JP2006102051A - 靴 - Google Patents

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淳一 中山
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Abstract

【課題】 歩行に伴う足首の左右屈曲運動に起因するベロ皮の外側へのずれを防止する
【解決手段】 アッパーソール11の中央上部における甲部先端から足首部分にかけて開口し、この開口先端に先端を逢着されたベロ皮1の左右を、幕状のまち布6aを介して左右の開口縁に逢着し、前記開口縁両側に設けた甲皮本体18及び足首皮本体19を前記ベロ皮1に重合し、甲皮本体同士及び足首皮本体同士を靴ひも等を介して緊縛することで使用者の足にフィットさせるようにした靴において、前記ベロ皮1における使用者の足首前半周を覆う足首覆い部3の体側内側の側縁部に、使用者の内踝部分に沿って湾曲状若しくは略半円状に切除した切除部4を形成し、切除部4に連続する前記体側内側の側縁部の先端側縁は靴の内方向に突出する突出部3aとした
【選択図】 図3

Description

本発明は靴に関し、特に、登山靴に適した、履き心地性を改良した靴に係るものである。
山岳登山などで高所を歩く場合には、自己の体重に加え、体重の1/4〜1/3程度の背荷物の荷重を靴で支えなければならない上に、石ころだらけの山道や岩場を彷徨するため、足に加わる負担が極めて大きい。
それ故登山靴は、足首を完全に包込むハイカットデザインで、ソールは堅く厚いものを用い、またシャンクが入っているため、体重をかけてもほとんど撓まず、アイゼンなども安心して装着できるものが用いられ、さらには損耗が著しいため本底を容易に交換できるものが用いられる。
また登山靴では、アッパーソールの上部中央を足先から足首にかけて前後に開口し、この開口先端に逢着されたベロ皮を裏打皮を介して開口周縁に一体に接合し、開口周縁に設けた左右の甲皮本体及び足首皮本体をこのベロ皮に重ね合せ、これらに設けたD環及び係止金具に靴ひもを通し、編上げ状態で緊縛することで、完全に足首を包込んだ形で使用者の足にフィットさせるようにしている。
図6は従来の登山靴に用いられるベロ皮aを示し、このものは甲覆い部b及びこれの上部に一体化した足首覆い部cとからなっている。両部品は、硬質の皮革をそれぞれ足首前面及び甲上面の展開形状に裁断し、張合わせた後、甲から足首の立上がり形状に応じて立面造形したものであって、造形後はその裏面に図示しないパッドを介して柔軟な裏打革を逢着し、前記甲覆い部bの先端をアッパーソールの開口先端に逢着するとともに、裏打革の甲及び足首覆い部b,cの左右からのはみ出し周縁である幕状のまち布を前記開口縁の左右に沿って逢着したものである。
前記裁断形状において、前記足首覆い部bは足首のほぼ前半周を覆う形であり、足首内外に突出する部分である踝半分程度覆われる形となっている。
この従来のベロ皮aは、全体として略短冊形であり、その縦中心線から見て左右の部分が略同幅であり、外縁と内縁が縦中心線から見て略対称の直線若しくは曲線形状とされている。
以上の構成における実際問題として、山道の歩行では、足首の前後屈曲運動のほかに左右屈曲運動も含まれる。いずれの屈曲運動とも足首と靴内部との間で繰返しフリクションが生ずる結果、従来の裁断形状のベロ皮では内側の踝による影響を受けやすく、何千回、何万回もの歩行運動の繰返しにより、相対的にベロ皮が外側にずれやすいものとなっていた。このようなずれ現象は、通常の運動靴やハイキングシューズでも同様である。
靴製造業者としての本発明者の研究によれば、ベロ皮が外側に流れやすい原因は、内外の踝の位置が対象ではない点に主たる原因がある。例えば、本発明者の場合、内踝の中心部の位置は足底から9.5cmであるのに対し、外踝の中心部の位置は足底から7cmであって、内外踝の差は2cmである。また、内踝が外踝より前にあり、足の甲は、内側が高く外側が低い。このような足の形状から、上記従来のような内外縁部が対称の従来のベロ皮では、ベロは内踝により外側に押され、足の甲では外側が低いために、ベロは外側に流れ易いのである。
このために歩行中しばしば靴ひもを締直すなどして正規位置に戻す必要があり、またずれを防止しようとして靴ひもを強固に締上げた場合には、血行障害などを引き起す懸念があった。
本発明は、以上述べた課題を解決するものであり、歩行に伴う足首の左右屈曲運動に起因するベロ皮の外側へのずれを防止し、より快適な歩行を行えるようにした靴を提供するものである。
前記目的を達成するため、本発明は、図1乃至5の実施の形態にも示されるように、アッパーソール11の中央上部における甲部先端から足首部分にかけて開口し、この開口先端に先端を逢着されたベロ皮1の左右を、幕状のまち布6aを介して左右の開口縁に逢着し、前記開口縁両側に設けた甲皮本体18及び足首皮本体19を前記ベロ皮1に重合し、甲皮本体同士及び足首皮本体同士を靴ひも等を介して緊縛することで使用者の足にフィットさせるようにした靴において、前記ベロ皮1における使用者の足首前半周を覆う足首覆い部3の体側内側の側縁部に、使用者の内踝部分に沿って湾曲状若しくは略半円状に切除した切除部4を形成し、切除部4に連続する前記体側内側の側縁部の先端側縁は靴の内方向に突出する突出部3aとされたことを特徴とする。
さらに、前記ベロ皮1側縁部から幕状に張り出し、ベロ皮1の内外縁部とアッパーソール11上部の内外開口縁部とを塞ぐまち布6aが、前記足首覆い部3の切除部4に露出するとともに、前記突出部3aが、まち布6aの折り畳み部分で前記アッパーソール11の甲皮本体18若しくは足首皮本体19との間に狭持されることを特徴としている。
前記まち布6aは、前記ベロ皮1の裏打皮6の側縁部から一体に連続して張り出す構成であることを特徴としている。
前記裏打皮6の、ベロ皮1とパッド5を介して重合する本体部分と側縁部からの張出すまち布6aは、一枚の皮材の連続により形成してもよく、また、別の皮材の継ぎ足しにより形成してもよい。さらに、ベロ皮1の甲覆い部2と足首覆い部3とは、一枚の皮材の連続により形成してもよく、また、別の皮材の継ぎ足しにより形成してもよい。
