JP2006080618A - 電波受信特性推定装置および電波受信特性推定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 構造物の面またはエッジを遺伝子とみなし、構造物の面またはエッジによる種々の光学的現象を伴って受信点に到達するレイの経路を染色体とみなし、染色体を生成する初期染色体生成手段11と、染色体が示す経路を対象にレイをトレースするレイトレーシング手段13と、レイが受信点に到達可能と判断された経路に対しては受信電力を計算する受信電力計算手段14と、受信電力を染色体における適応度とみなし、各染色体を適応度によりランク付けする適応度評価手段15と、染色体が所定の収束条件を満たしているかを判定する収束条件判定手段16と、該収束条件を満たしていない場合には、新たな染色体を予め定めた個数だけ生成する染色体再生成手段12と、該収束条件を満たしていれば受信特性を求める受信特性算出手段17と、を具備する。
【選択図】 図1
Description
図7は、従来のレイトレーシング法を示す概略図である。
図7(a)に示すように、レイトレーシング法では、送信点71から放射される電波をレイとみなし、周囲の構造物による反射/回析/透過を考慮して、受信点72に到達可能なレイを探索する。受信点72における受信電力,伝搬遅延,到達角度などの受信特性は、受信点72に到達するレイの電界,伝搬遅延時間,到来角度より算出する。送信点71から受信点72までのレイをトレースするには、イメージング法(Imaging method)もしくはレイランチング法(Ray−launching method)を用いる。特に、イメージング法を用いれば、送受信間のレイを厳密にトレースすることができる。その結果、レイa〜レイdのようにトレースされたとする。
図8に示す例では、2回反射のレイとして、反射面の組み合わせが、「送信点→反射面2→反射面1→受信点」となるレイも存在する可能性がある。そこで、2回反射のレイを求めるためには、この反射面の組み合わせに対しても同様の操作を行なう必要がある。
細矢良雄(監修),電波伝搬ハンドブック,(株)リアライズ社,1999
そこで、本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであって、レイトレーシング法の特にイメージング法を用いた受信特性推定において、高い推定精度を保ちつつ、演算処理の効率を向上させることが可能な電波受信特性推定装置および電波受信特性推定方法を提供することを目的としている。
また、考慮する面とエッジを用いて生成可能な全組み合わせに対する既演算組み合わせの割合を演算率と定義し、この演算率を収束条件として用いることにより、予め設定する各種パラメータ値(例えば、突然変異確率)の適正を明確に評価することが可能となり、演算処理の効率がより高くなるパラメータ値を見つけることが容易となるという効果が得られる。
図1は、本発明の受信特性推定システムの機能構成を示すブロック図である。
同図に示すように、このシステムは、初期染色体生成部11と、染色体再生成部12と、レイトレーシング部13と、受信電力計算部14と、染色体適応度評価部15と、収束条件判定部16と、受信特性算出部17とから構成される。初期染色体生成部11と染色体再生成部12とは、染色体生成部1内に配置される。
レイトレーシング部13は、初期染色体生成部11において生成した染色体が示す経路を対象に、イメージング法によるレイトレースを行なう。
受信電力計算部14は、染色体が示す経路のうち、受信点にレイが到達可能と判断された経路に対しては受信電力を計算し、到達不可能と判断された経路に対しては、ダミーの受信電力値を与える。
収束条件判定部16は、染色体適応度評価部15においてランク付けされた染色体群が所定の収束条件を満たしているか否かを判定し、該収束条件を満たしていれば当該染色体群を受信特性算出部17に渡し、該収束条件を満たしていない場合には、当該染色体群を染色体再生成部に渡す。
染色体再生成部12は、収束条件判定部16において所定の収束条件を満たしていない染色体群において適応度の高い染色体を優先的に選択し、遺伝的操作を行なうことにより、新たな染色体を予め定めた個数だけ生成する。
