVD−R又はDVD−RW等の光ディスクの種類が判別されるように処理してもよい。
次に、光ディスク、ホスト側のメモリ360、又は、外部ネットワーク等から、例えば、ホスト側のCPU359によって起動されたアプリケーションソフトウェアが起動される(ステップS102)。
続いて、アプリケーションソフトウェアの各種プログラムに従って、マスキング処理又はマスキング解除処理を行うコンテンツデータが選択される(ステップS103)。より具体的には、例えば、ゲーム等のコンテンツにおいて、次のステージへ進むために、マスキングを解除したいコンテンツデータの識別番号は、「#7番」等の指示コマンドが、アプリケーションソフトウェアからホストコンピュータ400を介して、情報記録再生装置300へ発行される。
続いて、コンテンツデータと、このコンテンツデータに対応される光ディスク上でのアドレス(例えば、セクタ番号等)との変換処理が行われる(ステップS104)。
詳細には、図9に示されるように、この変換処理は、先ず、光ディスクに記録されている、又は、外部ネットワークからダウンロードされるアドレステーブルが取得される(ステップS201)。次に、この取得されたアドレステーブルに基づいて光ディスク上でのアドレスが取得される(ステップS202)。より具体的には、マスキングを解除したい、上述した#7番の識別番号であるコンテンツデータが記録されているアドレスが、光ディスク上の「03F1FF」から「03FFFF」であるという情報を取得することが可能となる。
再び、図8に戻り、CPU359の制御下で、変換処理により取得された、コンテンツデータに対応されるアドレスに対して、マスキング処理を行うのか、又はマスキングの解除処理を行うのかが判定される(ステップS105)。ここで、マスキング処理を行う場合(ステップS105:Yes)、マスキング処理が行われる(ステップS106)。
詳細には、図10に示されるように、マスキング処理は、先ず、光ピックアップ352が、CPU359及び354によって指定された光ディスクの記録領域上のアドレスを検出し、そのアドレスの位置へ移動する(ステップS301)。次に、当該マスキング領域のエンボスピットの上へアプリケーションソフトウェアから指定されたデータパターンによって記録マーク20aの記録が開始される(ステップS302)。よって、エンボスピットの形成によって記録されているコンテンツデータがマスキングされた状態にし、再生が不可能となる。次に、記録動作と同時にアドレスが検出される(ステップS303)。次に、マスキング処理を行う記録領域の終了位置を示すアドレスが検出されたか否かが判定される(ステップS304)。ここで、終了位置を示すアドレスが検出された場合(ステップS304:Yes)、記録マーク20aの記録が停止され、一連のマスキング処理は終了される。他方、ステップS304の判定の結果、終了位置を示すアドレスが検出されない場合(ステップS304:No)、引き続き、記録動作と同時にアドレスが検出される(ステップS303)。
再び、図8に戻り、他方、ステップS105の判定の結果、マスキング処理を行わない場合、(ステップS105:No)、マスキングの解除処理が行われる(ステップS107)。
詳細には、図11に示されるように、マスキングの解除処理は、先ず、光ピックアップ352が、CPU359及び354によって指定された光ディスクの記録領域上のアドレスを検出しつつ、そのアドレスの位置へ向かって移動する(ステップS401)。次に、移動しつつ、現在光ピックアップ352が位置するアドレスを検出し続ける(ステップS402)。次に、マスキングの解除を行いたい記録領域の開始位置を示すアドレスが検出された否かが判定される(ステップS403)。ここで、マスキングの解除を行いたい記録領域の開始位置を示すアドレスが検出された場合(ステップS403:Yes)、エンボスピットを含むマスキング領域の上へ、消去用レーザ光が照射され、マスキング領域に記録されている記録マーク20aの消去が開始される(ステップS404)。よって、エンボスピットの形成によって記録されているコンテンツデータのマスキングが解除された状態にし、再生が可能となる。尚、マスキングの解除と同時に、又は、解除後に、例えば、ゲーム等のコンテンツデータの再生を行うように構成してもよい。次に、消去動作と同時にアドレスが検出される(ステップS405)。次に、マスキングの解除処理を行う記録領域の終了位置を示すアドレスが検出されたか否かが判定される(ステップS406)。ここで、終了位置を示すアドレスが検出された場合(ステップS406:Yes)、記録マーク20aの消去が停止され、一連のマスキングの解除処理は終了される。他方、ステップS406の判定の結果、終了位置を示すアドレスが検出されない場合(ステップS406:No)、引き続き、消去動作と同時にアドレスが検出される(ステップS405)。また、他方、ステップS403の判定の結果、マスキングの解除を行いたい記録領域の開始位置を示すアドレスが検出されない場合(ステップS403:No)、引き続き、光ピックアップ352が、CPU359及び354によって指定された光ディスクの記録領域上のアドレスを検出しつつ、そのアドレスの位置へ向かって移動する(ステップS401)。
