JP2006102425A - 健康的睡眠覚醒装置 - Google Patents

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Hisaaki Tamura
久明 田村
Akira Ito
晃 伊藤
Yasunori Nofuji
泰昇 野藤
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Abstract

【課題】目覚まし装置において睡眠者の睡眠深度と睡眠段階を選別し快適な覚醒を与える時点を判定することにより希望目覚め時刻近くで覚醒信号を睡眠者に付与する方法を提供する。
【解決手段】脈波の変曲点の2次微分最大値点時間間隔を心電図RR時間間隔として代替しその時間間隔の変動周波数のパワースペクトルを周波帯域別に指標化することにより希望目覚め時刻近くで指標数値間の論理関係により睡眠段階を判別し覚醒信号を睡眠者に付与する時点を設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は睡眠状態を識別し当事者に違和感を与えることなく快適な目覚めを提供する睡眠覚醒装置に関する。
従来の睡眠覚醒方法は当事者の生活の時間的都合により起床時刻を設定し強制的に起床を促す方法であった。一般に目覚ましと呼称されていて音声、振動、室温の変化、照明光などを当事者に負荷するものである。もちろん負荷の程度を次第に強くするなどの配慮はされていたが当事者の睡眠状態がどのレベルにあるかはまったく考慮されていなかった。
しかしながら快適な目覚めは本人の感覚以上に生活リズム上一日のスタートとしての健康に関係する重要なファクターとして認識すべきであることが一般に理解されるようになった。とくに夜間労働者あるいは海外旅行者の時差ぼけ対策として重要視されるようになった。現在は目覚めのあと高照明光浴、体操、皮膚摩擦、食事などにより遅まきながら当事者の活性化が図られているが目覚めそのものの方法ではない。
医学的には脳死問題とも関連し脳神経科学ひいては脳の電気的活動を計測する脳波学の中心的手法のひとつである睡眠医学が発展し睡眠は健康にとって重要であるため脳波、眼電図などにより一般人の睡眠レベルの判定基準が確立している状況にある。社会的影響の多い睡眠時無呼吸症候群の診断と治療にも一般の関心度が高い。睡眠不足が習慣的になると脳の萎縮がMRIによって観察されている。しかし生命の危険に直接関与しない目覚めに対しては脳死問題と異なり医学的な関心は低い。脳波計等を監視しながら当事者を快適に覚醒させることはまったく考慮の対象外であった。すなわち覚醒はそれ自身睡眠とは逆であるので睡眠医学の対象外であり一部麻酔医が手術後に経験的に対処している程度で生活上必要性の高い多くの家庭に波及させるような医学的課題ではなかった。しかし不快な目覚めを習慣的に強制されていれば後述のように脳への影響が睡眠不足と同様に現れる可能性がある。
脳波計を当事者の頭部にセットするためには脳波電極等を所定の位置に装着するが熟練や高度の電気的知識と電気的安全性に関する知識が要求され資格も必要であり家庭人が手軽に操作はできない。たとえ装着できたとしても睡眠当事者を拘束し違和感をあたえ睡眠自体を妨げることになる。
すなわち解決しようとする課題は目覚めそのものを快適にする装置が無く、技術的処置がいままで困難でありこの問題に取り組む汎用的手法は提示されていなかったことにある。
本発明はこのような事情と技術的状況に鑑み臥床時の体動脈波解析にスペクトル解析手法を適用することにより脳波計を使用した医学的な根拠と同等の効果を持つ快適な目覚めを睡眠当事者に提供することを特徴とするものである。また睡眠当事者には睡眠妨害となるような身体的拘束をほとんど与えないことおよび家庭では技術的素養がいっさい不要な装置であることを特長とするものである。
本発明の効果として脳波計を使用しないため電極、センサーを当事者に装着する必要がない。すなわち体動脈波を信号として解析装置を使用する。本発明は特願2004−113652で詳説するように家庭で容易に使用でき携帯自由である装置を使用する。睡眠を阻害しない方法であり当事者の自然な睡眠から得たデータを利用出来る。すなわち当事者の普段の睡眠パターンを解析に適用し快適な目覚めを得ることが可能となる。また同じく上記特許出願に記載する手法により自然的な呼吸データも併用できる。そのためそれぞれのデータによる相互チェックあるいは数学的相関性にもとづきいっそう信頼性の高い手法で健康的な睡眠覚醒が可能となる利点が生ずる。