本発明は、前開きの靴であって紐などので閉じることができ、靴の上縁開口が、足の踝の上方に位置し、靴の前部開口の内部にベロ皮を有する靴において、上記まち布のないタイプの靴にも適応できる。
以上説明したように、本発明では、ベロ皮の縦中心線から見て内外縁部の形状が異なり、ベロ皮の外縁部は縦中心線に略沿った直線若しくは曲線形状とし、ベロ皮の内縁部を使用者の内踝に沿って湾曲状若しくは略半円状に、上方から見て略逆S字形に切除している。
従って、本発明にあっては、ベロ皮内縁の切除部の下方の突出部が、内方に広く足の甲の内側に入り、靴紐を締めた時に、靴紐により上からベロ皮内側の部位を押さえることができる。従って、ベロ皮が外側に流れることを防ぐことができる。このように、ベロ皮内側の広い部位(突出部)で、足の内踝の下側部分を、ベロ皮裏面のパッドと靴紐によって靴にフィットさせることができ、靴の中の足を靴にフィットさせることができる。
このような作用により、靴の中での踵の浮き上がりがなくなり固定され、固定されることにより踵部位での靴ズレを防ぐことができる。
さらに、ベロ皮の内縁がえぐる形状(切除部)とされていることにより、歩行中内踝に押されてベロ皮が足の外側に逃げて変形することが防止される。また、ベロ皮の切除部分にはまち布が露出し、この部分で内踝が強く圧迫されるということがない。
以下、本発明の最良の実施の形態につき添付図面を参照して詳細に説明する。図1,2,3は本発明に係る登山靴に用いるベロ皮を示すものである。このベロ皮1は先端を後述する靴本体の先端に逢着により固定される甲覆い部2及びこれの上部に一体化した足首覆い部3とを備えている。両部2,3は、硬質の皮革をそれぞれ足首前面及び甲上面の展開形状に裁断し、張合わせた後、甲から足首にかけての立上がり形状に応じて立体造形したものであって、足首覆い部3の内踝位置に該当する一側縁部には、内踝の周囲を半周すべく湾曲状若しくは略半円状の切除部4を切欠き形成している。切除部4の下方には、これと連続して湾曲状に足首覆い部3の突出部3aが突出されている。甲覆い部2と足首覆い部3とは一枚の皮材による連続形状としてもさしつかえない。
このように、本発明の実施の形態にかかるベロ皮1は、図3に示すように、全体として略短冊形状をなすが、縦中心線からみて、内外縁部の形状が異なっている。すなわち、外縁部は縦中心線に略沿った直線状若しくは曲線状とされ、内縁部は上から見て略逆S字形に成形されている。内縁部の突出部3aは、外縁部の対称線よりも外側に広く突出(実施例では1.6cm程度)している。
以上のように立体造形されたベロ皮1の裏面に図2に示すように、厚手の発泡ウレタン製クッション材よりなるパッド5を介して裏打皮6を逢着することで、ベロ皮1のアッセンブリが完了する。なお、足首覆い部3の上縁にはパッド5を露出させ、これに裏打皮6をくるんだ状態で縫製することで、この部分をクッション7としている。
裏打皮6は薄手かつ柔軟な皮素材からなり、その左右を略三角形状をなしてベロ皮1の左右にはみ出して前記ベロ皮1に逢着され、更にその余張出し部であるまち布6aの先端外側縁を後述する靴本体の開口部左右に逢着させ、靴本体10からベロ皮1を起した場合には、まち布6aが皮膜状に緊張し、靴本体内に納めた状態では、折曲げ線6bを基準に靴本体の内側に折畳まれる。図では折曲げ線6bを一本線として明瞭に描いているが、必ずしも明瞭には現れない。但し、はき慣れることによる癖付により、順次明瞭となる。
図4,5は、以上のベロ皮1を組付けた靴本体10を示すものである。図において靴本体10は、アッパーソール11と、アッパーソール11の下面に逢着により固定された皮底12と皮底12の下面に固着され、かつ底面に所定の凹凸を形成した本底14とを備えている。本底14はゴム系接着剤などを介して皮底12に接着されるもので、これが消耗した際には、簡単に交換できるようにしている。
アッパーソール11の上面中央にはその前後に沿って、前記ベロ皮1の先端が取付けられる開口が形成され、開口の両側に設けた屈曲用切欠き15を境界としてその前部側を甲覆い部16、後部側を甲覆い部16から連続的に立ち上げられた足首覆い部17としている。この靴の前面開口は、ベロ皮1と左右のまち布6a,6aにより覆われている。
甲覆い部16、足首覆い部17の開口部左右両側にはそれぞれ、前記ベロ皮1の左右に重合される甲皮本体18及び足首皮本体19が対向して突設され、各本体18,19の突設基部に前記裏打皮6の余張出し部であるまち布6aを逢着している。各本体18,19の上面にはそれぞれ、D環20、コ字形紐通し金具21が鋲打によって固定され、これらに図示しない靴ひもを通し、編上げた状態で締付けることによって使用者の足にフィットさせるようになっている。
なお、足首覆い部17の後部側の開口縁には三段のクッション22が環状をなして設けられ、締付け状態で特に図3に示すように、ベロ皮1のクッション7と協働して着用者の足首部分周囲をソフトに囲うようになっている。
以上において、着用者が登山靴を履いた状態では、前記内外のまち布6aは図3に示す折畳み状態から更に足と靴の内面との間に扁平状をなして圧迫状態に挟み込まれ、ベロ皮1を引張り状態に固定する。そして、歩行に伴う、屈曲部を中心とした前後左右の屈曲が生じても、ベロ皮1が外側へずれることがない。
本発明にかかる靴は、登山靴のみならず、靴の上縁が踝の上方に位置する、例えば、ハイキングシューズやバスケットシューズなどに適応される。また、革靴のみならず、合成皮革や布製などの各種靴に適応される。
本発明に係る靴に用いるベロ皮の立面図である。 図1のA−A線断面図である。 同ベロ皮の平面図である 同靴の平面図である 同側面図である。 従来のベロ皮の平面図である。
符号の説明
1 ベロ皮
2 甲覆い部
3 足首覆い部、3a 突出部
4 切除部
5 パッド
6 裏打皮
6a まち布
6b 折曲線
10 靴本体
11 アッパーソール
15 屈曲用切欠き
16 甲覆い部
17 足首覆い部
18 甲皮本体
19 足首側本体

