JP2006070010A - 第四アンモニウム塩化合物及び抗菌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の第四アンモニウム塩と同等又はそれ以上の殺菌活性を有し、且つ人体等に対する安全性が一層優れる新規な第四アンモニウム塩化合物及びそれを含む抗菌剤を提供する。
【解決手段】
一般式
〔式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数6・18のアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1・4のアルキル基を示す。〕
で表される第四アンモニウム塩化合物。
【選択図】 図1
【解決手段】
一般式
〔式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数6・18のアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1・4のアルキル基を示す。〕
で表される第四アンモニウム塩化合物。
【選択図】 図1
Description
本発明は、第四アンモニウム塩化合物及び抗菌剤に関する。
第四アンモニウム塩化合物は、従来から種々の化学構造を有するものが合成され、例えば、細菌や真菌等に有効な殺菌消毒剤として、医療分野、食品製造分野や環境消毒等に汎用されている。代表的な第四アンモニウム塩化合物としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、3・(トリメトキシシル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、オスバン(商品名、塩化ベンザルコニウム)等が用いられている。しかしながら、これらの第四アンモニウム塩は、耐性菌の出現、自然環境における微生物相の破壊、毒性等、解決すべき多くの課題を有している。なお、これらの第四アンモニウム塩化合物は、通常、1分子中に1個の第四アンモニウム塩残基を有するものであり、一般に、モノマー型第四アンモニウム塩化合物と称される。
また、アルキレン基の両端に、同じ化学構造を有する四級アンモニウム基が結合したビス型第四アンモニウム塩化合物が知られている。しかしながら、従来のビス型第四アンモニウム塩化合物には、通常は優れた抗菌活性を有するものの、疎水性薬剤と併用すると抗菌活性が低下するという欠点がある。また、従来のビス型第四アンモウニム塩化合物は、生分解生成物の残留毒性も高いため、その使用に際しては、環境に対する安全性の点で問題がある。さらに、水に対する溶解性および水中での安定性にも問題がある。このため、その適用範囲が制限される。さらに、従来のビス型第四アンモニウム塩は、抗菌力が糖質、蛋白質、脂質等によって拮抗され、pHの低い領域では低下し、かつ細胞芽胞にあまり効果がないという欠点を有する。
従来のビス型第四アンモニウム塩化合物の欠点に鑑み、例えば、一般式
〔式中、Yはピリジン環、キノリン環、イソキノリン環又はチアゾリン環を示す。R10は炭素数2・10のアルキレン基又はアルケニレン基を示す。R11はAの窒素原子に結合する炭素数6・18のアルキル基を示す。Xはアニオンを示す。〕
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物、一般式
〔式中、X、Y、R10およびR11は上記に同じ。〕
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物(例えば、特許文献1参照)、一般式
〔式中、Xは上記に同じ。Pyはピリジン環を示す。R12及びR13は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1・6のアルキル基を示す。R14は炭素数3・18のアルケニレン基を示す。R15及びR16は同一又は異なって、Pyの窒素原子に結合する炭素数6・18のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物(例えば、特許文献2参照)、一般式
〔式中、Xは上記に同じ。Zはピリジン環又はキノリン環を示す。R17、R18、R19及びR20は同一又は異なって、Zの炭素原子に結合する炭素数1・3のアルキル基、水酸基、アミノ基、炭素数1・3のアルコキシ基又は水素原子を示す。R21は炭素数2・18のアルキレン基又はアルケニレン基を示す。R22及びR23はZの窒素原子に結合する炭素数6・18のアルキル基を示す。〕
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物(例えば、特許文献3参照)等の、芳香族ピリジニウム塩残基、キノリニウム塩残基、チアゾリニウム塩残基といった第四アンモニウム塩残基を活性部位として導入した左右対称構造を持つビス型第四アンモニウム塩化合物が提案されている。これら以外にも、脂肪族アンモニウム塩残基、チアゾール環残基等の第四アンモニウム塩残基を持つビス型第四アンモニウム塩化合物も種々提案されている。
これらのビス型第四アンモニウム塩化合物は、従来のものに比べ、より高い殺菌活性を有し、併用する他の薬剤や細菌、真菌等の細胞表面の疎水性に影響を受けず、殺菌環境のpH、温度等にも殆ど影響されないといった優れた効果を有し、消毒殺菌剤として極めて有用なものである。
しかしながら、人体、動植物および環境に対する安全性への要求がより一層高まっている現状にあっては、殺菌消毒剤などの医薬品への安全性の要求は高まるばかりである。従って、高い殺菌活性を持つとともに、より高い安全性とも併せ持つ抗菌性化合物が希求されている。
特開平8・301703号公報 特開平10・95773号公報 特開平6・321902号公報
また、アルキレン基の両端に、同じ化学構造を有する四級アンモニウム基が結合したビス型第四アンモニウム塩化合物が知られている。しかしながら、従来のビス型第四アンモニウム塩化合物には、通常は優れた抗菌活性を有するものの、疎水性薬剤と併用すると抗菌活性が低下するという欠点がある。また、従来のビス型第四アンモウニム塩化合物は、生分解生成物の残留毒性も高いため、その使用に際しては、環境に対する安全性の点で問題がある。さらに、水に対する溶解性および水中での安定性にも問題がある。このため、その適用範囲が制限される。さらに、従来のビス型第四アンモニウム塩は、抗菌力が糖質、蛋白質、脂質等によって拮抗され、pHの低い領域では低下し、かつ細胞芽胞にあまり効果がないという欠点を有する。
従来のビス型第四アンモニウム塩化合物の欠点に鑑み、例えば、一般式
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物、一般式
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物(例えば、特許文献1参照)、一般式
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物(例えば、特許文献2参照)、一般式
で表されるビス型第四アンモニウム塩化合物(例えば、特許文献3参照)等の、芳香族ピリジニウム塩残基、キノリニウム塩残基、チアゾリニウム塩残基といった第四アンモニウム塩残基を活性部位として導入した左右対称構造を持つビス型第四アンモニウム塩化合物が提案されている。これら以外にも、脂肪族アンモニウム塩残基、チアゾール環残基等の第四アンモニウム塩残基を持つビス型第四アンモニウム塩化合物も種々提案されている。
これらのビス型第四アンモニウム塩化合物は、従来のものに比べ、より高い殺菌活性を有し、併用する他の薬剤や細菌、真菌等の細胞表面の疎水性に影響を受けず、殺菌環境のpH、温度等にも殆ど影響されないといった優れた効果を有し、消毒殺菌剤として極めて有用なものである。
しかしながら、人体、動植物および環境に対する安全性への要求がより一層高まっている現状にあっては、殺菌消毒剤などの医薬品への安全性の要求は高まるばかりである。従って、高い殺菌活性を持つとともに、より高い安全性とも併せ持つ抗菌性化合物が希求されている。
本発明の目的は、従来のものと同等又はそれ以上の殺菌活性を有し、且つ人体等に対する安全性に優れる新規な第四アンモニウム塩化合物及び抗菌剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来のモノマー型第四アンモニウム塩化合物及びビス型第四アンモニウム塩化合物のいずれにも属しない、新規な第四アンモニウム塩化合物を得ることに成功し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記(A)・(C)の抗菌剤及び下記(D)の抗菌剤に係る。
(A)一般式
〔式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数6・18のアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1・4のアルキル基を示す。Xはアニオンを示す。〕
で表される第四アンモニウム塩化合物(以下「第四アンモニウム塩化合物(1)」とする)に係る。
(B)一般式(1)の第四アンモニウム塩化合物において、R1及びR2が同一又は異なって、炭素数6・16の直鎖状アルキル基である第四アンモニウム塩化合物。
(C)一般式(1)の第四アンモニウム塩化合物において、R3及びR4がいずれもメチル基又はエチル基である第四アンモニウム塩化合物。
(D)上記(a)・(c)の第四アンモニウム塩化合物のいずれか1つを含有する抗菌剤。
すなわち本発明は、下記(A)・(C)の抗菌剤及び下記(D)の抗菌剤に係る。
(A)一般式
で表される第四アンモニウム塩化合物(以下「第四アンモニウム塩化合物(1)」とする)に係る。
