JP2006117997A - 金属粉末の高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素系被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製金型 - Google Patents

金属粉末の高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素系被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製金型 Download PDF

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Abstract

【課題】金属粉末の高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素系被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製金型を提供する。
【解決手段】金型は、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン系サーメットからなる金型本体の少なくとも成形面に、マグネトロンスパッタリング装置にて、磁場中成膜された、窒化チタン層および/または炭窒化チタン層で、かつ0.1〜3μmの平均層厚を有する密着接合層を介して、その表面に炭化タングステンターゲットとTiターゲットを用い、炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜する。成膜は、W:10〜40原子%、Ti:0.5〜4原子%、窒素:10〜30原子%、を含有し、残りが炭素と不可避不純物からなり、透過型電子顕微鏡による観察で、炭素系非晶質体の素地に、結晶質炭窒化チタン系化合物の微粒が分散分布した組織を示し、かつ1〜13μmの平均層厚を有する。
【選択図】なし

Description

この発明は、粉末冶金法における金属粉末の圧粉体への高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素系被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製金型(以下、被覆超硬金型という)に関するものである。
一般に、粉末冶金法にて金属焼結体を製造するに際しては、原料粉末である金属粉末を圧粉体にプレス成形する工程がとられるが、前記圧粉体のプレス成形には、例えば中心部に成形孔が貫通するダイスと、前記ダイスの成形孔に嵌挿される上下パンチからなり、必要に応じてコアロッドを備えた金型が用いられている。
また、上記の金型として、
(a)炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)系サーメットからなる金型本体の少なくとも成形面に、
(b)スパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)としてTiターゲットを用い、窒素とArの混合ガス、または炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で形成された、窒化チタン(以下、TiNで示す)層および炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)層のいずれか、または両方からなり、かつ0.1〜3μmの平均層厚を有する密着接合層を介して、
(c)炭化水素の分解ガスとArの混合ガスからなる反応雰囲気で形成された潤滑性非晶質炭素被膜を1〜13μmの平均層厚で蒸着形成してなる、被覆超硬金型が知られている。
さらに、上記の従来被覆超硬金型が、例えば図3(a)に概略平面図で、同(b)に概略正面図で示される通り、カソード電極(蒸発源)がTiターゲットのスパッタリング装置を備えた蒸着装置に上記の金型本体を装入し、ヒータで装置内を、例えば300℃の温度に加熱した状態で、装置内に反応ガスとして窒素とArを、例えば窒素流量:200sccm、Ar流量:300sccmの割合で導入して、例えば1Paの窒素とArの混合ガス、または例えばC(炭化水素)と窒素とArを、例えばC流量:40sccm、窒素流量:200sccm、Ar流量:300sccmの割合で導入して、同じく1PaのCの分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気とし、Tiターゲットのカソード電極(蒸発源)には出力:12kW(周波数:40kHz)のスパッタ電力を印加し、一方上記金型本体には、例えば−100Vのバイアス電圧を印加した条件でグロー放電を発生させ、前記金型本体の表面に、所定層厚のTiN層およびTiCN層のいずれか、または両方の積層からなる密着接合層を形成し、ついで例えば装置内の加熱温度を200℃とした状態で、Cなどの炭化水素とArを、C流量:40〜80sccm、Ar流量:250sccmの割合で導入して、前記窒素とArの混合ガス、または前記Cの分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気を、例えば1PaのCの分解ガスとArの混合ガスからなる反応雰囲気に変え、上記金型本体に印加するバイアス電圧を、例えば−20Vとした条件で、上記密着接合層の上に、所定層厚の潤滑性非晶質炭素被膜を蒸着形成することにより製造されることも知られている。
