JP2006057231A - 気相法炭素繊維の製造方法および製造装置 - Google Patents

気相法炭素繊維の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素化合物と触媒から気相法で炭素繊維を製造する方法において、大容量の生産設備でも効率よく安定した生産が可能である方法を提供すること。
【解決手段】炭素源化合物及び触媒またはその前駆体を加熱帯域に供給し気相反応により炭素繊維を製造する方法であって、炭素源化合物及び触媒またはその前駆体の少なくとも一方が常温で固体の化合物であり、前記固体の化合物の加熱帯域への供給を、前記固体の化合物のみが封入された固体原料用供給装置により気相で定量的に行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、カーボンナノチューブ等の気相法炭素繊維を安定して、かつ効率的に製造する方法および製造装置に関する。
気相成長法により得られる炭素繊維は気相法炭素繊維(以下単に炭素繊維ということもある)と総称される。この気相成長法は、高いアスペクト比を有するものを容易に得ることができる等の特徴を有するため、従来から盛んに研究されており、したがって気相成長法による炭素繊維の製造方法に関する報告も数多い。近年、特に注目を集めているカーボンナノチューブ(すなわち、繊維径がナノメートルオーダーである炭素繊維)も、この気相成長法の応用で合成することが可能である。
図1は、気相成長法によって炭素繊維を連続的に製造する反応装置の一例を示す模式断面図である。図1において、1はキャリアガス、2は原料炭化水素液、3はキャリアガス流量調整計、4は炭素源化合物気化器、5はヒーター、6は担持型触媒、7は反応炉、8は炭素繊維捕集器、9は排ガスである。
一般的な製造方法の一例を以下に挙げる。原料はCO、メタン、アセチレン、エチレン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素を用いる。原料炭化水素2が常温で気体の場合には、ガスとしてキャリアガス1と混合して供給し、液体の場合には気化器4で気化させてからキャリアガス1と混合して供給するか(図1の例)、液状で加熱帯域に噴霧する。キャリアガスとしては不活性ガスである窒素ガスや還元性の水素ガス等が用いられる。触媒としてはアルミナ等の担体に金属を担持した担持型触媒6やフェロセン等の有機金属化合物が使用される。担持型触媒6を用いる場合は担持型触媒を予め反応ゾーンに設置して加熱して必要な前処理を行った後に原料炭化水素2を供給して反応させたり(図1に示す例)、あるいは前処理した担持型触媒を系外から連続、またはパルス的に供給して反応を行う。また、均一型の触媒前駆体化合物であるフェロセン等の有機金属化合物を原料炭化水素とともに加熱帯域に連続的、あるいはパルス的に供給して、触媒前駆体化合物の熱分解で発生した金属粒子を触媒として炭素繊維を生成させることもできる。生成物は加熱帯の内部やその末端の捕集器8に捕集され、所定時間の反応を終えた後、回収される。
気相法による炭素繊維の製造方法を触媒または該触媒の前駆体の供給方法によって大別すると、以下のようになる。
(a)触媒またはその前駆体を担持したアルミナや黒鉛からなる基板やボートを加熱帯域に置いて、炭化水素をガスで供給して接触させるもの;
(b)触媒またはその前駆体の粒子を液体状の炭化水素等に分散させて系外から加熱帯域に連続またはパルス的に供給してガス化した炭化水素と触媒を高温で接触させるもの;
(c)液体状の炭化水素中に溶解するメタロセンやカルボニル化合物を触媒前駆体として使用し、この触媒前駆体が溶解した炭化水素を加熱帯域に供給することにより、触媒と炭化水素を高温で接触させるもの;および
(d)比較的蒸気圧の高い触媒前駆体を加熱蒸発または昇華させて得られるガスと、炭化水素ガスを加熱帯域で接触させるもの。
上記(a)の方法では、触媒またはその前駆体を基板に塗布し、必要に応じて還元等の前処理を施し、その後炭素繊維を製造し、降温後に取出すという独立に実施を要するプロセスがあるため、連続製造が困難で、したがって生産性が悪い。また、触媒の調製、基板への塗布、金属状態への還元前処理、炭素繊維の生成、炭素繊維の基板からの回収という多くの工程が必要であり、経済的でない。
一方、上記の(b)、(c)および(d)の方法では、連続製造が可能である点で、(a)の方法よりも生産性に優れている。
しかしながら、(b)の方法においては、触媒またはその前駆体の粒子を液体状の炭化水素等に分散させて系外から加熱帯域に連続またはパルス的に供給する際に、均一な懸濁液が得られず、炭化水素と触媒の供給量割合が安定化しないという問題点がある。この問題を解決するために界面活性剤を添加した懸濁液を供給する方法や(特許文献1参照)、マイクロエマルションを利用して合成したナノオーダーの均一な粒径を有する触媒微粒子をトルエン等の炭化水素に懸濁した液を加熱帯域に連続的に供給して単層カーボンナノチューブの合成ができるといった報告もなされている(特許文献2参照)ものの、必ずしも充分ではなく、懸濁液を調整する工程が必要となるため、経済性にも乏しい。
