JP6403144B2 - 気相法微細炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、カーボンナノチューブ等の細径の気相法微細炭素繊維を効率的に製造する方法において、少なくとも触媒前駆体及び担体前駆体を含む触媒源組成物と炭素源組成物からなる反応原料をキャリヤーガスと共に反応炉の上方から供給し、炉内で生成した担持触媒粒子(触媒粒子を担持する担体粒子)を浮遊させながら、直径が10μm以下である担体粒子に担持された直径が30nm以下である触媒粒子から微細炭素繊維を生成し、反応炉の下部から回収する気相法微細炭素繊維の製造方法、製造装置及びそれで製造された微細炭素繊維に関するものである。
気相成長法により得られる微細炭素繊維は、細い直径で高いアスペクト比を有するものが容易に得られる事が知られている。繊維直径がナノメーターサイズのカーボンナノチューブも気相成長法で合成が可能である。
気相成長法によって微細炭素繊維を製造する際には、微細な触媒金属粒子が必要とされている。触媒金属粒子は、原料となる炭化水素を分解し、炭素を筒状に成長させる役割がある。微細炭素繊維の気相成長法は、この触媒金属粒子の状態によって大きく2つに分類することができる。担体に触媒金属が担持された状態で反応させる方法と触媒金属のみが浮遊された状態で反応させる方法である(非特許文献)。
担持触媒を用いて、気相成長させる方法は、たとえば、特許文献1及び特許文献2に記載しているように、アルミナのような担体に鉄やモリブデンの塩などの溶液を含浸後、乾燥、仮焼して担持触媒を予め調製しておき、これを反応炉に導入し、反応炉に導入されてから、活性化し、担体上に微細な金属粒子が析出し、担体上の触媒金属を原料炭化水素ガスと反応させて気相法微細炭素繊維を成長させる方法である。
大量生産の製造方法として担持触媒粒子を流動化させた状態で連続的に反応させることが多い。例えば、特許文献3と特許文献4に開示したように、触媒金属をマグネシア担体に担持した粉末状の担持触媒が縦型反応器の水平断面方向全面に存在させた状態で、500〜1200℃で、反応器内を下部から上方に向けて鉛直方向に流通させた炭素含有化合物と接触させてカーボンナノチューブを効率よく大量に合成する。特許文献5は、予め調製した耐熱性支持体に担持した触媒粒子及び炭素源前駆物質を両方共反応塔の頂部から反応領域に連続的に導入し、且つ両方共反応領域から連続排出させることで炭素フィブリルを連続的に製造する方法を開示した。また、特許文献6に開示したカーボンナノチューブの連続製造方法は、炭素源ガスは反応炉の下から供給する特徴以外、担持触媒を反応炉内に供給する方法が二つある。一つは担持触媒を反応炉内に充填する前に、担体に担持した触媒金属の酸化物を、別の活性化炉で還元してから、反応炉内の流動層に供給する方法であり、もう一つは、担体粒子を反応炉内の流動層に充填し、気化した触媒前駆体を流動層反応装置内に供給する方法である。
特許文献7〜8には、触媒原料を支持体上に付着させた後、反応器中導入し、加熱処理することで支持体上に触媒を担持させる触媒担持工程及びカーボンナノチューブ合成工程のカーボンナノチューブ製造方法を開示している。特に、アルミニウムまたはアルミナ(Al, 0 < x ≦3)と触媒金属を製膜した基板上へのCVD反応実験により、下地のアルミニウムがカーボンナノチューブの生成に大きく寄与していることが示された。また、アルミニウムアルコキシドとフェロセンを用いて、流動層方式でビーズ上にアルミナ担体と鉄触媒を堆積させ、細い径のカーボンナノチューブを効率よく生成する方法が開示されている。
非特許文献2〜3には、予め調製した(Co−Mo)系担持触媒において、触媒粒子が担持されている担体の種類により、反応生成する微細炭素繊維は大きく異なることを開示した。多孔質シリカ担体上に形成された酸化モリブデン担体の表面に存在するコバルト触媒粒子から単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)が優先的に成長する、一方、酸化モリブデン担体の表面に存在せず多孔質シリカ担体上に直接存在するコバルト触媒粒子から多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)が成長する。微細炭素繊維の生成反応前に担体である酸化モリブデンは還元及び焼結工程中にコバルト触媒粒子の凝集を抑制する作用があることを記載している。
