JP2006107177A - Ilsのグライドパス装置のgpパス予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 積雪時におけるILSのグライドパス装置のGPパス予測方法に関する。
【解決手段】 一定積雪深または不等積雪深の積雪の誘電率を、誘電率測定センサとして共振型センサにより計測するとともに、各雪深を積雪深計により測定し、一定積雪深または不等積雪深の縦断方向のメッシュのデータ列と、GPアンテナの高さデータとをいずれも少なくとも3点読み込み、GPアンテナから受信点までの距離を可変とする下記(1)〜(5)を繰り返し処理する。(1)メッシュのデータ列から反射点を推定し、(2)反射点、GPアンテナ虚像及び受信点からの伝搬経路を求め、(3)積雪の反射係数を求め、(4)直接波を求め、(5)GP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形データから前方地形の回折波を求める。それぞれ2周波の前記直接波と反射波と回折波とを加算して、ILS受信機の入力信号を求め、機上受信器の受信指示値DDMを求める。
【選択図】 図5

Description

この発明は、計器着陸装置(以下、ILSと記す)におけるグライドパス装置のGPパスが、積雪により生じる空間誤差を監視するためのGPパス予測方法に関し、特にCAT3のためのGPパス予測方法に関するものである。
ILSは、視界不良の場合に使用する着陸システムであり、垂直方向の進入コース情報を与えるグライドパス装置(以下、単にGPと記す)と、水平方向の進入コース情報を与えるローカライザ装置と、空港からの距離情報を与える3つのマーカ装置とにより構成されている。
そのうちGPでは、航空機に水平垂直情報を与えるGPパスの作成に地面からの反射波を利用している。従って、地面反射の反射率が変われば、GPパスも変わることとなるので、降雪地域にある空港では、GP反射面に積もった雪により、反射率が変動し、それにつれてGPパスが変化する。
例えば、図16示すように、GP進入コース90は、GPアンテナの前方300mまでのフレネル反射面83上に設定された3つの反射点(図示せず)からの反射波を利用して形成されるが、フレネル反射面83に雪が積もると反射点が変化するとともに、積雪層内では透過した電波が多重反射する等の理由により、GP進入コース90は複雑に変化する。
一方、GPパスの監視に関するものとしては、フィールドモニタ80がある。このフィールドモニタ80では、GPアンテナ81の前方75mの位置に、フィールドモニタアンテナ82を設置して、モニタ信号を受信して、GPのパス角(3度)の変化、変調度および電界強度を監視している。このように、このフィールドモニタ80では、GP送信装置(図示せず)が故障していないか否かを監視しているものであり、フレネル反射面83上の雪の影響は考慮されておらず、フレネル反射面83上の積雪によるGP進入コース90の変化は全く監視されていない。
即ち、GPのフィールドモニタ80では、地面反射係数の季節変動を一定にするため、GPアンテナ81とフィールドモニタアンテナ82間に電波反射用の金網(図示せず)を敷設するとともに、この金網上に5cm厚のアスファルト舗装を敷いたモニタ反射板84を設置している。しかし、このモニタ反射板84上に積もった雪が融雪するときには、広開口のGPアンテナ81とフィールドモニタアンテナ82との近接位相効果の相乗効果により、モニタ指示値にシステム停止に至る大きな変動が生じることがある。このためフィールドモニタ80ではモニタ反射板84の除雪を頻繁にし、雪の影響を排除している。88はGP反射面中心線である。
実際の積雪によるGP進入コースの変化は、飛行検査以外に監視する方法がないのが実情であるが、その飛行検査も、冬季の気象条件では、視界が悪く、有視界飛行で、即ち、目視での飛行をしなくてはならない飛行検査の実施は、困難であるという問題点がある。
このため、降雪地の空港ではその対処法として、GPアンテナ81から300mに渡ってGP反射面(フレネル反射面)83上の積雪を圧雪したり、除雪したりして、その雪深が30cm以下となるようにし、この30cm領域85aの圧雪面85から傾斜させた傾斜面86から自然積雪面87へと連設した階段状積雪構造にして、GP進入コースが基準値からずれるのを防止するように努めている。しかしながら、冬季の降雪時には、降雪量は時々刻々変化し、その雪深が変動する。そのため、30cm領域85aの圧雪や除雪作業に伴う費用や人手がかさみ、又、飛行検査の結果では、傾斜面86領域においてGP電波が反射して、多重反射が発生し、進入コースのパス幅が広がるという問題がある。
このように、積雪によるGP進入コースの変化を監視する方法は未だ有効なものは確立されていない。さらに、降雪地の空港では、現状のILSを高度運用するニーズが増大してきている。以上のことを勘案すれば、積雪によるGP進入コースの予測技術の開発が急務となっている。
現行の空港で使用されているILSのCAT1(Category 1)では、GP反射面の除雪基準は30cm以下であると規定されているため、降雪時には、常にGP反射面の除雪基準が30cm以下となるように、除雪車両により圧雪除雪される。このように、CAT1では、積雪の雪深のみを用いた除雪基準が用いられている。そのためには、積雪の雪質(雪質により誘電率が異なる)と積雪深を正確に測定する必要である。
そこで、発明者等は、積雪時のGP進入コースの変化を予測する予測システムを提供することを課題とし、この課題を解決する手段としてフレネル反射面83等の積雪の誘電率及びその時の雪深によるパス角変化を求めて高精度のGP進入コースを予測することの出来る方法及びその装置に関する発明をし、すでに特許出願した。
