JP2006061903A - 高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器 - Google Patents

高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】内部を急速に昇温及び降温することができる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器、それを用いた高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置及び超臨界流体反応装置を提供する。
【解決手段】内径0.5mm以下の高圧細管を複数本配設し、これらの高圧細管を両端のそれぞれで多方継手により1本に集合させて、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成し、これをモジュールとして直列に又は段階的に並列に組み合わせて、処理量の幾何級数的に倍増した及び/又は機能の増加した高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置及び超臨界流体反応装置を構成することからなる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器及びこれを構成要素とする装置。
【選択図】図5

Description

本発明は、高温高圧下で使用するマイクロリアクター・マイクロ熱交換器に関するものであり、更に詳しくは、内部を急速に高温高圧とすることができ、場合によっては、その内部を急速に冷却することができる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器、それをモジュールとして組み合わせた高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置及び該装置を構成要素として含む超臨界流体反応装置に関するものである。
本発明は、例えば、化学プロセス技術、エネルギー関連技術及び廃棄物分解技術などで利用される高温高圧プロセスに関する技術分野において、新しい高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器、それをモジュールとして並列に組み合わせてナンバリングアップし、あるいはそれを直列に組み合わせて構成した、汎用の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を提供するものである。
マイクロリアクター・マイクロ熱交換器は、単位体積当たりの表面積が極めて大きいなど、化学合成の観点から見て、効率的な温度制御、界面反応、及び混合などで有利な特徴を数多く有しており、また、熱交換という観点から見ても、極めて大きな伝熱速度を達成することができる利点を有する。
しかしながら、従来のマイクロリアクターあるいは熱交換器は、板状モジュールの積層構造が主体であり、分析キットに代表されるような常圧下での操作が一般的であった(特許文献1参照)。そのため、これらの積層構造からなる従来のマイクロリアクターは、高圧下、特に超臨界流体条件下のような高温高圧下で使用することは困難であり、超臨界流体に適用することができる高温高圧下で使用することが可能な高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の開発が強く要請されていた。
特開2004−009274号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、例えば、超臨界流体条件のような、高温高圧状態を急速に作り出すことができる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を開発することを目標として、鋭意研究を積み重ねた結果、高圧細管を複数本配置し、該複数本の高圧細管の集合を多方継手で行う特定の構造を有する高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を採用することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、高温高圧状態を迅速に作り出すことができる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器、それを組み合わせた高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置及び該装置を構成要素とする超臨界流体反応装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術手段から構成される。
(1)高温高圧下で使用するマイクロリアクター・マイクロ熱交換器であって、高圧細管を複数本配設し、該複数本の高圧細管の流路を多方継手により集合させた構造を有することを特徴とする高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(2)高圧細管が、内径0.5mm以下であることを特徴とする、前記(1)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(3)高圧細管を内管として、その外側にその外径より大きい内径の外管を設置し、二重管としたことを特徴とする、前記(1)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(4)複数本の高圧細管の外側に断熱構造体が設置されていることを特徴とする、前記(1)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(5)断熱構造体の内部で高圧細管の外部である空間、又は二重管における両管の間に、熱媒を流通させることにより、高圧細管を加熱又は冷却することを特徴とする、前記(