Claims (4)

  1. 上縁開口が足の踝の上方に位置するアッパーソール(11)の中央上部における甲部先端から足首部分にかけて開口し、この開口を内側から塞ぐように開口先端に先端を固定したベロ皮(1)を有する靴において、
    前記ベロ皮(1)における使用者の足首前半周を覆う足首覆い部(3)の体側内側の側縁部に、使用者の内踝部分に沿って湾曲状若しくは略半円状に切除した切除部(4)を形成し、切除部(4)に連続する前記体側内側の側縁部の先端側縁は靴の内方向に突出する突出部(3a)とされたことを特徴とする靴。
  2. アッパーソール(11)の中央上部における甲部先端から足首部分にかけて開口し、この開口先端に先端を逢着されたベロ皮(1)の左右をまち布(6a)を介して左右の開口縁に逢着し、前記開口縁両側に設けた甲皮本体(18)及び足首皮本体(19)を前記ベロ皮(1)に重合し、甲皮本体同士及び足首皮本体同士を靴ひも等を介して緊縛することで使用者の足にフィットさせるようにした靴において、
    前記ベロ皮(1)における使用者の足首前半周を覆う足首覆い部(3)の体側内側の側縁部に、使用者の内踝部分に沿って湾曲状若しくは略半円状に切除した切除部(4)を形成し、切除部(4)に連続する前記体側内側の側縁部の先端側縁は靴の内方向に突出する突出部(3a)とされたことを特徴とする靴。
  3. 請求項2において、前記ベロ皮(1)側縁部から張り出すまち布(6a)が前記足首覆い部(3)の切除部(4)に露出するとともに、前記突出部(3a)が、まち布(6a)の折り畳み部分で前記アッパーソール(11)の甲皮本体(18)若しくは足首皮本体(19)との間に狭持されることを特徴とする靴。
  4. 請求項2又は3において、前記まち布(6a)は、前記ベロ皮(1)の裏打皮(6)の側縁部から一体に連続して張り出す構成であることを特徴とする靴。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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