JP2006111135A - 鉄道車両留置用スコッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉄道車両移動防止用のスコッチ(手歯止め)であって、高重量の貨物車に対しても破損することなく十分な転動防止効果を有するとともに、スコッチを除去せずに誤発進した場合でも、脱輪の恐れがない鉄道車両留置用スコッチを提供する。
【解決手段】 プラスチック製プレス成形品またはブロック状エプラスチックのNC切削加工品であるスコッチブロック二つを対面させて一体化したスコッチ本体と、上部に山型傾斜部を有するくさび状スコッチヘッドからなり、上記スコッチ本体には傾斜支持面を設け、車輪の転動を防止すると共に、スコッチ本体の尾根部に嵌合部を凹設し、これにスコッチヘッドを嵌合させておくことにより、車両が誤発進しスコッチヘッド上に乗り上げた際に、くさび効果によってスコッチ本体を分解させ、脱輪を防止するようにした。
【選択図】 図3

Description

本発明は、鉄道車両の構内留置などにおいて、勾配、風等により車両が移動することを防止するために、車両を支保するためのスコッチ(手歯止め)に関する。とくには貨物車、蒸気機関車のような高重量車両の留置に好適なスコッチに関する。
一般に鉄道車両の車輪は,図8に示すようにレール29上を転動する転動面27を有する車輪本体26と、車輪の軸方向への移動を規制するため車輪本体の外周縁に突出して設けられた脱輪防止用フランジ28とからなっている。車輪径やフランジ突出巾は、電車、気動車、貨物車、電気機関車、デイーゼル機関車、蒸気機関車、客車、新幹線電車などその種類によって異なり、例えば車輪径が730〜1250mmの範囲でフランジ突出巾が25〜35mmの範囲のものが一般的である。
このような鉄道車両を構内などで留置する場合,勾配や風等により車両が移動しないように、種々の形状及び材質のスコッチが使用されてきた。例えばもっとも単純なものとして、金属製もしくは木製であって、レール上に載置される載置面と、載置面の一端から立ち上がり車輪の転動面に対峙する傾斜面を備えたブロック状のものが知られている。しかしながら金属製のものは、転動防止効果は優れるものの、スコッチを除去せずに車両を誤発進させ、車輪がスコッチ上に乗り上げた際にスコッチが破断され難く、フランジ突出巾以上の高さに乗り上げる結果、脱輪する恐れがあった。木製のものは車輪が乗り上げた場合、スコッチが破損し易く上記傾向は少なくなるが、材質差があるので脱輪の恐れは全くないとはいえなかった。また木製のものは耐久性が悪いので、長期の使用に耐えなかった。さらにこれら材質のものは、車輪径に合わせた各種サイズのものを用意する必要があった。
このような欠点を改良するものとして、レールに載置される載置面を有する基台部と、該基台部に設けられ、該基台部の一端部から立ち上がり車輪の転動面に対峙する傾斜面を有する支持部とを備えて全体をプラスチックで形成し、車輪が乗り上げたときに支持部が圧壊するように基台部と支持部の間に空洞部を設けた車両用スコッチが提案されている(特許文献1)。この提案のスコッチによれば、確かに特定の車両に対しては充分な転動防止効果が得られるとともに脱輪防止を可能とするものであったが、車輪の大きさや荷重の大きさ等による使用上の制約があった。例えば、大径の車輪にこの提案のスコッチを使用すると、強度不足でスコッチが破損し易く、充分な転動防止効果が得られなかった。
このような欠点を改善するため、対面する二つのスコッチブロックが分離止め手段により一体化されてなるスコッチ本体と、上部に山型傾斜部を有するくさび状スコッチヘッドとからなり、上記スコッチ本体は、レール上に載置される載置面と、車輪の転動面に対峙し車輪の転動を防止するため載置面端部方向から中心方向に向って載置面上方に斜設された傾斜支持面と、上記スコッチヘッドのくさび部を嵌合させるため傾斜支持面の山頂部に凹設された嵌合部とを備え、上記スコッチヘッドは、そのくさび部がスコッチ本体の上記嵌合部に嵌合するとともに、嵌合位置に設けられたヘッド支持手段によりスコッチ本体に固着されて一体化しており、車輪が上記傾斜支持面を越えスコッチヘッド上に乗り上げたときに、くさび効果によって上記ヘッド支持手段及び分離止め手段を破壊させ、スコッチ本体を分解させるようにしたことを特徴するスコッチが提案されている(特許文献2)。この提案によれば、種々の径の車輪を有する鉄道用車両に対し、少数の装着でも、また少々の悪条件においても転動を防止することが可能であり、スコッチ上に乗り上げた場合にその構造が破壊し、脱線事故を起こす恐れのないスコッチを提供することが可能であった。
