JP2006100130A - 固体電解質膜の製造方法および固体電解質膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造にあたって流延枠を必要とせず、溶液を塗布するだけで厚膜を形成できる固体電解質膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 高分子電解質溶液を固化してなる固体電解質膜の製造方法であって、有機ゲル化剤を用いて固化させる工程を含む固体電解質膜の製造方法を採用した。
【選択図】 なし
【解決手段】 高分子電解質溶液を固化してなる固体電解質膜の製造方法であって、有機ゲル化剤を用いて固化させる工程を含む固体電解質膜の製造方法を採用した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、固体電解質膜の製造方法および固体電解質膜に関する。特に、固体電解質膜の製造工程において、有機ゲル化剤を用いることにより、塗布による膜の製造を容易にすること特徴とする固体電解質膜の製造方法に関する。
従来から、プロトン伝導膜として、例えば、ナフィオン(登録商標)に代表されるスルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体が用いられている。この材料のプロトン伝導度は高いものの、メタノールのような高極性有機溶媒も透過させるため、ダイレクトメタノール型燃料電池では低出力となってしまう。
このような状況下、ナフィオン(登録商標)に代わるプロトン伝導膜を開発する機運が高まり、幾つかのプロトン伝導膜が提案されている。例えば、無機材料の特性を活かしながら製造する方法として、高分子材料と複合化したナノコンポジッド材料が提案されている。さらに、スルホン酸基を側鎖に有する高分子化合物と、ケイ素酸化物およびプロトン酸との複合化によりプロトン伝導膜を作製する方法が提案されている。他には有機ケイ素化合物を前駆体とし、プロトン酸存在下のゾル−ゲル反応により生成する有機−無機ナノハイブリッド型のプロトン伝導膜が提案されている(特許文献1)。これらの有機−無機コンポジッドおよびハイブリッド型プロトン伝導膜は、ケイ酸とプロトン酸からなりプロトン伝導部位である無機成分と材料に柔軟性を付与する有機成分とにより構成されるが、膜のプロトン伝導度を高めるために無機成分を増やすと膜の機械的強度が低下し、柔軟性を得るために有機成分を増やすとプロトン伝導度が低下するため、2つの特性を満足する材料を得ることが困難である。これらの特性を改善するために、メソゲン基を有する有機無機ハイブリッド材料が提案されている(特許文献2)。
一方、プロトン伝導膜は機械的強度のある、一定の厚さの膜を得ることが必要である。数μm厚の薄膜であれば塗布方式での製膜が容易に行えるが、100μm前後の厚膜作成を塗布方式で行うと、塗布後の乾燥中に塗布液が流動するため支持体上で塗布液が広い面積に広がってしまい、所望の厚さに形成できないという問題がある。そこで、材料の溶液を流延して溶媒を揮発させる方法が取られているが、この方法では成型のための枠を必要とし、生産のためには枠の加工が必要であり、効率が低く、コスト上問題であった。
近年、有機媒体に添加、または、添加後に加熱、放冷といった単純な操作でゲルを形成する有機ゲル化剤がいくつか見出されている(例えば、非特許文献1参照。)。特許文献3および特許文献4には有機ゲル化剤を含有させることにより粘度挙動を改良した塗布液を用いて磁気記録媒体、光情報媒体、カラーフィルターなどの機能性塗膜を形成する方法が開示されている。しかし、いずれも膜厚は数μmであり、数十μmの厚膜の作成については開示されていない。さらに、固体電解質膜については何ら開示されていない。
ここで、非特許文献1によれば有機ゲル化剤によりゲル化が発現する機構は、有機ゲル化剤間の水素結合相互作用により巨大分子会合体が形成され、この会合体が分子の運動を妨げ、流動性を失うことによるものである。従って、例えば電解質として酸残基が多く含まれる系では、解離したプロトンおよびアニオンと有機ゲル化剤との相互作用が、水素結合相互作用を妨げるため、ゲル化は大変困難である。酢酸、メタンスルホン酸といった低分子酸性液体をゲル化した例は知られていない。
本発明の目的は、上記従来の課題を解決することを目的とするものであって、製造にあたって流延枠を必要とせず、溶液を塗布するだけで厚膜を形成できる手段を提供することである。
本発明者らは、高分子電解質溶液に、有機ゲル化剤を用いることにより、固体電解質膜形成前の高分子電解質溶液にセット性を付与することができ、これによって、流延枠を用いることなく厚膜が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は下記の構成により達成することができる。
本発明の目的は下記の構成により達成することができる。
(1)高分子電解質溶液を固化してなる固体電解質膜の製造方法であって、有機ゲル化剤を用いて固化させる工程を含む固体電解質膜の製造方法。
(2)メソゲンを有する化合物を含む高分子電解質溶液を固化してなる固体電解質膜の製造方法であって、有機ゲル化剤を用いて固化させる工程を含む固体電解質膜の製造方法。
(3)前記メソゲンを有する化合物が、下記一般式(3)で表される(2)に記載の固体電解質膜の製造方法。
(一般式(3)中、A3はメソゲンを含む有機原子団であり、R31は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、R32はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Xは重合により炭素−炭素結合または炭素−酸素結合を形成しうる置換基を表し、n31は1〜4の整数を表し、n32は1〜3の整数を表し、n33は0〜4の整数を表し、複数のR31、R32およびXは同一でも異なってもよい。)
(2)メソゲンを有する化合物を含む高分子電解質溶液を固化してなる固体電解質膜の製造方法であって、有機ゲル化剤を用いて固化させる工程を含む固体電解質膜の製造方法。
(3)前記メソゲンを有する化合物が、下記一般式(3)で表される(2)に記載の固体電解質膜の製造方法。
(4)前記高分子電解質溶液が、さらに、下記一般式(4)および/または一般式(5)で表される化合物を含む(1)〜(3)のいずれかに記載の固体電解質膜の製造方法。
(一般式(4)中、B4は脂肪族基および/または芳香族基を含む連結基を表し、R41は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、R42はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R43は水素原子または加水分解により脱離できる置換基を表し、n41は1〜4の整数を表し、n42は1〜3の整数を表す。複数のR41およびR42は同一でも異なってもよい。)
(一般式(5)中、B5は脂肪族基または/および芳香族基を含む連結基を表し、R51は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、R52はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、n51は1〜4の整数を表し、n52は1〜3の整数を表す。複数のR51およびR52は同一でも異なってもよい。)
(5)前記有機ゲル化剤が、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される(1)〜(4)のいずれかに記載の固体電解質膜の製造方法。
(一般式(1)中、R11は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R12は−OR14または−NR15R16を表し、R14およびR15はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基を表し、R16は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R13は水素原子、−COR17、−COOR18または−CONR19R20を表し、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。)
(一般式(2)中、R21およびR22はそれぞれ独立に炭素数5〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R23およびR24はそれぞれ独立に単結合あるいは2価の置換基を表す。)
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法で製造された固体電解質膜。
(7)プロトン供与性基を含むことを特徴とする(6)に記載の固体電解質膜。
(8)メソゲンを含む有機分子鎖およびプロトン供与性基を含む基がケイ素酸素3次元架橋マトリックスに共有結合した構造を有することを特徴とする(6)または(7)に記載の固体電解質膜。
(9)下記一般式(6)で示される部分構造を含むことを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の固体電解質膜。
(一般式(6)中、A6はメソゲンを含む有機原子団であり、R62はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、n61は1〜4の整数を表し、n62は1〜3の整数を表し、n63は0〜4の整数を表し、複数のR62は同一でも異なってもよい。*はケイ素原子に結合する位置を表し、**は有機高分子鎖に結合する位置を表す。)
(10)下記一般式(7)で表される部分構造を含むことを特徴とする(6)〜(9)のいずれかに記載の固体電解質膜。
(一般式(7)中、B7は脂肪族基および/または芳香族基を含む連結基を表し、R72はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、n71は1〜4の整数を表し、n72は1〜3の整数を表し、複数のR72は同一でも異なってもよい。*はケイ素原子に結合する位置を表し、Eはプロトン供与性基を表す。)
