JP2006073084A - 光ディスク装置、フォーカスバイアス及び球面収差補正値調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フォーカスバイアスと球面収差補正値とを変化させながらフォーカスバイアスの最適値を求める際に、RF信号振幅を最大とするフォーカスバイアスの値と共に、トラバース時のプッシュプル信号が最大となるフォーカスバイアスの値を求める。その上で、これらのフォーカスバイアス値に対する所要の演算を行って算出したフォーカスバイアス値を記録再生時のフォーカスバイアス値として設定する。これにより非点収差が生じる場合において、例えばRF信号振幅のみに基づいて最適なフォーカスバイアスを求める場合よりも適正なフォーカスバイアス値を設定することができる。
【選択図】図5
Description
更に近年、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
そして、記憶容量としては、直系12cmのディスクに23.3GB(ギガバイト)程度を確保することが可能とされる。
また、記録層を例えば2層構造とすることで、容量は上記の約2倍となる46.6GB程度を得ることができる。
フォーカスサーボに関しては、フォーカスループに適正なフォーカスバイアスを加えることが適正なサーボ動作のために必要であることが知られている。
フォーカスバイアス調整の手法については、例えば上記特許文献3が知られている。
また球面収差調整の手法については、例えば上記特許文献4が知られている。
さらに、フォーカスバイアス/球面収差を同時に調整する手法が上記特許文献5に開示されている。
そして、このように検出されたフォーカスバイアスと球面収差補正値とを設定して信号の記録再生を行うようにされている。
この図7では、横軸が非点収差量を示し、縦軸がフォーカスバイアスの値を示している。
また、図中の白抜き四角は、或る非点収差量のときにRF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスの値を示し、黒丸は、或る非点収差量のときにプッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスの値を示している。
先ず、図中A点では、非点収差量が0のときを示している。この場合、図示するようにRF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスの値と、プッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスの値とは、フォーカスバイアス値FB0で一致することになる。
つまり、このことから、光学系に非点収差がないときは、上記フォーカスバイアスFB0の値の設定によってRF信号とプッシュプル信号の双方の振幅レベルを最大に得ることができる。換言すれば、このフォーカスバイアスFB0は、最適値であることの2つの条件を同時に満たすものであることから、最適なフォーカスバイアスであるということができる。
そして、このような最適値としてのフォーカスバイアスFB0を得るにあたっては、上記説明から理解されるようにRF信号振幅が最大となる条件、或るはプッシュプル信号振幅が最大となる条件のいずれかとすればよく、従ってこのように非点収差がない場合には、従来のとおりRF信号振幅が最大となる条件の設定によって最適なフォーカスバイアスを得ることができるものである。
つまり、B点の非点収差量のとき、RF信号振幅が最大となるフォーカスバイアス値は図中FB1となる。一方、プッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアス値は図示するFB2となる。
このことから、光学系に非点収差が生じている場合は、RF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスを設定したとしてもプッシュプル信号振幅は最大とはならず、また、プッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスを設定したとしてもRF信号振幅は最大とはならないことになる。
従って、光学系に非点収差がある場合では、RF信号振幅とプッシュプル信号振幅とのいずれかを基準として得たフォーカスバイアスは、最適なフォーカスバイアスではないことの可能性が高いことがわかる。
このため、本発明では光ディスク装置として以下のように構成することとした。
つまり、先ず、光ディスク記録媒体を回転駆動する回転駆動手段と、少なくともデータの読出のために、上記光ディスク記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うとともに、レーザ光のフォーカスサーボ機構、トラッキングサーボ機構、及び球面収差補正機構を有するヘッド手段とを備える。
また、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号からRF信号を生成するRF信号生成手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号からプッシュプル信号を生成するプッシュプル信号生成手段とを備える。
