JP2006107943A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 内燃機関の熱損傷または熱劣化を防止することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質記と、改質ガスの少なくとも一部および炭化水素系燃料、または改質ガスの少なくとも一部若しくは炭化水素系燃料により駆動する内燃機関10と、改質ガス及び酸素により発電を行う燃料電池5と、改質ガスを冷却する熱交換器7と、熱交換器7により冷却された改質ガスを内燃機関10に供給する流量制御弁9とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質記と、改質ガスの少なくとも一部および炭化水素系燃料、または改質ガスの少なくとも一部若しくは炭化水素系燃料により駆動する内燃機関10と、改質ガス及び酸素により発電を行う燃料電池5と、改質ガスを冷却する熱交換器7と、熱交換器7により冷却された改質ガスを内燃機関10に供給する流量制御弁9とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、炭化水素系燃料から燃料電池の燃料に用いる改質ガスを生成する改質部を備えた燃料電池システムに関する。
燃料電池は、一般的には水素及び酸素を燃料として電気エネルギーを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れかつ高いエネルギー効率が実現できることから、今後のエネルギー供給システムとして広く開発が進められてきている。
現在、多くの燃料電池においては、改質部によりガソリン、天然ガス、メタノール等の炭化水素系燃料から水素を含む改質ガスが生成され、燃料電池のアノードに供給される。この改質部においては、水蒸気を用いた水蒸気改質反応等により改質が行われている。
近年、上記改質部により改質されなかった燃料をエンジンの燃焼に用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、改質されなかった燃料を有効活用することができる。また、上記改質部により生成された改質ガスを火花点火機関に提供する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この技術によれば、ガソリン及び改質ガス中の水素のいずれか一方または両方を火花点火機関の燃料とすることができ、高い熱効率が得られる。
実開平6−48170号公報
特開平11−311136号公報
しかしながら、改質部から供給される燃料または改質ガスは高温であり、エンジン、火花点火機関等の内燃機関の構成部品の耐熱限界を超えている。そのため、上記内燃機関に熱損傷、熱劣化等が発生する。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、内燃機関の熱損傷または熱劣化を防止することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池システムは、炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質手段と、改質ガスの少なくとも一部および炭化水素系燃料、または改質ガスの少なくとも一部若しくは炭化水素系燃料により駆動する内燃機関と、改質ガス及び酸素により発電を行う燃料電池と、改質ガスを冷却する冷却手段と、冷却手段により冷却された改質ガスを内燃機関に供給する改質ガス供給手段とを備えるものである。
本発明に係る燃料電池システムにおいては、改質手段により炭化水素系燃料から水素を含む改質ガスが生成され、冷却手段により改質ガスが冷却され、冷却された改質ガスが改質ガス供給手段により内燃機関に供給される。したがって、内燃機関の熱損傷または熱劣化を防止することができる。
内燃機関に供給される改質ガスの温度を検出する温度検出手段と、制御手段とをさらに備え、制御手段は、温度検出手段により検出された改質ガスの温度が内燃機関の耐熱温度以下になるように冷却手段を制御してもよい。この場合、改質ガスの温度は、内燃機関の耐熱温度以下に冷却されてから内燃機関に供給される。それにより、内燃機関の熱損傷または熱劣化を確実に防止することができる。
改質ガス供給手段は、アノードから排出される改質ガスを内燃機関に供給し、冷却手段は、燃料電池を冷却することにより改質ガスを冷却してもよい。この場合、改質ガスを冷却する装置を新たに設ける必要がない。それにより、本発明に係る燃料電池システムを小型化することができる。
