JP2006102251A - 循環指標測定装置及び循環指標測定方法、並びに制御プログラム及びコンピュータ読取可能な記憶媒体 - Google Patents

循環指標測定装置及び循環指標測定方法、並びに制御プログラム及びコンピュータ読取可能な記憶媒体 Download PDF

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弘 小泉
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Abstract

【課題】 測定中においても被測定者に不快な思いをさせずに、頸動脈を含めた首から上の血管における動脈硬化を評価するために用いる指数を測定することができる循環指標測定装置を提供する。
【解決手段】 本発明による循環指標測定装置は、血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定装置であって、外耳及びその周辺部を測定部位として脈波を検出する脈波検出手段と、検出された脈波に基づいて第1の評価指数を算出する第1の評価指数算出手段と、検出された脈波に基づいて第2の評価指数を算出する第2の評価指数算出手段と、第1及び第2の評価指数を提示する評価指数提示手段と、を備えることを特徴とする。第1の評価指数は振幅増加指数であり、第2の評価指数はAPGインデックスである。
【選択図】 図10

Description

本発明は、動脈硬化を評価するために用いられる循環指数を算出して表示する循環指標測定装置に関し、特に、例えばAI(振幅増加指数)又は/及びAPGインデックスを算出して表示する循環指標測定装置に関するものである。
従来より動脈硬化を評価するための指標として、振幅増加指数が知られている。この振幅増加指数は、AI(=Augmentation Index)として知られているものであり、一般には、心臓の血液拍出に起因する駆出波の圧力とその反射波の圧力との差を、その脈波の脈圧で割った値の百分率として算出される。
また、動脈硬化を評価するための別の指標として、APG指数が知られている。これは検出された脈波から加速度脈波を求め、そのなかに現われた陽性波に対する陰性波の割合として算出される。
これらの指数は動脈硬化と相関があるので、その値に基づいて動脈硬化の程度を評価することができる。
例えば特許文献1には、被測定者の頸動脈部に脈波センサを装着し、頸動脈の脈波を検出して上記AIを測定する動脈硬化評価装置が開示されている。
また従来より、脈波伝播速度の測定では、頸動脈と、足首の脈波伝播時間の差から求める方法が知られている。
特開2003−79586号公報
しかしながら、上記特許文献1では、被測定者の首に直接脈波センサを取り付けるので、被測定者に対する心理的負担が非常に高く、被測定者は測定中、非常に不快な思いをしなければならない。
また、頸動脈を測定部位とする場合、頸動脈部は、プラークが生じやすく、これに血栓が付着しやすい。この血栓が頸動脈から剥がれて、脳の血管を塞ぐことがあり、この疾患は脳塞栓症と呼ばれている。従って、高脂血症など頸動脈にプラークがある可能性の高い患者の場合に頸動脈を圧迫することは、血栓が頸動脈から剥がれるリスクを高めることとなり、必ずしも、望ましい手技でない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、頸動脈を含めた首から上の血管における動脈硬化を評価するために用いる指数を測定することができると共に、測定中においても被測定者に不快な思いをさせず、また、プラークの剥離のリスクの低い循環指標測定装置を提供するものである。
上記目的を達成するため、本発明による循環指標測定装置は、血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定装置であって、外耳及びその周辺部(外耳及びその周辺部の適所)を測定部位として脈波を検出する脈波検出手段と、前記脈波検出手段によって検出された脈波に基づいて第1の評価指数を算出する第1の評価指数算出手段と、前記脈波検出手段によって検出された脈波に基づいて第2の評価指数を算出する第2の評価指数算出手段と、前記第1及び第2の評価指数を提示する評価指数提示手段と、を備えることを特徴とする。
前記外耳及びその周辺部は、外耳道及び/又は耳介、耳珠及び/又はその周辺である。また、外耳及びその周辺部は、浅側頭動脈又はその分枝血管を含むものである。
前記第1の評価指数は振幅増加指数であり、前記第2の評価指数はAPGインデックスである。
そして、前記評価指数提示手段は、表示部に前記第1及び第2の評価指数を表示する。
本発明による循環指標測定装置は、血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定装置であって、外耳及びその周辺部(外耳及びその周辺部の適所)を測定部位として脈波を検出する脈波検出手段と、前記脈波検出手段によって検出された脈波に基づいて評価指数を算出する評価指数算出手段と、前記評価指数を提示する評価指数提示手段と、を備えることを特徴とする。