また、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるフォーカスエラー信号に基づいて上記フォーカスサーボ機構を駆動してフォーカスサーボを実行するフォーカスサーボ手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるトラッキングエラー信号に基づいて上記トラッキングサーボ機構を駆動してトラッキングサーボを実行するトラッキングサーボ手段とを備える。
また、球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段と、上記フォーカスサーボ手段を含むフォーカスループにフォーカスバイアスを加算するフォーカスバイアス手段とを備える。
その上で、以下の各処理を実行する制御手段を備える。
すなわち、上記フォーカスバイアス手段に設定されるフォーカスバイアスと上記球面収差補正手段に設定される球面収差補正値の双方を変化させながらデータ再生を行った結果に基づき、上記RF信号生成手段により得られたRF信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスと球面収差補正値の組を割り出す第1の割出処理を実行する。
また、上記第1の割出処理により割り出した球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定された状態で、少なくとも上記トラッキングサーボ手段によるトラッキングサーボをオフとし、上記フォーカスバイアス手段に設定されるフォーカスバイアスを段階的に変化させながら上記回転駆動手段により上記光ディスク記録媒体を回転駆動させた際に、上記プッシュプル信号生成手段により得られたプッシュプル信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスを割り出す第2の割出処理を実行する。
さらに、上記第1の割出処理より割り出したフォーカスバイアスと、上記第2の割出処理により割り出したフォーカスバイアスとに基づいた所要の演算処理を行うことによって、最適とされるフォーカスバイアスの値を算出する算出処理と、上記算出処理により算出した値によるフォーカスバイアスと、上記第1の割出処理により割り出した上記球面収差補正値とを、上記フォーカスバイアス手段と上記球面収差補正手段とに設定するように制御を行う設定制御処理とを実行するものである。
つまり、光ディスク記録媒体に対する少なくとも信号の再生が可能とされ、フォーカスバイアスと球面収差補正値とを可変設定可能な光ディスク装置におけるフォーカスバイアス及び球面収差補正値調整方法として、先ず、フォーカスバイアスと球面収差補正値の双方を変化させながらデータ再生を行った結果に基づき、RF信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスと球面収差補正値の組を割り出す第1の割出手順を備える。
また、上記第1の割出手順により割り出した球面収差補正値が設定された状態で、少なくともトラッキングサーボをオフとし、フォーカスバイアスを段階的に変化させながら上記光ディスク記録媒体を回転駆動させた際に得られたプッシュプル信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスを割り出す第2の割出手順を備える。
また、上記第1の割出手順より割り出したフォーカスバイアスと、上記第2の割出手順により割り出したフォーカスバイアスとに基づいた所要の演算処理を行うことによって、最適とされるフォーカスバイアスの値を算出する算出手順と、さらに、上記算出手順により算出した値によるフォーカスバイアスと、上記第1の割出手順により割り出した上記球面収差補正値とを設定するように制御を行う設定制御手順を備えるものである。
つまり、RF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスと、トラバース状態でのプッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスとに基づいて算出されたフォーカスバイアスが、最適とされるフォーカスバイアスとして設定されるものである。
このようにして、RF信号振幅とプッシュプル信号振幅との双方を基準としたフォーカスバイアスが設定されることで、非点収差が生じる場合にもより適正なフォーカス状態を得ることができる。
そして、このように非点収差による信号の記録再生品質の低下を抑制することができれば、その分非点収差に対する許容値は大きくすることができ、これによって製品の歩留まりを高めることが可能となって製品の低コスト化が図られる。
図1に実施の形態の光ディスク装置の構成を示す。
先ず、ディスク1は、例えば相変化方式でデータの記録を行う光ディスク(ライタブルディスク)であるとする。またディスク上にはウォブリング(蛇行)されたグルーブが形成され、このグルーブが記録トラックとされる。グルーブのウォブリングによってはいわゆるADIP情報としてアドレス情報などが埋め込まれている。