一方、(c)の方法においては、例えば液体状の炭化水素中に溶解するメタロセンやカルボニル化合物を触媒前駆体として使用する。このような場合、炭化水素と触媒前駆体の組み合わせがその溶解度によって制約を受けるため、必要量の触媒前駆体が、原料炭化水素に溶解できず、触媒量が不足するなどの問題点があった。
また、(b)及び(c)の方法においては、常温で液体状の炭化水素しか用いることができないとの制約もある。
(d)の方法においては、触媒前駆体はあらかじめガス化することで、単独で供給できることから、(b)の方法のような、炭化水素中への分散性を改良したり、(c)の方法のような、溶解度の制約を受けることなく、自由に最適な炭化水素および、触媒源および濃度を選定できる点で好適である。
特公平6−65765号公報 特開2001−80912号公報
これまで、(d)の方法については、特開昭60−54998号公報の実施例に示されているように、触媒前駆体の入ったガス発生器を適当な温度に加熱し、そのガス発生器内にキャリアガスを流通させることで、触媒前駆体の蒸気圧を利用して、触媒前駆体を定量的に供給する方法が知られている。この供給方法においては、キャリアガスの流通量と、ガス発生器内の温度を厳密に管理することで、触媒前駆体の定量供給が可能となる。実験室レベルの数g/Hr程度の少量規模反応においては、このような流量管理、温度管理は容易であるため、本手法が多く用いられている。
ところが、本手法を、数百g/Hr程度の実生産レベルで実施する際には、ガス発生器内の温度分布が生じ触媒前駆体の均一な温度分布を得ることが困難であった。その結果触媒前駆体を定量的に供給できなかった。
また、固体状の炭素源を用いる場合についても、上記と同様に定量的に供給できないという問題があるため、実生産レベルではこの手法はほとんど用いられることは無かった。
本発明者は上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、数百g/Hr程度の実生産レベルで固体状の触媒前駆体あるいは炭素源化合物を定量的に供給できる方法を検討し、これまでにない固体原料用供給装置を見出し本発明を完成するに至った。
また、この固体原料用供給装置を用いることにより、これまでになく高効率で安定して炭素繊維を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下に記載の通りである。
[1]炭素源化合物及び触媒またはその前駆体を加熱帯域に供給し気相反応により炭素繊維を製造する方法であって、炭素源化合物及び触媒またはその前駆体の少なくとも一方が常温で固体の化合物であり、前記固体の化合物の加熱帯域への供給が、前記固体の化合物のみが封入された固体原料用供給装置により気相で定量的に行われることを特徴とする気相法炭素繊維の製造方法。
[2]触媒またはその前駆体が常温で固体の化合物である前記1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[3]炭素源化合物が常温で液状の化合物であり、前記液状の炭素源化合物はイオウ化合物が溶解された状態で加熱帯域に供給される前記2に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[4]固体原料用供給装置から加熱帯域を有する反応装置への原料供給量の制御が、固体原料用供給装置と反応装置との差圧調整、及び固体原料用供給装置と反応装置を接続する流路径の制御により行われる前記1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[5]差圧の調整が、前記差圧がほぼ一定となるように固体原料用供給装置の温度制御により行われる前記4に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[6]前記温度制御が固体原料用供給装置の内圧をほぼ一定にするように行われる前記5に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[7]流路径の制御が、固体原料用供給装置と反応装置を接続する流路の径の選択及び前記流路上に設けた流量調整バルブの少なくとも1つにより行われる前記4に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[8]固体原料用供給装置からの原料ガスが、キャリアガスおよび/または他の原料ガスと混合されて反応装置に供給される前記1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[9]触媒またはその前駆体が2〜15族の典型金属元素及び遷移金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む前記1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[10]触媒またはその前駆体が有機金属化合物である前記1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[11]原料化合物中の炭素原子に対する触媒またはその前駆体中の金属原子の原子換算比が0.0005以上である前記1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
