以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(実施形態の構成)
図1において、通報システム1は、通常の運用時においては、通報サーバ装置11と、1又は複数の通報機器13(13−a〜13−h)と、ハブ装置14と、常設のルータ装置15とを備えて構成され、通報機器13は、ハブ装置14、常設のルータ装置15、ISP−Aのネットワーク16−a及び所謂インターネット17を介して通報サーバ11に通信可能に接続される。また、転送先装置18がインターネット17を介して通報サーバ装置11に通信可能に接続される。これら通報機器13、ハブ装置14及び常設のルータ装置15は、通報機器13のローカル・エリア・ネットワーク(以下、「LAN」と略記する。)を構成する。そして、本実施形態では、通報機器13の試験を実施する場合には、仮設のルータ装置12がさらに通報システム1(通報機器13のLAN)に備えられ、仮設のルータ装置12は、ハブ装置14を介して各通報機器13の通報信号を受信可能に接続されると共に、ISP−Bのネットワーク16−b及びインタネット17を介して通報サーバ11に通信可能に接続される。
ここで、本明細書において、総称する場合にはアルファベットの添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合にはアルファベットの添え字を付した参照符号で示す。
ISPのネットワーク16は、インターネット17に接続するためにISPが構築したバックボーンネットワークである。ISP−Aのネットワーク16−aは、常設のルータ装置15におけるサービス提供契約締結先のISP−Aが構築したバックボーンネットワークであり、ISP−Bのネットワーク16−bは、仮設のルータ装置12におけるサービス提供契約締結先のISP−Bが構築したバックボーンネットワークである。ISP−Aとのサービス提供契約は、例えば、通報サーバ装置11の管理者及び集合住宅Mの販売業者等が締結し、ISP−Aから割り当てられたグローバルなIPアドレスが常設のルータ装置15に設定される。ISP−Bとのサービス提供契約は、例えば、通報機器13の施工業者等が締結し、ISP−Bから割り当てられたグローバルなIPアドレスが仮設のルータ装置12に設定される。
インターネット17は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)及びTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の所謂インターネットプロトコル群が用いられた例えば、電話網、ディジタル通信網及び無線通信網等のネットワークである。
通報サーバ装置11は、通報機器13からハブ装置14、原則常設のルータ装置15、ISP−Aのネットワーク16−a及びインターネット17を介して受信した通報信号の通報情報に応じた転送情報をインターネット17を介して所定の宛先の転送先装置18に転送するサーバコンピュータである。通報サーバ装置11は、例えば、図2に示すように、通信インタフェース部(以下、「通信IF部」と略記する。)101と、中央処理部102と、記憶部103と、入力部104と、出力部105とを備えて構成される。
通信IF部101は、インターネット17に接続され、インターネット17等を介して通報機器13等との間で通信信号を送受信するためのインターフェース回路であり、中央処理部102からのデータからインターネット17等の通信プロトコルに従った通信信号を生成すると共にインターネット17からの通信信号を中央処理部102が処理可能な形式のデータに変換する。通信IF部101は、例えば、イーサネットカード、56Kモデム、ターミナルアダプタ、ADSLモデム等である。
記憶部103は、機能的に、転送先情報テーブルを記憶する転送先情報記憶部131と、仮設IPアドレス登録テーブルを記憶する仮設アドレス記憶部132と、登録通報機器テーブルを記憶する登録通報機器記憶部133と、通報信号受信記録テーブルを記憶する通報信号記憶部134とを備え、転送処理を実施する転送処理プログラム、電子メールの送信処理を実施するメーラ等の各種プログラム、及び、各種プログラムの実行に必要な情報や各種プログラムの実行中に生じる情報等の各種情報を記憶する。記憶部103は、例えば、中央処理部102の所謂ワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子、及び、ROM(Read Only Memory)や書換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子を備えて構成される。
転送先情報テーブルは、通報機器13からインターネット17等を介して受信した通報信号に収容された通報情報に応じた転送情報を転送する宛先及びこの転送情報を登録したテーブルである。例えば、図3に示すように、転送先情報テーブル141は、通報機器13を特定し識別する識別子(以下、「通報機器識別子」と呼称する。)として利用されるTCPのポート番号である通報機器ポート番号を登録する通報機器ポート番号フィールド1411、通報機器ポート番号に対応する通報機器13から通報された通報信号の通報情報に応じた転送情報を通報すべき転送先装置18のIPアドレスを登録する転送先IPアドレスフィールド1412、この転送先のIPアドレスで特定される転送先装置18へ通報する転送情報である通報メッセージを登録する通報メッセージフィールド1413の各フィールドを備えて構成され、通報機器ポート番号ごとにレコードが作成される。このように本実施形態では、通報機器識別子としてTCPのポート番号を利用するので、通報機器13に新たに別の識別子を割り振る必要がない。本実施形態では、通信プロトコルとして所謂インターネットプロトコル群が用いられることから、IPアドレスがネットワーク層の通信アドレスとして用いられる。以下も同様である。
仮設IPアドレス登録テーブルは、仮設のルータ装置12に割り当てられたグローバルなIPアドレス(以下、「仮設IPアドレス」と呼称する。)を登録するテーブルである。例えば、図4に示すように、仮設IPアドレス登録テーブル142は、仮設のルータ装置12の仮設IPアドレスが列記されて構成される。後述するように、通報サーバ装置11は、通報信号を受信した場合にこの受信した通報信号の送信元IPアドレスがこの仮設IPアドレス登録テーブル142に登録されていることを判断することによりこの受信した通報信号が試験通報信号であると認識することができる。
登録通報機器テーブルは、試験が正常に終了した通報機器13の通報機器識別子を登録するテーブルである。本実施形態では、通報機器識別子は、通報機器ポート番号であるから、例えば、図5に示すように、登録通報機器テーブル143は、通報機器ポート番号が列記されて構成される。後述するように、通報サーバ装置11は、通報信号を受信した場合にこの受信した通報信号の送信元ポート番号がこの登録通報機器テーブル143に登録済みであることを判断することによりこの受信した通報信号を送信した通報機器13の試験が完了していると認識することができる。