なお、エンボスピットによりデータが記録される再生専用ディスクがディスク1として装填される場合もある。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)51によってディスク1上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。
また記録時には光学ピックアップ51によってトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたフェイズチェンジマークの読出が行われる。
レーザダイオードは、例えば波長405nmのいわゆる青色レーザを出力するものとされる。また光学系によるNAは0.85である。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51におけるレーザダイオードはレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号又はRF信号ともいう)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
また、特に実施の形態の場合、プッシュプル信号は後述するシステムコントローラ60に対しても供給される。
変復調回路56は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ57は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ57で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ60の指示に基づいて、読み出され、AV(Audio-Visual)システム120に転送される。
アドレスデコーダ59は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ60に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路56においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路55に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
レーザドライバ63では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ51内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク1に記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
記録時及び再生時のレーザー出力の目標値(記録レーザパワー/再生レーザパワー)はシステムコントローラ60から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、サーボ回路61、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ62のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、システムコントローラ60からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
システムコントローラ60は、AVシステム120からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム120に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路55、変復調回路56、ECCエンコーダ/デコーダ57におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図1とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば再生専用装置としての例も考えられる。
なお、図2においては、ピックアップ51内の光学系の構成を示している。
図2において、半導体レーザ(レーザダイオード)81から出力されるレーザ光は、コリメータレンズ82で平行光とされ、ビームスプリッタ83を透過して、球面収差補正レンズ群としての可動レンズ87、固定レンズ88を介して進行し、対物レンズ84からディスク1に照射される。なお球面収差補正レンズ群87,88についてはエキスパンダと呼ばれる。可動レンズ87を駆動することで球面収差補正が行われることから、以下、特にエキスパンダ87と表記する場合がある。
また球面収差補正レンズ87,88は、レーザ光の波面をデフォーカスする機能を持つ。即ち可動レンズ87はアクチュエータ90によって光軸方向であるJ方向に移動可能とされており、この移動によって、対物レンズ84の物点を調整する。
つまり、アクチュエータ90に対して前後移動を実行させる制御を行うことで、球面収差補正を実行させることができる。
