JP2006067947A - 細胞増殖を制御する遺伝子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミントランスポーターをより特異的に認識して輸送する遺伝子を含有する組み換えベクター、及び、それを含有する細胞増殖抑制剤、細胞増殖促進剤を提供すること。
【解決手段】下記(a)乃至(c)のいずれかのDNAを含有する組み換えベクターとする。(a)出芽酵母由来の特定の塩基配列からなるDNA。(b)該塩基配列と相補的配列からなるDNA。(c)上記(a)又は(b)の塩基配列と20%以上の相同性を有するDNA。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞増殖を制御する遺伝子に関し、特に、ポリアミンをより特異的に認識する遺伝子に関する。
ポリアミンは原核生物から真核生物まで生物に普遍的に存在する生理活性アミンであり、細胞内に存在する代表的なポリアミンとしては、プトレスシン(PUT)、スペルミジン(SPD)、スペルミン(SPM)の3種が挙げられる。
細胞内のポリアミン濃度は、オルニチン脱炭酸酵素(ODC)をはじめとしたポリアミン生合成酵素群による「生合成」、ポリアミン分解酵素群による「分解」、そして細胞内への取り込みおよび細胞外への排出といった「輸送」、を通じて厳密に制御されており、ポリアミンが枯渇すると細胞増殖の停止が起こる。このことからポリアミンは細胞増殖必須因子であると考えられている。なお、ポリアミンは核酸、特にRNAとの相互作用によりタンパク質合成を促進し細胞増殖を促進すると考えられている。
なお、出芽酵母(Saccharomyces
cerevisiae)において、ポリアミンを輸送するトランスポーターに関する報告が例えば下記非特許文献1、2によってなされている。
J Biol Chem 274,3265-3267, 1999 Biochem BiophysRes Commun 315, 1082-1087, 2004
しかしながら、上記非特許文献の報告に記載されたトランスポーターは、いずれもポリアミンを特異的に認識して細胞内ポリアミン量の調節を担うトランスポーターではないと考えられる。即ち、これらのトランスポーターだけでは輸送による細胞内ポリアミン量の調節機構の詳細を解析することが極めて困難である。従って、ポリアミンをより特異的に認識し細胞内ポリアミン量の調節を担うトランスポーターの遺伝子を単離して詳細な輸送機構の解析を可能とすることが望まれる。特にポリアミンを特異的に認識して輸送するトランスポーターをクローニングすることができれば、細胞増殖の制御も期待できる。
従って、本発明は上記の課題を鑑みなされたものであって、ポリアミンをより特異的に認識して輸送する遺伝子の特定、及び、それを含有する細胞増殖抑制剤、細胞増殖促進剤の提供を目的の一つとする。
まず第一の手段として、下記の(a)乃至(c)のいずれかのDNAを含有する組み換えベクターとする。
(a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA。
(b)配列番号1記載の塩基配列と相補的配列からなるDNA。
(c)上記(a)又は(b)の塩基配列と20%以上の相同性を有するDNA。
なおこの手段において、この組み換えベクターを含む形質転換体とすること、形質転換体は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞又は原核細胞であること、も望ましい。
また、第二の手段として、下記の(a)又は(b)のタンパク質をコードするDNAを含有する組み換えベクターとする。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と20%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、ポリアミンを輸送する能力を有するタンパク質。
なおこの手段において、この組み換えベクターを含む形質転換体とすること、この形質転換体は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞又は原核細胞であること、も望ましい。
また、第三の手段として、下記の(a)乃至(d)のいずれかのDNAを含む成長抑制剤とする。
(a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA。
(b)配列番号1記載の塩基配列と相補的配列からなるDNA。
(c)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(d)上記(a)、(b)、(c)いずれかのDNAの塩基配列と20%以上の相同性を有するDNA。
なおこの手段において、成長抑制剤は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞、原核細胞の少なくともいずれかの成長を抑制することも望ましい。
また、第四の手段として、下記の(a)乃至(d)のいずれかのDNAと相補的配列からなるRNA若しくは修飾RNAを含む成長促進剤とする。