これは、図17に示すように、まず、GP進入コースに影響する積雪の反射面は、一定雪深の圧雪面から傾斜面を介して自然積雪面へと連設する階段状積雪構造のGP反射面とこのGP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形反射面とである。そこで、GP反射面と前方地形反射面との積雪深を、GP反射面に設置されている雪深測定装置115で計測する。
一方、階段状積雪構造を表す形状データを、階段状積雪形状データ発生部116で作成し、この作成した形状データをデータファイルに格納する。さらに、GP反射面の前方に位置する前方地形の前方地形データ111を、前方地形データ発生部117で作成し、この作成した前方地形データをデータファイルに格納する。
次いで、階段状積雪構造をなす積雪の代表的な誘電率を、誘電率発生装置114により計測し、この計測した誘電率をデータファイルに格納するとともに、このデータファイルに格納されている各誘電率のそれぞれ測定時における各雪深を、雪深測定装置115により測定し、グライドパスのGPアンテナ81の高さデータを予測計算装置118に入力し、それぞれ求めた形状データと前方地形データと代表的な誘電率とこの時の前記雪深とを、データファイルから読み出して予測計算装置に入力する。
すると、この予測計算装置118では、階段状積雪構造の圧雪面及び傾斜面における反射係数を、GPアンテナ81から受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各反射係数からそれぞれ反射波の電界強度を求め、同様にして前方地形による電波の波を、順次求めるとともに、これらの求めた各回折波の電界強度を求め、さらに、受信点における直接波を、GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各直接波の電界強度を求める。
予測計算装置118において、GPアンテナ81の高さデータとこのGPアンテナから受信点迄の距離を変えて求めた各反射波と各直接波と各回折波のそれぞれ各電界強度とから、パス角の変化とパス幅の変化とを求めてグライドパスのGP進入コース108を予測するようにしたものである。
特開2002−271091号公報
先に発明者等が出願した発明では、CAT1の除雪方法を採用している。これは、GP反射面に立てた複数の雪深測定装置の積雪深計(実施例では6本)により、GP反射面の積雪深を監視し、積雪表面を完全導体反射モデルに置換して各積雪深計からのデータを平均化して雪深を測定している。しかしながら、GP反射面の除雪基準が30cm以下となるように、除雪車両が走行する際、積雪深計を倒さないように走行するため、図1aに示すように、場所によっては、特に、埋め込まれた積雪深計の近辺では、積雪深が異なる残留積雪部分が発生する。従って、積雪の縦断面は、表層に新雪が堆積する2層から3層構造となる。そのため、積雪表面を完全導体反射モデルに置換して計算するGPパス予測方法では、予測精度が低く、飛行実験結果と合わなかった。そのため、高精度のGPパス方法の開発が要望されている。
さらに、積雪の誘電率は反射法や透過法で測定するため、測定アンテナが大きくなり、そのため、誘電率測定装置が大型となる。このような大型の誘電率測定装置をGP反射面に設置することになるため、反射法や透過法で誘電率を測定することは、その実施が難しくなるとの問題が発生した。そして、より小型の誘電率測定装置が求められていた。
又、青森空港等のような豪雪地帯でも、近い将来、CAT3化(除雪基準は10cm以下と規定されている)が予定されている。しかしながら、CAT3になると、自動着陸を基本モードとする高度な運行方法に切り替わることになるため、積雪によるGPパスの偏位は、重大な事故につながる可能性があり、これは、システムの信頼性が低下する一要因となっているため、GPパスの監視は重要な課題となっている。
積雪時におけるGPパスの偏位は,GP反射面の積雪状態に依存している。そのため、GPパスを監視するためには、積雪状態を監視し、除雪基準に従って除雪作業が行われなければならない。しかしながら、青森空港等のように、積雪量の多い豪雪地帯では、冬季にCAT3の運用を行う場合、現行のCAT1の除雪基準である30cmで、CAT3の除雪基準である10cmの除雪を行うことは、除雪が間に合わなくなるので、除雪基準の大幅な緩和が要望されている。
このような豪雪地帯でILSのCAT3化を図るためには、除雪基準を現行のCAT1の基準である30cm程度迄緩和する必要がある事、さらに、GP反射面の積雪によってGPパスが規定値を逸脱し、ILSの信頼性が低下しないように降雪期には、GPパスを監視し、GPパスを予測する必要がある事との2つの課題の解決を目的とした。
請求項1に係る発明は、GP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形データと、GP反射点が同じ高さに除雪された層構造をなす一定積雪深のスノーデータと、GP反射点が不均一な高さに除雪された層構造をなす不等積雪深のスノーデータとをGP反射面の基本積雪形状データとして、それぞれデータファイルに格納したILSのグライドパス装置のGPパス予測方法において、少なくともアッパー素子、ミドル素子、ロー素子の3素子のアンテナ高、滑走路からのGPアンテナのオフセット量を設定し、基本積雪形状データ、GP反射面の横断勾配データ、縦断勾配データを、データファイルから読み込むとともに、GP反射面をメッシュのデータ列に変換し、一定積雪深または不等積雪深の積雪の誘電率を、誘電率測定センサとして共振型センサにより計測するとともに、各誘電率の測定時における各雪深を積雪深計により測定し、測定した誘電率と、この誘電率の測定時の積雪深と、データファイルから一定積雪深または不等積雪深の縦断方向のメッシュのデータ列と、GPアンテナの高さデータとをいずれも少なくとも3点読み込み、GPアンテナから受信点までの距離を可変とする下記(1)〜(5)を繰り返し処理し、(1)メッシュのデータ列から反射点を推定し、(2)反射点、GPアンテナ虚像及び受信点からの伝搬経路を求め、(3)積雪の反射係数を求め、(4)直接波を求め、(5)GP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形データから前方地形の回折波を求め、このようにして求めたそれぞれ2周波の前記直接波と反射波と回折波とを加算して、ILS受信機の入力信号を求め、このILS入力信号から機上受信器の受信指示値DDMを求めるようにしたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、図形表示部に、少なくともGPパス特性、GPパス幅特性、積雪深と雪質の誤差と予想降雪量に基づくGPパスの誤差計算図、基本積雪形状を表示するようにしたものである。