再び、図8に戻り、例えば、ユーザ等の操作により、又は、プログラムの終了コマンド等により、アプリケーションソフトウェアが終了されるか否かが判定される(ステップS108)。ここで、アプリケーションソフトウェアが終了される場合(ステップS108:Yes)、一連の情報記録再生装置による動作は終了される。他方、ステップS108の判定の結果、アプリケーションソフトウェアが終了されない場合(ステップS108:No)、引き続き、アプリケーションソフトウェアの各種プログラムに従って、マスキング処理又はマスキング解除処理を行うコンテンツデータが選択される(ステップS103)。
(2)情報記録媒体及び情報記録装置に係る第2実施例
(2−1)基本構成と動作原理
次に、図12を参照して、本発明の情報記録媒体及び情報記録装置に係る第2実施例について詳細に説明する。特に、第2実施例に係る情報記録媒体においては、コントロールデータゾーンにおいて、マスキングの解除回数を示す情報が記録されている。また、第2実施例に係る情報記録装置(情報記録再生装置)の構成は、前述した図7において説明した第1実施例の構成と概ね同様である。
先ず、図12を参照して本発明の第2実施例に係る情報記録再生装置による、読み出し(再生)回数の制限を伴ったマスキング処理、及びマスキング解除処理の流れについて説明する。ここに、図12は、本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置によるマスキング処理、及びマスキング解除処理の全体の流れを示したフローチャートである。尚、前述した図8において説明した第1実施例に係る各種ステップと同様のステップには、同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
先ず、前述したステップS101からステップS103までの処理が行われる。
特に、第2実施例では、続いて、例えば、CPU359及び354の制御下で、マスキングの解除回数「X」を示す情報が、例えば、コントロ−ルデータゾーンCDZから取得され、このマスキングの解除回数「X」が、所定回数「n」以下であるか否かが判定される(ステップS501)。ここに、所定回数「n」とは、ユーザによるコンテンツデータの再生を許容する、例えば1又は2回等の回数のことである。ここで、このマスキングの解除回数「X」が、所定回数「n」以下である場合(ステップS501:Yes)、前述したデータアドレス変換が行われる(ステップS104)。次に、前述したマスキングの解除が行われる(ステップS107)。
続いて、ユーザによって、マスキングが解除されたコンテンツデータの再生が行われる(ステップS502)。
続いて、一連のコンテンツデータの再生が終了したか否かが判定される(ステップS108)。ここで、再生が終了した場合、ステップS107でマスキングの解除を行った記録領域の開始位置から終了位置において、再び、マスキング処理を行う(ステップS106)。
続いて、CPU359及び354の制御下で、マスキングの解除回数「X」が「1」だけインクリメント(増加)され、マスキングの解除回数「X」を示す情報が、例えば、コントロ−ルデータゾーンCDZにおいて更新される(ステップS503)。
他方、ステップS501の判定の結果、このマスキングの解除回数「X」が、所定回数「n」以下でない、即ち、所定回数より大きい場合(ステップS501:No)、コンテンツデータの再生は、これ以上許容されていないので、光ディスクは排出される(ステップS504)。
以上の結果、第2実施例においては、マスキングの解除回数を判定することによって、ユーザの再生回数を的確に制限することが可能である。
(3) 情報記録媒体に係る第3実施例
次に、図13及び図14を参照して、本発明の情報記録媒体に係る第3実施例について検討を加える。ここに、図13は、本発明の情報記録媒体の第3実施例に対するマスキング処理、及びマスキング解除処理を概念的に示した模式図である。図14は、比較例に係る情報記録媒体の問題点を概念的に示した模式図である。
