JP2006076963A - ピラゾリドン基を有する化合物、それを用いたハロゲン化銀写真感光材料、熱現像感光材および画像形成方法 - Google Patents

ピラゾリドン基を有する化合物、それを用いたハロゲン化銀写真感光材料、熱現像感光材および画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、新規なピラゾリド基を有する化合物を提供し、特にヨウ化銀含量の高いハロゲン化銀乳剤を用いた熱現像感光材料および画像形成方法にして、感度を改善し、かつ低かぶりで現像処理前の感光材料の保存安定性および現像処理後の画像保存安定性を改良することである。
【解決手段】 下記一般式(I)で表される化合物、およびこれを用いたハロゲン化銀写真感光材料、熱現像感光材料、および画像形成方法:
【化1】
Figure 2006076963

(式中、Aは窒素またはリンの4級塩構造を有する基を表し、lは1〜5の整数を表す。Wは連結基を表し、mは0または1を表し、n1は1〜5の整数を表す。Pはピラゾリドン基を表す。ただし、一般式(I)中に少なくとも2つのAを有する。)。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なピラゾリドン基を有する化合物、それを用いたハロゲン化銀写真感光材料、熱現像感光材料および画像形成方法に関するものである。
近年、医療分野や印刷製版分野において環境保全、省スペースの観点から写真現像処理のドライ化が強く望まれている。これらの分野では、デジタル化が進展し、画像情報をコンピューターに取り込み、保存、そして必要な場合には加工し、通信によって必要な場所で、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより感光材料に出力し、現像して画像をその場で作製するシステムが急速に広がってきている。感光材料としては、高い照度のレーザー露光で記録することができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することがが必要とされている。このようなデジタル・イメージング記録材料としては、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像のように診断能力を決定する画質(鮮鋭度、粒状性、階調、色調)の点、記録スピード(感度)の点で、不満足であり、従来の湿式現像の医療用銀塩フィルムを代替できるレベルに到達していない。
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが知られている。特に、熱現像感光材料は、一般に、感光性ハロゲン化銀、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。
熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。その結果、露光領域に黒色の銀画像が形成される。熱現像感光材料は、米国特許2910377号、特公昭43−4924号をはじめとする多くの文献に開示され、また、実用的には医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメージャーFM−DP Lが発売された。
この様な有機銀塩を利用した画像形成システムは、定着工程がないため現像処理後の画像保存性、特に光が当たったときのプリントアウトの悪化が大きな問題であった。このプリントアウトを改良する手段として有機銀塩をコンバージョンすることによって形成したヨウ化銀を利用する方法がUS−6143488号、EP0922995号に開示されている。しかしながらここで開示されたような有機銀塩をヨードでコンバージョンする方法では十分な感度を得ることが出来ず現実のシステムを組むことは困難であった。その他ヨウ化銀を利用した感材としてはWO97−48014号、WO48015号、US−6165705号、特開平8−297345号、特許第2785129号等に記載があるが、いずれも十分な感度・かぶりレベルを達成できていない。
ヨウ化銀写真乳剤の感度を増加させる手段としては、亜硝酸ナトリウム、ピロガロール、ハイドロキノンなどのハロゲン受容体や硝酸銀水溶液への浸漬や、pAg7.5で硫黄増感することなどにより、増感することが知られていた)。しかしながら、これらのハロゲン受容体の増感効果は、本発明が対象とする熱現像感光材料においてはその効果は僅かであり、不十分であった。
熱現像感光材料に用いられる感光性ヨウ化銀の感度を高める手段として吸着基と還元性基を有する化合物を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、熱現像感光材料に要求される性能は、感度だけでなく多くの項目があって、これらを全て満足した総合性能が実現できて始めて実用にはなる。この点から、まだ十分満足できるものはなく、さらに優れた増感技術が要求された。
特開2004−184430
本発明は新規な化合物を提供し、特にヨウ化銀含量の高いハロゲン化銀乳剤を用いた熱現像感光材料および画像形成方法にして、感度を改善し、かつ低かぶりで現像処理前の感光材料の保存安定性および現像処理後の画像保存安定性を改良するものである。
本発明の上記課題は、下記の手段によって達成された。
<1> 下記一般式(I)で表される化合物:
Figure 2006076963
(式中、Aは窒素またはリンの4級塩構造を有する基を表し、lは1〜5の整数を表す。Wは連結基を表し、mは0または1を表し、n1は1〜5の整数を表す。Pはピラゾリドン基を表す。但し、一般式(I)中に少なくとも2つのAを有する。)。
<2> 前記4級塩構造がピリジニウムであることを特徴とする<1>に記載の化合物。
<3> 前記ピラゾリドン基が下記一般式(II)で表される化合物より水素原子を1〜5個除去した基であることを特徴とする<1>または<2>に記載の化合物:
一般式(II)
Figure 2006076963
(式中、Yは水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、Xは水素原子、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基を表し、R10、R11、R12、およびR13は水素原子または置換基を表す。)。
<4> 前記ピラゾリドン基が1−フェニル−3−ピラゾリドン基であることを特徴とする<3>に記載の化合物。
<5> 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の化合物:
一般式(III)
Figure 2006076963
(式中、R14、R15、R16、およびR17はR10、R11、R12、およびR13と同義であり、好ましい範囲も同じである。R18は水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基を表し、n2は0〜4の整数を表す。R19は窒素またはリンの4級塩構造を2つ以上有する基を表す。
<6> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
<7> 支持体の一方面上に、少なくとも、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料であって、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
<8> 前記一般式(I)の化合物の添加量が前記感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6以上1モル以下であることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料。
<9> 前記感光性ハロゲン化銀が沃化銀含有率が40モル%以上のハロゲン化銀を含有することを特徴とする<7>または<8>に記載の熱現像感光材料。
<10> 前記沃化銀含有率が80モル%以上であることを特徴とする<9>に記載の熱現像感光材料。
<11> 前記感光性ハロゲン化銀が平均アスペクト比が2以上の平板状粒子を含有することを特徴とする<7>〜<10>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<12> 前記平均アスペクト比が5以上50以下であることを特徴とする<11>に記載の熱現像感光材料。
<13> 前記平板状粒子の平均球相当直径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする<11>または<12>に記載の熱現像感光材料。
<14> 分光増感剤を含有することを特徴とする<7>〜<13>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料
<15> 前記画像形成層を支持体の両面に有することを特徴とする<7>〜<14>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
<16> <7>〜<15>のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を発光波長が350nm以上420nm以下である蛍光体を含有する蛍光増感スクリーンと密着してX線露光することを特徴とする画像形成方法。
<17> 前記蛍光体が2価のEu賦活蛍光体であることを特徴とする<16>に記載の画像形成方法。
<18> 前記蛍光体が2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体であることを特徴とする<16>または<17>に記載の画像形成方法。
本発明により、新規なピラゾリドン基を有する化合物が提供され、ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像感光材料および画像形成方法が提供され、特にヨウ化銀含量の高いハロゲン化銀乳剤を用いた熱現像感光材料および画像形成方法にして、感度が改善され、かつ低かぶりで現像処理前の感光材料の保存安定性に優れ、かつ現像処理後の画像保存安定性に優れた熱現像感光材料および画像形成方法が提供される。
以下に本発明を詳細に説明する。
1.一般式(I)で表される化合物
まず、本発明の下記一般式(I)で表される化合物について詳しく説明する。
Figure 2006076963
一般式(I)中、Aは窒素またはリンの4級塩構造を有する基を表し、lは1〜5の整数を表す。Wは連結基を表し、mは0または1を表し、n1は1〜5の整数を表す。Pはピラゾリドン基を表す。式中に、少なくとも2つのAを有する。
一般式(I)中、Aはハロゲン化銀への吸着性基として窒素またはリンの4級塩構造を有する。窒素の4級塩構造としては、好ましくはアンモニウム基または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基である。アンモニウム基としては、トリアルキルアンモニウム基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)アンモニウム基、およびアルキルジアリール(またはヘテロアリール)アンモニウム基などが好ましい。アリール基としては、フェニル基等の芳香族炭化水素基が好ましく、ヘテロアリール基としては、フリル基やチエニル基などの芳香族ヘテロ環基が好ましい。アンモニウム基の具体例としては、ベンジルジメチルアンモニウム基、トリヘキシルアンモニウム基、およびフェニルジエチルアンモニウム基などが好ましく挙げられる。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基としては、4〜8員環の含窒素ヘテロ環が好ましく用いられ、これらは単環構造でも縮環構造でもよい。例えばピリジニウム基、イミダゾリウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、ベンゾオキサゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基、ベンゾイミダゾリオピリジニウム基およびイミダゾリウム基などが好ましく挙げられる。また、4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環にさらにメルカプト基が置換して、置換したメルカプト基が解離してメソイオン体を形成しても良く、この様なヘテロ環基の例としてはメルカプト基を置換基として有するイミダゾリウム環基、ピラゾリウム環基、チアゾリウム環基、トリアゾリウム環基、テトラゾリウム環基、チアジアゾリウム環基、ピリジニウム環基、ピリミジニウム環基、およびトリアジニウム環基などが挙げられる。
4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基として、より好ましくは5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基であり、さらに好ましくはピリジニウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、ベンゾオキサゾリウム基、ベンゾチアゾリウム基、ベンゾイミダゾリオピリジニウム基およびイミダゾリウム基であり、特に好ましくはピリジニウム基、キノリニウム基、およびイソキノリニウム基である。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよいが、置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、クロル原子、アルコキシカルボニル基、およびカルバモイル基などが挙げられ、特に好ましくはアリール基である。
リンの4級塩構造としては、好ましくはトリアルキルホスホニウム基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)ホスホニウム基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)ホスホニウム基、およびトリアリール(またはヘテロアリール)ホスホニウム基が挙げられる。アリール基として、好ましくはフェニル基等の芳香族炭化水素基であり、ヘテロアリール基として、好ましくはフリル基やチエニル基などの芳香族ヘテロ環基である。より好ましくは、アルキルジアリールホスホニウム基、およびトリアリールホスホニウム基であり、特に好ましくはトリアリールホスホニウム基である。
Aで表される4級塩構造を有する基としては、好ましくは窒素の4級塩構造を有する基である。窒素の4級塩構造を有する基として、好ましくはヘテロ環基であり、さらに好ましくは芳香族含窒素ヘテロ環基であり、特に好ましくはピリジニウム基である。
一般式(I)の化合物は、前記4級塩構造を分子内に少なくとも2つ有するが、好ましくは2つあるいは3つ有し、さらに好ましくは2つ有する。1分子内の4級塩構造は、互いに同一の構造であっても異なってもよい。
4級塩が対アニオンを有する場合、対アニオンの例としては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオン、アセテートイオン、オキサレートイオン、フマレートイオン、ベンゾエートイオンなどのカルボキシレートイオン、p−トルエンスルホネート、メタンスルホネート、ブタンスルホネート、ベンゼンスルホネートなどのスルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 -、PF6 -、およびPh4-等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等の負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成しても良い。対アニオンとしては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、メタンスルホネートイオン、硫酸イオン、BF4 -、およびPF6 -が好ましく、クロロイオン、ブロモイオンまたはメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
Aで表される基は、さらに置換基を有していても良い。置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、または環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基や活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニウム基、イミダゾリウム基、キノリニウム基、またはイソキノリニウム基)、イソシアノ基、イミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、およびシリル基等が挙げられる。
Wは連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子、およびこれらの組合せから構成される連結基が利用できる。
具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等)、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO2−、−O−、−S−、−NR1−、カルバモイル基、およびアシルアミノ基、およびこれらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここでR1は水素原子、脂肪族基、またはアリール基を表わす。R1で表される脂肪族基は好ましくは、炭素数1〜30のものであって特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−へキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、プロパルギル基、3−ペンチニル基、ベンジル基等)が挙げられる。R1で表されるアリール基は好ましくは、炭素数6〜30、さらに好ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R1で表される上記の置換基はさらに他の任意の置換基を有していてもよい。
Wとして、より好ましくはメチレン基、エチレン基、フェニレン基、カルバモイル基、およびアシルアミノ基であり、特に好ましくはカルバモイル基またはアシルアミノ基である。
Pはピラゾリドン基を表す。ピラゾリドン基とは、下記一般式(II)で表される化合物より水素原子を1〜5個除去した基を表す。
一般式(II)
Figure 2006076963
式中、Yは水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、Xは水素原子、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表し、R10、R11、R12、およびR13は水素原子または置換基を表す。
Yがアルキル基を表す場合、好ましくは総炭素数1〜30、さらに好ましくは総炭素数2〜20の直鎖、分岐、環状のアルキル基であり、例えばブチル、ヘキシル、ベンジル等が挙げられる。
Yがアリール基を表す場合、好ましくは総炭素数6〜30、さらに好ましくは総炭素数6〜20のアリール基であり、例えば、フェニル基またはナフチル基が挙げられる。
Yがヘテロ環基を表す場合、5員〜7員の単環もしくは縮合環の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基を表し、例えばピリジン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ピラゾール環基、インダゾール環基、インドール環基、プリン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、およびキナゾリン環基等が挙げられる。
Yで表される基は、さらに別の置換基で置換されていても良い。
Yは、好ましくはアルキル基またはアリール基であり、より好ましくはアリール基である。
Xは、水素原子、アシル基(例えばアセチル基、クロロアセチル基、またはトリフルオロアセチル基等)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、またはエタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、またはp−クロロフェニルスルホニル基等)、カルバモイル基(例えばN−フェニルカルバモイル基、またはN−メチルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、またはエトキシカルボニル基等)、アルキル基(2−シアノエチル基、または2−フェニルエチル基等)を表し、好ましくは水素原子またはアシル基であり、アシル基がより好ましい。
10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。好ましい置換基は、前述の一般式(I)中のAの置換基として説明したものと同義である。またこの置換基はさらにAが取り得る置換基の中から選ばれる基で置換されていてもよい。
10、R11、R12、およびR13として、より好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基である。
アルキル基としては、炭素数1〜8の低級アルキル基が好ましく、ヒドロキシ基などで置換されても良い。特に好ましいのは、メチル基またはヒドロキシメチル基である。
アリール基としては、フェニル基が好ましく、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素)、アルコキシ基、またはシアノ基などの置換基を有してもよい。特に好ましくは無置換のフェニル基である。