(B)一般式(1)の第四アンモニウム塩化合物において、R1及びR2が同一又は異なって、炭素数6・16の直鎖状アルキル基である第四アンモニウム塩化合物。
(C)一般式(1)の第四アンモニウム塩化合物において、R3及びR4がいずれもメチル基又はエチル基である第四アンモニウム塩化合物。
(D)上記(a)・(c)の第四アンモニウム塩化合物のいずれか1つを含有する抗菌剤。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、抗菌活性が高いことが知られるビス型第四アンモニウム塩化合物と同等の抗菌活性を有するとともに、安全性の面では、ビス型第四アンモニウム塩化合物及びモノマー型第四アンモニウム塩化合物よりも優れている。具体的には、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、従来の市販の第四アンモニウム塩に比べて、最小殺菌濃度が1/10・1/100程度以下、特に塩化ベンザルコニウムの1/1000以下という優れた殺菌効果を示す。
また、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、非常に幅広い抗菌スペクトルを有し、各種の細菌、真菌などの微生物に有効である。
さらに、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、上記のような非常に高い抗菌性能又は殺菌性能を有するにもかかわらず、人体に対して非常に低毒性で、特に細胞毒性が低く、例えば、一次接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等を起こすおそれが殆どない。
また、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、非常に幅広い抗菌スペクトルを有し、各種の細菌、真菌などの微生物に有効である。
さらに、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、上記のような非常に高い抗菌性能又は殺菌性能を有するにもかかわらず、人体に対して非常に低毒性で、特に細胞毒性が低く、例えば、一次接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等を起こすおそれが殆どない。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、一般式
〔式中、R1、R2、R3、R4及びXは上記に同じ。〕
で表される。
上記一般式(1)において、符号R1及びR2で表される炭素数6・18のアルキル基としては、例えば、n・ヘキシル基、n・オクチル基、n・ノニル基、n・デシル基、n・ウンデシル基、n・ドデシル基、n・トリデシル基、n・テトラデシル基、n・ペンタデシル基、n・ヘキサデシル基、n・ヘプタデシル基、n・オクタデシル基、イソヘキシル基、2・エチルヘキシル基などの、炭素数6・18の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、n・ヘキシル基、n・オクチル基、n・デシル基、n・ドデシル基、n・テトラデシル基、n・ヘキサデシル基などの、炭素数6・16の直鎖状アルキル基が好ましい。
符号R3及びR4で表される炭素数1・4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert・ブチル基等の炭素数1・4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基等が好ましく、メチル基が特に好ましい。
符号Xで示されるアニオンとしては、特に制限はなく、各種の無機酸及び有機酸から誘導されるものが挙げられる。その中でも、例えば、I・、Br・、Cl・、NO3 ・、SO4 2・等の無機酸から誘導されるアニオン、CH3SO3 ・、C2H5SO3 ・等のスルホン酸アニオン、CH3COO・、C2H5COO・等の有機酸から誘導されるアニオン等が挙げられる。これらの中でも、I・、Br・、Cl・等のハロゲン原子イオンが好ましく、I・が特に好ましい。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)の具体例としては、例えば、1・n・ヘキシル・4・{[2・(n・ヘキシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・オクチル・4・{[2・(n・オクチルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・デシル・4・{[2・(n・デシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・ドデシル・4・{[2・(n・ドデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・テトラデシル・4・{[2・(n・テトラデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・ヘキサデシル・4・{[2・(n・ヘキサデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイドなどが挙げられる。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、例えば、一般式(2)
〔式中、R3及びR4は上記に同じ。〕
で表される2・ジアルキルアミノエチルクロリド塩酸塩(以下「2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)」とする)と、一般式(3)
で表される4・メルカプトピリジン(以下「4・メルカプトピリジン(3)」とする)を反応させて、一般式(4)
〔式中、R3及びR4は上記に同じ。〕
で表される4・{[2・(ジアルキルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム塩化水素塩(以下「ピリジニウム塩化水素塩(4)」という)を合成し、これを脱塩化水素化し、一般式(5)
で表される4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(以下「4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)」という)を合成し、これと一般式(6)
CnH2n+1I (6)
〔式中、nは上記に同じ。〕
で表されるアルキルアイオダイド(以下「アルキルアイオダイド(6)」という)とを反応させることによって製造することができる。
2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)と4・メルカプトピリジン(3)との反応は、例えば、2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)を含む溶媒に、4・メルカプトピリジン(3)を滴下することにより行われる。ここで、溶媒としては、2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)を溶解できかつ反応に不活性なものであれば特に制限なく使用できるが、反応を簡便に実施することを考慮すると、水が好ましい。2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)と4・メルカプトピリジン(3)との使用割合は特に制限されないが、通常は、2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)1モルに対して、4・メルカプトピリジン(3)を1・2モル程度、好ましくは1・1.5モル程度、さらに好ましくは1・1.3モル程度使用すればよい。反応は、室温付近の温度下に行われ、24・60時間程度で終了する。反応を加熱下に実施すると、副生物が生成する可能性があるので、非加熱の状態で反応を実施するのが好ましい。なお、ここで用いられる2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)の具体例としては、例えば、2・ジメチルアミノクロリド塩酸塩、2・ジエチルアミノクロリド塩酸塩、2・ジ(n・プロピル)アミノクロリド塩酸塩、2・ジ(n・ブチル)アミノクロリド塩酸塩等が挙げられる。これらの中でも、2・ジメチルアミノクロリド塩酸塩が好ましい。2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
反応終了後、得られる反応混合物に、減圧蒸留、真空乾燥、洗浄(ここではエタノール洗浄)などの一般的な精製手段を施すことによって、ピリジニウム塩化水素塩(4)を得ることができる。
ピリジニウム塩化水素塩(4)の脱塩化水素化は、公知の方法に従って実施できる。例えば、ピリジニウム塩化水素塩(4)の水溶液を塩基で処理することにより実施できる。ここで塩基としては公知のものを使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。塩基は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。塩基は、好ましくは水溶液の形態で用いられ、水溶液中での濃度は特に制限されないが、好ましくは0.1規定程度にすればよい。また、塩基の使用量は特に制限されないが、好ましくは、ピリジニウム塩化水素塩のpHが9・11程度、好ましくはpH9.5・10.5程度になる量とすればよい。脱塩化水素化の終了後、反応混合物を、例えばエーテル抽出することによって、4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)が得られる。