即ち、半導体レーザ81から対物レンズ84までの光路中において挿入した液晶パネルにおいて、レーザ光を透過させる領域と遮蔽する領域の境界を可変調整することで、レーザ光の径を可変して球面収差補正を行うものである。
この場合には、液晶パネルを駆動する液晶ドライバに対して、透過領域を可変させるように制御を行うことになる。
図3において、図1に示したマトリクス回路54からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEは、サーボ回路61内において、それぞれA/D変換器11,21によりデジタルデータに変換されてDSP10に入力される。
DSP10には、フォーカスサーボ演算部12,トラッキングサーボ演算部22としての機能が備えられている。
フォーカスサーボ演算部12では、デジタルデータとされて入力されるフォーカスエラー信号FEに対して位相補償等のためのフィルタリングやループゲイン処理などの所定の演算を行ってフォーカスサーボ信号を生成して出力する。フォーカスサーボ信号は、D/A変換器13でアナログ信号に変換された後(PWMやPDMなども含む)、フォーカスドライバ14へ入力され、フォーカスアクチュエータを駆動する。即ち光ピックアップ51において対物レンズ84を保持する二軸機構91のフォーカスコイルに電流を印加し、フォーカスサーボ動作を実行させる。
加算器15はフォーカスエラー信号FEにフォーカスバイアスを加算する。加算するフォーカスバイアス値はフォーカスバイアス設定部16に設定されている。フォーカスバイアス設定部16が、後述する調整処理で設定されたフォーカスバイアス値を出力することで、フォーカスサーボループに適正なフォーカスバイアスが加算されるものとなる。
球面収差補正ドライバ26は、例えば図2のような球面収差補正機構の場合は、エキスパンダ87を移動させるアクチュエータ90に駆動信号Sdを供給する回路とされる。或いは、液晶パネルを用いた球面収差補正機構の場合は、液晶ドライバに対して、液晶パネルの所要のセルに電圧印加を指示する信号Sdを供給する回路とされる。
従って、球面収差補正ドライバ26が、球面収差補正値設定部20から供給された球面収差補正値に基づいて、ピックアップ51内の球面収差補正機構を駆動する構成となる。
設定部17は、フォーカスバイアス設定部16での設定値や球面収差補正値設定部20の設定値を設定する。例えば不揮発性メモリ18に記憶された値に設定したり、システムコントローラ60からの指示に応じて各設定値の変更を行う。
但し、先にも説明したようにフォーカスバイアスについて最適値に調整しようとする場合、例えば従来のようにRF信号振幅が最大となることのみを条件とすることでは、光学系に非点収差が生じている場合に適正なフォーカスバイアスを得ることができなくなってしまう可能性がある。
つまり、先の図7においても説明したように、非点収差が生じている場合は、RF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスの値と、プッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスの値とが異なるものとなり、RF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスを設定したとしてもプッシュプル信号振幅は最大とはならず、また、プッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスを設定したとしてもRF信号振幅は最大とはならないことになる。
この場合、プッシュプル信号振幅としても、RF信号振幅と同様にフォーカスバイアス値として最適な値が得られているか否かを判断する上での基準となるものである。従って、上記のようにRF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスとプッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスとが異なるということは、光学系に非点収差がある場合は、RF信号振幅とプッシュプル信号振幅とのいずれかを基準として得たフォーカスバイアスは最適なフォーカスバイアスでないことの可能性が高い、ということになるものである。
この図4において、図4(a)ではフォーカスバイアスを縦軸、球面収差補正値を横軸にとった場合のRF信号振幅の特性を等高線により示し、図4(b)では同じくフォーカスバイアスを縦軸、球面収差補正値を横軸にとった場合の、トラバース状態でのプッシュプル信号振幅の特性を等高線により示している。
すなわち、図4(a)に示されるRF信号振幅特性としては、中央部から楕円の略同心円上に裾野が広がる特性が得られる。
また、図4(b)に示されるプッシュプル信号振幅特性としては、図のように対角線付近の帯状の領域が最も高レベルの領域とされ、この領域から両サイドに裾野が広がるような特性が得られるものとなる。
その手法としては、図4(a)にYと示すフォーカスバイアスの値と、Xと示す球面収差補正値とをそれぞれ段階的に変化させながら、各段階で得られるRF信号の振幅レベルについて検出する。そして、このように検出されたRF信号振幅が最大となったフォーカスバイアスと球面収差補正値の組を割り出す。