[12]前記1〜11のいずれかに記載の方法により製造された気相法炭素繊維。
[13]炭素源化合物及び触媒またはその前駆体をそれぞれの原料供給装置から導入管を通じて反応装置に供給し気相反応させて気相法炭素繊維を製造する装置であって、炭素源化合物及び触媒またはその前駆体の原料供給装置の少なくとも一つが常温で固体の化合物を単独で供給するための固体原料用供給装置であり、前記固体原料用供給装置には反応装置内との差圧を一定にするための、供給装置内の圧力を調整する温度制御装置が設けられ、前記固体の化合物が反応装置内に気相で定量的に供給されることを特徴とする製造装置。
[14]前記固体原料用供給装置と反応装置とを接続する導入管上に流量調整バルブが設けられている前記13に記載の製造装置。
[15]固体原料用供給装置にその内圧が測定できる圧力計が設けられ、反応装置または導入管に反応装置の内圧が測定できる圧力計が設けられている前記13に記載の製造装置。
本発明によって、原料を定量的に供給することが可能となったため、安定した運転ができ、また炭素繊維の品質のバラツキも少なく、さらに固体状の原料の使用も可能となり、炭素源の種類や触媒源の種類・量を任意に設定できることから、従来実施困難であった高触媒濃度域での反応が工業生産規模で可能となった。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
本発明の炭素繊維の製造法において、原料として必須なものは炭素源化合物と触媒である。触媒は触媒前駆体で反応装置に供給し、そこで触媒になるものでもよい。イオウ化合物は用いた方がよいが、必須なものではない。なお、本明細書では、原料には触媒やイオウ化合物が含まれ、またイオウ化合物という用語は単体イオウも含む意味で使用する。
[原料]
(1)炭素源化合物
本発明の炭素繊維の製造方法において、炭素繊維の原料となる炭素源化合物は特に制限されず、有機化合物全般が使用可能である。
好ましい炭素源化合物の一例を挙げると、CO、CO2等の無機ガス;メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の単環式芳香族炭化水素;インデン、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン等の縮合環を有する多環式化合物;シクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィン類;ステロイド等の縮合環を有する脂環式炭化水素化合物等がある。更に、これらの炭化水素に酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン等が含まれた誘導体、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の含酸素化合物、メチルチオール、メチルエチルスルフィド、ジメチルチオケトン等の含硫黄脂肪族化合物、フェニルチオール、ジフェニルスルフィド等の含硫黄芳香族化合物、ピリジン、キノリン、ベンゾチオフェン、チオフェン等の含硫黄又は含窒素複素環式化合物、クロロホルム、四塩化炭素、クロルエタン、トリクロルエチレン等のハロゲン化炭化水素;また単体ではないが天然ガス、ガソリン、灯油、重油、クレオソート油、ケロシン、テレピン油、樟脳油、松根油、ギヤー油、シリンダ油等も使用することができる。これらの混合物を用いることも可能である。
これらの化合物のうち最も好ましい炭素源化合物としては、CO、CO2、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのほか、常温で固体であるナフタリン、アントラセン、フェナントレンおよびこれらの混合物が挙げられる。本発明の固体原料用供給装置を用いることにより、従来は原料として用いることがなかった常温で固体である炭素源化合物を炭素源として使用することが可能となる。
(2)触媒
本発明で使用できる触媒は、炭素繊維の成長を促進する物質である限り、特に制限されない。この触媒としては、例えば、2〜15族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられる。更には3、5、6、8、9、10族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金および希土類元素が特に好ましい。
(3)触媒前駆体