本発明による循環指標測定方法は、血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法であって、外耳及びその周辺部(外耳及びその周辺部の適所)を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程と、前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第1の評価指数を算出する第1の評価指数算出工程と、前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第2の評価指数を算出する第2の評価指数算出工程と、前記第1及び第2の評価指数を提示する評価指数提示工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明による循環指標測定方法は、血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法であって、外耳及びその周辺部(外耳及びその周辺部の適所)を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程と、前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて評価指数を算出する評価指数算出工程と、前記評価指数を提示する評価指数提示工程と、を備えることを特徴とする。
本発明による制御プログラムは、血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法を実行するための制御プログラムであって、外耳及びその周辺部(外耳及びその周辺部の適所)を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程を実行するためのプログラムコードと、前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第1の評価指数を算出する第1の評価指数算出工程を実行するためのプログラムコードと、前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第2の評価指数を算出する第2の評価指数算出工程を実行するためのプログラムコードと、前記第1及び第2の評価指数を提示する評価指数提示工程を実行するためのプログラムコードと、を備えることを特徴とする。
また、本発明による制御プログラムは、血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法を実行するための制御プログラムであって、外耳及びその周辺部(外耳及びその周辺部の適所)を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程を実行するためのプログラムコードと、前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて評価指数を算出する評価指数算出工程を実行するためのプログラムコードと、前記評価指数を提示する評価指数提示工程を実行するためのプログラムコードと、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明は、この制御プログラムを格納するコンピュータ読取可能な記憶媒体をも提供するものである。
その他の本発明の特徴は、以下の発明を実施するための最良の形態の記載及び添付図面により明らかになるものである。
本発明の循環指標測定装置及び循環指標測定方法によれば、測定中においても被測定者に不快な思いをさせずに、頸動脈を含めた首から上の血管における動脈硬化を評価するために用いる指数を測定することができる。
本実施形態は、外耳およびその周辺部(浅側頭動脈又はその分枝の一部及び外耳道の一部を含む)にカフを装着し、動脈硬化の程度を評価するための指数(指標)を測定し、表示部に表示する循環指標測定機能を有する光電脈波血圧計について記載されており、以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本実施形態では概ね、耳介の構造、光電容積脈波血圧計の回路構成、その血圧測定の動作、そして循環指標測定動作(AI測定及びAPGインデックス測定)の順で説明がなされている。
<耳介の構造>
本実施形態に係る血圧計が装着されるのは、前述の通り外耳およびその周辺部であるが、外耳およびその周辺部とは耳珠およびその周辺部を含み、また外耳は外耳道と耳介をも含む概念である。ここでは、まず耳介の構造について明らかにする。