4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)とアルキルアイオダイド(6)との反応は、例えば、加熱加圧下に溶媒中にて行われる。ここで使用される溶媒としては、両者を溶解又は分散することができかつ反応に不活性なものであれば特に制限されず、例えば、メタメール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、N,N・ジメチルホルムアミド、N,N・ジエチルホルムアミド等のアミド類、ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、クロロベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、低級アルコール類が好ましく、エタノールがより好ましく、無水エタノールが特に好ましい。溶媒は1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を併用できる。溶媒の使用量は特に制限されないが、化合物(5)に対して通常1・10倍モル程度、好ましくは1・5倍モル程度とすればよい。反応温度は特に制限はないが、好ましくは50・100℃である。反応圧力も特に制限はないが、好ましくは15・120MPaである。反応時間は、好ましくは、1・30時間である。なお、ここで用いられるアルキルアイオダイド(6)の具体例としては、例えば、ヘキシルアイオダイド、オクチルアイオダイド、n・デシルアイオダイド、n・ドデシルアイオダイド、n・テトラデシルアイオダイド、n・ヘキサデシルアイオダイド、n・オクタデシルアイオダイド等が挙げられる。アルキルアイオダイド(6)は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。アルキルアイオダイド(6)の使用量は特に制限されないが、好ましくは、4・[2・(ジメチルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)の1モルに対して、2.0・4.0モル程度、さらに好ましくは2.0・2.5モル程度である。
反応終了後、反応混合物を、有機溶媒による洗浄、再結晶などの一般的な精製手段で精製することによって、一般式(1a)
〔式中、R3およびR4は上記に同じ。nは6・18の整数を示す。〕
で表される第四アンモニウム塩化合物(1a)を得ることができる。第四アンモニウム塩化合物(1a)は、一般式(1)において、符号Xで示されるアニオンがヨウ素イオンである本発明の第四アンモニウム塩化合物である。
4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)とアルキルアイオダイド(6)との反応において、アルキルアイオダイド(6)に代えて、ヘキシルブロマイド、オクチルブロマイド、n・デシルブロマイド、n・ドデシルブロマイド、n・テトラデシルブロマイド、n・ヘキサデシルブロマイド等のアルキルブロマイド、ヘキシルクロリド、オクチルクロリド、n・デシルクロリド、n・ドデシルクロリド、n・テトラデシルクロリド、n・ヘキサデシルクロリド等のアルキルクロリドを用いることによって、符号Xで示されるアニオンが臭素イオン又は塩素イオンである本発明の第四アンモニウム塩化合物を得ることができる。
また、本発明において、符号Xで示されるアニオンがヨウ素イオン以外のアニオンである第四アンモニウム塩化合物(1)を得るには、例えば、第四アンモニウム塩化合物(1a)にアニオン交換を施せばよい。アニオン交換は、一般的なイオン交換の手法に従って実施できる。例えば、水中にて、第四アンモニウム塩化合物(1a)とアニオンを含む化合物とを接触させればよい。アニオンを含む化合物としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、沃素酸、臭素酸、塩素酸、過沃素酸、過塩素酸、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸から誘導されるアニオン、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、オクタン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ソルビン酸、オレイン酸、エライジン酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシ酸類、ピルビン酸等のオキソ酸類、安息香酸、フタル酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族カルボン酸類、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸等の複素環式カルボン酸類、アミノ酸類、メタン(アルキル)スルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類、エリソルビン酸、アスコルビン酸、デヒドロ酢酸等の各種有機酸から誘導されるアニオン等が挙げられる。また、アルコラート類、フェノラート類、その他の水酸基含有有機化合物もアニオン源となり得る。
本発明の第四アンモニウム化合物(1)は、そのまま、粉末状態で用いてもよい。
また、該第四アンモニウム塩化合物(1)の粉末を適当な溶媒、例えば、水、アルコール類等に溶解又は分散し、液状にし、水溶液又は分散液の形態で用いても良い。この水溶液又は水分散液は、そのまま、消毒用殺菌剤又は抗菌剤として使用できる。その場合、該水溶液又は水分散液における第四アンモニウム塩化合物(1)の濃度は特に制限されないが、好ましくは、水溶液又は水分散液全量の0.01・20重量%である。この場合、第四アンモニウム塩化合物(1)は、1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
更に、第四アンモニウム塩化合物(1)の水溶液又は水分散液を、そのまま又は水性塗料、油性塗料等と混合し、各種物品の表面の全面又は一部に塗布又は噴霧することもできる。物品としては、紙、セラミックス、ガラス、金属、木材、合成樹脂等から選ばれる1種又は2種以上の素材からなる物品を挙げることができる。合成樹脂としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリビニルクロライド等が挙げられる。前記の各種物品には、木綿、麻、絹、ウール、羽毛等からなる繊維類を含まれる。塗布方法としては公知の方法を採用でき、例えば、刷毛塗り、浸漬、スクリーン印刷などが挙げられる。
更には、第四アンモニウム塩化合物(1)を各種合成樹脂に練りこみ、糸、繊維、フィルム、シート、ペレットその他の任意の形状に成形して用いることもできる。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、抗菌性能を要求される各種用途において、従来の第四アンモニウム塩と同様に使用できる。具体的な用途としては、例えば、上水、冷却水、プール等におけるスライムコントロールのための抗菌剤又は殺菌剤、漁網、船底、水中構造物等における海藻、プランクトン、微生物の付着を防止するための抗菌剤又は殺菌剤、食品包装材、建材、農業用資材、口腔用材(歯ブラシ、練り歯磨き等)、眼鏡フレーム、衣料品、家庭用品、塗料、接着剤等に添加する抗菌剤又は殺菌剤、医薬品、医薬部外品、消毒剤、化粧品等が挙げられる。
で表される。
上記一般式(1)において、符号R1及びR2で表される炭素数6・18のアルキル基としては、例えば、n・ヘキシル基、n・オクチル基、n・ノニル基、n・デシル基、n・ウンデシル基、n・ドデシル基、n・トリデシル基、n・テトラデシル基、n・ペンタデシル基、n・ヘキサデシル基、n・ヘプタデシル基、n・オクタデシル基、イソヘキシル基、2・エチルヘキシル基などの、炭素数6・18の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、n・ヘキシル基、n・オクチル基、n・デシル基、n・ドデシル基、n・テトラデシル基、n・ヘキサデシル基などの、炭素数6・16の直鎖状アルキル基が好ましい。
符号R3及びR4で表される炭素数1・4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert・ブチル基等の炭素数1・4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基等が好ましく、メチル基が特に好ましい。
符号Xで示されるアニオンとしては、特に制限はなく、各種の無機酸及び有機酸から誘導されるものが挙げられる。その中でも、例えば、I・、Br・、Cl・、NO3 ・、SO4 2・等の無機酸から誘導されるアニオン、CH3SO3 ・、C2H5SO3 ・等のスルホン酸アニオン、CH3COO・、C2H5COO・等の有機酸から誘導されるアニオン等が挙げられる。これらの中でも、I・、Br・、Cl・等のハロゲン原子イオンが好ましく、I・が特に好ましい。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)の具体例としては、例えば、1・n・ヘキシル・4・{[2・(n・ヘキシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・オクチル・4・{[2・(n・オクチルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・デシル・4・{[2・(n・デシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・ドデシル・4・{[2・(n・ドデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・テトラデシル・4・{[2・(n・テトラデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド、1・n・ヘキサデシル・4・{[2・(n・ヘキサデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイドなどが挙げられる。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、例えば、一般式(2)
