JP2006071335A - 角速度センサおよびその駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 2つの振動子の出来映えバラツキによって外部加速度に起因した出力が発生することを抑制できるようにする。
【解決手段】 左側振動子3における左半分側に位置する駆動用の固定電極30に対して印加する駆動電圧と、右側振動子4における右半分側に位置する駆動用の固定電極40に対して印加する駆動電圧とを第1電圧として、該第1電圧を、直流成分がA[V]で交流成分がB[V]となるA±B[V]の電圧とする。また、左側振動子3における右半分側に位置する駆動用の固定電極30に対して印加する駆動電圧と、右側振動子4における左半分側に位置する駆動用の固定電極40に対して印加する駆動電圧とを第2電圧として、該第2電圧を、直流成分がC[V]で交流成分がD[V]となるC±D[V]の電圧とする。そして、第1電圧となるA±B[V]と第2電圧となるC±D[V]とを異なる値とする。
【選択図】 図2
【解決手段】 左側振動子3における左半分側に位置する駆動用の固定電極30に対して印加する駆動電圧と、右側振動子4における右半分側に位置する駆動用の固定電極40に対して印加する駆動電圧とを第1電圧として、該第1電圧を、直流成分がA[V]で交流成分がB[V]となるA±B[V]の電圧とする。また、左側振動子3における右半分側に位置する駆動用の固定電極30に対して印加する駆動電圧と、右側振動子4における左半分側に位置する駆動用の固定電極40に対して印加する駆動電圧とを第2電圧として、該第2電圧を、直流成分がC[V]で交流成分がD[V]となるC±D[V]の電圧とする。そして、第1電圧となるA±B[V]と第2電圧となるC±D[V]とを異なる値とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、支持基板上において、互いに対向するように可動電極および固定電極を設け、角速度の印加に伴う可動電極と固定電極との間の距離変化に基づいて、印加された角速度を検出する角速度センサおよびその駆動方法に関する。
静電駆動・容量検出型マイクロジャイロセンサ等の角速度センサでは、角速度検出時に駆動用の固定電極および可動電極の間に駆動用電圧を印加することで電位差を発生させ、可動部を支持基板の基板面と水平な一方向に振動させている。このとき、角速度が印加されると、可動部に備えられた角速度検出用の可動電極と固定電極との間の間隔が印加された角速度に応じて変わることから、この間隔の変化による容量変化に基づいて、角速度に応じた出力を発生させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、角速度だけではなく、外部からの加速度に対しても各電極間の間隔が変わってしまい、この間隔の変化による容量変化も出力されることになる。この出力は本来角速度を検出すべきジャイロセンサにとってはノイズとなる。
このため、従来では、この外部加速度出力を小さくするために、同一形状の振動子2つを並べて逆相で駆動し、その2つの振動子の容量変化の差動出力をとることにより、外部加速度出力をキャンセルして角速度出力だけを得るという方法を採用していた。
特開平11−326365号公報
しかし、この方法では十分なキャンセル効果が得られず、外部加速度に起因する出力を発生させてしまうことが確認された。この原因は、左右振動子の出来映えのバラツキにより、駆動共振周波数に差が存在するためである。
例えば、図5に示されるように、左右振動子それぞれの駆動共振周波数(振幅比がピーク点となる周波数)に差が存在する場合、実際に振動子を駆動する振動周波数としては、左右振動子それぞれの駆動共振周波数の中間周波数が用いられる。これは、左右振動子それぞれの振幅比を足し合わせた値が最も大きくなる周波数が振振動周波数とされるためである。このため、左右振動子の振動周波数が各々の駆動共振周波数からずれることになり、振振動周波数での左右振動子における重心の運動イメージは、図6の丸印で示されるように、最も振動が大きくなった位置に対してずれる。
このため、以下のような理由により、上記のように十分なキャンセル効果が得られなくなる。図7に、左右振動子の出来映えのバラツキがあった場合の作動状態を示し、この図に基づいて、その理由について説明する。
まず、振動子に加速度が印加されていない状態について考える。左右振動子の出来映えにバラツキがある場合には、ある任意の時間における駆動電極の重なり、つまりオーバラップ量に差が発生する。例えば、図7(a)に示されるように、左側の振動子の方が右側の振動子よりも重なりが大きくなる。なお、このとき、駆動電極により、上下方向に発生させられる静電力に関しては、バランスした状態となる。