3)又は(4)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(6)高圧細管の加熱を、高圧細管に直接通電するジュール熱加熱で行うことを特徴とする、前記(1)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(7)高圧細管の加熱を、断熱構造体の外側に配設した電磁誘導コイルにる渦電流により行うことを特徴とする、前記(1)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(8)断熱構造体が、セラミックス製であることを特徴とする、前記(4)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(9)高圧細管が、ニッケル合金製であることを特徴とする、前記(1)から(7)のいずれか1項に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(10)多方継手が、ニッケル合金製であることを特徴とする、前記(1)に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
(11)前記(1)から(10)のいずれかに記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を1モジュールとして、その複数モジュールを平面上に積み重ねたことを特徴とする高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置。
(12)前記(1)から(10)のいずれかに記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を1モジュールとして、その複数モジュールを立体的に積み重ねたことを特徴とする高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置。
(13)前記(1)から(10)のいずれかに記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成要素として含むことを特徴とする超臨界流体用反応装置。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明者らは、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の開発の実現可能性を探るため、一つの事例として、管外壁温度が650℃、長さが80mm、外径/内径比が2であり、内径が0.25、0.5及び1mmである3種類のモーノチューブ(mono−tube)中に、室温(25℃)の水を40MPa、1kg/hの流量で流し、モーノチューブを出たときの水が400℃、40MPaとなっていると仮定した場合(図1参照)の、管内径(mm)に対する、管内部の単位体積当たりの表面積(m/m)及び総括伝熱係数(kcal/m・hr・℃)の算出を試みた。
但し、モーノチューブの外側境膜伝熱係数は無限大で、外側表面温度は650℃で一定であるとした。図2に、その結果を示す。図2から、モーノチューブの内径を約0.5mm以下にすると、単位体積当たりの表面積及び必要とされる総括伝熱係数が急激に増大することが分かった。
また、管外壁温度が650℃、外径/内径比が2であり、内径が0.25、0.5及び1mmである3種類のモーノチューブ中に、室温(25℃)の水を40MPa、1kg/hの流量で流した場合において、水の温度が400℃となるのに要する昇温時間の算出を試みた。図3に、その結果を示す。図3から、モーノチューブの内径を約0.5mmにすると、昇温時間が約0.16秒となり、約0.25mm以下にすると、昇温時間が約0.01秒以下となることが分かった。また、内径0.25mmで昇温時間が約0.01秒程度であると、水の流速を5〜10m/s程度、長さ80mmのモーノチューブの両端での圧力差が2〜3kg/cm程度とする必要があることが分かった。
総括伝熱係数及び昇温時間についての、図2及び図3に示す計算結果から、モーノチューブの総括伝熱係数(kcal/m・hr・℃)を約1000以上、管の内径を約0.5mm以下、特に約0.25mm以下にすると、実用化できる熱交換の速さとなること、即ち、加熱による管内の急速な温度上昇あるいは冷却による管内の急速な温度降下が実用化できる程度になることが分かった。
そこで、内径0.25mm、外径1.6mm、長さ200mmのマイクロチューブの一端に、水を25℃、40MPaで入れ、多端から400℃、40MPaの水が出るように加熱する場合の、水流量(kg/h)に対する諸物理量の算出を試みた。但し、マイクロチューブの外側境膜伝熱係数は無限大で、外側表面温度は650℃で一定であるとし、また、総括伝熱係数(総括U)は外径基準とした。表1及び表2に、その結果を示す。
表1及び表2から、例えば、レイノルズ数(Re数)、必要長さL、圧力損失ΔPなどから見ると、マイクロチューブ1本当たりの熱交換能力は5kg/hまで可能ではあるが、圧力損失を重視すると3kg/h程度までが妥当であることが分かり、更に、例えば、内径0.25mm、外径1.5mm、長さ200mm程度のマイクロチューブを用いれば、実用化できる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の構成は、可能であることが分かった。
本発明のマイクロリアクター・マイクロ熱交換器は、内部を急速に高温高圧とすることができる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器であって、好適には、例えば、内径0.5mm以下の高圧細管を複数本配設し、これらの高圧細管の流路を両端のそれぞれで多方継手により1本に集合させ、外部との連通は出入各1本で行なうことを特徴としている。そして、本発明では、高圧細管の内部を高温とするために、高圧細管を加熱手段として使用することができ、また、高圧細管によっては、冷却手段としても使用することができる。本発明において、高圧細管とは、内径が1mm以下であり、外径と内径の比(外径/内径)が1.5以上である金属製のチューブを意味するものとして定義される。