で表される2・ジアルキルアミノエチルクロリド塩酸塩(以下「2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)」とする)と、一般式(3)
で表される4・{[2・(ジアルキルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム塩化水素塩(以下「ピリジニウム塩化水素塩(4)」という)を合成し、これを脱塩化水素化し、一般式(5)
で表される4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(以下「4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)」という)を合成し、これと一般式(6)
CnH2n+1I (6)
〔式中、nは上記に同じ。〕
で表されるアルキルアイオダイド(以下「アルキルアイオダイド(6)」という)とを反応させることによって製造することができる。
2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)と4・メルカプトピリジン(3)との反応は、例えば、2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)を含む溶媒に、4・メルカプトピリジン(3)を滴下することにより行われる。ここで、溶媒としては、2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)を溶解できかつ反応に不活性なものであれば特に制限なく使用できるが、反応を簡便に実施することを考慮すると、水が好ましい。2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)と4・メルカプトピリジン(3)との使用割合は特に制限されないが、通常は、2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)1モルに対して、4・メルカプトピリジン(3)を1・2モル程度、好ましくは1・1.5モル程度、さらに好ましくは1・1.3モル程度使用すればよい。反応は、室温付近の温度下に行われ、24・60時間程度で終了する。反応を加熱下に実施すると、副生物が生成する可能性があるので、非加熱の状態で反応を実施するのが好ましい。なお、ここで用いられる2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)の具体例としては、例えば、2・ジメチルアミノクロリド塩酸塩、2・ジエチルアミノクロリド塩酸塩、2・ジ(n・プロピル)アミノクロリド塩酸塩、2・ジ(n・ブチル)アミノクロリド塩酸塩等が挙げられる。これらの中でも、2・ジメチルアミノクロリド塩酸塩が好ましい。2・ジアルキルアミノクロリド塩酸塩(2)は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
反応終了後、得られる反応混合物に、減圧蒸留、真空乾燥、洗浄(ここではエタノール洗浄)などの一般的な精製手段を施すことによって、ピリジニウム塩化水素塩(4)を得ることができる。
ピリジニウム塩化水素塩(4)の脱塩化水素化は、公知の方法に従って実施できる。例えば、ピリジニウム塩化水素塩(4)の水溶液を塩基で処理することにより実施できる。ここで塩基としては公知のものを使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。塩基は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。塩基は、好ましくは水溶液の形態で用いられ、水溶液中での濃度は特に制限されないが、好ましくは0.1規定程度にすればよい。また、塩基の使用量は特に制限されないが、好ましくは、ピリジニウム塩化水素塩のpHが9・11程度、好ましくはpH9.5・10.5程度になる量とすればよい。脱塩化水素化の終了後、反応混合物を、例えばエーテル抽出することによって、4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)が得られる。
4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)とアルキルアイオダイド(6)との反応は、例えば、加熱加圧下に溶媒中にて行われる。ここで使用される溶媒としては、両者を溶解又は分散することができかつ反応に不活性なものであれば特に制限されず、例えば、メタメール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、N,N・ジメチルホルムアミド、N,N・ジエチルホルムアミド等のアミド類、ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、クロロベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、低級アルコール類が好ましく、エタノールがより好ましく、無水エタノールが特に好ましい。溶媒は1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を併用できる。溶媒の使用量は特に制限されないが、化合物(5)に対して通常1・10倍モル程度、好ましくは1・5倍モル程度とすればよい。反応温度は特に制限はないが、好ましくは50・100℃である。反応圧力も特に制限はないが、好ましくは15・120MPaである。反応時間は、好ましくは、1・30時間である。なお、ここで用いられるアルキルアイオダイド(6)の具体例としては、例えば、ヘキシルアイオダイド、オクチルアイオダイド、n・デシルアイオダイド、n・ドデシルアイオダイド、n・テトラデシルアイオダイド、n・ヘキサデシルアイオダイド、n・オクタデシルアイオダイド等が挙げられる。アルキルアイオダイド(6)は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。アルキルアイオダイド(6)の使用量は特に制限されないが、好ましくは、4・[2・(ジメチルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)の1モルに対して、2.0・4.0モル程度、さらに好ましくは2.0・2.5モル程度である。
反応終了後、反応混合物を、有機溶媒による洗浄、再結晶などの一般的な精製手段で精製することによって、一般式(1a)
で表される第四アンモニウム塩化合物(1a)を得ることができる。第四アンモニウム塩化合物(1a)は、一般式(1)において、符号Xで示されるアニオンがヨウ素イオンである本発明の第四アンモニウム塩化合物である。
4・[2・(ジアルキルアミン)エチル]チオピリジニウム(5)とアルキルアイオダイド(6)との反応において、アルキルアイオダイド(6)に代えて、ヘキシルブロマイド、オクチルブロマイド、n・デシルブロマイド、n・ドデシルブロマイド、n・テトラデシルブロマイド、n・ヘキサデシルブロマイド等のアルキルブロマイド、ヘキシルクロリド、オクチルクロリド、n・デシルクロリド、n・ドデシルクロリド、n・テトラデシルクロリド、n・ヘキサデシルクロリド等のアルキルクロリドを用いることによって、符号Xで示されるアニオンが臭素イオン又は塩素イオンである本発明の第四アンモニウム塩化合物を得ることができる。
また、本発明において、符号Xで示されるアニオンがヨウ素イオン以外のアニオンである第四アンモニウム塩化合物(1)を得るには、例えば、第四アンモニウム塩化合物(1a)にアニオン交換を施せばよい。アニオン交換は、一般的なイオン交換の手法に従って実施できる。例えば、水中にて、第四アンモニウム塩化合物(1a)とアニオンを含む化合物とを接触させればよい。アニオンを含む化合物としては、例えば、臭素、塩素、フッ素、沃素酸、臭素酸、塩素酸、過沃素酸、過塩素酸、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸から誘導されるアニオン、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、オクタン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ソルビン酸、オレイン酸、エライジン酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシ酸類、ピルビン酸等のオキソ酸類、安息香酸、フタル酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族カルボン酸類、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸等の複素環式カルボン酸類、アミノ酸類、メタン(アルキル)スルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類、エリソルビン酸、アスコルビン酸、デヒドロ酢酸等の各種有機酸から誘導されるアニオン等が挙げられる。また、アルコラート類、フェノラート類、その他の水酸基含有有機化合物もアニオン源となり得る。
本発明の第四アンモニウム化合物(1)は、そのまま、粉末状態で用いてもよい。