請求項3に係る発明は、請求項1〜請求項2にそれぞれ記載の発明において、誘電率を測定する誘電率測定センサは、積雪深方向に配列した共振型センサを用いて測定するようにしたものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項2にそれぞれ記載の発明において、誘電率を測定する誘電率測定センサは、大地面に設置する構造の共振型センサを用いて測定するようにしたものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の発明において、積雪の雪質の相違は、誘電率の測定値を用いるようにしたものである。
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5にそれぞれ記載の発明において、一定積雪深に除雪した後、3素子アンテナのいずれか1箇所の反射点の積雪深を、積雪深計により測定するようにしたものである。
請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項5にそれぞれ記載の発明において、不等積雪深に除雪する場合には、3素子アンテナの各反射点の積雪面に、高さの異なる除雪キャップを内挿するようにしたものである。
請求項1に係る発明は、上記のように構成したので、反射波は、GP反射面の積雪面が、縦断方向及び横断方向の3次元の積雪表面形状についても解析可能となり、従来方法より高精度にGPパスを監視し、予測することが出来る。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記のように構成したので、図形表示部に、少なくともGPパス特性、GPパス幅特性、積雪深と雪質の誤差と予想降雪量に基づくGPパスの誤差計算図、基本積雪形状を表示するようにしたから、必要なデータを明確に表示することが出来る。
請求項3に係る発明は、請求項1〜請求項2に記載の発明において、上記のように構成したので、請求項1及び請求項2に記載の発明の効果があるとともに、誘電率を測定する装置としては、従来の測定装置より格段に小型化、軽量化することが出来る。又、従来のセンサは、地中に埋め込まれることによる積雪の膨張収縮に伴う金属疲労が発生し、長期の使用には問題があったが、共振型センサは、積雪深方向に配列されており、従来のように、地中に埋め込む必要はないので、長期使用に対しても耐久性がある。さらに、共振型センサへの積雪量を最小にすることが出来るとともに、共振型センサの下方に、積雪によるひさしのような空洞部分が形成されることもないので、正確な誘電率を測定することが出来る。又、除雪車の邪魔になることもなく、複雑な測定機器の校正も不要である。
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項2に記載の発明において、上記のように構成したので、請求項2に係る発明と同様な効果がある。さらに、除雪車は、大地面に設置されている共振型センサの上を走行可能であるから、除雪作業の邪魔になることもない。又、積雪深が異なる残留積雪部分が発生することもない。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、上記に記載の発明において、上記のように構成したので、積雪の雪質、即ち、みぞれ雪、あられ等のような雪質の相違は、誘電率の相違となるから、その誘電率の測定値を用いることにより、雪質の相違についてもGPパスの予測計算に導入することが出来る。
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5に記載の発明において、上記のように構成したので、除雪作業が容易であるとともに、積雪深が異なる残留積雪部分が発生することもない。さらに、積雪深と誘電率の変化が均一化されるので、1点の測定結果を反射面の雪質として代表させることが出来る。
請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項5に記載の発明において、上記のように構成したので、除雪の際の目印として除雪することが出来るから除雪作業が容易である。さらに、除雪車は除雪キャップ上を通過することも可能であるから、積雪深が異なる残留積雪部分が発生することもない。
少なくともアッパー素子、ミドル素子、ロー素子の3素子のアンテナ高、滑走路からのGPアンテナのオフセット量を設定し、基本積雪形状データ、GP反射面の横断勾配データ、縦断勾配データを、データファイルから読み込むとともに、GP反射面をメッシュのデータ列に変換し、一定積雪深または不等積雪深の積雪の誘電率を、誘電率測定センサとして共振型センサにより計測するとともに、各誘電率の測定時における各雪深を積雪深計により測定し、測定した誘電率と、この誘電率の測定時の積雪深と、データファイルから一定積雪深または不等積雪深の縦断方向のメッシュのデータ列と、GPアンテナの高さデータとをいずれも少なくとも3点読み込む。