特開平10−35942号公報 特開2000−335410号公報
上記後者の提案における具体例として、射出成形によって製造された肉厚部の少ないスコッチが紹介されており、車輪径の異なる種々の鉄道車両に好適であることが示されている。確かにこの具体例で示されているスコッチにおいてはリブ構造を設けることにより高強度品を得ることが可能であり、多くの車両に適用することが可能であったが、強度的には限界があり、高重量の貨物車両用や蒸気機関車用としては、強度不足が問題になることがあった。このためスコッチ本体を肉厚にすることにより強度アップを図ってみたが、射出成形によって製造されたものは、成形時の冷却速度の差により成形上の欠陥が残り、ボイド部ができるなど高強度品を得ることができなかった。とくに貨物用車両においては、複数台の車両を連結させて留置させることが多いのに加え、留置中に車両を連結することが多く、上記のような射出成形によって製造されるスコッチでは、連結の際に発生する衝撃負荷に耐えられない場合があった。
そこで本発明の目的は、貨物用車両に対しても適用可能なスコッチを提供することにある。すなわち貨物用車両の連結時に発生する衝撃に対しても破損することなく車両を支保することができ、充分な転動防止効果を有するスコッチを提供することにある。本発明の別の目的は、誤操作によって車両がスコッチ上に乗り上げた際に、スコッチの構造を破壊することにより、脱線事故を防止することが可能なスコッチを提供することにある。本発明のさらに別の目的は、長期間の繰返し屋外使用によっても性能低下を起こさないスコッチを提供することにある。
すなわち本発明によれば、対面する二つのスコッチブロックが分離止め手段により一体化されてなるスコッチ本体と、上部に山型傾斜部を有するくさび状スコッチヘッドからなり、上記スコッチ本体は、底面部と、車輪の転動面に対峙して車輪の転動を防止するため、底面部の端部方向から中心方向に向かって底面部上方に斜設された傾斜支持面と、傾斜支持面頂部に連接された尾根部と、上記スコッチヘッドのくさび部を嵌合させるため、該尾根部に凹設された嵌合部とを備え、上記スコッチヘッドは、そのくさび部がスコッチ本体の嵌合部に嵌合すると共に嵌合位置に設けられたヘッド支持手段によりスコッチ本体に固着されて一体化しており、スコッチ本体を構成する二つのスコッチブロックは、それぞれプラスチック製プレス成形品又はブロック状プラスチックの数値制御切削加工品である鉄道車両留置用スコッチが提供される。
上記スコッチブロックの製造原反となるブロック状プラスチックとしては、押出成形又はプレス成形で製造されたものが好ましい。
上記スコッチブロックの分離止め手段は、プラスチック製ねじによるねじ止めによるのが好ましい。
スコッチ本体の傾斜支持面は、スコッチ本体の底面部から垂直立ち上がり部を経て設けられることが好ましい。また対面する二つのスコッチブロックが同一形状をなしていることが好ましい。
また上記嵌合位置に設けられたスコッチヘッド支持手段が、スコッチヘッドくさび部の嵌合部に設けられた突起部を、スコッチブロックの嵌合部に設けられた支持孔に嵌合することによって行うのが好ましい。
スコッチブロックの底面部には滑り止め材の嵌合部を有していることが好ましく、使用に際して、該嵌合部にゴム製滑り止め材を固着しておくことが好ましい。該滑り止め材の底面部には切り込み部を有することが好ましい。さらに該滑り止め材は、加硫ゴムで構成されていることが好ましい。
スコッチ本体の側部には、スコッチをレールに拘持するためのスコッチサイドを設けることが好ましい。またスコッチ本体に、スコッチ設置用把手の接続手段を設けることが好ましく、スコッチの設置に際して、そこに把手をつけて操作することが好ましい。
上記スコッチは、好ましくは貨物車両用に用いられる。
本発明によれば、高荷重の貨物用車両や蒸気機関車に対しても破損することなく、優れた転動防止効果を発揮することができる。また貨物用車両を留置中に連結作業を行ってもスコッチが破損することがない。またスコッチをレール上から除去せずに誤発進した場合においては、スコッチヘッドのくさび作用によりスコッチブロックの分離止め手段を破壊することができ、二つのスコッチブロックが分離することによって脱輪を防止することができる。
本発明のスコッチSは、図8に示すように、傾斜支持面3を有するブロック状に形成されたものであり、フランジ28を有する車輪26の転動面27に対峙してレール29上に載置し、その傾斜支持面3により車輪を支保するものである。