(7)プロトン供与性基を含むことを特徴とする(6)に記載の固体電解質膜。
(8)メソゲンを含む有機分子鎖およびプロトン供与性基を含む基がケイ素酸素3次元架橋マトリックスに共有結合した構造を有することを特徴とする(6)または(7)に記載の固体電解質膜。
(9)下記一般式(6)で示される部分構造を含むことを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の固体電解質膜。
(10)下記一般式(7)で表される部分構造を含むことを特徴とする(6)〜(9)のいずれかに記載の固体電解質膜。
本発明では、有機ゲル化剤を添加することで、固体電解質膜形成前の高分子電解質溶液にセット性を付与することができ、これによって、流延枠を用いることなく必要な厚膜(例えば、20〜300μm)のものが得られる。結果として、製造におけるコストの低下が期待できる。
さらに驚くべきことに、本発明の方法を用いることにより、表面が平滑な光沢のある膜が得られる。このため、電池、電気化学素子に用いた場合、電極との高い密着性への利用が期待される。
加えて、本発明の方法では、溶液流延法を採用する場合より、膜の乾燥時間が短くなるため、かかる観点からも製造コストの削減を図ることができる。
さらに驚くべきことに、本発明の方法を用いることにより、表面が平滑な光沢のある膜が得られる。このため、電池、電気化学素子に用いた場合、電極との高い密着性への利用が期待される。
加えて、本発明の方法では、溶液流延法を採用する場合より、膜の乾燥時間が短くなるため、かかる観点からも製造コストの削減を図ることができる。
以下において、本願発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の固体電解質膜には、プロトン伝導膜、イオン交換膜を含む趣旨である。
また、本明細書中ではセット性とは流動する溶液がある温度(ゲル化点)以下になると均一かつ溶媒を含んだまま流動しない状態に可逆的に変化する性質のことをいう。
本発明の固体電解質膜には、プロトン伝導膜、イオン交換膜を含む趣旨である。
また、本明細書中ではセット性とは流動する溶液がある温度(ゲル化点)以下になると均一かつ溶媒を含んだまま流動しない状態に可逆的に変化する性質のことをいう。
本発明の高分子電解質は電離能を持つ高分子であり、電離能を持つ置換基が高分子に共有結合で結合したものが好ましい。ここで、高分子電解質とは、例えば、重量平均分子量が1000以上のものをいう。電離能を持つ置換基としては、プロトン供与性基、塩を形成しているプロトン供与性基、カチオン性基(アンモニウム基等)が好ましい。プロトン供与性基、塩を形成しているプロトン供与性基が特に好ましく、プロトン供与性基としてはpKaが4以下の酸残基が好ましく、例えば、−SO3H、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)2、−COOHなどが挙げられる。特に好ましいものは、−SO3H基である。プロトン供与性基が塩を形成している場合には、対イオンは一価のカチオンが好ましく、Na+、K+、Cs+が特に好ましい。電離能を持つ置換基としては−SO3H、−SO3K、−SO3Na、−SO3Cs、が特に好ましい。電離能を持つ置換基と高分子の間は単結合であっても、連結基でもよく、連結基としての好ましい例は後述する一般式(4)の化合物の置換基B4の例と同様である。
本発明の有機ゲル化剤は、溶液をゲル化させる化合物であれば特に制限なく用いることができ、例えば、該有機ゲル化剤を0.5重量%以上溶解させた溶液を、溶解温度より10℃以上冷却させたときに、粘度が1000cPs以上となるものをいう。
本発明の有機ゲル化剤は、用いる溶媒の種類、塗布する化合物との組み合わせを考慮して、少量の添加により、溶媒を効率よくゲル化させることができ、塗布する化合物の機能発現を妨げないものが適宜選択される。
具体的には、非特許文献1には、各種有機ゲル化剤および該ゲル化剤がゲル化させることのできる溶媒が詳細に説明されており、これらを用いることができる。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものではない。
例えば、有機ゲル化剤としては、公知文献(例えば、J.Chem.Soc.Japan,Ind.Chem.Soc.,46,779(1943)、J.Am.Chem.Soc.,111,5542(1989)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,390、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,35,1949(1996)、Chem.Lett.,1996,885、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1997,545)、高分子論文集(VOL.55,No.10,585-589(Oct., 1998))、繊維と工業(VOL.56,No.11,329-332(2000))の各文献、および、特開平7−247473号、特開平7−247474号、特開平7−247475号、特開平7−300578号、特開平10−265761号、特開平7−208446号、特開2000−3003号、特開平5−230435号および特開平5−320617号の各公報に、「ゲル化剤」または「オイルゲル化剤」として記載されている素材が適用できる。
本発明の有機ゲル化剤は、溶液をゲル化させる化合物であれば特に制限なく用いることができ、例えば、該有機ゲル化剤を0.5重量%以上溶解させた溶液を、溶解温度より10℃以上冷却させたときに、粘度が1000cPs以上となるものをいう。
本発明の有機ゲル化剤は、用いる溶媒の種類、塗布する化合物との組み合わせを考慮して、少量の添加により、溶媒を効率よくゲル化させることができ、塗布する化合物の機能発現を妨げないものが適宜選択される。
具体的には、非特許文献1には、各種有機ゲル化剤および該ゲル化剤がゲル化させることのできる溶媒が詳細に説明されており、これらを用いることができる。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものではない。
例えば、有機ゲル化剤としては、公知文献(例えば、J.Chem.Soc.Japan,Ind.Chem.Soc.,46,779(1943)、J.Am.Chem.Soc.,111,5542(1989)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,390、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,35,1949(1996)、Chem.Lett.,1996,885、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1997,545)、高分子論文集(VOL.55,No.10,585-589(Oct., 1998))、繊維と工業(VOL.56,No.11,329-332(2000))の各文献、および、特開平7−247473号、特開平7−247474号、特開平7−247475号、特開平7−300578号、特開平10−265761号、特開平7−208446号、特開2000−3003号、特開平5−230435号および特開平5−320617号の各公報に、「ゲル化剤」または「オイルゲル化剤」として記載されている素材が適用できる。
上記文献または特許公報に記載されている有機ゲル化剤は大まかに以下のように分類できる。すなわち、炭素原子数が5〜100の置換基を有する糖誘導体、炭素原子数が5〜100の脂肪酸誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有するアミノ酸誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有する環状ジペプチド誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有するアミド誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有するステロイド誘導体、炭素原子数が6〜100のフェノール誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有するラクトン誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有する尿素誘導体、炭素原子数が6〜100の芳香族基または炭素原子数が5〜100の置換基を有するビオチン(ビタミンH)誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有するアルドン酸誘導体、炭素原子数が6〜100の芳香族基または炭素原子数が5〜100の脂肪族基が結合しているバルビツール酸誘導体、炭素原子数が5〜100の置換基を有する芳香族ヘテロ環化合物および炭素原子数が6〜100の芳香族基または炭素原子数が5〜100の置換基を有する脂環式化合物が好ましく用いられる。
上で述べた有機ゲル化剤の中では水素結合性の置換基として、例えば、アミノカルボニル基、アシルアミノ基、ウレイド基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基等を有するものが好ましく、アミノカルボニル基、アシルアミノ基、ウレイド基、水酸基を有するものがより好ましく、アミノカルボニル基、アシルアミノ基、ウレイド基を有するものがさらに好ましい。これらの置換基はさらに別の置換基を有していても良い。
これらに加えて、本発明で用いる有機ゲル化剤としてはアミノ酸誘導体、および炭素原子数が5〜100の置換基を有する脂環式化合物をさらに好ましく用いることができる。
