JP2006064480A - 異常部判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 OTDRで得られた波形を用いて光ファイバの異常部を検出する際に、まず、有効範囲を決定する。この際、OTDR波形を所定幅の複数の区間aiに分割して、各区間ai内の区間標準偏差siが閾値を超え、その閾値を超える区間が連続するとき、この連続する直前区間の最後の区間aiの終点を有効範囲の終点PEとして以後の区間を有効範囲から除外する。また、連続する所定数の区間aiにおいて、各区間内の傾きkiが範囲K1A〜K1Bに実質的に一致するとき、その最初の区間aiの始点を有効範囲の始PSとする。そして、有効範囲全体の波形の傾きK2を算出する。この全体の傾きK2と、各区間内の傾きkiとを比較して、差が所定値以上となる部分を異常部として検出する。
【選択図】 図1
Description
入射した光パルスの散乱光は、光ファイバの屈折率分布が不均一であることに起因して生じ、入射端に戻ってきたレーリ散乱光は後方レーリ散乱光(Reyleigh backscattering)と呼ばれる。入射した光パルスの反射光は、コネクタ接続点等の屈折率の不連続点に起因する反射光であり、フレネル反射(Fresnel reflection)と呼ばれる。
光ファイバの伝送損失は後方レーリ散乱光の傾き(A/L)によって算出される。また、接続損失は後方レーリ散乱光の段差B、そして反射減衰量はフレネル反射のレベルCをもとにそれぞれ算出される。
(株)オプトロニクス社発行 三木哲也、須藤昭一編「光通信技術ハンドブック」 第385頁
しかしながら、OTDRによる測定波形はノイズと異常部との見分けがつきにくく、異常部を目視によって検出するのに熟練を要する。このため、作業者の熟練度によって、異常部が検出されるか否かにバラつきが生じるという問題があった。また、未熟練者が検出作業を行った場合には、良品の光ファイバを不良品と誤判断して、良品が廃棄される場合があるという不都合があった。
si= (1/nΣy2)1/2
〔yは、区間内のプロットの近似直線(傾きki)と各プロットとの偏差を示す。nは、区間内のプロット数を示す。〕
まず、異常部の検出を行う前に、OTDRにより光ファイバ内で生じる散乱光、反射光の受光パワーを測定し、OTDRによる測定波形(以後、「OTDR波形」という。)を取得する。図8に、OTDR波形を得るためのOTDR10の概略構成図を示す。OTDR波形を取得するには、図8に示すOTDR10にボビン巻きの被測定光ファイバ12の一方端(上口端)を接続し、パルス発生器11によって光源13からの光パルスを発生させ、発生した光パルスを光方向性結合器15を介して、被測定光ファイバ12に入射する。
si= (1/nΣy2)1/2
始点PSの決定(ステップS4)について、図4に基づいて説明する。図4は、上口端付近のOTDR波形を示している。図4に示すように、OTDR波形の上口端側付近では、入射端に起因するフレネル反射光41が観測された後、徐々に一定の傾きK1に近づいていく。
kp-2,kp-1>K1B、
K1B≧kp, kp+1, kp+2≧K1A
である場合、区間apの始点をOTDR波形全体の有効範囲の始点PSと決定する。
終点PEの決定は、ステップS2で求めた区間標準偏差siが、所定の回数連続して閾値S1を超えたときに、その連続する区間aiの直前の区間の終点を有効範囲の終点PEとする。
sq-2, sq-1, sq≦0.03、
sq+1, sq+2, sq+3>0.03
である場合、閾値S1=0.03を超える直前の区間である区間aqの終点を終点PEと決定する。
閾値S1は、測定に用いるOTDRの直線性の性能により決定することができ、例えば0.015〜0.030dBの範囲とするのが望ましい。このS1はOTDRの性能を確認し、OTDR毎に異なる値を用いるのがよい。
所定値K3は、OTDRの性能及び光ファイバに許容される異常部の大きさによって決定することができ、例えば0.015〜0.030dBの範囲とするのが望ましい。この所定値K3は、検品する光ファイバの特性等によって、適宜設定することができる。
