JP2006105311A - 球形ガスホルダー - Google Patents

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勉 水上
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Abstract

【課題】経済的に製造することができ、輸送、設置、維持管理、撤去などを容易に行うことができるゴム引布又はプラスチック引布製の球形ガスホルダーを提供する。
【解決手段】ガス充填部がゴム引布又はプラスチック引布の袋体よりなり、ガスを完全充填したときに略球形をなし、フレームによって赤道部が支持され、下端にガス流入口とガス取出口とを有することを特徴とする球形ガスホルダー。
【選択図】図3

Description

本発明は、球形ガスホルダーに関する。さらに詳しくは、本発明は、経済的に製造することができ、輸送、設置、維持管理、撤去などを容易に行うことができるゴム引布又はプラスチック引布製の球形ガスホルダーに関する。
都市ガスや、水素ガス、酸素ガスなどの工業用ガスなどの貯留に、球形ガスホルダーが広く使用されている。このような目的に使用される球形ガスホルダーは大型であり、材料には高張力鋼などが用いられ、耐用年数も長期にわたることが予定されている。これに対して、下水処理場や畜舎などから発生する消化ガスなどは、都市ガス、工業用ガスなどに比べて発生量が相対的に少なく、貯留設備にも長期耐久性は要求されない場合が多い。このような取り扱い量が少なく、設備更新期間も短いガス用のガスホルダーとして、ゴム引布又はプラスチック引布製のガスホルダーが開発されている。
図6は、従来のゴム引布製のガスホルダーの一例の側面図である。この例のガスホルダーは、ゴム引布又はプラスチック引布のジャバラ構造の袋体12が、フレーム13内の台板14上に設置されている。袋体の下部には、台板を貫通して、ガス流入口15とガス取出口16が設けられている。袋体の上には、天板17が載置され、天板の上にさらに重り18が載せられている。
この例のガスホルダーは、ガス取出口を閉じてガス流入口からガスを送り込むと、ジャバラ構造のゴム引布又はプラスチック引布の袋体が膨らみ、重りを載せた天板が上昇する。ガス流入口を閉じて、ガス取出口を開くと、袋体の内部のガスが重りにより与えられる圧力で流出する。袋体内部の圧力は、重りの重量によって調整することができ、この構造のガスホルダーは、内圧2kPa程度に耐える。この例のガスホルダーは、基礎工事はほとんど不要であり、使用開始時には袋体は畳まれているので、内部のガス置換も不要である。ジャバラ構造のゴム引布又はプラスチック引布の袋体を畳み、フレームを解体して運搬し、現場で組み立てて直ちに使用することができるので、簡便、容易かつ安価に設置することができる。しかし、ジャバラ構造のゴム引布又はプラスチック引布の袋体の製造にはかなり手間がかかり、補修なども容易ではないので、より簡単なガスホルダーが求められていた。
本発明は、経済的に製造することができ、輸送、設置、維持管理、撤去などを容易に行うことができるゴム引布又はプラスチック引布製の球形ガスホルダーを提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴム引布又はプラスチック引布の袋体の形状を略球形とすることにより、ジャバラ構造の袋体に比べて製造が容易になり、さらに袋体を支持するフレームも簡略化し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ガス充填部がゴム引布又はプラスチック引布の袋体よりなり、ガスを完全充填したときに略球形をなし、フレームによって赤道部が支持され、下端にガス流入口とガス取出口とを有することを特徴とする球形ガスホルダー、
(2)略球形の袋体の頂点に重りを備えてなる(1)記載の球形ガスホルダー、
(3)重りが、略球形の袋体の頂点の内側に備えられてなる(2)記載の球形ガスホルダー、及び、
(4)略球形の袋体の頂点にワイヤーが取り付けられ、該ワイヤーが滑車を経由して垂直に吊り下げられ、該ワイヤーの位置にもとづいて袋体中のガス貯留量を判定する(3)記載の球形ガスホルダー、
を提供するものである。
本発明の球形ガスホルダーは、経済的に製造することができ、輸送、設置、維持管理、撤去などを容易に行うことができるので、下水処理場、畜舎、メタン発酵槽などから発生する消化ガスなどの小規模のガスの貯留に好適に使用することができる。
本発明の球形ガスホルダーは、ガス充填部がゴム引布又はプラスチック引布の袋体よりなり、ガスを完全充填したときに略球形をなし、フレームによって赤道部が支持され、下端にガス流入口とガス取出口とを有するガスホルダーである。