本発明で好ましく用いることができるアミノ酸誘導体の有機ゲル化剤としては、特にアミノ酸のアミノ基、カルボキシル基が全てアミド結合を有する置換基に変換されているものが好ましい。該アミド結合を有する置換基の例としては、アシルアミノ基、カルバモイル基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アミノカルボニルオキシ基などが挙げられ、これらのアミド結合を有する置換基はさらに置換基を有していても良い。中でもアシルアミノ基、カルバモイル基、ウレイド基がより好ましく、アシルアミノ基、カルバモイル基がさらに好ましい。また、アミノ酸誘導体である有機ゲル化剤においては、分子中に少なくとも一つの炭素数4以上のアルキル基またはアルキレン基を有することが好ましく、炭素数6以上のアルキル基またはアルキレン基を有することがより好ましく、炭素数8以上のアルキル基またはアルキレン基を有することがさらに好ましい。
さらに、本発明で用いる有機ゲル化剤としてはアミノ酸誘導体、および炭素原子数が5〜100の置換基を有する脂環式化合物がさらに好ましい。
本発明の有機ゲル化剤として最も好ましいものは、下記一般式(1)または(2)で表される化合物である。一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物では一般式(2)の化合物が好ましい。
本発明の有機ゲル化剤として最も好ましいものは、下記一般式(1)または(2)で表される化合物である。一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物では一般式(2)の化合物が好ましい。
一般式(1)中、R11は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し置換基を有していてもよい。R11は総炭素数1〜20であるものが好ましく、総炭素数1〜16であるものがより好ましく、総炭素数1〜10であるものがさらに好ましい。R11の好ましい例としてはメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、4-ヒドロキシフェニルメチル基、カルバモイルメチル基、アミノブチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基等が挙げられる。
R12は−OR14または−NR15R16を表す。R14およびR15は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R16は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。R14、R15およびR16は、水素原子または総炭素数1〜30であるものが好ましく、総炭素数1〜12であるものがより好ましく、総炭素数1〜10であるものがさらに好ましい。R14およびR15の好ましい例としては水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、ビフェニルメチル基、フェニル基等が挙げられる。R16の好ましい例としては水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、ビフェニルメチル基、フェニル基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。R15およびR16のいずれかが水素原子であるものは特に好ましい。
R13は水素原子、−COR17、−COOR18または−CONR19R20を表す。R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、置換基を有していていも良い。R17、R18、R19およびR20は水素原子または、総炭素数5〜25であるものが好ましく、総炭素数10〜20であるものがさらに好ましい。R17、R18、R19およびR20の好ましい例としては水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、フェニル基等が挙げられる。R19およびR20のいずれかが水素原子であるものは特に好ましい。
R11、R12およびR13がさらに置換基を有している場合、水素結合性の置換基を有することが好ましい。好ましい置換基の例としては、アミノカルボニル基、アシルアミノ基、ウレイド基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基などが挙げられる。
R12およびR13の一部が結合して環を形成した化合物も好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物は、アミノ酸から誘導される化合物であることが好ましく、例えばR11が結合している炭素原子は光学活性であることが好ましい。
R11、R12およびR13がさらに置換基を有している場合、水素結合性の置換基を有することが好ましい。好ましい置換基の例としては、アミノカルボニル基、アシルアミノ基、ウレイド基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基などが挙げられる。
R12およびR13の一部が結合して環を形成した化合物も好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物は、アミノ酸から誘導される化合物であることが好ましく、例えばR11が結合している炭素原子は光学活性であることが好ましい。
一般式(2)中、R21およびR22はそれぞれ独立に炭素数5〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。R21およびR22は炭素原子数が5〜20の直鎖または分岐のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数が7〜20の直鎖または分岐アルキル基であることがさらに好ましい。R21およびR22は置換基を有していても良い。R21およびR22の好ましい例としてはブチル基、へプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、ベンジル基、フェニル基等が挙げられる。R21とR22が同一であるものは特に好ましい。
R23およびR24はそれぞれ独立に単結合あるいは2価の置換基を表す。R23およびR24の好ましい例としては単結合、酸素原子、アミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基が挙げられ、単結合、酸素原子、アミノ基がさらに好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物は、光学活性であることが好ましく、置換基NHCO-R23-R21、置換基NHCO-R24-R22が結合している炭素原子が光学活性であることが好ましい。
前記有機ゲル化剤が有していても良い置換基としては下記のものが挙げられる。水酸基、ハロゲン原子(例えばCl、Br、F、I)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜8の鎖状または環状のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−カルボキシブチル基、2−メトキシエチル基、2−ジエチルアミノエチル基)、炭素数1〜8のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、2−ヘキセニル基)、炭素数2〜8のアルキニル基(例えばエチニル基、1−ブチニル基、3−ヘキシニル基)、炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、4−カルボキシフェニル基、4−アセトアミドフェニル基、3−メタンスルホンアミドフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メタンスルホンアミドフェニル基、4−ブタンスルホンアミドフェニル基)、炭素数1〜10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基、プロパノイル基、ブタノイル基)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、炭素数7〜12のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基)、炭素数1〜10のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基)、炭素数6〜12のアリーロキシ基(例えばフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基)、炭素数2〜12のアシルオキシ基(例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基)、炭素数1〜12のスルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基)、炭素数0〜10のアミノ基(例えば無置換のアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、2−カルボキシエチルアミノ基)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンズアミド基)、炭素数1〜8のスルホニルアミノ基(例えばメチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、n−オクチルスルホニルアミノ基)、炭素数1〜10のウレイド基(例えばウレイド基、メチルウレイド基)、炭素数2〜10のウレタン基(例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基)、炭素数1〜12のアルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基)、炭素数6〜12のアリールチオ基(例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基)、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルフォニル基、ブチルスルホニル基)、炭素数7〜12のアリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基)、炭素数0〜8のスルファモイル基(例えば無置換スルファモイル基、メチルスルファモイル基など)、複素環基(例えば、4−ピリジル基、ピペリジノ基、2−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、2−ピロリル基、2−キノリルモルホリノ基)等を挙げることができる。また、置換基として重合性の置換基を有していても良く、例えばアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルフェニル基などの不飽和エチレン結合を有する置換基やエポキシ環、オキセタン環のような環状エーテル結合を有する置換基が挙げられる。
