JP2006100954A - 圧電型音響変換装置およびその製造方法 - Google Patents

圧電型音響変換装置およびその製造方法 Download PDF

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Koji Ushio
浩司 牛尾
Masaya Nakatani
将也 中谷
Jiro Terada
二郎 寺田
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Abstract

【課題】可聴周波帯域の音圧特性に優れた小型の圧電型音響変換装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】片面に凹部を設けた基板1を備え、この凹部の底面に対応する基板1の一部を振動部2とし、この振動部2の上に第一の導電層3を設け、この第一の導電層3の上に圧電体層4を設け、この圧電体層4の上に第二の導電層5を設けることによりアクチュエータ7を形成し、前記振動部2のアクチュエータ7を形成していない所定の箇所に1つ以上の貫通孔6を設けた。
【選択図】図2

Description

本発明は、音あるいは振動と電気信号を双方的に変換するものであり、特にイヤホン、マイクロレシーバ、補聴器など小型化が要求される音響変換装置に関するものである。
従来、この種の音響変換器としては次のようなものがある。
例えば補聴器では、空気中に伝わる音波を的確にとらえて電気信号に変換し、その電気信号をDSPなどで増幅処理、波長調整などの信号処理を行った後、再び電気信号を音波に変換している。このように、補聴器では音波を電気信号に変換する音響変換器と、電気信号を音波に変換する音響変換器がそれぞれ用いられている。そして、これらが組み込まれた補聴器は使用者の耳穴に適切な形でセットされる。
また、これらに用いる音響変換器としては各種の方法があり、例えば音波の振動によってコンデンサの容量が変化することを利用して音波を電気信号に変換する方法や、コイルに電流を流して磁場を発生し、この磁場と周辺磁場との相互作用力によってダイアフラム部を振動させることで電気信号を音波に変換するものなどがある。
ここで、補聴器として使用するための音響変換器には小型のものが必要となり、更に電池にも小型なものが要求されているので消費電力も小さくする必要がある。これに対して、例えば電磁方式では小型化に伴い磁石の設置などが困難となる。また、電池寿命が短いという問題がある。
一方、圧電方式は圧電素子を金属板に接合、または薄膜形成した形状とすることができるために小型化に最適であり、更に低消費電力化を実現することができる。そのため、小型の各種携帯端末の携帯電話、パソコンなどの発音源あるいはマイクなどに用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−152385号公報
しかしながら、前記従来の構成では小型化が更に要求される装置、例えば人の耳穴に完全に入ってしまうほどの極めて小さな形状の補聴器などへの利用は行われていない。
これは、小型化に伴って音響波の振動を発生もしくは受信する振動部の面積が小さくなることにより、振動部が持つ共振周波数が高くなってしまうからである。その結果、可聴域である100〜20000Hzの振動レベル、特に低周波領域の振動レベルが下がるために音響波の変換効率が著しく下がり、小さな形状の圧電型音響変換装置を実現することが難しかった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、可聴周波帯域の音圧特性に優れた小型の圧電型音響変換装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
片面に凹部を設けた基板を備え、前記凹部の底面に対応する基板の一部を振動部とし、この振動部の上に第一の導電層を設け、この第一の導電層の上に圧電体層を設け、この圧電体層の上に第二の導電層を設けることによりアクチュエータを形成し、前記振動部のアクチュエータを形成していない所定の箇所に1つ以上の貫通孔を設けた構成としたものである。
本発明の音響変換装置およびその製造方法は、フレームと一体構造の非常に薄い振動部とするとともに振動部に貫通孔を設けることによって振動部の共振周波数を低下させ、可聴周波帯域における音圧特性に優れた小型の圧電型音響変換装置およびその製造方法を実現することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における圧電型音響変換装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における圧電型音響変換装置の斜視図であり、図2は図1のA−A部における断面図である。