触媒前駆体とは、加熱帯域において熱分解し、場合によっては更に還元されて、上記触媒を与える化合物のことである。例えば、触媒前駆体であるフェロセンは加熱帯域において熱分解し、触媒である鉄微粒子を生成する。よって、触媒前駆体としては上記のような金属を与える化合物が好適に使用可能である。より具体的には例えば、触媒前駆体として、2〜15族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物、更には3、5、6、8、9、10族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物が好ましく、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金および希土類元素を含む化合物が最も好ましい。
以下、特に区別している場合を除いて、触媒前駆体という表現には触媒そのものも含むものとする。
使用する触媒前躯体としては、常温で固体であるものが好ましい。これらの固体状の触媒前躯体は炭化水素などの溶媒に溶解して使用することも可能であるが、溶媒への溶解度によって供給量が制限されるため、固体状の化合物を本発明の固体原料用供給装置を用いて供給することが最も好ましい。
触媒前駆体としては、フェロセン等の有機金属化合物や、カルボニル化合物、塩化物等が好適に用いられる。また、これら主成分に1〜17族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物を触媒の修飾成分(いわゆる助触媒)として加えて、主成分である金属の触媒性能を修飾することも可能である。この修飾成分についても容易に気体となりえるものが好ましい。
触媒前駆体の添加量としては、一般的には原料成分(炭素源化合物、触媒前駆体、イオウ化合物等)中の炭素原子に対する触媒またはその前駆体中の金属原子の原子換算比として0.003程度であるが、本発明の固体原料用供給装置を用いることで、従来実施できなかった0.01以上についても可能になった。このように従来と比較して、多量の触媒を供給できることから、原料炭化水素の熱分解温度が低下し、より低い温度で炭素繊維を生成させることができるだけでなく、繊維径の細い繊維が生成しやすい傾向にある。
本発明において触媒添加量の好ましい範囲は、原料成分(炭素源化合物、触媒前駆体、イオウ化合物等)中の炭素原子に対する触媒またはその前駆体中の金属原子の原子換算比で0.0005以上が好ましく、0.007以上がさらに好ましく0.01以上が最適である。
(4)イオウ化合物
更に、これらに炭素繊維径制御に効果があるイオウ化合物を併用することが好ましい。イオウ化合物としては、イオウ、チオフェン、硫化水素等が好ましい。イオウ化合物はガス状あるいは、炭化水素に溶解させて供給してもよい。もちろん該炭素源化合物、該触媒前駆体化合物にイオウ原子を含有する物質を用いても良い。特に好ましくは、イオウ化合物として常温で固体状のものを使用し、炭化水素などに溶解させずに固体原料用供給装置を用いて加熱帯域に供給する方法である。この方法により、溶媒や炭化水素などへの溶解度に制限させることなく高濃度で供給することが可能となる。
供給するイオウ化合物の量は、イオウ原子が触媒金属原子の1000倍(原子比)以下が好ましく、より好ましくは100倍以下、更に好ましくは10倍以下である。供給するイオウの量が多すぎると経済的でないばかりか、炭素繊維の成長を妨げる原因となるため好ましくない。
(5)キャリアガス
本発明の気相法炭素繊維の製造においてはこれらの成分、あるいは組成物に加えて、キャリアガスを使用することが推奨される。キャリアガスとしては水素、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、またはこれらの混合ガスを用いることができる。しかし、空気等の酸素分子(すなわち、分子状態の酸素:O2)を含有するガスは適さない。本発明で用いる触媒前駆体は酸化状態にある場合があり、こうした場合にはキャリアガスとして水素を含有するガスを用いることが好ましい。したがって、好ましいキャリアガスとしては水素を1体積%以上、更には30体積%以上、最も好ましくは85体積%以上含んだガスであり、例えば100体積%水素や水素を窒素で希釈したガスである。
[炭素繊維の製造方法及び装置]
気相法炭素繊維は、これまで説明した炭素源化合物、触媒前駆体および好ましくはイオウ化合物、更に必要に応じてキャリアガスとを反応装置の加熱帯域に供給し加熱下で接触させることにより製造することができる。炭素源化合物及び触媒前駆体の少なくとも一方は常温で固体の化合物であり、前記固体の化合物の加熱帯域への供給が、前記固体の化合物のみが封入された固体原料用供給装置により気相で定量的に行われる。
気相法炭素繊維の製造装置としては、炭素源化合物及び触媒前駆体をそれぞれの原料供給装置から導入管を通じて反応装置に供給し気相反応させるものであって、炭素源化合物及び触媒前駆体の原料供給装置の少なくとも一つが常温で固体の化合物を単独で供給するための固体原料用供給装置であり、前記固体原料用供給装置には反応装置内との差圧を一定にするための温度制御装置が設けられ、前記固体の化合物が反応装置内に気相で定量的に供給される。以下、具体的に説明する。