(a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA。
(b)配列番号1記載の塩基配列と相補的配列からなるDNA。
(c)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(d)(a)、(b)、(c)いずれかのDNAの塩基配列と20%以上の相同性を有するDNA。
なおこの手段において、成長促進剤は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞、原核細胞の少なくともいずれかの成長を促進すること、も望ましい。
また、第五の手段として、下記(a)、(b)に記載のタンパク質、該タンパク質の特異抗体、該タンパク質の機能促進物質若しくは機能抑制物質の少なくともいずれかを用いて、前記タンパク質の有するポリアミンを輸送する能力を変調させる方法とする。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と20%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、ポリアミンを輸送する能力を有するタンパク質。
前記のとおり、ポリアミントランスポーター遺伝子は、細胞増殖に必須であるポリアミンの細胞内濃度調節に関与する遺伝子であり、そのDNAがコードするタンパク質が有するポリアミンおよびその類似物質の輸送能力を変調させることによって、細胞増殖を制御することができるものと期待される。
YKL174c DNAは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の第11番染色体に存在し、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリアミンのトランスポーターをコードする。さらに詳しく言うと、このYKL174c遺伝子はそのcDNAにおいて配列番号1の塩基配列を有する。なお、このYKL174c DNAには、それがコードするタンパク質の発現に対する制御領域(プロモーター/エンハンサー、サプレッサー等)が含まれ、これらの発現制御領域はYKL174cタンパク質の機能や、あるいはYKL174c遺伝子の発現制御因子の探索に有用である。
またYKL174c DNAは、例えば配列番号1の塩基配列またはその一部配列からなるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをプローブとして、出芽酵母ゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。得られたゲノム遺伝子は、例えば、PCR (Polymerase
Chain Reaction)法、NASBN (Nucleic
acid sequence based amplification)法、TMA (Transcription-mediated amplification)法およびSDA (Strand Displacement
Amplification)法などの通常行われる遺伝子増幅法により増幅することができる。
またこれに関するポリヌクレオチドは、酵母細胞から単離したゲノムDNAやmRNAから公知の方法により精製することによってDNA断片やRNA断片として得ることができる。また、cDNAは酵母細胞から抽出したポリ(A)+RNAを鋳型として、公知の方法(Mol Cell Biol 2, 161-170, 1982; Gene 150,
243-250, 1994)を用いて合成することができる。あるいは、オリゴヌクレオチドをプライマーとして、酵母細胞から単離したmRNAを鋳型とするRT-PCR法を用いて、目的cDNAを合成することもできる。このようにして調製されるcDNAは、具体的には配列番号1の塩基配列を有している。なお、一般に真核生物の遺伝子は個体差による多型が頻繁に認められる。したがって配列番号1の塩基配列において、1または複数個(10以下)のヌクレオチドの欠失、付加および/または他のヌクレオチドによる置換がなされているポリヌクレオチドもこの発明のポリヌクレオチド(cDNA)の範囲に含まれる。
またYKL174c DNAを含有する組み換えベクターは、その使用目的に応じて適宜のものを使用することができ、形質転換体を実現できる。例えば、cDNAまたはそのOpen Reading Frame(以下ORFと表記する)領域をインサートとして形質転換に使用する場合には、作用するプロモーター配列等を備えたプラスミドベクター等を使用する。
また、このポリアミンのトランスポーターに変調を加え、各種細胞の増殖を制御することができる。つまり、このトランスポーターはポリアミン排出活性を亢進させるため、細胞内でこの遺伝子を過剰発現させることで、トランスポーターを大量に生産し細胞内のポリアミン濃度を低下させることができると期待される。また一方、このポリアミントランスポーターの遺伝子を欠損等して機能を抑制すれば、トランスポーターの生産を抑えて細胞外へのポリアミンの排出を抑え、細胞増殖を促進させることができる。