一方、特許文献9〜13に記載のあるように、触媒金属を担体に担持せず浮遊状態で気相成長させる方法は、例えばフェロセンのような有機金属を触媒前駆体として用い、これをベンゼンやトルエンなどの常温で液体状態の炭化水素に溶解し、さらに助触媒としてイオウ源を添加する場合もあるが、この触媒前駆体を含む原料溶液を液体のままあるいは加熱により蒸気の状態でキャリヤーガスと一緒に反応炉に導入する。原料溶液を液体のまま導入した場合は反応炉内で加熱されて蒸気となる。フェロセンなどの触媒前駆体を含む原料の蒸気は、フェロセンの熱分解で微細な鉄粒子を生成し、この鉄粒子と原料の炭化水素を反応させて気相法微細炭素繊維を成長させる方法である。反応炉の入り口付近では触媒金属粒子の生成、その次の段階として触媒金属粒子を起点として炭化水素の触媒反応による微細炭素繊維の成長、その次に炭化水素の熱分解により微細炭素繊維の直径方向への成長が生じる。
また、非特許文献4は、予め鉄あるいはコバルトとモリブデンの塩化物から得たナノサイズのCo−MoあるいはFe−Mo系複合触媒粒子からなるコロイド溶液をスプレーで反応炉の上方から供給し、SWCNTsを生成する方法(e-DIPS法)を開示した。
非特許文献5は、予めに鉄とモリブデンの塩化物を水溶液とし、トルエン中に添加し、得た超分子触媒を含む触媒原料及び炭素源原料をスプレーで反応炉の上方から供給し、炉内でナノサイズのFe−Mo系複合触媒粒子が形成され、SWCNTsを生成する方法を開示したが、Mo/Fe=0〜0.2の範囲である。
これらの、担体を用いずに、浮遊状態である触媒粒子を用いて微細炭素繊維を合成する方法では、1個ずつ浮遊した触媒粒子から1本ずつ微細炭素繊維が成長することが、共通した特徴である。
M.Endo, Chemtech September,568,1988 D.E.Resasco,W.E.Alvarez,F.Pompeo,L.Balzano,J.E.Herrera,B.Kitiyanan and A.Borgna, Journal of Nanoparticle Research 4:131−136(2002) J.E.Herrera,L.Balzano,A.Borgna,W.E.Alvarez and D.E.Resasco,Journal of Catalysis 204, 129−145(2001) T.Saito,S.Ohshima,W.C.Xu,H.Ago,M.Yumura and S.Iijima,J.Phys.Chem.B 2005,109,10647−10652 T.Saito,W.C.Xu,S.Ohshima,H.Ago,M.Yumura and S.Iijima,J.Phys.Chem.B 2006,110,5849−5853
特開2003−205239号 特公表2009−526726号 特再公表2007−074629号 特開2010−201351号 特公平8−26164号 特許第3878555号 WO2011/102433 A1 WO2011/030821 A1 特許第4010974号 特許3776111号 特許3868824号 特開平3−130417号 特公昭62−49363号
触媒粒子を担持する担体粒子(担持触媒粒子)を用いる従来技術では、予め担持触媒を調製しておく必要があるため、生産工程は煩雑である。また、担持触媒粒子を流動させる状態で反応するため、生成した微細炭素繊維が緻密な凝集体を形成しやすい。複合材を作る時にこれらの緻密な凝集体はマトリックスへの分散が非常に困難であり、余分な分散剤や特殊な分散機械を使用しないと微細炭素繊維の凝集体は均一分散ができず、所望の複合材物性には至らないという致命的な問題がある。また、連続生産のために担持触媒粒子は良好な流動性を保つには、数十μm以上の直径サイズが必要である(特許文献6−8)。これらの担持触媒粒子を含有する微細炭素繊維をフィラーとしてマトリックスに添加し複合材を作る時、数十μm以上直径の担体粒子の複合材物性への影響が無視できないため、これらの大きな担持触媒粒子を除く必要があり、生産プロセスは更に煩雑になり、生産コストも上がるので、好ましくない。