一般式(II)の化合物の具体例として、1−フェニル−3−ピラゾリドン、4,4−ジメチルー1−フェニルー3−ピラゾリドン、4−ヒドロキシメチルー4−メチルー1−フェニルー3−ピラゾリドン、および1,5−ジフェニルー3−ピラゾリドンなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定される物ではない。
1は、1〜5の整数を表し、好ましくは1〜2、より好ましくは1である。
一般式(I)で表される化合物として、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
一般式(III)
Figure 2006076963
式中、R14、R15、R16、およびR17は、R10、R11、R12、およびR13と同義の水素原子または置換基を表し、好ましい範囲も同じである。R18は、水素原子または置換基を表し、置換基の範囲はR10、R11、R12、およびR13と同義である。n2は0〜4の整数を表す。R19は、窒素またはリンの4級塩構造を2つ以上有する置換基を表し、前述の一般式(I)中のAで表される置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(I)で表される化合物として、下記一般式(IV)および(V)で表される化合物も好ましい。
一般式(IV)
Figure 2006076963
一般式(V)
Figure 2006076963
式(IV)中、R20およびR21の少なくとも一方は、窒素またはリンの4級塩構造を2つ以上有する置換基であり、前述の一般式(I)中のAで表される置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。R20またはR21が窒素またはリンの4級塩構造を2つ以上有する置換基でない場合は、R20およびR21は、水素原子または置換基を表し、前述の一般式(III)中のR14〜R17と同義であり、好ましい範囲も同じである。
22およびR23は、水素原子または置換基を表し、一般式(III)中のR14〜R17と同義であり、好ましい範囲も同じである。R22、R23としてより好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基である。アルキル基としては、炭素数1〜8の低級アルキル基が好ましく、ヒドロキシ基などで置換されても良い。さらに好ましいのはメチル基またはヒドロキシメチル基であり、特に好ましいのはメチル基である。アリール基としては、フェニル基が好ましく、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、および沃素)、アルコキシ基、およびシアノ基などの置換基を有してもよい。特に好ましいのは無置換のフェニル基である。R22、R23として特に好ましいのはメチル基またはヒドロキシメチル基であり、最も好ましいのはメチル基である。
24は、R18と同じく水素原子または置換基を表し、n3は0〜5の整数を表す。
式(V)中、R27およびR28の少なくとも一方は、窒素またはリンの4級塩構造を2つ以上有する置換基であり、前述の一般式(I)中のAで表される置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。R27またはR28が窒素またはリンの4級塩構造を2つ以上有する置換基でない場合は、R27およびR28は、水素原子または置換基を表し、前述の一般式(III)中のR14〜R17と同義であり、好ましい範囲も同じである。
25およびR26は、水素原子または置換基を表し、一般式(III)中のR14〜R17と同義であり、好ましい範囲も同じである。R25、R26としてより好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基である。アルキル基としては、炭素数1〜8の低級アルキル基が好ましく、ヒドロキシ基などで置換されても良い。さらに好ましいのはメチル基またはヒドロキシメチル基であり、特に好ましいのはメチル基である。アリール基としては、フェニル基が好ましく、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、および沃素)、アルコキシ基、およびシアノ基などの置換基を有してもよい。特に好ましいのは無置換のフェニル基である。R25、R26として特に好ましいのはメチル基またはヒドロキシメチル基であり、最も好ましいのはメチル基である。
29は、R18と同じく水素原子または置換基を表し、n4は0〜5の整数を表す。
より好ましい一般式(I)で表される化合物は、一般式(III)で表される化合物であって、R35の置換位置がメタ位もしくはパラ位の化合物であり、さらに好ましくはパラ位の化合物である。
本発明の一般式(I)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
本発明の一般式(I)の化合物の分子量は、好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
以下に本発明の一般式(I)の化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006076963
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<合成方法>
上記の化合物は、特開昭61−90153号公報、特開平4−368935号公報及びこれらに引用された公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
<添加方法>
本発明における一般式(I)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤調製時、塗布液調製工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加タイミングとして好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布前である。
本発明における一般式(I)の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加しても、乳化分散物または固体微粒子分散物として添加しても良い。
<添加量>
本発明における一般式(I)の化合物は、画像形成層中に添加するのが好ましいが、画像形成層と共に隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
本発明における一般式(I)の化合物は、ハロゲン化銀1モル当り、1×10-9モル〜5×10-2モル、更に好ましくは1×10-8モル〜1×10-2モルの割合で用いられる。
本発明の4級塩吸着基とピラゾリドン基を有する化合物が高感度で保存かぶりや短時間現像での画像保存性に優れる理由に付いて、詳細は分かっていないが、発明者は以下のように推測している。従来、特開2004−184430などの実施例で用いられているメルカプト吸着基と還元基を持つ化合物は、銀イオンサイトに吸着する化合物であるため、保存中に自身の還元基によってハロゲン化銀を還元し保存かぶりを悪化させる一面も同時に持っていた。これに対して、本発明の4級塩吸着基と還元基を持つ化合物は、正の電荷を持つためハロゲン化銀のハロゲンイオンサイトに吸着していると考えられる。ハロゲン化銀の銀イオンと直接結合していないため、ハロゲン化銀を還元しにくくかぶり核を生成しにくいと考えられる。ハロゲンイオンサイトに吸着すると考えられる色増感を行った時に本発明の効果が顕著に表れたり、AgI結晶のようにAgイオン面とヨウドイオン面が明確に存在するハロゲン化銀に対して本発明の効果が特に顕著に表れることからも本効果は理解できる。また、メルカプト化合物は、現像抑制作用が大きいのに対して、本発明の化合物における吸着基は、現像時にフィラメントを生成する銀サイトを覆っていないために、現像抑制作用が小さく、低温での現像で高感度が得られるのであろうと理解される。
2.熱現像感光材料
本発明の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有している。また、好ましくは画像形成層の上に中間層、表面保護層、あるいはその反対面にバック層やバック保護層などを有してもよい。画像形成層を支持体の両面に有する「両面型熱現像感光材料」も本願では、好ましい。
これらの各層の構成、およびその好ましい成分について詳しく説明する。
(感光性ハロゲン化銀)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀には、特に制限は無いが、ヨウ化銀含有率が40モル%以上と高い組成のものが本発明の好ましい形態の1つである、より好ましくは80モル%以上である。残りは特に制限はなく、塩化銀、臭化銀またはチオシアン酸銀や燐酸銀などの有機銀塩から選ぶことができるが、特に臭化銀、塩化銀であることが好ましい。
粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。
構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。コア部のヨウ化銀含有率が高いコア高ヨウ化銀構造、またはシェル部のヨウ化銀含有率が高いシェル高ヨウ化銀構造も好ましく用いることができる。また、粒子の表面にエピタキシャル部分とした塩化銀や臭化銀を局在させる技術も用いることができる。
本発明がヨウ化銀の場合には、任意のβ相およびγ相含有率を取ることができる。β相とは六方晶系のウルツアイト構造を有する高ヨウ化銀構造を指し、γ相とは立方晶系のジンクブレンド構造を有する高ヨウ化銀構造を指す。ここでいうβ相含有率とは、C.R.Berry(ベリー)により提案された手法を用いて決定されるものである。この手法は、粉末X線回折法でのヨウ化銀β相(100)、(101)、(002)とγ相(111)によるピーク比を元にして決定するもので、詳細については例えば、Physical Review,Volume 161,No.3,p.848−851(1967)を参考にすることができる。
2)粒子サイズ
本発明に用いるハロゲン化銀については、特に制限は無いが高感度を達成するためには必要な十分大きい粒子サイズを選ぶこともできる。本発明においては、好ましいハロゲン化銀の平均球相当直径は0.1μm以上10.0μm以下であり、さらに0.2μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上3.0μm以下であることが最も好ましい。ここでいう球相当直径とは、ハロゲン化銀1粒子の体積と同じ体積の球の直径を意味する。測定方法としては、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積と厚みから粒子体積を求め、その体積と同じ体積の球に換算することにより求めることができる。
3)塗布量
一般に、熱現像後もハロゲン化銀がそのまま残存する熱現像感光材料の場合は、ハロゲン化銀の塗布量を増やすと膜の透明度が低下し画質上好ましくないため、感度を高くしたい要求にもかかわらず、低く制限されていた。しかしながら、本発明の場合には、熱現像処理によって、ハロゲン化銀による膜のヘイズを減少させることもできるので、より多くのハロゲン化銀を塗布することができる。本発明においては、非感光性有機銀塩の銀1モルに対して0.5モル%以上100モル%以下、好ましくは5モル%以上50モル%以下であることがさらに好ましい。
4)平板状粒子の形状および調製方法
本発明におけるハロゲン化銀粒子の形状は特に制限は無いが、より高感度を得る為には平板状粒子が好ましく用いられる。平板状粒子としては、アスペクト比は2以上が好ましく、より好ましくは2以上100以下、さらに好ましくは5以上50以下である。アスペクト比とは粒子1つ1つの投影面積の円相当径を厚みで割った値である。ここで投影面積の円相当径とはハロゲン化銀1粒子の投影面積と同じ面積の円の直径を意味する。測定方法としては、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積から粒子面積を求め、その面積と同じ面積の円に換算することにより求めることができる。好ましいハロゲン化銀の投影面積相当直径は0.2μm以上20.0μm以下であり、さらに0.4μm以上20μm以下、更に好ましくは0.5μm以上15μm以下であることが好ましい。本発明に用いる感光性ハロゲン化銀の粒子厚みは0.3μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。ハロゲン化銀の粒子厚みは、各種方法によって求められるが、例えばレプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して個々の粒子の投影面積の円相当径と厚みを求める方法がある。この場合、厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。エピ平板粒子の厚みはエピタキシャル沈着のために単純にはレプリカの影(シャドー)の長さからは算出できない。しかしながらエピタキシャル沈着する前のレプリカの影の長さを測定することにより算出できる。もしくはエピタキシャル沈着後でもエピタキシャル平板粒子を塗布した試料を切断しその断面の電子顕微鏡写真を撮影して容易に求めることができる。
本発明で用いることが出来るヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀は複雑な形態を取り得るが、好ましい形態は例えば、R.L.JENKINS etal.J of Phot.Sci.Vol.28(1980)のp164−Fig1に示されているような平板状粒子が好ましく用いられる。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第3族〜第11族の金属又は金属錯体を含有することが出来る。好ましくは、第8族〜第10族の金属または金属錯体である。周期律表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、鉄、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[Fe(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(CN)64-、[Co(CN)63-、[Rh(CN)63-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)63-、[Re(CN)63-などが挙げられる。
本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、分子量は、500〜60,000の低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。
7)化学増感
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、未化学増感でもよいが、カルコゲン増感法、金増感法、還元増感法の少なくとも1つの方法で化学増感されるのが好ましい。カルコゲン増感法としては、硫黄増感法、セレン増感法およびテルル増感法が挙げられる。
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いる事が出来る。
具体的には、チオ硫酸塩(例えばハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、NーエチルーN’ー(4ーメチルー2ーチアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、5ーベンジリデン−N−エチルローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4ーオキソーオキサゾリジンー2ーチオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、レンチオニン(1,2,3,5,6−ペンタチエパン))、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。特にチオ硫酸塩、チオ尿素類とローダニン類が好ましい。
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43ー13489号、同44ー15748号、特開平4ー25832号、同4ー109340号、同4ー271341号、同5ー40324号、同5ー11385号、特開平6ー051415号、同5ー230670号、同6ー180478号、同6ー208186号、同6ー208184号、同6ー317867号、同7ー092599号、同7ー098483号、同7ー140579号などに記載されているセレン化合物を用いる事が出来る。
具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,Nージメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニルートリメチルセレノ尿素、アセチルートリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアミド,N,Nージエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニルートリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリーp−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。またさらに、特公昭46ー4553号、同52ー34492号などに記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン酸塩、セレナゾール類、セレニド類なども用いる事が出来る。特に、フォスフィンセレニド類、セレノ尿素類とセレノシアン酸塩が好ましい。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4ー224595号、同4ー271341号、同4ー333043号、同5ー303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いる事が出来る。
具体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチルージイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシージフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーN−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーNーメチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニルーNーベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N’ージメチルエチレンテルロ尿素、N,N’ージフェニルエチレンテルロ尿素)テルロアミド類、テルロエステル類などを用いれば良い。特に、ジアシル(ジ)テルリド類とフォスフィンテルリド類が好ましく、特に特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
特に本発明のカルコゲン増感においてはセレン増感とテルル増感が好ましく、特にテルル増感が好ましい。
金増感においては、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号に記載されている金増感剤を用いることができる。具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレニドなどでありこれらにくわえて、米国特許第2642361号、同5049484号、同5049485号、同5169751号、同5252455号、ベルギー特許第691857などに記載の金化合物も用いることが出来る。またP.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻307105号に記載されている金以外の、白金、パラジュウム、イリジュウムなどの貴金属塩を用いる事も出来る。
金増感は単独で用いることもできるが、前記のカルコゲン増感と組み合わせて用いることが好ましい。具体的には金硫黄増感、金セレン増感、金テルル増感、金硫黄セレン増感、金硫黄テルル増感、金セレンテルル増感、金硫黄セレンテルル増感である。
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-1モル、好ましくは10-7〜10-2モル程度を用いる。
同様に、本発明で用いられる金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-2モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-3モルである。この乳剤を化学増感する環境条件としてはいかなる条件でも選択可能ではあるが、pAgとしては8以下、好ましくは7.0以下より6.5以下、とくに6.0以下、およびpAgが1.5以上、好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上の条件であり、pHとしては3〜10、好ましくは4〜9、温度としては20℃〜95℃、好ましくは25℃〜80℃程度である。