特開2002−129201号公報
近年のプレス成形加工装置の高性能化はめざましく、一方でプレス成形加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求も強く、これに伴い、プレス成形加工は高速化の傾向にあるが、上記の従来被覆超硬金型においては、これを通常のプレス成形加工条件で用いた場合には問題はないが、特にプレス成形加工を高速で行なった場合には、潤滑性非晶質炭素被膜の摩耗進行が著しく速く、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、特に高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬金型を開発すべく、研究を行った結果、
(a)図2(a)および(b)にそれぞれ概略平面図および概略正面図で示される蒸着装置、すなわちカソード電極(蒸発源)がTiターゲットのスパッタリング装置と、カソード電極(蒸発源)がWCターゲットのスパッタリング装置を備え、前記スパッタリング装置のそれぞれに、電磁コイルを設けてマグネトロンスパッタリング装置とした蒸着装置を用い、前記電磁コイルにより磁場を形成して、装置中心部に設けた回転テーブル上に装着した金型本体における磁束密度を100〜300G(ガウス)とし、前記装置内の加熱温度を300〜500℃とした状態で、かつ装置内に反応ガスとして、例えばCなどの炭化水素と窒素とArを、望ましくはC流量:25〜100sccm、窒素流量:200〜300sccm、Ar流量:150〜250sccmの割合で導入して、反応雰囲気を、例えば1PaのCの分解ガスと窒素とArの混合ガスとすると共に、前記両マグネトロンスパッタリング装置のWCターゲットのカソード電極(蒸発源)には、例えば出力:1〜3kW(周波数:40kHz)のスパッタ電力、同Tiターゲットには、例えば出力:3〜8kW(周波数:40kHz)のスパッタ電力を同時に印加した条件で潤滑性非晶質炭素系被膜の形成を行うと、この結果形成された潤滑性非晶質炭素系被膜は、これの透過型電子顕微鏡による組織観察結果(倍率:250万倍)が図1に模式図で示される通り炭素系非晶質体の素地に、最大径で10nm(ナノメーター)以下の結晶質炭窒化チタン系化合物の微粒[以下、「結晶質Ti(C,N)系化合物微粒」で示す]が分散分布した組織をもつようになること。
(b)上記(a)の潤滑性非晶質炭素系被膜を形成するに際して、蒸着装置内に導入される反応ガスとしての炭化水素と窒素とArのそれぞれの流量と、マグネトロンスパッタリング装置のWCターゲットとTiターゲットに印加されるスパッタ電力を調整して、前記潤滑性非晶質炭素系被膜が、オージェ分光分析装置で測定して、
W:10〜40原子%、
Ti:0.5〜4原子%、
窒素:10〜30原子%、
を含有し、残りが炭素と不可避不純物からなる組成を有するようにすると、この結果形成された潤滑性非晶質炭素系被膜は、結晶質Ti(C,N)系微粒の分散分布効果、および前記電磁コイルによる磁場成膜に際しての細粒化効果で、硬さが著しく向上するようになり、したがって、この潤滑性非晶質炭素系被膜を形成してなる被覆超硬金型は、W成分による強度向上効果と相俟って、高速プレス成形加工でも一段とすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するようになること。
以上(a)および(b)に示される研究結果を得たのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
(a)WC基超硬合金またはTiCN系サーメットからなる金型本体の少なくとも成形面に、
(b)マグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)としてTiターゲットを用い、窒素とArの混合ガス、または炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜された、TiN層およびTiCN層のいずれか、または両方の積層からなり、かつ0.1〜3μmの平均層厚を有する密着接合層を介して、
(c)同じくマグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)として、WCターゲットとTiターゲットを用い、炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜され、オージェ分光分析装置で測定して、
W:10〜40原子%、
Ti:0.5〜4原子%、
窒素:10〜30原子%、
を含有し、残りが炭素と不可避不純物からなる組成を有すると共に、透過型電子顕微鏡による観察で、炭素系非晶質体の素地に、結晶質Ti(C,N)系化合物微粒が分散分布した組織を示し、かつ1〜13μmの平均層厚を有する潤滑性非晶質炭素系被膜を蒸着形成してなる、特に高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素系被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬金型に特徴を有するものである。
つぎに、この発明の被覆超硬金型において、これを構成する密着接合層および潤滑性非晶質炭素系被膜を上記の通りに数値限定した理由を説明する。
(a)密着接合層の平均層厚
