JP2006111681A - ポリプロピレン系樹脂組成物、それからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成形加工時の熱安定性、剛性と耐衝撃性のバランス、耐熱性、および接液性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、それからなる成形体を提供する。
【解決手段】 (A)ポリプロピレン系樹脂と(B)アルカリ土類金属の水酸化物と(C)酸化防止剤と(D)タルクとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、含有量がそれぞれ下記の重量である(B)〜(D)の各成分を含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
(B)アルカリ土類金属の水酸化物 0.001〜0.5重量部
(C)酸化防止剤 0.01〜5重量部
(D)タルク 0.01〜5重量部
また、上記のポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明はポリプロピレン系樹脂組成物および、その成形体に関するものである。詳しくは、成形加工時の熱安定性、剛性と耐衝撃性のバランス、耐熱性、および接液性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物および、その成形体に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂は、押出、成形加工性、外観、機械的性質、耐薬品性、包装的適性等が優れているため、食品包装、繊維包装等の包装分野、容器、医療用途、コンテナー、家電製品、自動車内外装製品等の分野で幅広く利用されている。
一般的に、ポリプロピレン系樹脂は通常180℃〜300℃の温度領域で、押出機等を用いて加熱溶融混練されペレットにされ、さらに目的とする用途に応じて各種製品に成形加工される。特に射出成形では、200℃以上の温度領域で成形されることが多く、射出成形時の問題としては、射出成形機内のせん断力や高温の熱によって樹脂の分解が促進されること、または、樹脂中に残存するハロゲンや遷移金属等の触媒残さによって樹脂の分解が促進されることであり、十分なの特性を有する射出成形体が得られないことがある。
これらの問題を改良する方法として、従来から中和剤、各種安定剤の添加による改良が行われている。例えば、中和剤としては、高級脂肪酸の金属塩(金属セッケン)、ハイドロタルサイト類が用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
安定剤としては、テトラキス{メチレン 3−(3,5‐ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系酸化防止剤をそれぞれ単独で用いること、または併用することが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4、非特許文献1を参照)。
しかしながら、これらの中和剤や安定剤を併用した場合、ポリプロピレン系樹脂の熱安定性は幾分改良されるものの、高温成形時の熱や、樹脂中に残存する触媒残さ、その触媒残さの失活剤である中和剤等によって、安定剤等が変質或いは分解するために、樹脂の劣化が促進されることがある。また、これらの組成物を用いた成形体を、液体に接するような接液用途に使用した場合、中和剤に由来する成分が液体に抽出され、液体が汚染されることがあった。
そして、近年では、ポリプロピレン樹脂の製造に用いられる触媒活性が高度に改良され、樹脂中に残存する触媒残さの含有量も比較的低水準になったため、無脱灰工程の製造方法が用いられるようになってきたものの、脱灰工程を施したものに比べると、触媒残さ量は、まだ満足いく水準とは云えない(例えば、特許文献5)。
かかる技術の状況の下、中和剤や安定剤の添加が必要不可欠であるポリプロピレン樹脂においては、成形加工時の熱安定性、剛性と耐衝撃性のバランス、耐熱性、および接液性のすべてを満足するまでには、至っていない。
特開昭49−3947号 特開昭52−49258号 特開昭57−209942号 特公昭63−49699号公報 特開平1−272647号 高分子添加剤の最新技術、(株)シーエムシー発行、第11章、1989発行
本発明の目的は、成形加工時の熱安定性、剛性と耐衝撃性のバランス、耐熱性、および接液性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、それからなる成形体を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)アルカリ土類金属の水酸化物と(C)酸化防止剤と(D)タルクとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、含有量がそれぞれ下記の重量である(B)〜(D)の各成分を含有するポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。
(B)アルカリ土類金属の水酸化物 0.001〜0.5重量部
(C)酸化防止剤 0.01〜5重量部
(D)タルク 0.01〜5重量部
また、本発明は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体に係るものである。
本発明によれば、成形加工時の熱安定性、剛性と耐衝撃性のバランス、耐熱性、および接液性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、および、それからなる成形体を得ることができる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分(以下、重合体成分(I)と称する。)と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分(以下、共重合体成分(II)と称する。)からなるポリプロピレン系共重合体等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は単独で使用しても良く、2種以上をブレンドして使用しても良い。
α−オレフィンとしては、特に制限はなく、好ましくは炭素数4〜12のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、さらに好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。
前記重合体成分(I)と前記共重合体成分(II)からなるポリプロピレン系共重合体の重合体成分(I)における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分等が挙げられ、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。