燃料電池は、水素透過性金属層上にプロトン導電性を有する電解質層が積層された電解質膜を有する水素分離膜型燃料電池であってもよい。この場合、燃料電池の動作温度及び耐熱温度が高くなる。それにより、改質手段により生成された改質ガスを冷却せずに燃料電池のアノードに供給することができる。したがって、改質ガスをアノードに供給する前に冷却する装置等を設ける必要がない。その結果。本発明に係る燃料電池システムを小型化することができる。
本発明によれば、内燃機関の熱損傷または熱劣化を防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池システム100の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、燃料電池システム100は、燃料タンク1、インジェクタ2,11、改質器3、熱交換器4,7、燃料電池5、エアポンプ6,8、流量制御弁9、内燃機関10、制御部12及び温度計13を含む。改質器3は、改質部3a及び燃焼部3bを含む。燃料電池5は水素分離膜電池からなり、アノード5a及びカソード5bを含む。
燃料タンク1は、配管101を介してインジェクタ2に接続されている。インジェクタ2は、改質部3aに接続されている。改質部3aは、配管102を介してアノード5aに接続されている。配管102の一部は、熱交換器4を通る。アノード5aは、配管103を介して燃焼部3bに接続されている。
エアポンプ8は、配管104を介してカソード5bに接続されている。配管104の一部は、熱交換器7及び熱交換器4を通る。カソード5bは、配管105を介して改質部3aに接続されている。エアポンプ6は、配管106を介して燃焼部3bに接続されている。配管106の一部は、燃料電池5を通る。
配管107の一端は配管102の熱交換器4より上流側に接続され、配管107の他端は流量制御弁9に接続されている。また、配管107の一部は、熱交換器7を通る。流量制御弁9は、配管108を介して内燃機関10に接続されている。配管108には温度計13が設けられている。また、燃料タンク1は配管109を介してインジェクタ11に接続されている。インジェクタ11は、内燃機関10に接続されている。
次に、燃料電池システム100の動作について説明する。燃料タンク1には、炭化水素系燃料としてガソリンが貯蔵されている。燃料タンク1は、制御部12の指示に従って配管101を介して必要量のガソリンをインジェクタ2に供給する。インジェクタ2は、制御部12の指示に従って必要量のガソリンを改質部3aに供給する。
改質部3aにおいては、インジェクタ2から供給されたガソリンと後述するカソードオフガスとにより改質ガスが生成される。まず、インジェクタ2から供給されたガソリンとカソードオフガス中の水蒸気とにより水蒸気改質反応が起こり、水素及び一酸化炭素が生成される。次に、生成された一酸化炭素の一部とカソードオフガス中の水蒸気とが反応し、水素及び二酸化炭素が生成される。
改質部3aにおいて生成された改質ガスは、熱交換器4において配管104を流動するエアによって冷却され、アノード5aに供給される。アノード5aにおいては、改質ガス中の水素が水素イオンに変換される。アノード5aにおいて水素イオンに変換されなかった水素及び改質部3aにおいて反応しなかった一酸化炭素は、アノードオフガスとして配管103を介して燃焼部3bに供給され、配管106から供給されるエア中の酸素によって燃焼し、燃料電池システム100の外部へ排出される。この際の燃焼熱は、改質部3aにおける水蒸気改質反応に利用される。
このように、アノードオフガスを燃料とした燃焼熱を改質部3aにおける水蒸気改質反応に利用することから、燃焼用の燃料タンク等を新たに設ける必要がない。それにより、燃料電池システム100を小型化することができる。また、アノードオフガスに含まれる一酸化炭素等の不完全燃焼成分を燃焼部3bにおいて完全燃焼させることができる。それにより、環境汚染を防止することができる。
エアポンプ8は、制御部12の指示に従って燃料電池システム100の外部からエアを配管104に供給する。このエアは、熱交換器7において配管107を流動する改質ガスを冷却し、続いて熱交換器4において配管102を流動する改質ガスを冷却し、カソード5bに供給される。カソード5bにおいては、アノード5aにおいて発生した水素イオンとカソード5bに供給されたエア中の酸素とから水が発生するとともに電力が発生する。発生した水は、燃料電池5において発生する熱によって水蒸気となる。カソード5bにおいて発生した水蒸気及び水素イオンと反応しなかったエアは、カソードオフガスとして配管105を介して改質部3aに供給され、それぞれ水蒸気改質反応に用いられる。
このように、カソード5bにおいて水素イオンと反応しなかったエア及びカソード5bにおいて発生した水蒸気を水蒸気改質反応に用いることから、水タンク等の水蒸気供給手段を新たに設ける必要がない。それにより、燃料電池システム100を小型化することができる。