通報信号受信記録テーブルは、通報サーバ装置11が受信した通報信号を記録するためのログテーブルである。例えば、図6に示すように、通報信号受信記録テーブル144は、通報信号の受信時刻を登録する受信時刻フィールド1441、通報信号を通報した通報機器13の通報機器識別子、即ち、本実施形態では通報機器ポート番号を登録する通報機器ポート番号フィールド1442、通報信号に収容された通報情報を登録する通報情報フィールド1443、及び、通報信号が試験通報信号であるか否かの種別を表す種別フラグを登録する種別フラグフィールド1444の各フィールドを備えて構成され、通報信号の受信ごとに、即ち、受信時刻ごとにレコードが作成される。種別フラグは、本実施形態では、通報信号が試験通報信号であることを表す「E」と、通報信号が試験通報信号ではないこと、即ち、通報信号が正式通報信号であることを表す「N」とから構成される。後述するように、通報サーバ装置11は、通報信号受信記録テーブル144を参照することによってオペレータの指示した通報機器13から試験通報信号を受信したか否かを判断することができる。
中央処理部102は、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、転送部121、転送制御部122、通報信号判定部123、通報信号記録部124及びカレンダ部125を備えると共に、各種プログラムに従い通信IF部101、記憶部103、入力部104及び出力部105を当該機能に応じてそれぞれ制御する。
カレンダ部125は、通報信号記録部124の問合せに対し通報信号受信記録テーブルの登録に必要な時刻情報を返す処理を行うソフトウェアカレンダである。本実施形態では、上述したように、通報信号受信記録テーブル144の受信時刻フィールド1441には、年、月、日、時、分、秒を登録するので、カレンダ部125は、通報信号記録部124の問合せに対し年、月、日、時、分、秒を返す処理を行う。
通報信号判定部123は、通報機器13からインターネット17等を介して通報信号を受信すると、この受信した通報信号の種別を判定し、この判定結果を転送制御部122及び通報信号記録部に通知すると共に、通報信号を通報した通報機器13の通報機器識別子を記憶部103に記憶する。より具体的には、本実施形態では、通報信号判定部123は、通報機器13からインターネット17等を介して通報信号を受信すると、この受信した通報信号の送信元のIPアドレス(仮設IPアドレス)が仮設アドレス記憶部132の仮設IPアドレス登録テーブル142に登録されているか否かを判断することによって通報信号が通報機器13を試験するために送信された試験通報信号であるか否かを判定し、この判定結果を転送制御部122及び通報信号記録部に通知すると共に、この受信した通報信号の送信元のポート番号を通報機器ポート番号(通報機器識別子)として記憶部103の登録通報機器記憶部133における登録通報機器テーブル143に登録し記憶する。
通報信号記録部124は、通報機器13からインターネット17等を介して通報信号を受信すると、この受信した通報信号の受信記録(ログ)を記憶部103の通報信号記憶部134に記憶する。より具体的には、本実施形態では、通報信号記録部124は、通報機器13からインターネット17等を介して通報信号を受信すると、この受信した通報信号に収容されている情報等に基づいて通報信号受信記録テーブル144に応じた情報を通報信号記憶部134の通報信号受信記録テーブル144に登録し記憶する。上述した通報信号受信記録テーブル144から分かるように、この記憶する情報は、本実施形態では、カレンダ部125から取得した通報信号の受信時刻、通報信号に収容されている送信元のポート番号及び通報情報、そして、通報信号判定部123から通知された通知内容に応じた種別フラッグである。
転送制御部122は、転送部121による通報信号の通報情報に応じた転送情報の送信を通報信号の種別に従って制御する。より具体的には、本実施形態では、転送制御部122は、通報信号判定部123から通知された通報信号の種別の判定結果に従って通報メッセージの送信の許否を転送部121に通知する。即ち、通報信号判定部123による通報信号の判定結果が試験通報信号である場合には、通報メッセージの送信を禁止する旨を転送部121に通知し、一方、通報信号判定部123による通報信号の判定結果が試験通報信号ではない場合には、通報メッセージの送信を許可する旨を転送部121に通知する。
転送部121は、通報機器13からインターネット17等を介して通報信号を受信すると、この受信した通報信号の通報情報に応じた転送情報をこの通報信号の種別に応じて転送する。より具体的には、本実施形態では、転送部121は、通報機器13からインターネット17等を介して通報信号を受信して転送制御部122から転送が許可されると、この受信した通報信号の送信元のポート番号に基づいて記憶部103の転送先情報記憶部131に記憶されている転送先情報テーブル141から転送先の通信アドレス及び通報メッセージを検索し、この検索結果に基づいて転送先装置18に通報メッセージを通報する。この通報メッセージの通報は、例えば、本実施形態では、電子メールを利用して行われる。
入力部104は、転送先情報記憶部131に記憶すべきデータ及び仮設アドレス記憶部132に記憶すべきデータ等の各種データや、通報サーバ装置11の稼動開始指示等の各種コマンドを通報サーバ装置11に入力する機器であり、例えば、キーボードやマウス等である。出力部105は、入力部104から入力されたコマンド及びデータや、転送先情報記憶部131に記憶されている記憶内容、仮設アドレス記憶部132に記憶されている記憶内容、登録通報機器記憶部133に記憶されている記憶内容及び通報信号記憶部134に記憶されている記憶内容を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印字装置等である。
なお、必要に応じて通報サーバ装置11には、外部記憶部をさらに備えてもよい。外部記憶部は、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)及びDVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)等の記録媒体との間でデータを読み込み及び/又は書き込みを行う装置であり、例えば、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、CD−Rドライブ及びDVD−Rドライブ等である。各プログラムが格納されていない場合には、これらを記録した記録媒体から外部記憶部を介して記憶部103にインストールされるように構成してもよく、また、これらプログラムを管理するサーバ(不図示)からインターネット17等を介して各プログラムがダウンロードされるように構成してもよい。
仮設のルータ装置12は、通報機器13の施工後で通報機器13の運用開始前に、施工した通報機器13が通報信号を通報サーバ装置11に正常に送信することができるか否かを試験するために、通報機器13のLANに対する外部のネットワーク(本実施形態ではISP−Bのネットワーク16−b)との境界に配置され、一時的に通報システム1に組み込まれるルータ装置である。仮設のルータ装置12は、ISP−Bのネットワーク16−bに公衆電話回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、ADSL(Asymmetric Digital Subcriber Line)回線、携帯電話回線及びPHS(Personal Handyphone System)回線等を用いて接続されるが、一時的に通報システム1に組み込まれるルータ装置であることから、固定回線ではなく、携帯電話回線やPHS回線等を用いて接続されることが好ましい。