図1は耳介(耳)の各部位の名称を示す図である。図1において、121は耳珠、122は対珠、123は耳甲介、124は対輪、125は耳輪、126は対輪脚である。
本実施形態では、後述する一対のカフ1は耳珠121を挟むように、かつ耳珠121及びその周辺部を覆うように装着される。この周辺部には、上述のように、浅側頭動脈128又はその分岐血管の一部及び外耳道の一部が少なくとも含まれる。
<光電容積脈波血圧計の回路構成>
図2は実施形態の光電容積脈波血圧計の構成を示すブロック図である。図2において、30は外耳およびその周辺部(耳珠及び/又はその周辺部)に装着される検出部である。その検出部30にはカフ1(1a及び1b)が含まれ、外耳およびその周辺部(耳珠および/又はその周辺部)の血管(細動脈)を圧迫可能となるよう外耳周辺部の血圧測定部位好ましくは耳珠に固定される。2はゴム管(エアチューブ)であり、カフ1内への空気の流路を成す。3は圧力ポンプであり、カフ1内に圧力空気を送り込む。4は急排弁であり、カフ1内の圧力を急速に減少させる。5は微排弁であり、カフ1内の圧力を一定速度(例えば2〜3mmHg/sec)で減少させる。6は圧力センサであり、カフ1内の圧力に応じて電気的パラメータを変化させる。7は圧力検出アンプ(AMP)であり、圧力センサ6の電気的パラメータを検出し、これを電気的信号に変換し、かつ増幅してアナログのカフ圧信号Pを出力する。
8はカフ1内に設置された脈波センサであり、脈動する血管血流に光を照射するLED8aと、該血管血流による反射光を検出するフォトトランジスタ8bを含む(図4)。9は脈波検出アンプ(AMP)であり、フォトトランジスタ8bの出力信号を増幅してアナログの脈波信号Mを出力する。ここで、LED8aには光量を自動的に変化させる光量制御部18が接続され、一方脈波検出アンプ9には、ゲインを自動的に変化させるゲイン制御部19aと脈波検出フィルタ・アンプ9を構成する後述するフィルタアンプ91、92の時定数を変化させる時定数制御部19bとが接続されている。10はA/D変換器(A/D)であり、アナログ信号M、PをデジタルデータDに変換する。
11は制御部(CPU)であり、本光電容積脈波血圧計の主制御を行う。CPU11は調整圧力を記憶する調整圧力レジスタ11aを有している。この制御の詳細は図6及び図7のフローチャートに従って後述する。また、本実施形態に係る指標測定動作については図10及び図12のフローチャートによって説明する。
12はROMであり、CPU11が実行する例えば図6、図7、図10及び図12の制御プログラムを格納している。13はRAMであり、データメモリや画像メモリ等を備える。14は液晶表示器(LCD)であり、画像メモリの内容を表示する。16はキーボードであり、使用者の操作により測定開始指令や調整圧力値の設定等を行える。15はブザーであり、使用者に対して装置がキーボード16内のキーの押し下げを感知したことや測定終了等を知らせる。尚、本例では、CPU11に調整圧力レジスタ11aを設けたが、RAM13に調整圧力記憶部を設けてもよい。
図5は実施形態の光電容積脈波血圧計の外観斜視図である。図5において、17は血圧計本体であり、内部には第2図のカフ1及び脈波センサ8を除く構成が含まれる。ここで、ゴム管2は脈波センサ8との信号線(不図示)を含み、不図示のカフ1及び脈波センサ8に接続している。LCDの表示パネル14は、ドットマトリックス方式の表示パネルを使用しており、従って多様な情報(例えば文字、図形、信号波形等)を表示できる。また20は電源スイッチで、キーボード16は測定開始スイッチ(ST)とカフの圧力値等を入力するためのテンキーとを有している。
<検出部30が耳珠に装着された様子>
図3は、検出部30が耳珠121およびその周辺部に装着された様子を示している。アーム38、39の押圧力で耳珠121を挟持する保持フレーム40と、アーム38、39の内側に配置され耳珠121へ加える圧力を変化させるカフ1a及び1bと、カフへ加圧空気を供給する空気パイプ43と、カフ1の近傍に配置され、耳珠121に光を照射する発光素子8aと、血管(細動脈)で反射した光を受光する受光素子8bとから構成される。
<光電容積脈波血圧計の動作>
次に、本実施形態に係る光電容積脈波血圧計の動作について以下に説明する。図6は本実施形態の光電容積脈波血圧計の測定処理手順のフローチャートである。
装置に電源スイッチ20により電源投入すると、まず不図示の自己初期診断処理を行い装置の初期値化が行われる。その後、測定開始スイッチSTを押すことにより処理が開始される。
ステップS101ではカフ圧Pを読み取り、ステップS102でカフ1の残圧が規定値以内か否かを判別する。残圧が規定値を超えていれば、ステップS123でLCD14に「残圧エラー」を表示する。残圧が規定値以内であればステップS103でカフの加圧値(例えば120〜210mmHgの最高血圧値より大きい値)をキーボード16を使用して設定し、ステップS104で光量及びゲインを所定の値に設定する。