これにより、レイトレースを実行する経路を遺伝的操作により決定し、かつ、受信特性への寄与率が高いレイが重点的にトレースされるので、全ての経路に対するレイトレースを必要としない。従って、演算処理の大幅な削減を図ることができる。
まず、ステップS21において、演算を開始する。次に、ステップS22において、染色体を予め定めた数Nc個だけ生成する(初期染色体の生成)。次に、ステップS23において、1染色体の選択を行い、生成したNc個の染色体に対してレイのトレースおよび受信電力計算を行なう(1染色体の選択)。但し、ステップS24において、選択した染色体が過去(演算開始以降)にレイのトレースおよび受信電力計算を行なっているか否かを判断し(受信電力の計算済み?)、受信電力計算を行なっている場合は、ステップS25において、染色体データベース(DB)20を検索して既に計算してある受信電力値を抽出する(レイの受信電力抽出)。ステップS24において、受信電力の計算を行なっていない場合は、ステップS26において、レイのトレースを行い、ステップS27において、レイの受信電力を計算する。続いて、ステップS28において、受信電力を染色体の適応度とみなし(選択した染色体数=Nc個?)、ステップS30において、各の染色体を適応度によりランク付けし、その結果を染色体のDB20に保存する(染色体の適応度評価)。ステップS28において、受信電力を染色体の適応度と見なさない場合は、ステップS29において、ステップS23に戻りステップS28まで繰り返す。次に、ステップS31において、適応度の評価を行なった染色体群をもって所定の収束条件を満たすか否かを判定する(収束条件の判定)。収束条件を満たさない場合には、ステップS32において、遺伝的操作を行なうことにより新たにNc個の染色体を再生成し(染色体の再生成(Nc個))、ステップS23に戻りステップS31において、所定の収束条件を満たすまで繰り返す。なお、収束条件を満たした場合には、ステップS33において、所望の受信特性を算出し(受信特性の算出)、ステップS34において、演算を終了する。
染色体DB20において保存される情報は、組み合わせの集合として染色体群別に保存される。また、各の染色体に対してラベル31,遺伝子配列32,適応度33の情報が保存される。
ラベル31は、、レイの受信電力の高い順に、例えば1〜Ncと付与される番号である。遺伝子は配列32は、面/エッジの組み合わせによる配列である。なお、遺伝子配列の両矢印の部分Nは、トレースの対象とする反射/回析/透過の回数であり、□はm1〜mMの「いずれかの面/エッジ(遺伝子)」を示す。適応度33は、レイの受信能力を示し、Xi〜XNcは、各の染色体におけるレイの受信電力値である。
まず、図4(a)は、図3に示したDBに保存する染色体の情報であり、この情報から、親となる染色体を親候補(前世代の染色体群の中で適応度の高いもの)から2つ選択し、これを親1,親2とする。
次に、図4(c)に示すように、遺伝子配列を交叉させる位置をランダムに選択し、2つの子の間で交叉位置以降の遺伝子を交換する。交叉させる位置は、図の太線で示している。その結果、図の左側の遺伝子配列は□,■の位置が不変であるが、図の右側の遺伝子配列は□,■の位置が逆になっている。
図4に述べた基本プロセスのみでは、レイが同一の面/エッジで反射/回析/透過を繰り返す経路、すなわち、明らかにレイのトレースが不可能な遺伝子配列を持つ染色体が生成される可能性があり、効率的ではない。また、遺伝子配列が同一である染色体が重複して生成される可能性もあり、この場合は推定精度が劣化する。そこで、図5では、処理の効率化を図り、かつ、推定精度の劣化を避けるために、突然変異後の染色体に対して、以下の2つのルールを設ける。
ルール2:各の染色体の遺伝子配列は染色体群の中で唯一とする。
そして、最終的にはこれらのルールを満たす染色体のみが設定されるようにしてある。具体的には、ルール1を満たさないと判定された場合には、連続している区間のみ遺伝子の再設定(mi〜mMの中からランダムに選択して設定)を行なう。一方、ルール2を満たさないと判定された場合には、染色体を構成する全ての遺伝子を再設定(mi〜mMの中からランダムに選択して設定)する。