図1および図2において、基板1は例えばシリコンなどで形成されており、基板1のほぼ中央部には振動部2を形成している。この振動部2は基板1の片面をエッチングなどによって除去して凹部63を設けることによりこの凹部63の底面部分で、厚みの薄い振動部2を形成することができる。この振動部2の厚みを薄く形成することにより共振周波数を低減することができることから、耳孔に入る小型の補聴器などの形状で可聴周波帯域の音圧特性を満足するためには10μm以下の厚みとすることが望ましい。更に、この振動部2は基板1と一体構造とすることにより、高精度、高均質な可聴周波帯域の音圧特性を有する圧電型音響変換装置を実現できる。特に、基板1にシリコンを用い、このシリコンをエッチングによって加工することにより振動部2の厚みを非常に薄く作製することが可能であり、その精度も高精度に制御することが可能である。
また、基板1の片面に凹部63を形成することにより振動部2の周囲のエッチングされていない基板1の部分は振動部2を支えるフレーム8として機能する。そして、このフレーム8は振動部2と一体構造とすることができることから、強固に精度良く振動部2を支持する圧電型音響変換装置の構造を実現することができるとともに膨張係数、温度特性などといった組み立てによる圧電型音響変換装置の課題を解決することもできる。
また、このフレーム8の肉厚部分の厚みを200μm程度に加工することができることから、より小型化を図ることができる。
このようなフレーム8と振動部2の構成を一体構造で実現するために基板1をエッチング加工によって形成することが望ましく、その基板1に用いる材質としては機械的特性、加工性、生産性の観点からシリコンを用いることが最も好ましい。その他の材質としては剛性に優れたものが適しており、ガラス、水晶、単結晶なども用いることができる。
次に、振動部2の上面には白金などを用いて第一の導電層3を形成し、この第一の導電層3の上に圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛よりなる圧電体層4を形成し、更にこの圧電体層4の上に金よりなる第二の導電層5を形成することによってアクチュエータ7を形成している。
このアクチュエータ7は第一の導電層3と第二の導電層5に電気信号を印加することにより圧電体層4が伸縮することによって振動部2が振動する。
逆に音を受けて振動部2を振動させれば、圧電体層4の伸縮により第一、第二の導電層3、5から電気信号が得られ、これを増幅して他のスピーカで再生すれば補聴器となる。
更に、この振動部2のアクチュエータ7を形成していない所定の箇所にスリット状の貫通孔6を形成している。この貫通孔6の形成は共振周波数を低下させることに有効である。この貫通孔6の形成は前記と同じようにエッチングによって形成することができるので、どのようなパターン形状であっても容易に高精度に形成することができる。更に、この貫通孔6の幅は音圧特性の観点から出来る限り幅を狭く形成する方が有利であり、前記貫通孔6の形成をドライエッチングによって行うことにより5.0μmの幅で形成することができる。このような狭い幅を有する貫通孔6を振動部2に形成することにより、振動部2の共振周波数を低下させることができるとともにダンピングを効かせる(Q値を低減する)ことが可能となる。
また、限られた面積内で貫通孔6の面積を小さくできると振動部2の振動に寄与する面積をより大きくできることから、音圧特性に優れた小型の圧電型音響変換装置を実現することができる。
このような構成とすることにより、非常に小型の可聴周波帯域における音圧特性に優れた圧電型音響変換装置を実現することができる。
次に、以上説明してきた圧電型音響変換装置を用いて電気信号を音響波に変換する手順について説明する。
まず、発生させたい音響波の周波数と同じ周波数の電気信号を第一の導電層3および第二の導電層5の間にかけると、圧電体層4は周波数に伴う電場強度に従って伸び縮みする。一方、第一の導電層3には振動部2が固着されているので、この圧電体層4の伸縮に伴って歪みが発生する。この歪みは振動部2を厚み方向に振動させることになり、空気の振動、つまり音響波を発生させることができる。
ここで、大きな音響波を発生させるためには振動部2の振動変位を大きくする必要がある。振動部2が持つ振動変位は振動部2が持つ硬さで決定し、柔らかい場合は振動変位が大きくなり、振動部2の持つ硬さが硬い場合は振動変位が小さくなる。