以下に、本発明で好ましく用いられる有機ゲル化剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機ゲル化剤を含む塗布液は、塗布後の乾燥工程でゲル化することが好ましい。ゲル化する温度は乾燥工程の温度に対し、5℃〜50℃高いことが好ましく、10℃〜30℃高いことがさらに好ましい。具体的なゲル化温度としては、20℃〜120℃であることが好ましく、30℃〜100℃であることがさらに好ましい。
本発明ではメソゲンを有する化合物を用いることが好ましい。
メソゲンの好ましい例としては、Dietrich Demus および Horst Zaschkeによる 「Flussige Kristalle in Tabellen II」, 1984年, p.7-18に記載されているものが好ましい例として挙げられる。中でも、下記一般式(8)で表される構造を含む化合物が好ましい。
一般式(8)中、B81およびB82は2価の連結基または単結合を表す。2価の連結基としては、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COO−、−COS−、−CONH−、−COCH2−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−O−、−S−、−NH−、−(CH2)1〜3−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−および−(C≡C)1〜3−並びにこれらの組合せ等が好ましく、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−CH2−、−CO−、−O−、−NH−および−(CH2)1〜3−並びにこれらの組合せがより好ましく、−CH2−、−CO−、−O−および−NH−ならびにこれらの組合せがより好ましい。これらの2価の連結基は水素原子が他の置換基で置換された基であってもよい。
Yは2価の4〜7員環の基、および、4〜7員環の組み合わせからなる基、4〜7員環が縮合した縮合環の基を表し、好ましくは6員環の芳香族基、4〜6員環の飽和または不飽和脂肪族基、5または6員環のヘテロ環基、ならびに、これらの組み合わせからなる基またはこれらが縮合した縮合環の基である。Yの好ましい具体例としては、以下に示す(Y−1)〜(Y−28)で表される基、およびこれらの組合せからなる基が挙げられる。これらの基の中でより好ましくは(Y−1)、(Y−2)、(Y−18)、(Y−19)、(Y−21)および(Y−22)並びにこれらの組み合わせからなる基であり、さらに好ましくは(Y−1)、(Y−2)および(Y−19)並びにこれらの組み合わせからなる基である。
n8は1〜3の整数を表す。n8が2以上の場合は、Y、B81およびB82は、それぞれ独立に、同一であってもよいし異なっていてもよい。
一般式(3)中、A3はメソゲンを含む有機原子団であり、この好ましい例は上記一般式(8)で表される構造であり、好ましい範囲も同義である。尚、n33が0のとき、A3は一般式(8)で表される構造を含み、かつ、該一般式(8)で表される構造のケイ素と結合しない側の末端は、水素原子またはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)である構造であることが好ましい。
すなわち、本発明の一般式(3)で表される化合物には、分子の配向性を高めるために、メソゲンとともに、炭素数5以上のアルキル基またはアルキレン基を含むことが好ましい。アルキル基またはアルキレン基の炭素数は5〜25が好ましく、6〜18がさらに好ましい。好ましい置換基の例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基およびこれらの基にオキシ基(−O−)が結合した基が挙げられる。
また、これらの基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フルオロ基が挙げられる。これらの置換基は、好ましくは炭素原子数が1〜24であり、より好ましくは1〜12である。
すなわち、本発明の一般式(3)で表される化合物には、分子の配向性を高めるために、メソゲンとともに、炭素数5以上のアルキル基またはアルキレン基を含むことが好ましい。アルキル基またはアルキレン基の炭素数は5〜25が好ましく、6〜18がさらに好ましい。好ましい置換基の例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基およびこれらの基にオキシ基(−O−)が結合した基が挙げられる。
また、これらの基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フルオロ基が挙げられる。これらの置換基は、好ましくは炭素原子数が1〜24であり、より好ましくは1〜12である。
R31は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表す。R31で表されるアルキル基の好ましい例としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基(例えば炭素数1〜20のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等)が挙げられ、アリール基の好ましい例としては、炭素数6〜20の置換または無置換のフェニル基、ナフチル基が挙げられ、また、シリル基の好ましい例としては、炭素数1〜10のアルキル基から選ばれた3つのアルキル基で置換されたシリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等)、またはポリシロキサン基(−(Me2SiO)nH(n=10〜100)等)が挙げられる。この中でも炭素数1〜6のアルキル基はさらに好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が特に好ましい。
R32はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R32で表されるアルキル基およびアリール基の好ましい例は、R31と同義であり、好ましい範囲も同義である。R32で表されるヘテロ環基の好ましい例としては、置換または無置換のへテロ6員環(ピリジル基、モルホリノ基等)、置換または無置換のヘテロ5員環(フリル基、チオフェン基等)等が挙げられる。この中でも炭素数1〜6のアルキル基およびアリール基はさらに好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基が特に好ましい。
Xは重合により炭素−炭素結合または炭素−酸素結合を形成しうる置換基を表し、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、エチニル基およびアルキレンオキシド基(例えばエチレンオキシド、トリメチレンオキシドなど)である。中でも、アクリロイル基、メタクリロイル基、エチレンオキシド基およびトリメチレンオキシド基が好ましい。
n31は1〜4の整数を表し、1または2であるのが好ましく、n32は1〜3の整数を表し、2まはた3であるのが好ましく、n33は0〜4の整数を表し、1または2であるのが好ましい。複数のR31、R32およびXは同一でも異なってもよい。
以下に、本発明で採用するメソゲンを含む化合物の好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明では、プロトン供与性基を有する化合物の前駆体が用いられる。この場合アルコキシシラン化合物であって、酸化数が1以下の硫黄原子を含む有機ケイ素化合物が好ましく用いられる。特に、下記一般式(4)および/または一般式(5)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(4)および(5)のB4およびB5としては、炭素数1〜12のアルキレン基、アリーレン基が好ましく、特に好ましい連結基は、プロピレン基、メチレン基およびフェニレン基である。これらの基は置換基を有していてもよいが、置換基を有していない方が好ましい。
R41およびR51は一般式(3)におけるR31と同義であり、その好ましい例も同様である。R42およびR52は一般式(3)におけるR32と同義であり、その好ましい例も同様である。n41およびn51は一般式(3)におけるn31と同義であり、その好ましい例も同様である。n42およびn52は一般式(3)におけるn32と同義であり、その好ましい例も同様である。R41、R42、R51およびR52は、それぞれ独立に、同一でも異なってもよい。
R43は水素原子または加水分解により脱離できる置換基を表し、水素原子が好ましい。加水分解により脱離できる置換基としては、総炭素数1〜20のものが好ましく、総炭素数1〜10のものがさらに好ましい。具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、バレリル基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基がさらに好ましい。