次いで、GPアンテナから受信点までの距離を可変とする下記(1)〜(5)を繰り返し処理し、(1)メッシュのデータ列から反射点を推定し、(2)反射点、GPアンテナ虚像及び受信点からの伝搬経路を求め、(3)積雪の反射係数を求め、(4)直接波を求め、(5)GP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形データから前方地形の回折波を求め、このようにして求めたそれぞれ2周波の直接波と反射波と回折波とを加算して、ILS受信機の入力信号を求め、このILS入力信号から機上受信器の受信指示値DDMを求め、図形表示部に、少なくともGPパス特性、GPパス幅特性、積雪深と雪質の誤差と予想降雪量に基づくGPパスの誤差計算図、基本積雪形状を表示する。
この発明の実施例を、図1b〜図15に基づいて詳細に説明する。
図1b〜図1cは、GP反射面の基本積雪深形状をモデル化したもので、図1bはGP反射点が同じ高さに除雪された層構造をなす一定積雪深のGP反射面(以下、単に一定積雪深と記す)、図1cはGP反射点が不均一な高さに除雪された層構造をなす不等積雪深のGP反射面(以下、単に不等積雪深と記す)をそれぞれ示している。
図2は、積雪の誘電率を測定する誘電率測定装置の構成図、図3a〜図3bは除雪キャップ7の斜視図で、図3aはミドル素子アンテナの反射点付近に設置する雪深30cmの除雪キャップ7a、図3bはアッパー素子アンテナとロー素子アンテナの反射点付近に設置する積雪深10cmの除雪キャップ7bである。図4は除雪キャップ7の配置図、図5は予測計算部8の構成図である。
GP反射面の形状は、GPのGPパスの形成に大きな影響がある。例えば、発明者等が実験した青森空港のGP反射面は、図1bに示す一定積雪深の場合及び図1cに示す不等積雪深の場合には、いずれも1.5%の横断勾配と0.15%の縦断勾配を持ち、積雪縦断面の雪質は、下層新雪と上層新雪とがあり、機械圧雪によりしまり雪またはざらめ雪となっている。さらに表層は表層新雪となっている。
図1b〜図1cにおいて、1はGPアンテナ、2は積雪深計、3はGP反射点で、この実施例では3点測定する。4は誘電率測定センサで、この実施例では、積雪深方向に配列した共振型センサ4aと大地面に設置する構造の共振型センサ4bとが使用されている。5は除雪車である。
なお、誘電率測定センサ4として、大地面に設置する構造の共振型センサ4bは、除雪作業の際、除雪車5がこの共振型センサ4bの埋設されている箇所を走行しても破壊されることはないので、残留積雪部分が発生することはない。
図2において、誘電率測定センサ4としての共振型センサ4a、4bとしては、中層、表層の雪質測定用としての積雪深方向に立設されている支柱10に沿って、複数配列されている共振型センサ4aと下層積雪の雪質測定用として大地面設置構造の共振型センサ4bとが使用されている。又、共振型センサ4a、4bは、PTFE(商品名:テフロン(登録商標))等の耐腐食性の誘電体板中に組み入れた平行型2線または3線からなる電気的長さが半波長あるいは1/4波長の形状を有する分布線路型共振器で、UHF帯(1GHz付近)で自由共振する共振器ある。
誘電率測定装置6は、誘電率測定センサ4、共振特性測定用のネットワークアナライザ11、マルチポート同軸切り替え用の同軸スイッチ及び駆動部12、センサ共振線路13、計測器制御とデータ保存用のパソコン(以下、PCと記す)14とから構成される。
誘電率測定センサ4とネットワークアナライザ11は、1対の同軸ケーブル(2ポート)で接続されており、各センサ4との接続を順次切り替えるための同軸スイッチ12の制御は、PC14側からRS232Cインタフェース16を介して行われる。
積雪の複素誘電率の測定は、センサ共振線路13に沿った共振電磁界の一部が誘電体板外へ漏洩しているため、これと相互作用する近傍の積雪の複素誘電率に応じ空気中でのセンサ共振特性に変化が生じる。従って、共振周波数と負荷Q(共振周波数/共振帯域幅)の測定値を、予めデータ保存してある空気中における値と比較することにより、複素誘電率の推定が可能である。センサの自由共振周波数は形状寸法が手ごろとなるUHF帯に設計され、誘電率の測定結果は、目的のGP周波数(330MHz)帯へと変換される。
ネットワークアナライザの制御は、PC14上の自動計測制御プログラムによって、GPIBインタフェースを解して一定間隔で行われ、また、このPC14上の自動計測制御プログラムによって、同軸スイッチ12をも一定時間間隔で制御される。測定誘電率プロファイルデータは測定時刻とともにPC14上のディスプレイ15に表示され、同時にPC14に保存することも可能である
次に、GP反射面の除雪方法について説明する。
まず、図1bに示すように、一定積雪深に除雪した場合について説明する。積雪深一定の除雪を行えば、GP反射面の場所による積雪深と誘電率の変化が均一化される。そのため、誘電率測定センサを積雪に内挿する形式の誘電率の測定装置を適用することができる。誘電率は、1箇所の測定結果をGP反射面の雪質として代表させることが出来る。
そこで、図1bに示すように、まず、一定積雪深に除雪した場合について説明する。一定積雪深に除雪し、積雪の層構造は2層構造(下層と表層)としてGPパスの予測計算を行った。その予測計算結果は、図6及び図7に示す。図6では、下層の積雪深Dsw1=5cm、ε1=1.8−j0.004とし、図7では、下層積雪深Dsw1=10cm、ε1=1.8−j0.004として計算した。表層の積雪深は10cm間隔とし、その誘電率は図6、図7の横軸に示すように、融雪を模擬して、1.0<ε1≦1.3の範囲で可変とした。
図6及び図7から明らかなように、積雪深を、Dsw1+Dsw2=35cm又は40cmとすると、GPパスは急増する。従って、5cm〜15cmの一定積雪深に除雪するとともに、Dsw1+Dsw2>35cm又は40cmになった時には、融雪前に除雪を実施する必要がある。このような除雪体制を実施することができれば、40cm迄の除雪基準に緩和することが出来る。