高圧細管内部の加熱手段又は冷却手段としては、例えば、複数本の高圧細管の外側に断熱構造体を配置し、(1)高圧細管に直接通電して発生するジュール熱で高圧細管内部を加熱する手段、(2)断熱構造体の外側に電磁誘導コイルを配設し、それにより高圧細管に渦電流を発生させ、生ずるジュール熱により高圧細管内部を加熱する手段、(3)断熱構造体の内部で高圧細管の外部である空間に、熱媒を流して高圧細管内部を加熱する、あるいは冷媒を流して高圧細管内部を冷却する手段、(4)高圧細管を内管とし、その外側にその外径より大きい内径の外管を配設して二重管とし、両管の間の環状部に熱媒を流して高圧細管内部を加熱する、あるいは冷媒を流して高圧細管内部を冷却する手段、(5)前記(3)又は(4)の手段に対し、加熱を前記(1)又は(2)のジュール熱加熱により行なう手段、などを採用することができる。
断熱構造体は、高圧細管の内部を加熱又は冷却する際にエネルギーの損失を防ぐためのものであって、様々の形態を採用することができる。例えば、断熱構造体を熱伝導度が小さい材料により円筒状の構造体とし、両端のそれぞれで多方継手により1本に集合させている複数本の高圧細管を内部に配し、それらの高圧細管を囲繞できるようにしてもよい。また、断熱構造体は、高圧細管の外側に熱媒体(熱媒あるいは冷媒)を流して高圧細管の内部を加熱又は冷却するための、ジャケットパイプなどとして機能させてもよい。断熱構造体の材質は、ジャケットパイプなどとして機能させる場合には、熱媒体に対てし安定でなければならないものの、熱伝導率が小さい材質であればよく、耐久性からは、セラミックス、特に100MPaの加圧成形体を1000℃で仮焼成したジルコニアセラミックス、が好適である。更に、断熱構造体を高強度の材料などで覆う構造としてもよい。
高圧細管は、内部を高圧にした場合に、それに耐える耐圧、内部を高温にした場合に、それに耐える耐熱及び内部で使用する物質あるいは反応後に生成する物質に対する耐食を備えていなければならないとともに、高圧細管内部の加熱手段に応じて、その材質が選択されなければならない。高圧細管を耐圧にするには、例えば、高圧細管の材質を強度の優れたものにするか、高圧細管を耐圧性の材料で囲繞することが例示される。また、高圧細管を耐熱、耐食にするには、例えば、高圧細管の材質を耐熱性かつ耐食性のものとすることが好適であるが、積層あるいは表面処理により耐食及び形態的耐熱を付与してもよい。
また、上述のように、高圧細管に直接通電して高圧細管内部をジュール熱加熱する場合には、高圧細管の材質としては、導電性で、電気抵抗が小さ過ぎず、耐食性が良好なものを選択しなければならない。この場合の高圧細管用物質としては、例えば、ステンレススチール、ニッケル合金等が好適であり、ニッケル合金、特にインコネル625がより好適である。しかし、これらに制限されるものではなく、同効の物質であれば同様に使用することができる。
電磁誘導加熱により高圧細管内部を加熱する場合には、高圧細管の材質として、磁場の変化により誘導電流が流れる物質で、かつ、強磁性体である物質を選択しなければならず、また、高温にすることができるためには、キュリー温度の高い物質が選択される。この場合の高圧細管用物質としては、例えば、鉄、ステンレススチール、ニッケル合金等が好適であり、ニッケル合金、特にインコネル625がより好適である。しかし、これらに制限されるものではなく、同効の物質であれば同様に使用することができる。
高圧細管を内管とした二重管とする場合は、高圧細管の外側に熱媒を流すことにより高圧細管内部を加熱する、あるいは高圧細管の外側に冷媒を流すことにより、高圧細管内部を冷却することができる。二重管の外管としては、例えば、ステンレススチールやニッケル合金製のものが用いられる。また、二重管とする場合に、高圧細管内部の加熱を、高圧細管の直接通電によるジュール熱加熱又は電磁誘導加熱により行い、冷却を高圧細管の外側に冷媒を流すことにより行なうこともできる。
本発明における高圧細管の内径を小さくすることにより、高圧細管の内部における熱及び物質の拡散が小さい距離で終了してしまうので、温度の均一化及び複数種の物質の混合を効率的に行なうことができる。特に、本発明における高圧細管は、好適には、その内径を0.5mm以下のマイクロ構造とすることによって、高圧細管内部を急速に加熱又は冷却することができ、高圧細管の内部に存在する物質の迅速な温度制御が容易になる。そのため、昇温過程、反応過程あるいは降温過程を時間的に短くすることができるので、副反応を抑制することができ、化学品製造におけるEファクター(廃棄物kg/製品kg)を小さくすることができる。ここで、高圧細管の内径が0.5mm以下のマイクロ構造とは、その内径が略0.5mm以下であって、略同様の効果を奏するものをも包含するものとして定義される。
本発明では、好適には、例えば、複数本の高圧細管を、両端のそれぞれで多方継手により1本に集合させ、外部との連通は出入各1本で行なう構造の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成する。高圧細管の集合を如何に効率的に行なえるかが、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器のキーポイントとなる。この集合を、多管式熱交換器の管束のように固定管板で行なうと、管板及び蓋フランジが極端に大きくなり、エネルギー的にもコスト的にも不利となる。内径が極めて小さい高圧細管は、独立していればシール部の受圧面積が小さく耐圧構造をとりやすい。したがって、複数の高圧細管を集合させるには、多方継手構造がより好適な構造といえる。この考え方は、マイクロリアクターモジュールのナンバリングアップにも有効である。