R43は水素原子または加水分解により脱離できる置換基を表し、水素原子が好ましい。加水分解により脱離できる置換基としては、総炭素数1〜20のものが好ましく、総炭素数1〜10のものがさらに好ましい。具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、バレリル基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基がさらに好ましい。
以下に一般式(4)および(5)の化合物の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の方法で製造された固体電解質膜はメソゲンを含む有機分子鎖およびプロトン供与性基を含む基がケイ素酸素3次元架橋マトリックスに共有結合した構造を有するものが好ましい。
プロトン供与性基は、pKaが4以下の酸残基が好ましく、例えば、−SO3H、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)2、−COOHなどが挙げられる。特に好ましいものは、pKaの低い−SO3H基である。前記プロトン供与性基を有する化合物の前駆体は、それ自身の酸で縮合しゲル化し易いため、例えば、一般式(4)および/または(5)で示される硫黄化合物を酸化した溶液を、本発明の固定電解質膜の製造のための溶液として用いることが好ましい。
本発明の固体電解質膜は、好ましくは、下記一般式(6)で表される部分構造および/または一般式(7)で表される部分構造をもつものが好ましい。
一般式(6)中、A6はメソゲンを含む有機原子団であり、R62はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、n61は1〜4の整数を表し、n62は1〜3の整数を表し、n63は0〜4の整数を表し、複数のR62は同一でも異なってもよい。*はケイ素原子に結合する位置を表し、**は有機高分子鎖に結合する位置を表す。
一般式(6)におけるA6、R62、n61、n62およびn63は、ぞれぞれ一般式(3)におけるA3、R32、n31、n32、n33と同義であり、その好ましい範囲も同義である。
一般式(6)におけるA6、R62、n61、n62およびn63は、ぞれぞれ一般式(3)におけるA3、R32、n31、n32、n33と同義であり、その好ましい範囲も同義である。
一般式(7)中、B7は脂肪族基および/または芳香族基を含む連結基を表し、R72はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、n71は1〜4の整数を表し、n72は1〜3の整数を表し、複数のR72は同一でも異なってもよい。*はケイ素原子に結合する位置を表し、Eはプロトン供与性基を表す。
Eは、好ましくは、上記プロトン供与性基で述べた基と同義であり、好ましい範囲も同義である。
B7、R72、n71、n72およびn73は、ぞれぞれ一般式(4)におけるB4、R42、n41、n42、n43または一般式(5)におけるB5、R52、n51、n52、n53と同義であり、その好ましい例も同義である。
Eは、好ましくは、上記プロトン供与性基で述べた基と同義であり、好ましい範囲も同義である。
B7、R72、n71、n72およびn73は、ぞれぞれ一般式(4)におけるB4、R42、n41、n42、n43または一般式(5)におけるB5、R52、n51、n52、n53と同義であり、その好ましい例も同義である。
以下、図に従って、本発明の製造方法を説明する。図1は、本発明の固体電解質膜の製造方法の工程の一例を示したものである。尚、これらの工程は、本発明の必須工程ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、その一部の工程を除外してもよい。
図1の製造工程1は、溶解工程を示し、原料を溶媒に溶解して溶液を得ている。ここで、溶媒は、原料を溶解する化合物であれば、特に制限はないが、好ましくはカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ヘテロ環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、水等を用いることができる。中でも、エタノール、イソプロパノール、フッ素置換アルコール等のアルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等、トルエン、キシレン等の非極性溶媒が特に好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種類以上用いる場合は、アルコール類と非極性溶媒の混合液がより好ましい。
また乾燥速度を制御する目的で、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジオキサン等の沸点100℃以上の溶媒を上記溶媒に添加しても良い。全溶媒量は、例えば、メソゲンを有する化合物およびプロトン供与性前駆体化合物の合計量1gに対し好ましくは0.1〜100gであり、より好ましくは1〜10gである。
溶解は常温で行ってもよいし、加熱して行なってもよい。好ましくは、25〜100℃の範囲で行なう。また、撹拌して溶解させてもよく、溶解時間は、好ましくは、0.01〜1時間である。
また乾燥速度を制御する目的で、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジオキサン等の沸点100℃以上の溶媒を上記溶媒に添加しても良い。全溶媒量は、例えば、メソゲンを有する化合物およびプロトン供与性前駆体化合物の合計量1gに対し好ましくは0.1〜100gであり、より好ましくは1〜10gである。
溶解は常温で行ってもよいし、加熱して行なってもよい。好ましくは、25〜100℃の範囲で行なう。また、撹拌して溶解させてもよく、溶解時間は、好ましくは、0.01〜1時間である。
尚、本発明においては、例えば、加熱しながら撹拌をすることにより、化合物の重合反応も進行する場合がある。
例えば、一般式(3)のXが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エチニル基等の炭素−炭素不飽和結合基である場合、大津隆行・木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」,化学同人や大津隆行著,「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」,化学同人に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法として、熱重合開始剤を用いる熱重合法と光重合開始剤を用いる光重合法を使用することができる。熱重合開始剤の好ましい例としては、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系開始剤等が挙げられ、光重合開始剤の好ましい例としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ、アクリジンおよびフェナジン化合物およびオキサジアゾール化合物が挙げられる。
例えば、一般式(3)のXが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エチニル基等の炭素−炭素不飽和結合基である場合、大津隆行・木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」,化学同人や大津隆行著,「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」,化学同人に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法として、熱重合開始剤を用いる熱重合法と光重合開始剤を用いる光重合法を使用することができる。熱重合開始剤の好ましい例としては、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系開始剤等が挙げられ、光重合開始剤の好ましい例としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ、アクリジンおよびフェナジン化合物およびオキサジアゾール化合物が挙げられる。
重合開始剤の添加量はモノマー総量に対し好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
一般式(3)のXがエチレンオキシド基、トリメチレンオキシド基等のアルキレンオキシド基の場合、重合触媒としてはプロトン酸(好ましくは後述するプロトン酸)やルイス酸(好ましくは三フッ化ホウ素(エーテル錯体を含む)、PF5、SbF5、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等)、オキソニウム塩(Et3OSbF6、Et3OBF4等)、ヨードニウム塩(Ph2IPF6、Ph2IBF4等)、スルホニウム塩(Ph3SPF6、Ph2MeSBF4等)を用いることができる。重合触媒を添加する場合には、塗布する直前に反応液に添加するのが好ましい。重合により分子の配向状態が固定され、また膜の強度も向上する。