また、振動部2の共振周波数は振動部2が持つ硬さに影響を受け、振動部2が柔らかいときに共振周波数が低下し、硬いときには共振周波数が増加する。
これらのことから、例えば振動部2の硬さは振動部2の厚さに依存し、振動部2の厚さが薄い場合は振動変位は大きくなるとともに共振周波数は低下し、低周波領域での振動変位を大きくすることができることから、より効率の良い音響変換を行うことができる。
更に、本発明の実施の形態1では図1に示したように振動部2に貫通孔6を形成することにより、振動部2の振動変位をより大きくし、共振周波数をより低下させることができることから低周波領域でも大きな変位を発生させることができ、より効率の良い音響変換を行うことができる。
また、本実施の形態1では振動部2と圧電体層4の形状(面積)を振動部2の形状(面積)の50〜70%とすることにより、振動部2の振動変位が最も大きくなり、効率の良い音響変換を行うことができる。
例えば、圧電体層4の形状が振動部2の形状に比較し極端に小さい場合、圧電体層4のアクチュエータとしての発生力は小さく、振動部2の全体を動かすための十分な力が得られず、振動部2の振動変位は小さくなってしまう。また圧電体層4の形状を極端に大きくした場合、振動部2が振動変位した時に屈曲する部分の硬さが硬くなり、振動部2の振動変位は小さくなる。そのため、圧電体層4の形状を前記形状とすることにより振動変位を効率良く発生させることができる。
以上のように構成した圧電型音響変換装置について、以下にその製造方法を説明する。
図3〜図7は本発明の実施の形態1における圧電型音響変換装置の製造方法を説明する断面図である。
まず始めに、図3に示すようなシリコンよりなる基板1を準備する。
次に、図4に示すようにシリコンよりなる基板1の上面に蒸着およびスパッタリング法によって、白金層9を形成し、この白金層9の上にチタン酸ジルコン酸鉛層10を形成し、このチタン酸ジルコン酸鉛層10の上に金層11を順に形成した。ここで、白金層9とチタン酸ジルコン酸鉛層10の形成はスパッタリング法が圧電特性、生産性の観点から望ましく、金層11は生産性の観点から蒸着、スパッタリング法が望ましい。このような薄膜プロセスによって形成されたチタン酸ジルコン酸鉛層10は高い結晶性と配向性を持たせることができることから、優れた圧電特性を有しているので電気−音響変換を効率よく行うことができる。
次に、図5に示すようにレジストマスク12を所定のパターンに形成した後、金層11、チタン酸ジルコン酸鉛層10、白金層9をエッチングすることによって、第二の導電層5(11から)および圧電体層4(10から)および第一の導電層3(9から)からなるアクチュエータ7を形成する。このときのエッチング方法としてはウェットエッチングあるいはドライエッチングのいずれの方法も用いることができる。またアクチュエータ7を形成した後、レジストマスク12は除去する。
なお、アクチュエータ7の形成をメタルマスクなどを用いて直接前記アクチュエータ7の形状に薄膜プロセスを用いて形成することも可能である。
次に、図6に示すようにレジストマスク13を所定のパターンに形成し、シリコンよりなる基板1の上面より所定の深さまでシリコンエッチングを行い、スリット6aを形成する。エッチング後、前記レジストマスク13は除去する。また、このエッチング方法としてはスリット6aの幅を極力狭く形成するためにはドライエッチングが望ましい。
その後、図7に示すように基板1の裏面にレジストマスク14を所定のパターンに形成し、基板1の下面側からエッチングすることによって基板1の片面に所定の振動部2の形状となるように凹部63を形成する。凹部63を形成した後、レジストマスク14は除去する。
ここで、シリコンからなる基板1をエッチングする方法としてはエッチングを抑制するガス例えばC48、CHF3などと、エッチングを促進するガス例えばSF6、CF4、XeF2などの少なくとも2種類のガスを混合して行うドライエッチングであることが望ましい。これはエッチングを促進するガスによってエッチングを少し行った後、エッチングを抑制するガスによってエッチング壁面に保護膜を形成する工程を繰り返すことにより、基板1の下面側から垂直にエッチングを進行させることができる。このような性質の異なる二つのガスを用いることにより微細な形状のスリット状の貫通孔6および凹部63を高精度に形成することができる。
また、本実施の形態1では振動部2の形状を円形状としたが、この場合は振動部2の振動は円中心に対して点対称な振動となり、振動部2の分割振動などによる振動の歪みを最小限に抑えることができる。