そして、左右振動子の検出方向に加速度が印加され、図7(b)に示されるように駆動電極間の間隔が変化すると、上下の静電力がアンバランスになる。このため、左右振動子の検出方向の加振力に差が発生する。具体的には、各振動子に発生する加振力は、次式で示され、駆動電極の重なりに応じて大きさが異なることになる。なお、次式中の電位差とは、駆動電極間の電位差を意味しており、従来では、直流成分がV1、交流成分がV2となる電圧を交流成分を逆相とした状態で駆動電極間に印加している。
(数1)
加振力∝(駆動電極の重なり)/ギャップ・電位差2
このように、左右振動子それぞれの加振力に差が生じると、左右振動子の振動軌跡の変化に差が生じることになる。例えば、図8に示す左右振動子の振動軌跡の模式図から判るように、左右振動子それぞれの振動軌跡が加速度が印加されていない時(図中破線)には左右対称であったのに、加速度が印加された時(図中太線)には左右非対称となる。このため、左右振動子の容量変化の差動出力が変化し、外部加速度出力を十分にキャンセルできず、加速度に起因する出力を発生させてしまうのである。
加振力∝(駆動電極の重なり)/ギャップ・電位差2
このように、左右振動子それぞれの加振力に差が生じると、左右振動子の振動軌跡の変化に差が生じることになる。例えば、図8に示す左右振動子の振動軌跡の模式図から判るように、左右振動子それぞれの振動軌跡が加速度が印加されていない時(図中破線)には左右対称であったのに、加速度が印加された時(図中太線)には左右非対称となる。このため、左右振動子の容量変化の差動出力が変化し、外部加速度出力を十分にキャンセルできず、加速度に起因する出力を発生させてしまうのである。
これが外部加速度に起因した出力を発生させる原因である。この外部加速度に起因した出力を小さくすることは重要な課題であり、この問題を解決する方法が望まれている。
本発明は上記点に鑑みて、2つの振動子の差動出力によって外部加速度に起因した出力を抑制する容量型の角速度センサに関し、2つの振動子の出来映えバラツキによって外部加速度に起因した出力が発生することを抑制できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、左側振動子(3)における左半分側に位置する駆動用の固定電極(30)に対して印加する駆動電圧と、右側振動子(4)における右半分側に位置する駆動用の固定電極(40)に対して印加する駆動電圧とを第1電圧として、該第1電圧は、直流成分がA[V]で交流成分がB[V]となるA±B[V]の電圧であり、
左側振動子(3)における右半分側に位置する駆動用の固定電極(30)に対して印加する駆動電圧と、右側振動子(4)における左半分側に位置する駆動用の固定電極(40)に対して印加する駆動電圧とを第2電圧として、該第2電圧は、直流成分がC[V]で交流成分がD[V]となるC±D[V]の電圧であり、
第1電圧となるA±B[V]と第2電圧となるC±D[V]とが異なる値となっていることを特徴としている。
左側振動子(3)における右半分側に位置する駆動用の固定電極(30)に対して印加する駆動電圧と、右側振動子(4)における左半分側に位置する駆動用の固定電極(40)に対して印加する駆動電圧とを第2電圧として、該第2電圧は、直流成分がC[V]で交流成分がD[V]となるC±D[V]の電圧であり、
第1電圧となるA±B[V]と第2電圧となるC±D[V]とが異なる値となっていることを特徴としている。
このように、第1電圧となるA±B[V]と第2電圧となるC±D[V]とが異なる値となるようにすることにより、ある任意の時間における検出振動の方向への静電気力による加振力を調整することができ、加速度が印加された際における可動部の検出振動の方向への変位量を揃えることが可能となる。
これにより、外部加速度出力を十分にキャンセルすることが可能となり、加速度に起因する出力が極力小さくなるように抑制することができる。
具体的には、請求項2に示すように、第1電圧における直流成分となるA[V]と第2電圧における直流成分となるC[V]とを異なる値とするか、もしくは、請求項3に示されるように、第1電圧における交流成分となるB[V]と第2電圧における交流成分となるD[V]とを異なる値とする。
