JP2006062889A - 炭素質物質およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、新規な炭素質物質の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の炭素質物質の製造方法は、紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理する方法である。紙は、段ボール紙、ボール紙、ケント紙、新聞紙などを採用できる。賦活処理は、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、空気などの雰囲気中で、原料を加熱することにより行う。また、賦活処理は、K2CO3、NaOH、またはこれらの混合物の共存下で、原料を加熱することにより行う。炭化処理は、窒素、ヘリウム、アルゴン、またはこれらの混合物からなる雰囲気中で、原料を加熱することにより行う。水熱処理は、添加剤およぴアルカリ水溶液の共存下で、原料を加熱することにより行う。また、水熱処理は、原料にアルカリ水溶液を含浸した後に、加熱することにより行う。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の炭素質物質の製造方法は、紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理する方法である。紙は、段ボール紙、ボール紙、ケント紙、新聞紙などを採用できる。賦活処理は、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、空気などの雰囲気中で、原料を加熱することにより行う。また、賦活処理は、K2CO3、NaOH、またはこれらの混合物の共存下で、原料を加熱することにより行う。炭化処理は、窒素、ヘリウム、アルゴン、またはこれらの混合物からなる雰囲気中で、原料を加熱することにより行う。水熱処理は、添加剤およぴアルカリ水溶液の共存下で、原料を加熱することにより行う。また、水熱処理は、原料にアルカリ水溶液を含浸した後に、加熱することにより行う。
【選択図】 なし
Description
本発明は、炭素質物質に関する。また、本発明は、炭素質物質の製造方法に関する。
従来、活性炭については、様々な工業原料からの製造に止まらず様々な有機質の産業廃棄物を利用した製造法が提案されている。
岡田らにより新聞紙のセルロース繊維が絡み合った組織を利用し、アルカリ塩を用いた薬品賦活法、および水蒸気を用いたガス賦活法によって活性炭素繊維材を作製し、その細孔特性および吸着特性について報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。
古紙に熱硬化性の樹脂を混合して、これを薬品処理や雰囲気制御しながら熱処理することにより活性炭が作製できることが報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。
一方、ゼオライトは、現在、種々の化学試薬を原料として工業的に製造されている他、石炭灰からの製造についても研究例が多く、洗剤のビルダー、触媒、土壌改良材、有毒ガスの吸着剤や水の浄化剤などとして利用されている。
K. Okada et al., Journal of Colloid and Interface Science, 262, 179-193 (2003) K. Okada et al., Journal of Colloid and Interface Science, 262, 194-199 (2003) M.Shimada et al., Journal of Porous Materials, 6, 191-196(1999)
K. Okada et al., Journal of Colloid and Interface Science, 262, 179-193 (2003) K. Okada et al., Journal of Colloid and Interface Science, 262, 194-199 (2003) M.Shimada et al., Journal of Porous Materials, 6, 191-196(1999)
しかしながら、古紙や製紙スラッジなど一種類の原料から、元の試料形態を有する活性炭/ゼオライト複合材を製造した例はない。また、従来の活性炭の特性をさらに向上させるような材料の開発がまだなされていない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な炭素質物質を提供することを目的とする。
また、本発明は、新規な炭素質物質の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、新規な炭素質物質の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の炭素質物質は、ゼオライト、またはゼオライトに関連する化合物を含むことを特徴とする。
本発明の炭素質物質は、ゼオライトまたはゼオライトに関連する化合物の、いずれかまたは双方の特性をも有する。
本発明の炭素質物質の製造方法は、紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理することを特徴とする。
本発明の炭素質物質の製造方法によれば、ゼオライトまたはゼオライトに関連する化合物の、いずれかまたは双方を含む炭素質物質を作製することできる。
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明は、ゼオライト、またはゼオライトに関連する化合物を含ませることにより、新規な炭素質物質を提供することができる。