加圧値および光量・ゲインの設定が終わると、ステップS105、S106では急排弁4及び微排弁5を閉じる。ステップS107では圧力ポンプ3を駆動開始し加圧(昇圧)を開始する。これが加圧時の計測行程の開始であり、カフ圧は一定速度(例えば2〜3mmHg/sec)で増加開始する。この間にステップS108で各機能ブロックによるデータ処理が行われ、最低血圧及び最高血圧の測定が行われる。最高血圧が測定される(S109)とステップS112で加圧ポンプ3を停止する。ステップS110ではカフ圧がS103で設定した加圧値Uより高いか否かを判別する。P>Uでなければまだ正常測定範囲にあり、引き続き測定を行う。一方、P>Uの時はもはやカフ圧が設定値よりも高いのでステップS111でLCD14に「測定エラー」を表示する。必要なら「加圧時信号異常」等の詳細情報を付記表示する。ステップS113では加圧時に得られた脈波信号の信号レベルが精度の高い血圧測定が可能であるための所定のレベルの範囲内に有るか否かを判別する。所定の範囲内であると判別された場合は、ステップS120でLCD14に測定した最高血圧値及び最低血圧値を表示し、ステップS121でブザー15にトーン信号を送る。ステップS113で所定の範囲内で無いと判別された場合は、ステップS114で脈波信号の信号レベルを基に光量及びゲインの調整を行う。
光量・ゲインの調整が終わると、ステップS115では微排弁5を開く。これが減圧(降圧)時の計測行程の開始であり、カフ圧は一定速度(例えば2〜3mmHg/sec)で減少開始する。この間にステップS116で各機能ブロックによるデータ処理が行われ、最高血圧及び最低血圧の測定が行われる。ステップS117では減圧時の最低血圧値の検出の有無を判別する。検出されていなければ引き続き計測を行う。ステップS118ではカフ圧が所定値L(例えば40mmHg)より低いか否かを判別する。P<Lでなければまだ正常測定範囲にあり、フローはステップS116に戻る。一方、P<Lの時はもはやカフ圧が正常測定範囲よりも低いのでステップS119でLCD14に「測定エラー」を表示する。必要なら「減圧時信号異常」等の詳細情報を付記表示する。
また、ステップS117の判別で測定終了の時は正常測定範囲で計測行程終了したことになり、ステップS120でLCD14に測定した最高血圧値及び最低血圧値を表示し、ステップS121でブザー15にトーン信号を送る。好ましくは、正常終了後と異常終了時とでは異るトーン信号を送る。ステップS122ではカフ1の残りの空気を急速排気し、次の測定開始を待つ。
<血圧の算出動作>
加圧時測定(ステップS108)の開始から減圧時測定(ステップS116)の終了までの時間におけるカフ圧と脈波信号のグラフ(模式図)を図8に示す。図8のグラフに対し血圧測定は概略以下のように行われる。すなわち、加圧時測定においては、脈波信号の大きさの変化が始まった点(a)のカフ圧を最低血圧、脈波信号の消失時点(b)のカフ圧を最高血圧とする。一方、減圧時の血圧測定は加圧時の血圧測定とは逆となり、脈波信号の出現時点(c)のカフ圧を最高血圧、脈波信号の大きさの変化が無くなった点(d)のカフ圧を最低血圧とする。
<装置光量及びゲインの調整の詳細動作>
図7に図6のステップS114に示す光量及びゲインの調整の詳細なフローチャートを、図9にこの光量及びゲインの調整を実現する回路例を示す。
まず、光量及びゲイン調整時には、ステップS51で図9のSW1〜SW2をONにして閉じ抵抗値を半分にすることにより、脈波フィルタアンプ91、92の時定数を半分にする。この状態で、ステップS52で搬送波レベルを検出し、ステップS53で脈波の搬送波が規格値(A/D変換器10のフルスケールの20〜40%)内か否かがチェックされる。
規格値以下の場合はステップS54に進んで光量が最大か否かをチェックし、最大でなければステップS56で光量制御部18を制御して光量を上げる。光量が最大の場合は、ステップS55でアンプ90のフィードバックを制御してゲインを上げる。ステップS55あるいはS56の処理後は、ステップS52に戻って再度搬送波のチェックを繰り返す。
一方、ステップS53で搬送波レベルが規格値以上の場合は、ステップS57でゲインが最小か否かがチェックされ、最小でないならばステップS59でゲイン制御部19aによりアンプ90のフィードバックを制御してゲインを下げる。最小ならばステップS58で光量を下げる。ステップS58あるいはS59の処理が終ると、ステップS52に戻って再度搬送波レベルがチェックされる。
ステップS53で搬送波レベルが規格値内であれば、ステップS60でSW1〜SW2を開いて、脈波フィルタアンプ91〜92の時定数を元に戻し、ステップS61で脈波ゲインをアンプ93で調整してリターンする。
本実施形態では血管内の血液による反射光を検出する例を示したが、替わりに透過光を検出するものであってもよい。