スコッチ本体は、底面部と、車輪の転動面に対峙して車輪の転動を防止するため、底面部の端部方向から中心方向に向かって底面部上方に斜設された傾斜支持面と、傾斜支持面頂部に連接された尾根部と、上記スコッチヘッドのくさび部を嵌合させるため、該尾根部に凹設された嵌合部とを備えており、二つのスコッチブロックが分離止め手段により一体化することによって構成されている。上記傾斜支持面は底面部に連接されている必要はなく、経済性、軽量性、車輪による食い込み防止などの観点から、底面部からの立ち上がり部、好ましくは垂直立ち上がり部を経て設けるようにするのが好ましい。
二つのスコッチブロックは、左右対称の同一形状のものを使用することが好ましく、これによりスコッチ制作上のコスト削減を図ることができ、またスコッチ使用時の方向性をなくすことができる。図1はこのようなスコッチブロックBL−1の一例を示す図面であり、(a)は、二つのブロックの対峙面となる背面図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は側面図、(f)は図1(a)のA−A断面における右側面図、(g)は図1(a)のB−B断面における右側面図、(h)は図1(c)のC−C断面における右側面図である。
図1(a)〜(h)において、スコッチブロックBL−1は、底面部1、底面部1の両端部からの立ち上がり部2、立ち上がり部2の頂部に連接され、中央方向に向かう傾斜支持面3及び傾斜部支持面3の頂部に連接された尾根部4を有しており、底面部1には、滑り止め材を嵌合するための嵌合部7が5箇所設けられ、また尾根部4には、スコッチヘッドのくさび部に対する嵌合部を形成するため、尾根部4から斜め下方に向かう嵌合部壁5が形成されている。嵌合部壁5には、後述するスコッチヘッドのくさび部に取り付けられた突起部を着脱可能に嵌合してスコッチヘッドを支持するための支持孔6が2箇所設けられている。スコッチブロックBL−1にはまた、二つのスコッチブロックを結合させて分離止めを行うためにねじ孔8が2箇所設けられている。また後述するスコッチ設置用把手を連結するために、ボルトをスコッチ本体内に装着させ、把手をねじ止めするための把手取り付け孔9が設けられている。さらにスコッチブロックBL−1の対峙面には、二つのスコッチブロックを面合わせするために、円柱状ピンを嵌合するための嵌合孔10が4箇所設けられている。さらにスコッチブロックの外面側には、後述するスコッチサイドを着脱可能に取り付けるための4個一組のスコッチサイド取り付け孔11、12、13、14が二組設けられている。スコッチブロックの傾斜支持面3は、車輪の転動面に当設する部分であり、直線状に形成してもよいが、車輪の転動面との接触面積を増加させるため、車輪形状に追随するように僅かに湾曲させておいてもよい。
本発明においては、このようなスコッチブロックとして、プラスチック製プレス成形品を用いるか又はブロック状プラスチックを原反に用いて、数値制御(NC)切削加工により上記のような形状のものに加工したものを使用するものである。スコッチブロックの原料となるプラスチックとしては、高強度のプラスチックが好ましく、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)が0.1g/10分以下の超高分子量ポリエチレンやポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ABS樹脂などのエンジニアリングプラスチック、これらのアロイあるいはこれらに強化繊維を配合したものなどを使用することができる。また酸化防止剤や光安定剤、カーボンブラックなどの添加剤を任意に配合したものでもよい。これらの中ではとくに超高分子量ポリエチレンを使用すると、とりわけ高強度でしかも耐久性に優れたスコッチブロックを得ることができるので好ましい。このような超高分子量ポリエチレンとしては、例えば、中・低圧法で製造したエチレン単独重合体又はエチレンと少割合の炭素数3以上のα−オレフィン、好ましくはプロピレン、1−ブテンとの共重合体を挙げることができる。