また、該第四アンモニウム塩化合物(1)の粉末を適当な溶媒、例えば、水、アルコール類等に溶解又は分散し、液状にし、水溶液又は分散液の形態で用いても良い。この水溶液又は水分散液は、そのまま、消毒用殺菌剤又は抗菌剤として使用できる。その場合、該水溶液又は水分散液における第四アンモニウム塩化合物(1)の濃度は特に制限されないが、好ましくは、水溶液又は水分散液全量の0.01・20重量%である。この場合、第四アンモニウム塩化合物(1)は、1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
更に、第四アンモニウム塩化合物(1)の水溶液又は水分散液を、そのまま又は水性塗料、油性塗料等と混合し、各種物品の表面の全面又は一部に塗布又は噴霧することもできる。物品としては、紙、セラミックス、ガラス、金属、木材、合成樹脂等から選ばれる1種又は2種以上の素材からなる物品を挙げることができる。合成樹脂としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリビニルクロライド等が挙げられる。前記の各種物品には、木綿、麻、絹、ウール、羽毛等からなる繊維類を含まれる。塗布方法としては公知の方法を採用でき、例えば、刷毛塗り、浸漬、スクリーン印刷などが挙げられる。
更には、第四アンモニウム塩化合物(1)を各種合成樹脂に練りこみ、糸、繊維、フィルム、シート、ペレットその他の任意の形状に成形して用いることもできる。
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)は、抗菌性能を要求される各種用途において、従来の第四アンモニウム塩と同様に使用できる。具体的な用途としては、例えば、上水、冷却水、プール等におけるスライムコントロールのための抗菌剤又は殺菌剤、漁網、船底、水中構造物等における海藻、プランクトン、微生物の付着を防止するための抗菌剤又は殺菌剤、食品包装材、建材、農業用資材、口腔用材(歯ブラシ、練り歯磨き等)、眼鏡フレーム、衣料品、家庭用品、塗料、接着剤等に添加する抗菌剤又は殺菌剤、医薬品、医薬部外品、消毒剤、化粧品等が挙げられる。
以下に合成例、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
合成例1(本発明第四アンモニウム塩化合物(1a)の合成)
2・ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(2a)(R3=R4=メチル基)の0.17モル水溶液50mlに、4・メルカプトピリジン(3)の0.17モル水溶液100mlを滴下した後、室温で48時間反応させた。得られた反応混合物を減圧濃縮及び真空乾燥し、完全に水を除去し、得られた残渣をエタノールで洗浄し、4・{[2・(ジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム塩化水素塩(4a)(R3=R4=メチル基)20gを得た。
4・{[2・(ジアルキルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム塩化水素塩(4a)の0.078モル水溶液50mlに0.1規定水酸化ナトリウム水溶液を添加し、化合物(4a)の水溶液のpHを10に調整し、脱塩化水素化を行った。反応混合物をジエチルエーテル500mlで抽出し、ジエチルエーテルを留去し、4・[2・(ジメチルアミン)エチル]チオピリジニウム(5a)(R3=R4=メチル基)12gを得た。
次いで、4・[2・(ジメチルアミン)エチル]チオピリジニウム(5a)1.5g(0.0082モル)及びヘキシルアイオダイド(6a)(R1=R2=n・ヘキシル基)4.0g(0.019モル)を無水エチルアルコール5mlに溶解し、この溶液を耐圧樹脂フィルム製パックに充填した。このパックを、圧力溶媒(エチルアルコール:グリセリン=1:2(体積比))を満たした超高圧反応装置(商品名:YHP・92、山下技研(有)製)に入れ、80℃、80MPaの条件で24時間反応を行った。反応終了後、パックから反応混合物を取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、更にエチルアルコールとヘキサンとの混合溶媒(1:1、体積比)から再結晶を行い、1・n・ヘキシル・4・{[2・(n・ヘキシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウムジアイオダイド(1a)を製造した。
合成例2(第四アンモニウム塩化合物(1b)・(1f)の合成)
ヘキシルアイオダイド(6a)に代えて、オクチルアイオダイド、デシルアイオダイド、ドデシルアイオダイド、テトラデシルアイオダイド、ヘキサデシルアイオダイドを使用する以外は、合成例1と同様にして、下記の第四アンモニウム塩化合物を製造した。
第四アンモニウム塩化合物(1b):1・n・オクチル・4・{[2・(n・オクチルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・オクチル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1c):1・n・デシル・4・{[2・(n・デシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・デシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1d):1・n・ドデシル・4・{[2・(n・ドデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・ドデシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1e):1・n・テトラデシル・4・{[2・(n・テトラデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・テトラデシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1f):1・n・ヘキサデシル・4・{[2・(n・ヘキサデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・ヘキサデシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
下記表1に、第四アンモニウム塩化合物(1a)・(1f)の元素分析値、融点及び収率を示す。
これらの元素分析値は、理論値と0.3%以内でよく一致し、さらに逆相TLC(商品名:DC・Fertigplatten RP・18 F254S、Schichtdicke 0.25mm、メルク社製、ドイツ)の結果、全ての化合物がシングルスポットであった。
また、第四アンモニウム塩化合物(1c)の1H・NMRスペクトル(CD3OD)は次の通りである。
0.89・0.91ppm(6H,q,J=5.5Hz)、1.30・1.42ppm(28H,m)、1.82ppm(2H,m)、1.99ppm(2H,m)、3.26ppm(6H,s)、3.50ppm(2H,t,J=8.7Hz)、3.80・3.86ppm(4H,m)、4.49ppm(2H,t,J=7.6Hz)、8.01ppm(2H,d,J=7.3Hz)、8.72ppm(2H,d,J=7.1Hz)
以下の試験例において、合成例1及び2で得られた第四アンモニウム塩化合物(1a)・(1f)の静菌作用及び殺菌作用を、下記の化合物と比較した。
対照化合物:
(11)4,4’・(エチレンジチオ)ビス(1・アルキルピリジニウム アイオダイド)(以下「対照化合物(11)」という)
〔式中、mは6、8、10、12、14又は16を示す。〕
(12)N,N’・ジアルキル・N,N,N’,N’・テトラメチル・1,2・エチレンアンモニウム ジアイオダイド(以下「対照化合物(12)」という)
〔式中、mは上記に同じ。〕
試験例1(静菌スペクトル)
供試化合物として、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1c)並びに対照化合物(11c)(m=10)及び対照化合物(12e)(m=14)を用いて、下記表2に示すグラム陰性細菌5種、グラム陽性細菌4種及びカビ4種に対する最小発育阻止濃度(MIC)測定を行い、静菌スペクトルを調べた。結果を表2に示す。
なお、最小発育阻止濃度(MIC)は次のようにして測定した。
この測定は、無菌フード(クリーンベンチ、エアテック(AIRTECH)社製)内で行い、特に記載のない限り、微生物は氷冷下に保った。
まず、細菌をL・broth(トリプトン1.0%(W/V)、酵母抽出物0.5%(W/V)、塩化ナトリウム0.5%(W/V)、pH7.0・7.2)5ml中で、37℃、18時間前培養した。この菌懸濁液を分光光度計(UV・160、島津製作所)を用いて、菌懸濁液濃度が106cell/ml(OD660=0.001)となるように調整した。
供試菌が黴の場合は、サブロー寒天培地に一白金耳植菌し、7日間、30℃で培養した後、着生した胞子を生理食塩水(0.2%(W/V)、Tween・80を含む)15mlを用いてかきとった。ガーゼを詰めたチップを使用し、黴をかきとった生理食塩水溶液を濾過し、胞子懸濁液とした。この胞子懸濁液をサブロー液体培地を用いて100倍希釈した菌体を用いた。
静菌試験については、80%のエチルアルコールを用いて調製した薬剤溶液を、NB培地溶液(黴の場合はサブロー液体培地)で50倍希釈した後、2倍、10段階希釈した。次に所定濃度の希釈薬剤溶液をステンレスモルトン栓付き試験管に各々1.0mlを分注後、前述した希釈菌液をそれぞれ1.0mlを接種し、37℃で24時間(黴の場合は30℃で7日間)静置培養後、増殖の有無により最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration,MIC)を決定した。