図7(A)は、仮設のルータ装置の構成を示すブロック図である。仮設のルータ装置12は、例えば、図7(A)に示すように、ローカル・エリア・ネットワーク側通信インタフェース部(以下、「LAN通信IF部」と略記する。)201と、中央処理部202と、記憶部203と、ワイド・エリア・ネットワーク側通信インタフェース部(以下、「WAN通信IF部」と略記する。)204とを備えて構成される。
LAN側通信IF部201は、ハブ装置14に接続され、ハブ装置14を介して通報機器13が送信した通報信号を受信するためのインターフェース回路であり、少なくとも、通報機器13のLANからの通信信号を中央処理部202が処理可能な形式のデータに変換する。LAN側通信IF部201は、例えば、イーサネットカード等のネットワークカードである。
WAN側通信IF部204は、ISP−Bのネットワーク16−bに接続され、ISP−Bのネットワーク16−b及びインターネット17を介して通報サーバ装置11との間で通信信号を送受信するためのインターフェース回路であり、中央処理部202からのデータからISP−Bのネットワーク16−bの通信プロトコルに従った通信信号を生成すると共にISP−Bのネットワーク16−bからの通信信号を中央処理部202が処理可能な形式のデータに変換する。WAN側通信IF部204は、例えば、イーサネットカード、56Kモデム、ターミナルアダプタ、ADSLモデム等である。
記憶部203は、機能的に、ルーティングテーブルを記憶するルーティングテーブル記憶部231と、仮設NAPTテーブルを記憶する仮設NAPTテーブル記憶部232とを備え、仮設NAPTテーブルに基づいてNAPT(Network Address Port Translator、IPマスカレード)を実施するNAPT処理プログラム、通信信号のルーティングを実施するルーティングプログラム等の各種プログラム、及び、各種プログラムの実行に必要な情報や各種プログラムの実行中に生じる情報等の各種情報を記憶する。記憶部203は、例えば、中央処理部202の所謂ワーキングメモリとなるRAM等の揮発性の記憶素子、及び、ROMや書換え可能なEEPROM等の不揮発性の記憶素子を備えて構成される。
仮設NAPTテーブルは、NAPTを実施するために、通報機器13に割り当てられたプライベートアドレス及びポート番号と、グローバルアドレス及びポート番号との対応関係を登録するテーブルである。このグローバルアドレスは、仮設IPアドレスである。図7(B)は、仮設NAPTテーブルの構成を示す図である。例えば、図7(B)に示すように、仮設NAPTテーブル241は、通報機器13に割り当てられたプライベートアドレス及びポート番号を登録するLAN側NAPT情報フィールド2411、及び、これに対応するグローバルアドレス及びポート番号を登録するWAN側NAPT情報フィールド2412の各フィールドを備えて構成され、通報機器13に割り当てられたプライベートアドレス及びポート番号ごとにレコードが作成される。図7(B)から分かるように、LAN側NAPT情報フィールド2411に登録されるプライベートアドレス及びポート番号において、NAPTの変換前後の通報機器13を識別するために、通報機器13ごとに相互に異なるプライベートアドレスが割り当てられる一方、通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号は共通である。そして、WAN側フィールド2412に登録されるグローバルアドレス及びポート番号において、グローバルアドレスは仮設のルータ装置12に割り当てられた仮設IPアドレスであることから、共通である一方、NAPTの変換前後の通報機器13を識別するために、通報機器13ごとに相互に異なる通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号が割り当てられている。このWAN側NAPT情報フィールド2412に登録されるポート番号は、通報機器識別子と兼用されている、上述の通報機器ポート番号である。例えば、図7(B)に示す仮設NAPTテーブル241の1行目のレコードにおいて、LAN側NAPT情報フィールド2411には、通報機器A13−aのプライベートアドレスとして「192.168.128.11」が登録され、通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号として「5000」が登録されている。そして、WAN側NAPT情報フィールド2412には、仮設のルータ装置12の仮設IPアドレスとして「150.0.0.1」が登録され、通報機器A13−aにおける通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けの通報機器ポート番号として「30001」が登録されている。
中央処理部202は、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、通信信号のルーティングを実行するルーティング部221及び仮設NAPT部222を備えると共に、各種プログラムに従いLAN側通信IF部201、記憶部203及びWAN側通信IF部204を当該機能に応じてそれぞれ制御する。
仮設NAPT部222は、通報機器13からハブ装置14を介して通報信号を取り込み受信すると、記憶部203の仮設NAPTテーブル記憶部232に記憶されている仮設NAPTテーブル241に基づいてこの受信した通報信号のNAPTを実行し、NAPTを実行した通報信号をルーティング部221に通知する。
通報機器13は、所定の条件を満たした場合にその所定の条件を満たした結果に関連する通報情報を通報サーバ装置11に通報(発報)する機器である。所定の条件は、例えば、設定条件(例えば、設定時刻、設定濃度等)に達したこと、検知対象を検知したこと、及び、通報指示を受付けたこと等である。通報機器13は、例えば、通信機能を備えたタイマ、通信機能を備えたセンサ、及び、通信機能を備えた救急等の救出要請通報装置等である。通信機能を備えたセンサは、例えば、火災センサ、ガスセンサ及び防犯センサ等のセキュリティセンサである。本実施形態では、例えば、図8に示すように、通報機器13は、通信機能を備えた火災センサであり、通信IF部301と、発報処理部302と、火災の発生を検知する検知部303と、記憶部304とを備えて構成され、集合住宅Mの各住戸に配置される。
通信IF部301は、ハブ装置14に接続され、ハブ装置14等を介して通報サーバ装置11へ通報信号を送信するためのインターフェース回路であり、発報処理部302からのデータから通報機器13のLANにおける通信プロトコルに従った通信信号を生成する。通信IF部301は、例えば、イーサネットカード等のネットワークカードである。
検知部303は、所定の検知対象を検知するためのセンサである。検知部303は、本実施形態では、通報機器13が火災の発生を通報する火災センサであるため、例えば、一定濃度の煙の有無を検出する煙センサである。