前記共重合体成分(II)におけるエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量は、特に制限はないが、通常0.01〜80重量%である。好ましくは、10〜70%である。さらに好ましくは20〜60%である。
そして、前記重合体成分(I)と前記共重合体成分(II)からなるポリプロピレン系共重合体としては、例えば、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体等が挙げられる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)として、好ましくは、前記重合体成分(I)と前記共重合体成分(II)からなるポリプロピレン系共重合体である。より好ましくは、前記重合体成分(I)がプロピレン単独重合体であり、また、前記共重合体成分(II)がプロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分であるポリプロピレン系共重合体である。
さらに好ましくは、前記重合体成分(I)がプロピレン単独重合体であり、また、前記共重合体成分(II)がプロピレンとエチレンの共重合体成分であり、その共重合体成分の割合がポリプロピレン系共重合体全体に対して5〜30重量%であり、そして、その共重合体成分中のエチレン含有量が20〜60重量%であるポリプロピレン系共重合体である。特に、前記共重合体成分(II)がプロピレンとエチレンの共重合体成分であり、その共重合体成分の割合がポリプロピレン系共重合体全体に対して10〜20重量%であり、そして、その共重合体成分中のエチレン含有量が30〜50重量%であるポリプロピレン系共重合体が、剛性と耐衝撃性とのバランスから好ましい。
本発明で用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂の結晶性は、特に制限はないが、剛性の観点から結晶性が高いものが好ましい。結晶性が高いポリプロピレン系樹脂としては、結晶性の指標として用いられるA.Zambelliらによって発表された方法(Macromolecules 第6巻、第925頁、1973年)に従って求められるポリプロピレン分子中のペンタッド単位でプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率(アイソタクチックペンダット分率と称し、[mmmm]で表す。)が0.95以上のものが好ましい。さらに好ましいのは、0.97以上のものである。
本発明で用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトインデックス(MI)は、特に限定されるものではないが、通常1〜300g/10分の範囲であり、好ましくは5〜100g/20分であり、さらに好ましくは10〜50g/20分であり、加工方法、用途に応じて任意に決定される。
本発明で用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法により製造することができる。重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒、チーグラー・ナッタ型触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系等が挙げられる。
また、重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法、またはそれらを連続的に行う液相−気相重合法等が挙げられ、これらの重合方法は、回分式であってもよく、連続式であってもよい。また、ポリプロピレン系樹脂(A)を一段階で製造する方法であってもよく、二段階以上の多段階で製造する方法であってもよい。特に、前記重合体成分(I)と前記共重合体成分(II)からなるポリプロピレン系共重合体の製造方法として、好ましくは、前記重合体成分(I)を製造する段階と前記共重合体成分(II)を製造する段階からなる少なくとも二段階以上の多段階の製造方法が挙げられる。
また、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)の製造において、ポリプロピレン系樹脂(A)中に含まれる残留溶媒や、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じてポリプロピレン系樹脂(A)をその樹脂(A)が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号公報、特許第2565753号公報に記載の方法等が挙げられる。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂は、種々重合プロセスにより製造されたものを用いることができる。例えば、不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法、またはそれらを連続的に行う液相−気相重合法等で製造されたものである。特に気相重合法で製造されたものが好適に用いられる。
また、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂は、製造時に残存した触媒残さを脱灰処理されたものでも、脱灰処理されないものでも用いることができる。特に高活性触媒で製造され、脱灰処理されたものが好適に用いられる。
本発明に用いられる(B)アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。好ましくは水酸化カルシウムである。特に粉末状のものが分散性に優れるため用いられる。その平均粒子径は特に限定されるものではないが、50μm以下のものが好ましい。特に10μm以下、さらに好ましくは5μm以下のものである。
(B)アルカリ土類金属の水酸化物の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.001〜0.5重量部である。好ましくは0.001〜0.2重量部である。さらに好ましくは0.005〜0.01重量部である。
(B)アルカリ土類金属の水酸化物の含有量が、0.001重量部よりも少量の場合、触媒残さの不活性化が不十分なことがあり、射出金型の腐食(発錆)の問題が発生することがある。また、0.5重量部よりも多い場合は、変色が発生したり、接液性が不十分になることがあり、また、経済的でなくなることがある。