上記プラスチック製プレス成形品は、プラスチックの粉末あるいはペレットを用いて公知の方法によって製造することができる。また数値制御切削加工の原反となるブロック状プラスチックとしてはまた、できるだけ成形歪の少ないものが好ましく、例えば押出成形やプレス成形によって製造されたものを使用するのが好ましい。ブロック形状としては、スコッチブロックを切り取ることができるサイズである限り任意であるが、シート状、円柱状、角柱状などの形状が好ましい。ブロック状物から数値制御切削加工により所定形状の製品を製造する方法はすでによく知られており、本願においても市販の数値制御切削装置を用いて、上記形状となるように数値入力することによって上記形状のスコッチブロックを製造することができる。
スコッチブロックの厚みは、車輪転動面の幅及び二つのスコッチブロックの間隔を勘案して定められるべきものであるが、二つのスコッチブロックの間隔は3〜5mm程度とすることが好ましく、またスコッチ厚みは20〜30mm程度とするのが好ましい。このようにスコッチブロックを、成形歪が少なく、しかも上記のようなプラスチックで肉厚に形成することにより、車両留置時において高負荷がかかった場合においても破損せず、転動防止効果を十分に発揮することが可能なスコッチとすることができる。
図2は、くさび状スコッチヘッドHを示す図面であって、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。スコッチヘッドHは、くさび部15と、ほぼ全面に鋸歯状凹凸を設けた山型傾斜部16とを有し、くさび部15には、中央部に補強リブ17と、下部には、スコッチブロックBL−1の嵌合部壁5に設けられた支持孔6に嵌合してスコッチヘッドHをスコッチ本体に固着するための支持手段となる左右一対の突起部18の二組が一体的に設けられている。スコッチヘッドは、上記したようなプラスチックを用いて射出成形によって製造することができる。
図3〜4は、図1に示すスコッチブロックBL−1の底面部に設けられた嵌合部7にゴム製滑り止め材19を装着したもの二つと、図2に示すスコッチヘッドHを組み立てて形成されたスコッチSを示す図面である。図3(a)はスコッチSの正面図、(b)は上面図、(c)は側面図、(d)は図3(a)のA−A断面図である。また図4において、(a)は、図3(d)のD−D断面における左側面図、(b)はスコッチSの底面図、(c)は図4(a)のB−B断面におけるスコッチSの右側面図、(d)は図4(a)のC−C断面におけるスコッチSの右側面図である。
図3〜4において、2枚のスコッチブロックは、それぞれの4個の嵌合孔10に短尺円柱状面合わせピン20を嵌合させることによって面合わせされており、またそれぞれの2個のねじ孔8を用いて、一方のスコッチブロック側からボルト21を差込み、他方のブロック側からナット22を用いてねじ止めすることにより、両者の間で強固な一体化がなされている。面合わせピン20は、例えば上記したようなプラスチック製のものを使用することができる。またスコッチヘッドHは、2枚のスコッチブロックの嵌合部壁5間で形成された嵌合部にそのくさび部5を、その突起部18が嵌合部壁の支持孔8に嵌合するように載置することによって、スコッチ本体に固着されている。
図3〜4に示すスコッチは、例えば次のようにして組み立てることができる。すなわち図2に示すスコッチヘッドと、図1に示すスコッチブロック2枚と、スコッチブロックの面合わせ用嵌合孔10に嵌合可能な短尺円柱状面合わせピン20を4個用意し、面合わせピン20をそれぞれのスコッチブロックの嵌合孔10に嵌合させるようにして2枚のスコッチブロックを対峙させて組み立て、スコッチヘッドのくさび部を嵌合するための嵌合部を有するスコッチ本体を形成すると共に、スコッチヘッドの突起部18をスコッチブロックの嵌合部壁5に設けられた支持孔6に嵌合させるようにしてスコッチヘッドをスコッチ本体に嵌合させる。次いで二組のボルト21及びナット22を用意し、それぞれのスコッチブロックのねじ孔8を利用して図4(d)に示すようにねじ止めすることにより、スコッチブロックとスコッチヘッドが一体化されたスコッチを形成させることができる。次いで各スコッチブロックの底面部に設けられた嵌合部7にゴム製滑り止め材19を嵌合させることによって、図3〜4に図示したスコッチを完成させることができる。
上記二つのスコッチブロックをねじ止めに使用するボルト21は、両者を強固に結合させる必要がある一方で、車輪がスコッチヘッド上に乗り上げた場合に容易に破損し、両者の結合が破壊される必要がある。したがって適度な強度のものを使用することが好ましく、例えば上記したようなプラスチック製のもの、例えばポリカーボネートやポリアミド製のものを使用するのが好ましい。