図1は、本発明の球形ガスホルダーの一態様の側面図である。本図は、袋体にガスが完全充填された状態を示す。本態様の球形ガスホルダーは、ガス充填部がゴム引布又はプラスチック引布の袋体1よりなり、ガスを完全充填したときに袋体が略球形となり、脚柱2とリング3からなるフレームによって袋体の赤道部が支持されている。略球形の袋体の赤道部に設けられたベルト(図示しない。)により、袋体がリングに固定されている。袋体の下端には、ガス流入口4とガス取出口5が設けられている。
袋体にガスが充填されていないとき、袋体の上半分は内側に落ち込み、袋体は全体として椀形状をなしている。ガス取出口を閉じて、ガス流入口よりガスを送り込むと、袋体の上半分は次第に上昇し、ガスが完全充填されたとき、袋体の形状は略球形となる。ガス流入口を閉じてガス取出口を開くと、袋体の上半分が下降し、ガス取出口からガスが送り出される。
略球形の袋体は、ジャバラ構造の袋体に比べて容易に製造することができ、略球形の袋体を支持するフレームは、ジャバラ構造の袋体を支持するフレームに比べて構造が簡単なので、本発明の球形ガスホルダーは経済的に製造し、設置することができる。
本発明の球形ガスホルダーは、略球形の袋体の頂点に重りを設けることができる。図2は、本発明の球形ガスホルダーの他の態様の側面図である。本図は、袋体にガスが完全充填された状態を示す。本態様の球形ガスホルダーは、略球形の袋体1の頂点に重り6が備えられている。略球形の頂点に重りを設け、その重量を調整することにより、ガスが充填された袋体の内部を所定の圧力に加圧することができる。本発明の球形ガスホルダーは、袋体内部の圧力を300Pa程度に保つことができる。
本発明の球形ガスホルダーにおいては、重りを略球形の袋体の頂点の内側に設置することが好ましい。重りを袋体の内側に設置する方法に特に制限はなく、例えば、袋体の内面と接する表面を有するゴム又はプラスチックの成形体を作製し、該成形体にフックを取り付け、該成形体を袋体の頂点の内側に接着するとともに、該フックに重りを吊り下げることができ、あるいは、袋体の頂点の内側にベルトを取り付け、該ベルトにより重りを装着することもできる。
図3は、本発明の球形ガスホルダーの他の態様の断面図である。本図は、袋体にガスが完全充填された状態を示し、略球形の垂直な直径を含む平面で切断した断面である。略球形の袋体1の頂点の内側に、袋体の内面と接する表面を有する成形体7が接着され、該成形体に取り付けられたフックに重り8が吊り下げられている。略球形の袋体の頂点の内側に重りを設けることにより、ガスの充填量が減少して袋体の上部が下降するとき、重りは略球形の垂直な直径上を下降する。
図4は、図3に示す球形ガスホルダーのガスの充填量が減少した状態を示す断面図である。本態様の球形ガスホルダーにおいては、ガスの充填量が減少して袋体の上部が下降するとき、重りは図中に一点鎖線で示す垂直な直径上を下降し、袋体は常に垂直な直径を対称軸とする回転対称形を保つ。重りが略球形の袋体の頂点の外側に存在する図2に示す球形ガスホルダーでは、ガスの充填量が減少して袋体の上部が下降するとき、重りは必ずしも略球形の垂直な直径上を下降せず、前後左右に傾いて、袋体は不規則な形状となりやすい。
本発明の球形ガスホルダーにおいては、略球形の袋体の頂点にレベル計を設けることができる。図5は、本発明の球形ガスホルダーの他の態様の側面図である。本態様の球形ガスホルダーは、略球形の袋体の頂点にワイヤーからなるレベル計9が取り付けられ、ワイヤーは滑車を経由して垂直に吊り下げられ、ワイヤーの末端10の位置から、略球形の頂点の位置を読み取ることができる。ワイヤーの末端が移動する範囲には、読み取り用の目盛尺11が設けられ、略球形の袋体の頂点の位置の読み取りを容易にしている。
図3及び図4に示す態様の球形ガスホルダーにレベル計を取り付けると、該態様の球形ガスホルダーは垂直な直径を対称軸とする回転対称形を常に保つので、袋体の頂点の位置と袋体の内容積との間には1対1の関係が成り立つ。したがって、袋体の頂点の位置と袋体の内容積との関係を示すグラフをあらかじめ作成しておき、そのグラフから球形ガスホルダーのガスの貯留量を読み取ることができ、あるいは、ワイヤーの末端10が移動する範囲に設けた目盛尺11の目盛を、略球形の袋体の内容積として、ガスの貯留量を直読することもできる。
本発明の球形ガスホルダーにおいては、レベル計にリミットスイッチなどを取り付け、略球形の袋体の内容積に応じて、ガスの流入と取り出しを自動的に制御することができる。