表2から、本発明の第四アンモニウム塩化合物が、優れた静菌作用を有することが知られている対照化合物(11)及び(12)と同等の、細菌に対する静菌作用を有していることが判る。
また、カビに対する静菌活性については、本発明の第四アンモニウム塩化合物は、対照化合物(11)にはわずかに及ばないものの、対照化合物とほぼ同等であることが判る。
試験例2(静菌活性に及ぼすアルキル鎖長の影響)
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)、対照化合物(11)及び(12)の全てについて、試験例1と同様にして、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対するMICを測定した。MIC(μM)の逆数の対数値(log[1/MIC])を静菌活性と定義し、供試化合物のアルキル鎖長毎に静菌活性を求めた。結果を図1に示す。図1は、各供試化合物のアルキル鎖長と静菌活性との関係を示すグラフである。図1において、横軸は各供試化合物のアルキル鎖の炭素原子数、縦軸は静菌活性を示し、さらに●は第四アンモニウム塩化合物、◆は対照化合物(11)、▲黒四角▼は対照化合物(12)を示す。
図1から、本発明の第四アンモニウム塩化合物が、優れた静菌作用を有することが知られている対照化合物(11)及び(12)と同等又はそれ以上の、大腸菌に対する静菌作用を有していることが判る。
試験例3(殺菌活性に及ぼすアルキル鎖長の影響)
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)、対照化合物(11)及び(12)の全てについて、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対する最小殺菌濃度(MBC)を測定した。MBC(M)の逆数の対数値(log[1/MBC])を静菌活性と定義し、供試化合物のアルキル鎖長毎に静菌活性を求めた。結果を図2に示す。図2は、各供試化合物のアルキル鎖長と殺菌活性との関係を示すグラフである。図2において、横軸は各供試化合物のアルキル鎖の炭素原子数、縦軸は殺菌活性を示し、さらに●は第四アンモニウム塩化合物、◆は対照化合物(11)、▲黒四角▼は対照化合物(12)を示す。
図2から、炭素数12・16程度の第四アンモニウム塩化合物は、殺菌活性が特に強く、対照化合物(11)及び(12)と同等の殺菌活性を有することが判る。
なお、最小殺菌濃度(MBC)は次のようにして測定した。
[最小殺菌濃度(MBC)の測定]
この測定は、無菌フード(クリーンベンチ、エアテック(AIRTECH)社製)内で行い、特に記載のない限り、微生物は氷冷下に保った。
細菌をL・broth(トリプトン1.0%(W/V)、酵母抽出物0.5%(W/V)、塩化ナトリウム0.5%(W/V)、pH7.0・7.2)5ml中で、37℃、18時間前培養した。この前培養菌体5mlをNB培地(Bascto nutrient broth、Difco laboratories、USA)80mlの入った坂口フラスコに移植し、30℃で一定時間(1.5時間)培養後、対数増殖初期の菌体を得た。その菌体を遠心分離機(MODEL 50A・7、佐久間製作所)で冷却遠心分離(0℃、6000rpm、15分)により集菌後、無菌水で希釈し、分光光度計(UV・160、島津製作所)を用いて、菌懸濁液濃度が106cell/ml(OD660=0.001)となるように調整した。殺菌試験については、80%のエチルアルコールを用いて調整した薬剤溶液を、無菌水で50倍希釈した後、2倍の10段階希釈した。各薬剤1.0mlに上記の菌懸濁液1.0mlを接種し、30℃のウォーターバスシェーカー(Personal Lt・10、タイテック)内で30分間振盪培養した後、試験管から試料液0.1mlを分取し、NB培地2ml中に接種した。このNB判定培地を37℃で24時間培養し、増殖の有無を肉眼で判定し、増殖の認められない最小薬剤濃度を最小殺菌濃度(Minimum Bactericidal Concentration、MBC)とした。
試験例4(静菌活性及び殺菌活性に対する薬剤分子の疎水性の影響)
静菌活性及び殺菌活性に対する薬剤分子の疎水性の影響を調べた。供試菌としてはEscherichia coli IFO 12713を用い、供試化合物としては第四アンモニウム塩化合物(1)、対照化合物(11)及び(12)のそれぞれについて、各アルキル鎖長のものをそれぞれ用いた。
薬剤の疎水性パラメーターは、逆相型薄層クロマトグラフの移動距離から求めたRf値より算出したRM値を用いた。各供試化合物の疎水性パラメーター(RM)は、次の式に従い、各供試化合物のRf値から算出される。
RM=log(1/Rf・1)
Rf値は以下の条件で逆相TLCによって測定した。展開溶媒としてCH3CN:C2H5OH:H2O=10:9:1を使用し、展開時薄層表面から展開溶媒が蒸発すると移動度が大となるので、飽和状態にするために展開槽の内側に濾紙を張った。薄層としては逆相TLCプレートを使用し、プレートの下端を0.1・0.5cm浸し、展開を30分行った。
結果を図3及び図4に示す。図3は、各供試化合物の静菌活性と疎水性(RM)との関係を示すグラフである。図3において、縦軸は静菌活性及び横軸は各供試化合物の疎水性(RM)を示す。図4は、各供試化合物の殺菌活性と疎水性(RM)との関係を示すグラフである。図4において、縦軸は殺菌活性及び横軸は各供試化合物の疎水性(RM)を示す。また、図3及び図4において、●は第四アンモニウム塩化合物、◆は対照化合物(11)、▲黒四角▼は対照化合物(12)を示す。
図3から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、疎水性(RM)が0・0.3程度の範囲にある時に、特に高い静菌活性を有し、対照化合物(11)及び(12)よりも静菌活性が高くなることが判る。
図4から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、疎水性(RM)が0.2を超える範囲で、高い殺菌活性を示し、殺菌活性の高いことで知られる対照化合物(11)と同等であることが判る。
試験例6(温度の影響)
供試化合物として、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1c)並びに対照化合物(11c)(m=10)及び対照化合物(12e)(m=14)を用いて、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対する殺菌活性に対する殺菌温度(10、20、30又は40℃)の影響を調べた。ここで殺菌温度とは、各供試化合物を大腸菌に接触させる時の温度である。結果を図5に示す。図5は、各供試化合物の殺菌活性と殺菌温度との関係を示すグラフである。図5において、縦軸は殺菌活性及び横軸は殺菌温度を示す。また、●は第四アンモニウム塩化合物(1c)、◆は対照化合物(11c)、▲黒四角▼は対照化合物(12e)を示す。
図5から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、30・40℃程度の温度域で殺菌活性が大きく上昇し、殺菌活性の高いことで知られる供試化合物(11)と同等の殺菌活性を示した。このことは、第四アンモニウム塩化合物(1)が、微生物の活動が活発になる6・9月頃に、殺菌剤として優れた効果を発揮し得ることを示す。
試験例7(pHの影響)
供試化合物として、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1c)並びに対照化合物(11c)(m=10)及び対照化合物(12e)(m=14)を用いて、各供試化合物を大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に接触させる時のpHを5、6、7、8又は9に変化させ、大腸菌に対する殺菌活性に対するpHの影響を調べた。結果を図6に示す。図6は、各供試化合物の殺菌活性とpHとの関係を示すグラフである。図6において、縦軸は殺菌活性及び横軸はpHを示す。また、●は第四アンモニウム塩化合物(1c)、◆は対照化合物(11c)、▲黒四角▼は対照化合物(12e)を示す。
図6から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、対照化合物(11)及び(12)に比べ、酸性域でも、抗菌活性の低下が比較的少ないことが判る。このことから、第四アンモニウム塩化合物(1)が、どのようなpH域でも、ほぼ同等の殺菌活性を示すことが明らかである。
試験例8(溶血活性)
ヒトの血液を採血し、等量のアルセバー液(ブドウ糖2.05g、塩化ナトリウム0.24g、クエン酸ナトリウム0.8g、クエン酸0.55g、全量1リットル、pH6.1)と混合し、4℃に保存した。実験に用いる直前に、このアルセバー保存血を15mlのポリプロピレン製遠心管に入れ、PBS(塩化ナトリウム6.89g,Na2HPO41.42g及びKH2PO40.4gを蒸留水1リットルに溶解させた溶液、pH7.4)を加えて懸濁した後、遠心分離機(商品名:05PR・22、05ローター、(株)日立製作所製)で3000rpm、5分の遠心分離を行い、上清及び赤血球上の白血球層を取り除いた。この操作を4回繰り返した。得られた赤血球層にPBSを加え、50%赤血球を調製した。