本発明において、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器とは、マイクロリアクターとマイクロ熱交換器のいずれか又はその両方を意味するものであり、それらの機能の重複性に鑑みて、高温高圧マイクロリアクター及び/又はマイクロ熱交換器を意味するものとして定義される。この高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器は、内部が複数本の高圧細管に分けられていることにより、単位体積当たりの表面積が大きくなっているので、高温である高圧細管内側界面における反応又は熱交換を効率的に進行させることができる。また、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器は、それをモジュールとして、複数組み合わせることにより高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置を構成することができる。
上記の多方継手は、複数本の高圧細管を1本に集合するためのもので、耐圧、耐熱及び耐食を備えていなければならないとともに、その材質として、高圧細管との接続が可能な構造とするための加工の容易さが要求される。したがって、多方継手の材質としては、例えば、ステンレススチール、ニッケル合金等が使われるが、通常、インコネル625ないしそれと同効のニッケル合金が好適である。特に、高圧操作を行う場合には、その高温強度の大きさから、例えば、MA718(三菱マテリアル(株)製)ないしそれと同効の材料の使用が構造上有利となる。しかし、これらに制限されるものではなく、同効のものであれば同様に使用することができる。
ここで、本発明で使用される多方継手について説明すると、本発明において、多方継手とは、流体が少なくても1つの入口から入り、該流体を均等に分配する複数の流体出口からなる入口部多方継手から構成される構造、あるいは該均等分配された流体が複数の入口から入り、すべての流体が集合する少なくても1つの流体出口からなる出口部多方継手から構成される構造を意味するものとして定義される。
本発明で使用される多方継手の具体的な例として、例えば、円柱型多方継手構造、板型多方継手構造が例示される。これらのうち、前者の円柱型多方継手構造は、円柱の半径方向断面・同一円周上に均等間隔で複数の入(出)口を有し、他の側の半径方向断面・半径中心に少なくても1つの出(入)口を有し、複数の入(出)口に連結された流路が軸方向・半径中心に向かい、少なくても1つの合流点で1つの流路に合流し、出(入)口へ連結されている構造である。図8に、円柱型多方継手構造の好適な一例を示す。
また、後者の板型多方継手構造は、板の側面に複数の入(出)口を、他の側面に少なくても1つの出(入)口を有し、複数の入(出)口に連結された流路が複数の合流点で少なくても1つの流路に合流し、出(入)口へ連結されている構造である。図9に、板型多方継手構造の好適な一例を示す。この場合、複数の流路間に流体が均等に分配されるように、各流路間の圧力損失が等しくなるような流路構成とすることが好ましい。しかし、本発明の多方継手構造は、上記の例に限定されるものではなく、それらと同等ないし類似の構造を有し、同効のものであればその種類に制限されることなく同様に使用することができる。
本発明に係る高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器は、例えば、モジュールとして、並列及び/又は直列に複数組み合わせ、並列に組み合わせたときには、両端部のそれぞれで反応液出入口などとしての1本の液体移送管に集合させて、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置を構成することができる。高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器が断熱構造体を有しない場合は、それをモジュールとして組み合わせてから、断熱材で囲うことも可能である。
例えば、複数本の高圧細管を有する高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器をモジュールとして、複数個を並列に組み合わせ、両端部のそれぞれで1本の液体移送管に集合させて高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置とした場合に、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器では、その処理量が、高圧細管1本当たりの処理量に対し、高圧細管の本数倍になっており、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置では、その処理量が、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器一個当たりの処理量に対し、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の個数倍になっている。
また、例えば、この高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置を複数基並列に組み合わせて、両端部のそれぞれで1本の液体移送管に集合させて高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置とする操作を、1回以上積み重ねると、基数倍で処理量を増大させることができる。このようにして、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置の規模を容易に大きくすることができ、その処理量を、高圧細管1本当たりの処理量に対し、幾何級数的に倍増させることができる。