記憶部304は、通報信号を通報サーバ装置11に送信するために、機能的に、当該通報機器13のIPアドレスを記憶する通報機器IPアドレス記憶部341と、通報サーバ装置11のIPアドレスを記憶する通報サーバ装置IPアドレス記憶部342とを備え、通報信号を通報サーバ装置11に送信する処理を実施する通報プログラム等の各種プログラム、及び、通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号等の各種プログラムの実行に必要な情報や各種プログラムの実行中に生じる情報等の各種情報を記憶する。記憶部304は、例えば、発報処理部302の所謂ワーキングメモリとなるRAM等の揮発性の記憶素子、及び、ROMや書換え可能なEEPROM等の不揮発性の記憶素子を備えて構成される。
発報処理部302は、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路等を備えて構成され、検知部303で検出対象を検出すると通報情報を通報サーバ装置11に通報すべく、記憶部304に記憶されている当該通報機器13のIPアドレス及び通報サーバ装置11のIPアドレスを用いて通報信号を生成して通信IF部301を用いてこの生成した通報信号を送信すると共に、各種プログラムに従い側通信IF部301及び記憶部304を当該機能に応じてそれぞれ制御する。
なお、検知部303は、本実施形態では、通報機器13が火災の発生を通報する火災センサであるため、例えば、一定濃度の煙の有無を検知する煙センサであるが、通報機器13が、所定の設定条件(例えば設定時刻)に達したことを通報する場合には検知部303の代わりに設定条件の満了を判断する判断部(例えば上記例ではタイマ)が発報処理部302に接続され、通報機器13が通報指示(例えば救出要請)を受付けたことを通報する場合には検知部303の代わりに通報指示を受付ける受付け部材(例えば押しボタンスイッチ等)が発報処理部302に接続される。
ハブ(hub)装置14は、LANにおいて通信端末を放射状に配線する際にその中心に配置される集線装置であり、通報機器13と常設のルータ装置15との間を通信可能に接続すると共に、通報機器13と仮設のルータ装置12との間で仮設のルータ装置12が通報信号を受信可能に接続する。ハブ装置14は、例えば、リピータハブやミラーポート付きのスイッチングハブ等である。スイッチングハブの場合では、仮設のルータ装置12は、このスイッチングハブを経由する全ての通信信号を出力するミラーポートに接続される。
常設のルータ装置15は、通報機器13のLANに対する外部のネットワーク(本実施形態ではISP−Aのネットワーク16−a)との境界に配置され、通報機器13の運用中に用いられるルータ装置である。図9(A)は、常設のルータ装置の構成を示すブロック図である。常設のルータ装置15は、例えば、図9(A)に示すように、LAN通信IF部501と、中央処理部502と、記憶部503と、WAN通信IF部504とを備えて構成される。
LAN側通信IF部501は、ハブ装置14に接続され、ハブ装置14を介して通報機器13との間で通報信号を送受信するためのインターフェース回路であり、中央処理部502からのデータから通報機器13のLANにおける通信プロトコルに従った通信信号を生成すると共に通報機器13のLANからの通信信号を中央処理部502が処理可能な形式のデータに変換する。LAN側通信IF部501は、例えば、イーサネットカード等のネットワークカードである。
WAN側通信IF部504は、ISP−Aのネットワーク16−aに接続され、ISP−Aのネットワーク16−a及びインターネット17を介して通報サーバ装置11との間で通信信号を送受信するためのインターフェース回路であり、中央処理部502からのデータからISP−Aのネットワーク16−aの通信プロトコルに従った通信信号を生成すると共にISP−Aのネットワーク16−aからの通信信号を中央処理部502が処理可能な形式のデータに変換する。WAN側通信IF部504は、例えば、イーサネットカード、56Kモデム、ターミナルアダプタ、ADSLモデム等である。
記憶部503は、機能的に、ルーティングテーブルを記憶するルーティングテーブル記憶部531と、NAPTテーブルを記憶するNAPTテーブル記憶部532とを備え、NAPTテーブルに基づいてNAPTを実施するNAPT処理プログラム、通信信号のルーティングを実施するルーティングプログラム等の各種プログラム、及び、各種プログラムの実行に必要な情報や各種プログラムの実行中に生じる情報等の各種情報を記憶する。記憶部503は、記憶部203と同様に揮発性の記憶素子及び不揮発性の記憶素子を備えて構成される。
NAPTテーブルは、NAPTを実施するために、通報機器13に割り当てられたプライベートアドレス及びポート番号と、グローバルアドレス及びポート番号との対応関係を登録するテーブルである。このグローバルアドレスは、常設のルータ装置15に割り当てられたIPアドレスである。図9(B)は、NAPTテーブルの構成を示す図である。例えば、図9(B)に示すように、NAPTテーブル541は、図7(B)と同様に、通報機器13に割り当てられたプライベートアドレス及びポート番号を登録するLAN側NAPT情報フィールド5411、及び、これに対応するグローバルアドレス及びポート番号を登録するWAN側NAPT情報フィールド5412の各フィールドを備えて構成され、通報機器13に割り当てられたプライベートアドレス及びポート番号ごとにレコードが作成される。例えば、図9(B)に示す仮設NAPTテーブル241の1行目のレコードにおいて、LAN側NAPT情報フィールド5411には、通報機器A13−aのプライベートアドレスとして「192.168.128.11」が登録され、通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号として「5000」が登録されている。そして、WAN側NAPT情報フィールド5412には、常設のルータ装置15のIPアドレスとして「100.0.0.1」が登録され、通報機器A13−aにおける通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けの通報機器ポート番号として「30001」が登録されている。
中央処理部502は、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、通信信号のルーティングを実行するルーティング部521及びNAPT部522を備えると共に、各種プログラムに従いLAN側通信IF部501、記憶部503及びWAN側通信IF部504を当該機能に応じてそれぞれ制御する。
NAPT部522は、通報機器13からハブ装置14を介して通報信号を受信すると、記憶部503のNAPTテーブル記憶部532に記憶されているNAPTテーブル541に基づいてこの受信した通報信号のNAPTを実行し、NAPTを実行した通報信号をルーティング部521に通知する。
また、必要に応じて、仮設のルータ装置12及び常設のルータ装置15は、通報サーバ装置11と同様な入力部、出力部及び/又は外部記憶部を備えてもよい。