本発明においてカルコゲン増感や金増感に加えて、さらに本発明に含まれない還元増感も併用することができる。とくにカルコゲン増感と併用するのが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボランが好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でもよい。また、乳剤のpHを8以上またはpAgを4以下に保持して熟成することにより還元増感することも好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
還元増感剤の添加量としては、同様に種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-1モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-2モルである。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルフォン酸化合物を添加してもよい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、金増感、カルコゲン増感、の少なくとも1つの方法で化学増感されていることが高感度の熱現像感光材料を設計する点から好ましい。
8)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本発明の感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28〜32頁の表Eおよび表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」または「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開平2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開平2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開平2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開平2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開平2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開平2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開平2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特願平2003−25886号に記載の一般式(1)と同義)、または化学反応式(1)(特願平2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特願平2003−33446号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2006076963
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式中RED1、RED2は還元性基を表す。R1は炭素原子(C)とRED1とともに5員もしくは6員の芳香族環(芳香族複素環を含む)のテトラヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R2は水素原子または置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。L1は脱離基をあらわす。EDは電子供与性基をあらわす。Z1は窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。X1は置換基を表し、m1は0〜3の整数を表す。Z2はは−CR1112−、−NR13−、または−O−を表す。R11、R12はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。R13は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X1はアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。L2はカルボキシ基もしくはその塩または水素原子を表す。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開平2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特願平2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特願平2003−33446号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2006076963
Figure 2006076963
上式中、Xは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはXが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、またはベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。L2はXとYを連結する連結基を表す。R2は水素原子または置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。
2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開平2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素テロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また窒素またはリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基など)または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(またはヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 -、PF6 -、Ph4-等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオンまたはメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
吸着性基として窒素またはリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
Figure 2006076963
一般式(X)においてP、Rはそれぞれ独立して増感色素の部分構造ではない窒素またはリンの4級塩構造を表す。Q1、Q2はそれぞれ独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN−、−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Sはタイプ(1)または(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1または2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
本発明のにおけるタイプ1、タイプ2の化合物は水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する乳剤層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-1モル、更に好ましくは1×10-8〜5×10-2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
以下に本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006076963
Figure 2006076963
Figure 2006076963
Figure 2006076963
Figure 2006076963
9)増感色素
本発明においての好ましいもう1つの形態は、ハロゲン化銀が分光増感されていることである。本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。本発明の熱現像感光材料は特に600nm以上900nm以下、または300nm以上500nm以下に分光感度ピークを持つように分光増感されていることが好ましい。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−023306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
本発明における増感色素の添加量は、感度やかぶりの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
10)ハロゲン化銀の併用
本発明に用いられる熱現像感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
11)ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
本発明の感光性ハロゲン化銀の粒子は、非感光性有機銀塩の存在しないところで形成され、化学増感されることが特に好ましい。有機銀塩に対してハロゲン化剤を添加することによってハロゲン化銀を形成する方法では十分な感度が達成できない場合があるからである。
ハロゲン化銀と有機銀塩を混合する方法としては、別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があげられる。いずれの方法でも本発明の効果を好ましく得ることができる。
12)ハロゲン化銀の塗布液への混合
本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
(有機銀塩)
本発明に用いる非感光性有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。有機銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、これらの混合物などを含む。本発明においては、これら有機銀塩の中でも、ベヘン酸銀含有率50モル%以上100モル%以下の有機酸銀を用いることが好ましい。特にベヘン酸銀含有率は75モル%以上98モル%以下であることが好ましい。
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状でもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1以上3以下、特に好ましくは1以上2以下である。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下であることを指す。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差から求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1号、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、特開2001−163827号、特開2001−163889〜90号、同11−203413号、特開2001−188313号、同2001−083652号、同2002−006442号、特開2002−031870号、特願2000−214155号、特開2002−006442号等を参考にすることができる。
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能である。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1g/m2〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1g/m2〜3g/m2である。特に好ましく1.2g/m2〜2.5g/m2である。
(還元剤)
本発明の熱現像感光材料は、有機銀塩のための還元剤を含む。該還元剤は、銀イオンを金属銀に還元できる任意の物質(好ましくは有機物)でよい。該還元剤の例は、特開平11―65021号、段落番号0043〜0045や、欧州特許0803764号、p.7、34行〜p.18、12行に記載されている。
本発明に用いられる好ましい還元剤は、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤、あるいはビスフェノール系還元剤である。特に次の一般式(R)で表される化合物が好ましい。
一般式(R)
Figure 2006076963
一般式(R)においては、R11およびR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
各置換基について詳細に説明する。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等があげられる。
2)R12およびR12’、X1およびX1
12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
1およびX1’は、各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。
13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。
アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
1およびX1’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
13が水素原子である場合、R12およびR12’は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基である場合、R12およびR12’はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
11、R11’およびR12、R12’とがいずれもメチル基である場合、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合、R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記還元剤は、R11、R11’およびR12およびR12’、およびR13の組合せにより、種々の熱現像性能が異なる。2種以上の還元剤を種々の混合比率で併用することによってこれらの熱現像性能を調製することができるので、目的によっては還元剤を2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006076963
Figure 2006076963
本発明において還元剤の添加量は0.01g/m2〜5.0g/m2であることが好ましく、0.1g/m2〜3.0g/m2であることがより好ましく、画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、10モル%〜40モル%で含まれることがさらに好ましい。
本発明の還元剤は、有機銀塩、および感光性ハロゲン化銀を含む画像形成層、およびその隣接層に添加することができるが、画像形成層に含有させることがより好ましい。
本発明の還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
また、固体微粒子分散法としては、還元剤を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。好ましくは、サンドミルを使った分散方法である。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることができる。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
(現像促進剤)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特開2002−278017号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1モル%〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物がより好ましい。
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
1−NHNH−Q2
(式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。)
一般式(A−1)において、Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
2で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
2で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
2で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
2で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Q2で表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQ1で表される5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Q1としては5員〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Q2はカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
一般式(A−2)
Figure 2006076963
一般式(A−2)においてR1はアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R3、R4はそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。R3とR4は互いに連結して縮合環を形成してもよい。
1は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。R2は好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
3は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。R4は水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はR1と同様である。R4がアシルアミノ基である場合R4はR3と連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
一般式(A−2)においてR3とR4が互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、R1はカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。R2はアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006076963
(水素結合性化合物)
本発明では、還元剤の芳香族性の水酸基(−OH)と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水素結合を形成しうる基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
Figure 2006076963
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006076963
水素結合性化合物の具体例は上述の他に特開2001−281793号、同2001−014438号に記載のものがあげられる。
本発明の水素結合性化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができる。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基を有する化合物と水素結合による錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(A)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の水素結合性化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の水素結合性化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは30モル%〜100モル%の範囲である。
(バインダー)
本発明の有機銀塩含有層のバインダーはいかなるポリマーであってもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
本発明では、有機銀塩を含有する層のバインダーのガラス転移温度は10℃以上80℃以下であることが好ましく、20℃〜70℃であることがより好ましく、23℃以上65℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算される。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。
