JP2006102306A - 形状保持性を有する玩具用芯材及びその芯材を備える玩具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸芯部位の動きがスムーズであり、折り曲げ反復耐久性があるとともに、容易に変形可能で形状保持性を有し、組立てコストの安価な軸芯部材、ならびにリアルな動きをする可動性部分を有する玩具を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂製成形物を、延伸または圧延することによって得られた、90度の曲げ戻り角が30度以下で、曲げ強度が10〜300Nである棒状物からなる芯材は、手で変形可能であり、その形状を保持することができ、折り曲げ反復耐久性がある。
また、芯材は玩具あるいは人形の芯材として適しており、取り扱いが安全で、必要部分を屈曲等することで自由に形状を変化させることができ、さらにその形状を保持することが可能な玩具を得る。
【選択図】 図3

Description

本発明は、熱可塑性樹脂製の手で変形が可能で且つ、形状保持性を有する玩具用芯材に関する。さらには、その玩具用芯材を用いることで屈伸、回転あるいは捻り等により変形が可能で、且つ、その変形した形状を保持できる玩具に関する。
従来、可動部を有する玩具では、連結部材を被覆材で被覆した構成、金属または合成樹脂製のピン、ギヤ、歯車を用いて被覆材と可動部とを接合した構成、金属または金属線材を被覆材で被覆した構成がなされており、可動部に複数の連結部材を用いて構成された玩具が考案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、可動部において、可動箇所は多いものの、部材の大小によって、屈曲具合が制限され、滑らかな動作を表現することが困難である。さらに、複数の部材を嵌合するため、組立て効率が悪く、コストも高く、重い為、玩具または人形に用いることは不向きであった。
また、人形の関節部分等に金属製の芯材を用いることで、その部分が屈曲可能で且つ屈曲状態を保持可能なものがある(例えば、特許文献2)。
しかし、金属製芯材は、幼児が取り扱うに際しては安全上問題となる場合があったり、芯材同士が接触して誤作動の原因となる場合がある。
このため、金属製の芯材に替えて、弾性を有する樹脂あるいは合成ゴムなどを屈曲部分に用いた人形が開発されている(例えば、特許文献3)が、変形するには加温処理を必要とし、その形状を保持するには冷却する必要があり、取り扱いが不便である。
特開平11−114233号公報 特開2002−45578号公報 特表2003−505562号公報
本発明は、手で変形可能であり、変形した形状をそのまま保持することができ、折り曲げ反復耐久性がある玩具用芯材を得ることを目的とする。
また、前記玩具用芯材を用いて、取り扱いが安全で、必要部分を屈曲等することで自由に形状を変化させることができ、さらにその形状を保持することが可能な玩具を得ることを目的とする。
本発明は、熱可塑性樹脂製の長尺物からなり、90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角が30度以下で、且つ、曲げ強度が10〜300Nである玩具用芯材を提供するものである。
また、本発明は、前記長尺物が熱可塑性樹脂を溶融押出成形した成形物を延伸または圧延することによって得られる玩具用芯材を提供するものである。
さらに、本発明は前記玩具用芯材が可動部を構成する玩具や、その玩具用芯材の少なくとも一部が被覆材に覆われてなる玩具を提供するものである。
本発明の玩具用芯材は、手で変形可能でありその変形させた形状をそのまま保持することができるので、種々の形状の玩具の芯材として用いることができ、その玩具用芯材を用いた玩具は使用者が手で自由に変形可能で且つ変形させた形状をそのまま保持させることができる。例えば、動物の形状をした玩具あるいは人形では、首、肩、腰、腕、足あるいは尻尾等の部分を屈曲、捻りあるいは伸縮が可能であり、実際に生きているかのような形状に変形させることができる。
また本発明の玩具用芯材は、熱可塑性樹脂製なので、玩具用芯材を構成する長尺物同士あるいは玩具用芯材とその玩具用芯材の被覆材とを熱により容易に接着ができ、少ない部品で且つ簡単な工程で玩具を成形可能である。
さらに本発明の玩具用芯材は、熱可塑性樹脂製であるため錆びず、金属疲労を起こさず、使用において安全であり、不要になった場合には焼却による廃棄も比較的に可能である。
玩具用芯材
本発明の玩具用芯材10は、熱可塑性樹脂製の長尺物14からなり、90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角が30度以下で、且つ、曲げ強度が10〜300Nである。