更に別の方法では、振動部2の形状を楕円形状または多角形状とすることにより振動部2が持つ振動共振モードを変化させて圧電型音響変換装置の周波数特性を制御したり、外観形状に合わせて所定の形状を有する振動部2を形成することにより小型化に最適な音響変換器を実現することができる。例えば、図8は本実施の形態における別の変形例1の圧電型音響変換装置の上面図であり、ここでの振動部2は楕円形状をしており、この楕円形状では振動部2が持つ共振1次モードが楕円の長軸方向モードとなる。この時、図1の円形状の直径と図8の楕円形状の短軸径が等しい場合、楕円形状は円形状に比較して振動部2が持つ共振周波数を下げることができ、より低周波領域での効率の良い音響変換を行うことができる。また楕円形状では円形状に比較し、振動部2が持つ1次共振周波数と2次共振周波数の間隔が接近し、圧電型音響変換装置の周波数特性を平坦化することができるという利点も有する。
また、図9は変形例2の圧電型音響変換装置の上面図であり、振動部2が多角形の一つである四角形状をしており、四角形の長辺と短辺とが楕円形状の長軸と短軸とが等しい場合、振動部2が持つ共振周波数を更に低下させることができ、より効率の良い音響変換を行うことができる。
また、図10は変形例3の圧電型音響変換装置の上面図であり、このような形状の振動部2は、振動部2の対向する2辺である支持部15、16がフレーム8に支持された構造となるようにスリット状の貫通孔6を形成した両端支持構造であり、このような構成とすることにより振動部2の振動変位をより大きくするとともに振動部2の共振周波数を低下させることができ、音圧特性に優れたより効率の良い圧電型音響変換装置とすることができる。
また、図11は変形例4の圧電型音響変換装置の上面図であり、このような形状の振動部2は、振動部2のいずれか一辺である支持部17のみがフレーム8に支持された構造となるようにコ字スリット状の貫通孔6を形成した片持梁構造であり、このような構成とすることにより両端支持構造に比較して、更に振動部2の振動変位を大きくすることができる。また、振動部2の共振周波数もより低下させることができ、より効率の良い圧電型音響変換装置とすることができる。
また、図12は変形例5の圧電型音響変換装置の上面図であり、この形状の振動部2も片持梁構造であり、先端部19の幅がフレーム8に支持された一辺である支持部18の幅よりも大きくなるようにコ字スリット状の貫通孔6を形成しており、振動部2の先端部がより重くなるような形状とすることにより、図11の構造に比較して更に振動部2の共振周波数を低下させて振動変位を上げることができるとともに、振動部2が持つ共振の鋭さを抑えることができ、振動部2が持つ周波数特性を平坦化することができる。
また、図13は変形例6の圧電型音響変換装置の上面図であり、この振動部2は1回以上曲折した構造となるようにスリット状の貫通孔6を形成した片持梁構造とすることにより、支持部20から先端部21までの長さに依存した共振周波数と、支持部20から曲折部22までの長さに依存した共振周波数を合わせ持った振動部2の構造となり、振動部2が持つ周波数特性を平坦化することができる。
また、図14は変形例7の圧電型音響変換装置の上面図であり、支持部23a、23b、23cを有する片持梁構造からなるそれぞれ長さの異なる複数の振動部2a、2b、2cを形成し、この振動部2a、2b、2cにそれぞれのアクチュエータ7a、7b、7cを薄膜プロセスで形成し、更にそれぞれのコ字スリット状の貫通孔6a、6b、6cをエッチングによって形成したものである。このような構成とすることにより、それぞれの長さに応じた共振周波数と音圧特性を有することから、これらのそれぞれの振動部2a、2b、2cの音圧特性を合成することによって全体としての圧電型音響変換装置の周波数特性を平坦化することができる。
なお、図14の片持梁構造では図11の片持梁構造と同様の形状を示したが、片持梁構造の形状は図12、図13に示すような振動部2の構造を含んでも良い。この場合は、振動部2を複数有することの利点と振動部2の形状による利点を併せ持つことができる。
以上のようにして、直径が0.5〜5.0mmφの振動部2を有する小型の圧電型音響変換装置を作製することができる。
以上説明してきたように、このような構成とすることにより可聴周波帯域における音圧特性に優れた小型の圧電型音響変換装置およびその製造方法を実現することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における圧電型音響変換装置について、図面を参照しながら説明する。