また、例えば、本発明に係る高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器又は高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置を直列に組み合わせて、処理時間を長くする、又は処理工程を増やすことも可能である。例えば、超臨界流体反応装置において、製造工程を加熱工程、反応工程及び冷却工程に分け、それぞれで本発明に係る高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器又は高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置を用い、それらを直列に繋いで装置を構成することができる。
以上詳細に説明したように、本発明により、(1)高圧細管を多数用いているので、単位体積当たりの表面積を大きくすることができる、(2)物質の混合を急速に行なうことができる、(3)短時間反応を実現することができる、(4)急速な熱交換により、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の内部の温度上昇速度又は温度降下速度を極めて速くすることができる、(5)急速な熱交換により、副反応を抑制することができるので、Eファクターを小さくすることができる、(6)超臨界状態などの高温高圧状態を迅速に作ることができる、(7)本発明に係る高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器をモジュールとして、並列あるいは直列に段階的に組み合わせて高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置とすることにより、処理量の増大あるいは処理工程の多様化を容易に行うことができる、(8)モジュールが細いので、装置をコンパクトにすることができる、(9)超臨界水反応装置を始め、汎用の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置として利用することができる、という格別の効果が奏される。
次に、本発明を、実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器)
本実施例では、図4に示すように、5本の高圧細管8を有するマイクロリアクター本体1、その両端に接続しているそれぞれの高圧細管集合部2、高圧細管集合部2の一部とマイクロリアクター本体1全体を囲繞する断熱構造体である円筒状リアクター断熱材7及び高圧細管集合部2の一部を囲繞する形で取り付けられた一対の通電電極4により、直接通電型の高温高圧マイクロリアクターを構成した。
高圧細管8は、外径1.6mm、内径0.25mmのニッケル合金(インコネル625)製細管で、両高圧細管集合部2に嵌入可能な長さとなっている。5本の高圧細管8を、内径14mmの円筒状リアクター断熱材7で囲繞した場合に、その内表面近くに等間隔で並ぶように配置してマイクロリアクター本体1とした。マイクロリアクター本体1において、通電による発熱部の長さが200mmとなるように、高圧細管8の各々と通電電極4との間で接続される。
マイクロリアクター本体1の両端には、それぞれ高圧細管集合部2が接続している。高圧細管集合部2は、ニッケル合金(MA718)製で、外径14mm部分と外径10mm部分とからなっており、内部には1本の微細穴9(内径0.5mm)が開けられている。外径14mm部分は、長さ20mmで、マイクロリアクター本体1側から5本の高圧細管8が挿入され、それらが微細穴9に集合される多方継手構造となっている。外径10mm部分は、長さ30mmで、微細穴9が反応液出入口などとしてのノズルパイプ3と連通する内部構造となっている。ノズルパイプ3は、外径3.18mm、及び内径0.5mmである。
リアクター断熱材7は、外径20mm、内径14mm、及び長さ240mmのセラミックス製円筒体で、マイクロリアクター本体1及び高圧細管集合部2の外径14mm部分を囲繞している。高圧細管集合部2の外径10mm部分外周において、リアクター断熱材7とは端部断熱材6を介して離れて、通電電極4が配されている。端部断熱材6は、外径20mm、内径10mm、及び長さ10mmの円筒状で、セラミックス製である。また、通電電極4は、直径10mmの円柱状穴が開けられている、20mm×35mm、厚さ15mmの銅製板状体で、高圧細管8に通電するためのものである。
こうして、一対の高圧細管集合部2の端から端までで測って300mmである高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成した。本実施例では、各高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器は、リアクター断熱材7を有しているが、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を複数組み合わせる場合には、リアクター断熱材7を有しない構造のものを複数組み合わせてから、それらを断熱構造体で囲んでもよい。また、本発明で用いる断熱材として、好適のものを選択するために、電気絶縁性、強度、靱性などが高く、熱伝導度が小さいことで知られているアルミナ及びジルコニアについて、熱伝導度を測定した。表3に、測定結果を示す。表3から、100MPaの加圧成形体を1000℃で仮焼成したジルコニアセラミックスが好適であることが分かった。
(高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器)