本発明の球形ガスホルダーの容量に特に制限はないが、1〜300m3であることが好ましく、5〜200m3であることがより好ましい。容量1m3未満のガスホルダーは、一般的な汎用品が市販されているので、市販品を購入して経済的に使用することができる。容量が300m3を超えると、ゴム引布又はプラスチック引布では強度が不足するので、圧力によっては金属製のガスホルダーを作製することが好ましい。
本発明に用いるゴム引布又はプラスチック引布の基布の材質に特に制限はなく、例えば、綿織物、ポリエステル織物、ポリアミド織物などを挙げることができる。本発明に用いるゴム引布のゴムの材質に特に制限はなく、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、EPDMエラストマーなどを挙げることができる。これらの中で、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム及びEPDMエラストマーを好適に用いることができる。本発明に用いるプラスチック引布のプラスチックの材質に特に制限はなく、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロースなどを挙げることができる。これらの中で、ポリウレタンを好適に用いることができる。
本発明に用いるゴム引布又はプラスチック引布は、もみ試験において、無荷重500回で異常のないことが好ましく、無荷重1,000回で異常のないことがより好ましい。無荷重500回で異常が生ずると、ガスホルダーとしての耐久性が不足するおそれがある。本発明に用いるゴム引布又はプラスチック引布は、貯留するガスを用いたガス透過試験において、5.0cm3/(m2・s・Pa)以下であることが好ましく、3.0cm3/(m2・s・Pa)以下であることがより好ましく、1.0cm3/(m2・s・Pa)以下であることがさらに好ましい。ガス透過試験の結果が5.0cm3/(m2・s・Pa)を超えると、球形ガスホルダーからのガスの漏洩が無視し得ない量に達するおそれがある。ゴム引布又はプラスチック引布のもみ試験は、JIS K 6404−6にしたがい、スコット形もみ試験機を用いて行うことができる。ゴム引布又はプラスチック引布のガス透過試験は、JIS K 6404−10にしたがい、ケンブリッジ式ガス透過試験装置を用いる試験方法B1又はマノメータ式ガス透過試験機を用いる試験方法B2により行うことができる。
本発明の球形ガスホルダーは、ゴム引布又はプラスチック引布を用いて経済的に製造することができ、輸送、設置、維持管理、撤去などを容易に行うことができる。本発明の球形ガスホルダーは、下水処理場、畜舎、メタン発酵槽などから発生する消化ガスなどの小規模のガスの貯留に好適に用いることができる。
本発明の球形ガスホルダーの一態様の側面図である。 本発明の球形ガスホルダーの他の態様の側面図である。 本発明の球形ガスホルダーの他の態様の断面図である。 ガスの充填量が減少した状態を示す断面図である。 本発明の球形ガスホルダーの他の態様の側面図である。 従来のゴム引布製のガスホルダーの一例の側面図である。
符号の説明
1 袋体
2 脚柱
3 リング
4 ガス流入口
5 ガス取出口
6 重り
7 成形体
8 重り
9 レベル計
10 ワイヤーの末端
11 目盛尺
12 ジャバラ構造の袋体
13 フレーム
14 台板
15 ガス流入口
16 ガス取出口
17 天板
18 重り

Claims (4)

  1. ガス充填部がゴム引布又はプラスチック引布の袋体よりなり、ガスを完全充填したときに略球形をなし、フレームによって赤道部が支持され、下端にガス流入口とガス取出口とを有することを特徴とする球形ガスホルダー。
  2. 略球形の袋体の頂点に重りを備えてなる請求項1記載の球形ガスホルダー。
  3. 重りが、略球形の袋体の頂点の内側に備えられてなる請求項2記載の球形ガスホルダー。
  4. 略球形の袋体の頂点にワイヤーが取り付けられ、該ワイヤーが滑車を経由して垂直に吊り下げられ、該ワイヤーの位置にもとづいて袋体中のガス貯留量を判定する請求項3記載の球形ガスホルダー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007327581A (ja) * 2006-06-08 2007-12-20 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 球形ガスホルダー
CN103047533A (zh) * 2011-10-13 2013-04-17 周登荣 压缩空气的储气装置及装有这种装置的自然能源发电站
JP2015218751A (ja) * 2014-05-14 2015-12-07 株式会社サンテック ガスホルダ

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