本発明は、ゼオライト、またはゼオライトに関連する化合物を含ませることにより、新規な炭素質物質を提供することができる。
本発明は、紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理することにより、新規な炭素質物質の製造方法を提供することができる。
以下、炭素質物質およびその製造方法にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず、炭素質物質について説明する。本発明の炭素質物質は、ゼオライト、またはゼオライトに関連する化合物を含むものである。
ゼオライトとしては、NaP1型ゼオライト、H型ゼオライト、F型ゼオライトなどを挙げることができる。
ゼオライトに関連する化合物とは、四面体が三次元網目状構造を構成し、その隙間に陽イオン、陰イオン、または水分子のいずれか1つ、いずれか2つ、またはそれらすべてを包蔵する化合物をいう。
ゼオライトに関連する化合物としては、ソーダライト系化合物、ノゼアン系化合物などを挙げることができる。
ゼオライト、およびゼオライトに関連する化合物の合計質量が、炭素質物質の全質量に対して、10〜50質量%の範囲にあることが好ましい。含有量が10質量%以上であると、複合的な吸着特性が期待できるようになるという利点がある。含有量が50質量%以下であると、両者の特性が発揮されるという利点がある。
炭素質物質の比表面積は、300〜2000m2/gの範囲にあることが好ましい。比表面積が300m2/g以上であると、吸着特性に優れるという利点がある。比表面積が2000m2/g以下であると、試料の形態を保持できるという利点がある。
つぎに、炭素質物質の製造方法について説明する。
本発明の炭素質物質の製造方法は、紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理する方法である。
本発明の炭素質物質の製造方法は、紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理する方法である。
ここで紙は、段ボール紙、ボール紙、ケント紙、または新聞紙の群から選ばれる1種または2種以上の混合物である。
また、紙は、新しい紙、古紙であることを問わない。
また、紙は、新しい紙、古紙であることを問わない。
製紙スラッジとは、製紙の工程で発生する汚泥廃棄物である。
賦活処理としては、ガス賦活法を採用することができる。賦活処理は、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、または空気の群から選ばれる1種または2種以上の混合物を含む雰囲気中で、原料を加熱することにより行う。加熱温度は、500〜900℃の範囲にあることが好ましい。
賦活処理としては、薬品賦活法を採用することができる。賦活処理は、Na2CO3,K2CO3などのアルカリ金属の炭酸塩、NaOH,kOHなどのアルカリ金属の水酸化物、リン酸、または塩化亜鉛の群から選ばれる1種または2種以上の混合物の共存下で、原料を加熱することにより行う。加熱温度は、500〜1000℃の範囲にあることが好ましい。
炭化処理は、窒素、ヘリウム、アルゴン、または水素の群から選ばれる1種または2種以上の混合物からなる雰囲気中で、原料を加熱することにより行う。加熱温度は、500〜900℃の範囲にあることが好ましい。
水熱処理としては、溶液法を採用することができる。水熱処理は、添加剤およびアルカリ水溶液の共存下で、原料を加熱することにより行う。添加剤としては、SiO2Aerosil、シリカゲル、シリカゾル、石英、クリストバライト、ケイ砂、ケイ藻土などを挙げることができる。アルカリ水溶液としては、NaOH、水ガラス、LiOH、KOH、Na2CO3などの水溶液を挙げることができる。加熱温度は、60〜250℃の範囲にあることが好ましい。
水熱処理としては、含浸法を採用することができる。水熱処理は、原料にアルカリ水溶液を含浸した後に、加熱することにより行う。アルカリ水溶液としては、NaOH、水ガラス、LiOH、KOH、Na2CO3などの水溶液を挙げることができる。加熱温度は、60〜250℃の範囲にあることが好ましい。
以上のことから、本発明を実施するための最良の形態によれば、本発明の炭素質物質は、ゼオライト、またはゼオライトに関連する化合物を含むので、ゼオライトまたはゼオライトに関連する化合物の、いずれかまたは双方の特性をも有する。この結果、本発明は、新規な炭素質物質を提供することができる。
また、本発明を実施するための最良の形態によれば、本発明の炭素質物質の製造方法は、紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理するので、ゼオライトまたはゼオライトに関連する化合物の、いずれかまたは双方を含む炭素質物質を作製することできる。この結果、本発明は、新規な炭素質物質の製造方法を提供することができる。
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
炭素質物質の作製方法について説明する。
原料としては、段ボール紙と新聞紙を採用した。段ボール紙と新聞紙の化学組成、およびこれらの灰分の化学組成は、表1に示すとおりである。ゼオライトの合成にはSiO2,Al2O3成分は不可欠であるが、CaO成分はゼオライトの生成を阻害することから、CaO成分が少ない方が望ましい。そこで、CaO成分の少ない新聞紙(読売新聞)を原料とした。
使用した薬品は以下のとおりである。
炭酸カリウム(K2CO3)( 試薬特級、和光純薬工業社製)
水酸化ナトリウム(NaOH)(試薬特級、和光純薬工業社製)
炭酸カリウム(K2CO3)( 試薬特級、和光純薬工業社製)