(1)反応装置
反応装置(加熱炉)としては、所定の滞留時間、加熱温度が得られるものであれば特に限定されないが、縦型あるいは横型の管状炉が原料供給、滞留時間制御の面で好ましい。加熱帯域の温度は使用する炭素源化合物の種類などによって大きく異なるが、一般的に500℃〜1500℃であることが望ましく、更に望ましくは600℃〜1350℃である。温度が低すぎると炭素繊維が十分に成長せず、高すぎると球状の炭素粒子の生成が顕著になったり、あるいは太い繊維しか得られなかったりするので好ましくない。
滞留時間は加熱帯域の長さとキャリアガスの流量により調整する。最適な滞留時間は、使用する反応装置、炭素源化合物の種類によって大きく異なるが、一般的には0.0001秒〜2時間以内がよく、0.001〜100秒が更に好ましく、0.01〜30秒が最も好ましい。滞留時間が短すぎると、炭素繊維が十分に成長せず、長すぎると太い繊維しか得られなかったり、生産性が悪化し好ましくない。
(2)原料の供給方法
本発明における炭素繊維の製造に用いられる原料は、炭素源化合物及び触媒前駆体であり、更に好ましくはこれにイオウ化合物が併用される。この場合、炭素源化合物および/または触媒前駆体は固体状のものが単独で固体原料用供給装置内に満たされる。単独で満たされるとは、固体状の化合物が液体に分散あるいは溶解しているものは含まないことを意味する。すなわち、固体状の化合物、その溶融液、そのガスで満たされているものである。
炭素源化合物及び触媒前駆体の少なくとも一方を単独で固体原料用供給装置を用いて供給した場合、残りの原料の供給方法には制限はない。例えば、触媒前駆体を単独で供給装置を用いて供給した場合、炭素源化合物は他の原料や原料以外の化合物と混合して供給してもよい。任意成分としてのイオウ化合物を含め残りの固体原料も単独で固体原料用供給装置により供給することもできる。
なお、本明細書において、「炭素源化合物及び触媒またはその前駆体の少なくとも一方が常温で固体の化合物」であるとは、複数種の炭素源化合物を用いる場合、触媒及び触媒前駆体を併用する場合、及び触媒または触媒前駆体として複数種を用いる場合には、それらのうちの少なくとも1種が常温で固体の化合物であることを意味する。
一例を挙げると、炭素源化合物として常温で気体または液体の化合物と常温で固体の化合物を併用することができる(実施例1参照)。
これらの中で最も好ましい態様としては、固体の触媒前駆体を単独で供給装置を用いて反応装置内に供給し、イオウ化合物を常温で液体の炭素源化合物に溶解し液体状態で反応装置内に噴霧するか、液体状態で気化器内に供給し気化した後、反応装置内に供給する方法である。その他、固体の触媒前駆体を単独で供給装置を用いて反応装置内に供給し、常温でガス状の炭化水素とイオウ化合物を反応装置内に供給する方法、炭素源化合物、触媒前駆体及びイオウ化合物としてすべて常温で固体状のものを用い、それらをそれぞれ固体原料用供給装置により反応装置内に供給する方法、その方法において炭素源化合物として気体原料を併用する方法も好ましい方法である。
原料化合物を単独で収容した固体原料用供給装置からは原料化合物が定量的に反応装置に供給される。この供給装置に収容されている化合物は常温では固体であるので、これを加熱し、気化し、気体として定量的に反応装置に供給される。定量的に供給するには、例えば固体原料用供給装置内と反応装置内の圧力を測定し、その差圧が一定になるようにして行う。定量的に供給する際の流量は固体原料用供給装置と反応装置間を接続する流路径と前記差圧の大きさで決められる。差圧としては、通常、0.1kPa〜1MPaの範囲となるように調整することが好ましい。流路径は所望の流量が得られる配管径を選定したり、流路内にオリフィスなどを挿入して調整する。例えば流路内に流量制御バルブ等を設置することで流路径を連続的に調整するのが好ましく、特にニードルバルブを用いて行うのが好ましい。さらにこの固体原料用供給装置の内圧を一定にして行うことが好ましい。この場合差圧が一定であるから、反応装置の運転もできるだけ圧力一定になるように制御する。
上記以外の原料及びその供給方法については特に制限はない。気体、液体のいずれの原料も使用できる。但し、触媒前駆体は通常固体である。
原料の炭素源化合物が常温で気体の場合には、必要に応じて予熱した後に、反応装置内に供給する。この場合、反応装置内に供給する前に、あらかじめ予熱されたキャリアガスと事前に混合することが、反応装置内での均一な濃度分布が得られるため好ましい。また、後述の触媒前駆体ガスとも事前に混合することがさらに好ましい。
炭素源化合物、キャリアガスの予熱温度については、特に限定されないが、高すぎると炭素源化合物の分解が起こるため、使用する炭素源化合物の分解温度未満であることが好ましい。触媒前駆体の分解温度が、炭素源化合物の分解温度と大きく異なる場合には、各々のガスを各々所定の温度まで予熱し、反応装置内に供給することが好ましい。