上述の説明から分かるように、仮設のルータ装置12と常設のルータ装置15とは、同一の構成のNAPTルータ装置でよく、NAPTルータ装置に割り当てられたグローバルアドレスが通報サーバ装置11において仮設のルータ装置12の仮設IPアドレスとして扱われるか常設のルータ装置15のIPアドレスとして扱われるかの差に過ぎない。
転送先装置18は、インターネット17を介して通報サーバ装置11に通信可能に接続可能であって通報情報に応じた転送情報が転送された場合にその旨を提示可能な端末装置であり、例えば、携帯電話、通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistants)及び通信機能を備えてコンピュータである。転送情報が転送された旨の提示は、通報メッセージの表示、通報メッセージの音声出力、警報音、警報光及び振動等である。
なお、上述の実施形態では、仮設のルータ装置12は、ISP−Aのネットワーク16−aとは別のISP−Bのネットワーク16−bを介してインターネット17に通信可能に接続されるように構成されたが、ISP−Aのネットワーク16−aを介してインターネット17に通信可能に接続されるように構成してもよい。
次に、本実施形態の動作について説明する。
(実施形態の動作)
図10は、通報サーバ装置の動作を示すフローチャートである。図10において、通報サーバ装置11の中央処理部102における通報信号判定部123は、通信IF部101に通報信号の受信があったか否かを繰り返し判断する(S11)。通信IF部101で通報信号が受信される(YES)と、この受信された通報信号は、中央処理部102へ出力され、転送部121、通報信号判定部123及び通報信号記録部124に通知される。転送部121は、転送制御部122の指示があるまで待機する。通報信号記録部124は、カレンダ部125に問合せて受信時刻として現在の年月日時分秒を取得し、通報信号判定部123の指示があるまで待機する。
通報信号判定部123は、後述の通報信号のIPデータグラム20における送信元IPアドレス部32からIPアドレスを取り出す。通報信号判定部123は、この取り出したIPアドレスを記憶部103の仮設アドレス記憶部132に記憶されている仮設IPアドレス登録テーブル142から検索する(S12)。
次に、通報信号判定部123は、検索の結果、仮設IPアドレス登録テーブル142内にこの通報信号から取り出したIPアドレスと一致する仮設IPアドレスがあったか否かを判断する(S13)。
判断の結果、仮設IPアドレス登録テーブル142内に一致する仮設IPアドレスがあった場合(YES)には、通報信号判定部123は、後述の通報信号のIPデータグラム20における送信元ポート番号部41からポート番号を取り出す。通報信号判定部123は、この取り出したポート番号を記憶部103の登録通報機器記憶部133に記憶されている登録通報機器テーブル143から検索する(S14)。
次に、通報信号判定部123は、検索の結果、登録通報機器テーブル143内にこの通報信号から取り出したポート番号と一致する通報機器ポート番号があったか否かを判断する(S15)。
判断の結果、登録通報機器テーブル143内に一致する通報機器ポート番号がなかった場合(NO)には、通報信号判定部123は、処理S11で受信した通報信号が通報機器13を試験するための試験通報信号であると判断する。そして、通報信号判定部123は、処理S14で通報信号から取り出したポート番号を登録通報機器テーブル143に通報機器ポート番号として登録すると共に、通報信号が試験通報信号である旨を転送制御部122及び通報信号記録部124に通知する(S16)。
この通報信号が試験通報信号である旨の通知を受けると、転送制御部122は、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージの転送を禁止し、通報信号を破棄するように転送部121を制御する。通報信号記録部124は、記憶部103の通報信号記憶部134に記憶されている通報信号受信記録テーブル144にこの処理S11で受信した通報信号に関する情報を登録して試験通報信号のログを記録する。
一方、処理S15における判断の結果、登録通報機器テーブル143内に一致する通報機器ポート番号があった場合(YES)には、通報信号判定部123は、処理S11で受信した通報信号が運用中の通報機器13から通報された正式通報信号であると判断する。そして、通報信号判定部123は、通報信号が正式通報信号である旨を転送制御部122及び通報信号記録部124に通知する(S17)。
この通報信号が正式通報信号である旨の通知を受けると、転送制御部122は、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを転送するように転送部121を制御する。転送部121は、記憶部103の転送先情報記憶部131に記憶されている転送先情報テーブル141を参照して通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを所定の宛先の転送先装置18に転送する。通報信号記録部124は、記憶部103の通報信号記憶部134に記憶されている通報信号受信記録テーブル144にこの処理S11で受信した通報信号に関する情報を登録して正式通報信号のログを記録する。
また、処理13における判断の結果、仮設IPアドレス登録テーブル142内に一致する仮設IPアドレスがなかった場合(NO)には、通報信号判定部123は、通報信号のIPデータグラム20における送信元ポート番号部41からポート番号を取り出す。通報信号判定部123は、この取り出したポート番号を記憶部103の登録通報機器記憶部133に記憶されている登録通報機器テーブル143から検索する(S21)。
次に、通報信号判定部123は、検索の結果、登録通報機器テーブル143内にこの通報信号から取り出したポート番号と一致する通報機器ポート番号があったか否かを判断する(S22)。
判断の結果、登録通報機器テーブル143内に一致する通報機器ポート番号があった場合(YES)には、通報信号判定部123は、処理S11で受信した通報信号が運用中の通報機器13から通報された正式通報信号であると判断する。そして、通報信号判定部123は、通報信号が正式通報信号である旨を転送制御部122及び通報信号記録部124に通知する(S23)。
この通報信号が正式通報信号である旨の通知を受けると、転送制御部122は、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを転送するように転送部121を制御する。転送部121は、記憶部103の転送先情報記憶部131に記憶されている転送先情報テーブル141を参照して通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを所定の宛先の転送先装置18に転送する。通報信号記録部124は、記憶部103の通報信号記憶部134に記憶されている通報信号受信記録テーブル144にこの処理S11で受信した通報信号に関する情報を登録して正式通報信号のログを記録する。