エッペンドルフチューブにPBS890μl、供試化合物の希釈溶液(濃度3.04%)100μl及び50%赤血球10μlを加え、37℃で30分反応させた後、遠心機(商品名:kubota1920、ローターRA・50j、(株)久保田鉄工製)で、4℃、3000rpm、5分遠心分離した。その上清を、UV吸収測定器(商品名:UV・1200、(株)島津製作所製)を用いて、OD540を測定し溶血活性を算出した。100%溶血コントロールして水990μl、0%溶血コントロールとしてPBS990μlに50%赤血球を加えたものを用いた。溶血が確認された最小薬剤濃度(溶血活性5%未満)を最小溶血濃度(Minimum hemolytic Concentration、MHC)とした。また、薬剤の濃度に対する溶血活性(%)をプロットし、50%溶血活性(50% hemolttic Concentration、HC50)を決定した。
第四アンモニウム塩化合物(1)並びに対照化合物(11)及び(12)の最小溶血濃度(MHC)を表3、50%溶血活性(HC50)を表4にそれぞれ示す。
表3及び表4から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、対照化合物(11)及び(12)に比べ、人体に対する安全性が非常に高いことが判る。
合成例1(本発明第四アンモニウム塩化合物(1a)の合成)
2・ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(2a)(R3=R4=メチル基)の0.17モル水溶液50mlに、4・メルカプトピリジン(3)の0.17モル水溶液100mlを滴下した後、室温で48時間反応させた。得られた反応混合物を減圧濃縮及び真空乾燥し、完全に水を除去し、得られた残渣をエタノールで洗浄し、4・{[2・(ジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム塩化水素塩(4a)(R3=R4=メチル基)20gを得た。
4・{[2・(ジアルキルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム塩化水素塩(4a)の0.078モル水溶液50mlに0.1規定水酸化ナトリウム水溶液を添加し、化合物(4a)の水溶液のpHを10に調整し、脱塩化水素化を行った。反応混合物をジエチルエーテル500mlで抽出し、ジエチルエーテルを留去し、4・[2・(ジメチルアミン)エチル]チオピリジニウム(5a)(R3=R4=メチル基)12gを得た。
次いで、4・[2・(ジメチルアミン)エチル]チオピリジニウム(5a)1.5g(0.0082モル)及びヘキシルアイオダイド(6a)(R1=R2=n・ヘキシル基)4.0g(0.019モル)を無水エチルアルコール5mlに溶解し、この溶液を耐圧樹脂フィルム製パックに充填した。このパックを、圧力溶媒(エチルアルコール:グリセリン=1:2(体積比))を満たした超高圧反応装置(商品名:YHP・92、山下技研(有)製)に入れ、80℃、80MPaの条件で24時間反応を行った。反応終了後、パックから反応混合物を取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、更にエチルアルコールとヘキサンとの混合溶媒(1:1、体積比)から再結晶を行い、1・n・ヘキシル・4・{[2・(n・ヘキシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウムジアイオダイド(1a)を製造した。
合成例2(第四アンモニウム塩化合物(1b)・(1f)の合成)
ヘキシルアイオダイド(6a)に代えて、オクチルアイオダイド、デシルアイオダイド、ドデシルアイオダイド、テトラデシルアイオダイド、ヘキサデシルアイオダイドを使用する以外は、合成例1と同様にして、下記の第四アンモニウム塩化合物を製造した。
第四アンモニウム塩化合物(1b):1・n・オクチル・4・{[2・(n・オクチルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・オクチル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1c):1・n・デシル・4・{[2・(n・デシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・デシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1d):1・n・ドデシル・4・{[2・(n・ドデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・ドデシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1e):1・n・テトラデシル・4・{[2・(n・テトラデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・テトラデシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
第四アンモニウム塩化合物(1f):1・n・ヘキサデシル・4・{[2・(n・ヘキサデシルジメチルアンモニオ)エチル]チオ}ピリジニウム ジアイオダイド(R1=R2=n・ヘキサデシル基、R3=R4=メチル基、X=ヨウ素イオン)
下記表1に、第四アンモニウム塩化合物(1a)・(1f)の元素分析値、融点及び収率を示す。
また、第四アンモニウム塩化合物(1c)の1H・NMRスペクトル(CD3OD)は次の通りである。
0.89・0.91ppm(6H,q,J=5.5Hz)、1.30・1.42ppm(28H,m)、1.82ppm(2H,m)、1.99ppm(2H,m)、3.26ppm(6H,s)、3.50ppm(2H,t,J=8.7Hz)、3.80・3.86ppm(4H,m)、4.49ppm(2H,t,J=7.6Hz)、8.01ppm(2H,d,J=7.3Hz)、8.72ppm(2H,d,J=7.1Hz)
以下の試験例において、合成例1及び2で得られた第四アンモニウム塩化合物(1a)・(1f)の静菌作用及び殺菌作用を、下記の化合物と比較した。
対照化合物:
(11)4,4’・(エチレンジチオ)ビス(1・アルキルピリジニウム アイオダイド)(以下「対照化合物(11)」という)
(12)N,N’・ジアルキル・N,N,N’,N’・テトラメチル・1,2・エチレンアンモニウム ジアイオダイド(以下「対照化合物(12)」という)
試験例1(静菌スペクトル)
供試化合物として、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1c)並びに対照化合物(11c)(m=10)及び対照化合物(12e)(m=14)を用いて、下記表2に示すグラム陰性細菌5種、グラム陽性細菌4種及びカビ4種に対する最小発育阻止濃度(MIC)測定を行い、静菌スペクトルを調べた。結果を表2に示す。
なお、最小発育阻止濃度(MIC)は次のようにして測定した。
この測定は、無菌フード(クリーンベンチ、エアテック(AIRTECH)社製)内で行い、特に記載のない限り、微生物は氷冷下に保った。
まず、細菌をL・broth(トリプトン1.0%(W/V)、酵母抽出物0.5%(W/V)、塩化ナトリウム0.5%(W/V)、pH7.0・7.2)5ml中で、37℃、18時間前培養した。この菌懸濁液を分光光度計(UV・160、島津製作所)を用いて、菌懸濁液濃度が106cell/ml(OD660=0.001)となるように調整した。
供試菌が黴の場合は、サブロー寒天培地に一白金耳植菌し、7日間、30℃で培養した後、着生した胞子を生理食塩水(0.2%(W/V)、Tween・80を含む)15mlを用いてかきとった。ガーゼを詰めたチップを使用し、黴をかきとった生理食塩水溶液を濾過し、胞子懸濁液とした。この胞子懸濁液をサブロー液体培地を用いて100倍希釈した菌体を用いた。
静菌試験については、80%のエチルアルコールを用いて調製した薬剤溶液を、NB培地溶液(黴の場合はサブロー液体培地)で50倍希釈した後、2倍、10段階希釈した。次に所定濃度の希釈薬剤溶液をステンレスモルトン栓付き試験管に各々1.0mlを分注後、前述した希釈菌液をそれぞれ1.0mlを接種し、37℃で24時間(黴の場合は30℃で7日間)静置培養後、増殖の有無により最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration,MIC)を決定した。
また、カビに対する静菌活性については、本発明の第四アンモニウム塩化合物は、対照化合物(11)にはわずかに及ばないものの、対照化合物とほぼ同等であることが判る。
試験例2(静菌活性に及ぼすアルキル鎖長の影響)
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)、対照化合物(11)及び(12)の全てについて、試験例1と同様にして、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対するMICを測定した。MIC(μM)の逆数の対数値(log[1/MIC])を静菌活性と定義し、供試化合物のアルキル鎖長毎に静菌活性を求めた。結果を図1に示す。図1は、各供試化合物のアルキル鎖長と静菌活性との関係を示すグラフである。図1において、横軸は各供試化合物のアルキル鎖の炭素原子数、縦軸は静菌活性を示し、さらに●は第四アンモニウム塩化合物、◆は対照化合物(11)、▲黒四角▼は対照化合物(12)を示す。
図1から、本発明の第四アンモニウム塩化合物が、優れた静菌作用を有することが知られている対照化合物(11)及び(12)と同等又はそれ以上の、大腸菌に対する静菌作用を有していることが判る。
試験例3(殺菌活性に及ぼすアルキル鎖長の影響)