このように構成することによって、玩具用芯材10は、変形可能性と形状保持性に優れているため、自由自在に折り曲げ、曲げ戻し、捻りが可能であり、且つ、その状態で形状を保持することができる。
本発明の玩具用芯材は、90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角度が30度以下であり、好ましくは15度以下、さらに好ましくは5度以下である。90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角度が大きすぎると形状保持性を維持できないおそれがある。
前記戻り角度とは、図1(A−1)から図1(A−2)のように上下2kgの重り20、20により荷重をかけて、90度折り曲げたまま10分間放置し、荷重を取り除いた後、図1(A−3)のように置いて30分間そのまま放置したときの図1(B)に示す角度θのことをいう。
測定は温度23℃且つ湿度50%RHで行う。90度に折り曲げた角については、直角が好ましいが、多少の湾曲があっても構わない。
本発明の玩具用芯材は、曲げ強度が10〜300N、好ましくは20〜250Nの範囲であり、測定方法はASTM D 790に準じ、3点曲げにて支点間距離30mm、曲げ速度20mm/min、試験温度23℃で万能材料試験機を用いて最大曲げ荷重(N)を測定する。本発明の玩具用芯材の曲げ強度が上記の範囲にあれば、玩具あるいは人形に用いたとき、軽く触れたり風圧をかけたのみでは変形しないが、使用者が手によって少しの力を入れて容易に変形させることができる。
曲げ強度は使用者に応じて適宜変化させることができ、幼児用を対象とする玩具の玩具用芯材として使用するときには曲げ強度は弱くするのが好ましい。
本発明の玩具用芯材の太さは、用途により適宜選択し得るが、通常は、長径が0.5〜20mm、好ましくは1〜10mmの範囲である。長さは使用する目的によって適宜選択できる。
本発明の玩具用芯材は、塑性変形性を有するので繰り返し変形させても切断され難く、屈曲疲労試験において500回以上、好ましくは5000回以上、さらに好ましくは10
000回以上の屈曲を繰り返しても疲労、破断しないことが好ましい。
本発明の玩具用芯材は、熱可塑性樹脂製であり、単独重合体であっても、共重合体であっても良い。たとえば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、ポリ乳酸等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド、芳香族ポリアミド等)、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイドなどが例示できるが、成形時の延伸性の良さや得られた玩具用芯材10の特性を考慮するとポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。エチレン系樹脂ならば、密度は好ましくは950kg/m3以上、さらに好
ましくは955〜970kg/m3、特に好ましくは、960〜970kg/m3であり、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)に基づく分子量分布(重量平均分子量(Mw)/(Mn))は好ましくは5〜15、さらに好ましくは6〜14であり、炭素数3〜6のα−オレフィン含有量が好ましくは2%未満、さらに好ましくは0.05〜1.5重量%の高密度ポリエチレンを用いることができる。
また、本発明の玩具用芯材10は、玩具用芯材10に後述の被覆材12を熱接着で接着するときには、玩具用芯材10が溶融せず被覆材12のみが溶融する樹脂を選択するのが好ましい。
一旦、玩具用芯材10に成形した後に、その玩具用芯材10を構成する樹脂の融点に近い温度で熱すると、樹脂が溶融して形状保持性が損なわれる場合がある。この点を考慮すると融点が170℃以上のポリエステルが好ましく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステルあるいはポリ乳酸から等があげられる。
この中でも、加工性が良く比較的に安価で入手の容易なポリエチレンテレフタレートあるいは、ポリエチレンテレフタレートを主成分としてポリエチレンイソフタレートやポリエチレンナフタレートなど他のエステル共重合体を混合したものが特に好ましい。混合するエステル共重合体の割合は通常50%以下好ましくは30%以下である。また、o-ク