エアポンプ6は、制御部12の指示に従って燃料電池システム100の外部からエアを配管106に供給する。配管106を流動するエアは、燃料電池5を冷却し、燃焼部3bに供給され、アノードオフガス中の水素及び一酸化炭素の燃焼に用いられる。このように、燃料電池5の冷却用エアを燃焼部3bにおける燃焼に用いることから、アノードオフガスの燃焼用として酸素供給手段を新たに設ける必要がない。それにより、燃料電池システム100を小型化することができる。
配管102に供給された改質ガスの一部は、配管107に供給され、熱交換器7において配管104を流動するエアにより冷却され、流量制御弁9に供給される。流量制御弁9は、制御部12の指示に従って配管108を介して必要量の改質ガスを内燃機関10に供給する。温度計13は、配管108を流動する改質ガスの温度を計測し、その計測結果を制御部12に与える。また、燃料タンク1は、制御部12の指示に従って配管109を介して必要量のガソリンをインジェクタ11に供給する。インジェクタ11は、制御部12の指示に従って必要量のガソリンを内燃機関10に供給する。
このように、熱交換器7において冷却される改質ガスが内燃機関10に供給されることから、内燃機関10の熱損傷または熱劣化を防止することができる。例えば、改質ガスを100℃以下程度まで冷却することにより、内燃機関10に内蔵される吸気系のガスケット、電気部品、電気配線等の熱損傷または熱劣化を防止することができる。また、改質ガスを60℃程度まで冷却することにより、上記熱損傷または熱劣化を確実に防止することができる。
内燃機関10は、吸気室において制御部12の指示に従って改質ガスの少なくとも一部およびガソリン、または改質ガスの少なくとも一部若しくはガソリンと空気とから所定の空燃比で混合気を作り出し、その混合気を燃焼室において燃焼させることによって動作する。また、内燃機関10を覆うように冷却水が流動するウォータージャケット等の冷却装置が設けられている。それにより、混合気の燃焼熱による内燃機関10の熱損傷または熱劣化が防止される。このウォータージャケットの冷却水を配管107の周囲に供給することによって、配管109を流動する改質ガスを冷却する構成としてもよい。この場合、熱交換器7を設ける必要がなくなり、燃料電池システム100を小型化することができる。さらに、改質ガスを内燃機関10の燃焼室に直接噴射する構成としてもよい。この場合、吸気室にガソリンを供給するインジェクタ11の熱損傷または熱劣化を防止することができる。
また、制御部12は、内燃機関10に水素を供給しない場合には、あらかじめ作成されたベースマップに従って内燃機関10の空燃比を制御する。内燃機関10に水素を供給する場合には、制御部12は、内燃機関10に供給される水素量に対応させた希薄燃焼を行うように内燃機関10の空燃比を制御する。この場合、内燃機関10に供給する水素の割合に応じて希薄限界を拡大させることができる。例えば、内燃機関10に供給されるガソリンの燃焼熱が内燃機関10に供給される水素の燃焼熱の5倍になるように、内燃機関10にガソリン及び水素を供給することにより、空気過剰率(理論空燃比に対する比率)を約2まで増加させることができる。それにより、ガソリン消費量が低減され、窒素酸化物の排出量が低減される。
本発明に係る燃料電池システム100のように、燃料電池5及び内燃機関10を備えることにより燃料電池5から発生する電力及び内燃機関10から発生する動力のいずれか一方又は両方を組み合わせることができる。その結果、燃料電池システム100の運転状況に応じた適正な外部出力が可能となる。
図2は、制御部12がエアポンプ8、流量制御弁9、内燃機関10及びインジェクタ11を制御する際に用いるマップである。図2(a)は、配管108を流動する改質ガスの温度と熱交換器7に供給する必要のあるエア量との関係を示すマップである。図2(a)の横軸は配管108を流動する改質ガスの温度を示し、図2(a)の縦軸は熱交換器7に供給する必要のあるエア量を示す。図2(a)に示すように、配管108を流動する改質ガスの温度の2乗に比例して熱交換器7に供給する必要のあるエア量が増加する。制御部12は、図2(a)のマップに基づいてエアポンプ8が配管108に供給するエア量を計算する。
図2(b)は、エアポンプ6,8によるエア供給量とエアポンプ6,8のポンプ回転数との関係を示すマップである。図2(b)の縦軸はエアポンプ6,8のポンプ回転数を示し、図2(b)の横軸はエアポンプ6,8によるエア供給量を示す。図2(b)に示すように、エアポンプ6,8のエア供給量の2乗に比例してエアポンプ6,8のポンプ回転数が増加する。制御部12は、温度計13の計測結果、図2(a)のマップ及び図2(b)のマップに基づいてエアポンプ8を制御する。この場合、制御部12は、配管108を流動する改質ガスの温度が所定の範囲内に保持されるように、エアポンプ8をフィードバック制御またはフィードフォワード制御する。