又、図8は暖冬や降雨によって積雪含水率が増加した場合を模擬した予測計算を示すもので、この図8から明らかなように、一定積雪深状態に除雪し、上層積雪深を30cm、下層積雪深を15cmとした場合、下層積雪深の誘電率を2〜10迄変化させると、GPパスの変化が大幅に減少する。従って、誘電率の変化を監視すれば、寒い時期には、Cdi(機上の指示値)が変動するので、注意深く監視する必要があるが、暖冬、降雨及び降雪末期には、Cdiの変動は生じない。
次に、不等積雪深に除雪した場合について説明する。図1cに示す不等積雪深の場合には、この状態に除雪するのは困難である。そこで、図3a及び図3bに示すように、3素子アンテナの反射点3付近の積雪面に、高さの異なる除雪キャップ7(7a、7b)を、それぞれアッパー素子、ミドル素子及びロー素子の反射点3付近に内挿すれば、除雪車5は、それを目印として、除雪キャップ7の高さに相当する積雪深(例えば、10cm、30cm、10cm)に除雪することが出来る。
図1cに示すように、GPアンテナのミドル素子の反射点3を、30cm高く除雪する必要がある。積雪の層構造を、一定積雪深に除雪した場合と同様に、2層構造(下層と表層)とし、図9に示すように、下層積雪深を、Dsw1=10cm又は35cm(ミドル素子の反射点)に、下層積雪深の誘電率をε1=1.8−j0.004とする。図10に示すように、下層積雪深を、Dsw1=10cm又は30cm(ミドル素子の反射点)に、下層積雪深の誘電率を、ε1=1.8−j0.004とする。又、表層の積雪深を、10cm間隔とし、誘電率を図の横軸に示すように、融雪状態となることを模擬して、1.0<ε1≦1.3の範囲で計算している。
図9及び図10に示すように、2層(下層と表層)の積雪深がDsw1+Dsw2≦60cm以上になると、表層の融雪時にGPパスの変動が急増する。そのため、除雪キャップ7の高さを、10cm、30cm、10cmに設定して、これを目印にして除雪すれば、60cm迄の大幅な緩和が可能となる。
次に、GPパスの予測計算について、図5に基づいて説明する。
図5において、まず、計算開始(ステップ51)にあたって、基本データとして、少なくともアッパー素子、ミドル素子、ロー素子の3素子のアンテナ高、滑走路からのGPアンテナのオフセット量を入力する(ステップ52)。さらに、データファイルからGP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形データを読み込む(ステップ53)。同様に、GP反射面の基本積雪形状データ(スノーデータ)、GP反射面の横断勾配データ、縦断勾配データを、データファイルから読み込む(ステップ53)。GP反射面をメッシュのデータ列に変換する(ステップ55)。なお、この実施例の場合には、GP反射面を20cm幅のメッシュのデータ列に分解している。
ステップ52において、データファイルから読み込むスノーデータは、一定積雪深または不等積雪深の縦断方向のデータ列である。これらのデータ列を読み込むとともに、誘電率測定装置及び積雪深計で測定した誘電率ε1、ε2、ε3と積雪深データDsw1、Dsw2、Dsw3、GPアンテナ素子の高さデータ(この実施例では、4.32m、8.63m、12.95m)を読み込む(ステップ54)。
GPアンテナの座標系は、GPアンテナ基部を原点とする直交座標係である。従来は、GP反射面の縦断方向を考慮した二次元の解析であったが、積雪の残留積雪部分、不等積雪深に変形が生じると、GP反射面は3次元で変形する場合がある。そこで、図11にGP反射面の表面形状が、三次元となる場合の反射波を解析するための模式図として示すように、GP反射面における滑走路の横断勾配、縦断勾配及び縦断方向の積雪形状変化を考慮した三次元の解析となり、式(1)により反射面の表面形状を求める。
ここで、式(1)のスノーデータ(Hsnow)は、図11及び図12に示す不等積雪深用の反射点の積雪形状データ、0.0015は縦断勾配、0.015は横断勾配である。GP反射面の測量データがあれば、この測量データを読み込んで計算する(ステップ52)。
次いで、次の順序で、アンテナから受信点迄の距離を可変とする下記(1)〜(5)の繰り返し処理(Do Loop)を実行する(ステップ55)。まず、繰り返し処理(1)では、GP反射面をメッシュのデータ列に変換するとともに、このメッシュのデータ列から下記のように、反射点の推定を行う(ステップ56)。以下、GP反射面の反射点を、少なくとも3点(アッパー、ミドル、ロー)推定する方法について、図11の模式図を用いて説明する。
まず、繰り返し処理(1)において、実験機の受信点を既知とし、メッシュの横断方向のデータ列を選択し、受信点の水平方向の偏差Dhoが最小になる点を計算する。この操作を縦断方向に一列ずつ移動しながら、随時、各列の偏差Dhoの最小値を推定する。この列ベクトルの中から受信点の高さ方向の偏差Dvoが最小になる点を求める。この点が電波の反射点となる(ステップ56)。
次いで、繰り返し処理(2)において、任意の水平方向の偏差Dhoの最小点を、(Xf、Yf、Zf)とし、その接平面を求め、この接平面に点対称になるGPアンテナの虚像(Xi、Yi、Zi)を求めると、下記式(2)となる(ステップ57)。
ここで、(Xo、Yo、Zo)は、水平方向の偏差Dhoの最小点(Xf、Yf、Zf)の接平面とGPアンテナのZ軸との交点の座標である。ZoxとZoyは、接平面とGPアンテナのZ軸との交点のz成分とy成分を示している。
さらに、式(2)で求めたGPアンテナの虚像と反射点を結ぶ直線から、受信点の高さ方向の偏差Dvoが求められ、縦断方向の列ベクトルのなかで、高さ方向の偏差Dvoが最小になる点を推定する。このようにして、水平方向の偏差Dho及び高さ方向の偏差Dvoの算出理論によれば、GP反射面の反射点を最短方法で探査することが出来る。
次いで、繰り返し処理(3)では、反射係数Γsnowの算出を行う(ステップ58)。3層構造の積雪表面(不積雪深の状態)に、入射角θで水平偏パターン(TE波)のGPデジタルパターンが入射した時の反射係数Γsnow=Zte(θ)の理論式は、下記式(3)で表される(ステップ58)。