尚、各モノマーの単独重合体ガラスの転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
バインダーとなるポリマーは単独種で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲に入ることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。
最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。
水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
本発明のバインダーは水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどがあるが、いずれも好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。
これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは乳剤層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P−14;−MMA(63)−EA(35)− AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート、EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸、2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート、St;スチレン、Bu;ブタジエン、AA;アクリル酸、DVB;ジビニルベンゼン、VC;塩化ビニル、AN;アクリロニトリル、VDC;塩化ビニリデン、Et;エチレン、IA;イタコン酸。
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60質量%〜99質量%であることが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−8,14,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。
これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスをバインダーに用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、更には1/5〜4/1の範囲が好ましい。
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲が好ましい。
本発明の画像形成層の全バインダー量は0.2g/m2〜30g/m2、より好ましくは1g/m2〜15g/m2の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
本発明において感光材料の有機銀塩含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。溶媒の水含有率は50質量%以上がより好ましく、さらに好ましくは70質量%以上が良い。
好ましい溶媒組成の具体例を挙げると、水100の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
(かぶり防止剤)
1)有機ポリハロゲン化合物
本発明はかぶり防止剤として下記一般式(H)で表される化合物を含有するのが好ましい。
一般式(H) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。
Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,p.1207−1216等を参考にすることができる。
このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。
σp値としては好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲である。
電子求引性基として好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基、カルボキシル基、アルキルまたはアリールカルボニル基、およびアリールスルホニル基であり、特に好ましくはカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基であり、カルバモイル基が最も好ましい。
Xは、好ましくは電子求引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。
ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2−であり、特に好ましくは−SO2−である。nは、0または1を表し、好ましくは1である。
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006076963
Figure 2006076963
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モル当たり、10-4モル〜0.8モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3モル〜0.1モルの範囲で、さらに好ましくは5×10-3モル〜0.05モルの範囲で使用することが好ましい。
特に、本発明のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀を用いた場合、十分なかぶり防止効果を得るためにはこの一般式(H)の化合物の添加量は重要であり、5×10-3〜0.03モルの範囲で使用することが最も好ましい。
本発明において、一般式(H)で表される化合物を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられる。
一般式(H)で表される化合物の融点は200℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは170℃以下がよい。
本発明に用いられるその他の有機ポリハロゲン化物として、特開平11−65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000−284399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10−339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001−033911号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
2)その他のかぶり防止剤
その他のかぶり防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本発明に用いることのできるかぶり防止剤、安定剤および安定剤前駆体特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物が挙げられる。
本発明における熱現像感光材料はかぶり防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。
アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。
本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行、特開2001−100358号等に記載されている。中でもメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許0803764A1号のp.21,23行〜48行、特開2000−356317号や特願2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロー1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)の組み合わせ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフタラジン、6−クロロフタラジン、5.7−ジメトキシフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジン)が好ましく、特に、ヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀との組み合わせにおいては、フタラジン類とフタル酸類の組み合わせが好ましい。
好ましいフタラジン類の添加量としては、有機銀塩1モル当たり0.01モル〜0.3モルであり、さらに好ましくは0.02〜0.2モル、特に好ましくは0.02〜0.1モルである。この添加量は、本発明のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀乳剤で課題である現像促進にとって重要な要因であり、適正な添加量の選択によって十分な現像性と低いかぶりの両立が可能となる。
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
4)造核剤
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に造核剤を添加することが好ましい。造核剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特開2000−284399号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、造核促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有させることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料で造核剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やかぶりなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1mg/m2〜500mg/m2が好ましく、0.5mg/m2〜100mg/m2がより好ましい。
5)染料、顔料
本発明の感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
(塗布液の調製および塗布)
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
(層構成、および構成成分)
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有することができる。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)または(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)の層として感光材料に設けられる。
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2001−348546号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。
PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。
保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜4.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜5.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を感光性層に対して露光光源から遠い側に設けることができる。アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11−231457号等に記載されている。
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001g/m2〜1g/m2程度である。
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開2001−100363号などに記載されている。このような着色剤は、通常、0.1mg/m2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては感光性層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
4)マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を表面保護層、およびバック層に添加することが好ましい。マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。
マット剤は感光材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1mg/m2〜400mg/m2、より好ましくは5mg/m2〜300mg/m2である。
また、乳剤面のマット度は、画像部に小さな白抜けが生じ、光漏れが発生するいわゆる星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
5)ポリマーラテックス
本発明の表面保護層やバック層にポリマーラテックスを添加することができる。
このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
ポリマーラテックスは、表面保護層、あるいはバック層の全バインダー(水溶性ポリマーおよびラテックスポリマーを含む)の10質量%〜90質量%用いるのが好ましく、特に20質量%〜80質量%が好ましい。
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。
膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
7)硬膜剤
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。
硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊)、77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
8)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132に記載されている。
本発明ではフッ素系界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の好ましい具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載されている化合物が挙げられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明においては、特願2000−206560号記載のフッ素系界面活性剤の使用が特に好ましい。
9)帯電防止剤
また、本発明では、公知の種々の金属酸化物あるいは導電性ポリマーなどを含む帯電防止層を有しても良い。帯電防止層は前述の下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねても良く、また別途設けてもよい。帯電防止層については、特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載の技術を適用することができる。
10)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。
具体的な支持体の例は、特開平11−65021同号段落番号0134に記載されている。
支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。
11)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。特開平11−65021号段落番号0133の記載の溶剤を添加しても良い。各種の添加剤は、感光性層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
12)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを 含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)、399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。
スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
本発明における有機銀塩含有層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。
本発明における有機銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。
また、剪断速度1000S-1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好まく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
13)包装材料
本発明の熱現像感光材料は、使用される前の保存時に写真性能の変質を防ぐため、あるいはロール状態の製品形態の場合にはカールしたり巻き癖が付くのを防ぐために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で密閉包装するのが好ましい。酸素透過率は、25℃で50ml/atm/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm/m2・day以下であり、さらに好ましくは1.0ml/atm/m2・day以下である。水分透過率は、10g/atm/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm/m2・day以下であり、さらに好ましくは1g/atm/m2・day以下である。酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、例えば特開平8−254793号、特開2000−206653号に記載されているものを利用することができる。
14)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特願2000−187298号、特開2001−200414号、同2001−234635号、同2002−020699号、同2001−275471号、同2001−275461号、同2000−313204号、同2001−292844号、同2000−324888号、同2001−293864号、同2001−348546号も挙げられる。
15)カラー画像形成
多色カラー熱現像感光材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。
多色カラー熱現像感光材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各感光性層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
2.画像形成方法
2−1.露光
本発明の熱現像感光材料は、支持体の片面にのみ画像形成層を有する「片面型」であっても、両面に画像形成層を有する両面型であっても良い。
(両面型熱現像感光材料)
本発明の熱現像感光材料は、X線増感スクリーンを用いてX線画像を記録する画像形成方法に好ましく用いることができる。
これらの熱現像感光材料を用いて画像形成する工程は以下の工程よりなる。
(a)該熱現像感光材料を1対のX線増感スクリーンの間に設置することにより像形成用組立体を得る工程、
(b)該組立体とX線源との間に被検体を配置する工程、
(c)該被検体にエネルギーレベルが25kVp〜125kVpの範囲にあるX線を照射する工程、
(d)該熱現像感光材料を該組立体から取り出す工程、
(e)取り出した該熱現像感光材料を90℃〜180℃の範囲の温度で加熱する工程。
本発明における熱現像感光材料は、X線によって階段露光し、熱現像して得られる画像が、光学濃度(D)及び露光量(logE)の座標軸単位長の等しい直交座標上の特性曲線において、最小濃度(Dmin)+濃度0.1の点と最小濃度(Dmin)+濃度0.5の点とで作る平均ガンマ(γ)が0.5〜0.9であり、そして最小濃度(Dmin)+濃度1.2の点と最小濃度(Dmin)+濃度1.6の点とで作る平均ガンマ(γ)が3.2〜4.0である特性曲線を有するように調製されていることが好ましい。本発明のX線撮影系において、このような特性曲線を有する熱現像感光材料を用いると、脚部が非常に延びていて、かつ中濃度部ではガンマの高いといった優れた写真特性のX線画像が得られる。この写真特性により、X線透過量の少ない縦隔部、心陰影等の低濃度域の描写性が良好になり、かつX線透過量の多い肺野部の画像においても視覚し易い濃度となり、またコントラストも良好になるとの利点がある。