本実施例では、断熱構造体の内部で高圧細管の外部である空間に、熱媒体を流して高圧細管内部を加熱あるいは冷却する高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成した。5本の高圧細管を有するマイクロリアクター本体、その両端に接続しているそれぞれの高圧細管集合部、高圧細管集合部の一部とマイクロリアクター本体全体を囲繞する断熱構造体であるジャケットパイプ、その両端部近くで熱媒体移送管と連通させるために直角に設けられた、外形が円柱状の一対のソケットにより、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成した。高圧細管は、外径1.6mm、内径0.25mmのニッケル合金(インコネル625)製細管で、両高圧細管集合部に嵌入可能な長さとなっている。5本の高圧細管を、内径14.3mmのジャケットパイプで囲繞した場合にその内表面近くに等間隔で並ぶように配置してマイクロリアクター本体とする。
マイクロリアクター本体の両端には、それぞれ高圧細管集合部が接続している。高圧細管集合部は、ニッケル合金(MA718)製で、外径14mm部分と外径10mm部分とからなっており、内部には1本の微細穴(内径0.5mm)が開けられている。外径14mm部分は、長さ20mmで、マイクロリアクター本体側から5本の高圧細管が挿入され、それらが微細穴に集合される多方継手構造となっている。外径10mm部分は、長さ30mmで、微細穴が反応液出入口などとしてのノズルパイプと連通する内部構造となっている。
ノズルパイプは、外径3.18mm、内径0.5mmである。ジャケットパイプは、外径21.7mm、内径14.3mm、長さ240mmのジルコニアセラミックス製円筒体で、両端各2mm部分は端側に傾斜するテーパ状になっており、両端側に、外形が円柱状のセラミックス製ソケットが、その中心線が端から23mmとなって設けられている。このジャケットパイプは、マイクロリアクター本体及び高圧細管集合部の外径14mm部分を囲繞している。前記ソケットは、外径20mmで、ジャケットパイプから長さ25mmで出ている。
こうして、一対の高圧細管集合部の端から端までで測って300mmである高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成した。本実施例では、高圧細管内部の加熱或いは冷却のための熱媒体を、ソケットを介して高圧細管外側に流通させるが、ソケットを設けることなく、高圧細管集合部を貫通する貫通孔を設け、それを介して熱媒体を高圧細管外側に流通させるようにしてもよい。高圧細管集合部を介して熱媒体を貫流させるようにすると、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を複数並列に組み合わせる場合に、省スペースにすることができる。また、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を複数組み合わせる場合に、ジャケットパイプを有しない構造のものを複数組み合わせてから、それらを断熱構造体で囲んでもよい。
(超臨界水反応装置)
本実施例では、本発明に係る高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器をモジュールとして、それらを直列に組み合わせて、超臨界水反応装置とした。図5に、模式図を示す。原料水溶液を、ポンプで加圧して、第1のモジュルールに安定供給する。第1のモジュルールは、実施例1のもので、高圧細管の直接通電により高圧細管の温度は、375℃以上の温度とされ、供給された原料水溶液は、温度375℃、圧力22.1MPa以上の超臨界水状態とされる。この際に、ポンプで加圧して、原料水溶液と一旦超臨界水状態にした水とをY字合流部で混ぜて第1のモジュルールに供給すると、温度上昇を速くすることができる。
次いで、第1のモジュールと同じ構造であり、必要により触媒を配して使用する第2のモジュールに送り、そこで反応を更に進行させる。次に、急速冷却部で、急速に冷却して副反応を抑制してから安定減圧をすると、超臨界水反応による生成物が得られる。急速冷却部において、本発明に係る、高圧細管の内部を冷却することができる高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を急速冷却用のマイクロ熱交換器として使用して、第3のモジュールとする。例えば、実施例2の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を第3のモジュールとして使用することもできるが、本実施例では、外径1.6mm、内径0.25mmのインコネル625製内管と、外径3.2mm、内径2.0mmのSUS304製外管とで二重管を構成して、冷媒である水を流すことができるようにして第3のモジュールとした。
(高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の縦積層ナンバリングアップ構成)
本実施例では、本発明に係る高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器をモジュールとし、それを並列に組み合わせるため縦に積み重ねて、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置とした。具体的には、5本の高圧細管を備えた実施例1の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器5個を、図6に示すように、水平にして、縦方向(上下方向)に積み重ね、一方の端部における5本の液体移送管を集合させて一本の液体移送管に合流させた。他方の端部においても同様にして、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置とした。
こうすることにより、5本のモジュールが並列に繋がれ、例えば、高圧細管1本当たり2kg/hの処理量としていた場合、モジュールとしての高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器1個当たり10kg/hの処理量となり、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置1基当たり50kg/hの処理量とすることができた。この処理量は、基礎プラント(BP)規模ないしパイロットプラント(PP)規模である。