本発明で用いられる(C)酸化防止剤は、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。酸化防止剤とは、ポリプロピレン系樹脂の熱、光、酸素、等による分解を防止する作用を有する化合物である。例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、金属不活性化剤等である。
本発明で用いられる(C)酸化防止剤の含有量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部である。好ましくは0.01〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.2重量部である。
(C)酸化防止剤の含有量が、0.01重量部より少ない場合は、ポリプロピレン系樹脂の成形加工時の熱安定性が不十分なことがあり、成形加工中にポリプロピレン系樹脂の分解が生じることによって、諸特性が悪化することがある。また、5重量部より多い場合は、射出成形機の金型の汚染を生じたり、成形体の色調が悪化したりすることがある。また、成形体の肉厚が薄い製品を加工する際には、その成形品の表面に酸化防止剤がブリードアウトし、白化現象等の表面外観が悪化することがあり、また、経済的でなくなることがある。
本発明で用いられる(C)酸化防止剤として、好ましくは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤である。さらに好ましくは、リン系酸化防止剤および/または硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤と、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を組み合わせた酸化防止剤である。具体的には、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の組み合わせ、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の組み合わせ、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤の組み合わせである。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1)アルキル化モノフェノールの例
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクダデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシル−1’−イル)フェノールおよびそれらの混合物など。
(2)アルキルチオメチルフェノールの例
2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールおよびそれらの混合物など。
(3)ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノンの例
2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペートおよびそれらの混合物など。
(4)トコフェロールの例
トコフェロール類としては、下記一般式(I)で表わされる化合物である。
Figure 2006111681
(I)
式中、R1、R2、R3は水素またはメチル基を示し、どのような組み合わせでもよい。R4は炭素数が1〜16の炭化水素基を示し、例えば、4,8,12−トリメチルトリデシル基{−[(CH23−CH(CH3)]3−CH3}、4,8,12−トリメチル−3,7,11−トリデカトリエニル基{−[(CH22−CH=C(CH3)]3−CH3}を示す。
前者はトコール、後者はトコトリエノールと呼ばれており、天然或いは合成のトコフェロールはすべて一般式(I)で示される。また、トコフェロール類は数種類の同族体の混合物であってもよい。具体的にはα−トコフェロール(5,7,8−トリメチルトコール)、β−トコフェロール(5,8−ジメチルトコール)、γ−トコフェロール(7,8−ジメチルトコール)、δ−トコフェロール(8−メチルトコール)およびこれらの2種以上の混合物など。
(5)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテルの例
2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−t−アミルフェノール)、4,4’−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィドなど。
(6)アルキリデンビスフェノールおよびその誘導体の例
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、
2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−イソブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール ビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル]ブチレート]、
ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、
1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレートおよびそれらの混合物など。
(7)O−、N−およびS−ベンジル誘導体の例
3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートおよびそれらの混合物など。
(8)ヒドロキシベンジル化マロネート誘導体の例
ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートおよびそれらの混合物など。
(9)芳香族ヒドロキシベンジル誘導体の例
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールおよびそれらの混合物など。
(10)トリアジン誘導体の例
2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t− ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレートおよびそれらの混合物など。
(11)ベンジルホスホネート誘導体の例
ジメチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩およびそれらの混合物など。
(12)アシルアミノフェノール誘導体の例
4−ヒドロキシラウリル酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル−N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバネートおよびそれらの混合物など。