本発明の第四アンモニウム塩化合物(1)、対照化合物(11)及び(12)の全てについて、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対する最小殺菌濃度(MBC)を測定した。MBC(M)の逆数の対数値(log[1/MBC])を静菌活性と定義し、供試化合物のアルキル鎖長毎に静菌活性を求めた。結果を図2に示す。図2は、各供試化合物のアルキル鎖長と殺菌活性との関係を示すグラフである。図2において、横軸は各供試化合物のアルキル鎖の炭素原子数、縦軸は殺菌活性を示し、さらに●は第四アンモニウム塩化合物、◆は対照化合物(11)、▲黒四角▼は対照化合物(12)を示す。
図2から、炭素数12・16程度の第四アンモニウム塩化合物は、殺菌活性が特に強く、対照化合物(11)及び(12)と同等の殺菌活性を有することが判る。
なお、最小殺菌濃度(MBC)は次のようにして測定した。
[最小殺菌濃度(MBC)の測定]
この測定は、無菌フード(クリーンベンチ、エアテック(AIRTECH)社製)内で行い、特に記載のない限り、微生物は氷冷下に保った。
細菌をL・broth(トリプトン1.0%(W/V)、酵母抽出物0.5%(W/V)、塩化ナトリウム0.5%(W/V)、pH7.0・7.2)5ml中で、37℃、18時間前培養した。この前培養菌体5mlをNB培地(Bascto nutrient broth、Difco laboratories、USA)80mlの入った坂口フラスコに移植し、30℃で一定時間(1.5時間)培養後、対数増殖初期の菌体を得た。その菌体を遠心分離機(MODEL 50A・7、佐久間製作所)で冷却遠心分離(0℃、6000rpm、15分)により集菌後、無菌水で希釈し、分光光度計(UV・160、島津製作所)を用いて、菌懸濁液濃度が106cell/ml(OD660=0.001)となるように調整した。殺菌試験については、80%のエチルアルコールを用いて調整した薬剤溶液を、無菌水で50倍希釈した後、2倍の10段階希釈した。各薬剤1.0mlに上記の菌懸濁液1.0mlを接種し、30℃のウォーターバスシェーカー(Personal Lt・10、タイテック)内で30分間振盪培養した後、試験管から試料液0.1mlを分取し、NB培地2ml中に接種した。このNB判定培地を37℃で24時間培養し、増殖の有無を肉眼で判定し、増殖の認められない最小薬剤濃度を最小殺菌濃度(Minimum Bactericidal Concentration、MBC)とした。
試験例4(静菌活性及び殺菌活性に対する薬剤分子の疎水性の影響)
静菌活性及び殺菌活性に対する薬剤分子の疎水性の影響を調べた。供試菌としてはEscherichia coli IFO 12713を用い、供試化合物としては第四アンモニウム塩化合物(1)、対照化合物(11)及び(12)のそれぞれについて、各アルキル鎖長のものをそれぞれ用いた。
薬剤の疎水性パラメーターは、逆相型薄層クロマトグラフの移動距離から求めたRf値より算出したRM値を用いた。各供試化合物の疎水性パラメーター(RM)は、次の式に従い、各供試化合物のRf値から算出される。
RM=log(1/Rf・1)
Rf値は以下の条件で逆相TLCによって測定した。展開溶媒としてCH3CN:C2H5OH:H2O=10:9:1を使用し、展開時薄層表面から展開溶媒が蒸発すると移動度が大となるので、飽和状態にするために展開槽の内側に濾紙を張った。薄層としては逆相TLCプレートを使用し、プレートの下端を0.1・0.5cm浸し、展開を30分行った。
結果を図3及び図4に示す。図3は、各供試化合物の静菌活性と疎水性(RM)との関係を示すグラフである。図3において、縦軸は静菌活性及び横軸は各供試化合物の疎水性(RM)を示す。図4は、各供試化合物の殺菌活性と疎水性(RM)との関係を示すグラフである。図4において、縦軸は殺菌活性及び横軸は各供試化合物の疎水性(RM)を示す。また、図3及び図4において、●は第四アンモニウム塩化合物、◆は対照化合物(11)、▲黒四角▼は対照化合物(12)を示す。
図3から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、疎水性(RM)が0・0.3程度の範囲にある時に、特に高い静菌活性を有し、対照化合物(11)及び(12)よりも静菌活性が高くなることが判る。
図4から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、疎水性(RM)が0.2を超える範囲で、高い殺菌活性を示し、殺菌活性の高いことで知られる対照化合物(11)と同等であることが判る。
試験例6(温度の影響)
供試化合物として、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1c)並びに対照化合物(11c)(m=10)及び対照化合物(12e)(m=14)を用いて、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対する殺菌活性に対する殺菌温度(10、20、30又は40℃)の影響を調べた。ここで殺菌温度とは、各供試化合物を大腸菌に接触させる時の温度である。結果を図5に示す。図5は、各供試化合物の殺菌活性と殺菌温度との関係を示すグラフである。図5において、縦軸は殺菌活性及び横軸は殺菌温度を示す。また、●は第四アンモニウム塩化合物(1c)、◆は対照化合物(11c)、▲黒四角▼は対照化合物(12e)を示す。
図5から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、30・40℃程度の温度域で殺菌活性が大きく上昇し、殺菌活性の高いことで知られる供試化合物(11)と同等の殺菌活性を示した。このことは、第四アンモニウム塩化合物(1)が、微生物の活動が活発になる6・9月頃に、殺菌剤として優れた効果を発揮し得ることを示す。
試験例7(pHの影響)
供試化合物として、本発明の第四アンモニウム塩化合物(1c)並びに対照化合物(11c)(m=10)及び対照化合物(12e)(m=14)を用いて、各供試化合物を大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に接触させる時のpHを5、6、7、8又は9に変化させ、大腸菌に対する殺菌活性に対するpHの影響を調べた。結果を図6に示す。図6は、各供試化合物の殺菌活性とpHとの関係を示すグラフである。図6において、縦軸は殺菌活性及び横軸はpHを示す。また、●は第四アンモニウム塩化合物(1c)、◆は対照化合物(11c)、▲黒四角▼は対照化合物(12e)を示す。
図6から、第四アンモニウム塩化合物(1)は、対照化合物(11)及び(12)に比べ、酸性域でも、抗菌活性の低下が比較的少ないことが判る。このことから、第四アンモニウム塩化合物(1)が、どのようなpH域でも、ほぼ同等の殺菌活性を示すことが明らかである。
試験例8(溶血活性)
ヒトの血液を採血し、等量のアルセバー液(ブドウ糖2.05g、塩化ナトリウム0.24g、クエン酸ナトリウム0.8g、クエン酸0.55g、全量1リットル、pH6.1)と混合し、4℃に保存した。実験に用いる直前に、このアルセバー保存血を15mlのポリプロピレン製遠心管に入れ、PBS(塩化ナトリウム6.89g,Na2HPO41.42g及びKH2PO40.4gを蒸留水1リットルに溶解させた溶液、pH7.4)を加えて懸濁した後、遠心分離機(商品名:05PR・22、05ローター、(株)日立製作所製)で3000rpm、5分の遠心分離を行い、上清及び赤血球上の白血球層を取り除いた。この操作を4回繰り返した。得られた赤血球層にPBSを加え、50%赤血球を調製した。
エッペンドルフチューブにPBS890μl、供試化合物の希釈溶液(濃度3.04%)100μl及び50%赤血球10μlを加え、37℃で30分反応させた後、遠心機(商品名:kubota1920、ローターRA・50j、(株)久保田鉄工製)で、4℃、3000rpm、5分遠心分離した。その上清を、UV吸収測定器(商品名:UV・1200、(株)島津製作所製)を用いて、OD540を測定し溶血活性を算出した。100%溶血コントロールして水990μl、0%溶血コントロールとしてPBS990μlに50%赤血球を加えたものを用いた。溶血が確認された最小薬剤濃度(溶血活性5%未満)を最小溶血濃度(Minimum hemolytic Concentration、MHC)とした。また、薬剤の濃度に対する溶血活性(%)をプロットし、50%溶血活性(50% hemolttic Concentration、HC50)を決定した。
第四アンモニウム塩化合物(1)並びに対照化合物(11)及び(12)の最小溶血濃度(MHC)を表3、50%溶血活性(HC50)を表4にそれぞれ示す。
Claims (4)
- 一般式
で表される第四アンモニウム塩化合物。 - R1及びR2が同一又は異なって、炭素数6・16の直鎖状アルキル基である請求項1記載の第四アンモニウム塩化合物。
- R3及びR4がいずれもメチル基又はエチル基である請求項1又は2記載の第四アンモニウム塩化合物。
- 請求項1・3の第四アンモニウム塩化合物のいずれか1つを含有する抗菌剤。
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JP2004290749A JP2006070010A (ja) | 2004-09-01 | 2004-09-01 | 第四アンモニウム塩化合物及び抗菌剤 |
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CN116283751A (zh) * | 2023-03-17 | 2023-06-23 | 胜利油田物华化工厂 | 一种用于污水处理的杀菌剂及合成方法 |
-
2004
- 2004-09-01 JP JP2004290749A patent/JP2006070010A/ja active Pending
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