一方、処理S22における判断の結果、登録通報機器テーブル143内に一致する通報機器ポート番号がなかった場合(NO)には、通報信号判定部123は、処理S11で受信した通報信号が試験未了の通報機器13から通報された正式通報信号であると判断する。そして、通報信号判定部123は、処理S14で通報信号から取り出したポート番号を登録通報機器テーブル143に登録して試験未了である旨を出力部25に出力すると共に、通報信号が正式通報信号である旨を転送制御部122及び通報信号記録部124に通知する(S24)。
この通報信号が正式通報信号である旨の通知を受けると、転送制御部122は、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを転送するように転送部121を制御する。転送部121は、記憶部103の転送先情報記憶部131に記憶されている転送先情報テーブル141を参照して通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを所定の宛先の転送先装置18に転送する。通報信号記録部124は、記憶部103の通報信号記憶部134に記憶されている通報信号受信記録テーブル144にこの処理S11で受信した通報信号に関する情報を登録して正式通報信号のログを記録する。
このように本実施形態に係る通報サーバ装置11は、通報信号を受信すると、まず、この受信した通報信号に収容されている送信元のIPアドレスが仮設アドレス記憶部132の仮設IPアドレス登録テーブル142に登録されている仮設IPアドレスに一致するか否かを判断することによって(主に処理S13)、この受信した通報信号が試験通報信号であるか正式通報信号であるかを判断し認識することができる。
そして、試験通報信号であると判断されると、通報サーバ装置11は、この受信した通報信号に収容されている送信元のポート番号が登録通報機器記憶部133の登録通報機器テーブル143に登録されている通報機器ポート番号に一致するか否かを判断することによって(主に処理S15)、この受信した通報信号を送信した通報機器13に対する試験が終了しているか否かが判断され、試験未了の通報機器13から送信された試験通報信号であるか試験終了済みの通報機器13から送信された正式通報信号であるかを判断し認識することができる。従って、このように判断処理されることによって、通報機器13においてISP−Aとサービス提供契約を締結する前においても仮設のルータ装置12によって当該通報機器13が送信した正式通報信号を処理することができる。このため、仮設のルータ装置12を利用することによって、例えばインターネットマンションにおける販売前の住戸に対して防災や防犯等を監視することができる。
さらに、正式通報信号であると判断されると、通報サーバ装置11は、この受信した通報信号に収容されている送信元のポート番号が登録通報機器記憶部133の登録通報機器テーブル143に登録されている通報機器ポート番号に一致するか否かを判断することによって(主に処理S22)、この受信した通報信号を送信した通報機器13に対する試験が終了しているか否かが判断され、試験未了の通報機器13から送信された正式通報信号であるか試験終了済みの通報機器13から送信された正式通報信号であるかを判断し認識することができる。従って、このように判断処理されることによって、未試験の通報機器13を発見することができる。
そして、通報サーバ装置11は、このような各判断において、試験通報信号であるか正式通報信号であるかの別を含めて通報信号の受信記録を通報信号記憶部134の通報信号受信記録テーブル144に登録する。このため、オペレータは、種別フラグを「E」に指定して通報信号受信記録テーブル144を参照することによって試験中の通報機器13から試験通報信号の受信があったか否かを認識することができ、これを施工者の問い合わせに応じて又は自発的に施工者へ連絡することによって、施工者は、通報機器13の試験結果を認識することができる。従って、施工者は、試験後に試験結果をオペレータに問い合わせればよいから、試験開始の連絡や試験中の連絡等を取り合う必要がなく、連絡の煩わしさ及び連絡の手間が軽減され、連絡ミス、操作ミス及び判断ミス等のミスが軽減される。
以上のように、本実施形態に係る通報サーバ装置11では、通報信号が試験通報信号であるか否かを区別するための構成を通報機器13に備えさせる必要がない。また、試験を実施する時間帯と運用中の時間帯とに時間を分ける必要もない。また、本実施形態にかかる通報システムでは、通報サーバ装置11は、通報システム1の運用中においても通報信号が試験通報信号であるか否かを自動的に区別することができるから、施工者は、通報システム1の運用中においても通報機器13を追加で施工することができ、試験を実施することもできる。
次に、このような通報サーバ装置11を備えた通報システム1に通報機器13を施工し、試験する場合について、より具体的に説明する。
通報機器13の試験を実施する際に、まず、通報サーバ装置11のオペレータは、入力部104を用いて、仮設のルータ装置12に設定されたIPアドレスを仮設IPアドレスとして入力する。通報サーバ装置11のオペレータは、仮設のルータ装置12に設定されたIPアドレスを例えば施工者から連絡を受ける。仮設IPアドレスとして入力されると、通報サーバ装置11は、仮設アドレス記憶部132の仮設IPアドレス登録テーブル142にこのIPアドレスを登録する。また、通報サーバ装置11のオペレータは、入力部104を用いて、転送先情報テーブル141に登録すべき情報を入力する。この情報を受付けると、通報サーバ装置11は、転送先情報記憶部131の転送先情報テーブル141にこの情報を登録する。
一方、施工者は、通報機器13を設置し、通報機器13にプライベートアドレスとしてIPアドレスを設定し、通報機器IPアドレス記憶部341に記憶させる。また、施工者は、通報サーバ装置IPアドレス記憶部342に通報サーバ装置11のIPアドレスを記憶させる。なお、これら通報機器13のIPアドレス及び通報サーバ装置11のIPアドレスの何れか一方又は両方を、製造企業側で製造段階や出荷段階において通報機器13に記憶するように構成してもよい。
そして、施工者は、通報機器13に設定したプライベートアドレス、ISP−Bからサービス提供契約によって割り当てられたIPアドレス、通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号、通報機器13における通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号(NAPTの変換前後の通報機器13を識別するために通報機器13に割り当てたポート番号)を仮設のルータ装置12に設定する。これら情報の設定を受付けると、仮設のルータ装置12は、これら情報を仮設NAPTテーブル記憶部232の仮設NAPT情報テーブル241に登録する。
施工者は、通報機器13を通報システム1に組み込み通報機器13の試験を行うべく、所定の条件を満たすように通報機器13を操作すると、即ち、本実施形態では、煙を通報機器13に近づけると、通報機器13は、検知部303によって所定の条件が満たされた旨が発報処理部302に通知され、発報処理部302によって記憶部304に記憶されている通報機器13のIPアドレス、通報サーバ装置11のIPアドレス及び通報機器13における通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号を用いて通報信号が生成され、通信IF部301によって通報信号が送信される。