そして、このように格納されたフォーカスバイアスの1段階目の値の設定の下で、球面収差補正値を5段階変化させて各段階にて得られるRF信号の振幅レベルを検出する。さらに、これら各RF信号振幅レベルの情報を、そのとき設定されたフォーカスバイアスの値と球面収差補正値の情報とに対応づけて記憶する。
この動作をフォーカスバイアスの残り4段階分の値について同様に行うことで、フォーカスバイアスの値と球面収差補正値とをそれぞれ5段階変化させた計25通りのRF信号の振幅レベルを検出し、同様に設定された各値と対応づけて記憶する。
なお、以下ではこのようにして割り出されたフォーカスバイアスの値については、フォーカスバイアス値FBaと呼ぶこととする。また、同じく球面収差補正値については球面収差補正値SAaと呼ぶ。
図4(a)では、それぞれYとXとにより示したフォーカスバイアス値と球面収差補正値とが、このように割り出されたフォーカスバイアスFBaと球面収差補正値SAaのときの状態を示している。
先ず、ここでのフォーカスバイアスの割り出しを行うにあたっては、上記のようにして割り出された球面収差補正値SAaを球面収差補正値設定部20に設定する。すなわち、この場合は球面収差補正値は固定として、フォーカスバイアスの値のみを段階的に変化させていく。
この場合もフォーカスバイアスの設定値は、例えば5段階変化させる。そして、このようにフォーカスバイアスの設定値を変化させながら、各段階で得られるトラバース状態でのプッシュプル信号振幅レベルを検出する。
従って、上記した動作を具体的に言うと、このようにトラッキングサーボをオフとしてディスク1を回転駆動させた状態でフォーカスバイアスの設定値を段階的に変化させていった際に、各段階にて得られるプッシュプル信号の振幅レベルを検出する、ということになる。
そして、このような動作によって各段階にて得られたプッシュプル信号振幅レベルの情報を、フォーカスバイアスの各設定値と対応づけて記憶する。
その上で、このように記憶された情報に基づいてプッシュプル信号振幅が最大となったフォーカスバイアスの値を割り出す。
なお、このようにプッシュプル信号振幅に基づいて割り出されたフォーカスバイアスの値については、以下フォーカスバイアス値FBbと呼ぶ。
また、この場合も図4(b)では、図中Yと示したフォーカスバイアスがこのフォーカスバイアス値FBbのときの状態が示されている。
そして、一方のフォーカスバイアスについては、フォーカスバイアス値FBaとフォーカスバイアスFBbとに基づいて算出した値を設定するものとしている。
具体的には、フォーカスバイアス値FBaとフォーカスバイアスFBbとをそれぞれ所定の係数により重み付けした上で、それらの平均値を算出する。すなわち、
(フォーカスバイアスFBa×係数α+フォーカスバイアスFBb×係数β)/2
による演算を行う。
そして、この演算により得られたフォーカスバイアス値FBcを、記録再生時のフォーカスバイアスFBcとして設定するものとしてる。
そして、これにより、非点収差が生じる場合の記録再生品質の低下を抑制することができるものである。
このことから、フォーカスバイアスFBaとフォーカスバイアスFBbとの重み付けの比は、このようなディスク1の線密度、トラック密度(すなわちディスク1のメディア種別ごと)に応じて異なるように設定すべきものとなる。
なお実験によると、プッシュプル信号振幅が最大となるフォーカスバイアスFBbに重点を置いた方が、比較的適正なフォーカス状態が得られる傾向になるとの結果が得られている。これに基づき実施の形態では、少なくとも係数βの値が係数αの値以上となるように重み付けの割合を設定するものとしている。
なお、図5に示される処理動作は、図1に示したシステムコントローラ60によって行われるものである。
また、この図5では説明の便宜上、ディスク1として記録済みのライタブルディスク、或いは再生専用ディスクが装填された場合の動作を示しているものとする。
先にも説明したように、図3に示したDSP10内の不揮発性メモリ18に対しては、予め調整用のフォーカスバイアス値と球面収差補正値とが、この場合はそれぞれ5段階分用意されている。
これら各値について、先ずは設定部17に対する制御を行って、不揮発性メモリ18に記憶される1段階目としてのフォーカスバイアス値をフォーカスバイアス設定部16に設定させる。そして、このフォーカスバイアスの設定の下で、設定部17に対する制御を行って、同じく不揮発性メモリ18に記憶される各球面収差補正値を球面収差補正値設定部20に段階的に変化させるようにして設定させながら、信号再生動作を実行する。その上で、各球面収差補正値の設定の下で得られたRF信号の振幅レベルを検出し、これらRF信号の振幅レベルの情報を、そのとき設定されたフォーカスバイアス値と球面収差補正値と対応づけて記憶する。
この動作を、フォーカスバイアス値の残りの4段階の設定値について同様に行うことで、この場合はフォーカスバイアス値×5、球面収差補正値×5の計25通りの設定で得られたRF信号振幅レベルの情報を記憶する。