(13)β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物など。
(14)β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物など。
(15)β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物など。
(16)3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物など。
(17)β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドの例
N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミンおよびそれらの混合物など。
これらのフェノール系酸化防止剤の中でも特に、下記一般式(II)で示される基を1つ以上有するフェノール系酸化防止剤、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートから選ばれた少なくとも一種、または2種以上を用いることが好ましい。
Figure 2006111681
(II)
(式中、R1、R2は水素、メチル基またはt―ブチル基の何れかを示す。)
一般式(II)で示されるフェノール系酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3(3’,5’ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
またリン系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、
2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイトおよびそれらの混合物など。
特に好ましいリン系酸化防止剤としては、以下のものが挙げられ、これらを2種以上使用してもよい。
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、
2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) 2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイトなど。
またイオウ系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(C1214)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなど。
本発明で用いられる(D)タルクは、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。剛性や耐熱性の観点から、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕したものが好ましい。その分子の結晶構造はパイロフィライト型三層構造を示しており、タルクはこの構造が積み重なったものであり、特に結晶を単位層程度にまで微粉砕した平板状のものが好ましい。
(D)タルクとして用いられるタルクの平均粒子径として、剛性や耐衝撃性等の機械物性の観点から、好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下である。ここでタルクの平均粒子径とは遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
本発明で用いられる(D)タルクの含有量は、0.01〜5重量部であり、好ましくは0.05〜1重量部であり、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。タルクの含有量が、0.01重量部未満である場合、剛性や耐熱性が低下することがあり、5重量部を超えた場合、衝撃強度が不充分なことがある。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でさらに他の添加剤、例えば、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、アンチブロッキング剤、界面活性剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、更には9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホフェナンスレン−10−オキシド等の着色改良剤や、米国特許4,325,853号、4,338,244号、5,175,312号、5,216,053号、5,252,643号、4,316,611号明細書、DE−A−4,316,622号、4,316,876号明細書、EP−A−589,839、591,102号明細書等に記載のベンゾフラン類、インドリン類等の補助安定剤等を多種配合させることもできる。これらの添加剤はもちろん、本発明において用いられる(B)アルカリ土類金属の水酸化物、(C)酸化防止剤、(D)タルクと同時に配合することもできるし、また、別の段階で配合することもできる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂以外の他の樹脂を配合することもできる。例えば、高密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン、高圧ラジカル重合法により製造される低密度ポリエチレン、石油樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム、その他のエラストマー等である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)アルカリ土類金属の水酸化物、(C)酸化防止剤、(D)タルクとを配合し、例えば、溶融押出機、バンバリーミキサー等を使用して、有機過酸化物の存在下または不存在下で溶融混練する方法でメルトフローレートの調整を行うことも可能である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、各種成形加工方法によって加工して、成形品にすることができる。
例えば、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた成形品の製造方法は、通常工業的に用いられている射出成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法等が用いられ、目的に応じて同種のオレフィン樹脂、他樹脂と貼合する成形方法も可能である。