上記のような好ましい特性曲線を有する熱現像感光材料は、たとえば、両側の画像形成層のそれぞれを、互いに異なった感度を持つ二層以上のハロゲン化銀乳剤層から構成するような方法で容易に製造することができる。特に、上層には高感度の乳剤を用い、下層には低感度で硬調な写真特性を有する乳剤を用いて、画像形成層を形成することが好ましい。このような二層からなる画像形成層を用いる場合における各層間のハロゲン化銀乳剤の感度差は1.5倍以上20倍以下、好ましくは2倍以上15倍以下である。なお、それぞれの層の形成に用いられる乳剤の量の比率は、用いられる乳剤の感度差およびカバリングパワーにより異なる。一般には、感度差が大きい程、高感度側の乳剤の使用比率を下げる。たとえば、感度差が2倍であるときの好ましい各乳剤の使用比率は、カバリングパワーがほぼ等しい場合には、銀量換算で、高感度乳剤対低感度乳剤として1:20以上1:50以下の範囲の値となるように調製される。
クロスオーバーカット(両面感光材料)とアンチハレーション(片面感光材料)の技術としては、特開平2−68539号公報、第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行 目に記載の染料もしくは染料と媒染剤を用いることができる。
次に、本発明の蛍光増感紙(放射線増感スクリーン)について説明する。放射線増感スクリーンは、基本構造として、支持体と、その片面に形成された蛍光体層とからなる。蛍光体層は、蛍光体が結合剤(バインダ)中に分散されてなる層である。なお、この蛍光体層の支持体とは反対側の表面(支持体に面していない側の表面)には一般に、透明な保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
本発明において、好ましい蛍光体としては、以下に示すものが挙げられる。タングステン酸塩系蛍光体(CaWO4、MgWO4、CaWO4:Pb等)、テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体〔Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)O2S:Tb,Tm等〕、テルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体(YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tb等)、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、LaOBr:Tb、GdOBr:Tb、GdOCl:Tb等)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tm、LaOCl:Tm等)、硫酸バリウム系蛍光体〔BaSO4:Pb、BaSO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体〔(Ba2PO42:Eu2+、(Ba2PO42:Eu2+等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体〔BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFBr:Eu2+,Tb、BaF2・BaCl・KCl:Eu2+、(Ba,Mg)F2・BaCl・KCl:Eu2+等〕、沃化物系蛍光体(CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tl等)、硫化物系蛍光体〔ZnS:Ag(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Al等〕、燐酸ハフニウム系蛍光体(HfP27:Cu等)、YTaO4及びそれに発光中心として各種付活剤を加えたもの。但し本発明に用いられる蛍光体はこれらに限定されるものではなく、放射線の照射によって可視又は近紫外領域の発光を示す蛍光体であれば使用できる。
本発明でより好ましく用いられるX線用蛍光増感スクリーンは、発光光の50%以上が波長350nm以上420nm以下であるものである。特に、その蛍光体が、2価のEu賦活蛍光体であることが好ましく、さらに好ましくは2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体である。発光波長領域は、好ましくは360nm〜420nm、より好ましくは370nm〜420nmである。また、より好ましくは、同領域に70%以上さらに好ましくは85%以上の発光を有する蛍光スクリーンである。
この発光光の割合は、以下の方法によって計算される。すなわち横軸に発光波長を真数で等間隔にとり、発光フォトン数を縦軸にとって発光スペクトルを測定する。このチャート上の350nm以上420nm以下の面積を全発光スペクトルの面積で割った値を350nm以上420nm以下の波長に発光する割合と定義する。このような波長に発光を有することによって本発明の熱現像感光材料との組み合わせで高感度が達成できる。
このような波長域に蛍光体のほとんどの発光光が存在するためには発光光の半値幅は狭い方が好ましい。好ましい半値幅は1nm以上70nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下、さらに好ましくは10nm以上40nm以下である。
このような発光が得られれば使用する蛍光体には特に制限はないが、本発明の目的である高感度化のためには2価のEuを発光中心とするEu賦活蛍光体であることが好ましい本発明はこれに限定されるものではない。
BaFCl:Eu、BaFBr:Eu、BaFI:Euおよびこれらのハロゲン組成を変更したもの、BaSO4:Eu、SrFBr:Eu、SrFCl:Eu、SrFI:Eu、(Sr,Ba)Al2Si28:Eu、SrB47F:Eu、SrMgP27:Eu、Sr3(PO42:Eu、Sr227:Euを用いることが出来る。
より好ましい蛍光体としてはMX12:Euの一般式で表される2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体である。ここでMはBaを主成分とするがMg、Ca,Sr等のその他の化合物を少量好ましく含有することが可能である。X1、X2はハロゲン原子であり、F、Cl、Br、Iの中から任意に選択することが可能である。ここでX1はフッ素であることが好ましい。X2はCl、Br、Iの中から選択することが可能であり、これらのいくつかのハロゲン組成を混在させることも好ましく用いることができる。さらに好ましくはX=Brである。Euはユーロピウムである。発光中心であるEuはBaに対して10-7以上0.1以下の割合で含まれることが好ましい。より好ましくは10-4以上0.05以下である。少量のその他の化合物を混入させることも好ましく行われる。もっとも好ましい蛍光体としては、BaFCl:Eu、BaFBr:Eu、BaFBr1-XX:Euが挙げられる。
蛍光増感スクリーンは、好ましくは支持体、支持体上の下塗り層、蛍光体層、表面保護層より構成される。
蛍光体層は、前記蛍光体の粒子と結合剤樹脂を含有する有機溶剤溶液に分散させて分散液を調製した後、その分散液を支持体(支持体上に光反射層等の下塗層が設けられている場合にはその下塗層)の上に直接塗布、乾燥することにより形成することができる。あるいは、別に用意した仮支持体上にこの分散液を塗布、乾燥して蛍光体シートを形成した後、蛍光体シートを仮支持体から剥がし取って、接着剤を用いてい支持体上に付設してもよい。
蛍光体粒子の粒径に特に制限はなく、通常は約1μm〜15μmの範囲であり、好ましくは約2μm〜10μmの範囲である。蛍光体層中における蛍光体粒子の体積充填率は高い方が好ましく、通常は60%〜85%の範囲にあり、好ましくは65%〜80%の範囲であり、特に好ましくは68%〜75%の範囲である。(蛍光体層における蛍光体粒子の比率は通常は80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。)蛍光体層の形成に用いる結合剤樹脂、有機溶剤及び任意に用いることのできる各種添加剤については、公知の各種の文献に記載されている。蛍光体層の厚みは、目標とする感度に応じて任意に設定することができるが、好ましくはフロント側スクリーンについては70μm〜150μmの範囲であり、バック側スクリーンについては80μm〜400μmの範囲である。なお、蛍光体層のX線吸収率は蛍光体粒子の塗布量によって決定される。
なお、蛍光体層は一層でもよいが、あるいは二層以上から構成してもよい。好ましくは、一層乃至三層であり、より好ましくは一層もしくは二層である。例えば、粒径分布の比較的狭い、粒径の異なる蛍光体粒子からなる層を積層してもよいし、その場合には支持体に近い層ほど粒径が小さくなるようにしてもよい。特に表面保護層側に大粒径の蛍光体粒子を塗布し、支持体側に小粒径の蛍光体粒子を塗布することが好ましく、小粒径のものは0.5μm〜2.0μmで、大粒径のものは10μm〜30μmの範囲が好ましい。また、粒径の異なる蛍光体粒子を混合して蛍光体層を形成してもよいし、あるいは特公昭55−33560号の第3頁左欄3行目〜第4頁左欄39行目に記載されているように、蛍光体粒子の粒径分布が傾斜している構造の蛍光体層であってもよい。通常、蛍光体の粒径分布の変動係数は30〜50%の範囲にあるが、その変動係数が30%以下の単分散の蛍光体粒子も好ましく用いることができる。
蛍光体層を、発光波長に対して染色することによって好ましい鮮鋭度を出すこころみの行われている。ただしできるだけ染色が少ない層設計が好ましく用いられる。蛍光体層の吸収長は好ましくは100μm以上、より好ましくは1000μm以上である。
散乱長は0.1μm以上100μm以下に設計されることが好ましい。より好ましくは1μm以上100μm以下である。散乱長・吸収長は後述するクベルカ・ムンク(Kubelka−Munk)の理論に基づく計算式により算出することができる。
支持体としては、公知の放射線増感スクリーンに用いる各種の支持体の中から目的に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、二酸化チタン等の白色顔料を含むポリマーフィルムもしくはカーボンブラック等の黒色顔料を含むポリマーフィルムが好ましく用いられる。支持体の表面(蛍光体層が設けられる側の表面)には、光反射材料を含有する光反射層などの下塗層を設けてもよい。特開2001−124898号に記載のような光反射層も好ましく用いられる。特に同特許実施例1に記載の酸化イットリウムによる光反射層、同特許実施例4に記載の光反射層は好ましく用いられる。好ましい光反射層としては特開23001−124898号公報の3項右側15行目〜同4項右側23行目までの記載を参考にすることができる。
蛍光体層の表面には表面保護層を設けるのが好ましい。蛍光体の主発光波長において測定される光散乱長が5μm〜80μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10μm〜70μmの範囲であり、特に好ましくは10μm〜60μmの範囲である。ここで、光散乱長は、光が一回散乱するまでに直進する平均距離を表し、散乱長が短いほど光散乱性が高いことを意味する。また、光が吸収されるまでの平均自由距離を表す光吸収長は任意であるが、スクリーン感度の観点からは表面保護層の吸収はない方が減感が少ないため好ましい。散乱不足を補う意味で、極僅かな吸収性を持たせることもできる。吸収長は、好ましくは800μm以上であり、特に好ましくは1200μm以上である。光散乱長および光吸収長は、下記の方法によって測定した測定値を用いてクベルカ・ムンク(Kubelka−Munk)の理論に基づく計算式により算出することができる。
まず、測定対象の表面保護層と同一の組成を有し、互いに層厚が相違する三枚以上のフィルム試料を作製する。次に、各々のフィルム試料の厚み(μm)と拡散透過率(%)とを測定する。拡散透過率は、通常の分光光度計に積分球を付設した装置により測定することができる。本発明における測定では、自記分光光度計((株)日立製作所製、U−3210型)に150φ積分球(150−0901)を付設して用いる。測定波長は、表面保護層を付設する対象の蛍光体層の蛍光体の主発光のピーク波長と一致させる必要がある。次いで、フィルムの厚み(μm)と拡散透過率(%)の測定値とを、クベルカ・ムンクの理論式より導出される下記の式(A)に導入する。式(A)は、例えば「蛍光体ハンドブック」(蛍光体同学会編集、(株)オーム社、1987年刊行)403頁の式5・1・12〜5・1・15から拡散透過率T(%)の境界条件の下に簡単に導くことができる。
Figure 2006076963
ただし、Tは拡散透過率(%)、dはフィルム厚み(μm)であり、αおよびβはそれぞれ下記の式で定義される。
Figure 2006076963
三枚以上のフィルムについて測定したT(拡散透過率:%)及びd(フィルム厚み:μm)をそれぞれ上記の式(A)に導入し、式(A)を満足するKおよびSを算出する。散乱長(μm)は1/Sにより定義され、そして吸収長(μm)は1/Kにより定義される。
表面保護層は、また、光散乱性粒子が樹脂材料中に分散含有された構成であることが好ましい。光散乱性粒子の光屈折率は通常は1.6以上であり、好ましくは1.9以上である。また、光散乱性粒子の粒子径は通常は0.1μm〜1.0μmの範囲にある。このような光散乱性粒子の例としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化ニオブ、硫酸バリウム、炭酸鉛、酸化ケイ素、ポリメチルメタクリレート、スチレン、およびメラミンの微粒子を挙げることができる。
表面保護層を形成するのに用いる樹脂材料については、特段の制限はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、アラミド、フッ素樹脂、ポリエステル等を好ましく用いることができる。表面保護層は、上記の光散乱性粒子を樹脂材料(結合剤樹脂)を含有する有機溶剤溶液に分散させて分散液を調製した後、その分散液を蛍光体層上に(あるいは任意の補助層を介して)直接に塗布、乾燥することにより形成することができる。あるいは別途形成した保護層用シートを接着剤を用いて蛍光体層上に付設してもよい。表面保護層の厚みは、通常は2μm〜12μmの範囲にあり、好ましくは3.5μm〜10μmの範囲である。
さらに、放射線増感スクリーンの好ましい製造方法およびそれに用いる材料については、例えば特開平9−21899号公報の第6頁左欄47行目〜第8頁左欄5行目、特開平6−347598号公報の第2頁右欄17行目〜第3頁左欄33行目、および同公報第3頁左欄42行目〜第4頁左欄22行目に詳しい記載があり、それらを参照することができる。
本発明で用いる蛍光増感紙は、傾斜粒径構造で蛍光体を充填することが好ましい。特に表面保護層側に大粒径の蛍光体粒子を塗布し、支持体側に小粒径の蛍光体粒子を塗布することが好ましく、小粒径のものは0.5μm〜2.0μmで、大粒径のものは10μm〜30μmの範囲が好ましい。
(片面型熱現像感光材料)
本発明における片面型熱現像感光材料は、特に乳房撮影用X線感光材料として用いるのが好ましい。
本目的に用いられる片面型熱現像感光材料は、得られる画像のコントラストを適切な範囲に設計することが重要である。
乳房撮影用X線感光材料としての好ましい構成要件に関しては、特開平5−45807号、特開平10−62881号、特開平10−54900号、特開平11−109564号記載を参考にすることができる。
(片面型熱現像感光材料)
本発明における片面型熱現像感光材料は、特に乳房撮影用X線感光材料として用いるのが好ましい。
本目的に用いられる片面型熱現像感光材料は、得られる画像のコントラストを適切な範囲に設計することが重要である。
乳房撮影用X線感光材料としての好ましい構成要件に関しては、特開平5−45807号、特開平10−62881号、特開平10−54900号、特開平11−109564号記載を参考にすることができる。
(紫外蛍光スクリーンとの組合せ)
本発明の熱現像感光材料を用いた画像形成方法としては、好ましくは400nm以下に主ピークを持つ蛍光体との組み合わせで画像形成する方法を用いることができる。さらに好ましくは380nm以下に主ピークを持つ蛍光体と組み合わせて画像形成する方法が良い。両面感材、片面感材のいずれでも組立て体として用いることができる。400nm以下に主発光ピークであるスクリーンは特開平6−11804号、WO93/01521号に記載のスクリーンなどが使われるがこれに限られるものではない。紫外線のクロスオーバーカット(両面感光材料)とアンチハレーション(片面感光材料)の技術としては、特開平8−76307号公報に記載の技術を用いることができる。紫外線吸収染料としては、特開2001−144030号に記載の染料は特に好ましい。
2−2.熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては90℃〜180℃であり、さらに好ましくは100℃〜140℃である。
現像時間としては1秒〜60秒が好ましく、5秒〜30秒がさらに好ましく、5秒〜20秒が特に好ましい。
熱現像の方式としてはプレートヒーター方式が好ましい。プレートヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒータからなり、かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒータとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒータを2〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。
このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を押さえることもできる。
2−3.システム
露光部および熱現像部を備えた医療用レーザーイメージャーとして富士メディカルドライイメージャー−FM−DPLを挙げることができる。該システムは、Fuji Medical Review No.8,page39〜55に記載されており、それらの技術を利用することができる。また、DICOM規格に適合したネットワークシステムとして富士メディカル(株)が提案した「AD network」の中のレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
3.本発明の用途
本発明の化合物は、一般ハロゲン化銀写真感光材料、および熱現像感光材料に好ましく用いることができる。特に好ましくは、本発明の化合物は、高ヨウ化銀写真乳剤を用いた熱現像感光材料に用いられる。高ヨウ化銀写真乳剤を用いた熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
本発明の化合物を通常のウェット処理のハロゲン化銀写真感光材料に場合、種々の添加剤とともに用いることができる。
これらの添加剤は、より詳しくはリサーチディスクロージャーItem17643(1978年12月)、同Item18716(1979年11月)および同Item308119(1989年12月)に記載されており、その該当個所を下記の表にまとめて示した。
添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119
1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 996頁
2 感度上昇剤 同 上
3 分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 996右〜998右
強色増感剤 649頁右欄
4 増 白 剤 24頁 998右
5 かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄 998右〜1000右
6 光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 1003左〜1003右
フィルター染料、紫外線吸収剤 650頁左欄
7 ステイン防止剤 25頁右欄 650左〜右欄 1002右
8 色素画像安定剤 25頁 1002右
9 硬膜剤 26頁 651頁左欄 1004右〜1005左
10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右
11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 1006左〜1006右
12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左
13 スタチック防止剤 27頁 同 上 1006右〜1007左
14 マット剤 1008左〜1009左
本発明の乳剤ならびにその乳剤を用いた写真感光材料に使用することができる層配列等の技術、ハロゲン化銀乳剤、色素形成カプラー、DIRカプラー等の機能性カプラー、各種の添加剤等、及び現像処理については、欧州特許第0565096A1号(1993年10月13日公開)及びこれに引用された特許に記載されている。以下に各項目とこれに対応する記載個所を列記する。
1.層構成:61頁23〜35行、61頁41行〜62頁14行、
2.中間層:61頁36〜40行、
3.重層効果付与層:62頁15〜18行、
4.ハロゲン化銀ハロゲン組成:62頁21〜25行、
5.ハロゲン化銀粒子晶癖:62頁26〜30行、
6.ハロゲン化銀粒子サイズ:62頁31〜34行、
7.乳剤製造法:62頁35〜40行、
8.ハロゲン化銀粒子サイズ分布:62頁41〜42行、
9.平板粒子:62頁43〜46行、
10.粒子の内部構造:62頁47行〜53行、
11.乳剤の潜像形成タイプ:62頁54行〜63頁5行、
12.乳剤の物理熟成・化学増感:63頁6〜9行、
13.乳剤の混合使用:63頁10〜13行、
14.かぶらせ乳剤:63頁14〜31行、
15.非感光性乳剤:63頁32〜43行、
16.塗布銀量:63頁49〜50行、
17.ホルムアルデヒドスカベンジャー:64頁54〜57行、