請求項4ないし6に記載の発明は、請求項1ないし3に示した角速度センサにおける駆動方法に関するものである。これら各請求項に記載の発明は、請求項1ないし3に記載の発明を方法の形式で示したものであり、請求項1ないし3と同様の効果を得ることができる。このように、本発明は、角速度センサという物の発明として捉えられるだけでなく、方法という形態で捉えられるものでもある。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した容量型の角速度センサとしての静電駆動・容量検出型マイクロジャイロセンサ(以下、単にジャイロセンサと省略する)の模式図を図1に示すと共に、図2にジャイロセンサにおける駆動電圧の印加状態を示す。また、図3に、図1のA−A断面図を示す。以下、これらの図を参照して、本実施形態のジャイロセンサについて説明する。
本発明の一実施形態を適用した容量型の角速度センサとしての静電駆動・容量検出型マイクロジャイロセンサ(以下、単にジャイロセンサと省略する)の模式図を図1に示すと共に、図2にジャイロセンサにおける駆動電圧の印加状態を示す。また、図3に、図1のA−A断面図を示す。以下、これらの図を参照して、本実施形態のジャイロセンサについて説明する。
図1に示すように、ジャイロセンサ1は、半導体からなる支持基板2上において、2つの振動子3、4を備えて構成されている。図1における紙面左側の振動子が左側振動子3、紙面右側の振動子が右側振動子4であり、これら各振動子3、4が左右対称構造で構成されている。
以下、左右振動子3、4の構造について説明するが、各振動子3、4の構造は全く同じであるため、ここでは左側振動子3の構造に関して説明し、右側振動子4の構造に関しては省略する。
左側振動子3は、駆動用の固定電極30および可動電極31、振動検出用の固定電極32および可動電極33、錘部34、検出梁35、駆動梁36、角速度検出用の固定電極37および可動電極38を有し、これら各構成要素が枠部39によって囲まれた構成となっている。そして、これら各構成要素が紙面左半分と右半分とで対称となる左右対称構造で構成されている。これら各構成要素のうち、駆動用の固定電極30、駆動振動検出用の固定電極32、角速度検出用の固定電極37および枠部39は、支持基板2に対して固定された固定部に相当するものである。また、駆動用の可動電極31、振動検出用の可動電極33、錘部34、検出梁35、駆動梁36および角速度検出用の可動電極38は、支持基板2の基板面に平行な方向に対して動くことができる可動部に相当するものである。
駆動用の固定電極30は、左側振動子3の略中央位置において、上下2つずつ、合計4つ備えられている。各固定電極30は、図3に示されるように支持基板2に対して固定されるように支持されている、図1に示されるように枠部39より内側において二股に別れた形状とされている。そして、二股に別れた各部に、基体部30aと櫛歯部30bが備えられた構成となっている。基体部30aは、紙面上下方向を長手方向として左側振動子3の中央部に向けて延設されており、櫛歯部30bは、基体部30aの一側面において基体部30aの長手方向と垂直な方向に複数本突き出した状態で設けられている。また、各固定電極30は、枠部39に備えられた駆動用パッド30cに電気的に接続されており、この駆動用パッド30cを通じて、駆動用電圧が印加されるようになっている。
駆動用の可動電極31は、左側振動子3の略中央位置において、駆動用の固定電極30の各基体部30aと対向するように、上下4つずつ、合計8つ備えられている。この駆動用の可動電極31は、図2に示されるように支持基板2に対してフローティング状態とされ、図1に示されるように錘部34と一体化されている。各可動電極31は、基体部31aと櫛歯部31bを備えた構成となっている。基体部31aは、紙面上下方向を長手方向として錘部34から左側振動子3の上下に向けて延設されており、櫛歯部31bは、基体部31aの一側面、具体的には固定電極30における櫛歯部30bと対向する面において基体部31aの長手方向と垂直な方向に複数本突き出した状態で設けられている。このため、各可動電極31の櫛歯部31bと各固定電極30の櫛歯部30bとが、所定間隔を空けて交互に配置された状態となっている。
駆動振動検出用の固定電極32は、駆動用の固定電極30および可動電極31よりも外側の位置において、上下2つずつ、合計4つ備えられている。各固定電極32は、図2に示されるように支持基板2に対して固定されるように支持されている。そして、各固定電極32は、基体部32aと櫛歯部32bを備えて構成されている。基体部32aは、紙面上下方向を長手方向として左側振動子3の中央部に向けて延設されており、櫛歯部32bは、基体部32aの先端部の一側面において基体部32aの長手方向と垂直な方向に複数本突き出した状態で設けられている。また、各固定電極32は、枠部39に備えられた振動検出用パッド32cに電気的に接続されており、この振動検出用パッド32cを通じて、固定電極32の電位を測ることができるようになっている。