本発明の成形体の形状および、肉厚は特に制限は無いが、肉厚が0.01〜50mmであり、好ましくは0.1〜30mmの範囲である。さらに好ましくは、0.5〜10mmの範囲である。
成形温度範囲としては、特に限定されないが、180〜300℃の範囲が適切である。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、特に250℃以上の高温加工においても、樹脂の劣化が起こりにくく、成形時後における製品性能の安定性の点で優れている。
本発明の成形体は、液体に接する用途に適しており、接する液体は特に限定は無いが、水、アルコール類、および炭化水素類、酸、アルカリなどであり、またそれらの混合物などである。好ましくは、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ベンゼン、キシレン、トルエン、ガソリン、灯油、軽油などである。
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明する。
実施例および比較例で用いた各成分を、以下に示した。
(1)ポリプロピレン系樹脂(A)
(A−1)エチレン−プロピレンブロック共重合体(PP−1)
〔PP−1の製造方法〕
(1−1)固体触媒成分(I)
攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後5℃で1時間、室温でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2Kg/Lになるようにトルエン量を調整した後、105℃で1時間攪拌した。その後、95℃まで冷却し、フタル酸ジイソブチル47.6モル加え、95℃で30分間反応を行った。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにトルエン量を調節後、フタル酸ジイソブチル3.1モル、n−ジブチルエーテル8.9モル及び四塩化チタン274モルを加え、105℃で3時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行った。スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにトルエン量を調節後、n−ジブチルエーテル8.9モル及び四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.4Kgを得た。固体触媒成分はチタン原子1.83重量%、フタル酸エステル8.4重量%、エトキシ基0.30重量%、ブトキシ基0.20重量%を含有していた。この固体触媒成分を、以下固体触媒成分(I)と呼ぶ。
(1−2)予備重合
SUS製3L攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水,脱気したヘキサンにトリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)31.3mmol/L、電子供与体成分としてシクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下CHEDMSと略す)をCHEDMS/TEA=0.1(mol/mol)および固体触媒成分(I)を15g/Lを添加し、15℃以下の温度を保持しながらプロピレンを固体触媒当たり1g/gに達するまで連続的に供給し予備重合を実施した。得られた予備重合体スラリーは120LSUS製攪拌機付きの希釈槽へ移送し充分に精製された液状ブタンを加えて希釈し10℃以下の温度で保存した。
(1−3)本重合
内容積1m3の攪拌機付き流動床気相反応器を2槽直列に配置し、第1槽目においてプロピレン重合体部分を重合し、生成ポリマーを失活することなく第2槽目に連続的に移送し、第2槽目においてプロピレン−エチレン共重合体部分を連続的に重合する気相重合法で実施した。前段第1槽目において、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度7.4vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給した条件下、TEAを31.3mmol/h、CHEDMSを3.1mmol/hおよび(1−2)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分として0.78g/h供給し連続重合を行い、19.9kg/hのポリマーが得られ、ポリマーの極限粘度[η]Pは0.89dl/gであり、そのアイソタクチックペンタッド分率は0.97であった。排出された生成ポリマーは失活することなく後段第2槽目に連続的に供給した。後段第2層目は重合温度65℃、重合圧力1.4MPa、気相部の水素濃度2.45vol%、エチレン濃度20.1vol%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を連続的に供給した条件下に、30.0mmol/hのテトラエトキシシラン(以下TESと略す)を供給しながら連続重合を継続し、25.6Kg/hのポリマーが得られた。得られたポリマーの極限粘度[η]Tは1.10dl/gであり、後段部での重合体含量(EP含量)は14.7重量%であったので、後段部(EP部)で生成したポリマーの極限粘度[η]EPは2.32dl/gであった。又、分析の結果EP部でのエチレン含量は38.8重量%であった。
(A−2)エチレン−プロピレンブロック共重合体(PP−2)
〔PP−2の製造方法〕
内容積45及び32m3の攪拌機及びジャケット付きのSUS製反応器5槽をプロピレンで十分置換し、第一槽圧力をプロピレンで0.5kg/cm2Gに調整し、n−ヘプタンを20m3張った。攪拌機起動後、トリエチルアルミニウム50モルを投入し、該反応器の内温を60〜80℃に昇温したのち、プロピレンで反応圧力を0.4〜0.8MPaに昇圧した。水素濃度を3〜5%に保つよう水素を投入後、固体触媒成分(I)を供給し重合を開始した。反応開始後、槽内の安定を確認して反応圧力を目標の0.45〜0.9MPaまで昇圧し、気相部の水素濃度を4〜5%に保つように供給しながら重合を継続した。生成した重合スラリーは次の反応槽に抜き出され、設定した条件にて引き続き重合継続した。合計5槽の連続した反応槽にて結晶性ポリプロピレン部分(以下P部と省略する)の重合を継続した。P部のポリマーをサンプリングし分析した結果、極限粘度[η]Pは1.05dl/gであり、そのアイソタクチックペンタット分率は0.97であった。