ここで、Z3は層構造の積雪表面の入インピーダンスの漸化式であり、下層から順次表層へと計算していく。Z0は自由空間の特性インピーダンスであり、Zgdは大地の誘電率による特性インピーダンス、Zsw3は、各層の特性インピーダンスであり、γsw3は、各層の伝搬常数である。
なお、繰り返し処理(2)では、下記式(4)に示す送受信点の伝搬経路Xdを計算する(ステップ57)。伝搬経路Xdは、アンテナ虚像、反射点及び受信点より計算される(ステップ57)。
次に、繰り返し処理(4)では、反射波は下記式(4)で求められる(ステップ58)。
ここで、伝搬経路Xdは、アンテナ虚像、反射点及び受信点を結ぶ経路である。Γsnowは、TE波(GPでは水平偏波)が多層積雪深に入射した時の積雪面からの反射係数で、積雪表面への入射角、各層構造の積雪深Dsw及び各層の誘電率ε=ε’−jε”から計算される。なお、層構造の積雪深Dsw及び各層の誘電率ε=ε’−jε”は、誘電率測定装置で計測される積雪データである。
次いで、繰り返し処理(4)では、前方の丘による回折波を計算し、直接波を計算する(ステップ59)。このように、図5に示す繰り返し処理では、ステップ56〜ステップ59迄の処理が行われる。
次いで、ILSの受信機の受信信号が3素子のアンテナ高と送受信距離を変えながら、直接波、反射波及び回折波を合成し、受信機の2周波信号復調処理を経て受信機指示値DDMが算出され(ステップ60)、図形表示部にDDMで表示される(ステップ61)。
図形表示部には、GPパス特性図、GPパス幅特性図、地面形状と積雪の層構造の図形、積雪深と雪質の誤差図、予想降雪量を与えるGPパスの誤差計算図が表示され(ステップ61)、終了する(ステップ62)。
なお、この発明によるGPパスの予測計算部では、アンテナから受信点迄の距離を可変とする繰り返し処理を行っているので、ステップ56において入力する誘電率測定装置からの積雪の雪質を表す誘電率の値を可変にして、GPパスの予測計算も行うことが出来る。従って、この発明によるGPパスの予測方法は、如何なる雪質にも適用してGPパスを予測することが出来る。
次いで、発明者等は、残留積雪部分が存在する積雪状態が、GPパス角に与える影響を調査するために、青森空港において、GP反射面の無積雪時や図12の(a)〜(e)図に示す層構造をなす積雪状態について飛行実験を行った。
まず、実験機としては、MuPAL−α(ドルニエ機)を使用して飛行実験を行った。なお、この実験機は、GPS補強型の慣性航法システム(GPS Aided Inertial-Navigation Avionics, 略称GAIA)を搭載しており、GPS補正信号を地上から受信することにより、自機位置を誤差1m以下の精度で測位することが出来る。
飛行実験では、15km遠方でパスにインターセプトし、その後、3度のGPパスの受信機データを収集する。風によって実験機はGPパスから離脱するため、ILSの受信機出力から航空機のパス偏位量を補正して、パス特性(DDM:Difference of Depth of Modulation)を求める。これによりGPアンテナの前方地形や地面構造の影響を求めた。
さらに、機体の離脱量は、搬送波位相を利用したDGPSによる測位データによって求めた。
ここで、飛行実験を行った時の積雪状態は、以下の通りである。
図12の(a)図に示すように、反射点はGPアンテナから80mの等間隔の位置、即ち、それぞれGPアンテナから80m(Hlow)、160m(Hmid)、240m(Hupr)の位置に発生し、3つの素子反射点付近の残留積雪深を示し、除雪後に場所によって残留積雪が生じている。図12の(b)図〜(e)図は、GP反射面の残留積雪と積雪の層構造を示すもので、(b)図は平成15年1月の積雪状態、(c)図は平成15年2月の積雪状態、(d)図は16年2月3日の積雪状態、(e)図は16年2月19日の積雪状態を示している。積雪状態は、2層から3層の層構造になっている。誘電率は反射点付近の誘電率を測定した。図中に記載した誘電率の値は、測定値の平均値を示している。なお、除雪は、ブルドーザで行うため、積雪面の中層と下層は硬いしまり雪、ざらめ雪になり、表層は新雪が堆積した状態となっている。
ここで、ICAOで定められているGP反射面の除雪基準及びその時のGPパス上下偏位についてのICAOのパス規格値は、それぞれCAT1では、除雪基準30cm以下、パス規格値±30μAであり、CAT3では、除雪基準10cm以下、パス規格値±25〜±30μAである。
表1は、4回の積雪時の飛行実験結果をまとめたもので、積雪時のGPパス特性を無積雪時と比べると、積雪時には+側あるいは−側に偏位している。
この表1から、(1)〜(2)のことが判明した。(1)同一進入コースを飛行した時の複数のデータからデータの再現性を求めると、積雪時、無積雪時を問わず、GPパスの変化は、±0.02度以下である。(2)無積雪時と比較すると、積雪時の場合には、GPパスが、約0.02度+側に偏位する場合と、約0.03度−側に偏位する場合とがある。この結果、積雪時におけるGPパスの偏位は最大0.15度、平均0.05度以下であることが判明した。
又、図13は、表1に示す飛行実験結果をグラフに表示したもので、横軸はGPアンテナから受信点迄の距離(km)、縦軸はDDM(μA)を示している。
この図13からも明らかであるように、GPアンテナからの距離が、14kmより遠方の場合と2kmより近傍の場合には、DDMの変動が急増している。その原因としては、風による姿勢の変化や航空機の着陸、降下、GPパスとの会合段階の姿勢によるものであると考えられる。特に、2kmより近傍では、GPアンテナの開口面による経路差の影響で変動が生じる。しかしながら、GPナンテナから3km〜13kmの区間では、DDMの変動が±5μA以下となり、直線性も良好であった。