駆動振動検出用の可動電極33は、錘部34の両側に配置され、駆動振動検出用の固定電極32の各基体部32aと対向するように、上下2つずつ、合計4つ備えられている。各可動電極33は、図2に示されるように支持基板2に対してフローティング状態とされ、図1に示されるように錘部34と一体化されている。各可動電極33は、基体部33aと櫛歯部33bを備えた構成となっている。基体部33aは、紙面上下方向を長手方向として錘部34から左側振動子3の上下に向けて延設されており、櫛歯部33bは、基体部33aの一側面、具体的には固定電極32における櫛歯部32bと対向する面において基体部33aの長手方向と垂直な方向に複数本突き出した状態で設けられている。このため、各可動電極33の櫛歯部33bと各固定電極32の櫛歯部32bとが、所定間隔を空けて交互に配置された状態となっている。
錘部34は、駆動用の各固定電極30の間に配置されている。この錘部34は、紙面左右方向を長手方向として延設されており、支持基板2に対してフローティング状態とされている。
検出梁35は、左側振動子3における略四隅に配置されている。この検出梁35は、支持基板2に対する片持梁とされ、枠部39側から延設された支持部35bによって支持基板2に支持されている。これにより、可動部を構成する各要素が支持基板2に対して支持されている。この検出梁35は、支持部35bを介して角速度検出用のパッド35aと電気的に接続されている。この角速度検出用のパッド35aを通じて、駆動用の可動電極31、駆動振動検出用の可動電極33、および、角速度検出用の可動電極38に対して所定電圧が印加できるようになっている。
駆動梁36は、振動検出用の可動電極33と角速度検出用の可動電極38とを接続するもので、紙面上下方向を長手方向とする複数本の梁部を備えて構成されている。そして、複数本の梁部によって紙面左右方向に振動検出用の可動電極33を移動させられるようになっている。このため、振動検出用の可動電極33と一体化された錘部34、さらにはこの錘部34と一体化された駆動用の可動電極31が紙面左右方向に移動できるようになっている。
角速度検出用の固定電極37は、左側振動子3における左右両側において、上下2つずつ、合計4つ備えられている。各固定電極37は、図2に示されるように支持基板2に対して固定されるように支持されている。そして、各固定電極37は、基体部37aと櫛歯部37bを備えて構成されている。基体部37aは、紙面上下方向を長手方向として左側振動子3の中央部に向けて延設されており、櫛歯部37bは、基体部37aの一側面において基体部37aの長手方向と垂直な方向に複数本突き出した状態で設けられている。また、各固定電極37は、枠部39に備えられた角速度検出用パッド37cに電気的に接続されており、この角速度検出用パッド37cを通じて、角速度検出用の固定電極37の電位が測れるようになっている。
角速度検出用の可動電極38は、錘部34の両側において、角速度検出用の各固定電極37と対向するように1つずつ配置され、合計2つ備えられている。各可動電極38は、図2に示されるように支持基板2に対してフローティング状態とされ、図1に示されるように錘部34や駆動梁36等と一体化されている。各可動電極38は、基体部38aと櫛歯部38bを備えた構成となっている。基体部38aは、紙面上下方向を長手方向として枠部39における上側位置から下側位置に至るように延設されており、櫛歯部38bは、基体部38aの一側面、具体的には固定電極37における櫛歯部37bと対向する面において基体部38aの長手方向と垂直な方向に複数本突き出した状態で設けられている。このため、各可動電極38の櫛歯部38bと各固定電極37の櫛歯部37bとが、所定間隔を空けて交互に配置された状態となっている。
枠部39は、左右振動子3、4を囲むように構成されたもので、図2に示されるように支持基板2に固定されている。この枠部39は、パッド39aを介して一定電位に保持されるようになっている。このような構成により、本実施形態のジャイロセンサ1が構成されている。
なお、右側振動子4に関しては、左側振動子3と全く同じ構成となっており、それぞれ、以下の対応関係となっている。駆動用の固定電極30および可動電極31は、固定電極40および可動電極41に対応する。振動検出用の固定電極32および可動電極33は、固定電極42および可動電極43に対応する。錘部34は、錘部44に対応し、検出梁35は、検出梁45に対応する。駆動梁36は、駆動梁36に対応し、角速度検出用の可動電極37および固定電極38は、可動電極47および固定電極48に対応する。そして、枠部39は、枠部49に対応する。また、右側振動子4の各部を構成する基体部40aや櫛歯部40bなどの詳細構成に関しても、図中において、左側振動子3に関して付した参照符号の30番代のものを40番代に変更したものとして示してある。