また、光ファイバの他方端(下口端)からも光パルスを入射してOTDR波形を得て、以上のステップSSからステップSEまでを繰り返し、異常部の検出を行う。
OTDR波形には、「うねり」と呼ばれる低周期なノイズ波形が発生することがあるが、このように有効範囲における区間ロスkiのバラつきに基づいて異常部の判定をすることにより、うねりの発生を考慮して異常部か否か判断できる。従って、異常部でない区間を異常部として誤判断することを防止し、より一層安定した異常部の検出を行うことができる。
具体的に標準偏差σに基づいて異常部の判定をするには、Xiとσとを比較して、異常部か否かを判断する。つまり、ステップS7のXiとK3との比較に加えて、Xiが例えば3σより大きいか否かも合わせて判断する。
一方、区間傾きkiの標準偏差σが大きい場合(有効範囲にわたって区間ロスkiの変動が大きく、うねりが大きい場合)は、Xiが閾値K3以上(Xi≧K3)でも、Xi<3σであれば異常部と判断しない。
全長50001mの光ファイバの上口端を図8に示すOTDR10に接続し、測定波長を0.85μmとしてOTDR波形を測定した。
OTDR波形を取得した後、区間の幅を1000mとして、OTDR波形を上口端から100個に区間分割した。区間分割する際に、区間幅の半分(500m)をオーバーラップさせた。各区間毎に、区間ロス及び区間標準偏差を算出し、これらのデータを下記表1に示す区間データテーブルにまとめた。
上記(1)で決定した有効範囲(1500〜25500m)内の全体ロスを算出し、有効範囲内における区間ロスの分布から標準偏差σを算出した。また、全体ロスと有効範囲における各区間ロスとの差Xiと比較して、異常部を検出した。以下に該当する区間を異常部として検出することとした。
・Xiが、0.02dB/km以上であり、かつ3σ以上である区間。
・Xiが、0.01〜0.02dB/kmであり、かつ3σ以上である区間。
この結果、39番目の区間及び40番目の区間を異常部がある区間として検出した。この結果を下記表2に示す。
K2 全体ロス(有効範囲全体の傾き)
ki 区間ロス(区間内の傾き)
PE 終点
PS 始点
S1 閾値
si 区間標準偏差
σ 区間ロスの標準偏差(区間内の傾きのバラつき)
Claims (4)
- OTDRにより測定した測定波形から、光ファイバの異常部を検出するための有効範囲を決定し、光ファイバの異常部を判定を行う異常部判定方法であって、
前記有効範囲を決定するに際し、
前記測定波形を所定幅の区間に複数分割して、区間毎に区間内の傾きkiと下記式で表される区間標準偏差siとを算出し、
前記区間標準偏差siが閾値を超えている区間が、所定回数連続するとき、
その連続する区間の直前区間の終点を前記有効範囲の終点とすることを特徴とする異常部判定方法。
si= (1/nΣy2)1/2
〔yは、区間内のプロットの近似直線(傾きki)と各プロットとの偏差を示す。nは、区間内のプロット数を示す。〕 - 前記区間内の傾きkiが予め想定された範囲である区間が、測定波形の最も入射端側で所定回数連続するとき、
その連続する区間における最初の区間の始点を前記有効範囲の始点とすることを特徴とする請求項1に記載の異常部判定方法。 - 前記有効範囲全体の測定波形の傾きを算出し、
前記有効範囲全体の傾きと前記有効範囲内における区間内の傾きとの差が所定値以上である区間を検出し、前記所定値以上である区間を異常部と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の異常部判定方法。 - 前記有効範囲全体の測定波形の傾きを算出し、
前記有効範囲全体の傾きと前記有効範囲内における区間内の傾きとの差が所定値以上である区間を検出し、
前記有効範囲内における区間内の傾きの標準偏差に基づいて、前記所定値以上である区間を光ファイバの異常部と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の異常部判定方法。
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