また本発明は上記特願以外に手首脈波を利用することができる。手首脈波は腕時計状の手首に装着したコードレスの脈波送信装置あるいは心拍率送信機である。腕時計程度の軽負荷であるので睡眠への影響は少ない。本発明の構成上快適な目覚ましの機能に影響しないだけでなく携帯電話の受信方式を用い小型振動装置をアラームとして付加することも可能になる。これにより同室者の睡眠を妨げない効果も生じる。
睡眠状態を検証する手段として現在脳波計による描出グラフが利用されている。本発明は脳波を直接応用するものではないが発明の基本知識として説明する。
脳波は意識レベルに大きく依存し睡眠の深さにより特異な変化を見せる。特定の脳波の出現を境として覚醒を含めて9段階とすることもあるが周波数分析的分類法を用いて一般的には覚醒期を除いて睡眠段階(Stage)はLOOMIS、ASERISKY、KLEITMANにより5段階に分類されている。覚醒期WとREM期は慣習により数字の添字はつけない。▲2▼からREMまでが睡眠段階である。REM以外をNONREMあるいはNREM睡眠という。
睡眠段階 Sleep stage
▲1▼Stage W:覚醒時。閉眼安静時にはα波が著明、開眼時には低振幅速波(β波)に置き換わる。
▲2▼Stage1 :眠気が差した(傾眠)状態。α波振幅が低下すると同時に、その出現時間も短くなる。それに代わって低振幅徐波(θ波が多く、一部δ波も含む)が出現する。また大きな鋭波Sharp waveが出現することが多い。この段階で起こすと本人は起きていたと主張する。うと〃〃する状態。
▲3▼Stage2 :浅い睡眠。比較的低振幅の徐波が連続し、ときどき12−14Hzの睡眠紡錘波 sleep spindle が出現する。またこの時期には、瘤波・睡眠紡錘波複合(K complex)が出現しやすい。
▲4▼Stage3
& Stage4 :深い睡眠時。高振幅のδ波が現れる時期をいう。これが20−30%のとき、Stage3といい、50%以上のときStage4という。
▲5▼Stage REM :いちばん覚醒し難い睡眠時。逆説睡眠paradoxical sleepともいう。Stage1と似た脳波が出現する。不規則な低〜中振幅のθ波、それに低振幅のβ帯からδ帯までの波を含む。この段階では急速眼球運動 rapid eye movement 、手足の伸縮、表情の変化がある。
また多くの論文では▲2▼▲3▼を軽睡眠段階(Light stage)、▲4▼のStage3と4を深睡眠(Deep stage)と呼んでいる。REM睡眠は人新生児で全睡眠の50%を占め成人では20%、未熟児では新生児より多いREMの比率である。REM段階では夢を見ている状態とされるが生物学的には胎児や新生児において中枢神経を脳内部で自律的に刺激し神経系を発達させるプロセスがREMであると推定され動物実験ではREM段階で眠らせないようにすると成長したラットでもすぐ死亡するという。成人に対しても新生児ほどではないが生物学的影響は上記比率が示すような可能性がある。夢すなわちREMは成人においては一時記憶部位であり情報整理の機能を持つ海馬から選出した情報を記憶中枢への移行させる現象といわれる。無理な覚醒は睡眠を支配するホルモンであるメラトニンやセロトニンの分泌や神経機序を中断し脳の記憶作業と神経系の代謝を阻害すると推定される。またDeep Stageは脳だけでなく身体全体の代謝作用の休息期であるとされている。以上の理由により生体への影響が少ないすなわち快適な覚醒時刻は軽睡眠段階Light Stageであると消去法的に想定できる。