次に、本実施形態のジャイロセンサ1の駆動方法について説明する。
本実施形態のジャイロセンサ1は、駆動用の固定電極30が電気的に接続された駆動用パッド30cに対して所望の駆動電圧を印加することによって駆動される。具体的には、図2に示されるように、左側振動子3における4つの駆動用の固定電極30のうち紙面左半分側に位置する2つと、右側振動子4における4つの駆動用の固定電極40のうち紙面右半分側に位置する2つに対して、第1の電源5から第1電圧としてA±B[V]を印加する。また、左側振動子3における4つの駆動用の固定電極30のうち紙面右半分側に位置する2つと、右側振動子4における4つの駆動用の固定電極40のうち紙面左半分側に位置する2つに対して、第2の電源6から第2電圧としてC±D[V]の電圧を印加する。
ここでいう第1電圧となるA±B[V]および第2電圧となるC±D[V]とは、交流成分となる定電圧A、Cに対して周期的に変化する交流成分となる電圧B、Dを加算もしくは減算した電圧値という意味である。ただし、交流成分となる電圧Bの±の符号と、交流成分となる電圧Dの±の符号は、相反の関係となっており、周期が180度ずれた互いに逆相の電圧となっている。そして、これら第1電圧となるA±B[V]と第2電圧となるC±D[V]において、A≠CもしくはB≠Dの関係が成り立っており、少なくとも直流成分と交流成分の一方が異なる値となっている。
このような駆動電圧が駆動用パッド30c、40cに印加されると、駆動電圧の交流成分の周期的な変動に伴って、駆動用の固定電極30、40と可動電極31、41との間に形成される容量による静電引力が発生する。これにより、駆動梁37、47が撓み、錘部34、44と共に駆動用の可動電極31、41等が紙面左方向もしくは右方向に振動させられる。そして、駆動電圧の交流成分の周期変化に伴って錘部34、44と共に駆動用の可動電極31、41等が紙面左右方向に周期的に振動する。駆動電圧の交流成分が互いに逆相となっているため、左右の振動子は互いに逆方向へと振動する。
このとき、この周期的な振動に応じて振動検出用の固定電極32、42における櫛歯部32b、42bと可動電極32、42における櫛歯部32b、42bとのオーバラップ量が変動することから、これらによって形成される容量が変化する。この容量変化を固定電極32、42が接続された振動検出用のパッド32c、42cの電位から測定することで、周期的な振動の大きさをモニタリングすることが可能となる。このため、周期的な振動の大きさが所望の値となるように、周期的な振動の大きさに合わせて駆動電圧をフィードバック制御する。
この状態において、角速度が入力されると、コリオリ力が発生し、検出梁35、45の撓みにより、錘部34、44および角速度検出用の可動部38、48などが紙面上下方向に振動する。
これにより、角速度検出用の可動電極38、48に備えられた櫛歯部38b、48bと角速度検出用の固定電極37、47に備えられた櫛歯部37b、47bとの間の間隔が変化し、これらによって形成される容量が変化する。
この容量の変化に伴って角速度検出用の固定電極37、47の電位が変化するため、この電位を測定することにより、角速度を検出することが可能となる。
続いて、本実施形態のジャイロセンサ1による効果について説明する。
本実施形態では、上述したように、第1電圧としてA±B[V]、第2電圧としてC±D[V]を採用し、これらがA≠CもしくはB≠Dの関係が成り立つように、第1電圧と第2電圧がアンバランスなものとしている。
これら第1電圧と第2電圧は、例えばジャイロセンサ1の製造時に設定されるもので、左側振動子3と右側振動子4との出来映えのバラツキに応じて、その値が決まる。これについて、図4を参照して説明する。
図4は、左右振動子3、4の振動軌跡の模式図を示したもので、図4(a)は、第1電圧と第2電圧とを同じもの(例えば、共にA±B[V])とした場合の振動軌跡、図4(b)は、第1電圧と第2電圧を本実施形態のようにした場合の振動軌跡を示している。
振動子の検出方向に加速度が加わっていなかったときから加速度が加わった状態になったとき、図4(a)に示されるように左右振動子3、4の変位量が揃う。
これは、ある任意の時間における検出方向、つまり紙面上下方向への加振力を調整することで、加速度が印加された際における可動部(錘部34、44や各可動電極等)の紙面上下方向への変位量を揃えることが可能となるためである。
すなわち、上述したように、各振動子3、4に発生する紙面上下方向への加振力は、次式で表される。
(数2)