通報機器13から送信された通報信号は、ハブ装置14に到達する。通報信号は、ハブ装置14がリピータハブである場合には、この通報信号は、各ポートに分配されて常設のルータ装置15及び仮設のルータ装置12に出力される。ハブ装置14がスイッチングハブである場合には、この通報信号は、常設のルータ装置15に出力されると共に、ミラーポートから仮設のルータ装置12にも出力される。
常設のルータ装置15に受信された通報信号は、この通報機器13がISP−Aと未契約であるため、ルーティング(経路選択)されずに破棄される。一方、仮設のルータ装置12に受信された通報信号は、仮設NAPTテーブル記憶部232における仮設NAPT情報テーブル241を用いてNAPTが実施され、ルーティングされ、ISP−Bのネットワーク16−b及びインターネット17を介して通報サーバ装置11に送信される。
ここで、仮設のルータ装置12におけるこのNAPTについてさらに説明する。
図11は、通報信号のIPデータグラムの構成を示す図である。図11(A)は、通報信号のIPデータグラムの全体構成を示し、図11(B)は、通報信号のIPデータグラムにおけるIPヘッダ部及びTCPヘッダ部の詳細構成を示す。
まず、通報機器13で生成される通報信号のIPデータグラムの構成について説明する。この通報信号のIPデータグラム20は、例えば、図11(A)に示すように、IPヘッダを収容するIPヘッダ部21と、TCPヘッダを収容するTCPヘッダ部22と、例えば通報情報等の送信すべきデータを収容するデータ部23とを備えて構成される。これらIPヘッダ部21及びTCPヘッダ部22の構成をさらに詳述すると、図11(B)に示すように、IPヘッダ部21は、IPがバージョン4である場合には、バージョン情報やヘッダ長等の情報を収容するIPヘッダ情報部A31−aと、このIPデータグラム20の送信元のIPアドレスを収容する送信元IPアドレス部32と、このIPデータグラム20の宛先(送信先)のIPアドレスを収容する宛先IPアドレス部33と、オプションやパディングを収容するIPヘッダ情報部B31−bとを備えて構成される。TCPヘッダ部22は、このTCPパケットの送信元のポート番号を収容する送信元ポート番号部41と、このTCPパケットの宛先(送信先)のポート番号を収容する宛先ポート番号部42と、シーケンス番号や確認応答番号等の情報を収容するTCPヘッダ情報部43とを備えて構成される。
そして、通報機器13で生成された通報信号のIPデータグラム20において、送信元IPアドレス部32には、当該通報機器13のプライベートアドレスのIPアドレスが収容され、宛先IPアドレス部33には、通報サーバ装置11のIPアドレスが収容され、送信元ポート番号部41には、通報サーバ装置11の転送処理プログラム向けのポート番号が収容される。
なお、例えば通報機器13のIPアドレスや通報機器識別子等によって通報機器13が特定され、その結果、データ部23に収容される通報情報等のデータの内容が特定可能である場合には、データ部23は、必ずしも必要ではない。また、IPは、もちろんバージョン6でもよい。
次に、この図11を用いて仮設NAPT部222の動作をより具体的に説明する。通報機器13からハブ装置14を介してこのようなIPデータグラム20の構成を備える通報信号を取り込み受信すると、仮設NAPT部222は、まず、この受信した通報信号のIPデータグラム20における送信元IPアドレス部32及び送信元ポート番号部41に収容されているIPアドレス及びポート番号を取り出す。次に、仮設NAPT部222は、この取り出したIPアドレス及びポート番号に基づいて記憶部203の仮設NAPTテーブル記憶部232に記憶されている仮設NAPTテーブル241のLAN側NAPT情報フィールド2411を検索する。次に、検索した結果、LAN側NAPT情報フィールド2411にこの取り出したIPアドレス及びポート番号と一致するIPアドレス(プライベートアドレス)及びポート番号を検索すると、仮設NAPT部222は、WAN側NAPT情報フィールド2412からこれに対応するIPアドレス(グローバルアドレス)及びポート番号を取り出す。次に、仮設NAPT部222は、取り出したIPアドレス(グローバルアドレス)で送信元IPアドレス部32のIPアドレスを書換え、取り出したポート番号で送信元ポート番号部41のポート番号を書き換える。そして、仮設NAPT部222は、書き換えたIPデータグラムの通報信号をルーティング部221に通知する。
例えば、通報機器13からハブ装置14を介して取り込み受信した通報信号のIPデータグラムにおける送信元IPアドレス部32及び送信元ポート番号部41に収容されているIPアドレス及びポート番号がそれぞれ「192.168.128.12」及び「5000」であるとすると、仮設NAPT部222は、これらIPアドレス(プライベートアドレス)及びポート番号に基づいて仮設NAPT情報テーブル241のLAN側NAPT情報フィールド2411を検索した結果、これらIPアドレス(プライベートアドレス)及びポート番号に対応するIPアドレス(グローバルアドレス)及びポート番号が「150.0.0.1」及び「30002」であると分かるので、IPアドレス(グローバルアドレス)「150.0.0.1」を送信元IPアドレス部32に、そして、ポート番号「30002」を送信元ポート番号部41にそれぞれ書き換える。そして、そして、仮設NAPT部222は、書き換えたIPデータグラムの通報信号をルーティング部221に通知する。
このように送信元IPアドレス部32のIPアドレス及び送信元ポート番号部41のポート番号が書き換えられたIPデータグラムを備える通報信号は、仮設のルータ装置12の中央処理部202におけるルーティング部221によってルーティングされ、ISP−Bのネットワーク16−b及びインターネット17を介して通報サーバ装置11へ送信される。
そして、この通報信号を受信した通報サーバ装置11は、図10に示す処理に従って、処理S11、処理S12及び処理S13を実行し、処理S13でこの受信した通報信号を試験通報信号であると判断し、処理S14及び処理S15を実行し、処理S16でこの受信した通報信号を試験未了の通報機器13による試験通報信号であると判断し、通報信号から取り出したポート番号を登録通報機器テーブル143に通報機器ポート番号として登録すると共に、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージの転送を禁止して通報信号を破棄して試験通報信号のログを記録する。
施工者は、当該通報機器13の試験通報信号が通報サーバ装置11で受信されたか否かの試験結果をオペレータに問合せその連絡を受けることによって、当該通報機器13の施工が正常に完了したか否かを認識することができる。
このような試験を各通報機器13に対して施工者が実施している間に、試験完了済みの通報機器13が検知対象を検知し、通報信号を通報サーバ装置11に送信すると、この通報信号は、ハブ装置14、仮設のルータ装置12、ISP−Bのネットワーク16−b及びインターネット17を介して通報サーバ装置11に受信される。この通報信号を受信した通報サーバ装置11は、図10に示す処理に従って、処理S11、処理S12及び処理S13を実行し、処理S13でこの受信した通報信号を試験通報信号であると判断するが、処理S14及び処理S15を実行した結果、処理S17でこの受信した通報信号を試験終了済みの通報機器13による正式通報信号であると判断し、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを転送先装置18に転送して正式通報信号のログを記録する。