引き続いて、プロピレン及びエチレンにより6〜8番目の反応槽の反応圧力を0.1MPaで保圧しエチレン−プロピレン共重合部(以下EP部と省略する)の重合を開始し、反応温度53℃で反応圧力を2〜4kg/cm2Gに保ちながらプロピレン/エチレンの混合ガスを連続的に供給し、気相部の水素濃度が0.7〜0.8%に保たれるように調整しながらEP部の重合を継続した。生成した重合スラリーは次の反応槽に抜き出され、設定した条件にて引き続き重合継続した。合計3槽の連続した反応槽にてEP部の重合を継続した。
反応器内のポリマースラリーの全量を失活槽へ導きブチルアルコールで失活処理を行った後、該ポリマースラリーを遠心分離することにより固体ポリマーを回収し、ドライヤーにて乾燥して粉末状白色パウダーを得た。極限粘度[η]Tは1.52dl/gであった。
エチレン−プロピレンブロック共重合体であるPP−2は、ポリマー全体の極限粘度[η]Tは1.52dl/gであり、エチレン含量は6.0重量%であった。又、P部とEP部の重合比は、結晶融解熱量の測定結果より計算し重量比で84/16であった。したがってEP部におけるポリマー中のエチレン含量は37.5重量%であり、EP部の極限粘度[η]EPは4.41dl/gであった。
(B)アルカリ土類金属の水酸化物
(B−1)水酸化カルシウム カルテックLT(鈴木工業社製) 平均粒径1.8μm
(C)酸化防止剤
(C−1)3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(商品名:スミライザーGA80:住友化学工業(株)社製)
(C−2)ビス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:Ultranox 626:GEスペシャリティケミカルズ社製)
(C−3):ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート(商品名:スミライザーTPM:住友化学工業(株)社製)
(D)タルク :粉末状タルク (林化成製、ミクロンホワイト(商品名)#5000S) 平均粒径2.7μm(島津製作所(株)製粒度分布測定器SA−CP3L型により測定した。)
また、実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で決定した。
(1)メルトフローレート(MFR:g/10分)
JIS K7210に従い、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、スパン長さが100mmである試験片を用いて、荷重速度は2.5mm/分で、測定温度は23℃で測定した。
(3)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従って、測定した。射出成形により成形された厚みが6.4mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を用いて、測定温度は23℃および−20℃で測定した。
(4)加熱変形温度(HDT、単位:℃)
JIS−K−7207に規定された方法に従って、測定した。ファイバーストレスは0.45MPaで測定した。
(5)固有粘度(単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。固有粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。
結晶性ポリプロピレンについては、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定した。
(5−1)結晶性エチレン−プロピレンブロックコポリマーの極限粘度
(5−1a)プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の極限粘度:[η]P
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度:[η]Pはその製造時に、第1工程であるプロピレン単独重合体の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合体を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体の[η]Pを測定して求めた。
(5−1b)エチレン−プロピレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の極限粘度:[η]EP
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体の第2セグメントであるエチレン−プロピレンランダム共重合体部分の極限粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の極限粘度:[η]Pとエチレン−プロピレンブロック共重合体全体の極限粘度:[η]Tをそれぞれ測定し、エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:X を用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
(5−1c)エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:X
エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xはプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)と結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHfT/(ΔHfP
(ΔHfT:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHfP:プロピレン単独重合体部分の融解熱量(cal/g)
(6)結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体中のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2’)EP
結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2’)EPは、赤外線吸収スペクトル法により結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体のエチレン含量(C2’)T(重量%)を測定し、次式を用いて計算により求めた。
(C2’)EP=(C2’)T/X
(C2’)T:ブロック共重合体全体のエチレン含量(重量%)
(C2’)EP:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量(重量%)
X:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体全体に対する重量比率