図13に示されるように、マスキング処理以前の状態を示した「状態A」において、再生専用領域150のうち少なくとも一部は、例えば、フラグ等の再生を禁止するための情報(以下、適宜「再生禁止情報」と称す)が記録されている禁止領域150bを含むように構成されている。ここに、「再生禁止情報」とは、仮に、該再生禁止情報を読み取ることができた場合、該光ディスク100が正規の手順でマスキングが解除されていないことを示すフラグ等の情報である。
先ず、少なくともこの禁止領域150bがマスキングされた状態でユーザに、配布される。尚、図13中「状態B」を参照。
そして、情報記録再生装置によって、正規の手順でマスキングが解除された場合、この禁止領域150bにおいては、マスキングされた状態が維持される。尚、図13中の「状態C」を参照。よって、この再生禁止情報は、読み取ることができないので、該光ディスク100に記録されているコンテンツデータの再生は可能である。
他方、マスキングが正規の手順に基づかないで解除された場合、即ち、記録領域の全体に対して、マスキングが解除された場合(所謂、全面消去が行われた場合)、この再生禁止情報を、読み取ることができる。尚、図13中の「状態D」を参照。よって、該光ディスク100において、正規の手順でマスキングが解除されていないことが情報記録再生装置によって識別することが可能である。
尚、図13に示された第3実施例においては、再生専用領域150を備えて構成されているDVD−ROM等の再生専用型光ディスクについて説明したが、例えばハイブリッド型光ディスクに適用可能である。
仮に、図14に示されるように、禁止領域150bが存在しないハイブリッド型光ディスク(図14中の状態A’を参照)において、マスキングが正規の手順に基づかないで解除された場合、即ち、記録領域の全体に対して、マスキングが解除された場合(所謂、全面消去が行われた場合:図14中の状態C’を参照)、記録可能領域160に記録されている制御情報までも消去されてしまう。よって、マスキング及びマスキングの解除によって再生を制限したいコンテンツデータ以外の記録情報までも一律に再生不可能としてしまう。他方、マスキングが正規の手順で解除された場合(図14中の状態B’を参照)、例えばコントロールデータゾーン等の記録可能領域160に記録されている制御情報は保護され、再生専用領域150に記録されているコンテンツデータは再生可能であるのは言うまでもない。
これに対して、第3実施例によれば、制御情報は、再生専用領域150に記録しておくことが可能であるので、所謂、全面消去が行なわれた場合でも、ユーザに再生の制限を掛けていないコンテンツデータまでも再生不可能となることはない。言い換えると、ユーザに再生の許可を与えているコンテンツデータの再生は常に可能である。以上より、第3実施例によれば、より適切なコンテンツデータの再生制限を実現可能である。
尚、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として、記録情報の再生を行うユーザを容易に制限し、記録情報の機密性及び秘匿性を高めることが可能であると共に、再生回数が制限された光ディスクについて説明した。と共に、情報記録装置の一例として、該光ディスクに係るレコーダ又はプレーヤについて説明した。しかし、本発明は、このような光ディスク並びにそのようなレコーダ又はプレーヤに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダ又はプレーヤにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びに、記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…センターホール、10…トラック、11…セクタ、20(20a)…記録マーク、30…記録層、31…反射層、32…基板、33…保護層、100…光ディスク、101…リードインエリア、102…データゾーン、103…リードアウトエリア、150…再生専用領域、150a…マスキング領域、150b…禁止領域、160…記録可能領域、300…情報記録再生装置、306(308)…データ入出力制御手段、307…操作制御手段、310…操作ボタン、311…表示パネル、351…スピンドルモータ、352…光ピックアップ、353…信号記録再生手段、354…CPU(ドライブ制御手段)、355(360)…メモリ、359…CPU(ホスト用)、400…ホストコンピュータ、LB…レーザ光、G…グルーブトラック、L…ランドトラック、EP…エンボスピット、ES…エンボススペース、EA…リーダブルエンボスエリア