一方、通報機器13の運用が開始され、通報機器13が検知対象を検知し、通報信号を通報サーバ装置11に送信すると、この通報信号は、ハブ装置14、常設のルータ装置15、ISP−Aのネットワーク16−a及びインターネット17を介して通報サーバ装置11に受信される。常設のルータ装置15は、例えば図9(B)に示すNAPTテーブル541に基づいてNAPTを実行するので、この通報信号の送信元IPアドレス部32には常設のルータ装置15のIPアドレスが収容される。この通報信号を受信した通報サーバ装置11は、図10に示す処理に従って、処理S11、処理S12及び処理S13を実行し、処理S13でこの受信した通報信号を正式通報信号であると判断する。
ここで、この通報信号を送信した通報機器13が試験終了済みである場合には、処理S21及び処理S22を実行した結果、処理S23でこの受信した通報信号を試験終了済みの通報機器13による正式通報信号であると判断し、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを転送先装置18に転送して正式通報信号のログを記録する。また、この通報信号を送信した通報機器13が試験未了である場合には、処理S21及び処理S22を実行した結果、処理S24でこの受信した通報信号を試験未了の通報機器13による正式通報信号であると判断し、試験未了であることを出力部105に出力すると共に、通報信号の通報情報に応じた通報メッセージを転送先装置18に転送して正式通報信号のログを記録する。
なお、上述の実施形態では、通報機器13の識別子にポート番号を利用しているために、仮設のルータ装置12は、NAPTルータ装置であるが、ポート番号とは別に通報機器13の識別子を用いる場合には、NAT(Network Address Translation)ルータ装置でもよい。NATルータ装置は、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの間で相互にIPアドレスを変換するネットワークアドレス変換のルータ装置であり、NAPTルータ装置は、これに加えてTCPやUDPのポート番号も変換する。NATルータ装置は、プライベートIPアドレスを持つ複数のノードをグローバルIPアドレスの個数よりも多くサポートすることができるが、NAPTルータ装置は、1つのグローバルIPアドレスでプライベートIPアドレスを持つ複数のノードをサポートすることができる。
そして、上述の実施形態では、通報サーバ装置11は、通報信号を受信すると、この通報信号の通報情報に応じた転送情報を転送先装置18へ転送するように構成したが、転送情報の代わりに通報情報自体を転送するように構成してもよく、また、転送情報の代わりに通報信号自体を転送するように構成してもよい。このように構成することによって通報サーバ装置11の処理を単純にすることができ、より高速に処理を実行することができる。
また、上述の実施形態では、1個の通報機器13に対して1個の転送先装置18を指定するように構成したが、1個の通報機器13に対して複数個の転送先装置18を指定するように構成してもよい。このように構成することによって複数個の転送先装置18に通報機器13から通報信号の送信があった旨を通報することができる。そして、この場合に、転送先装置18ごとに通報メッセージの文面を変更可能に構成してもよい。このように構成することによって転送先装置18のユーザごとに異なる対応を実行させることができる。例えば、一方の転送先装置18に通報する通報メッセージは、通報機器13から通報信号の送信があった旨のみを通知する文面とし、他方の転送先装置18に通報する通報メッセージは、通報機器13から通報信号の送信があった旨及び通報信号の通報情報に応じた行動を促す旨を通知する文面とする。さらに、この場合に、通報メッセージを収容した通信信号を受信した旨(受信応答)を返信するように転送先装置18を構成し、転送先装置18ごとに転送の優先順位を割り当て、転送先装置18から受信応答があるまで優先順位に従って転送先装置18に通報メッセージを転送するように構成してもよい。このように構成することによって適切に通報メッセージを転送することができる。
さらに、上述の実施形態では、通報信号受信記録テーブル144は、受信時刻フィールド1441、通報機器ポート番号フィールド1442、通報情報フィールド1443及び種別フラグ1444の各フィールドを備えて構成したが、必要に応じてさらにフィールド備えてもよい。例えば、転送先装置18へ通報メッセージの通報に成功したか否かを示す情報を登録する転送正否フィールド等である。一方、上述の実施形態では、通報機器13が火災センサの一種類であるので、通報情報は特定されるから、通報情報フィールド1443を省略してもよい。
そして、上述の実施形態では、通報サーバ装置11は、電子メールを利用して通報メッセージを転送先装置18に送信するように構成したが、これに限定されるものではない。転送情報の提示の方法により通報メッセージを音声出力させる制御信号や警報音を鳴動させる制御信号や警報光を発光させる制御信号や振動させる制御信号等の種々がある。
また、上述の実施形態では、オペレータが通報信号の受信記録の中から試験通報信号を検索し出力部105に表示させる際に、種別フラグを「E」に指定して通報信号受信記録テーブル144を検索するように構成したが、種別フラグを「E」に指定するだけでなくさらに時間範囲も指定して通報信号受信記録テーブル144を検索できるように構成してもよい。特に多数の通報機器13を試験する場合に目的の通報機器13が送信した試験通報信号を迅速に検索することができる。
さらに、上述の実施形態では、オペレータが自発的に又は施工者の問合せに応じて通報機器13の試験結果を施工者に連絡するように構成したが、施工者がインターネット17等を介して端末装置から通報サーバ装置11に直接アクセスすることによって施工者自身が通報機器13の試験結果を直接確認することができるように構成してもよい。このように構成することによってオペレータの手間を省くことができる。
そして、上述の実施形態では、処理S15で登録通報機器テーブル143内に一致する通報機器ポート番号がなかった場合には、処理S16において、通報信号判定部123が通報信号のポート番号を登録通報機器テーブル143に通報機器ポート番号として自動的に登録するように構成したが、オペレータが通報信号受信記録テーブル144の受信記録を検索して試験中の通報機器13から試験通報信号を通報サーバ装置11が確かに受信していることを確認した後に、オペレータの指示に基づいて当該通報機器13からの試験通報信号のポート番号を登録通報機器テーブル143に通報機器ポート番号として登録するように構成してもよい。このように構成することによって確実に試験が終了している通報機器13の通報機器ポート番号のみを登録通報機器テーブル143に登録することができる。