TiN層およびTiCN層のいずれか、または両方の積層からなる密着接合層は、金型本体と潤滑性非晶質炭素系被膜の間にあって、これら両者と強固に密着接合し、さらに前記金型本体に対する密着接合性は磁場中成膜によって一層向上したものになるが、その平均層厚が0.1μm未満では、所望のすぐれた密着接合性を確保することができず、一方密着接合性は3μmの平均層厚で十分であることから、その平均層厚が0.1〜3μmと定めた。
(b)潤滑性非晶質炭素系被膜のW含有量
W成分は、上記の潤滑性非晶質炭素系被膜の素地を形成して、被膜の強度を向上させる作用があるが、その含有量が10原子%未満では所望の高強度を確保することができず、一方その含有量が40原子%を越えると被膜の潤滑性が急激に低下するようになることから、その含有量を10〜40原子%と定めた。
(c)潤滑性非晶質炭素系被膜のTiおよびN含有量
Ti成分とN成分、さらにC(炭素)成分は磁場成膜下で結合して、被膜中に最大径で10nm(ナノメーター)以下の結晶質のTi(C,N)系化合物微粒として存在し、被膜の硬さを著しく向上させる作用があるが、その含有量がTi成分が0.5原子%未満、およびN成分が10原子%未満になると、被膜中にTi(C,N)系微粒として存在する割合が少なくなり過ぎて、所望の高硬度を確保することができず、一方その含有量がTi成分が4原子%、およびN成分が30原子%を越えると強度および潤滑性が急激に低下するようになることから、その含有量をそれぞれTi:0.5〜4原子%、N:10〜30原子%と定めた。
(d)潤滑性非晶質炭素系被膜の平均層厚
その平均層厚が1μm未満では、所望の潤滑性および耐摩耗性効果を確保することができず、一方その平均層厚が13μmを越えると、切刃部にチッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜13μmと定めた。
この発明の被覆超硬金型は、これを構成する潤滑性非晶質炭素系被膜の硬さが、これの炭素系非晶質体の素地に、磁場成膜により超微細となった状態で分散分布する結晶質Ti(C,N)系化合物微粒によって著しく向上したものになり、前記炭素系非晶質体の素地がW成分の作用で高強度を具備するようになることと相俟って、各種の金属粉末の高速プレス成形加工で、すぐれた耐摩耗性を発揮し、使用寿命の延命化をもたらすものである。
つぎに、この発明の被覆超硬金型を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも0.8〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3 2 粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで84時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結して、いずれもWC基超硬合金からなり、かつ外径:125mm×貫通中心孔径:35mm×厚さ:60mmの寸法をもったダイス本体(金型本体)A−1〜A−10をそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、Mo2 C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで84時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を2kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結して、いずれもTiCN系サーメットからなり、かつ外径:125mm×貫通中心孔径:35mm×厚さ:60mmの寸法をもったダイス本体(金型本体)B−1〜B−6をそれぞれ製造した。
ついで、上記のダイス本体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図2に示される蒸着装置内の回転テーブル上に、これの中心軸から半径方向に所定距離離れた4ヶ所に3段重ねで装着し、一方側のマグネトロンスパッタリング装置のカソード電極(蒸発源)として、純度:99.9質量%のTiターゲット、他方側のマグネトロンスパッタリング装置のカソード電極(蒸発源)として、純度:99.6質量%のWCターゲットを前記回転テーブルを挟んで対向配置し、
(a)まず、装置内を真空排気して0.01Paの真空に保持しながら、ヒーターで装置内を200℃に加熱した後、Arガスを装置内に導入して0.5Paの圧力のAr雰囲気とし、この状態で前記回転テーブル上の前記ダイス本体に−800Vのバイアス電圧を印加して前記ダイス本体の中心孔(成形面)を含む表面を20分間Arガスボンバード洗浄し、
(b)ついで、前記蒸着装置の対向配置の両マグネトロンスパッタリング装置の電磁コイルに、いずれも電圧:50V、電流:10Aの条件で印加して、前記ダイス本体の装着部における磁束密度を140G(ガウス)とした磁場を形成すると共に、前記蒸着装置内の加熱温度を400℃とした状態で、反応ガスとして窒素とArを、窒素流量:300sccm、Ar流量:200sccmの割合で導入して、1Paの窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気、または反応ガスとしてCと窒素とArを、C流量:50sccm、窒素流量:300sccm、Ar流量:230sccmの割合で導入して、1PaのCの分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気とし、Tiターゲットのカソード電極(蒸発源)には出力:12kW(周波数:40kHz)のスパッタ電力を印加し、一方上記ダイス本体には、−100Vのバイアス電圧を印加した条件でグロー放電を発生させることにより、前記ダイス本体の少なくとも中心孔表面に表3に示される目標層厚のTiN層およびTiCN層のいずれか、または両方の積層からなる密着接合層を形成し、