(7)アイソタクチック・ペンタッド分率
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,第6巻,第925頁(1973年)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,第8巻,第687頁(1975年)に基づいて行った。
具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。 この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質CRM No.M19−14 Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
(8)熱安定性試験(高温滞留試験)
280℃に設定されたメルトインデクサーのシリンダー内にペレットを6g入れ、押出棒で荷重をかけ、加熱溶融させた状態で15分間滞留させた。その後、溶融樹脂を押出して、滞留物を一旦固化させた後、この滞留物のメルトインデックス(230℃)を測定した。滞留前と滞留後のMI変化が小さい程熱安定性が良好であるとした。
(9)接液性の評価
圧縮成形により、230℃で63mm×63mm×1mm厚みの試験片を作成した。その試験片を4等分し、100ml容積のスクリュービンに入れ、そこへ50mlのエタノールを注ぎ、試験片を浸漬させた。スクリュービンに蓋をして、超音波照射機を用い、50℃で6時間、超音波を連続的に照射した。その後、液体を全量、蒸発皿状に回収し、50℃湯洗器上、窒素を吹きつけ、乾燥を行った。残存物を液体クロマトグラフィー(島津社製 LC−10VP)で、下記の測定条件で、溶出した添加剤の量を定量した。各溶出量を合計した後、表面積あたりの溶出量を求めた。溶出量が少ない場合、接液性が良好であるとした。
〔測定条件〕
移動相:テトラヒドロフラン
流量 :1mL/分
カラム:shodex製 KF−802 8.0mm×300mm×3本直列
カラムオーブン温度:35℃
検出器:示差屈折計(RI)
注入量:100μL
〔射出成形体の製造〕
上記(2)、(3)、(4)の物性評価用試験片には、下記の装置を用いて、前記の溶融混練して得られたペレットを射出成形して得られた射出成形体を使用した。
装置:住友重機製 ネスタールサイキャップ120t
成形温度:220℃
金型設定温度:50℃
実施例1
PP−1 100重量部に対し、水酸化カルシウム0.01重量部、 酸化防止剤C−1を0.025重量部、酸化防止剤C−2を0.05重量部、酸化防止剤C−3を0.075重量部、タルクを0.2重量部配合し、ヘンシェルミキサーであらかじめ混合した。この混合物を40mmφの単軸押出機にて設定温度:200℃、回転数:100rpmで加熱溶融混練しペレットにした。このペレットのMIは27(g/10分)であった。このペレットを用いて接液性評価を行った。結果を表1に示した。
このペレットを用いて熱安定性試験(高温滞留試験)を行ったところ、試験後のMIは40(g/10分)であり、MI比は1.5であった。さらに、このペレットを用いて、上記記載の射出成形により得られる射試験片を用いて曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、および加熱変形温度を測定した。結果を表2に示した。
実施例2
実施例1において、タルクの配合量を1.0重量部に変更した以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。接液性評価結果を表1に示した。また、熱安定性評価、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、および加熱変形温度については、結果を表2に示した。
比較例1
実施例1において、水酸化カルシウムの代わりに、ステアリン酸カルシウム (カルシウムステアレートS:日本油脂(株)製)に変更し、その配合量を0.05重量部に変更した以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。接液性評価結果を表1に示した。また、熱安定性評価、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、および加熱変形温度については、結果を表2に示した。
実施例3
実施例1において、PP−1をPP−2に変更した以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。熱安定性評価、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、および加熱変形温度について、結果を表2に示した。
比較例2
実施例1において、酸化防止剤C−1、酸化防止剤C−2、および酸化防止剤C−3を添加しなかった以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。熱安定性評価、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、および加熱変形温度について、結果を表2に示した。
比較例3
実施例1において、タルクを添加しなかった以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。結果を表2に示した。
Figure 2006111681
Figure 2006111681

Claims (2)

  1. (A)ポリプロピレン系樹脂と(B)アルカリ土類金属の水酸化物と(C)酸化防止剤と(D)タルクとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、含有量がそれぞれ下記の重量である(B)〜(D)の各成分を含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
    (B)アルカリ土類金属の水酸化物 0.001〜0.5重量部
    (C)酸化防止剤 0.01〜5重量部
    (D)タルク 0.01〜5重量部
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008248242A (ja) * 2007-03-07 2008-10-16 Sumitomo Chemical Co Ltd ポリプロピレン組成物
JP2017105972A (ja) * 2015-12-09 2017-06-15 ハンファ トータル ペトロケミカル カンパニー リミテッド コルゲートチューブ(corrugate tube)用ポリプロピレン樹脂組成物およびこれを用いて製造された成形品

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