水酸化ナトリウム(NaOH)(試薬特級、和光純薬工業社製)
水蒸気賦活および水熱処理について説明する。
[水蒸気賦活]
水蒸気賦活によりコルゲート構造を保った活性炭を作製した。水蒸気賦活法では、段ボール紙のみを原料とした。紙は前もって110℃の恒温槽で乾燥させた。るつぼに1gの紙を入れ、試料を炉内に設置後、窒素を導入して窒素雰囲気にした。所定の賦活温度になるまで乾燥窒素を流しながら10℃/minで昇温させた。賦活温度に達した後、乾燥窒素から窒素−水蒸気混合気体に変えて、水蒸気賦活を行った。窒素−水蒸気混合気体の調整には、水蒸気発生装置を用い、乾燥窒素を装置内に導入し、60℃の温水中でバブリングした。賦活温度で所定時間保持した後、窒素−水蒸気混合気体から再び乾燥窒素に戻し、室温まで冷却した。賦活条件は以下のとおりである。
賦活温度 700℃
賦活時間 6h
水蒸気濃度 20mol%(13.8 mass%)
水蒸気流量 0.5 l/min
水蒸気賦活によりコルゲート構造を保った活性炭を作製した。水蒸気賦活法では、段ボール紙のみを原料とした。紙は前もって110℃の恒温槽で乾燥させた。るつぼに1gの紙を入れ、試料を炉内に設置後、窒素を導入して窒素雰囲気にした。所定の賦活温度になるまで乾燥窒素を流しながら10℃/minで昇温させた。賦活温度に達した後、乾燥窒素から窒素−水蒸気混合気体に変えて、水蒸気賦活を行った。窒素−水蒸気混合気体の調整には、水蒸気発生装置を用い、乾燥窒素を装置内に導入し、60℃の温水中でバブリングした。賦活温度で所定時間保持した後、窒素−水蒸気混合気体から再び乾燥窒素に戻し、室温まで冷却した。賦活条件は以下のとおりである。
賦活温度 700℃
賦活時間 6h
水蒸気濃度 20mol%(13.8 mass%)
水蒸気流量 0.5 l/min
[水熱処理]
水熱処理では、まずアルカリ水溶液に活性炭を3時間浸漬して試料にアルカリ水溶液を十分に含浸させる。これを内容積25mlのオートクレーブにそのまま封入し、所定温度、所定時間水熱処理した。処理後、500mlの蒸留水により洗浄し、110℃で一晩乾燥させた。水熱処理の条件は以下のように設定した。
処理温度 110,150℃
処理時間 12,24,48h
アルカリ水溶液 NaOH
水熱処理では、まずアルカリ水溶液に活性炭を3時間浸漬して試料にアルカリ水溶液を十分に含浸させる。これを内容積25mlのオートクレーブにそのまま封入し、所定温度、所定時間水熱処理した。処理後、500mlの蒸留水により洗浄し、110℃で一晩乾燥させた。水熱処理の条件は以下のように設定した。
処理温度 110,150℃
処理時間 12,24,48h
アルカリ水溶液 NaOH
水蒸気賦活および水熱処理の組み合わせの条件は、表2に示すとおりである。
薬品賦活および水熱処理について説明する。
[薬品賦活]
原料として、新聞紙(読売新聞 平成15年10月24日、首都圏版)を用い、あらかじめ110℃の恒温槽で乾燥させた。Niるつぼに蒸留水10mlと、賦活剤のK2CO3およびNaOHの混合物を1.0g投入し、アルカリ水溶液を調製した。そこに、1.0gの原料を入れて含浸させた。賦活剤と原料の比は質量比で1である。また、K2CO3およびNaOHはK/Na=1(atomic ratio)になるように調整した。含浸後、110℃の恒温槽で乾燥させ、水分を除去した。この試料を炉内に設置後、窒素雰囲気下で900℃まで10℃/minで昇温させた。所定時間賦活後、室温まで冷却した。賦活条件を以下に示す。
賦活温度 900℃
賦活時間 1h
窒素流量 1 l/min
原料として、新聞紙(読売新聞 平成15年10月24日、首都圏版)を用い、あらかじめ110℃の恒温槽で乾燥させた。Niるつぼに蒸留水10mlと、賦活剤のK2CO3およびNaOHの混合物を1.0g投入し、アルカリ水溶液を調製した。そこに、1.0gの原料を入れて含浸させた。賦活剤と原料の比は質量比で1である。また、K2CO3およびNaOHはK/Na=1(atomic ratio)になるように調整した。含浸後、110℃の恒温槽で乾燥させ、水分を除去した。この試料を炉内に設置後、窒素雰囲気下で900℃まで10℃/minで昇温させた。所定時間賦活後、室温まで冷却した。賦活条件を以下に示す。
賦活温度 900℃
賦活時間 1h
窒素流量 1 l/min
[水熱処理]
賦活して洗浄する前の試料を内容積25mlのオートクレーブに投入し、蒸留水または1〜4M NaOH水溶液のいずれかを0.1〜6ml投入後、密封して60,110,150℃で24時間水熱処理した。水熱処理後、500mlの蒸留水で洗浄し、110℃の恒温槽で乾燥して試料を得た。水熱条件を以下に示す。
処理温度 60,110,150℃
処理時間 24h
賦活して洗浄する前の試料を内容積25mlのオートクレーブに投入し、蒸留水または1〜4M NaOH水溶液のいずれかを0.1〜6ml投入後、密封して60,110,150℃で24時間水熱処理した。水熱処理後、500mlの蒸留水で洗浄し、110℃の恒温槽で乾燥して試料を得た。水熱条件を以下に示す。
処理温度 60,110,150℃
処理時間 24h
薬品賦活および水熱処理の組み合わせの条件は、表3に示すとおりである。
炭素質物質の特性の評価方法について説明する。
[粉末X線回折(XRD)による結晶相の同定]
作製した試料を島津製作所(株)製LabX XRD-6100を用いて粉末X線回折パターンを測定し、結晶相の同定を行った。測定条件を以下に示す。
X線源 CuKα線
管電圧 40kV
管電流 30mA
スリット条件 発散スリット:1.0°
散乱スリット:1.0°
受容スリット:0.3mm
測定範囲 2〜80°
測定速度 2.0°/min
ステップ幅 0.02°
時定数 0.60sec