又、図13中の15/1(平成15年1月測定)と15/2(平成15年2月測定)、16/2/3(平成16年2月3日測定)と16/2/19(平成16年2月19日測定)は、降雪期間の1ヶ月が経過したときの実験データで、互いに5μAから10μAの上下偏位が生じている。これが天候による積雪形成過程の相違による影響であり、降雪期間中、GPパスは、反射面の積雪状態によって上下変化を生じると予測可能である。
次いで、発明者等は、この発明による予測方法に基づいて、図12の(b)〜(e)に示す層構造の積雪面の時のGPパスの予測計算を行った。図14は、この発明による新規なGPパスの予測方法による積雪によるGPパスの計算結果を示すもので、横軸はGPアンテナから受信点迄の距離(km)、縦軸はDDM(μA)を示している。
この図14からも明らかであるように、40μA付近の上下偏位は、15年1月のデータとして示す表面に完全導体反射モデルを適用した従来方法の場合では、図13の飛行実験結果と一致していないが、この発明による方法では、図13に示す飛行実験結果の3km〜13kmの区間のパス直線部分と一致している。
又、図14中の15/1(平成15年1月測定)と15/2(平成15年2月測定)、16/2/3(平成16年2月3日測定)と16/2/19(平成16年2月19日測定)の天候による積雪状態変化に対する上下偏位も、5μAから10μAとなり、飛行実験結果と一致している。
なお、図14において、1.2km近傍では10μA以下、1.2km〜5km迄では、±2μA程度の鋭いノイズ状の変動が生じている。このノイズは航空機迄の距離に反比例する。また、GP反射面の表面形状を水平面として計算すると、このノイズが完全に消滅する。このように、メッシュの分割幅による経路誤差は、地面構造による反射波と前方地形(例えば、丘)で発生する回折波の影響とは異なる。反射波の場合、GPパスの上下の平行移動により、前方地形の影響は緩やかなパスベンドとなる。1.3km付近にノイズと重なった前方地形(丘)によるパスベンドが生じている。丘による回折波の信号レベルは、反射波の4%程度になるので、1kmより近傍のノイズは、反射波のレベルの3%弱に相当する。又、直線性の良い飛行区間のDDMの変動(±5μA)と比較すると2/5以下となり、直線性も良好である。
次いで、発明者等は、図12の(b)図〜(e)図に示す層構造の積雪面の時のGPパスの予測計算をそれぞれ行った。まず、図12の(b)図に示す3層構造の積雪面の時のGPパスの予測計算を行った。この計算結果は、図15bに示すように、横軸は誘電率、縦軸は機上の指示値Cdiとし、下層の積雪深(Dsw1)は5cmとし、中層の積雪深は残留状態とし、表層の積雪深は、降雪を模擬して5cm〜15cmとした。
この図15bから明らかなように、機上の指示値Cdiに最も顕著に影響するのは、中層の誘電率の変化である。積雪の含水量の増加により、この中層の誘電率が増加すると、GPパスが降下する傾向がある。しかし、1.9≦ε2’≦2.1の場合には、Cdiの変化は3.5μAと少ない。又、図12の(b)図に示す積雪状態では、4μAとなり、いずれも表1に示す飛行実験結果(5μA)とほぼ一致することが判明した。
次に、図12の(c)図に示す2層構造の積雪面の時のGPパスの予測計算を行った。この計算結果は、図15cに示すように、横軸は誘電率、縦軸は機上の指示値Cdiとし、下層積雪深は5cmとし、中層の積雪深は残留状態とし、表層の積雪は、降雪を模擬して10cm、15cm、20cmとした。
この図15cから明らかなように、機上の指示値Cdiに最も顕著に影響するのは、表層の積雪深である。下層の誘電率の変化はあまり影響がない。表層の積雪深は15cmであるから、指示値Cdi=−3μAとなり、表1に示す飛行実験結果(−2μA〜−6μA)と良く一致することが判明した。
同様に、図12の(d)図に示す2層構造積雪面の時のGPパスの予測計算を行った。この計算結果は、図15dに示すように、横軸は誘電率、縦軸は機上の指示値Cdiとし、表層の積雪深は、5cm、10cm、15cmとした。
この図15dから明らかなように、機上の指示値Cdiに最も顕著に影響するのは、表層の積雪深である。下層の誘電率の変化はあまり影響がない。表層の積雪深の実測値は15cmであるから、指示値Cdi=−2μAとなり、表1に示す飛行実験結果(−3μA〜−6μA)と良く一致することが判明した。
同様に、図12の(e)図に示す3層構造積雪面の時のGPパスの予測計算を行った。この計算結果は、図12の(e)図中に示す値とし、中層の積雪深は、図12の(e)図中に記載の残留値を用い、表層の積雪深は、5cm、10cm、15cmとした。
この図15eから明らかなように、機上の指示値Cdiに最も顕著に影響するのは、表層の積雪深である。中層の誘電率の影響は、表層積雪深が5cmの時である。表層の積雪深の実測値は10cmであるから、指示値Cdi=+7μA〜10μAとなり、表1に示す飛行実験結果(4μA〜8μA)と良く一致することが判明した。
この発明によるGPパス予測方法は、豪雪地帯に設けられている空港において、特に有効に利用することが出来る。
残留積雪部分のあるGP反射面の斜視図である。 この発明の実施例を示すもので、一定積雪深に除雪したGP反射面の斜視図である。 この発明の実施例を示すもので、不等積雪深に除雪したGP反射面の斜視図である。 この発明の実施例を示すもので、誘電率測定装置の構成図である。 この発明の実施例を示すもので、ミドル素子アンテナの反射点に設置する除雪キャップ7(7a)の斜視図である。 この発明の実施例を示すもので、除雪キャップ7(7b)の斜視図である。 この発明の実施例を示すもので、除雪キャップ7の配置図である。 この発明の実施例を示すもので、予測計算部の構成図である。 