一方、今までの触媒金属を浮遊させる状態で反応する方法では、反応炉内で触媒粒子を生成させるが、孤立した微小な粒子の拡散凝集は速いため、粒子が大きくなりやすい。触媒源ないし触媒粒子を極低濃度で供給する方法では、微小な触媒粒子の凝集を抑えることが可能であるが、微細炭素繊維の生産性が低くなってしまう(非特許文献4、5)。生産性を上げるべく触媒源ないし触媒粒子を高濃度で供給すると、触媒粒子が速やかに拡散凝集し、触媒粒子を小さいままで触媒反応が生じるゾーンまでキャリーできないという問題があり、触媒粒子サイズの制御が困難である。触媒粒子サイズが大きくなると触媒活性が低下するため、反応温度を高くする必要が生じてしまう。高い温度で反応すると、炭化水素の熱分解が生じ、微細炭素繊維の直径方向への成長ばかりではなく、不完全な熱分解によりタール分が生成する。これらが原因で、炉壁への微細炭素繊維の付着が生じることで、炉心管が閉塞してしまう恐れがあるため、いったん原料の導入を停止して酸化性雰囲気に置換して空焼きを行う必要がある(特許文献12)。この不都合で、反応設備の実稼動時間が低下する。また、反応炉から回収された微細炭素繊維にもタール分が付着するため、不活性ガス中での熱処理によりタールの蒸発除去または炭素化を行う必要がある。連続運転ができないことと後処理工程が必要なことで生産コストが高く且つ効率が悪い。また、直径方向への成長が生じるため、直径が細い(30nm以下)微細炭素繊維を効率よく生産することは実質的に不可能である。
また、従来技術の担持触媒と浮遊法を組み合わせた気相生成方法が特許文献5の実施例40に示されているように、触媒支持体としての炭素フィブリルの上に触媒を分散させ、担持触媒粒子を予め調製した後、炭素原料ガスCOと共に全高20mの流通塔の頂部から導入し、1100℃に加熱される反応ゾーンを通過し細い炭素フィブリルを連続製造する方法である。しかし、全高20mの流通塔は現実的な生産設備ではなく、実用はほぼ不可能である。
一般的に、予め担持触媒を作ると、微小な粉体粒子は容易に凝集し、数十μm以上程度の凝集体を形成する。このような大きさの粒子は重力の影響を大きく受け、気流に同伴しづらいため、反応炉(塔)の上方から供給すると粒子は気流よりも速やかに落下し、短時間で反応領域の外に出てしまう。反応領域中の滞留時間は足りなく微細炭素繊維の成長は困難である。上記の特許文献5の実施例40のような反応炉(塔)の上方から供給する場合、十分な滞留時間を得るため、反応炉(塔)は20mという非現実的な高さになってしまう。従って、担持触媒を用いる場合、炉の上方から大きな担持触媒粒子を充填し、底部での分散板で支えながら、下方から反応原料ガスを供給して、粒子を炉内に保ちつつ微細炭素繊維を合成する流動層法が多く採用される(例えば特許文献6−8)。
また、担持触媒の粒径は数十μm以上と大きいため、微細炭素繊維は10秒前後と短時間で担持触媒の周囲に形成される場合、生成物中の微細炭素繊維の含有率は僅かとなる。微細炭素繊維を担持触媒粒子と同等若しくは以上の大きさに成長させるため、通常は担持触媒粒子を炉内に10分〜1時間保つが、その間に触媒の凝集が進み、また微細炭素繊維同士も緻密に絡まってしまう等のデメリットを生じる。
以上のことから、予め担持触媒を調製せず、触媒粒子のサイズを制御し且つ浮遊状態を保つことが出来る担持触媒粒子を反応炉内で生成し、浮遊させながら、そのまま炉内で連続的に疎な態様で分散しやすい微細炭素繊維を効率よく製造する方法は、今現在存在していない。
担体前駆体と触媒前駆体を含む触媒源組成物を反応炉の上方から導入し、反応炉内での加熱により分解させることで触媒を担体に担持させた直径10μm以下と微小な担持触媒粒子を形成し、そのまま反応炉内で浮遊しながら、炭素源例えば炭化水素と反応して微細炭素繊維を成長させる方法を見出し、本発明に至った。
反応原料を反応炉へ導入する際は、固体、液体、蒸気いずれの状態でもよいが、連続的に供給するためには、液体または蒸気の形態が好ましい。加熱により蒸気となりうる反応原料を用いるとなお効率的である。
即ち、本発明は少なくとも触媒前駆体と担体前駆体を含有する触媒源組成物及び炭素源組成物を反応炉上方から供給し、個々の担体粒子に担持される多数の触媒粒子から生成した多数の微細炭素繊維を反応炉下部から回収することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造方法である。
更に、本発明は少なくとも触媒前駆体と担体前駆体を含有する触媒源組成物及び炭素源組成物を反応炉上方から供給し、直径が10μm以下である個々の担体粒子に担持される直径が30nm以下である多数の触媒粒子から生成した多数の微細炭素繊維を反応炉下部から回収することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造方法である。
前記触媒源組成物及び炭素源組成物を加熱気化させてから供給することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造方法である。