また、スコッチの滑り止め材19として使用されるゴム材料としては、線路上での滑り防止のためには、摩擦係数の大きいものが効果的である。またその取り付け面積にも依存するが、硬度が過度に小さいゴム材料を用いると大きな荷重が掛かった場合にスコッチが変形し、スコッチ本来の性能が損なわれる可能性が生じるので、硬度が比較的大きく、また強度の大きい材料を選択するのが望ましい。例えばJISA硬度が50〜95程度、好ましくは60〜90程度のもので、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、SBR、ポリブタジエンゴム、天然ゴムなどが好適な材料である。これらの中では、摩擦熱によって変形しない加硫ゴムの使用が好ましく、とくにSBRは好適な材料である。ゴム製滑り止め材19においてはまた、レール上での滑りを防止するため、図4(b)に示すような切り込み部23を設けることが好ましい。切り込み部における切り込み形状および切り込み箇所は任意に選択することができる。
ゴム製滑り止め材は、図3及び図4の実施例のものにおいては、短尺のもの5個づつを各スコッチブロックに間隔をおいて取り付けたが、種々の変形が可能である。例えば図5及び図6において、別形状の滑り止め材を取り付けたスコッチの例を示す。図5は長尺の滑り止め材を各スコッチブロックに1個づつ取り付けたスコッチを示す図面であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。図5に使用したスコッチブロックBL−2は、図示する滑り止め材24を嵌合するため、底面部1に設けた嵌合孔の形状を変えた以外は、図1で示すスコッチブロックBL−1と全く同一である。この実施例においても、滑り止め材24の底部には、滑り止め材19のものと同様の切り込み23を設けている。
図6は、図3及び図4における短尺の滑り止め材19を2個づつ各スコッチブロックBL−3の両端部に装着し、中間部にはそれより長い滑り止め材25を各スコッチブロックに1個取り付けたスコッチを示す図面であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。図5に使用したスコッチブロックBL−3も、図示する滑り止め材25を嵌合するため、底面部1に設けた嵌合孔の一部形状を変えた以外は、図1で示すスコッチブロックBL−1と全く同一である。この実施例においても、滑り止め材25の底部には、滑り止め材19のものと同様の切り込み23を設けている。
スコッチをレール上に載置する場合、図8に示すように、必要に応じ、スコッチSの把手取り付け孔9に把手30を装着し、この把手を持ってスコッチの傾斜支持面3がフランジ28を有する車輪26の転動面27に当接するように、車輪26とレール29の間に差し込むようにして載置する。あるいは予めスコッチSをレール上の所定位置に載置しておき、車両を移動させて車輪の転動面をスコッチの傾斜支持面と対峙するようにする。スコッチSに把手30を装着するには、すでに述べたようにスコッチブロックを結合する際に、スコッチブロックの対峙面から外方向に向う長手のボルト(図示しない)を取り付け孔9に設けておき、先端部にねじ孔を有する把手を螺合すればよい。ここで使用されるボルトとしては金属製のものが好適である。
スコッチSをレール上に取り付けるに際して,図7に示すような2個の嵌合突起32と2個のねじ孔33を有するスコッチサイド31を、スコッチ本体の両側の取り付け孔11及び14に突起32を嵌合させ、さらにねじ孔33とスコッチブロックのねじ孔12及び13を通してねじ止めしてスコッチに装着しておくことにより、二つのスコッチサイドによりスコッチがレールに拘持され、スコッチの移動やレールからの転落を防止することができる。
スコッチの載置面巾は、レール転動面巾に近似したものかこれより若干狭めに設計しておけばよく、これにより充分な転動防止効果を得ることが可能である。したがってレール巾が少し異なるようなレールにおいても、二枚のスコッチサイド間の距離を調整することにより、1種類のスコッチで対応することが可能である。またスコッチ本体の高さ及び傾斜支持面の傾斜角は、車輪径や車輪のフランジの突出巾などにより定められるべきものであるが、これを適正なものとすることにより、径がかなり異なる車輪に対しても充分な転動防止効果を得ることが可能である。とくに貨物車両においては、転動防止とともに連結などの際の高衝撃に対してスコッチ上への乗り上げを防止するため、スコッチ本体の高さを若干高くすると共に、傾斜支持面3の傾斜角を大きくすることが有効である。