以上説明したように、本実施形態の光電容積脈波血圧計により、脈波信号の信号レベルが所定の規格範囲内に収まるよう信号レベルを調整可能とし、精度の高い測定を可能とすると同時に、血圧測定時間の短縮を可能とすることにより、カフ圧による利用者への身体的負担を軽減することを可能にする光電容積脈波血圧計を提供することができる。なお、耳珠およびその周辺部は痛みに対し鈍感な部分であるため、カフ圧による痛みが軽減できるという効果もあり、さらにこの事により、血圧の連続測定に適用が容易となるという効果も生まれる。
なお、上述の血圧測定装置は発光素子及び受光素子を用いて脈波を検出しているが、耳珠へ圧力を圧迫するカフを備え、生体表面の血管による脈動を当該カフで圧力変化として捉えることによっても脈波を検出することができる。即ち、圧力を印加したカフで生体から得られる脈動をカフ内の圧力の変化に変換し、圧力検知装置でカフ内の圧力変化を検知するものである。このような構成によっても生体の脈波を検出することができる。また、生体に接するカフ部分に小型マイクロフォンを設置し、生体の一部をカフにて圧迫するときに発生するコロトコフ音を検出し、所定レベル以上のコロトコフ音の発生あるいは消滅に基づいて血圧を測定するようにしても良い。
<AI(Augmentation Index)算出動作>
続いて、AI測定動作について図10を用いて説明する。図10はAIを算出し、それを表示部に表示するまでの動作を説明するためのフローチャートである。
ステップS201では脈波を検出する。脈波については、上述したような血圧測定時に検出されたものを用いても良いし、カフ1を外耳及びその周辺部に装着するが圧迫しない状態にしておきながら(脈波)検出するようにしてもよい。検出された脈波は図11のA又はBのようになる。図11Aの脈波は動脈硬化のない正常な人のものであり、図11Bの脈波は動脈硬化のある人(高齢者)のものである。動脈硬化は加齢や人工透析で血管にカルシウムが沈着すること等が起因するといわれている。
ステップS202では、検出された脈波における進行波ピークが決定される。ここで、進行波ピークは第1番目のピーク或いは第1番目の変曲点、心臓の血液駆出に伴う駆動圧波値に相当するものである。つまり、図11A及びBにおけるP1の値を抽出することになる。なお、進行波ピークがピークとして現われるか、変曲点として現われるかは動脈硬化の程度によって異なる。図11Aのように正常な人の場合には脈波伝播速度が遅いため、進行波(駆出波)のピークが末端からの反射波による影響をほとんど受けないが、図11Bのように動脈硬化のある人の場合には脈波伝播速度が速いため、進行波のピークは末端からの反射による影響を受けてしまいはっきりとしたピークとしては現われない。そのため、この場合の進行波ピークは、脈波(図11B)を何階(2〜4階)か微分して変曲点を求めることによって得られるのである。
ステップS203では、検出された脈波における反射波のピークが決定される。図11Aに示されるように、正常な人の場合、反射波ピークは変曲点(P2)として現われるため、脈波を何階か微分することによって決定することができる。一方、動脈硬化の人の場合には、図11Bに示されるように、反射波はピークとして現われる(P2)。このような差異は、上述のように動脈硬化による伝播速度の差に起因するものである。
ステップS204ではAIが算出される。AIは脈圧に対する収縮後方成分P2から収縮前方成分P1を引いたものの割合であるが、以下の式で表される(単純にP2のP1に対する比で表される場合もある)。
AI=(P2−P1)/PP,PP=脈波最大振幅値 ・・・ (式1)
図11A(正常)の場合には、AI<0となり、図11B(動脈硬化)の場合には、AI>0となる。なお、反射波が大きくなる(AI値が大きくなる)と、心臓はそれに負けないように血液をより高い圧力で送り出そうとし、血管はその力に耐えるために硬くなるのである。その繰り返しの結果、動脈硬化(又は心臓肥大、高血圧)が進んでいくといわれている。
ステップS205では、ステップS204で算出されたAI値が表示部たるLCD14に表示される。例えば、測定者たる医師は、このAI値を見ることによってどの程度動脈硬化が進んでいるかを判断することができる。
<APGインデックス算出動作>
本実施形態では、AI値の他にAPGインデックスを算出して、それを動脈硬化の評価の指標として提示する様にしている。
図12は、APGインデックスを算出する動作を説明するためのフローチャートである。
ステップS301では脈波が検出される。脈波については、上述したような血圧測定時に検出されたものを用いても良いし、カフ1を外耳及びその周辺部に装着するが圧迫しない状態にしておきながら(脈波)検出するようにしてもよい。検出された脈波は図11のA又はBのようになる。