18.メルカプト系かぶり防止剤:65頁1〜2行、
19.かぶらせ剤等放出剤:65頁3〜7行、
20.色素:65頁7〜10行、
21.カラーカプラー全般:65頁11〜13行、
22.イエロー、マゼンタ及びシアンカプラー:65頁14〜25行、
23.ポリマーカプラー:65頁26〜28行、
24.拡散性色素形成カプラー:65頁29〜31行、
25.カラードカプラー:65頁32〜38行、
26.機能性カプラー全般:65頁39〜44行、
27.漂白促進剤放出カプラー:65頁45〜48行、
28.現像促進剤放出カプラー:65頁49〜53行、
29.その他のDIRカプラー:65頁54行〜66頁4行、
30.カプラー分散方法:66頁5〜28行、
31.防腐剤・防かび剤:66頁29〜33行、
32.感材の種類:66頁34〜36行、
33.感光層膜厚と膨潤速度:66頁40行〜67頁1行、
34.バック層:67頁3〜8行、
35.現像処理全般:67頁9〜11行、
36.現像液と現像薬:67頁12〜30行、
37.現像液添加剤:67頁31〜44行、
38.反転処理:67頁45〜56行、
39.処理液開口率:67頁57行〜68頁12行、
40.現像時間:68頁13〜15行、
41.漂白定着、漂白、定着:68頁16行〜69頁31行、
42.自動現像機:69頁32〜40行、
43.水洗、リンス、安定化:69頁41行〜70頁18行、
44.処理液補充、再使用:70頁19〜23行、
45.現像薬内蔵感材:70頁24〜33行、
46.現像処理温度:70頁34〜38行、
47.レンズ付フィルムへの利用:70頁39〜41行
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
始めに、本発明の一般式(I)で表される化合物の合成例を示す。
本発明の化合物は公知の方法によって容易に合成することが出来る。
1)化合物例(I−1)の合成
合成スキームは下記の通りである。
Figure 2006076963
(中間体1−cの合成)
ヒドラジン体(1−a)20.5g、ピリジン26ml、ジオキサン270mlの混合液に室温で(1−b)を20.7ml滴下し、その後、4時間加熱還流させた。1日室温で放置した後、水130mlを加え良く攪拌し、析出した結晶を濾過した。収量22g。
(中間体1−dの合成)
(1−c)18.7gをメタノール40mlに懸濁させ、氷冷しながら塩化チオニル14mlを少しずつ滴下した。7時間加熱還流した後に氷水に添加し晶析した。結晶を濾過し、冷メタノールで洗浄した。収量16.8g。
(中間体1−eの合成)
(1−d)16.0gとヒドラジン1水和物25.8gの混合液を50℃で3時間攪拌した。反応液を氷水100mlに添加し攪拌した。析出した結晶を濾過し、水と冷アセトニトリルで洗浄した。収量9.9g。
(中間体1−gの合成)
(1−e)9.0g、5N塩酸5.1ml、エタノール50mlの溶液を氷冷しながら攪拌し、ここにアセチルアセトン(1−f)4.5gを少しずつ滴下した。このまま1時間攪拌した後、析出した結晶を濾過して水と冷エタノールで洗浄した。収量9.6g。
(中間体1−iの合成)
(1−g)20g、3−アミノピリジン(1−h)6g、濃酢酸90ml、ジメチルアセトアミド60mlの混合液を80℃で5時間加熱攪拌した。室温まで冷却の後、酢酸エチルで抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。ロータリーエバポレーターで減圧濃縮すると油状成分が得られ放置すると固化した。収量6.4g。
(中間体1−jの合成)
4−フェニルピリジン15gと1,3−ジブロモプロパン79mlの混合物を140℃で6時間加熱攪拌した。室温まで冷却の後、得られる油状成分を酢酸エチルで洗浄後、続いてアセトニトリルを加えると固化した。粗結晶を濾過、アセトニトリルで洗浄した。収量21g。
(化合物例(I−1)の合成)
中間体(1−i)1.0g、中間体(1−j)1.15g、アセトニトリル15mlの混合液を100℃で8時間攪拌した。生成した固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄した。収量2.0g。
2)化合物例(I−40)の合成
合成スキームは下記の通りである。各工程については基本的に化合物例I−1に順ずる。
Figure 2006076963
(中間体1−lの合成)
ヒドラジン体(1−a)20.5g、ピリジン26ml、ジオキサン270mlの混合液に室温で(1−k)を31.4g添加し、その後、7時間加熱還流させた。1日室温で放置した後、水150mlを加え良く攪拌し、析出した結晶を濾過した。収量27g。
(中間体1−mの合成)
(1−l)20gをメタノール50mlに懸濁させ、氷冷しながら塩化チオニル11mlを少しずつ滴下した。8時間加熱還流した後に氷水に添加し晶析した。結晶を濾過し、冷メタノールで洗浄した。収量15.7g。
(中間体1−nの合成)
(1−m)15.0gとヒドラジン1水和物13.7gの混合液を50℃で6時間攪拌した。反応液を氷水100mlに添加し攪拌した。析出した結晶を濾過し、水と冷アセトニトリルで洗浄した。収量13.2g。
(中間体1−oの合成)
(1−n)10g、濃塩酸3ml、エタノール30mlの溶液を氷冷しながら攪拌し、ここにアセチルアセトン(1−f)4.2gを少しずつ滴下した。このまま2時間攪拌した後、析出した結晶を濾過して水と冷エタノールで洗浄した。収量9.3g。
(中間体1−pの合成)
(1−o)8g、3−アミノピリジン(1−h)5.8g、濃酢酸50ml、ジメチルアセトアミド30mlの混合液を80℃で10時間加熱攪拌した。室温まで冷却の後、酢酸エチルで抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。ロータリーエバポレーターで減圧濃縮すると油状成分が得られ放置すると固化した。収量7.3g。
(中間体1−qの合成)
トリフェニルホスフィン26.2gとα,α’−ジクロロ−p−キシレン17.5gの混合物を140℃で6時間加熱攪拌した。室温まで冷却の後、得られる粗結晶を濾過、酢酸エチルで洗浄後、続いてアセトニトリルで洗浄した。収量20.9g。
(化合物例(I−40)の合成)
中間体(1−p)5.0g、中間体(1−q)5.2g、アセトニトリル80mlの混合液を100℃で12時間攪拌した。生成した固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄した。収量6.1g。
実施例2
(PET支持体の作製)
1)製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作製した。
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
2)表面コロナ処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
3)下塗り
処方(1)(画像形成層側下塗り層用)
・高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 46.8g
・東洋紡績(株)製バイロナールMD−1200 10.4g
・ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5) 1質量%溶液 11.0g
・綜研化学(株)製 MP−1000(PMMAポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
・蒸留水 931ml
処方(2)(バック面第1層用)
・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 130.8g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン質量比=68/32)
・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液
5.2g
・ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
・ポリスチレン粒子分散物(平均粒子径2μm、20質量%) 0.5g
・蒸留水 854ml
処方(3)(バック面側第2層用)
・SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.5μm、17質量%分散物)
84g
・ゼラチン 7.9g
・信越化学工業(株)製 メトローズTC−5(2質量%水溶液) 10g
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
・NaOH(1質量%) 7g
・プロキセル(アビシア社製) 0.5g
・蒸留水 881ml
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(2)をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方(3)をワイヤーバーでウエット塗布量が8.4ml/m2になるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
(バック層)
1)バック層塗布液の調製
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物1を、2.5kg、及び界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)300g、ジフェニルスルホン800g、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0g及び蒸留水を加えて総量を8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実用に供した。
2)染料固体微粒子分散液の調製
シアニン染料化合物−1を6.0kg及びp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB0.6kg、及び消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kgを蒸留水と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で、6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
3)ハレーション防止層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、等電点6.6のゼラチン(ニッピ(株)製ABAゼラチン)37g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに上記染料固体微粒子分散液36g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を73g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液43ml、SBRラテックス(スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体;質量比68.3/28.7/3.0)10質量%液82gを混合し、完成液量773mlのハレーション防止層塗布液とした。完成液のpH値は、6.3であった。
4)バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、等電点4.8のゼラチン(宮城化学工業(株)製PZゼラチン)43g、ベンゾイソチアゾリノン0.21g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの酢酸ナトリウム水溶液8.1ml、単分散ポリ(エチレングリコールジメタクリレート−コ−メチルメタクリレート)微粒子(平均粒子サイズ7.7μm、粒径標準偏差0.3μm)0.93g、流動パラフィンの10質量%乳化物を5g、ヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリットの10質量%乳化物を10g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液10ml、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液17ml、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%溶液を2.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4ml、エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比96.4/3.6)ラテックス20質量%液30mlを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液50mlを混合し、完成液量855mlのバック面保護層塗布液とした。完成液のpH値は6.2であった。
5)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液をゼラチン塗布量が0.54g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.85g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
(画像形成層、中間層、及び表面保護層)
1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン21.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、36℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液C及び溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10-3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.047μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温36℃を49℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10-3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.085μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温36℃を24℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10-3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10-3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.031μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
《塗布液用混合乳剤A〜Gの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。
さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物1,2,3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。次いで、吸着基とピラゾリドン基を有する化合物または比較の化合物として、表1に示した化合物を添加し、塗布液用混合乳剤A〜Gを調製した。
Figure 2006076963
さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水した。塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
2)脂肪酸銀分散物の調製
《脂肪酸銀分散物の調製》
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)87.6kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Aを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Aの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Aのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kg及び水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤−1(2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
《還元剤−2分散物の調製》
還元剤−2(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
6)現像促進剤−2及び色調調整剤−1の分散物調製
現像促進剤−2及び色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
7)ポリハロゲン化合物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
8)フタラジン化合物−1溶液の調製》
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物−1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量%溶液を調製した。
9)メルカプト化合物の調製)
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
10)顔料−1分散物の調製
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調製して顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
11)SBRラテックス液の調製
SBRラテックス(TP−1)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/L、NaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスTP−1を774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
12)イソプレンラテックス液の調製
イソプレンラテックス(TP−2)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/LのNaOHを19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.61gを水40mlに溶解した液を添加し、そのまま6時間撹拌した。この時点でのは重合転化率は固形分測定から90%であった。ここで、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mlに溶解した液をさらに添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、イソプレンラテックスTP−2を1248g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、142ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径113nm、Tg=15℃、固形分濃度41.3質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.4質量%、イオン伝導度5.23mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液−1〜7の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水135ml、顔料−1分散物35g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物19g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物58g、フタラジン化合物−1溶液162g、SBRラテックス(TP−1)液424g、イソプレンラテックス(TP−2)液636g、還元剤−1分散物75g、還元剤−2分散物75g、水素結合性化合物−1分散物53g、現像促進剤−2分散物4.8g、メルカプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合物−2水溶液27mlを順次添加し、塗布直前に塗布液用混合乳剤118gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液した。塗布液用混合乳剤A〜Gに対応して、画像形成層塗布液−1〜7とした。
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で28[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒]においてそれぞれ37、40、38、30、19[mPa・s]であった。
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.32mgであった。