後続の反応工程の進行を速める目的で酸触媒および水を用いてもよい。酸触媒としては無機または有機のプロトン酸が好ましい。無機プロトン酸としては、塩酸、硫酸、リン酸類(H3PO4、H3PO3、H4P2O7、H5P3O10、メタリン酸、ヘキサフルオロリン酸等)、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸、固体酸(タングストリン酸、タングステンペルオキソ錯体等)等が挙げられる。有機プロトン酸としては、リン酸エステル類(例えば炭素数1〜30のリン酸エステル類であり、リン酸メチルエステル、リン酸プロピルエステル、リン酸ドデシルエステル、リン酸フェニルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジドデシルエステル等)、亜リン酸エステル類(例えば炭素数1〜30の亜リン酸エステル類であり、亜リン酸メチルエステル、亜リン酸ドデシルエステル、亜リン酸ジエチルエステル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジドデシルエステル等)、スルホン酸類(例えば炭素数1〜15のスルホン酸類であり、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサフルオロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等)、カルボン酸類(例えば炭素数1〜15のカルボン酸類であり、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、置換安息香酸等)、イミド類(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、トリフルオロメタンスルホニルトリフルオロアセトアミド等)、ホスホン酸類(例えば炭素数1〜30のホスホン酸類であり、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、1,5−ナフタレンビスホスホン酸等)等の低分子化合物、またはナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート(特開2001−114834号公報)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(特開平6−93111号公報)、スルホン化ポリエーテルスルホン(特開平10−45913号公報)、スルホン化ポリスルホン(特開平9−245818号公報)等の耐熱芳香族高分子のスルホン化物等のプロトン酸部位を有する高分子化合物が挙げられる。これらを2種以上併用することも可能である。
図1の製造工程2は、反応工程を示し、この段階では酸化によりプロトン供与性基となる基の酸化反応および、アルコキシシリル基の部分的加水分解と縮重合(「ゾル−ゲル」反応)を進行させる。
酸化反応は酸化剤を添加することにより行うことができる。酸化剤としては、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化クロム、臭素水、硝酸およびこれらの水溶液があげられる。特に過酸化水素は酸化後の分解物が水であるため、膜特性に悪影響を及ぼさず好ましい。この処理液には有機溶媒等が添加されていても良い。ゾル−ゲル反応は酸化剤によって生成したプロトン供与性基によっても行えるが、溶解工程で添加した酸および水によって反応を行ってもよい。
反応工程では撹拌するのが好ましく、50〜100℃で、3〜12時間撹拌するのがより好ましい。
酸化反応は酸化剤を添加することにより行うことができる。酸化剤としては、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化クロム、臭素水、硝酸およびこれらの水溶液があげられる。特に過酸化水素は酸化後の分解物が水であるため、膜特性に悪影響を及ぼさず好ましい。この処理液には有機溶媒等が添加されていても良い。ゾル−ゲル反応は酸化剤によって生成したプロトン供与性基によっても行えるが、溶解工程で添加した酸および水によって反応を行ってもよい。
反応工程では撹拌するのが好ましく、50〜100℃で、3〜12時間撹拌するのがより好ましい。
図1の製造工程3は、酸化剤の分解工程を示している。ここでは、製造工程2で用いた酸化剤を分解する。分解反応には触媒を用いることが好ましく、固体触媒がさらに好ましい。触媒は、白金、金、銀、パラジウムからなる群から選ばれる1種類以上が好ましい。特に、酸化剤として過酸化水素を用いる場合は、白金および/またはパラジウムがさらに好ましい。これらの金属は異種の金属との合金であっても良い。
本工程で採用する触媒は、その表面積を大きくするために耐酸性の坦体に担持あるいはコーティングされているものが好ましい。耐酸性の坦体としてはカーボン、チタン、シリカが好ましく、チタンが成形性の観点から特に好ましい。触媒の形態は、粉体、網状、板状、ハニカム状が好ましく、反応効率、ハンドリングの点から網状、ハニカム状がさらに好ましい。触媒は回収、洗浄の後に再利用することができる。
図1の製造工程4は、ろ過工程を示したものである。この工程は、上記溶液中の不溶解物を必要に応じて除去する。除去工程を行うことにより、より良好な固体電解質膜が得られる。ろ過は、例えば、公知のフィルター等を用いて行なうことができ、好ましくは、500nm〜10μmのフィルターを採用する。
図1の製造工程5は、固体電解質膜の塗布工程を示したものである。製造工程5では、溶液を所望の幅および厚みに形成する。その支持体は特に限定されないが、好ましい例としてはガラス基板、金属基板、高分子フイルム、反射板等を挙げることができる。高分子フイルムとしては、TAC(トリアセチルセルロース)等のセルロース系高分子フイルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のエステル系高分子フイルム、PTFE(ポリトリフルオロエチレン)等のフッ素系高分子フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。塗布方式は公知の方法でよく、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。
図1の蒸発工程6は、溶液の溶媒を蒸発させる工程である。上記製造工程5と同時に起こる場合もあり、その温度、時間等は、溶媒が蒸発しうるに十分な時間である。また、段階的に温度を挙げてもよい。さらに、気流下で蒸発させてもよい。具体的には、例えば、10〜100℃で、1〜48時間蒸発させるとよい。
本発明では、塗布-乾燥中に、メソゲンの配向が起こる。配向を促進させるために、様々な手法を採用することができる。例えば、前述の支持体等に事前に配向処理を施すことができる。配向処理としては種々の一般的な方法を採用できるが、好ましくは各種ポリイミド系配向膜、ポリビニルアルコール系配向膜等の液晶配向層を支持体等の上に設け、ラビング等の配向処理行う方法、支持体上の塗布液に磁場や電場等を印加する方法、加熱する方法等を用いることができる。
本発明の材料の配向状態は、偏光顕微鏡により光学異方性を観察することにより確認することができる。観察方向は任意でよいが、クロスニコル下でサンプルを回転させ、明暗が切り替わる部分があれば異方性があるといえる。配向状態は異方性を示す状態であれば特に制限はない。液晶相と認識できるテクスチャーが観察される場合は相を特定することができ、リオトロピック液晶相でもサーモトロピック液晶相でもよい。配向状態はリオトロピック液晶相の場合はヘキサゴナル相、キュービック相、ラメラ相、スポンジ相、ミセル相が好ましく、特に室温でラメラ相もしくはスポンジ相を示すことが好ましい。サーモトロピック液晶相ではネマチック相、スメクチック相、クリスタル相、カラムナー相およびコレステリック相が好ましく、特に室温でスメクチック相、クリスタル相を示すことが好ましい。また、これらの相における配向が固体状態で保持されている配向状態も好ましい。ここでいう異方性とは分子の方向ベクトルが等方的ではない状態をいう。
図1の製造工程7は、固体電解質膜を剥離する剥離工程である。これは、得られる固体電解質膜をプロトン交換膜等として使用する場合に好ましい。
図1の製造工程8は、洗浄乾燥工程であり、固体電解質膜を洗浄し、乾燥させる。洗浄は、好ましくはイオン交換水で行なう。さらに、洗浄した後の残液に酸化剤が含まれていないか検査することにより、より良好な固体電解質膜が得られる。
本発明における有機ゲル化剤(例えば、一般式(1)および/または一般式(2)で表される化合物)は、上記、溶解工程1、酸化工程2、分解工程3、ろ過工程4のいずれの段階で加えてもよいが、紛体で加えて溶解させても、溶液を加えてもよい。添加量は溶液全体に対し、0.01重量%〜5重量%が好ましく、0.05%〜2重量%がさらに好ましい。溶解は常温で行ってもよいし、加熱して行なってもよい。好ましくは、25〜100℃の範囲で行なう。また、撹拌して溶解させてもよく、溶解時間は、好ましくは、0.01〜1時間である。
材料の膜特性を向上させるため、必要に応じて、上記に記載した2種以上のモノマーを混合して用いてもよい。例えば、一般式(3)で表される化合物におけるn31が3と2の化合物を混合する等、一般式(4)または一般式(5)で表される前駆体におけるn42、n52が3と2の化合物を混合するか、あるいはこれらを組み合わせることよってより柔軟な膜を形成することができる。これらの前駆体にさらに他のケイ素化合物を添加してもよい。他のケイ素化合物の例としては、下記一般式(9)で表される有機ケイ素化合物またはそれらをモノマーとするポリマーが挙げられる。
一般式(9)中、R91は置換または無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R92は水素原子、アルキル基、アリール基またはシリル基を表し、n9は0〜4の整数を表し、n9または4−n9が2以上のとき、R91またはR92はそれぞれ独立に同一でも異なってもよい。また、R91またはR92の置換基により互いに連結し、多量体を形成してもよい。
一般式(9)のn9は0または1が好ましく、R92はアルキル基が好ましい。さらにn9が0のときの好ましい化合物の例としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)等が挙げられ、n9が1のときの好ましい化合物の例としては以下の化合物が挙げられる。
一般式(9)で表される化合物を併用する場合、例えば一般式(3)で表される化合物のモル数と一般式(4)で表される化合物のモル数の和に対して1〜50モル%の範囲で用いるのが好ましく、1〜20モル%の範囲で用いるのがより好ましい。
本発明の固体電解質膜では、ゾル−ゲル反応において変化しない化合物、例えば、下記一般式(10)で表される化合物を可塑剤として添加することにより、膜に柔軟性を付与することができる。添加量は、例えば、一般式(3)で表される化合物のモル数と一般式(4)で表される化合物のモル数の和に対し、1モル%〜50モル%であり、5モル%〜20モル%が好ましい。