ロロフェノール中25℃で測定する固有粘度が0.4〜1.4dl/g好ましくは0.6〜1.2dl/gのポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレートを主成分とする共重合体が、形状保持性が良く且つ曲げ強度を適切にコントロールできるため特に使用される。
本発明の玩具用芯材10は、複数種類の熱可塑性樹脂を混合しても良く、また本発明の目的を損なわない範囲で熱可塑性樹脂以外の樹脂や化合物を混合してもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂は、必要に応じて、加工助剤、着色顔料、無機充填剤、帯電防止剤、滑剤、界面活性剤、樹脂改質材等の添加剤を添加することできる。具体的には、低分子量ポリオレフィン、脂環族ポリオレフィン、加硫ゴム、合成ゴム等各種樹脂、カルボキシル基や水酸基等を有する合成油、鉱物油、カルナバワックス等の植物油系ワックス、酸化チタン、酸化亜鉛、炭化カルシウム、硫酸バリウムあるいはシリカ等の顔料、ガラス繊維等の無機材料繊維や炭素系繊維等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
これらを添加することにより、芯材の機械的あるいは化学的強度や成形性を向上させることができる。たとえば、ワックス類の添加は、軸芯部材を構成する原糸の溶融成形や延伸において、寸法精度を高めるのに有効であり、また、着色顔料や無機充填剤の添加は、着色や増量効果以外に、塑性変形性や形状保持性の改善に寄与する場合がある。これら添加剤の含有量は、熱可塑性樹脂全量に対して、ワックス類や帯電防止剤であれば5重量%以下、好ましくは1重量%以下、着色顔料や無機充填剤であれば通常は10重量%以下、
好ましくは5重量%以下でそれぞれ含有させることができる。添加剤の種類や含有量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択することができる。
本発明の玩具用芯材10は、断面形状がどのような形状であってもよく、円形、半円形、楕円形、長円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や、台形、L字形、波形、アレー形、星形、歯車形等の異形のものであってもよい。場合によりその一部が中空状になっていてもよい。任意の突起物が設けられたものでもよく、例えば、微細繊維が糸状から羽毛状に枝別れして形成されたものや、繊維状物表面に突起が点在して設けられたものであってもよく、さらに、長手方向に溝あるいは筋が1本以上設けられたものであってもよい。
本発明の玩具用芯材10は、長尺物14からなり、用途に応じて長尺物14を1本あるいは複数本で構成されてなる。複数本の長尺物14を用いる場合には、長尺物14同士を結束部材で結束、接着あるいは融着しても良い。
また、複数本の長尺物14同士を長尺方向にほぼ全長にわたって結束あるいは接着して図2(A)のようにしても良いが、複数本の長尺物14を結束等する部分を間隔を離して配設することもできる。しかしながら、複数本の長尺物14を長尺方向にほぼ全長にわたって結束等するよりも通気性や、屈曲した際の自由度が高く好ましい場合がある。このようにして長尺物14の配置や離間距離は適宜選択でき、均等間隔にしても、マトリックス状、同心円状など様々な配置形状とすることが可能である。
通常、長尺物14同士に間隔を持たせると通気性や屈曲についての自由度が大きくなる。
また、複数本の長尺物を分散するように配置しても良く、場合により長尺物14が被覆材12と一体となって図2(B)あるいは図2(C)のような断面形状となるように配置してもよい。
長尺物同士を接着させる場合には、その表面にエポキシ系、ウレタン系、ホルマリン系、フェノール系、アクリル酸エステル系、NBR系、SBR系あるいは酢酸ビニル系などの素材による熱硬化タイプ、光硬化タイプ、ホットメルトタイプあるいは天然糊などの通常使用されている接着剤や、低融点の熱可塑性樹脂のものを適用することができるが、特に可撓性に富む材料が望ましい。この場合、結束部材を用いる必要がないため、玩具作製の際、作業性・二次加工性・搬送性が向上するとともに、製造コストを減らし、軽量で安価に玩具を提供することができる。
また長尺物の本数や結束等の方法を変化させることにより、玩具用芯材の断面形状あるいは断面の大きさを変化させ、さらに、この玩具用芯材を用いた玩具の形状、大きさあるいは機械的強度を適宜変化させることができる。
このように構成することにより強固に集合体となり、玩具用芯材として、必要な耐久性、形状保持性を有することができる。また、玩具の作製の際、作業性、二次加工性あるいは搬送性を向上させることができる。