作製した試料を島津製作所(株)製LabX XRD-6100を用いて粉末X線回折パターンを測定し、結晶相の同定を行った。測定条件を以下に示す。
X線源 CuKα線
管電圧 40kV
管電流 30mA
スリット条件 発散スリット:1.0°
散乱スリット:1.0°
受容スリット:0.3mm
測定範囲 2〜80°
測定速度 2.0°/min
ステップ幅 0.02°
時定数 0.60sec
[窒素ガス吸着測定による細孔特性の評価]
調製した試料の細孔特性を評価するために窒素ガスの吸着等温線を測定し、各種解析法により比表面積、細孔容積を算出した。測定にはQUANTA CHROME社製全自動ガス吸着装置AUTOSORB-1を使用した。測定条件を以下に示す。
試料重量 0.02-0.05g
前処理条件 180℃ 6h以上
測定相対圧範囲 吸着側:2.5×10-2< P/P0 < 1
脱離側:2.5×10-2 < P/P0 < 1
測定温度 77.3K
平衡時間 2min
調製した試料の細孔特性を評価するために窒素ガスの吸着等温線を測定し、各種解析法により比表面積、細孔容積を算出した。測定にはQUANTA CHROME社製全自動ガス吸着装置AUTOSORB-1を使用した。測定条件を以下に示す。
試料重量 0.02-0.05g
前処理条件 180℃ 6h以上
測定相対圧範囲 吸着側:2.5×10-2< P/P0 < 1
脱離側:2.5×10-2 < P/P0 < 1
測定温度 77.3K
平衡時間 2min
比表面積(SBET)の算出にはBET法を用いた。本試料では、P/P0= 0.05〜0.3で計算しても、BETプロットの直線性は良好(相関係数r>0.99)であったため、すべての測定において以下の相対圧範囲で計算した。
使用相対圧範囲 0.05 < P/P0 < 0.30
使用相対圧範囲 0.05 < P/P0 < 0.30
全細孔容積Vporeは、すべての測定において以下の相対圧の吸着量を用いた。
使用相対圧 P/P0 = 0.99
使用相対圧 P/P0 = 0.99
[平面圧縮強さ試験]
段ボール紙の強度を評価する方法として、JIS規格Z0403-11999の平面圧縮強さ試験法がある。これは、二つの平行な圧縮板を備えた圧縮試験機によって、段ボール試験片の表面に加重を加え、試験片の波形がつぶれるまでその力を増大させ、そのときの最大値を測定する方法である。作製した活性炭試料の強度評価にもこの方法を採用した。試料を設置し、ビーズを少しずつ筒内に投入し、コルゲート構造が崩壊したときの荷重を測定した。試料のサイズ、密度(重量)の他に、コルゲート構造の中芯の繰り返し数等が強度に影響を及ぼすと考えられるが、細孔特性と圧縮強度の関係から賦活条件が圧縮強度に及ぼす影響を考察した。
段ボール紙の強度を評価する方法として、JIS規格Z0403-11999の平面圧縮強さ試験法がある。これは、二つの平行な圧縮板を備えた圧縮試験機によって、段ボール試験片の表面に加重を加え、試験片の波形がつぶれるまでその力を増大させ、そのときの最大値を測定する方法である。作製した活性炭試料の強度評価にもこの方法を採用した。試料を設置し、ビーズを少しずつ筒内に投入し、コルゲート構造が崩壊したときの荷重を測定した。試料のサイズ、密度(重量)の他に、コルゲート構造の中芯の繰り返し数等が強度に影響を及ぼすと考えられるが、細孔特性と圧縮強度の関係から賦活条件が圧縮強度に及ぼす影響を考察した。
[水蒸気吸着測定]
以下に示す試料を測定した。
水蒸気賦活活性炭:H2O-700-6
水蒸気賦活−水熱処理試料:AH24h
薬品賦活活性炭:NP-KN900-1
薬品賦活活性炭−水熱処理試料:NP-KN900-H1,NP-KN900-H1-150
以下に示す試料を測定した。
水蒸気賦活活性炭:H2O-700-6
水蒸気賦活−水熱処理試料:AH24h
薬品賦活活性炭:NP-KN900-1
薬品賦活活性炭−水熱処理試料:NP-KN900-H1,NP-KN900-H1-150
測定に使用した装置は、日本ベル(株)製BELSORP18である。以下に測定条件を示す。
試料重量 0.04-0.05g
前処理条件 300℃ 4h
平衡時間 500sec
吸着温度 25℃
測定相対圧範囲 吸着側 0 < P/P0 < 0.9
脱離側 0.2 < P/P0 < 0.9
試料重量 0.04-0.05g
前処理条件 300℃ 4h
平衡時間 500sec
吸着温度 25℃
測定相対圧範囲 吸着側 0 < P/P0 < 0.9
脱離側 0.2 < P/P0 < 0.9
水蒸気吸着測定の結果からBET法により比表面積(SW)を計算できる。計算に使用した相対圧範囲は、BETプロットが直線になる範囲に設定した。
BET法 使用相対圧範囲 0.05 < P/P0< 0.15
BET法 使用相対圧範囲 0.05 < P/P0< 0.15
[メタノール吸着測定]
メタノールは極性分子であるが水蒸気よりも極性や凝縮熱が小さい。また、活性炭表面の官能基と水素結合を形成する可能性があるため、その吸着挙動は興味深い。以下に示す試料を測定した。
水蒸気賦活活性炭:H2O-700-6
水蒸気賦活−水熱処理試料:AH24h
メタノールは極性分子であるが水蒸気よりも極性や凝縮熱が小さい。また、活性炭表面の官能基と水素結合を形成する可能性があるため、その吸着挙動は興味深い。以下に示す試料を測定した。
水蒸気賦活活性炭:H2O-700-6
水蒸気賦活−水熱処理試料:AH24h
測定に使用した装置は、日本ベル(株)製BELSORP18である。以下に測定条件を示す。
試料重量 0.03-0.04g
前処理条件 300℃ 4h
平衡時間 500sec
吸着温度 25℃
測定相対圧範囲 吸着側 0 < P/P0 < 0.9
脱離側 0.2 < P/P0 < 0.9
試料重量 0.03-0.04g