図2(c)は、内燃機関10の回転数、内燃機関10のトルク及び空気過剰率λとの関係の一例を示すマップである。図2(c)の縦軸は内燃機関10のトルクを示し、図2(c)の横軸は内燃機関10の回転数を示す。図中の破線は、空気過剰率λが1である場合のマップであり、図中の実線は空気過剰率λが2である場合のマップである。図2(c)に示すように、内燃機関10の回転数の増加に伴い内燃機関10のトルクは増加するが、所定の回転数を境界にして内燃機関10の回転数の増加に伴い内燃機関10のトルクは減少する。制御部12は、図2(c)のマップに基づいて流量制御弁9、内燃機関10及びインジェクタ11を制御する。
図3は、本発明に係る燃料電池システム100をハイブリッド自動車に適用した場合の一例を示す模式図である。図3に示すように、ハイブリッド自動車200は、燃料電池システム100、蓄電池21、動力発生装置22、動力伝達装置23、複数の車輪24及び回生装置25を含む。
燃料電池システム100の燃料電池において発生した電力は、動力発生装置22に与えられ、または蓄電池21に蓄えられた後に動力発生装置22に与えられる。動力発生装置22は、コンバータ、インバータ、電動機等を備え、燃料電池システム100または蓄電池21から与えられた電力を軸出力に変換して動力伝達装置に伝達する。動力伝達装置23は、与えられた軸出力を車輪24に伝達する。それにより、ハイブリッド自動車200が動作を開始する。
続いて、ハイブリッド自動車200は、負荷が増加するにしたがって動力を内燃機関に切り替える。まず、動力伝達装置23は、動力発生装置22からの軸出力の供給を停止する。次に、燃料電池システム100の内燃機関により発生した動力が軸出力として動力伝達装置23に与えられる。動力伝達装置23は、与えられた軸出力を車輪24に伝達する。さらに負荷が増大すれば、動力伝達装置23は、燃料電池システム100の内燃機関及び動力発生装置22の両方から与えられる軸出力を車輪24に伝達する。
回生装置25はジェネレータ等を備える。使用者がハイブリッド自動車200を減速させる場合、回生装置25のジェネレータは、車輪24の動力を電力に変換し、変換した電力をバッテリー21に供給する。
このように、本発明に係る燃料電池システム100をハイブリッド自動車に適用することにより、運転状況に応じて電動機及び内燃機関のいずれか一方または両方の動力を選択することが可能である。それにより、熱効率を向上させることができる。
次に、図1の改質部3aにおける炭素析出について説明する。図4は、炭素析出について説明するための図である。図4の縦軸は改質部3aにおけるS/C比を示し、図4の横軸は改質部3aにおける空気過剰率λを示す。ここで、S/C比は、改質部3aに供給される水蒸気と改質部3aに供給されるガソリン中の炭素とのモル比を示す。
図4に示すように、S/C比が1.5以上であれば改質部3aに供給されるガソリンに対して水蒸気が過剰に供給されることになり、炭素が析出することはない。しかしながら、内燃機関10へ供給する改質ガスの量が増大するにつれてカソード5bにおいて発生する水蒸気量が減少する。それにより、改質部3aに供給される水蒸気量が減少し、S/C比が減少する。S/C比が1.5以下になれば、水蒸気改質反応に必要な水蒸気が不足し、改質部3aにおいて炭素が析出し得る。
この場合、エアポンプ8によるエア供給量を増大させることによって改質部3aにおける空気過剰率λを増大させることができる。それにより、改質部3aにおける炭素析出を確実に防止することができる。例えば、S/C比が0になっても、空気過剰率λを0.4以上にすることにより改質部3aにおける炭素析出を確実に防止することができる。
次に、内燃機関10を動作させる場合において、制御部12が行う制御について説明する。図5は、制御部12が行う制御についてのフローチャートを示す図である。
図5に示すように、制御部12は、配管108を流動する改質ガスの温度が所定の温度を超えていないか判定する(ステップS1)。ステップS1において、配管108を流動する改質ガスの温度が所定の温度を超えていると判定された場合には、制御部12は、熱交換器7に供給するエア量を計算する(ステップS2)。この場合、制御部12は、図2(a)のマップに基づいて熱交換器7に供給するエア量を計算する。
次に、制御部12は、ステップS2における計算結果に基づいて、エアポンプ8を制御する。この場合、制御部12は、図2(b)のマップに従ってエアポンプ8を制御する(ステップS3)。以下、制御部12は、ステップS1の動作から繰り返す。ステップS1において、配管108を流動する改質ガスの温度が所定の温度を超えていないと判定されて場合には、制御部12は待機する。