前述のように脳波を直接に睡眠中のオンライン指標として目覚ましの構成データに入れることはできない。一方心拍はその心拍間隔変動が呼吸リズムに影響される以外に睡眠段階にも影響されることが知られている。心拍間隔は厳密には心電図のR−R間隔を指している。上記睡眠段階と対比したR−R間隔のパワースペクトルを図1に示す(Thomas Penzel,Jan W.Kantelhardt,others 0018−9294/03$17.00IEEE 2003 IEEE)。実験的にわかりやすい中程度の無呼吸症の鼾がある人のデータであるがこのグラフから軽睡眠Light stageでとくに大きなR−R変動を示すことがわかる。
同じ患者でFFT法にて単位が5分間のR−R間隔変動のパワースペクトル(同論文引用)を採取し脳波から得られた睡眠段階と対比するとさらに明確である。軽睡眠段階Light sleep stageのグラフで他の睡眠段階よりも縦軸のスケールが他の睡眠段階の10倍に設定されているのに注意すると軽睡眠段階では10倍のエネルギーの周波数変動がありしかもその周波数変動がとくに0.025Hz付近に集中することがわかる。これは鼾を示している。これにより無呼吸症とくに鼾を伴う場合は比較的簡単に軽睡眠段階を決定できるがこれはもちろん自動的に電気的に実施することである。
以上のとおり鼾のある患者をモデルにして検討の結果軽睡眠段階Light sleep stageは他の睡眠段階と明確に区別することができることが分かる。したがってこの結果を利用して数学的に希望目覚め時刻付近で先述のように軽睡眠段階を選択し睡眠当事者に目覚め信号すなわちアラームを付与すれば快適な目覚めを得ることができる。
ところが鼾の無い健康な人の軽睡眠段階Light sleep stageの識別についてはすこし複雑であって図2(Thomas Penzel & others前記)に示すように覚醒状態Wakeを除くとVLF(very−low−frequency <0.04Hz)のパワースペクトルが深睡眠 Deep sleep stageより大きくまたLF(low−frequency 0.04−0.15Hz)とHF(high−frequency 0.15−0.4Hz)の比 LF/HFも大きい。おなじ判定方法でREM睡眠はVLFとLF/HFが最大である。すなわちVLFに関しパワースペクトルの大きさはREM>Light>DeepでありLF/HFに関しても同様にREM>Light>Deepである。それぞれのデータは数学的に独立であるのでこの論理関係を利用して軽睡眠段階Light sleep stage を選定して睡眠当事者に目覚め信号を付与すればよい。本発明は使用前の睡眠データの自動収集テストにより個人差に応じて数値的論理関係は自動的に装置自身で登録設定できる特長がある。無呼吸症で無い人で疲労により鼾を発生するためこの論理関係が崩れることがあっても軽睡眠段階であるとして無呼吸症の人を含めてマイクロホン等の音響データを併用して希望覚醒時刻付近で目覚め信号を付与してもよい。なおHFは心臓副交感神経活動の指標でありパワーが大きいほど副交感神経の興奮により睡眠が深く、またLF/HFは交感神経系の活動の指標とされているのでこの値が大きいほど睡眠が浅いことに対応する。これは図2における各指標が鼾のない健康人、中程度の無呼吸症、重度の無呼吸症のそれぞれに対応している傾向が確認できる。すなわち患者が重症であるほど夜間の睡眠が浅いことが読み取れる。
以上のように身体を拘束する睡眠時の心電図情報を用いて睡眠段階の指標とすることができる。したがってこの指標を用いて覚醒装置を構成することも可能であるが睡眠環境に身体の拘束は適切でない。すなわち睡眠当事者の身体を拘束しないで前記R−R間隔を得るためには心電図に代わるものとして関連情報の脈波を利用する必要があるが脈波は測定生体部位で図3(臨床検査法提要第26版IX−16 金原出版)のように変化する。圧力波であるため心臓から離れるほど始点Sと形状が変化する。また図4(同上 IX−19)のように測定部位を定めている指尖光電式容積脈波にも同じ部位にかかわらず個人差として図5(同上IX−22)のように10数種のパターンがある。したがって測定部位が標準化されていると同時に生理的に個人差の少ない心電図のR波の代わりに脈波のピーク値Pあるいは脈波の中間の変曲点を標準的な心拍間隔の基準として汎用化して用いることはできない。
しかし同一測定部位で睡眠当事者が安静状態では脈波の始点Sと形状は図3(上記)のように心電図との位相はずれるが同じ時間関係である。