本発明の玩具用芯材が複数本の長尺物からなるとき、90度に折り曲げてから10分経過後の曲げ戻り角度及び曲げ強度の範囲は、図2(A)のような形状の場合には、この形状の玩具用芯材10において上記曲げ戻り角度及び曲げ強度の範囲に入るか、あるいは図示しないが玩具用芯材に長尺物が複数本配置された状態での曲げ戻り角度及び曲げ強度の範囲の値を示す。
また、図2(B)及び図2(C)のように隔離している場合には、測定部分を被覆する被覆材12を除去した状態での曲げ戻り角度及び曲げ強度の範囲の値を示す。
また、本発明の玩具用芯材は複数本を図2(A)〜(C)ような形状にすることができ、90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角度及び曲げ強度の範囲は、個々の玩具用芯材10が90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角度及び曲げ強度の範囲に入るが、発明の目的を損なわない範囲で他の範囲に入るものを含んでいても良い。
また、複数本の玩具用芯材同士は、玩具用芯材が複数本の長尺物からなる場合と同様、結束部材で結束、接着あるいは融着等しても良い。
玩具用芯材の製造方法
本発明の玩具用芯材10は、長尺物14からなり、該長尺物14は樹脂を溶融押出成形して得たシート状物または線材からなる成形物を、さらに長尺方向に延伸または圧延することによって得られる。長尺物14は、前記成形物を長尺方向に、2倍以上、好ましくは3〜20倍、特に好ましくは5〜20倍に延伸または圧延することによって得られる。
あるいはシート状物あるいは線材からなる前記成形物を、一軸あるいは二軸方向に延伸あるいは圧延して得られる少なくとも1層以上のシートを適当な幅で裁断することによって得られる。
また、圧延と同時に別のシート状物あるいは線材を積層しても良い。このように構成することにより本発明の玩具用芯材10は、自由自在に折り曲げ、曲げ戻し、捻りが可能であるとともに、形状保持性に優れる。
本発明の玩具用芯材10は、複数本の長尺物14を用いるときには、複数本の長尺物14同士を接着等させても良いが、複数本の長尺物14を離して配置しても良い。
長尺物14を接着または融着させる場合には公知の種々の方法で加工することができ、例えば、長尺物14同士を結束部材で結束、接着あるいは融着することができる。長尺物14同士を接着または融着させる場合には、その表面に前記の接着剤等を適用したり、加熱する方法を採る。
被覆材
本発明の玩具は、前記玩具用芯材10の少なくとも一部が被覆材12で覆われていても良く、玩具用芯材10を被覆材12と接着剤等で固着させることもできるが、玩具用芯材10を被覆材12によって固定せずに被覆するだけでも良い。
本発明に係る被覆材12の素材は、玩具の種類により種々選択でき、天然物素材、合成物素材あるいは半合成物素材であってもよく、通常は樹脂材、紙質材、布材、木質材、皮材からなることが好ましく、これらは適宜組み合わせて使用しても良い。
このように構成することにより、玩具の動作範囲を制限したり、種々の好みの形状や色にすることができる。
樹脂材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムあるいはエラストマーなど種々のものを使用することができる。熱可塑性樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)軟質ポリエチレン共重合体(LLDPE)あるいは、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などがあげられる。
また、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂などがあげられる。ゴムあるいはエラストマーその他としては、水素化スチレンブタジエン系、イソプレン系、ポリオレフィン系あるいはシリコン系の樹脂などがあげられる。その他、ポリウレタン樹脂系、ポリスチレン樹脂系あるいはポリオレフィン樹脂系からなる発泡体あるい
は架橋体などがあげられる。これらの中では、取り扱いの良さや安全性から熱可塑性樹脂が好ましい。
さらに融点が170℃以下の熱可塑性樹脂が、射出成形法などにより玩具用芯材10あるいは玩具用芯材10と一体成形でき、製造工程が簡単で、且つ、接着剤を必要としないので好ましい。樹脂によっては、一旦玩具用芯材10に成形した後に、その玩具用芯材10を構成する樹脂の融点に近い温度に熱すると溶融して形状保持性が損なわれる場合があるので玩具用芯材10の素材によって適宜選択するのが好ましい。