2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、顔料−1分散物163g、、青色染料化合物−1(日本化薬(株)製:カヤフェクトターコイズRNリキッド150)18.5質量%水溶液33g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液27ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水840mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mlを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mlをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mlに溶解し、流動パラフィンの10質量%乳化物を10g、ヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリットの10質量%乳化物を30g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40ml、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
3.熱現像感光材料の作製
バック面と反対の面に下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料1−1〜1−7を作製した。このとき、画像形成層と中間層の塗布液は31℃に、表面保護層第1層の塗布液は36℃に、表面保護層第2層の塗布液は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
ベヘン酸銀 5.11
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.12
ポリハロゲン化合物−2 0.30
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス(TP−1) 3.88
イソプレンラテックス(TP−2) 5.82
還元剤−1 0.43
還元剤−2 0.39
水素結合性化合物−1 0.116
現像促進剤−2 0.02
メルカプト化合物−1 0.002
メルカプト化合物−2 0.010
ハロゲン化銀(Agとして) 0.13
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿した後、膜面を70℃〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
Figure 2006076963
Figure 2006076963
Figure 2006076963
Figure 2006076963
Figure 2006076963
4.写真性能の評価
1)準備
得られた試料は半切サイズ(43cm長×35cm幅)に切断し、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
<包装材料>
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μmよりなるラミネートフィルム:
酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day、
水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・day。
2)感光材料の露光、現像
各試料を富士メディカル(株)ドライレーザーイメージャーFM−DPL(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光、および熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで合計24秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
3)評価項目
(感度)
露光量と対数に対する濃度の特性曲線をプロットし、かぶり+0.5の濃度を与える露光量の逆数で感度を表し試料1−1の感度を100として相対値で示した。値が大きいほど感度が高く好ましい。
(かぶり)
光の当たっていない部分の濃度をかぶりとしDminで表した。
(熱現像温度依存性)
4枚のパネルヒーター現像の温度を108℃−115℃−117℃―117℃に下げ、合計の熱現像時間を24秒に設定して現像したときの感度(S2)と、112℃−119℃−121℃―121℃での感度(S1)との差(ΔS=S1−S2)で表した。ΔSは値が小さいほど低温でも良好な性能が得られるので好ましい。
(熱現像感光材料の生保存性)
上記のように包装した試料を40℃で1ヶ月保存した後、常温に戻し上記と同様な露光および現像を行った。経時後のかぶり(Dmin2)と経時前のかぶり(Dmin1)の差をΔDmin(=Dmin2−Dmin1)として表した。ΔDminは値が小さいほど経時での写真性の変化が少なく好ましい。
4)評価結果
表1に示した結果より、本発明の化合物を用いた熱現像感光材料は、高感であるにも関わらず低かぶりであり、低温現像での感度の下がり幅が小さく保存におけるかぶりの上昇が小さく好ましいことが分かる。また上記生保存時のかぶり上昇や低温現像での感度差はメルカプト吸着基である比較化合物では実現できず、本発明によってのみ実現することが出来る。
実施例3
実施例1と同様の下塗りを行ったPET支持体上に下記バック層の塗布を行った。
1.バック層の塗布
(ハレーション防止層塗布液の調製)
40℃に保温した水に石灰処理ゼラチン32.7g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4μm)0.77g、ベンゾイソチアゾリノン0.08g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.3g、青色染料化合物−1を0.06g、紫外光吸収剤−1を1.5g、アクリル酸/エチルアクリレート共重合ラテックス(共重合比5/95)5.0g、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)1.7gを混合し、1mol/lの水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整し、水にて全体を818mlとし、ハレーション防止層塗布液を調製した。
(バック面保護層塗布液の調製)
40℃に保温した水に石灰処理ゼラチン66.5g、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして5.4g、ベンゾイソチアゾリノン0.10g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム0.5g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.27g、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%水溶液を13.6mL、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合質量比5/95)10.0gを混合し、1mol/Lの水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整し、水で1000mlとしてバック面保護層塗布液とした。
(塗布)
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液をゼラチン塗布量が1.70g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が0.79g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
Figure 2006076963
2.画像形成層、中間層、および表面保護層
2−1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤の調製
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1420mlに1質量%ヨウ化カリウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、40℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え195.6mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム21.8gを蒸留水にて容量218mlに希釈した溶液Bを一定流量で9分間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。
さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム60gを蒸留水にて容量600mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で120分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルフォン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。
N、N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.
3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1、3、4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.038μm、球相当径の変動係数18%の純ヨウ化銀粒子であった。また(001)、{100}、{101}面を有する14面体粒子であり、X線粉末回折分析を用いて測定するとそのγ相の比率は30%であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
反応溶液の温度を60℃に変更し、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5%メタノール溶液5mlを溶液AとBの添加後に添加したこと、pAgを10.5に維持しながら溶液Dをコントロールドダブルジェット法で添加したこと、および化学増感時にテルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10-3モル添加したこと以外は乳剤1と同様にしてハロゲン化銀乳剤2を作製した。
得られたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、投影面積の平均円相当径0.164μm、粒子厚み0.030μm、平均アスペクト比が5、平均球相当径0.11μm、球相当径の変動係数23%の純ヨウ化銀平板状粒子であった。X線粉末回折分析を用いて測定するとそのγ相の比率は80%であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
反応溶液の温度を25℃に変更したこと、pAgを10.2に維持しながら溶液Dをコントロールドダブルジェット法で添加したこと以外はハロゲン化銀乳剤1と全く同様にしてハロゲン化銀乳剤3を作製した。
得られたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.020μm、球相当径の変動係数17%の純ヨウ化銀粒子であった。また(001)、{1(−1)0}、{101}面を有する12面体粒子であり、X線粉末回折分析を用いて測定するとほぼβ相からなる沃化銀であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。
《ハロゲン化銀乳剤11〜13、および21〜23の作製》
ハロゲン化銀乳剤1〜3のそれぞれについて、KBrでコンバージョンを行うことによりそれぞれハロゲン化銀乳剤1,2,3と同サイズでAgIの含有率が85%であるハロゲン化銀乳剤11〜13とAgIの含有率が50%であるハロゲン化銀乳剤21〜23をそれぞれ作製した。
《塗布液用混合乳剤の調製》
ハロゲン化銀乳剤1、ハロゲン化銀乳剤2、およびハロゲン化銀乳剤3を銀モル比として5:2:3になる量を溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。
さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物1,2,3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。次いで、吸着基と還元基を有する化合物を表2の通り添加し、塗布液用混合乳剤A1〜A7を調製した。さらに塗布液用混合乳剤1リットルあたりハロゲン化銀の含有量が銀として15.6gとなるように加水した。
ハロゲン化銀11〜13を用いて、同様にして塗布液用混合乳剤B1〜B3を調製した。
ハロゲン化銀21〜23を用いて、同様にして塗布液用混合乳剤C1〜C3を調製した。
Figure 2006076963
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。
このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
2−2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276mlに顔料−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、フタラジン化合物―1溶液、SBRラテックス(Tg:17℃)液、還元剤−1分散物、還元剤−2分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤Aを添加して良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送液した。
2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、顔料−1分散物272g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
2−3.塗布
支持体のバック面と反対の面に下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。このとき、画像形成層と中間層は31℃に、表面保護層第1層は36℃に、表面保護層第2層は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
ベヘン酸銀 5.00
実施例1の顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
実施例1のポリハロゲン化合物−1 0.09
実施例1のポリハロゲン化合物−2 0.14
実施例1のフタラジン化合物−1 0.18
実施例1のSBRラテックス 9.43
実施例1の還元剤−1 0.51
実施例1の還元剤−2 0.20
実施例1の水素結合性化合物−1 0.28
実施例1の現像促進剤−1 0.025
実施例1の現像促進剤−2 0.020
実施例1の「色調調整剤−1 0.008
実施例1のメルカプト化合物−1 0.002
実施例1のメルカプト化合物−2 0.006
ハロゲン化銀(Agとして) 0.050
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
支持体は塗布前にイオン風にて除電し、塗布はスピード160m/minで行った。塗布乾燥条件は各試料に対して以下の範囲で調整し、もっとも安定した面状が得られる条件に設定した。
コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mm。
減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却。
無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿。
引き続き、膜面を70℃〜90℃になるように加熱し、加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
3.性能の評価
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
<包装材料>
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μmよりなるラミネートフィルム:
酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day、
水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・day。
富士フイルムメディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000の露光部に半導体レーザー光源として日亜化学工業(株)のNLHV3000E半導体レーザーを実装し、ビーム径を100μmに絞った。レーザー光の感光材料面での照度を0および1mW/mm2〜1000mW/mm2の間で変化させて、各試料を10-6秒で露光の行った。レーザー光の発振波長は405nmであった。露光の後、熱現像部の3枚のパネルヒーターを107℃−121℃−121℃に設定し、合計14秒になるように熱現像した。得られた画像の評価を濃度計により行った。
実施例1と同様の評価を行い、表2に示した結果を得た。
熱現像温度依存性は3枚のパネルヒーター現像の温度を103℃−117℃−117℃に下げ、合計の熱現像時間を14秒に設定して現像したときの感度(S2)と、107℃−121℃−121℃での感度(S1)との差(ΔS=S1−S2)で表した。ΔSは値が小さいほど低温でも良好な性能が得られるので好ましい。
表2より明らかなように、高沃化銀乳剤の場合にも本発明の効果は大きく、また、ヨウ化銀含有率が高い場合に、特に本発明の化合物を使用することによって、低温現像時の感度低下が少なく、かつ生保存時のかぶり増加が一段と抑えられることが分かった。
実施例4
以下のようにして、両面型熱現像感光材料を作製した。
1.下塗り支持体の作製
<下塗り処方>
SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.5μm、17質量%分散物) 84g
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 46.8g
東洋紡績(株)製バイロナールMD−1200 10.4g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル(平均エチレンオキシド数=8.5)1質量%溶液 11.0g
綜研化学(株)製 MP−1000(PMMAポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
蒸留水 847ml
実施例1と同様に作製したPET支持体の両面に、上記コロナ放電処理を施した後、上記下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、下塗り支持体を作製した。
2.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
(ハロゲン化銀乳剤31の調製)
−ホスト粒子の作製−
蒸留水1421mlに1質量%ヨウ化カリウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5モル/L硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.5g、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら77℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え218mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で16分かけて全量添加し、溶液BはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて508.2mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で80分かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.5に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
得られた粒子は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径0.58μm、平均投影面積直径の変動係数15.7%、平均厚み0.149μm、平均アスペクト比4.2の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.45μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の30%以上がγ相で存在していた。
−エピタキシャル接合の導入−
上記平板状粒子のAgIホスト粒子を1モル相当量反応容器に入れた。pAgは38℃で測定して10.2であった。次いで、ダブルジェット添加により、0.5モル/LのKBr溶液及び0.5モル/LのAgNO3溶液を10ml/分で20分間にわたって添加し、実質的に10モル%臭化銀をホスト乳剤上にエピタキシャル状に沈殿させた。操作中、pAgは7.2に維持した。さらに、0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調製し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