まず、ステップS51において、染色体の再生成を開始する。次に、ステップS52において親の候補を決定する。次に、ステップS53において、親を2固体抽出する。次に、ステップS54において遺伝子の交叉を行って、ステップS55において遺伝子を突然変異させる。次に、ステップS56において、上記ルール1を満たすか否かを判定し、ルール1を満たしていない場合は、ステップS57において遺伝子連続区間の再設定を行ない、ステップS56において再度ルール1を満たすか否かを判定する。これをルール1を満たすまで繰り返す。ルール1を満たした場合は、ステップS58においてルール2を満たすか否かを判定し、ルール2を満たしていない場合は、ステップS59において、遺伝子配列(全構成遺伝子)の再設定を行い、ステップS60において再度ルール2を満たすか否かを判定する。ルール2を満たしていない場合は、ステップS53まで戻り、ルール2を満たすまで繰り返す。ルール2を満たしたならばステップS61において子として登録する。そして、ステップS62において、子の個数と設定値Ncとを比較し、子の個数<設定値Ncの場合は、ステップS53まで戻り、子の個数≧設定値NcになるまでステップS53〜ステップS62を繰り返す。子の個数≧設定値Ncになった場合は、ステップS64において染色体の再生成が終了する。
同図において、横軸は収束条件とした演算率ρであり、縦軸は従来のイメージング法で得られる値を真とする受信電力(各のレイの受信電力を加算して得られるトータル受信電力)の推定誤差dBである。本実施形態によって得られた値を■で示し、従来の方法(ランダム)で得られた値を○で示している。なお、設定した面/エッジの数はM=150、トレースの対象としたレイの反射/回析の回数はN=2、突然変異確率はPm=0.01、染色体の生成数はNc=2MN=600としている。従来のイメージング法では、Nall=MN=22500個の面/エッジの組み合わせに対してレイのトレース処理および受信電力計算が必要であった。しかし、本発明を用いれば、例えば許容誤差を−4dBとすれば、ρNall=20/100*22500=4500個の面/エッジの組み合わせに対するレイのトレース処理および受信電力計算をするだけで良い。
Claims (10)
- 染色体を用いたレイトレーシング法により電波の受信特性を推定する電波受信特性推定装置であって、
構造物の面またはエッジを遺伝子とみなし、前記構造物の面またはエッジによる種々の光学的現象を伴って受信点に到達するレイの経路を染色体とみなし、当該染色体を予め定めた個数だけ生成する初期染色体生成手段と、
前記初期染色体生成手段において生成した染色体が示す経路を対象にイメージング法によってレイをトレースするレイトレーシング手段と、
前記染色体が示す経路のうち、レイが受信点に到達可能と判断された経路に対しては、受信電力を計算し、レイが受信点に到達不可能と判断された経路に対しては、ダミーの受信電力値を与える受信電力計算手段と、
前記受信電力を染色体における適応度とみなし、各染色体を適応度によりランク付けする適応度評価手段と、
前記適応度評価手段においてランク付けされた染色体が所定の収束条件を満たしているかを判定する収束条件判定手段と、
該収束条件を満たしていない場合には、適応度の高い染色体を優先的に選択した後、遺伝的操作を行なうことにより、新たな染色体を予め定めた個数だけ生成する染色体再生成手段と、
該収束条件を満たしていれば各染色体のレイトレース情報より所定の受信特性を求める受信特性算出手段と、
を具備することを特徴とする電波受信特性推定装置。 - 請求項1の電波受信特性推定装置において、
前記再生成手段において、同一の遺伝子配列を持つ染色体は生成する染色体群の中で唯一となるように制御することを特徴とする電波受信特性推定装置。 - 請求項1または2の電波受信特性推定装置において、
前記適応度評価手段は、染色体の種類の総数Nallを求める手段と、第i回の繰り返し演算までに適応度を計算した染色体の種類の数Ncal (i)をカウントし,その演算率(=Ncal (i)/Nall)を求める手段と、を具備し、前記収束条件判定手段は、前記演算率が所定の割合に達したか否かを収束条件とすることを特徴とする電波受信特性推定装置。 - 請求項1の電波受信特性推定装置であって、