スコッチは,車両を移動させるときには取り外されるが、取り外しを失念して車両を発車させた場合、車両がスコッチ上に乗り上げることがある。この場合、本発明のスコッチにおいては、スコッチヘッド上への乗り上げが開始されるとスコッチヘッドHに力がかかり、そのくさび部分15が下方に押され、ボルト21が破損され、スコッチヘッドの突起部18が破損又は支持孔6から抜け、同時に面合わせピン20が嵌合孔10から外れ、上方における二つのスコッチブロックの結合が解除される。そしてさらにスコッチヘッドが下方に押し下げられ、くさび効果によって二つのスコッチブロックは両側に分解させられる。これらは瞬時に起こるので、乗り上げ高さ、すなわちスコッチの高さ(スコッチヘッド頂部までの高さ)がフランジ28の突出巾を若干超えたとしても、例えば10mm程度超えたとしても脱輪の恐れはない。
このスイッチ機能があまり速く働きすぎると、転動防止能力に不安が残るので、わずかの移動では作動しないようにするには、上記したようにスコッチ本体高さを若干高めにしたり、スコッチブロック本体の傾斜支持面の傾斜角を大きくしたりするのが効果的である。もっとも傾斜支持面の傾斜角があまりに急になりすぎると、車両の荷重に押されてスコッチが滑りやすくなるので好ましくなく、またその傾斜角が緩くなりすぎると、車輪が乗り上げやすくなるので、適正な範囲に調整する必要がある。その一方でスイッチ機能の働きが遅くなりすぎると問題であるので、上記したようにスコッチの高さを最大限、車輪のフランジの突出高さの高さより僅かに大きい程度に抑えると共に、分離防止用ねじ21として容易に破損するようなものを選べばよい。
例えば、スコッチの底面部長さ約200mm、横巾約50mm、スコッチ本体(ゴム製滑り材を含む)高さ約85mm、載置面の立ち上がり部高さ約54mm、傾斜支持面の傾斜角度を底面部から約36度、スコッチブロック間距離4mmとしたスコッチ本体と、高さ約60mm、巾約50×60mm、くさび部高さ約30mmのスコッチヘッドを作製し、高さ約114mmの図3及び図4で示すようなスコッチを組み立てた。スコッチブロックとしては、超高分子量ポリエチレン(商品名:ハイゼックスミリオン240M、三井化学(株)製)からプレス成形により厚み23mmのシート状ブロックを作製し、これを数値制御切削加工により、図1に示す形状に製作したものを用いた。また滑り止め材は、SBR製で、幅は23mm、長さ25mm、高さ19mmで、スコッチブロック底面部からの突出高さは6mmであった。このスコッチ一つを線路上に載置し、巾63.8mm及び65.0mmのレール上で、フランジ突出巾が25mm、径が860mmの車輪を有する貨物車両に対してテストした結果、勾配が5/1000で、8両連結の貨物車(総荷重500t)に対して充分な転動防止効果を示すと共に、1両の貨物車に7両の貨物車をゆっくり連結した場合にも充分な転動防止効果を示した。また乗り上げ試験においてもスイッチ機構が適正に働き、スコッチが分解して脱輪を起こさないことが確認された。
本発明のスコッチには、種々の変形が可能である。例えば上述の各実施例においては、経済性、軽量性、車輪への食い込み防止などを考慮して傾斜支持面は底面部両端からの立ち上がり部を経てその頂部から形成されているが、このような立ち上がり部を設けず、底面部を長く取って、その片端又は両端から直接傾斜支持面を設けるようにすることもできる。また上記実施例において、底面部のみを長くした構造とすることもできる。
スコッチブロックの一例を示す図面であり、(a)は二つのスコッチブロックの対峙面となる背面図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は側面図、(f)はA−A断面の右側面図、(g)はB−B断面の右側面図、(h)はC−C断面の右側面図である。 くさび状スコッチヘッドを示す図面であり,(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 二つのスコッチブロックと、くさび状スコッチヘッドと、滑り止め材とを結合して形成される本発明のスコッチの1例を示す図面であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図、(d)はA−A断面図である。 図3のスコッチを示す他の図面であり、(a)は図3(d)のD−D断面の左側面図、(b)は底面図、(c)はB−B断面の右側面図、(d)はC−C断面の右側面図である。 本発明のスコッチの他の例を示す図面であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。 本発明のスコッチの他の例を示す図面であり、(a)は正面図、(b)は上面図である。 スコッチサイドの斜視図である。 スコッチの使用状態を示す図面である。