(c)さらに、前記電磁コイルに印加する条件を、電圧:50〜100V、電流:10〜20Aの範囲内の所定の値として、上記ダイス本体の装着部における磁束密度を100〜300G(ガウス)の範囲内の所定の値とし、前記蒸着装置内の加熱温度は400℃、上記ダイス本体のバイアス電圧は−100Vとしたままで、前記蒸着装置内に反応ガスとして、C(炭化水素)と窒素とArを、C流量:25〜100sccm、窒素流量:200〜300sccm、Ar流量:150〜250sccmの範囲内の所定の流量で導入して、反応雰囲気を、1PaのCの分解ガスと窒素とArの混合ガスとすると共に、前記両マグネトロンスパッタリング装置のWCターゲットのカソード電極(蒸発源)には、出力:1〜3kW(周波数:40kHz)の範囲内の所定のスパッタ電力、同Tiターゲットには、出力:3〜8kW(周波数:40kHz)の範囲内の所定のスパッタ電力を同時に印加した条件で、同じく表3に示される目標組成および目標層厚の潤滑性非晶質炭素系被膜を上記密着接合層の上に蒸着形成することにより、本発明被覆超硬金型としての本発明被覆超硬ダイス1〜16をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、上記ダイス本体A−1〜A−10およびB−1〜B−6のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図3に示されるカソード電極(蒸発源)がTiターゲットのスパッタリング装置を設けた蒸着装置の回転テーブル上に、これの中心軸から半径方向に所定距離離れた位置にリング状に装着し、
(a)まず、装置内を真空排気して0.01Paの真空に保持しながら、ヒーターで装置内を200℃に加熱した後、Arガスを装置内に導入して0.5Paの圧力のAr雰囲気とし、この状態で前記回転テーブル上の前記ダイス本体に−800Vのバイアス電圧を印加して前記ダイス本体の中心孔(成形面)を含む表面を20分間Arガスボンバード洗浄し、
(b)ついで、前記蒸着装置内の加熱温度を300℃とした状態で、装置内に反応ガスとして窒素とArを、窒素流量:200sccm、Ar流量:300sccmの割合で導入して、1Paの窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気、または反応ガスとしてCと窒素とArを、C流量:40sccm、窒素流量:200sccm、Ar流量:300sccmの割合で導入して、1PaのCの分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気とし、Tiターゲットのカソード電極(蒸発源)には出力:12kW(周波数:40kHz)のスパッタ電力を印加し、一方上記ダイス本体には、−100Vのバイアス電圧を印加した条件でグロー放電を発生させることにより、前記ダイス本体の少なくとも中心孔表面に表4に示される目標層厚のTiN層およびTiCN層のいずれか、または両方の積層からなる密着接合層を形成し、
(c)ついで、上記蒸着装置内の加熱温度を200℃とした状態で、CとArを、C流量:40〜80sccm、Ar流量:250sccmの範囲内の所定の流量で導入して、1PaのCの分解ガスとArの混合ガスからなる反応雰囲気とすると共に、上記ダイス本体に印加するバイアス電圧を−20Vとした条件で、上記密着接合層の上に、同じく表4に示される目標組成および目標層厚の潤滑性非晶質炭素系被膜を蒸着形成することにより、従来被覆超硬金型に相当する比較被覆超硬ダイス1〜16をそれぞれ製造した。
この結果得られた本発明被覆超硬ダイス1〜16および比較被覆超硬ダイス1〜16を構成する潤滑性非晶質炭素系被膜について、その組成をオージェ分光分析装置、その層厚を走査型電子顕微鏡を用いて測定したところ、いずれも目標組成および目標層厚と実質的に同じ組成および平均層厚(断面5箇所の平均値)を示し、また、その組織を透過型電子顕微鏡を用いて観察(倍率:250万倍)したところ、前記本発明被覆超硬ダイス1〜16は、炭素系非晶質体の素地に、結晶質のTi(C,N)系化合物微粒(いずれの場合も最大径10nm以下)が分散分布した組織を示し、一方比較被覆超硬ダイス1〜16は、炭素系非晶質体の単一相からなる組織を示した。
つぎに、上記本発明被覆超硬ダイス1〜16および比較被覆超硬ダイス1〜16のそれぞれを工具鋼製ダイホルダ(JIS・SKD61製)に焼き嵌め装着した状態でプレス成形装置にセットし、同じく工具鋼(JIS・SKH51)製上下パンチ(上パンチ:上下動、下パンチ:固定)を用い、
(1)原料粉末:50〜120μmの範囲内の所定の平均粒度を有する粉末を、質量%で、Fe:98.2%、Mo:1.5%、C:0.3%からなる配合組成に配合し、混合してなるFe系合金焼結体製造用混合粉末、
プレス成形最高圧力:700MPa、
プレス成形時間(上パンチの下降開始から上昇終了迄):6秒(通常の前記プレス成形時間は10秒)、