そして、ステップS302では、ステップS301で検出された脈波が加速度脈波に変換される。加速度脈波への変換は、検出された脈波を2階微分することによって実現される。得られた加速度脈波の波形は、例えば図13のように表される。つまり、加速度脈波は心臓の収縮期の波形であり、a、b、c、d、e波の5つの成分波が見られるようになる。基準線より上を正、下を負の象限としたとき、a波は基準線より常に上に位置する陽性波、b波は基準線より常に下に位置する陰性波、c、d、e波は生体の条件により陽性又は陰性に変化する。
ステップS203ではAPGインデックスが以下の式2により算出される。
APGインデックス=(−b+c+d)/a ・・・ (式2)
なお、APGインデックスは、aの値を100としたときの各辺極点b、c、dまでの波高を求めて算出される。このAPGインデックスも年齢と強い相関を有し、加齢によってそれは低下する傾向にある。よってAPGインデックスが低い値を示せば動脈硬化の可能性があると評価することができるわけである。
ステップS204では、ステップS203で算出されたAPGインデックスが表示部たるLCD14に表示される。
以上のように本実施形態では、AI値と共にAPGインデックスも表示されるため、例えば医師等は、より客観的に被測定者の動脈硬化の程度を評価することができる。なお、どちらか一方によって動脈硬化の程度を判定してよいことはもちろんである。
また、本実施形態では外耳及びその周辺部(より特定的には耳珠及び/又はその周辺部)を測定部位としてAIやAPGインデックスを算出している。よって、例えば、耳珠の裏側の血管(細動脈)の脈波を測定してAIやAPGインデックスを算出した場合には、脳に関連する血管の動脈硬化の程度について評価することができ、また、耳珠の表側及びその周辺部にある浅側頭動脈又はその分枝血管の脈波を測定してAIやAPGインデックスを算出した場合には、心臓から頭部に繋がる血管の動脈硬化の程度について評価することができる。
<その他の実施形態>
上述の実施形態では、図3に示されるように、外耳及びその周辺部(より特定的には耳珠及び/又はその周辺部)を挟む構成を有する一対のカフの一方側にのみに血管の血流に対して光を照射する照射部(LED8a)と血流からの反射光を検出する受光部(フォトトランジスタ8b)を備えるようにしている。
これを、外耳及びその周辺部(より特定的には耳珠及び/又はその周辺部)を挟む一対のカフ30の双方に光の照射部(図14参照:LED8a及び21a)と反射光を検出する受光部(図14参照:フォトトランジスタ8b及び21b)とを有し、外耳及びその周辺部における複数の部位、つまり耳珠の裏側及び表側の血圧を同時に計測可能とするように構成しても良い。このように構成することにより、一方側のカフは外耳及びその周辺部の裏側にある血管(細動脈)を圧迫し、他方側のカフは前記外耳及びその周辺部の表側にある浅側頭動脈128或いはその分枝血管を圧迫する。
よって、このような構成を採ることによって、種類の異なる評価指数を一度に測定することができ、どの血管において、つまり脳内を含む頭部の血管或いは、心臓から繋がる頸動脈や浅側頭動脈において動脈硬化が認められるか否かを評価することができる。なお、それぞれの測定部位における評価指数の測定動作は上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。
以上のように外耳及びその周辺部(より特定的には耳珠及び周辺部)の血圧を測定するのは以下の理由によるものである。
すなわち、耳珠およびその周辺部の血管(細動脈)は脳内の血管に近接していることが知られており、脳内に由来する血圧変化が測定可能と考えられている。一方、耳珠周辺部には、耳の軟骨部(主に耳珠)に存在する血管(細動脈)の他に、心臓に直結する動脈(浅側頭動脈)も位置する。そのため、耳珠周辺部においては小さな装置で異なる情報(つまり脳内由来の血圧と心臓由来の血圧)をもつ血圧を同時に測定可能であるという利点がある。本実施形態の循環指標測定装置により、脈波信号の信号レベルが所定の規格範囲内に収まるような信号レベルとすることが可能となり、外耳周辺部の精度の高い評価指数測定が可能となる。同時に、血圧測定時間の短縮を可能とすることにより、カフ圧による利用者への身体的負担を軽減することを可能にする循環指標測定装置を提供することができる。
なお、本発明では、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM,CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれている。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含む。
また、上記実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードがネットワークを介して配信されることにより、システム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納され、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても、達成されることは云うまでもない。