そして、ステップS103においては、このように割り出されたフォーカスバイアス値FBaを保持するための処理を実行する。例えば、このフォーカスバイアス値FBaの情報は、上記した不揮発性メモリ18に対して記憶されればよい。
つまり、設定部17に対する制御を行って球面収差補正値設定部20この球面収差補正値SAaを設定させる。
つまり、先ずはトラッキングサーボ演算部22を制御してトラッキングサーボをオフとさせ、さらにスピンドル回路62を制御してディスク1を所要の回転速度により回転駆動させる。その上で、設定部17により、不揮発性メモリ18に記憶される1段階目のフォーカスバイアス値をフォーカスバイアス設定部16に設定させ、このときマトリクス回路54から供給されるプッシュプル信号の振幅レベルを検出する。また、これと共に、このようにして検出したプッシュプル信号振幅レベルの情報と、上記設定されたフォーカスバイアスの値とを対応づけて記憶する。
このようなフォーカスバイアスの設定・記憶処理動作を、フォーカスバイアス値の残りの4段階についても同様に実行し、これによってフォーカスバイアス値の各段階でのトラバース状態でのプッシュプル信号振幅レベルの情報を得る。
そして、ステップS107においては、割り出したフォーカスバイアス値FBbを保持する処理を実行する。このフォーカスバイアス値FBbとしても、例えば不揮発性メモリ18に記憶するものとすればよい。
つまり、先に説明したようにして、
(FBa・α+FBb・β)/2
による演算を行ってフォーカスバイアス値FBcを算出する。
つまり、設定部17により、フォーカスバイアス設定部16にフォーカスバイアス値FBcを設定させると共に、球面収差補正値設定部20に球面収差補正値SAaを設定させるための処理を実行する。
これにより以降は、これらフォーカスバイアス値FBcと球面収差補正値SAaの設定の下で、ディスク1に対する記録再生動作(もちろん再生専用ディスクの場合は再生動作のみ)を行うことが可能となる。
なお、このような試し書きを行うにあたって設定するレーザパワーについては、例えば予め記憶される初期値を用いる等大まかな設定値に依ればよい。
先ず、当然ながら、ディスク装填時に実行することが適切である。
また、再生中、シーク前後、或いは所定時間経過後に実行したり、ディスク上のトレース位置(内外周)に応じて実行することも考えられる。
例えば再生中であれば、ディスク1から読み出したデータのバッファリングの余裕のあるタイミングで行うことができる。
また、シーク直前、或いはシーク直後のタイミングも、調整処理の実行タイミングとして好適である。
従って、ディスク1に対する動作期間中などであっても、定期的、或いは不定期に調整処理が実行されることで、装置動作の安定化にとって適切なものとなる。また、温度変化検出、再生データのエラーレート/ジッタの悪化などをトリガとして、調整処理を行うことも考えられる。
このようにRF信号振幅を基準として最適なフォーカスバイアスを求める場合では、RF信号中のマーク長の長い信号ほど非点収差の影響を受けにくく、またマーク長の短い信号ほど非点収差の影響を受けやすい傾向となるものとされている。
このことを考慮すると、RF信号中のマーク長の比較的長い信号の振幅のみを基準とした方が、最適なフォーカス状態が得られるフォーカスバイアスの値を精度よく求めることができることになる。
図6は、先の図4(a)と同様のフォーカスバイアスを縦軸、球面収差補正値を横軸にとった場合のRF信号振幅特性の等高線として、RF信号中のマーク長が長い信号を基準とした場合の特性を示している。
この図6に示されるように、RF信号中のマーク長が長い信号を基準とした場合は、中心部から略同心円に裾野が広がる特性が得られるものとなる。この場合、マーク長が長い信号ほど、このようなRF信信号振幅特性の等高線の形状は同心円状に近づくものとなる。
一方、マーク長が短い信号を基準とした場合は、例えば先の図4(a)に示したような楕円状となり、且つこの楕円の軸が傾きを持つ傾向となる。
つまり、図4(a)に示したような楕円状で且つその軸に傾きがある場合では、球面収差補正の設定値の変化に伴ってRF信号振幅が最大となるフォーカスバイアスの値も変化してしまうことになるが、同心円状であれば、RF信号振幅を最大とするフォーカスバイアスと球面収差補正値とを、それぞれの値の変化によらず独立して得ることができ、その分最適値を求める精度が向上するからである。
このようなことから、等高線の形状が同心円状に近づくマーク長が長い信号の振幅を基準とした場合の方が、最適値の検出精度が向上することが理解できる。
先ず、振幅レベルを取得するとした所定マーク長の信号に想定されるRF信号のゼロクロス間隔の情報を予め記憶しておく。そして、このゼロクロス間隔の情報に基づき、RF信号中に得られる各マーク長の信号から上記所定マーク長の信号を検出する。その上で、このように検出された信号の振幅レベルを取得するようにすればよい。
或いは、上記所定マーク長による信号の振幅レベルを多数取得し、その平均値を採ることで精度を向上させるといったことも可能である。
Claims (4)
- 光ディスク記録媒体を回転駆動する回転駆動手段と、