一般式(10)中、A10はメソゲンを含む有機原子団であり、一般式(3)で表される化合物中のA3と同義であり、そこに含まれるメソゲンは、本発明の固体電解質膜作成時に用いるメソゲン含有有機ケイ素化合物中のメゾゲンと同一のものが特に好ましい。Z10はゾル−ゲル反応において変化しない置換基または水素原子を表し、好ましい置換基の例としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フルオロ基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基などの酸残基、ビニル基などが挙げられ、これらの中で特に水素原子、水酸基、酸残基、ビニル基が好ましい。n101は1〜6の整数を表し、1または2が特に好ましい。n102は0〜4の整数を表し、1または2が特に好ましい。X10は重合により炭素−炭素結合または炭素−酸素結合を形成しうる重合性基を表し、一般式(3)で表される化合物中のXと同義であり、特に、本発明の固体電解質膜作成時に用いるメソゲン含有化合物のXと同一のものが好ましい。n102が2以上のとき、Z10は同一でも異なってもよい。一般式(10)で表される化合物では、総炭素数は10〜100が好ましく、15〜80がさらに好ましい。
本発明の固体電解質膜には、(1)膜の機械的強度を高める目的、および(2)膜中の酸濃度を高める目的で種々の高分子化合物を含有させてもよい。(1)機械的強度を高める目的には、分子量10,000〜1,000,000程度で本発明の固体電解質膜と相溶性のよい高分子化合物が適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等、およびこれらの共重合体が好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。これらの高分子の形態は紛体、あるいは繊維状であってもよい。(2)酸濃度を高める目的には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子のスルホン化物などのプトロン酸部位を有する高分子化合物などが好ましく、含有量としては1〜30質量%の範囲が好ましい。
本発明では、例えば、プロトン供与性基を有する化合物の前駆体とメソゲンを有する化合物を含む溶液を、多孔質基材の細孔に含浸させて固体電解質膜を形成することが可能である。すなわち、細孔を有する基材上に前記溶液を塗布含浸させるか、基材を前記溶液に浸漬し、細孔内に固体電解質膜を満たして膜を形成してもよい。細孔を有する基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。
本発明の固体電解質膜は燃料電池用に好ましく用いられる。この場合、固体電解質膜には、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒を添加してもよい。これにより、固体電解質膜中に浸透した燃料が他方極に到達すること無く固体電解質膜中で消費され、クロスオーバーを防ぐことができる。用いられる活性金属種は、電極触媒として機能するものであれば制限は無いが、白金または白金を基にした合金が適している。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(1)S−25の合成
4、4'−ジヒドロキシナフタレン23.5gをジメチルアセトアミド9mlに溶解し、炭酸カリウム11.5gとヨウ化カリウム7.0gを加えたところに、8−クロロヘキサノール68.8gを添加した。反応液を110℃で9時間攪拌し室温に戻した後、反応液を水に注ぎ析出した結晶をろ過した。得られた粗結晶をアセトニトリルで再結晶し、15.3gの4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−ヒドロキシビフェニルを得た。
得られた4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−ヒドロキシビフェニル10gをジメチルアセトアミド50mlに溶解し、炭酸カリウム10.0g添加し、50℃で攪拌しながら2−エチル−2−ヨードメチルオキセタン9.5gを滴下した。100℃で4時間反応を行った後、反応混合物を水に注ぎ、得られた粗結晶をアセトニトリルで再結晶し、4.0gの4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニルを得た。
4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニル3.6gを脱水テトラヒドロフランに溶解し、60℃に加温し攪拌しながら水素化ナトリウム(60%鉱物油分散物)0.55gを少しずつ添加すると発泡した。発泡が収まった後、ヨウ化アリル2.5gを滴下した。反応混合物を60℃で3時間攪拌した後、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、4−(6−(アリルオキシ)ヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニル3.8gを得た。
4−(6−(アリルオキシ)ヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニル1.5gとトリエトキシシラン2.5gをトルエン10mlに溶解し、80℃、窒素気流中で塩化白金酸10mgをベンゾニトリル0.5mlに溶解した溶液を滴下した。反応液を80℃で1時間反応させた後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、0.73gの上記例示化合物S−25(以下S−25と示す、以下の例示化合物についても同様に示す。)を得た。
4、4'−ジヒドロキシナフタレン23.5gをジメチルアセトアミド9mlに溶解し、炭酸カリウム11.5gとヨウ化カリウム7.0gを加えたところに、8−クロロヘキサノール68.8gを添加した。反応液を110℃で9時間攪拌し室温に戻した後、反応液を水に注ぎ析出した結晶をろ過した。得られた粗結晶をアセトニトリルで再結晶し、15.3gの4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−ヒドロキシビフェニルを得た。
得られた4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−ヒドロキシビフェニル10gをジメチルアセトアミド50mlに溶解し、炭酸カリウム10.0g添加し、50℃で攪拌しながら2−エチル−2−ヨードメチルオキセタン9.5gを滴下した。100℃で4時間反応を行った後、反応混合物を水に注ぎ、得られた粗結晶をアセトニトリルで再結晶し、4.0gの4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニルを得た。
4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニル3.6gを脱水テトラヒドロフランに溶解し、60℃に加温し攪拌しながら水素化ナトリウム(60%鉱物油分散物)0.55gを少しずつ添加すると発泡した。発泡が収まった後、ヨウ化アリル2.5gを滴下した。反応混合物を60℃で3時間攪拌した後、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、4−(6−(アリルオキシ)ヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニル3.8gを得た。
4−(6−(アリルオキシ)ヘキシルオキシ)−4'−(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシビフェニル1.5gとトリエトキシシラン2.5gをトルエン10mlに溶解し、80℃、窒素気流中で塩化白金酸10mgをベンゾニトリル0.5mlに溶解した溶液を滴下した。反応液を80℃で1時間反応させた後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、0.73gの上記例示化合物S−25(以下S−25と示す、以下の例示化合物についても同様に示す。)を得た。
(2)固体電解質膜(E−1)の作製
T−4(0.22g)とS−25(0.27g)をキシレン(0.4ml)/イソプロパノール(1.0ml)に溶解し、さらに、30%過酸化水素水(0.437ml)を添加した。55℃で7時間加熱攪拌した後、この処理液をミクロフィルター(FLSP20 1.3CMD、富士写真フイルム(株)製)にて濾過し、A−24(0.024g)を添加し溶解させ、塗布液を調製した。この塗布液は30℃でゲル、40℃で溶液であった。これを、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S、宇部興産(株)製)上にベーカー式アプリケーター(SA-201、テスター産業(株))を用いて塗布した。塗布後は塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。塗布物を室温、気流下で24時間乾燥した。ポリイミド膜から膜状に固化した塗布物を剥離し、イオン交換水にて洗浄、乾燥して、透明、微褐色で厚さ122μmの表面光沢のある膜を得た。
T−4(0.22g)とS−25(0.27g)をキシレン(0.4ml)/イソプロパノール(1.0ml)に溶解し、さらに、30%過酸化水素水(0.437ml)を添加した。55℃で7時間加熱攪拌した後、この処理液をミクロフィルター(FLSP20 1.3CMD、富士写真フイルム(株)製)にて濾過し、A−24(0.024g)を添加し溶解させ、塗布液を調製した。この塗布液は30℃でゲル、40℃で溶液であった。これを、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S、宇部興産(株)製)上にベーカー式アプリケーター(SA-201、テスター産業(株))を用いて塗布した。塗布後は塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。塗布物を室温、気流下で24時間乾燥した。ポリイミド膜から膜状に固化した塗布物を剥離し、イオン交換水にて洗浄、乾燥して、透明、微褐色で厚さ122μmの表面光沢のある膜を得た。