以上のように、熱交換器7において冷却された改質ガスが内燃機関10に供給されることから、内燃機関10の熱損傷または熱劣化を防止することができる。
図6は、制御部12が行う制御についてのフローチャートの他の例を示す図である。図6に示すように、制御部12は、内燃機関10に水素を供給する必要があるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、内燃機関10が高負荷回転または高速回転を行うか否かによって判定する。ステップS11において、内燃機関10に水素を供給する必要があると判定された場合には、制御部12は、内燃機関10に供給する水素量を計算する(ステップS12)。この場合、内燃機関10に供給されるガソリンの燃焼熱が内燃機関10に供給される水素の燃焼熱の5倍になるように、内燃機関10に供給される水素量が計算される。
次に、制御部12は、上記水素量及び燃料電池5の運転に必要な水素量に基づいて改質部3aに供給するガソリンの量を計算する(ステップS13)。次いで、制御部12は、アノード5aにおいて消費される水素量に基づいて、カソード5bから改質部3aに供給される水蒸気量を計算する(ステップS14)。
次に、制御部12は、カソード5bにおいて消費される酸素量及び改質部3aにおいて炭素が析出しないために必要な酸素量に基づいて、エアポンプ8が供給すべきエアの量を計算する(ステップS15)。この場合、図4で説明したグラフに基づいて改質部3aにおいて炭素が析出しないために必要なエアの量が計算される。
次いで、制御部12は、ステップS13における計算結果に基づいてインジェクタ2を制御し、ステップS15における計算結果に基づいてエアポンプ8を制御する(ステップS16)。この場合、制御部12は、図2(b)のマップに従ってエアポンプ8を制御する。
次いで、制御部12は、配管108を流動する改質ガスの温度が所定の温度を超えていないか判定する(ステップS17)。ステップS17において、配管108を流動する改質ガスの温度が所定の温度を超えていると判定された場合には、制御部12は、熱交換器7に供給するエア量を計算する(ステップS18)。この場合、制御部12は、図2(a)のマップに基づいて熱交換記に供給するエア量を計算する。
次に、制御部12は、ステップS20における計算結果に基づいて、エアポンプ8を制御する(ステップS19)。この場合、制御部12は、図2(b)のマップに従ってエアポンプ8を制御する。以下、制御部12は、ステップS11の動作から繰り返す。
ステップS17において、配管108を流動する改質ガスの温度が所定の温度を超えていないと判定されて場合には、制御部12は、ステップS11の動作から繰り返す。
ステップS11において、内燃機関10に水素を供給する必要がないと判定された場合には、制御部12は、燃料電池5の発電に必要な量の水素及び酸素をそれぞれアノード5a及びカソード5bに供給するように、インジェクタ2及びエアポンプ8を制御する(ステップS20)。この場合、制御部12は、図2(b)のマップに従ってエアポンプ8を制御する。以下、制御部12は、ステップS11の動作から繰り返す。
以上のように、内燃機関10へ供給する水素量に応じて内燃機関10内の空燃比を制御することから、熱効率の高い燃焼を実現することができる。また、水蒸気改質反応に必要な水蒸気が不足しても酸素供給量の割合が増加することから、改質部3aにおける炭素の析出を防止することができる。さらに、熱交換器7において冷却された改質ガスが内燃機関10に供給されることから、内燃機関10の熱損傷または熱劣化を防止することができる。
本実施例においては、改質器3が改質手段に相当し、熱交換器7が冷却手段に相当し、温度計13が温度検出手段に相当し、流量制御弁9が改質ガス供給手段に相当し、制御部12が制御手段に相当する。
なお、本実施例においては、燃料電池5として水素分離膜電池を用いたが、他の燃料電池を用いてもよい。例えば、固体酸化物形燃料電池等を用いることもできる。この場合、アノードオフガス中の水蒸気を改質部3aにおける水蒸気改質反応に利用することができる。さらに、炭化水素系燃料としてガソリンを用いたが、天然ガス、メタノール等の他の炭化水素系燃料を用いることもできる。また、動作温度及び耐熱温度の高い水素分離膜電池を燃料電池5として用いれば、改質部3aから供給される改質ガスを冷却せずにアノード5aに供給することができる。それにより、熱交換器4を必ずしも設ける必要はなく、燃料電池システム100を小型化することができる。