前処理条件 300℃ 4h
平衡時間 500sec
吸着温度 25℃
測定相対圧範囲 吸着側 0 < P/P0 < 0.9
脱離側 0.2 < P/P0 < 0.9
また、水蒸気吸着測定と同様に、メタノール吸着測定の結果から、BET法により比表面積(SM)を計算した。
BET法 使用相対圧 0.1 < P/P0 < 0.25
BET法 使用相対圧 0.1 < P/P0 < 0.25
[アンモニア昇温脱離スペクトル測定]
塩基性ガスのアンモニアは、工業的に排出される有害ガスの代表例であり、活性炭はそれらの有害ガスの除去に用いられている。そこで、本発明で得られた炭素質物質について、アンモニア吸着能を評価した。吸着特性の評価には、アンモニア昇温脱離(アンモニア-TPD)法を用いた。TPDとはTemperature Programmed Desorptionの略で、試料をプログラム昇温させ、温度の上昇に伴って脱離する気体の量や種類を分析する方法である。これにより、試料表面に吸着しているガスを同定することができ、表面分析の一つの手法とされている。
塩基性ガスのアンモニアは、工業的に排出される有害ガスの代表例であり、活性炭はそれらの有害ガスの除去に用いられている。そこで、本発明で得られた炭素質物質について、アンモニア吸着能を評価した。吸着特性の評価には、アンモニア昇温脱離(アンモニア-TPD)法を用いた。TPDとはTemperature Programmed Desorptionの略で、試料をプログラム昇温させ、温度の上昇に伴って脱離する気体の量や種類を分析する方法である。これにより、試料表面に吸着しているガスを同定することができ、表面分析の一つの手法とされている。
このTPDを固体酸性の評価に応用したのが、アンモニア-TPDである。この方法は、小さな塩基性分子であるアンモニアを試料に吸着させ、試料を昇温させることによってその脱離スペクトルを観測する方法である。この脱離スペクトルを解析することで吸着特性や固体酸性を評価することができる。これは、気固反応を利用、すなわち多くの固体触媒の作動条件に近い環境で、固体の酸量と強度を迅速に測定できる方法である。
固体酸性を有するゼオライトからの脱離スペクトルには二つのピークが現れる場合があり、l-,h-ピークと呼んで区別している。h-ピークは酸点に結合したアンモニア種を示す。一方、l-ピークは、その挙動および核磁気共鳴(NMR)を用いた研究から、Na型ゼオライトの場合には、Na+、酸型のゼオライトの場合にはNH4 +上に弱く吸着したアンモニア種と考えられている。
水蒸気賦活試料とゼオライトが生成した複合試料を比較して、アンモニア吸着能の評価を行った。以下に測定した試料を示す。
水蒸気活性炭:H2O700-6
水蒸気賦活−水熱処理試料:AH24h
水蒸気活性炭:H2O700-6
水蒸気賦活−水熱処理試料:AH24h
使用した装置は日本ベル(株)昇温脱離スペクトル装置 マルチタスクTPDであり、以下に測定条件を示す。
試料重量 50mg
前処理条件 200℃ 1h
アンモニア吸着条件 25℃ 20Torr(導入圧力)
昇温条件 25〜610℃ 10℃/min
測定質量数 16
試料重量 50mg
前処理条件 200℃ 1h
アンモニア吸着条件 25℃ 20Torr(導入圧力)
昇温条件 25〜610℃ 10℃/min
測定質量数 16
試料は、200℃,1時間で前処理をした。実際に使用される条件に近い室温での吸着特性を評価するため、25℃でアンモニアを吸着させた。試料から脱離したアンモニアは、質量数17,16,15(それぞれNH3 +,NH2 +,NH+)のピークを生じるが、脱水による水は18,17,16(それぞれH2O+,OH+,O+)のピークを生じる。質量数16,17のピークは共通しているので、質量数18,15のピークと比較することで、アンモニアと水のピークを区別することができる。本発明ではアンモニアを吸着させない条件をバックグラウンドとし、アンモニアを吸着させたスペクトルとの差スペクトルのピーク面積を定量することで吸着量を算出した。
吸着量[絶対量]=(ピーク面積(吸着有り)−ピーク面積(ブランク))×相対感度係数
吸着量[相対値]=吸着量[絶対量]÷測定試料量
相対感度係数の算出には触媒学会参照触媒であるゼオライト(JRC-Z5-25H)に対して求めた酸量を用いた。
吸着量[絶対量]=(ピーク面積(吸着有り)−ピーク面積(ブランク))×相対感度係数
吸着量[相対値]=吸着量[絶対量]÷測定試料量
相対感度係数の算出には触媒学会参照触媒であるゼオライト(JRC-Z5-25H)に対して求めた酸量を用いた。
炭素質物質の特性の評価結果について説明する。
[粉末X線回折(XRD)による結晶相の同定]
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。
図1は、水蒸気賦活をし、さらにNaOH水溶液に含浸した後に水熱処理(110℃,24時間)したサンプルのXRDパターンであり、NaOH水溶液の濃度を変えた場合を示すものである。処理温度110℃で,NaOH水溶液の濃度を1〜4Mと変えた場合、結晶相に変化が見られた。1MではゼオライトNaP1がほぼ単相で生成したのに対して、4Mではゼオライト系化合物が生成した。
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。
図1は、水蒸気賦活をし、さらにNaOH水溶液に含浸した後に水熱処理(110℃,24時間)したサンプルのXRDパターンであり、NaOH水溶液の濃度を変えた場合を示すものである。処理温度110℃で,NaOH水溶液の濃度を1〜4Mと変えた場合、結晶相に変化が見られた。1MではゼオライトNaP1がほぼ単相で生成したのに対して、4Mではゼオライト系化合物が生成した。