図15は本発明の実施の形態2における圧電型音響変換装置の斜視図であり、図16は図15のB−B部における断面図である。
本実施の形態2が実施の形態1と異なっている点は、基板49の材料をシリコン46と、二酸化珪素47と、シリコン48とからなる積層基板としていることであり、その他の構成は実施の形態1とほぼ同様である。このような基板49を積層基板とした構成も圧電型音響変換装置の機能はほぼ実施の形態1と同じ特性を示す。
一方、本実施の形態2における圧電型音響変換装置は生産性の観点から特に優れた構成とすることができる。従って、ここでは前記基板49を用いた生産性に優れた圧電型音響変換装置の製造方法について詳細に説明する。
まず始めに、図17に示すように基板49として、シリコン46、二酸化珪素47およびシリコン48の順に積層された積層基板を用いる。
ここで、シリコン46、二酸化珪素47およびシリコン48が積層された基板49は一般にSOI基板と呼ばれ、シリコン46、二酸化珪素47およびシリコン48の厚みをあらかじめ決めた積層基板を容易に入手することができる。本実施の形態2で重要なのはシリコン46の厚みであり、所定の厚みを有するものを用意する必要がある。このシリコン46の厚みは必要とする振動部50の厚みによって決められるが、通常2〜10μmが好ましい。
次に、図18に示すようにシリコン46の上面に白金層57を形成し、この白金層57の上にチタン酸ジルコン酸鉛層58を形成し、このチタン酸ジルコン酸鉛層58の上に金層59をそれぞれ積層するように形成する。
次に、図19に示すようにレジストマスク60を所定のパターンに形成した後、ドライエッチングによってアクチュエータ54を形成する。その後、レジストマスク60は除去する。
次に、図20に示すようにレジストマスク61を所定のパターンに形成した後シリコン46のエッチングを行い、所定のパターンを有するスリット56aを形成する。その後、レジストマスク61は除去する。
次に、図21に示すように基板49の下面側にレジストマスク62を所定のパターンに形成し、基板49の下面側から前記と同様の方法によってシリコン48をエッチングした後、続いて二酸化珪素47をエッチングする。このときのシリコン46、48のエッチングの方法としては、実施の形態1と同様にエッチングを抑制するガスとエッチングを促進するガスを用いてエッチングすることが望ましい。
なお、二酸化珪素47の厚みは1〜5μmの範囲が好ましい。1μmよりも薄くなるとエッチング処理においてピンホールが発生したり、膜の強度が保てなくなる。また5μmよりも厚くなると音圧特性と機械的強度に影響がある。
その後、レジストマスク62は除去することにより図15および図16に示した圧電型音響変換装置を製造することができる。
なお56はスリット状の貫通孔である。
このような方法によって、基板49と同じ厚みを持つフレーム55と、シリコン46からなる振動部50を容易に形成することができる。
以上説明してきたように、本実施の形態2では実施の形態1と違って、シリコン48をエッチングすると、エッチングストップ層として二酸化珪素47が存在することになり、また二酸化珪素47をエッチングするとシリコン46がエッチングストップ層として存在することになり、これによって多少過剰にエッチングしたとしても振動部50の厚みが基板49の間でばらつくことはなく、振動部50の厚み寸法を容易に高精度に実現することができる圧電型音響変換装置の製造方法を実現することができる。
以上のように、本発明にかかる圧電型音響変換装置およびその製造方法は、小型で可聴周波帯域においても十分な音圧特性を有する圧電型音響変換装置を可能とすることができることから、補聴器、超小型スピーカマイクなどの用途に適用できる。
本発明の実施の形態1における圧電型音響変換装置の斜視図 同図1のA−A部における断面図 同製造方法を説明するための断面図 同断面図 同断面図 同断面図 同断面図 同別の変形例1の圧電型音響変換装置の上面図 同変形例2の上面図 同変形例3の上面図 同変形例4の上面図 同変形例5の上面図 同変形例6の上面図 同変形例7の上面図 本発明の実施の形態2における圧電型音響変換装置の斜視図 同図15のB−B部における断面図 同製造方法を説明するための断面図 同断面図 同断面図 同断面図 同断面図
符号の説明
1 基板
2 振動部
3 第一の導電層
4 圧電体層
5 第二の導電層
6 貫通孔
7、7a、7b、7c アクチュエータ
8 フレーム
9 白金層
10 チタン酸ジルコン酸鉛層
11 金層