紙質材としては、例えば、ダンボール紙、紙粘土、合成紙などを用いることができる。
布材としては、例えば、綿、絹、毛、ポリエステルまたはアクリル等のあらゆる素材からなる繊維素材からなる織布、不織布、フエルト、木綿、絹布およびそれらの再生綿などを用いることができる。
木質材としては、例えば、木材、樹脂木粉複合材、パルプ、チップ、フレーク、竹、藁、麦藁、黍殻などを用いることができる。
その他、軽量金属、綿、羽毛、羊毛等を用いることができる。
なお、上記樹脂等に、本発明の目的を損なわない範囲で加工助剤、着色顔料、帯電防止剤、無機充填剤等の公知の種々の添加剤を含有することができる。
本発明に係る被覆材は、複数種類用いることができ、例えば人形では、図3のように、前記玩具用芯材10の表面に、固定部を構成する被覆材12を取り付け、最外表面には人形の肌にあたる被覆材12を適用し、被覆材12と被覆材12との空隙部分には綿等の被覆材12を設けることができるとともに、図3(B)に示したように、被覆材12と被覆材12との空間より折り曲げることができる。
このように構成することにより本発明の玩具用芯材を3種類の被覆材で被覆することができる。
玩具
本発明において玩具とは、子供用の玩具に限定されず、教育用立体模型、生物模型、スポーツ教育用人体模型、マネキン、ショーウインドウのディスプレイ等をも含む。
本発明の玩具は、前記玩具用芯材10を玩具の種々の部分に使用してなり、玩具用芯材10を備えた玩具は、変形可能性と形状保持性に優れており、自由自在に折り曲げ、曲げ戻し、捻りが可能であり、且つ、その状態で形状を保持することができる。
本発明の玩具は前記の玩具用芯材を用いるので、例えば多少の接触、風圧等では変形することが無く、ある程度の力を加えることで形状を変形でき、使用する対象や目的に応じて玩具全体の強度を調節することができる。そのためには玩具用芯材として複数本の長尺物を用いても良く、長尺物は結束部材で結束、接着または融着し、図1(A)のような形状の玩具用芯材10にしても良い。
複数本の長尺物14を用いた玩具用芯材10を用いることで玩具に必要な耐久性や形状保持性を持たせることができる。また、被覆材12を適宜選択することで玩具の強度、外見または風合いを変化させることができる。
本発明の玩具は、前記玩具用芯材が可動部あるいは固定部を構成してなる。本発明の玩具は、可動部が、前記玩具用芯材のみで構成されていても、被覆材で被覆されていても良い。例えば、前記玩具用芯材10が図3(A)(B)のようにそのまま可動部を構成したり、図4(A)(B)のように被覆材12によって被覆されたものが可動部を構成したも
のが挙げられる。変形を必要とする可動部については、玩具用芯材が被覆材で被覆されていないかあるいは被覆材の剛性が強すぎないものを用いることが好ましい。
一方、変形等をしたくない固定部については、玩具用芯材10の被覆材12としてある程度剛性を有するものを用いたり、本発明の玩具用芯材10を用いることなく強固な材料のみで構成し、該玩具用芯材10で接続して可動部を構成しても良い。また被覆材12と玩具用芯材10とは、動かないように固着させても良いし、ある程度自由に動くようにしても良い。
可動部は、玩具用芯材10として1本以上の長尺物14あるいは、1本以上の玩具用芯材10を適宜組み合わせて配設させるので、自由自在に折り曲げ、曲げ戻し、捻りが可能である。
また、玩具用芯材10は、複数本の長尺物14を用いることによって玩具用芯材10の断面形状あるいは断面の大きさを変化させることができ、そうすることによって、玩具の形状、大きさあるいは機械的強度を適宜変化させることができる。また、玩具作製の際、作業性、二次加工性あるいは搬送性を向上させることができる。
本発明の玩具は、本発明の玩具用芯材と被覆材を用いて種々の公知の形状を構成することができ、前記玩具用芯材の表面の一部または全てを被覆材で被覆することができる。このとき、被覆材が柔軟な素材であれば、被覆材に覆った部分を手で変形することが可能であり、例えば図4(A)に示した真っ直ぐな形態から、手などで曲げることによって図4(B)のような形状に折り曲げることができる。また、図4(B)に示したように曲がった形態を保持することができ、さらに、図4(A)に示したような真っ直ぐな形態へと再度変形することもできる。被覆材の剛性が強く、玩具用芯材を被覆材で被覆した際に手で変形不可能な場合には、図4(A)のまま、真っ直ぐの形態を保持することができる。また他の例としては、図3(A)、(B)に示すような形状が挙げられる。
図4は、ある程度剛性を有する被覆材12が固定部として機能し、複数の被覆材12を適宜間隔をあけて玩具用芯材10の外周を被覆するように配設した構成である。