なおYKL174c DNAの塩基配列については配列番号1にて示しているが、コードするタンパク質がポリアミンおよびその類似物質を輸送する能力を有する程度の相同性を有していれば足り、例えば真菌類においては通常50%、好ましくは60%以上の、植物においては通常30%、好ましくは40%以上の、動物、原核生物においては通常20%以上、好ましくは30%以上の相同性を有していればよく、このような相同性を有することで、これらがコードするタンパク質がポリアミン及びその類似物質を輸送する能力を有し得、真菌類、植物、動物、原核生物へそれぞれ応用が可能である。特に、動物や真菌類において細胞増殖を抑制する機能を利用すれば癌細胞やカビ等の各種細胞の増殖を抑制することができると期待され、植物において細胞増殖を促進する機能を利用すれば農作物等の植物の生長促進に有用であると期待される。
なお、配列番号1で示される塩基配列からなるDNAに対して1若しくは数個の塩基の欠失、置換又は付加された塩基配列を有し、配列番号1に記載の塩基配列で示されるDNAとハイブリダイズすることが望ましいともいえる。
また、上記の別の観点として、配列番号2で示されるアミノ酸配列はポリアミンを輸送する能力を有するが、1もしくは数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であっても、ポリアミン輸送活性が失われない程度であればよい。
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
(YKL174c DNAのクローニング)
まず、出芽酵母細胞よりゲノムDNAを抽出し、出芽酵母データベースSaccharomyces
Genome Database (URL :http://genome-www.stanford.edu/Saccharomyces/)の情報を参考にしてYKL174cのDNA(以下単に「YKL174c DNA」という。)を特定した。そしてそのYKL174c DNAの全長ORFおよびプロモーター領域を含むように、Hind IIIサイトを有する合成プライマーHind III-YKL174cF(配列番号3)およびBamHIサイトを有するBamHI-YKL174cR(配列番号4)を設計し、先ほど抽出したゲノムDNAを鋳型としてゲノムPCRを行い、YKL174c DNAの全長ORFおよびプロモーター領域を含むDNA断片を単離した。
そして、単離したDNA断片を既に構築されたHind III、BamHIサイトで切断し、マルチコピーベクターYEp352のHind III、BamHIサイトにライゲーションした。YKL174c DNAのクローニングは、シークエンスを行い、塩基配列を決定することで確認した。
配列番号1にYKL174c DNAの塩基配列を、配列番号2にYKL174cタンパク質のアミノ酸配列を示す。
なお、ゲノムDNAは以下の方法に従って抽出した。
出芽酵母X2180-1A株をYPD培地、30℃で定常期まで培養し、遠心後上清を取り除き、酵母細胞をTris-SO4
(pH 9.3)に懸濁した。次に2-melcaptoethanol(最終濃度0.56M)を加えて5分間処理し、遠心後、細胞を1M Sorbitolに懸濁した。そして最終濃度5 mg/ml Zymolyase 20Tを加え、30℃で30分間加温し、遠心後、細胞をLysis buffer (0.2 M NaCl, 10
mM EDTA, 5% SDS, 50mM Tris-HCl, pH 8.0)に懸濁し、最終濃度100 mg/ml Proteinase Kを加え、60℃で20分間処理した。更に、フェノール/クロロホルム処理を行い、エタノール沈殿後、TE buffer (pH 8.0)に溶解し、RNase Aで処理したものをゲノムDNAとして用いた。
(YKL174c過剰発現株における細胞内へのポリアミン取り込み活性の測定)
まず、出芽酵母YPH499株に、YKL174c DNAがライゲーションされたマルチコピーベクター(以下「YEp352YKL174c」)を酢酸リチウム法(J Bacteriol 153, 163-168,
1983)を用いて導入した(以下、この株を「YKL174c過剰発現株」という。)。また、比較対象としてYKL174c DNAをライゲーションしていないマルチコピーベクターYEp352を、YPH499株に同様に酢酸リチウム法を用いて導入した(以下、この株を「YEp352導入株」という。)。
次に、作製したYKL174c過剰発現株及びYEp352導入株それぞれを、マグネシウム濃度を通常の2 mMから50 mMに低下させた完全合成培地(Biochem Biophys Acta 1194,
289-295, 1194)中で対数増殖期まで培養し、その培養液を遠心し、上清を取り除き、適量のNa-HEPES buffer
(10 mM Glucose, 20 mM Na-HEPES, pH 7.2)で3回洗浄した後、同bufferで細胞を懸濁し、その懸濁液を0.5mlずつ3つ分取し、更にそれぞれに同buffer 2.0 mlを加えた。そして30°C、5分間インキュベーションした後、そのそれぞれに、[14C]プトレスシン(37MBq/mmol)、[14C]スペルミジン(37MBq/mmol)、 [14C]スペルミン(37MBq/mmol)を最終濃度がそれぞれ0.5 mM、0.1 mM、0.1 mMになるように添加し、反応を開始した。細胞は一定時間ごとに反応液0.5 mlを分取し、membrane filter (cellulose