圧粉体寸法:直径35mm×厚さ10mm、
の条件(成形条件Aという)、
(2)原料粉末:40〜100μmの範囲内の所定の平均粒度を有する粉末を、質量%で、Al:92%、Cu:3%、Si:5%からなる配合組成に配合し、混合してなるAl系合金焼結体製造用混合粉末、
プレス成形最高圧力:500MPa、
プレス成形時間(上パンチの下降開始から上昇終了迄):5秒(通常の前記プレス成形時間は8秒)、
圧粉体寸法:直径35mm×厚さ5mm、
の条件(成形条件Bという)、
(3)原料粉末:20〜60μmの範囲内の所定の平均粒度を有する粉末を、質量%で、Cu:65%、Ni:17%、Zn:18%からなる配合組成に配合し、混合してなるCu系合金焼結体製造用混合粉末、
プレス成形圧力:300MPa、
プレス成形時間(上パンチの下降開始から上昇終了迄):3.5秒(通常の前記プレス成形時間は7秒)、
圧粉体寸法:直径35mm×厚さ4mm、
の条件(成形条件Cという)、
でそれぞれ圧粉体を成形する高速プレス成形試験を行ない、いずれの試験でも被覆超硬ダイスの上面(上パンチ側)における最大摩耗深さが1μmに至るまでの圧粉体の成形径個数を測定した。この測定結果を表3,4に示した。
Figure 2006117997
Figure 2006117997
Figure 2006117997
Figure 2006117997
表3,4に示される結果から、潤滑性非晶質炭素系被膜が、炭素系非晶質体の素地に、結晶質のTi(C,N)系化合物微粒が分散分布した組織を有する本発明被覆超硬ダイス1〜16は、いずれもFe系合金、Al系合金、およびCu系合金の焼結体を製造するに際して、原料粉末(金属粉末)の圧粉体へのプレス成形を高速で行なった場合にも、すぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、潤滑性非晶質炭素被膜が、炭素系非晶質体の単一相からなる組織を有する比較被覆超硬ダイス1〜16においては、高速プレス成形加工条件では、前記潤滑性非晶質炭素被膜の摩耗進行がきわめて速く、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆超硬金型は、通常の条件での金属粉末の圧粉体へのプレス成形加工は勿論のこと、特に各種の金属粉末の圧粉体へのプレス成形加工を、高速加工条件で行なった場合にも、すぐれた耐摩耗性を発揮するものであるから、プレス成形加工装置の高性能化、さらにプレス成形加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
この発明の被覆超硬金型を構成する潤滑性非晶質炭素系被膜を透過型電子顕微鏡を用いて組織観察した結果(倍率:250万倍)を示す模式図である。 この発明の被覆超硬金型を構成する密着接合層および潤滑性非晶質炭素系被膜を形成するのに用いた蒸着装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。 比較被覆超硬金型を構成する密着接合層および潤滑性非晶質炭素被膜を形成するのに用いた蒸着装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。

Claims (1)

  1. (a)炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン系サーメットからなる金型本体の少なくとも成形面に、
    (b)マグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)としてTiターゲットを用い、窒素とArの混合ガス、または炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜された、窒化チタン層および炭窒化チタン層のいずれか、または両方の積層からなり、かつ0.1〜3μmの平均層厚を有する密着接合層を介して、
    (c)マグネトロンスパッタリング装置にて、カソード電極(蒸発源)として、炭化タングステンターゲットとTiターゲットを用い、炭化水素の分解ガスと窒素とArの混合ガスからなる反応雰囲気で磁場中成膜され、オージェ分光分析装置で測定して、
    W:10〜40原子%、
    Ti:0.5〜4原子%、
    窒素:10〜30原子%、
    を含有し、残りが炭素と不可避不純物からなる組成を有すると共に、透過型電子顕微鏡による観察で、炭素系非晶質体の素地に、結晶質炭窒化チタン系化合物の微粒が分散分布した組織を示し、かつ1〜13μmの平均層厚を有する潤滑性非晶質炭素系被膜を蒸着形成してなる、金属粉末の高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素系被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製金型。
JP2004307034A 2004-10-21 2004-10-21 金属粉末の高速プレス成形加工で潤滑性非晶質炭素系被膜がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製金型 Expired - Fee Related JP4281666B2 (ja)

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