12 レジストマスク
13 レジストマスク
14 レジストマスク
15 支持部
16 支持部
17 支持部
18 支持部
19 先端部
20 支持部
21 先端部
22 曲折部
23a、23b、23c 支持部
46 シリコン
47 二酸化珪素
48 シリコン
49 基板
50 振動部
54 アクチュエータ
55 フレーム
56 貫通孔
57 白金層
58 チタン酸ジルコン酸鉛層
59 金層
60 レジストマスク
61 レジストマスク
62 レジストマスク
63 凹部

Claims (16)

  1. 片面に凹部を設けた基板を備え、前記凹部の底面に対応する基板の一部を振動部とし、この振動部の上に第一の導電層を設け、この第一の導電層の上に圧電体層を設け、この圧電体層の上に第二の導電層を設けることによりアクチュエータを形成し、前記振動部のアクチュエータを形成していない所定の箇所に1つ以上の貫通孔を設けた圧電型音響変換装置。
  2. 基板をシリコンとした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  3. 基板を、シリコンと、二酸化珪素または二酸化珪素を含む材料と、シリコンとからなる積層基板とした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  4. 振動部の厚みを10μm以下とした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  5. 第一の導電層と第二の導電層を白金、チタン、イリジウム、金およびクロムのいずれか一つを含む材料からなる薄膜電極とし、圧電体層をチタン酸ジルコン酸鉛からなる薄膜圧電体とした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  6. 振動部の形状を円、楕円または多角形のいずれかとした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  7. 圧電体層の面積を振動部の面積の50%〜70%とした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  8. 振動部を両端支持構造とした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  9. 振動部を片持梁構造とした請求項1に記載の圧電型音響変換装置。
  10. 振動部を片持梁構造の支持部よりも先端が大きくなるようにした請求項9に記載の圧電型音響変換装置。
  11. 貫通孔は、振動部の平面内で少なくとも一回以上曲折するようにスリット形状とした請求項9に記載の圧電型音響変換装置。
  12. 片持梁構造の振動部を複数有するようにスリット状の貫通孔を形成し、且つその複数の片持梁構造の振動部の長さが異なる請求項9に記載の圧電型音響変換装置。
  13. 片面に凹部を設けた基板の前記凹部の底面に対応する基板の一部を振動部とし、この振動部の上に第一の導電層を設け、この第一の導電層の上に圧電体層を設け、この圧電体層の上に第二の導電層を設けることによりアクチュエータを形成し、前記振動部のアクチュエータが形成されていない所定の箇所に1つ以上の貫通孔を設けた圧電型音響変換装置の製造方法であって、基板の他面に第一の導電層を形成し、この第一の導電層の上に圧電体層を形成し、この圧電体層の上に第二の導電層を形成してアクチュエータを形成する第一の工程と、エッチングによって振動部となる基板の一部にスリットを形成する第二の工程と、基板の他面側に前記アクチュエータとスリットを形成している基板の片面にエッチングによって凹部を形成することにより振動部およびスリットから貫通孔を形成する第三の工程とからなる圧電型音響変換装置の製造方法。
  14. 第一の工程におけるアクチュエータの形成を薄膜プロセスにて行う請求項13に記載の圧電型音響変換装置の製造方法。
  15. 第二の工程および第三の工程におけるエッチングをドライエッチングにて行う請求項13に記載の圧電型音響変換装置の製造方法。
  16. ドライエッチングに用いるガスとしてエッチングを抑制するガスとエッチングを促進するガスの混合ガスとする請求項15に記載の圧電型音響変換装置の製造方法。
JP2004281799A 2004-09-28 2004-09-28 圧電型音響変換装置およびその製造方法 Pending JP2006100954A (ja)

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