少なくともデータの読出のために、上記光ディスク記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うとともに、レーザ光のフォーカスサーボ機構、トラッキングサーボ機構、及び球面収差補正機構を有するヘッド手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号からRF信号を生成するRF信号生成手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号からプッシュプル信号を生成するプッシュプル信号生成手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるフォーカスエラー信号に基づいて上記フォーカスサーボ機構を駆動してフォーカスサーボを実行するフォーカスサーボ手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるトラッキングエラー信号に基づいて上記トラッキングサーボ機構を駆動してトラッキングサーボを実行するトラッキングサーボ手段と、
球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段と、
上記フォーカスサーボ手段を含むフォーカスループにフォーカスバイアスを加算するフォーカスバイアス手段と、を備えると共に、
上記フォーカスバイアス手段に設定されるフォーカスバイアスと上記球面収差補正手段に設定される球面収差補正値の双方を変化させながらデータ再生を行った結果に基づき、上記RF信号生成手段により得られたRF信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスと球面収差補正値の組を割り出す第1の割出処理と、
上記第1の割出処理により割り出した球面収差補正値が上記球面収差補正手段に設定された状態で、少なくとも上記トラッキングサーボ手段によるトラッキングサーボをオフとし、上記フォーカスバイアス手段に設定されるフォーカスバイアスを段階的に変化させながら上記回転駆動手段により上記光ディスク記録媒体を回転駆動させた際に、上記プッシュプル信号生成手段により得られたプッシュプル信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスを割り出す第2の割出処理と、
上記第1の割出処理より割り出したフォーカスバイアスと、上記第2の割出処理により割り出したフォーカスバイアスとに基づいた所要の演算処理を行うことによって、最適とされるフォーカスバイアスの値を算出する算出処理と、
上記算出処理により算出した値によるフォーカスバイアスと、上記第1の割出処理により割り出した上記球面収差補正値とを、上記フォーカスバイアス手段と上記球面収差補正手段とに設定するように制御を行う設定制御処理と、
を実行するように構成された制御手段を備える、
ことを特徴とする光ディスク装置。 - 上記制御手段における上記第1の割出処理では、
上記フォーカスバイアス手段に設定されるフォーカスバイアスと上記球面収差補正手段に設定される球面収差補正値の一方を段階的に変化させると共に、各段階において他方も段階的に変化させながらデータ再生を行うようにされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置 - 上記制御手段における上記算出処理では、
上記第1の割出処理より割り出したフォーカスバイアスと、上記第2の割出処理により割り出したフォーカスバイアスとをそれぞれ所要の係数により重み付けした上で、それらの平均値を算出するようにされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。 - 光ディスク記録媒体に対する少なくとも信号の再生が可能とされ、フォーカスバイアスと球面収差補正値とを可変設定可能な光ディスク装置におけるフォーカスバイアス及び球面収差補正値調整方法として、
フォーカスバイアスと球面収差補正値の双方を変化させながらデータ再生を行った結果に基づき、RF信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスと球面収差補正値の組を割り出す第1の割出手順と、
上記第1の割出手順により割り出した球面収差補正値が設定された状態で、少なくともトラッキングサーボをオフとし、フォーカスバイアスを段階的に変化させながら上記光ディスク記録媒体を回転駆動させた際に得られたプッシュプル信号の振幅値が最大となったフォーカスバイアスを割り出す第2の割出手順と、
上記第1の割出手順より割り出したフォーカスバイアスと、上記第2の割出手順により割り出したフォーカスバイアスとに基づいた所要の演算処理を行うことによって、最適とされるフォーカスバイアスの値を算出する算出手順と、
上記算出手順により算出した値によるフォーカスバイアスと、上記第1の割出手順により割り出した上記球面収差補正値とを設定するように制御を行う設定制御手順と、
から成ることを特徴とするフォーカスバイアス及び球面収差補正値調整方法。
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