炭素源化合物が常温で液体である場合には、液状のまま反応装置に供給するか、加熱及び気化させた後、気体として供給することができる。加熱及び気化は、気化器により連続的に行うことができる。液状のまま供給する方法としては、公知のあらゆる方法を使用することが可能であるが、噴霧ノズルを用いて、液滴径、噴霧角度などを調整して行うことが好ましい。
気化させた後供給する方法としては、前述の炭素源化合物が気体である場合と同様に行うことが出来る。
炭素源化合物及び触媒前駆体は、それぞれが常温で固体の場合は、適当な溶媒に溶解して、前記の炭素源化合物が液体である場合と同様に供給することも可能であるが、後述の固体原料用供給装置を用いて、気化あるいは昇華させて供給することが好ましい。
これらの原料についても先に述べた原料を単独で収容した場合と同様定量的に反応装置に供給することが好ましい。ガス状で供給する場合は差圧による定量的供給、ニードルバルブによる流量の調節など前記同様に行うことができる。また原料が液体、固体の場合も気化して供給する場合は前記同様キャリアガスと混合することが好ましい。
(3)炭素原料製造装置
本発明の製造装置において、固体原料用供給装置は少なくとも1つの原料ガス供給口、圧力計、加熱あるいは冷却等の温度制御手段を有する密閉容器であり、その原料ガス供給口は加熱帯域を有する反応装置に接続される。原料ガス供給口と反応装置の間には所望の流量が得られるように配管径を調整したり、オリフィスを設置したりする。また流量調整バルブを用いることができ、特にニードルバルブを取り付けて流量を調整するのが好ましい。固体原料用供給装置は、供給装置内のガス温度を一定にするのではなく、内圧力を制御するために加熱量を制御する。このとき加熱は外部または内部どちらでもよく、定量供給に必要なエネルギーが与えられればよい。
原料化合物の供給は、原料化合物及びそのガスが実質的に単独で固体原料用供給装置(密閉容器)内に満たされて、原料ガス供給口から行われる。ここで言う実質的に単独とは、他のガスが5体積%以下であることが好ましく、1体積%以下であることがさらに好ましく、0.5体積%以下であることが最も好ましい。原料化合物以外のガスが共存すると、装置内圧を一定にコントロールしても、一定量の供給ができないため好ましくない。原料化合物およびそのガスで、固体原料用供給装置内を実質的に単独で満たす方法については、例えば、原料ガス供給口あるいはそれ以外の専用口を介して、装置内を減圧にし、内部の気体成分を排出した後、供給装置を加熱する方法が挙げられる。また別のさらに好適な一例を挙げると、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで装置内を置換後、供給装置を加熱し、供給口あるいは専用口から装置外に置換した不活性ガスを排出させることで、供給装置内の原料化合物以外のガスを追い出した後、反応装置内に供給する方法などが挙げられる。
固体原料用供給装置の原料ガス供給口と反応装置の間には圧力計を設けることができる。この圧力計と供給装置内の圧力計による差圧を一定に保つ構造を設ける。これによって定量的な供給が可能となる。反応装置に圧力変動があったとき差圧を一定に保つには、供給装置の温度制御(加熱、冷却など)により行うことができる。
一定にすべき差圧は供給すべき炭素源化合物、触媒前躯体化合物、イオウ化合物の供給量、原料供給装置と反応装置間の流路径に応じて設定すればよい。
原料ガス供給口から供給される原料ガスはガス温度の低下により、容易に凝縮するため、原料ガス供給口から反応装置間は加熱・保温することが好ましい。加熱温度については、特に制限されないが、供給容器内のガス温度以上であることが好ましく、原料化合物の分解温度未満であることがさらに好ましい。
原料ガスの凝縮を防ぐためのさらに好適な一例として、原料ガス供給口と反応装置間に設置された流量を制御する手段の反応装置側にあらかじめ加熱されたキャリアガスを導入する方法が挙げられる。キャリアガスの加熱温度については、原料化合物の種類、供給量、キャリアガス量などによって、その最適温度は異なるが、供給容器内のガス温度以上の温度であることが好ましく、原料化合物の分解温度未満であることがさらに好ましい。
キャリアガスの流量についても、特に限定されないが、ガス中の原料ガスとの比率で、0.5以上が好ましく、更に0.6以上が好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例・比較例で使用した試薬等は、次の通りである。
〔試薬類〕
1.炭素源化合物
ベンゼン :和光純薬工業(株)製特級試薬
アントラセン:和光純薬工業(株)製特級試薬
2.触媒前駆体化合物
フェロセン:日本ゼオン(株)製
FeCl3 :和光純薬工業(株)製特級試薬
チオフェン:和光純薬工業(株)製特級試薬
粉末イオウ:和光純薬工業(株)製特級試薬
実施例1