前記受信電力計算手段は、前記光学的現象の回数が1回で受信点に到達する全てのレイをトレースし、各レイの受信電力を求め、前記適応度評価手段は、前記受信電力計算手段で求めた受信電力の大きさにより前記レイをランク付けし、前記染色体再生成手段は、前記適応度評価手段における当該ランクの高いレイが光学的現象を伴う面またはエッジを優先的に選択し、染色体を生成することを特徴とする電波受信特性推定装置。 - 請求項1の電波受信特性推定装置を用いて、複数の受信点における電波受信特性を推定する電波受信特性推定装置であって、
前記複数の受信点のうちの各受信点において、自身に隣接する受信点を探索する探索手段と、
前記自身に隣接する受信点の情報により、推定する受信点の順番を決定する推定順序決定手段と、
を具備し、前記初期染色体生成手段において、前記自身に隣接しかつ既に推定が終了している受信点で得られた最終の染色体に基づいて染色体を生成することを特徴とする複数の受信点における電波受信特性推定装置。 - 染色体を用いたレイトレーシング法により電波の受信特性を推定する電波受信特性推定方法であって、
構造物の面またはエッジを遺伝子とみなし、前記構造物の面またはエッジによる種々の光学的現象を伴って受信点に到達するレイの経路を染色体とみなし、当該染色体を予め定めた個数だけ生成する初期染色体生成ステップと、
前記初期染色体生成ステップにおいて生成した染色体が示す経路を対象にイメージング法によってレイをトレースするレイトレーシングステップと、
前記染色体が示す経路のうち、レイが受信点に到達可能と判断された経路に対しては、受信電力を計算し、レイが受信点に到達不可能と判断された経路に対しては、ダミーの受信電力値を与える受信電力計算ステップと、
前記受信電力を染色体における適応度とみなし、各染色体を適応度によりランク付けする適応度評価ステップと、
前記適応度評価ステップにおいてランク付けされた染色体が所定の収束条件を満たしているかを判定する収束条件判定ステップと、
該収束条件を満たしていない場合には、適応度の高い染色体を優先的に選択した後、遺伝的操作を行なうことにより、新たな染色体を予め定めた個数だけ生成する染色体再生成ステップと、
該収束条件を満たしていれば各染色体のレイトレース情報より所定の受信特性を求める受信特性算出ステップと、
を含むことを特徴とする電波受信特性推定方法。 - 請求項6の電波受信特性推定方法において、
前記再生成ステップにおいて、同一の遺伝子配列を持つ染色体は生成する染色体群の中で唯一となるように制御することを特徴とする電波受信特性推定方法。 - 請求項6または7の電波受信特性推定方法において、
前記適応度評価ステップは、染色体の種類の総数Nallを求めるステップと、第i回の繰り返し演算までに適応度を計算した染色体の種類の数Ncal (i)をカウントし,その演算率(=Ncal (i)/Nall)を求めるステップと、を含み、前記収束条件判定ステップは、前記演算率が所定の割合に達したか否かを収束条件とすることを特徴とする電波受信特性推定方法。 - 請求項6の電波受信特性推定方法であって、
前記受信電力計算ステップは、前記光学的現象の回数が1回で受信点に到達する全てのレイをトレースし、各レイの受信電力を求め、前記適応度評価ステップは、前記受信電力計算ステップで求めた受信電力の大きさにより前記レイをランク付けし、前記染色体再生成ステップは、前記適応度評価ステップにおける当該ランクの高いレイが光学的現象を伴う面またはエッジを優先的に選択し、染色体を生成することを特徴とする電波受信特性推定方法。 - 請求項6に記載された電波受信特性推定方法を用いて、複数の受信点における電波受信特性を推定する電波受信特性推定方法であって、
前記複数の受信点のうちの各受信点において、自身に隣接する受信点を探索する探索ステップと、
前記自身に隣接する受信点の情報により、推定する受信点の順番を決定する推定順序決定ステップと、
を含み、前記初期染色体生成ステップにおいて、前記自身に隣接しかつ既に推定が終了している受信点で得られた最終の染色体に基づいて染色体を生成することを特徴とする複数の受信点における電波受信特性推定方法。
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