(3) 固体電解質膜(E−2)の作製
A−24(0.024g)の添加量を0.048gとした他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は50℃でゲル、60℃で溶液であった。これを、上記E−1と同様に塗布すると、塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。これを上記E−1と同様に、乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行って、透明、微褐色で厚さ133μmの表面光沢のある膜を得た。
A−24(0.024g)の添加量を0.048gとした他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は50℃でゲル、60℃で溶液であった。これを、上記E−1と同様に塗布すると、塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。これを上記E−1と同様に、乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行って、透明、微褐色で厚さ133μmの表面光沢のある膜を得た。
(4) 固体電解質膜(E−3)の作製
A−24の代わりにA−26(0.100g)を添加した他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は30℃でゲル、40℃で溶液であった。これを、上記E−1と同様に塗布すると、塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。これを上記E−1と同様に、乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行って、透明、微褐色で厚さ145μmの表面光沢のある膜を得た。
A−24の代わりにA−26(0.100g)を添加した他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は30℃でゲル、40℃で溶液であった。これを、上記E−1と同様に塗布すると、塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。これを上記E−1と同様に、乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行って、透明、微褐色で厚さ145μmの表面光沢のある膜を得た。
(5) 固体電解質膜(E−4)の作製
A−24の代わりにA−8(0.050g)を添加した他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は10℃でゲル、40℃で溶液であった。これを、10℃に保った支持体を使用したほかは上記E−1と同様に塗布すると、塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。これを上記E−1と同様に、10℃に保ったまま乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行って、半透明、微褐色で厚さ127μmの膜を得た。
A−24の代わりにA−8(0.050g)を添加した他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は10℃でゲル、40℃で溶液であった。これを、10℃に保った支持体を使用したほかは上記E−1と同様に塗布すると、塗布液がゲル化し、面積はほとんど変化しなかった。これを上記E−1と同様に、10℃に保ったまま乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行って、半透明、微褐色で厚さ127μmの膜を得た。
(6)固体電解質膜(R−1)の作製
A−24の代わりに特許文献4に記載の下記化合物B−1(0.052g)を加えた他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は冷却してもゲル化しなかった。これを、上記E−1と同様に塗布すると、塗布後は塗布液が流れ出し、面積が数倍に広がった。上記E−1と同様に乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行うと、微褐色で厚さ25μmの表面の凹凸に起因する白濁した膜が得られた。
A−24の代わりに特許文献4に記載の下記化合物B−1(0.052g)を加えた他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は冷却してもゲル化しなかった。これを、上記E−1と同様に塗布すると、塗布後は塗布液が流れ出し、面積が数倍に広がった。上記E−1と同様に乾燥、剥離、洗浄、乾燥を行うと、微褐色で厚さ25μmの表面の凹凸に起因する白濁した膜が得られた。
(7)固体電解質膜(R−2)の作製(流延枠使用)
A−24を添加しない他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は冷却してもゲル化しなかった。この塗布液800μLを、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S:宇部興産(株)製)上に180μm厚のテプロンテープで作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込んだ。室温下で48時間乾燥させた。上記E−1と同様に剥離、洗浄、乾燥を行うと、微褐色で厚さ129μmの膜が得られた。
A−24を添加しない他は上記E−1と同様に塗布液を得た。この塗布液は冷却してもゲル化しなかった。この塗布液800μLを、ポリイミド膜(ユーピレックス#75S:宇部興産(株)製)上に180μm厚のテプロンテープで作製した3cm×3cmの正方形の枠内に流し込んだ。室温下で48時間乾燥させた。上記E−1と同様に剥離、洗浄、乾燥を行うと、微褐色で厚さ129μmの膜が得られた。
(8)プロトン伝導度の測定
固体電解質膜を直径5mmの円形に打ち抜いたものを、2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、30℃、相対湿度95%におけるプロトン伝導度を測定した。表1に結果を示す。本発明によっても比較例の固体電解質膜同等のプロトン伝導度が得られることがわかる。
固体電解質膜を直径5mmの円形に打ち抜いたものを、2枚のステンレス板に挟み、交流インピーダンス法により、30℃、相対湿度95%におけるプロトン伝導度を測定した。表1に結果を示す。本発明によっても比較例の固体電解質膜同等のプロトン伝導度が得られることがわかる。
(9)メタノール透過性
固体電解質膜を1cmx1cmに切り抜き、図2に示すようなセルにセットした。図2中、1は固体電解質膜を、2はO−リングを、3はメタノール水溶液を、4はキャリアガス流入口を、5は検出器接続口をそれぞれ示している。また、図中の矢印はキャリアガスの流れを示す。メタノール水溶液として50%(v/v)メタノール水溶液を注入し、キャリアガス中に含まれるメタノールをガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−14B)にて検出した。この検出値から、メタノール透過性をナフィオン117(DuPont製)での検出値に対する相対値として計算した。その結果、表2に示すとおり、本発明の固体電解質膜は、比較例とほぼ同様の低いメタノール透過性を有していることが確認された。
固体電解質膜を1cmx1cmに切り抜き、図2に示すようなセルにセットした。図2中、1は固体電解質膜を、2はO−リングを、3はメタノール水溶液を、4はキャリアガス流入口を、5は検出器接続口をそれぞれ示している。また、図中の矢印はキャリアガスの流れを示す。メタノール水溶液として50%(v/v)メタノール水溶液を注入し、キャリアガス中に含まれるメタノールをガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−14B)にて検出した。この検出値から、メタノール透過性をナフィオン117(DuPont製)での検出値に対する相対値として計算した。その結果、表2に示すとおり、本発明の固体電解質膜は、比較例とほぼ同様の低いメタノール透過性を有していることが確認された。
1 固体電解質膜
2 O−リング
3 メタノール水溶液
4 キャリアガス流入口
5 検出器接続口
2 O−リング
3 メタノール水溶液
4 キャリアガス流入口
5 検出器接続口
Claims (7)
- 高分子電解質溶液を固化してなる固体電解質膜の製造方法であって、有機ゲル化剤を用いて固化させる工程を含む固体電解質膜の製造方法。
- メソゲンを有する化合物を含む高分子電解質溶液を固化してなる固体電解質膜の製造方法であって、有機ゲル化剤を用いて固化させる工程を含む固体電解質膜の製造方法。
- 前記高分子電解質溶液が、さらに、下記一般式(4)および/または一般式(5)で表される化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質膜の製造方法。
- 前記有機ゲル化剤が、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で製造された固体電解質膜。
- プロトン供与性基を含むことを特徴とする請求項6に記載の固体電解質膜。
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2004
- 2004-09-29 JP JP2004284887A patent/JP2006100130A/ja active Pending
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