(高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の縦・横積層ナンバリングアップ構成)
本実施例では、実施例4の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置を1ユニットとして、図7に示すように、横方向(水平方向)に、互いに平行になるように5基並べた。一方の端部における5本の液体移送管を集合させて一本の液体移送管に合流させた。他方の端部においても同様にした。このようにして、5基のユニットを並列に繋ないでナンバリングアップすることにより、例えば、実施例4の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置1基当たり50kg/hの処理量であったものを、250kg/hの処理量の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置とすることができた。
この処理量は、パイロットプラント(PP)規模ないし実機規模である。また、このように並列に組み合わせてナンバリングアップする操作を積み重ねることにより、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器をモジュールとして、規模に応じて任意の数にナンバリングアップすることが可能であることが分かった。
(1)超臨界水反応装置
本実施例では、単一の金属細管及びその両端に通電電極を有する予熱器、断熱材による保温機能を持つ反応器、及び冷却器、を有する超臨界水反応装置を構築した。その装置の構成の全体を図10に示す。水タンク内から、高圧ポンプにより、圧力22.1MPa以上に加圧された水溶液(水と反応基質)を、予熱器に輸送し、予熱器内では、直接通電するジュール加熱により、水の臨界温度374℃以上に加熱した。
こうして超臨界状態となった水溶液を、反応器内に導入して、超臨界状態を維持し、反応を進行させた。反応を終了した水溶液は、冷却器により間接熱交換され、常温付近に冷却された後、減圧バルブにより常圧に減圧して回収した。本実施例は、この他に、各部分の圧力と温度を計測するためのセンサを適宜配置し、反応装置の作動状態を適宜監視し、各種機器を制御することにより適切な反応条件を維持した。次に、本実施例で使用した予熱器、反応器、及び冷却器について説明する。
(2)予熱器
本実施例では、外径1.6mm、内径0.25mmのニッケル合金(インコネル625)製の細管で、その長さは210mmの金属細管を有する予熱器を使用した。金属細管の両端には、直径10mm、長さ30mmのニッケル合金(MA718)製の電極端子部分が接合された構造となっており、その中心には、直径0.5mmの微細穴が貫通しており、前述の金属細管内の流路と通じる構造とした。
この微細穴の他端は予熱器の上下流の配管と接続した。この1対の電極端子は、電源装置から伸ばされた導電性の良好な金属ブスバーによって電源装置と接続し、通電した。通電された金属細管は、ジュール加熱によって電流量に応じて発熱し、内部を流れる作動流体と、内壁を通じた熱交換により流体の加熱を行った。
(3)反応器
反応器は、外径3.18mm、内径0.5mmのニッケル合金(インコネル625)製の金属細管からなり、その長さは350mmとした。また、反応器全体にシリカウールの断熱材を巻くことによって簡便な断熱構造として内部の作動流体の温度を維持した。
(4)冷却器
本実施例では、複数の流路に作動流体を均等に分割させて急速冷却を行い、再び多方継手構造により集合させる構造とした冷却器を使用した。この金属細管集合体は、冷媒が流れる冷却ジャケット内に設置されており、全体として向流型熱交換器となり、外径1.6mm、内径0.25mm、長さは210mmのニッケル合金(インコネル625)製の細管を5本用い、両端を、多方継手構造に嵌入して集合した。多方継手は、ニッケル合金(MA718)製で構成した。
多方継手構造の内部中心軸には、1本の微細穴加工(内径0.5mm)が形成されており、5本の金属細管の内部流路はこの微細穴の一端に集束して内部の流路が流通している。冷却器入口で5本の金属細管に均等に分割された高温高圧流体は、個々の金属細管内を流れる間に常温付近まで冷却された。
(5)装置試験の結果
次に、上記装置構成において、実際に、水の熱力学的臨界点を超える圧力温度条件を設定して実施した装置試験の結果について説明する。作動流体を純水とし、予熱器によって圧力40MPa、室温近傍の純水を400℃まで加熱し、更に冷却器によって常温まで冷却した。高圧ポンプによって圧送される純水の流量を変化させて、装置各部の圧力と温度と消費電力を記録することにより、装置の加熱冷却能力を評価した。表4に、その試験結果の例を示す。
試験結果は、予熱器に投入される電力のおよそ75%から94%が、内部を通過する流体のエネルギーに効率的に転換されていることを表している。この流体のエネルギー増加分を投入電力で除して求められるエネルギー利用効率はきわめて高く、本装置の省エネルギー性が非常に高いことが示された。表5に、伝熱能力の高低を示す指標である、総括伝熱係数、予熱器の通過時間、流体の昇温速度を概算した結果を示す。その結果、極めて高い伝熱能力によって0.1秒以下の極めて高速な流体加熱を実現できていることが明らかになった。
同様にして、表6に、冷却器の性能を概算した結果を示す。予熱器と同様に高い伝熱能力と大きな冷却速度が得られ、通過する高温高圧水が、0.5秒以内で常温まで冷却されていることが明らかになった。これらの結果から分かるように、本発明による高温高圧流体反応装置が、装置として望ましい1秒以下の短時間加熱・冷却過程、並びに、高速な制御を実現していることは明らかである。更に、この装置は、エネルギー利用効率が高いことから、省エネルギー性の高い高温高圧流体製造装置としての能力を持つことが示された。