図2は、水蒸気賦活をし、さらにNaOH水溶液(1M)に含浸した後に水熱処理(24時間)したサンプルのXRDパターンであり、水熱処理の温度を変えた場合を示すものである。NaOH濃度1Mで、処理温度を110〜150℃と変えた場合も、結晶相に変化が見られた。110℃ではゼオライトNaP1が生成したが、150℃ではゼオライト系化合物が生成した。
図3は、水蒸気賦活をし、さらにNaOH水溶液(1M)に含浸した後に水熱処理(110℃)したサンプルのXRDパターンであり、水熱処理の時間を変えた場合を示すものである。NaOH濃度1Mで処理温度110℃とした場合には、いずれの処理時間においてもゼオライトNaP1が生成した。処理時間を長くするにつれて、ゼオライトNaP1の生成量は若干増加したが、新たな生成物は見られなかった。
いずれの水熱処理条件においても、処理前の結晶相であるタルク、アタナーゼ、クオーツのピークに変化は見られなかった。賦活によってカオリナイトは非晶質に変化したと考えられ、このメタカオリナイトがゼオライトの主原料となっていると考えられる。
薬品賦活および水熱処理をした場合について説明する。
図4は、薬品賦活をし、さらに水を添加した後に水熱処理(110℃,24時間)したサンプル(原料:新聞紙)のXRDパターンであり、水の添加量を変えた場合を示すものである。水の添加量が0.1〜0.5 mlではF型ゼオライトが生成し,1 mlではH型ゼオライトが生成したのに対して,2 ml以上ではゼオライトは生成しなくなった。図5は、薬品賦活をし、さらに水を添加した後に水熱処理(150℃,24時間)したサンプル(原料:新聞紙)のXRDパターンであり、水の添加量を変えた場合を示すものである。賦活剤としてK2CO3およびNaOHを使用した場合、水の添加量が少なくても多くてもゼオライトの生成は見られなかったが,水添加量1〜2mlでゼオライト系化合物が生成した。このことから、ゼオライトの生成に適した水添加量があることが分かった。
図4は、薬品賦活をし、さらに水を添加した後に水熱処理(110℃,24時間)したサンプル(原料:新聞紙)のXRDパターンであり、水の添加量を変えた場合を示すものである。水の添加量が0.1〜0.5 mlではF型ゼオライトが生成し,1 mlではH型ゼオライトが生成したのに対して,2 ml以上ではゼオライトは生成しなくなった。図5は、薬品賦活をし、さらに水を添加した後に水熱処理(150℃,24時間)したサンプル(原料:新聞紙)のXRDパターンであり、水の添加量を変えた場合を示すものである。賦活剤としてK2CO3およびNaOHを使用した場合、水の添加量が少なくても多くてもゼオライトの生成は見られなかったが,水添加量1〜2mlでゼオライト系化合物が生成した。このことから、ゼオライトの生成に適した水添加量があることが分かった。
図6は、薬品賦活をし、さらに水(1ml)を添加した後に水熱処理(24時間)したサンプル(原料:新聞紙)のXRDパターンであり、水熱処理の温度を変えた場合を示すものである。添加量1mlの場合、処理温度が60℃では結晶相は見られなかったが、110,150℃ではゼオライト系化合物が生成した。オートクレーブ容量25mlに対して水添加量が1mlであるため、60℃では十分な蒸気圧が得られず、十分に反応が進行しなかったと考えられる。一方、110℃以上では添加した水による蒸気圧で水熱反応が促進されたと考えられる。
図7は、薬品賦活をし、さらに水またはNaOH水溶液を添加した後に水熱処理(110℃,24時間)したサンプル(原料:新聞紙)のXRDパターンであり、NaOH水溶液の濃度を変えた場合を示すものである。110℃の処理温度で、NaOH水溶液の濃度を変えたところ、濃度を高くした方がゼオライト系化合物のピークが大きくなった。賦活剤として使用したNaOH量に対して、添加したNaOH量は1Mで11%,4Mでは44%になる。Na濃度を高くした方がゼオライト系化合物の生成量が増加する傾向は水蒸気賦活試料を水熱処理した場合と同様であった
[窒素ガス吸着測定による細孔特性の評価]
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。表2に示すように、700℃賦活試料において水熱処理前に555m2/gの比表面積であったものが、水熱処理によるゼオライト化のために620〜743m2/gに増加したことが認められた。
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。表2に示すように、700℃賦活試料において水熱処理前に555m2/gの比表面積であったものが、水熱処理によるゼオライト化のために620〜743m2/gに増加したことが認められた。
薬品賦活および水熱処理をした場合について説明する。表3に示すように、水熱処理の有無にかかわらず1000m2/g以上の高い比表面積を示した。
[平面圧縮強さ試験]
図8は、水蒸気賦活をし、さらに水熱処理したサンプルについて、平面圧縮強さと比表面積の関係を示すものである。水蒸気賦活および水熱処理をした場合、段ボールのコルゲート構造を維持させたまま活性炭/ゼオライト複合材が作製できた。活性炭試料H2O700-6を水熱処理すると、比表面積および圧縮強度が増加した。圧縮強度(最も弱い方向)は、700℃賦活試料において水熱処理前には約2 kPa(H2O700-6)であったが、水熱処理した複合材では最大で約4 kPa(AH48h)とほぼ2倍まで向上した。これには、水熱処理により生成したゼオライトとゲル状物質が活性炭同士を接着する効果が関係していると考えられた。