符号の説明
S スコッチ
BL スコッチブロック
H スコッチヘッド
1 底面部
2 立ち上がり部
3 傾斜支持面
4 尾根部
5 嵌合部壁
6 支持孔
7 嵌合部
8 ねじ孔
9 把手取り付け孔
10 嵌合孔
11〜14 スコッチ取り付け孔
15 くさび部
16 山型傾斜部
18 突起部
19 ゴム製滑り止め材
20 面合わせピン
21 ボルト
22 ナット
23 切り込み
24〜25 ゴム製滑り止め材
26 車輪
27 転動面
28 フランジ
29 レール
30 スコッチ設置用把手
31 スコッチサイド

Claims (13)

  1. 対面する二つのスコッチブロックが分離止め手段により一体化されてなるスコッチ本体と、上部に山型傾斜部を有するくさび状スコッチヘッドからなり、上記スコッチ本体は、底面部と、車輪の転動面に対峙して車輪の転動を防止するため、底面部の端部方向から中心方向に向かって底面部上方に斜設された傾斜支持面と、傾斜支持面頂部に連接された尾根部と、上記スコッチヘッドのくさび部を嵌合させるため、該尾根部に凹設された嵌合部とを備え、上記スコッチヘッドは、そのくさび部がスコッチ本体の嵌合部に嵌合すると共に嵌合位置に設けられたヘッド支持手段によりスコッチ本体に固着されて一体化しており、スコッチ本体を構成する二つのスコッチブロックは、それぞれプラスチック製プレス成形品又はブロック状プラスチックの数値制御切削加工品である鉄道車両留置用スコッチ。
  2. ブロック状プラスチックが、押出成形又はプレス成形で製造されたものである請求項1記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  3. 二つのスコッチブロックの分離止め手段が、プラスチック製ねじによるねじ止めである請求項1又は2記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  4. スコッチ本体の傾斜支持面が、底面部からの垂直立ち上がり部を経て設けられていることを特徴とする請求項1〜3記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  5. 対面する二つのスコッチブロックが同一形状をなしていることを特徴とする請求項1〜4記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  6. 嵌合位置に設けられたヘッド支持手段が、スコッチヘッドくさび部に設けられた突起部を、スコッチブロックの嵌合部に設けられた支持孔に嵌合するものである請求項1〜5記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  7. スコッチブロック底面部に滑り止め材固着用の嵌合部を有することを特徴とする請求項1〜6記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  8. 上記滑り止め材固着用の嵌合部に、ゴム製滑り止め材を嵌合・固着してなる請求項7記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  9. ゴム製滑り止め材が、その底面部に切り込み部を有することを特徴とする請求項8記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  10. ゴム製滑り止め材が、加硫ゴム製である請求項8又は9記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  11. スコッチ本体側部に、スコッチをレールに拘持するためのスコッチサイドを設けたことを特徴とする請求項1〜10記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  12. スコッチ本体に、スコッチ設置用把手の接続手段を設けたことを特徴とする請求項1〜11記載の鉄道車両留置用スコッチ。
  13. 貨物車両用である請求項1〜12記載の鉄道車両留置用スコッチ。
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