図7は、第2実施例に係る燃料電池システム100aの全体構成を示す模式図である。図1の燃料電池システム100と異なる点は、配管107が配管102から分岐せずに配管103から分岐している点、熱交換器7が設けられていない点及び配管104が熱交換器4を通らずに配管105が熱交換器4を通る点である。
本実施例に係る燃料電池システム100aにおいては、アノード5aにおいて燃料電池5の発電に用いられなかった改質ガスが配管107を介して流量制御弁9に供給される。燃料電池5は配管106を流動するエアにより冷却されるので、アノード5aから配管103に供給される改質ガスも冷却される。それにより、内燃機関10の熱損傷または熱劣化を防止することができる。例えば、配管103に供給される改質ガスを100℃〜200℃程度まで冷却することにより、内燃機関10に内蔵される吸気系のガスケット、電気部品、電気配線等の熱損傷または熱劣化を防止することができる。また、改質ガスを60℃程度まで冷却することにより、上記熱損傷または熱劣化を確実に防止することができる。
なお、制御部12は、燃料電池5が発電を行わない場合においても、改質部3aが生成した改質ガスを内燃機関10に供給する場合には燃料電池5にエアを供給するようにエアポンプ6を制御する。それにより、内燃機関10に供給される改質ガスを確実に冷却することができる。
また、燃料電池5において冷却された改質ガスを用いることから、改質部3a図1の燃料電池システム100のように熱交換器7を設ける必要がない。それにより、燃料電池システム100aを小型化することができる。
図8は、制御部12がエアポンプ8を制御する際に用いるマップである。図8は、配管103を流動する改質ガスの温度と燃料電池5に供給する必要のあるエア量との関係を示すマップである。図8の横軸は配管103を流動する改質ガスの温度を示し、図8の縦軸は燃料電池5に供給する必要のあるエア量を示す。図8に示すように、配管103を流動する改質ガスの温度の2乗に比例して燃料電池5に供給する必要のあるエア量が増加する。制御部12は、図8のマップに基づいてエアポンプ6が配管106に供給するエア量を計算する。また、制御部12は、温度計13の計測結果、図2(b)のマップ及び図8のマップに基づいてエアポンプ6を制御する。この場合、制御部12は、配管103を流動する改質ガスの温度が所定の範囲内に保持されるように、エアポンプ6をフィードバック制御またはフィードフォワード制御する。
本実施例においては、燃料電池5が冷却手段に相当する。なお、動作温度及び耐熱温度の高い水素分離膜電池を燃料電池5として用いれば、改質部3aから供給される改質ガスを冷却せずにアノード5aに供給することができることから、熱交換器4は必ずしも設ける必要はない。
1 燃料タンク
2,11 インジェクタ
3 改質器
3a 改質部
3b 燃焼部
4,7 熱交換器
5 燃料電池
5a アノード
5b カソード
6,8 エアポンプ
9 流量制御弁
10 内燃機関
12 制御部
13 温度計
100 燃料電池システム
2,11 インジェクタ
3 改質器
3a 改質部
3b 燃焼部
4,7 熱交換器
5 燃料電池
5a アノード
5b カソード
6,8 エアポンプ
9 流量制御弁
10 内燃機関
12 制御部
13 温度計
100 燃料電池システム
Claims (4)
- 炭化水素系燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質手段と、
前記改質ガスの少なくとも一部および炭化水素系燃料、または前記改質ガスの少なくとも一部若しくは前記炭化水素系燃料により駆動する内燃機関と、
前記改質ガス及び酸素により発電を行う燃料電池と、
前記改質ガスを冷却する冷却手段と、
前記冷却手段により冷却された前記改質ガスを前記内燃機関に供給する改質ガス供給手段とを備えた燃料電池システム。 - 前記内燃機関に供給される前記改質ガスの温度を検出する温度検出手段と、
制御手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された前記改質ガスの温度が前記内燃機関の耐熱温度以下になるように前記冷却手段を制御することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 前記改質ガス供給手段は、前記アノードから排出される前記改質ガスを前記内燃機関に供給し、
前記冷却手段は、前記燃料電池を冷却することにより前記改質ガスを冷却することを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池は、水素分離膜型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
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