この発明の実施例を示すもので、下層積雪深5cmの時の一定積雪深状態のGPパスの予測計算結果を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、下層積雪深10cmの時の一定積雪深状態のGPパスの予測計算結果を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、一定積雪深の下層含水率変化によるGPパス偏位を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、下層積雪深を、10cm、35cm、10cmの時の不等積雪深状態のGPパスの予測計算結果を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、下層積雪深を、10cm、40cm、10cmの時の不等積雪深状態のGPパスの予測計算結果を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、GP反射面の表面形状が三次元となる場合の反射波を解析するための模式図である。 この発明の実施例を示すもので、(a)図は3素子アンテナの反射点付近の残留積雪状態を示す図、(b)図は平成15年1月の積雪状態を示す図、(c)図は平成15年2月の積雪状態を示す図、(d)図は平成16年2月3日の積雪状態を示す図、(e)図は平成16年2月19日の積雪状態を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、表1に示す飛行実験結果をグラフに表示したもので、横軸はGPアンテナから受信点迄の距離(km)、縦軸はDDM(μA)を示している。 この発明の実施例を示すもので、積雪によるGPパスの計算結果を示すもので、横軸はGPアンテナから受信点迄の距離(km)、縦軸はDDM(μA)を示している。 この発明の実施例を示すもので、図4bの積雪状態時のGPパス予測結果を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、図4cの積雪状態時のGPパス予測結果を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、図4dの積雪状態時のGPパス予測結果を示す図である。 この発明の実施例を示すもので、図4eの積雪状態時のGPパス予測結果を示す図である。 従来例を示す説明図である。 従来例を示す構成図である。
符号の説明
1 GPアンテナ
2 積雪深計
3 GP反射点
4 誘電率測定センサ
4a、4b 共振型センサ
7(7a、7b) 除雪キャップ
8 予測計算部

Claims (7)

  1. GP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形データと、GP反射点が同じ高さに除雪された層構造をなす一定積雪深のスノーデータと、前記GP反射点が不均一な高さに除雪された層構造をなす不等積雪深のスノーデータとをGP反射面の基本積雪形状データとして、それぞれデータファイルに格納したILSのグライドパス装置のGPパス予測方法において、
    少なくともアッパー素子、ミドル素子、ロー素子の3素子のアンテナ高、滑走路からのGPアンテナのオフセット量を設定し、
    前記基本積雪形状データ、前記GP反射面の横断勾配データ、縦断勾配データを、前記データファイルから読み込むとともに、前記GP反射面をメッシュのデータ列に変換し、
    前記一定積雪深または前記不等積雪深の積雪の誘電率を、誘電率測定センサとして共振型センサにより計測するとともに、各誘電率の測定時における各雪深を積雪深計により測定し、
    測定した誘電率と、この誘電率の測定時の積雪深と、前記データファイルから前記一定積雪深または前記不等積雪深の縦断方向のメッシュのデータ列と、前記GPアンテナの高さデータとをいずれも少なくとも3点読み込み、
    前記GPアンテナから受信点までの距離を可変とする下記(1)〜(5)を繰り返し処理し、(1)メッシュのデータ列から反射点を推定し、(2)反射点、GPアンテナ虚像及び受信点からの伝搬経路を求め、(3)積雪の反射係数を求め、(4)直接波を求め、(5)GP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形データから前方地形の回折波を求め、
    このようにして求めたそれぞれ2周波の前記直接波と反射波と回折波とを加算して、ILS受信機の入力信号を求め、
    このILS入力信号から機上受信器の受信指示値DDMを求めること
    を特徴とするILSのグライドパス装置のGPパス予測方法。
  2. 図形表示部に、少なくともGPパス特性、GPパス幅特性、積雪深と雪質の誤差と予想降雪量に基づくGPパスの誤差計算図、前記基本積雪形状を表示すること
    を特徴とする請求項1に記載のILSのグライドパス装置のGPパス予測方法。
  3. 前記誘電率を測定する誘電率測定センサは、積雪深方向に配列した共振型センサを用いて測定すること
    を特徴とする請求項1〜請求項2にそれぞれ記載のILSのグライドパス装置のGPパス予測方法。
  4. 前記誘電率を測定する誘電率測定センサは、大地面に設置する構造の共振型センサを用いて測定すること
    を特徴とする請求項1項〜請求項2にそれぞれ記載のILSのグライドパス装置のGPパス予測方法。
  5. 前記積雪の雪質の相違は、誘電率の測定値を用いること
    を特徴とする請求項1〜請求項4にそれぞれ記載のILSのグライドパス装置のGPパス予測方法。
  6. 前記一定積雪深に除雪した後、3素子アンテナのいずれか1箇所の反射点の積雪深を、積雪深計により測定すること
    を特徴とする請求項1〜請求項5にそれぞれ記載のILSのグライドパス装置のGPパス監視方法。
  7. 前記不等積雪深に除雪する場合には、3素子アンテナの各反射点の積雪面に、高さの異なる除雪キャップを内挿すること
    を特徴とする請求項1〜請求項5にそれぞれ記載のILSのグライドパス装置のGPパス予測方法。
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