以上詳述したように、本発明は、高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器に係るものであり、本発明では、内径0.5mm以下の高圧細管を複数本配設し、これらの高圧細管を両端のそれぞれで多方継手により少なくとも1本に集合させた構成とすることにより、高圧細管内部を急速に高温高圧にすることができる。また、それをモジュールとして、並列及び/又は直列に組み合わせることにより、処理量及び/又は機能を増大させた高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置を構成することが可能である。
そのため、この装置は、超臨界水反応装置を初め、汎用の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置として利用することが可能である。この高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置は、例えば、超臨界流体反応による高温高圧条件下での化学プロセス技術、エネルギー関連技術及び廃棄物分解技術などで高温高圧プロセス技術として利用することができ、また、化学プラントへの適用が可能である。本発明は、従来のマイクロリアクターでは適用することが困難であった超臨界流体への適用を可能とする高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を提供することを実現するものであり、高温高圧プロセスを実用化するための基本技術として有用である。
総括伝熱係数を算出するための、モーノチューブを示す図である。 モーノチューブにおける内径と総括伝熱係数との関係の算出結果を図に表したものである。 モーノチューブにおける内径と400℃への昇温時間との関係の算出結果を図に表したものである。 本発明に係る高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器の実施例(実施例1)を示す図である。 本発明に係る超臨界水反応装置(実施例3)の模式図である。 本発明に係る縦積層高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置(実施例4)を示す図である。 本発明に係る縦・横積層高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置(実施例5)を示す図である。 円柱型多方継手構造の好適な一例を示す説明図である。 板型多方継手構造の好適な一例を示す説明図である。 本発明による、予熱器、反応器、熱交換器(冷却器)から構成される高温高圧流体反応装置を示す。

Claims (13)

  1. 高温高圧下で使用するマイクロリアクター・マイクロ熱交換器であって、高圧細管を複数本配設し、該複数本の高圧細管の流路を多方継手により集合させた構造を有することを特徴とする高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  2. 高圧細管が、内径0.5mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  3. 高圧細管を内管として、その外側にその外径より大きい内径の外管を設置し、二重管としたことを特徴とする、請求項1に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  4. 複数本の高圧細管の外側に断熱構造体が設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  5. 断熱構造体の内部で高圧細管の外部である空間、又は二重管における両管の間に、熱媒を流通させることにより、高圧細管を加熱又は冷却することを特徴とする、請求項3又は4に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  6. 高圧細管の加熱を、高圧細管に直接通電するジュール熱加熱で行うことを特徴とする、請求項1に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  7. 高圧細管の加熱を、断熱構造体の外側に配設した電磁誘導コイルにる渦電流により行うことを特徴とする、請求項1に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  8. 断熱構造体が、セラミックス製であることを特徴とする、請求項4に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  9. 高圧細管が、ニッケル合金製であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  10. 多方継手が、ニッケル合金製であることを特徴とする、請求項1に記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を1モジュールとして、その複数モジュールを平面上に積み重ねたことを特徴とする高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置。
  12. 請求項1から10のいずれかに記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を1モジュールとして、その複数モジュールを立体的に積み重ねたことを特徴とする高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換装置。
  13. 請求項1から10のいずれかに記載の高温高圧マイクロリアクター・マイクロ熱交換器を構成要素として含むことを特徴とする超臨界流体用反応装置。
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