耳介の構成を示す図である。 本実施形態の光電容積脈波血圧計の構成図である。 検出部30の構成の詳細を示す図である。 光電容積脈波血圧計のカフ内のセンサ動作を説明する図である。 光電容積脈波血圧計の外観斜視図である。 光電容積脈波血圧計の血圧測定動作を説明するためのフローチャートである。 光電容積脈波血圧計の信号レベル調整動作を説明するためのフローチャートである。 光電容積脈波血圧計での測定中におけるカフ圧と脈派信号のグラフ(模式図)である。 光電容積脈波血圧計の回路図である。 AIを算出し、表示する動作を説明するためのフローチャートである。 検出された脈波であって、駆出波と反射波との関係を示す図である。 APGインデックスを算出し、表示する動作を説明するためのフローチャートである。 加速度脈波を示す図である。 耳珠を挟持するカフの双方に発光部及び受光部を備える光電容積脈波血圧計の構成を示す図である。

Claims (34)

  1. 血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定装置であって、
    外耳及びその周辺部を測定部位として脈波を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波検出手段によって検出された脈波に基づいて第1の評価指数を算出する第1の評価指数算出手段と、
    前記脈波検出手段によって検出された脈波に基づいて第2の評価指数を算出する第2の評価指数算出手段と、
    前記第1及び第2の評価指数を提示する評価指数提示手段と、
    を備えることを特徴とする循環指標測定装置。
  2. 前記外耳及びその周辺部は、外耳道及び/又は耳介であることを特徴とする請求項1に記載の循環指標測定装置。
  3. 前記外耳及びその周辺部は、耳珠及び/又はその周辺部であることを特徴とする請求項1に記載の循環指標測定装置。
  4. 前記外耳及びその周辺部は、浅側頭動脈又はその分枝血管を含むことを特徴とする請求項1に記載の循環指標測定装置。
  5. 前記第1の評価指数は振幅増加指数であり、前記第2の評価指数はAPGインデックスであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の循環指標測定装置。
  6. 前記評価指数提示手段は、表示部に前記第1及び第2の評価指数を表示することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の循環指標測定装置。
  7. 血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定装置であって、
    外耳及びその周辺部を測定部位として脈波を検出する脈波検出手段と、
    前記脈波検出手段によって検出された脈波に基づいて評価指数を算出する評価指数算出手段と、
    前記評価指数を提示する評価指数提示手段と、
    を備えることを特徴とする循環指標測定装置。
  8. 前記外耳及びその周辺部は、外耳道及び/又は耳介であること特徴とする請求項7に記載の循環指標測定装置。
  9. 前記外耳及びその周辺部は、耳珠及び/又はその周辺部であることを特徴とする請求項7に記載の循環指標測定装置。
  10. 前記外耳及びその周辺部は、浅側頭動脈又はその分枝血管を含むことを特徴とする請求項7に記載の循環指標測定装置。
  11. 前記評価指数は振幅増加指数又はAPGインデックスであることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の循環指標測定装置。
  12. 血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法であって、
    外耳及びその周辺部を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程と、
    前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第1の評価指数を算出する第1の評価指数算出工程と、
    前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第2の評価指数を算出する第2の評価指数算出工程と、
    前記第1及び第2の評価指数を提示する評価指数提示工程と、
    を備えることを特徴とする循環指標測定方法。
  13. 前記外耳及びその周辺部は、外耳道及び/又は耳介であること特徴とする請求項12に記載の循環指標測定方法。
  14. 前記外耳及びその周辺部は、耳珠及び/又はその周辺部であることを特徴とする請求項12に記載の循環指標測定方法。
  15. 前記外耳及びその周辺部は、浅側頭動脈又はその分枝血管を含むことを特徴とする請求項12に記載の循環指標測定方法。