加振力∝(駆動電極の重なり)/ギャップ・電位差2
そして、駆動電極に相当する駆動用の固定電極30および可動電極31における重なりとギャップが左右振動子3、4の出来映えのバラツキに起因するものである。このため、加振力を決定する3つ目のパラメータとなる電位差、つまり固定電極30および可動電極31の間の電位差を調整することで、左右振動子3、4の変位量が揃うように加振力をバランスさせられる。
加振力∝(駆動電極の重なり)/ギャップ・電位差2
そして、駆動電極に相当する駆動用の固定電極30および可動電極31における重なりとギャップが左右振動子3、4の出来映えのバラツキに起因するものである。このため、加振力を決定する3つ目のパラメータとなる電位差、つまり固定電極30および可動電極31の間の電位差を調整することで、左右振動子3、4の変位量が揃うように加振力をバランスさせられる。
したがって、加速度が印加された時、加速度が印加される前と左右振動子3、4の変位量が揃い、左右振動子3、4の容量変化の差動出力の変動が無くなる。このため、外部加速度出力を十分にキャンセルすることが可能となり、加速度に起因する出力が極力小さくなるように抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態のジャイロセンサ1によれば、外部加速度出力を十分にキャンセルすることが可能となり、加速度に起因する出力が極力小さくなるように抑制することができる。これにより、センサ精度を向上させることが可能となる。
(他の実施形態)
上記実施形態で示したジャイロセンサ1の構造は、単なる一例であり、一般的に知られている他の構造などに本発明を適用しても良い。また、図1中において、各固定電極や各可動電極に備えられた櫛歯部の数は模式的なものであり、もちろん、図示された数に限られるものではない。
上記実施形態で示したジャイロセンサ1の構造は、単なる一例であり、一般的に知られている他の構造などに本発明を適用しても良い。また、図1中において、各固定電極や各可動電極に備えられた櫛歯部の数は模式的なものであり、もちろん、図示された数に限られるものではない。
1…ジャイロセンサ、2…支持基板、3…左側振動子、4…右側振動子、30、40…駆動用の固定電極、31、41…駆動用の可動電極、32、42…振動検出用の固定電極、33、43…振動検出用の可動電極、34、44…錘部、35、45…検出梁、36、46…駆動梁、37、47…角速度検出用の固定電極、38、48…角速度検出用の可動電極、39、49…枠部39。
Claims (6)
- 支持基板(2)と、
前記支持基板(2)上において、前記支持基板(2)に支持されるように形成され、前記支持基板(2)における基板面と水平方向に変位可能となっている駆動用の可動電極(31、41)と角速度検出用の可動電極(38、48)とを有する可動部(31、34、35、36、38、41、44、45、46、48)と、
前記支持基板(2)上において、前記支持基板(2)に固定されて支持され、前記駆動用の可動電極(31、41)に対向する駆動用の固定電極(30、40)と、前記角速度検出用の可動電極(38、48)に対向する角速度検出用の固定電極(37、47)とを有する固定部(30、38、40、48)と、を備えた1対の左右振動子(3、4)を含み、
前記左右振動子(3、4)それぞれにおける前記駆動用の固定電極(30、40)と前記駆動用の可動電極(31、41)との間に駆動電圧を印加することにより、前記可動部の少なくとも一部(31、34、41、44、)を前記支持基板(2)における前記基板面と水平な一方向に振動させると共に、
前記可動部の少なくとも一部(31、34、41、44、)に対して角速度が印加されたときに、この角速度によって発生するコリオリ力によって前記可動部の少なくとも一部(31、34、36、38、41、44、46、48)を前記振動方向と垂直な一方向に振動させることで、前記角速度検出用の可動電極(38、48)および固定電極(37、47)との間に形成される容量に基づいて、前記角速度を検出するように構成された角速度センサであって、
前記左側振動子(3)と前記右側振動子(4)は共に、これら左右振動子(3、4)を構成する各構成要素が左半分と右半分とで対称となる左右対称構造で構成されており、
前記左側振動子(3)における左半分側に位置する前記駆動用の固定電極(30)に対して印加する前記駆動電圧と、前記右側振動子(4)における右半分側に位置する前記駆動用の固定電極(40)に対して印加する前記駆動電圧とを第1電圧とすると、該第1電圧は、直流成分がA[V]で交流成分がB[V]となるA±B[V]の電圧であり、