これにより、固定部は手で変形することができないが、間隔の部分は本発明の玩具用芯材で構成されるので可動部として変形が可能となる。また、玩具用芯材として長尺物を複数本用い、図2(A)のような形状のにしてもよく、その場合には長尺物14が露出した部分で左右前後等に曲げたり、被覆材12で覆った固定部を捻ることによって、玩具の形態を変化させることができる。
その他の例としては、図5に示すような形状が挙げられる。図5は玩具用芯材10が複数本の長尺物14からなり、それらが露出している構成である。露出部分は本発明の玩具用芯材10のみからなるので可動部となり、ここで折り曲げたり捻ることができる。
本発明の玩具は、上記のように玩具用芯材10及び被覆材12を適宜使用し、可動部または固定部を設けることにより種々の形状にすることができる。
例えば、人間、動物、乗り物、機械、ロボット、建造物、架空上の物等が挙げられ、東京タワーのような玩具用芯材のみあるいは玩具用芯材表面に塗料等を薄く塗布しただけのものであっても、多数の被覆材で覆っていても良い。
また、本発明において玩具とは、子供用の玩具に限定されず、教育用立体模型、生物模型、スポーツ教育用人体模型、マネキン、ショーウインドウのディスプレイ等をも含む。人形の場合は具体的には、関節に対応するところは力をかけることにより変形するが、上腕部、脛、腿などに対応するところは伸びたままで、人形らしい動きを持った人形を提供
することができる。
たとえば、図6に示すように人形18にする場合には、本発明の玩具用芯材10の固定部を剛性の高い被覆材12で被覆し、さらに人形18の全体を被覆することができる。人形18の最外表面は、好みに応じた素材や色の被覆材12で被覆し、玩具用芯材10や固定部材と最外表面との間は、樹脂、綿等で埋めても良いし空洞のままにしておいても良い。複数の長尺物14からなる玩具用芯材10を覆う被覆材12が剛性が高いものである場合には、その被覆材12で被覆されていない肩、首、足の付け根等などが可動部となり、可動部でのみ曲げることが可能である。
したがって直立した状態だけでなく、椅子等に腰掛けたり、背中を反らせたり、手足を上下させたり回転させることができる。しかも本発明の玩具は、手で変形が可能であり、その形状を保持できる。また、被覆材12が柔軟な素材である場合には上記の肩等以外の部分でも変形が可能である。
玩具の製造方法
本発明の玩具は、玩具用芯材10をそのままあるいは玩具用芯材10表面に塗料等を塗布した物を適宜組み合わせて製造することができる。その場合には、適宜折り曲げ接着するなどして形状を作ることができる。
本発明の玩具が玩具用芯材10の表面に被覆材12を有する場合には、被覆材12の素材及び形状によって公知の種々の方法を用いて玩具に成形することができる。例えば樹脂を使用する場合には玩具用芯材10の少なくとも一部が被覆材12で被覆されるように玩具用芯材10の表面に樹脂を射出成形することできる。この方法を採れば容易に玩具用芯材10と被覆材12とを固着させることができる。
あるいは、玩具用芯材10及び被覆材12をそれぞれ成形した後、接着剤などで固定したり、玩具の形状がほぼ完成した状態に成形した後、玩具用芯材10を押し込む等しても良い。また本発明の玩具用芯材10は、玩具用芯材10を被覆材12と固着して一体化しても被覆するだけでも良い。
本発明の玩具において、玩具用芯材10と被覆材12とを一体化するには、被覆材12を玩具用芯材10に嵌着あるいは噛み合わせたり、被覆材12と玩具用芯材10とを接着剤または比較的低融点の樹脂材で接着あるいは溶融して玩具用芯材10と一体化することもできる。これにより二次加工での生産コストが抑えられ、また人が扱っても安全な玩具を提供できる点で好ましい。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、各種測定方法は以下のとおりである。
[戻り角度の測定]
玩具用芯材を長尺方法に、図1のように2kgの荷重をかけて90度折り曲げたまま10分間放置し、荷重を取り除いた後、図1(A−2)のように置いて30分間そのまま放置したときの図1(B)で示す角度θを測定する。測定は温度23℃且つ湿度50%RH。
[曲げ強度の測定]
玩具用芯材を長尺方向に長さ60mmにカットし、測定はASTM D 790に準じ、3点曲げにて支点間距離30mm、曲げ速度20mm/min、試験温度23℃で万能材料試験機205型を用い最大曲げ荷重(N)を平均して曲げ強度とした。