  16. 前記第1の評価指数は振幅増加指数であり、前記第2の評価指数はAPGインデックスであることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1項に記載の循環指標測定方法。
  17. 前記評価指数提示工程は、表示部に前記第1及び第2の評価指数を表示することを特徴とする請求項12乃至16の何れか1項に記載の循環指標測定方法。
  18. 血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法であって、
    外耳及びその周辺部を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程と、
    前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて評価指数を算出する評価指数算出工程と、
    前記評価指数を提示する評価指数提示工程と、
    を備えることを特徴とする循環指標測定方法。
  19. 前記外耳及びその周辺部は、外耳道及び/又は耳介であること特徴とする請求項18に記載の循環指標測定方法。
  20. 前記外耳及びその周辺部は、耳珠及び/又はその周辺部であることを特徴とする請求項18に記載の循環指標測定方法。
  21. 前記外耳及びその周辺部は、浅側頭動脈又はその分枝血管を含むことを特徴とする請求項18に記載の循環指標測定方法。
  22. 前記評価指数は振幅増加指数又はAPGインデックスであることを特徴とする請求項18乃至21の何れか1項に記載の循環指標測定方法。
  23. 血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法を実行するための制御プログラムであって、
    外耳及びその周辺部を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程を実行するためのプログラムコードと、
    前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第1の評価指数を算出する第1の評価指数算出工程を実行するためのプログラムコードと、
    前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて第2の評価指数を算出する第2の評価指数算出工程を実行するためのプログラムコードと、
    前記第1及び第2の評価指数を提示する評価指数提示工程を実行するためのプログラムコードと、
    を備えることを特徴とする制御プログラム。
  24. 前記外耳及びその周辺部は、外耳道及び/又は耳介であることを特徴とする請求項23に記載の制御プログラム。
  25. 前記外耳及びその周辺部は、耳珠及び/又はその周辺部であることを特徴とする請求項23に記載の制御プログラム。
  26. 前記外耳及びその周辺部は、浅側頭動脈又はその分枝血管を含むことを特徴とする請求項23に記載の制御プログラム。
  27. 前記第1の評価指数は振幅増加指数であり、前記第2の評価指数はAPGインデックスであることを特徴とする請求項23乃至26の何れか1項に記載の制御プログラム。
  28. 前記評価指数提示工程は、表示部に前記第1及び第2の評価指数を表示することを特徴とする請求項23乃至27の何れか1項に記載の制御プログラム。
  29. 血管の状態を示す循環指数を算出して提示する循環指標測定方法を実行するための制御プログラムであって、
    外耳及びその周辺部を測定部位として脈波を検出する脈波検出工程を実行するためのプログラムコードと、
    前記脈波検出工程で検出された脈波に基づいて評価指数を算出する評価指数算出工程を実行するためのプログラムコードと、
    前記評価指数を提示する評価指数提示工程を実行するためのプログラムコードと、
    を備えることを特徴とする制御プログラム。
  30. 前記外耳及びその周辺部は、外耳道及び/又は耳介であること特徴とする請求項29に記載の制御プログラム。
  31. 前記外耳及びその周辺部は、耳珠及び/又はその周辺部であることを特徴とする請求項29に記載の制御プログラム。
  32. 前記外耳及びその周辺部は、浅側頭動脈又はその分枝血管を含むことを特徴とする請求項29に記載の制御プログラム。
  33. 前記評価指数は振幅増加指数又はAPGインデックスであることを特徴とする請求項29乃至32の何れか1項に記載の制御プログラム。
  34. 請求項23乃至33の何れか1項に記載の制御プログラムを格納することを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
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