前記左側振動子(3)における右半分側に位置する前記駆動用の固定電極(30)に対して印加する前記駆動電圧と、前記右側振動子(4)における左半分側に位置する前記駆動用の固定電極(40)に対して印加する前記駆動電圧とを第2電圧とすると、該第2電圧は、直流成分がC[V]で交流成分がD[V]となるC±D[V]の電圧であり、
前記第1電圧における交流成分となるB[V]と前記第2電圧における交流成分となるD[V]とは、互いに逆位相となっており、
前記第1電圧となるA±B[V]と前記第2電圧となるC±D[V]とが異なる値となっていることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。 - 前記第1電圧における直流成分となるA[V]と前記第2電圧における直流成分となるC[V]とが異なる値となっていることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
- 前記第1電圧における交流成分となるB[V]と前記第2電圧における交流成分となるD[V]とが異なる値となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の角速度センサ。
- 支持基板(2)と、
前記支持基板(2)上において、前記支持基板(2)に支持されるように形成され、前記支持基板(2)における基板面と水平方向に変位可能となっている駆動用の可動電極(31、41)と角速度検出用の可動電極(38、48)とを有する可動部(31、34、35、36、38、41、44、45、46、48)と、
前記支持基板(2)上において、前記支持基板(2)に固定されて支持され、前記駆動用の可動電極(31、41)に対向する駆動用の固定電極(30、40)と、前記角速度検出用の可動電極(38、48)に対向する角速度検出用の固定電極(37、47)とを有する固定部(30、38、40、48)と、を備えた1対の左右振動子(3、4)を含み、
前記左右振動子(3、4)それぞれにおける前記駆動用の固定電極(30、40)と前記駆動用の可動電極(31、41)との間に駆動電圧を印加することにより、前記可動部の少なくとも一部(31、34、41、44、)を前記支持基板(2)における前記基板面と水平な一方向に振動させると共に、
前記可動部の少なくとも一部(31、34、41、44、)に対して角速度が印加されたときに、この角速度によって発生するコリオリ力によって前記可動部の少なくとも一部(31、34、36、38、41、44、46、48)を前記振動方向と垂直な一方向に振動させることで、前記角速度検出用の可動電極(38、48)および固定電極(37、47)との間に形成される容量に基づいて、前記角速度を検出する角速度センサの駆動方法であって、
前記左側振動子(3)と前記右側振動子(4)とを共に、これら左右振動子(3、4)を構成する各構成要素が左半分と右半分とで対称となる左右対称構造で構成し、
前記左側振動子(3)における左半分側に位置する前記駆動用の固定電極(30)に対して印加する前記駆動電圧と、前記右側振動子(4)における右半分側に位置する前記駆動用の固定電極(40)に対して印加する前記駆動電圧とを第1電圧として、該第1電圧を、直流成分がA[V]で交流成分がB[V]となるA±B[V]の電圧とし、
前記左側振動子(3)における右半分側に位置する前記駆動用の固定電極(30)に対して印加する前記駆動電圧と、前記右側振動子(4)における左半分側に位置する前記駆動用の固定電極(40)に対して印加する前記駆動電圧とを第2電圧として、該第2電圧を、直流成分がC[V]で交流成分がD[V]となるC±D[V]の電圧とし、
前記第1電圧における交流成分となるB[V]と前記第2電圧における交流成分となるD[V]とを互いに逆位相として、
前記第1電圧となるA±B[V]と前記第2電圧となるC±D[V]とを異なる値とすることを特徴とする角速度センサの駆動方法。 - 前記第1電圧における直流成分となるA[V]と前記第2電圧における直流成分となるC[V]とを異なる値とすることを特徴とする請求項4に記載の角速度センサの駆動方法。
- 前記第1電圧における交流成分となるB[V]と前記第2電圧における交流成分となるD[V]とを異なる値とすることを特徴とする請求項4または5に記載の角速度センサの駆動方法。
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-
2004
- 2004-08-31 JP JP2004252270A patent/JP2006071335A/ja not_active Withdrawn
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