o−クロロフェノール中で25℃で測定した固有粘度は0.78dl/gであり、密度が1.40g/cm3であり、オリゴマー含有量が0.20重量%である粒状ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂(PET)を1.5重量部の白色顔料と混合して溶融押出し成形し、得られた約200mmの成形物を長尺方向に約5倍に延伸した。
延伸により直径が4.0mm、長さが1000mmの玩具用芯材が得られた。得られた玩具用芯材は、90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角度が7度で、曲げ強度が159Nであり、500回以上の屈曲を繰り返しても破断しなかった。また一部を変形させても、その形状を保持できた。
o−クロロフェノール中で25℃で測定した固有粘度0.78dl/gであり、密度が1.40g/cm3であり、オリゴマー含有量が0.20重量%である粒状ポリエチレン
テレフタレート樹脂(PET)を1.5重量部の白色顔料と混合して溶融押出し成形し、得られた約200mmの成形物を長尺方向に約9倍に延伸した。
延伸により直径が300μmの軸芯部材を得て、長さ1000mmにカットした。この軸芯部材を50本用意し、同長尺方向に配置し、ポリエチレン繊維により10mm間隔で結束した後、ホットメルト接着材で接着し、径が2.5mmの棒状の玩具用芯材を形成した。玩具用芯材を90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角度は10度であり、曲げ強度は142Nであった。
この棒状の芯材は、90度の折り曲げ戻り角が10度で、曲げ強度は42Nであり、500回以上の屈曲を、繰り返しても破断されなかった。また、一部を変形させても、その形状をそのまま保持できた。
実施例1で作製した玩具用芯材を400mmに切断し、人形の脚に模した円筒状をした射出成形用金型に固定し、密度が0.920、融点が110℃の高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)をノズル温度170℃でインジェクションした後、室温まで冷却した。玩具用芯材とLDPEを一体化して、図3(A)に示す形状の部材を作製した。この部材は手で力をかけることにより玩具用芯材が露出した部分でのみ屈曲し、図3(B)に示す形態になり、力を外してもその形状を保持した。また、被覆材に覆われた部分は被覆材が強固であるため容易には屈曲することは無かった。これを図6のような人形の形状にし、最外表面を織布で覆い、その他の部分に綿を詰めた。人形は、玩具用芯材がない脚の付け根、首、肩等で手で曲げることができ、座らせたり、顔を上下させたり、腕を前後に動かすことができ、好みの形状にすることができ、その形状をそのまま保持できた。さらに別の形状に変形することもできた。
図1は、本発明の玩具用芯材の曲げ戻り試験の模式図である。 図2は、本発明の玩具用芯材の実施例の芯材の拡大断面図である。 図3は、本発明の玩具の他の実施例の概略図である。 図4は、本発明の玩具の他の実施例の概略図である。 図5は、本発明の玩具の他の実施例の概略図および捻れ変形概略図である。 図6は、本発明の玩具の他の実施例の概略図である。
符号の説明
10・・・玩具用芯材
12・・・被覆材
14・・・長尺物
18・・・人形
20・・・重り
θ・・・折り曲げ戻り角

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂製の長尺物からなり、90度に折り曲げてから10分経過後の戻り角が30度以下で、且つ、曲げ強度が10〜300Nであることを特徴とする玩具用芯材。
  2. 熱可塑性樹脂が、ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の玩具用芯材。
  3. 長尺物は、熱可塑性樹脂を溶融押出成形して得られる成形物を、延伸または圧延することによって得られることを特徴とする請求項1に記載の玩具用芯材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の玩具用芯材が、可動部を構成することを特徴とする玩具。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の玩具用芯材の少なくとも一部が被覆材に覆われてなることを特徴とする玩具。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の玩具用芯材の少なくとも一部と被覆材が射出成形法により一体成形されていることを特徴とする玩具。
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