acetate, pore size 0.45 mm ; Adovantec) でろ過することにより回収し、細胞に取り込まれたポリアミンの放射活性を液体シンチレーションカウンターを用いて測定した。
その結果を図1に示す。図1は加えたポリアミンの細胞内への取り込み活性を測定した結果であり、図1(a)は[14C]プトレスシン(以下「PUT」という。)を、図2(b)は[14C]スペルミジン(以下「SPD」という。)を、図1(c)は [14C]スペルミン(以下「SPM」という)をそれぞれ加えた場合の結果を示す図である。なお各図中、横軸は時間(分)を、縦軸は細胞内に取り込まれたポリアミンの量をmg proteinあたりの量で示している。また図中、●はYKL174c過剰発現株を、○はYEp352導入株を夫々示している。
この結果、YEp352導入株では60分後の細胞内に取り込まれたポリアミンの量は、PUT:117 nmol/mg protein、SPD:119 nmol/mg protein、SPM:74 nmol/mg proteinであったのに対し、YKL174c導入株では、PUT:75 nmol/mg protein、SPD:85 nmol/mg protein、SPM:78 nmol/mg proteinであり、YKL174c導入株はYEp352導入株に比べてPUT及びSPDの細胞内への取り込みを減少させることが確認できた。
(YKL174c欠損株における細胞内へのポリアミン取り込み活性の測定)
一方、組み換えDNA技術を用いて、上記の方法で抽出した出芽酵母細胞のゲノムDNAからYKL174c DNAの全長ORFおよびプロモーター領域をすべて含むフラグメントを制限酵素PstIで切断し、切断部位に約1.2 KbのTRP1遺伝子断片(PstIで切り出される遺伝子断片)を挿入した。
この組み換え遺伝子断片のうち、制限酵素BamHIとHind IIIで切り出される約4 Kbの遺伝子断片をYPH499株に形質転換し、トリプトファンを含まない培地で生育する株を得た。この株のYKL174c遺伝子座で遺伝子組み換えが起こっていることはゲノムPCR解析で確認し、YKL174c遺伝子欠損株とした。
なお、YKL174c欠損株に対する比較株としては、その親株(YPH499株)を用いた。
そして先のYKL174c発現株に対して行った測定と同様、YKL174c欠損株を用いてポリアミン取り込み活性を測定した。
その結果を図2に示す。図2は図1と同様、加えたポリアミンの細胞内への取り込み活性を測定した結果であり、図2(a)はPUTを、図2(b)はSPDを、図2(c)はSPMを、それぞれ加えた場合の結果を示す図である。なお図2(a)、(b)のそれぞれの縦軸、横軸は図1と同様である。なお図中、●はYKL174c欠損株を、○は親株をそれぞれ示している。
この結果、親株では60分後の細胞内に取り込まれたポリアミンの量は、PUT:159 nmol/mg protein、SPD:81 nmol/mg protein、SPM:39 nmol/mg proteinであったのに対し、YKL174c欠損株ではPUT:217 nmol/mg protein、SPD:96 nmol/mg protein、SPM:46 nmol/mg proteinであり、YKL174c欠損株は親株に比べてPUT、SPDの細胞内への取り込みを増加させることが確認できた。
(細胞増殖に対するYKL174c遺伝子欠損の効果)
先に作製したYKL174c欠損株、親株をそれぞれ試験管中で培養し、YKL174c欠損株の細胞増殖の効果を調べた。なお試験管中での培養は、マグネシウム濃度を通常の2 mMから50 mMに低下させた完全合成培地を用い、30℃で行った。細胞増殖は波長540 nmの光に対する吸光度(A540)を測定して求めた。
その結果を図3に示す。図3中、縦軸は吸光度(A540)、横軸は時間(時間)をそれぞれ示しており、●は図2と同様、YKL174欠損株を、○は親株をそれぞれ示す。
図3に示す結果おいて、A540が1.0に到達するまでの時間を比較すると、親株ではおよそ50時間かかっていたのに対し、YKL174c欠損株では約20時間であった。即ち、YKL174c欠損株は親株に比べ、増殖速度が2倍以上に増加していた。
(細胞内ポリアミン量に対するYKL174c欠損株の効果)
先に作製したYKL174c欠損株、親株をそれぞれ試験管中でPUTを加えて培養し、細胞内へのポリアミンの蓄積に対する効果について検討を行った。なお試験管中での培養は、マグネシウム濃度を通常の2 mMから50 mMに低下させた完全合成培地5 ml中にプトレスシンを0 mM、0.3 mM、1 mMになるように加え、対数増殖期まで培養することで行った。遠心後、プトレスシンを加えていない同培地にて3回洗浄し、細胞を1 mlの10%TCAで懸濁した。70°Cで1時間処理後、遠心した上清と0.5 mlの10%TCAで洗浄した上清を合わせて細胞全体の画分とした。なおポリアミンの定量は五十嵐らの方法に従い行った(J.