−化学増感−
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-5モル加えて91分間熟成した。その後、N,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤31を作製した。
(ハロゲン化銀乳剤32の調製)
−ホスト粒子の作製−
蒸留水1421mlに10質量%ヨウ化カリウム溶液8mlを加え、さらにフタル化ゼラチン4.6g、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら77℃に液温を保ち、硝酸銀22.7gに蒸留水を加え223mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で15分22秒かけて全量添加し、溶液BはpAgを9.96に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を0.8ml添加した。さらに、硝酸銀53.1gに蒸留水を加えて520.2mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で80分かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.4に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
得られたホスト粒子は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径0.980μm、平均投影面積直径の変動係数16.3%、平均厚み0.243μm、平均アスペクト比4.2の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.70μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の15%以上がγ相で存在していた。
−エピタキシャル接合の導入−
上記のAgIホスト粒子の1モルを反応容器に入れた。pAgは40℃で測定して9.1であった。次いで、ダブルジェット添加により、1リットル中に0.088モルのKBrと0.038モルのNaClを含有するハロゲン溶液及び0.125モル/リットルのAgNO3溶液を28.7ml/分で31分間にわたって添加し、全銀量の10モル%になる量の塩臭化銀をAgIホスト乳剤上の6点のコーナー部位にエピタキシャル状に沈殿させた。操作中、pAgは7.13に維持した。
さらに、0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調製し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
エピタキシャル部の平均ハロゲン組成は、ハロゲン化銀粒子エピタキシャル部の超薄切片を作製し、フィールドエミッション型の分析電子顕微鏡により求めたところ、臭素80モル%、塩素17モル%、ヨウド3モル%であった。
−化学増感−
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に60℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-5モル加えて91分間熟成した。その後、N,N’−ジヒドロキシ−N”,N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、エピタキシャル接合を有するハロゲン化銀乳剤32を作製した。
(ハロゲン化銀乳剤33の調製)
ハロゲン化銀乳剤31と同様にして、溶液Cと溶液Dを添加する時のpAgを10.0に調整っして、ホスト粒子を調製した。得られたホスト粒子は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径0.815μm、平均投影面積直径の変動係数17.9%、平均厚み0.093μm、平均アスペクト比8.8の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.45μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の30%以上がγ相で存在していた。ハロゲン化銀乳剤31と同様にしてエピタキシャル接合の導入および化学増感を行い、ハロゲン化銀33を調製した。
(ハロゲン化銀乳剤34の調製)
ハロゲン化銀乳剤2と同様にして、溶液Cと溶液Dを添加する時のpAgを10.0に調整っして、ホスト粒子を調製した。得られたホスト粒子は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径1.342μm、平均投影面積直径の変動係数18.3%、平均厚み0.125μm、平均アスペクト比10.5の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.70μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の15%以上がγ相で存在していた。ハロゲン化銀乳剤32と同様にしてエピタキシャル接合の導入および化学増感を行い、ハロゲン化銀34を調製した。
≪塗布液用混合乳剤の調製≫
ハロゲン化銀乳剤31とハロゲン化銀乳剤32、またはハロゲン化銀33とハロゲン化銀34を銀モル比として5:1になる量を60℃で溶解し、表3の通りに分光増感色素1を銀1モル当たり1.3×10-3モル添加して5分間熟成した。38℃に冷却した後ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物化合物1と2と3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。次いで、吸着基と還元基を有する化合物として表3に示す化合物を添加し、塗布溶液混合乳剤を作製した。塗布液用混合乳剤1リットルあたりハロゲン化銀の含有量が銀として15.6gとなるように加水した。
Figure 2006076963
Figure 2006076963
2)還元剤分散物−3の調製
還元剤―3(1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−3分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
2)ヨウ化銀錯形成剤の調製
8kgの変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジンの70質量%水溶液14.28kgを添加し、ヨウ化銀錯形成剤の5質量%溶液を調製した。
3)造核剤分散物の調製
造核剤として化合物No.SH−7を10gに、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−217)2.5gおよび水87.5gを添加してよく攪拌し、スラリーとして3時間放置した。その後、0.5mmのジルコニアビーズ240gをスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)で10時間分散し、造核剤の固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80質量%が0.1μm〜1.0μmで、平均粒径は0.5μmであった。
3.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
脂肪酸銀分散物1000g、水276mlに、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、SBRラテックス(TP−1)液、イソプレンラテックス(TP−2)液、還元剤−3分散物、造核剤分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、ヨウ化銀錯形成剤を添加した後、塗布直前にハロゲン化銀の塗布液用混合乳剤を銀量で脂肪酸銀1モル当たり0.22モル添加し、よく混合して、そのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で25[mPa・s]であった。
レオメトリックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒]においてそれぞれ242、65、48、26、20[mPa・s]であった。
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.52mgであった。
3)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
4.熱現像感光材料の作製
支持体の両面に、下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料3−1〜3−13を作製した。試料Noと塗布液混合乳剤Noとの関係は表3に示した。
塗布液温度については、画像形成層と中間層は31℃に、表面保護層第1層は36℃に、表面保護層第2層は37℃に温度調整した。
片面あたりの塗布銀量は、脂肪酸銀とハロゲン化銀の合計で0.861g/m2であり、両面の画像形成層合計で1.72g/m2であった。
画像形成層における各化合物の片面あたりの総塗布量(g/m2)は以下の通りである。
脂肪酸銀(銀として) 0.655
ポリハロゲン化合物−1 0.028
ポリハロゲン化合物−2 0.094
ヨウ化銀錯形成剤 0.46
SBRラテックス 5.20
SBRラテックス(TP−1) 2.09
イソプレンラテックス(TP−2) 3.13
還元剤−3 0.46
造核剤 0.040
水素結合性化合物−1 0.15
現像促進剤−1 0.005
現像促進剤−2 0.035
色調調整剤−1 0.002
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.177
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
・支持体は塗布前にイオン風にて除電し、塗布はスピード160m/minで行った。塗布乾燥条件は各試料に対して以下の範囲で調整し、もっとも安定した面状が得られる条件に設定した。
・コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mm。
・減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定。
・引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却。
・無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥。
・乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿。
・引き続き、膜面を70℃〜90℃になるように加熱し、加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で250秒であった。また、膜面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
Figure 2006076963
5.性能の評価
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%RHの環境下で以下の実施例1と同様の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
1)評価方法
<露光>
富士フイルム(株)製のXレイレギュラースクリーンHI−B3(発光ピーク波長425nm)を2枚使用して、その間に上記試料を挟み、像形成用組立体を作製した。この組立体に、0.05秒のX線露光を与え、X線センシトメトリーを行った。使用したX線装置は、東芝(株)製の商品名DRX−3724HDであり、タングステンターゲットを用いた。三相にパルス発生器で80kVpの電圧をかけ、人体とほぼ等価な吸収を持つ水7cmのフィルタを通したX線を光源とした。距離法にてX線露光量を変化させ、logE=0.15の幅でステップ露光を行なった。
<熱現像>
富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DPLの熱現像部を改造し、両面から加熱できるようにした熱現像機を製作した。また、熱現像部の搬送ローラーをヒートドラムに変更することによりフィルムシートの搬送が可能になるように改造した。4枚のパネルヒーターを112℃−119℃−119℃−121℃に設定し、ヒートドラムの温度は120℃に設定した。搬送速度を調整して熱現像時間が24秒になるようにした。また、温度条件を109℃−116℃−116℃−118℃に設定して、熱現像時間24秒の条件での熱現像も行ない、実施例1と同様の現像温度依存性の評価を行った。
得られた結果を表3に示した。その結果、実施例1と同様に本発明の化合物は特開2004−184430号明細書におけるメルカプト化合物に対して、感度の上昇幅やかぶりに対してはほぼ同等であるものの、保存時のかぶり増加及及び低温処理での感度変動が少なく、優れていることが分かった。また、増感色素を使用した場合やアスペクト比の高い粒子を用いた場合には、本発明の効果がさらに顕著に現れることが分かった。これはメルカプト化合物では達成できない効果であって、本発明の化合物の優位性を示すものである。
実施例5
実施例4で用いたH1−B3スクリーンの代わりに下記に示した蛍光増感スクリーンAを用いて実施例4で調製した塗布試料を露光したところ、実施例4と同様に保存時のかぶり増加が少なく,かつ熱現像温度依存性における感度変化が小さいことが分かった。
(蛍光増感スクリーンAの作製)
1)下塗り層の作製
特開2001−124898号公報の実施例4と同様にして、250μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)上にアルミナ粉体よりなる乾燥後の膜厚が50μmの光反射層を形成した。
2)蛍光体シートの製造
BaFBr:Eu蛍光体(平均粒径3.5μm)250g、ポリウレタン系バインダー樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:パンデックスT5265M)8g、エポキシ系バインダー樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名:エピコート1001)2g、およびイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートHX)0.5gをメチルエチルケトンに加え、プロペラミキサーで分散して、粘度が25PS(25℃)の蛍光体層形成用塗布液を調製した。この塗布液を仮支持体(予めシリコーン系離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレートシート)の表面に塗布し、乾燥して蛍光体層を形成した。この蛍光体層を仮支持体から剥がし取って蛍光体シートを得た。
3)光反射層上への蛍光体シートの付設
前記の工程1)で製造した光反射層付き支持体の光反射層の表面に、上記の蛍光体シートを重ね、カレンダロールにて、圧力400kgw/cm2、温度80℃の条件で加圧し、光反射層上に蛍光体層を設けた。得られた蛍光体層の厚みは125μmであり、蛍光体層中の蛍光体粒子の体積充填率は68%であった。
4)表面保護層の形成
厚み6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)の片面にポリエステル系の接着剤を塗布し、ラミネート法で蛍光体層上に表面保護層を設けた。このようにして、支持体、光反射層、蛍光体層および表面保護層からなる蛍光増感スクリーンAを得た。
5)発光特性
40kVpのX線で測定した蛍光増感スクリーンAの発光スペクトルを図1に示した。
蛍光増感スクリーンAは、390nmにピークをもつ半値幅の狭い発光を示した。
実施例6
実施例2と同様の比較を、特開平11−305369の実施例1のカラーネガ感材の系、特開平7−92601号、同11−160828号の実施例1のカラー反転感材の系、特開平6−347944号の実施例1のカラーペーパー感材の系、特開2000−284442号の実施例1のインスタント感材の系、特開平8−292512号の実施例1の印刷感材の系、特開平8−122954号の実施例1のXレイ感材の系で評価して行った。その結果、実施例1と同様の効果を示した。
蛍光増感スクリーンAの発光スペクトルを示す。

Claims (18)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物:
    Figure 2006076963
    (式中、Aは窒素またはリンの4級塩構造を有する基を表し、lは1〜5の整数を表す。Wは連結基を表し、mは0または1を表し、n1は1〜5の整数を表す。Pはピラゾリドン基を表す。但し、一般式(I)中に少なくとも2つのAを有する。)。
  2. 前記4級塩構造がピリジニウムであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 前記ピラゾリドン基が下記一般式(II)で表される化合物より水素原子を1個〜5個除去した基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物:
    一般式(II)
    Figure 2006076963
    (式中、Yは水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、Xは水素原子、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基を表し、R10、R11、R12、およびR13は水素原子または置換基を表す。)。
  4. 前記ピラゾリドン基が1−フェニル−3−ピラゾリドン基であることを特徴とする請求項3に記載の化合物。
  5. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の化合物:
    一般式(III)
    Figure 2006076963
    (式中、R14、R15、R16、およびR17はR10、R11、R12、およびR13と同義であり、好ましい範囲も同じである。R18は水素原子またはベンゼン環に置換し得る置換基を表し、n2は0〜4の整数を表す。R19は窒素またはリンの4級塩構造を2つ以上有する基を表す。)。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  7. 支持体の一方面上に、少なくとも、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、銀イオンのための還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料であって、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
  8. 前記一般式(I)の化合物の添加量が前記感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6以上1モル以下であることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料。
  9. 前記感光性ハロゲン化銀が沃化銀含有率が40モル%以上のハロゲン化銀を含有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の熱現像感光材料。
  10. 前記沃化銀含有率が80モル%以上であることを特徴とする請求項9に記載の熱現像感光材料。
  11. 前記感光性ハロゲン化銀が平均アスペクト比が2以上の平板状粒子を含有することを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  12. 前記平均アスペクト比が5以上50以下であることを特徴とする請求項11に記載の熱現像感光材料。
  13. 前記平板状粒子の平均球相当直径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の熱現像感光材料。
  14. 分光増感剤を含有することを特徴とする請求項7〜請求項13のいずれか1項に記載の熱現像感光材料
  15. 前記画像形成層を支持体の両面に有することを特徴とする請求項7〜請求項14のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  16. 請求項7〜請求項15のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を発光波長が350nm以上420nm以下である蛍光体を含有する蛍光増感スクリーンと密着してX線露光することを特徴とする画像形成方法。
  17. 前記蛍光体が2価のEu賦活蛍光体であることを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
  18. 前記蛍光体が2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体であることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の画像形成方法。
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