図8は、水蒸気賦活をし、さらに水熱処理したサンプルについて、平面圧縮強さと比表面積の関係を示すものである。水蒸気賦活および水熱処理をした場合、段ボールのコルゲート構造を維持させたまま活性炭/ゼオライト複合材が作製できた。活性炭試料H2O700-6を水熱処理すると、比表面積および圧縮強度が増加した。圧縮強度(最も弱い方向)は、700℃賦活試料において水熱処理前には約2 kPa(H2O700-6)であったが、水熱処理した複合材では最大で約4 kPa(AH48h)とほぼ2倍まで向上した。これには、水熱処理により生成したゼオライトとゲル状物質が活性炭同士を接着する効果が関係していると考えられた。
[水蒸気吸着測定]
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。図9は、水蒸気賦活のみをしたサンプルと、水蒸気賦活および水熱処理したサンプルとの、水蒸気吸着特性を示すものである。水熱処理した試料は水蒸気賦活だけの試料に比べて低相対圧での吸着量が大きくなった。これは水熱処理により生成したゼオライトが水蒸気吸着に影響を及ぼしているためと考えられる。また、低相対圧から高相対圧領域まで吸着量が増加し続け、大きな吸着ヒステリシスを示した。高相対圧領域の吸着は、活性炭由来の水蒸気吸着と考えられる。水熱処理により最大水蒸気吸着量が約300ml/gから約450ml/gに増加した。
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。図9は、水蒸気賦活のみをしたサンプルと、水蒸気賦活および水熱処理したサンプルとの、水蒸気吸着特性を示すものである。水熱処理した試料は水蒸気賦活だけの試料に比べて低相対圧での吸着量が大きくなった。これは水熱処理により生成したゼオライトが水蒸気吸着に影響を及ぼしているためと考えられる。また、低相対圧から高相対圧領域まで吸着量が増加し続け、大きな吸着ヒステリシスを示した。高相対圧領域の吸着は、活性炭由来の水蒸気吸着と考えられる。水熱処理により最大水蒸気吸着量が約300ml/gから約450ml/gに増加した。
薬品賦活および水熱処理をした場合について説明する。図10は、薬品賦活のみをしたサンプルと、薬品賦活および水熱処理したサンプルとの、水蒸気吸着特性を示すものである。新聞紙を使用した場合は、水熱処理により水蒸気の吸着量が増加した。110℃で水熱処理した試料は低相対圧での吸着量が増加しており、これはゼオライトによる吸着と考えられる。最大水蒸気吸着量は、約700ml/gから約850ml/gに増加したことが認められた。
[メタノール吸着測定]
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。図11は、水蒸気賦活のみをしたサンプルについて、窒素、水蒸気、およびメタルールの吸着特性を示すものである。図12は、水蒸気賦活および水熱処理したサンプルについて、窒素、水蒸気、およびメタルールの吸着特性を示すものである。水熱処理をすることにより、最大メタノール吸着量は、約150ml/gから約250ml/gに増加したことが認められた。
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。図11は、水蒸気賦活のみをしたサンプルについて、窒素、水蒸気、およびメタルールの吸着特性を示すものである。図12は、水蒸気賦活および水熱処理したサンプルについて、窒素、水蒸気、およびメタルールの吸着特性を示すものである。水熱処理をすることにより、最大メタノール吸着量は、約150ml/gから約250ml/gに増加したことが認められた。
[比表面積(SW)および比表面積(SM)]
水蒸気吸着測定の結果からBET法により比表面積(SW)を計算した。また同様に、メタノール吸着測定の結果から、BET法により比表面積(SM)を計算した。結果は表4に示すとおりである。
水蒸気吸着測定の結果からBET法により比表面積(SW)を計算した。また同様に、メタノール吸着測定の結果から、BET法により比表面積(SM)を計算した。結果は表4に示すとおりである。
水蒸気賦活および水熱処理をした場合ついて説明する。水蒸気賦活および水熱処理をした場合(AH24h)は、水蒸気賦活のみした場合(H2O700-6)に比較して、比表面積(SW)および比表面積(SM)が増加している。
薬品賦活および水熱処理をした場合について説明する。薬品賦活および水熱処理をした場合(NP-KN900-H1,NP-KN900-H1-150)は、薬品賦活のみした場合(NP-KN900-1)に比較して、比表面積(SW)が増加している。薬品賦活および水熱処理をしたもの同士では、水熱温度110℃(NP-KN900-H1)の方が、水熱温度150度(NP-KN900-H1-150)に比較して、比表面積(SW)が増加している。
[アンモニア昇温脱離スペクトル測定]
図13は、水蒸気賦活のみをしたサンプルについて、アンモニア昇温脱離スペクトルを示すものである。図14は、水蒸気賦活および水熱処理したサンプルについて、アンモニア昇温脱離スペクトルを示すものである。アンモニアを吸着させた場合と吸着させなかった場合について、温度に対する脱離量を示す。
図13は、水蒸気賦活のみをしたサンプルについて、アンモニア昇温脱離スペクトルを示すものである。図14は、水蒸気賦活および水熱処理したサンプルについて、アンモニア昇温脱離スペクトルを示すものである。アンモニアを吸着させた場合と吸着させなかった場合について、温度に対する脱離量を示す。
水蒸気賦活活性炭H2O700-6は質量数16の脱離スペクトルにブランクとの差が見られた。アンモニアを吸着させた場合、100℃付近に脱離ピークが現れた。このピークはl-ピークに相当し、活性炭に物理吸着していたアンモニアが検出されたものである。一方、活性炭-ゼオライト複合試料AH24hでは、大きなl-ピークと小さなh-ピークがみられた。これらの試料のアンモニア吸着量はH2O700-6では1.0×10-2m mol/gであったのに対して、AH24hでは7.8×10-2 m mol/gとなり、5倍以上の吸着量を示した。