図2に使用した製造装置を示す。管状反応炉7は、炭化珪素製(140Φ×2600L)のものを用い、原料等の導入口、排ガス9の排出口、炭素繊維捕集器8及びヒーターに5が設けられている。この反応炉7に対して炭素源としてのガス状メタン11、別の炭素原料としてのアントラセン、触媒としてのFeCl3、イオウ化合物としての粉末イオウ及びキャリアガスの供給経路をそれぞれ接続した。
ガス状メタンの供給経路には流量調整計15を設けた。
キャリアガスの供給経路には上流から順に流量調整計15及び予熱器16を設けた。
原料としてのアントラセン、FeCl3及び粉末イオウの供給経路は、キャリアガス10の供給部から反応炉7に至るそれぞれの管路上に固体原料用供給装置12(a)、12(b)、12(c)が接続されてなり、各供給装置内にあらかじめ所定量の固体原料を仕込んだ。それぞれの供給装置の接続部には流量調整バルブとしてニードルバルブ14を設けた。その接続部から上流の管路上にはキャリアガス10の流量調整計15及び予熱器16をそれぞれ設け、下流には圧力計13を設けた。これら供給装置にはそれぞれヒーター5及び圧力計13が設けられている。
キャリアガスを単独で供給する経路からキャリアガス10として窒素を80NL/min供給しながら管状反応炉7をヒーター5により1200℃まで昇温させた。昇温完了後窒素ガスを水素ガスに切り替え水素加熱温度を400℃として、200NL/minで供給した。固体原料用供給装置12は、あらかじめ内部を窒素で置換した後、加熱を開始し、供給装置内の窒素分を完全に追い出し、供給装置内圧を一定で表1に保つように加熱した。供給装置から所定量での排出を開始した後、反応管7内に各々の原料化合物ガスを供給した。各々の供給装置12の水素ガス量は10NL/minとした。それぞれの原料の供給量は供給装置に設けた圧力計13及び管路下流に設けた圧力計13から計測した差圧の調整、及びバルブ14の調整により制御した。原料ガスと混合せず、直接反応炉7に単独で供給した水素は200NL/minで400℃に加熱した。同時にもうひとつの炭素源であるメタン11も5NL/minで供給した。それぞれのガス量は流量調整計15により調整した。反応完了後、捕集器8により生成物を回収した。使用した原料(メタン、アントラセン、イオウ、FeCl3)中の炭素量に対する割合を求めたところ15%であった。生成物は電子顕微鏡で観察した結果、繊維径約30nmの繊維状生成物が主体であった。なお、実験条件は表1に、原料関係は表2にまとめた。以下の実施例、比較例も同じ。
実施例2
イオウの代わりにチオフェンを用い、常温で液体のチオフェンは、図2におけるイオウの供給経路の代わりに設けた気化器を用いた供給経路により供給した(0.75g/min)。触媒前躯体化合物としてはフェロセン(1.5g/min)を用いた。原料ガスと混合せずに直接反応炉に供給した水素を210NL/minとした以外は、実施例1と同様に実施した。ここで、気化器とは、連続的に液体原料を供給し、ガス化させる装置である。反応完了後、生成物を回収し使用した原料(メタン、アントラセン、チオフェン、フェロセン)中の炭素量に対する割合を求めたところ20%であった。生成物は電子顕微鏡で観察した結果、繊維径約30nmの繊維状生成物が主体であった。
実施例3
炭素原料としてベンゼンを使用し、イオウ原料としてチオフェンを使用した。図2におけるメタン、アントラセン、イオウの供給経路の代わりにベンゼン中にチオフェンを7.7質量%あらかじめ溶解したものを反応液とし気化器を用いて供給(5.2g/min)する経路を設けた。触媒としてフェロセン(1.2g/min)を原料供給装置(図2の12(b))を用いて供給し、原料ガスと混合せず直接反応炉に供給した水素を220NL/minとした以外は、実施例1と同様に実施した。反応完了後、生成物を回収し使用した原料(ベンゼン、チオフェン、フェロセン)中の炭素量に対する割合を求めたところ25%であった。生成物は電子顕微鏡で観察した結果、繊維径約30nmの繊維状生成物が主体であった。
比較例1
反応液としてベンゼン中にフェロセン18.8質量%、チオフェン6.4質量%(実施例3の反応組成)を投入し、1時間撹拌したが、完全に溶解できなかった。
比較例2
ベンゼン中にフェロセン質量10%、チオフェン1.9質量%を投入し、1時間撹拌したところ、完全に溶解し均一な溶液となった。この溶液を原料として用いた。原料は気化器で気化した。気化して用いた溶液は4.54g/minで、気化器の水素ガス量を20NL/minとした。それ以外は実施例1と同様に実施した。反応完了後、生成物を回収し、使用した原料中の炭素量に対する割合を求めたところ12%であった。
比較例3
チオフェン中にフェロセン質量6%を溶解したものを反応液とし、5.3g/minで気化器を用いて供給し、炭素源としてはメタンを(5NL/min)使用した以外は実施例1と同様に実施した。反応完了後、生成物を回収し、使用した原料中の炭素量に対する割合を求めたところ5%であった。
Figure 2006057231
Figure 2006057231