Bacteriol. 166, 128-134, 1986)。高速液体クロマトグラフィーを用いて、TSK gel Polyaminepak (4.6 × 50 mm)カラムをBuffer II (2 M NaCl, 20 %
methanol, 0.35 M Na-citrate, pH 5.3)で平衡化し、50°C、0.42 ml/minの条件で分離を行なった。分離されたポリアミンはOPA buffer (0.06 %
o-phthalaldehyde,
37 mM b-mercaptoethanol,
0.1 % Briji-35, 0.4 M boric acid-KOH, pH 10.4)を0.4 ml/minの割合で溶離液と混合し、50°Cで反応させ、励起波長336 nm、蛍光波長470 nmの条件で蛍光強度を測定することで定量した。
その結果を図4に示す。図4はYKL174c欠損株がポリアミンを細胞内へ蓄積する量を測定した結果を示す図であり、図4(a)はPUTを加えていない場合を、図4(b)はPUTを0.3mM加えた場合を、図4(c)はPUTを1.0mM加えた場合をそれぞれ示している。なお図の縦軸はいずれも、細胞内に取り込まれたポリアミンの量をmg proteinあたりの量で示している。また図中、□は親株を、■はYKL174c欠損株の結果を夫々示している。
図4によると、細胞内のPUTの量は、親株においてはそれぞれ3.0 nmol/mg
protein、8.1 nmol/mg
protein 、15.1 nmol/mg
proteinであったのに対し、YKL174c欠損株では21.5 nmol/mg protein 、29.0 nmol/mg protein、 61.1 nmol/mg proteinであった。これにより、いずれの条件下であっても、YKL174c欠損株は親株に比べてPUTの細胞内への蓄積が多いことが確認された。
YKL174c過剰発現株とYEp352導入株のポリアミン取り込み活性を測定した図。 YKL174c欠損株とその親株のポリアミン取り込み活性を測定した図。 細胞増殖に対するYKL174c遺伝子欠損の効果を検討した図。 細胞内ポリアミン量に対するYKL174c遺伝子欠損の効果を測定した図。

Claims (13)

  1. 下記の(a)乃至(c)のいずれかのDNAを含有する組み換えベクター。
    (a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA。
    (b)配列番号1記載の塩基配列と相補的配列からなるDNA。
    (c)上記(a)又は(b)の塩基配列と20%以上の相同性を有するDNA。
  2. 請求項1に記載の組み換えベクターを含む形質転換体。
  3. 前記形質転換体は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞又は原核細胞であることを特徴とする請求項2記載の形質転換体。
  4. 出芽酵母(Saccharomyces
    cerevisiae)の第11番染色体に存在し、かつ、配列番号1に記載されるDNAを含有する組み換えベクター。
  5. 下記の(a)又は(b)のタンパク質をコードするDNAを含有する組み換えベクター。
    (a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列と20%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、ポリアミンを輸送する能力を有するタンパク質。
  6. 請求項5に記載の組み換えベクターを含む形質転換体。
  7. 前記形質転換体は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞又は原核細胞であることを特徴とする請求項5記載の形質転換体。
  8. 前記DNAは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の第11番染色体に存在することを特徴とする請求項5記載の組み換えベクター。
  9. 下記の(a)乃至(d)のいずれかのDNAを含む成長抑制剤。
    (a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA。
    (b)配列番号1記載の塩基配列と相補的配列からなるDNA。
    (c)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (d)上記(a)、(b)、(c)いずれかのDNAの塩基配列と20%以上の相同性を有するDNA。
  10. 前記成長抑制剤は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞、原核細胞の少なくともいずれかの成長を抑制する請求項9記載の成長抑制剤。
  11. 下記の(a)乃至(d)のいずれかのDNA又は相補的配列からなるRNAのいずれかを含む成長促進剤。
    (a)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA。
    (b)配列番号1記載の塩基配列と相補的配列からなるDNA。
    (c)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (d)(a)、(b)、(c)いずれかのDNAの塩基配列と20%以上の相同性を有するDNA。
  12. 前記成長促進剤は、植物細胞、動物細胞、真菌細胞、原核細胞の少なくともいずれかの成長を促進する請求項11記載の成長促進剤。
  13. 請求項5の(a)、(b)いずれかに記載のタンパク質、該タンパク質の特異抗体、前記タンパク質の機能促進物質若しくは機能抑制物質のいずれかを用いて、前記タンパク質の有するポリアミンを輸送する能力を変調させることにより、細胞増殖を制御させる方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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