アンモニアは極性分子であるため、無極性表面を持つ活性炭への吸着量は小さかったと考えられる。一方、活性炭にアミノ基やビタミンBxとリン酸などによる表面処理することによりアンモニアやアルデヒドの吸着量が向上すると報告されている。
一方、ゼオライトNaP1と活性炭の複合材であるAH24hのアンモニア吸着量は大きいことが分かった。このアンモニアの吸着はゼオライトNaP1と複合化したために生じたと考えられる。ゼオライトNaP1は優れたアンモニウムイオン除去能を有していることが報告されており、アンモニアに対しても吸着能があることが分かった。しかし、h-ピークは小さいことから、固体酸性は弱いと思われるゼオライトの酸点生成については次のように考えられている。ゼオライト構造中の4配位Siの位置にAlが同型置換することにより、固体酸性質を示すためには、このAlの隣接および次の隣接カチオンサイトにAlが入っていないことが必要条件である。そのような完全に孤立したAlだけがブレンステッド酸的な性質を示すと考えられている。また、ひとつのAl原子が骨格のSiと置換することによって、ひとつの酸点が発現し、ひとつのNa原子が酸点を中和することが確認されている。このようなことから、今回測定に用いた試料に含まれるゼオライトNaP1ではAl濃度が高く、固体酸性が発現しなかったと考えられる。
以上のように、親水表面を有するゼオライトの複合化により極性分子に対する吸着能が著しく向上した。アンモニアの吸着特性が非常に向上したため、無極性分子の吸着に優れた活性炭と、極性分子の吸着に優れたゼオライトを複合化することにより、両者の特長を有した材料を作製することができたと考えられる。
つまり、活性炭は比較的大きな分子であるダイオキシンのような気体分子の吸着や染料などの液相吸着用として、一方、活性炭よりも小さなミクロ細孔を有するゼオライトはホルムアルデヒドなどのVOC分子の吸着や水蒸気、アンモニアなどの極性分子の吸着に有効と考えられる。その他、高比表面積・高細孔容積の多孔体には、調湿機能も期待できる。
以上のことから、本実施例によれば以下のことがいえる。
現在我が国では、50〜60%の紙が再生紙としてリサイクルされているが、最終的には大量の産業廃棄物として廃棄されている。このような大量の廃棄物を紙以外の機能材料にして再資源化することは省資源・資源の有効利用の観点から非常に有効である。
現在我が国では、50〜60%の紙が再生紙としてリサイクルされているが、最終的には大量の産業廃棄物として廃棄されている。このような大量の廃棄物を紙以外の機能材料にして再資源化することは省資源・資源の有効利用の観点から非常に有効である。
本実施例では、古紙を水蒸気などの雰囲気中で熱処理することにより元の形態を維持したまま比表面積の大きな活性炭を作製し、これを引き続いてアルカリ水溶液中で水熱処理することにより活性炭とゼオライトからなる複合材を作製することができる。これによりフィルター形状やハニカム形状を有し、吸着特性の異なる活性炭とゼオライトを組み合わせることにより複合的な吸着機能材料が得られる。
古紙はセルロース繊維と無機質のフィラーやコーティング材を含んでおり、セルロース繊維を比表面積の高い活性炭素繊維に転換でき、あわせて活性炭化した試料中に残留する無機質のフィラーやコーティング材をアルカリ水溶液と反応させることによりゼオライト化でき、複合的な特性を有する優れた吸着剤として再資源化できる。また、ガス賦活法を用いることにより元の試料形状を維持させたまま活性炭化することができ、さらに水熱処理することによりその材料強度を向上させるとともに生成したゼオライトによる複合的な吸着機能を発現させることができる。
Claims (11)
- ゼオライト、またはゼオライトに関連する化合物を含む
炭素質物質。 - ゼオライトに関連する化合物は、ソーダライト系化合物またはノゼアン系化合物である
請求項1記載の炭素質物質。 - ゼオライト、およびゼオライトに関連する化合物を合計で、10〜50質量%含む
請求項1記載の炭素質物質。 - 比表面積が、300〜2000 m2/gである
請求項1記載の炭素質物質。 - 紙、製紙スラッジ、または紙と製紙スラッジの混合物からなる原料を、賦活処理または炭化処理した後に、水熱処理する
炭素質物質の製造方法。 - 紙は、段ボール紙、ボール紙、ケント紙、または新聞紙の群から選ばれる1種または2種以上の混合物である
請求項5記載の炭素質物質の製造方法。 - 賦活処理は、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、または空気の群から選ばれる1種または2種以上の混合物を含む雰囲気中で、原料を加熱することにより行う
請求項5記載の炭素質物質の製造方法。 - 賦活処理は、Na2CO3,K2CO3などのアルカリ金属の炭酸塩、NaOH,kOHなどのアルカリ金属の水酸化物、リン酸、または塩化亜鉛の群から選ばれる1種または2種以上の混合物の共存下で、原料を加熱することにより行う
請求項5記載の炭素質物質の製造方法。 - 炭化処理は、窒素、ヘリウム、アルゴン、または水素の群から選ばれる1種または2種以上の混合物からなる雰囲気中で、原料を加熱することにより行う
請求項5記載の炭素質物質の製造方法。 - 水熱処理は、添加剤およぴアルカリ水溶液の共存下で、原料を加熱することにより行う
請求項5記載の炭素質物質の製造方法。 - 水熱処理は、原料にアルカリ水溶液を含浸した後に、加熱することにより行う
請求項5記載の炭素質物質の製造方法。
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