本発明の気相法炭素繊維は、金属、樹脂、セラミックスその他の各種の材料に添加して、導電性や熱伝導性を改善するために使用するフィラー材として、あるいはFED(フィールドエミッションディスプレイー)用の電子放出材として、更には水素やメタン、もしくは各種気体を吸蔵する媒体として、また各種電池の特性改善材料等のフィラー材として、さらに、触媒等に利用できる。
従来の気相法炭素繊維の製造装置の断面図である。 本発明の気相法炭素繊維の製造装置の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 キャリアガス
2 原料炭化水素液
3 キャリアガス流量調整計
4 炭素源化合物気化器
5 ヒーター
6 担持型触媒
7 反応炉
8 炭素繊維捕集器
9 排ガス
10 キャリアガス
11 メタンガス
12 原料供給装置
13 圧力計
14 バルブ
15 流量調整計
16 予熱器

Claims (15)

  1. 炭素源化合物及び触媒またはその前駆体を加熱帯域に供給し気相反応により炭素繊維を製造する方法であって、炭素源化合物及び触媒またはその前駆体の少なくとも一方が常温で固体の化合物であり、前記固体の化合物の加熱帯域への供給が、前記固体の化合物のみが封入された固体原料用供給装置により気相で定量的に行われることを特徴とする気相法炭素繊維の製造方法。
  2. 触媒またはその前駆体が常温で固体の化合物である請求項1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  3. 炭素源化合物が常温で液状の化合物であり、前記液状の炭素源化合物はイオウ化合物が溶解された状態で加熱帯域に供給される請求項2に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  4. 固体原料用供給装置から加熱帯域を有する反応装置への原料供給量の制御が、固体原料用供給装置と反応装置との差圧調整、及び固体原料用供給装置と反応装置を接続する流路径の制御により行われる請求項1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  5. 差圧の調整が、前記差圧がほぼ一定となるように固体原料用供給装置の温度制御により行われる請求項4に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  6. 前記温度制御が固体原料用供給装置の内圧をほぼ一定にするように行われる請求項5に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  7. 流路径の制御が、固体原料用供給装置と反応装置を接続する流路の径の選択及び前記流路上に設けた流量調整バルブの少なくとも1つにより行われる請求項4に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  8. 固体原料用供給装置からの原料ガスが、キャリアガスおよび/または他の原料ガスと混合されて反応装置に供給される請求項1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  9. 触媒またはその前駆体が2〜15族の典型金属元素及び遷移金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む請求項1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  10. 触媒またはその前駆体が有機金属化合物である請求項1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  11. 原料化合物中の炭素原子に対する触媒またはその前駆体中の金属原子の原子換算比が0.0005以上である請求項1に記載の気相法炭素繊維の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の方法により製造された気相法炭素繊維。
  13. 炭素源化合物及び触媒またはその前駆体をそれぞれの原料供給装置から導入管を通じて反応装置に供給し気相反応させて気相法炭素繊維を製造する装置であって、炭素源化合物及び触媒またはその前駆体の原料供給装置の少なくとも一つが常温で固体の化合物を単独で供給するための固体原料用供給装置であり、前記固体原料用供給装置には反応装置内との差圧を一定にするための、供給装置内の圧力を調整する温度制御装置が設けられ、前記固体の化合物が反応装置内に気相で定量的に供給されることを特徴とする製造装置。
  14. 前記固体原料用供給装置と反応装置とを接続する導入管上に流量調整バルブが設けられている請求項13に記載の製造装置。
  15. 固体原料用供給装置にその内圧が測定できる圧力計が設けられ、反応装置または導入管に反応装置の内圧が測定できる圧力計が設けられている請求項13に記載の製造装置。
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