したがって始点Sの間隔すなわちS−Sは同一測定部位ではR−Rと同一であり睡眠時の前記R−R間隔変動のパワースペクトルと一致する。すなわちS−S間隔により睡眠段階を識別できる。
そのためには脈波の始点Sを電気的に認識する必要がある。始点Sは電位では相対的にはゼロ電位であるが脈波立ち上がりの圧力発生時であるためで数学的に正の変曲点であり2次微分で正の最大値を取ることにより電気的に認識することができる。いっぽう脈波のピーク値P点である変曲点は負を示す。図6は脈波とその2次微分の事例である。2次微分を電気的な数値に変換する演算素子はアナログ、ディジタルともに普及している。本発明はクロック(時刻)素子との積によりS−Sの時間間隔を睡眠時刻を少しずつスライドして測定して時系列データを得る。その間隔差すなわち変動の逆数を周波数として変換して得たパワースペクトルを周波軸に積算し先述のR−Rの睡眠段階と電気的に照合することができるようにしたものである。起床希望の時刻の近辺で軽睡眠段階Light sleep stageであれば覚醒のアラーム信号を音声、振動、照明等で自動的に当事者に伝えるようにしたものである。もちろん殆どの測定部位でP点や中間変曲点が明瞭な個体の場合はその時間間隔を心電図のR−R間隔と同一視して目覚ましの装置を構成してもよい。
また睡眠中の姿勢変動により体側部位の脈波の測定位置が移動する場合はS−S間隔も大きく変動する。そのためVLFのパワースペクトル値が異常に大きくなるが図2によりWake 覚醒状態に近いと判定できるので本発明の目的と常識的にも一致する利点がある。別途体動信号を援用しても良い。さらにゼロ電位付近は振動など各種ノイズが多いので睡眠当事者の脈波のパターンに類似性の高いものを選択してデータすなわち始点Sとして用いる。
睡眠段階と対比した中程度の無呼吸症患者における心電図R−R間隔(a)同変動周波数の睡眠段階別パワースペクトル(b)、SDDNは標準偏差 健常者(H)、中程度の無呼吸症患者(M)、重度の無呼吸症患者(S)それぞれの覚醒、各睡眠段階におけるR−R間隔の平均値、標準偏差(SDDN)、変動周波数のパワースペクトル周波帯別指標表 種々の測定体部位における脈波の時間的ずれと形状の変化 指尖容積脈波計トランスデューサー 指尖容積脈波の個人差例 脈波とその2次微分の事例

Claims (10)

  1. 睡眠段階において軽睡眠段階Light sleep stageを脈波を用いて判別し睡眠者を覚醒する装置
  2. 脈波の最低電位における変曲点を脈波の始点として識別し始点間隔時間を心電図RR間隔として代替することを特徴とする方法および個体差により利用可能な脈波のピーク点または選定した特異点の変曲点の時間間隔を心電図RR間隔として代替することを特徴とする方法
  3. 脈波始点間隔時間または上記変曲点の時間間隔の変動を周波数変換しパワースペクトルを得ることを特徴とする方法
  4. 上記脈波を用いたパワースペクトルの周波帯域別指標の数値の大小関係を論理判定し睡眠段階を選別することを特徴とする方法
  5. 覚醒希望の近時刻において軽睡眠段階に覚醒信号の振動、音声、照明等を睡眠者に付与する装置
  6. 脈波は体動脈波、指尖容積積脈波、頚動脈波、手首関節脈波等測定部位を自由に選定して信号を得ることを特徴とする装置
  7. 心電図RR時間間隔の周波数スペクトルの帯域別指標数値の大小関係を論理判定し睡眠段階を判別し睡眠者を覚醒させる装置
  8. 鼾を伴う睡眠者においてマイクロホン等で得た音響信号を軽睡眠段階として指標による判定論理に援用することを特徴とする装置
  9. 体動を伴う睡眠者は覚醒中として上記覚醒時指標と照合判定することを特徴とする覚醒装置または体動信号を覚醒段階として援用するようにした装置
  10. 睡眠者の上記脈波指標データを睡眠中に自動的に採取登録しその指標間の数値関係と論理によりデータ採取後に睡眠段階の判定に使用することを特徴とした装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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