前記触媒源組成物を溶媒に混合し、得た溶解液または懸濁液を加熱気化またはミスト化させてから供給することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造方法である。
担体前駆体は直径10μm以下のアルミ化合物またはマグネシウム化合物であって、前記担体前駆体が触媒前駆体である有機金属または無機金属塩を溶解した溶媒中に混合され、溶解または懸濁されることを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造方法である。
超音波により前記溶解液または懸濁液をミスト化させてから供給することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造方法である。
更に、本発明は少なくとも触媒前駆体と担体前駆体を含有する触媒源組成物及び炭素源組成物を10m以下の高さの縦型反応炉上方から供給し、直径が10μm以下である個々の担体粒子に担持される直径が30nm以下である多数の触媒粒子から生成した多数の微細炭素繊維を反応炉下部から回収することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造装置である。
前記触媒源組成物及び炭素源組成物を加熱気化させてから供給することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造装置である。
前記触媒源組成物を溶媒に混合し、得た溶解液または懸濁液を加熱気化またはミスト化させてから供給することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造装置である。
担体前駆体は直径10μm以下のアルミ化合物またはマグネシウム化合物であって、前記担体前駆体が触媒前駆体である有機金属または無機金属塩を溶解した溶媒中に混合され、溶解または懸濁されることを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造装置である。
超音波により前記溶解液または懸濁液をミスト化させてから供給することを特徴とする気相法炭素繊維の製造装置である。
また、本発明は、直径が10μm以下の酸化物粒子と、前記酸化物粒子の表面に接する直径が30nm以下の多数の金属粒子と、前記金属粒子に接し前記酸化物粒子の外側に伸びる外径が30nm以下の多数の微細炭素繊維からなる集合体を形成することを特徴とする気相法微細炭素繊維である。
少なくとも触媒金属前駆体と酸化物担体前駆体を含有する触媒源組成物及び炭素源組成物を反応炉上方から供給し、反応炉下部から回収する気相法微細炭素繊維であって、直径が10μm以下の酸化物粒子と、前記酸化物粒子の表面に接する直径が30nm以下の多数の金属粒子と、前記金属粒子に接し前記酸化物粒子の外側に伸びる外径が30nm以下の多数の微細炭素繊維からなる集合体を形成することを特徴とする気相法微細炭素繊維である。
本発明は、少なくとも触媒前駆体と担体前駆体を含む触媒源組成物、炭素源組成物及びキャリヤーガスを含む反応原料を反応炉に導入し、反応炉内で生成した直径が10μm以下である担持触媒粒子を浮遊させながら、外径1〜30nmの微細炭素繊維を効率よく製造させることができる。
さらに具体的に述べると、10μm以下の微小な担体に触媒粒子が担持された担持触媒粒子は反応炉の中に作れることから、反応炉の上方から下方に流れる気流中に孤立且つ浮遊状態で担持触媒粒子を通過させて、個々の担持触媒粒子から多数の微細炭素繊維を合成できる。担持触媒粒子が10μm以下と微小なため、10秒程度の反応時間でも微細炭素繊維を担体よりも大きな量で合成できる。また、10μm以下と微小な担持触媒は気流に同伴されるため、反応炉(塔)の高さに依らず、ガスの滞留時間分の反応時間を確保できる。更に、必要な反応時間が短いため、触媒の凝集が少なく細い微細炭素繊維を合成しやすく、繊維間の絡まりも弱く、複合材料を作る時マトリックスに分散が容易になる。また、担体が10μm以下と小さいため、マトリックスへの影響も少ないため、担体を除く処理を行わなくてもそのまま利用が出来る。
即ち、触媒前駆体及び担体前駆体を反応炉の上方から炭素源及びキャリヤーガスと共に供給し、反応炉内で直径10μm以下と微小な担持触媒粒子を生成し、熱分解により微細炭素繊維を気相生成する製造方法及び装置を提供することで、外径が細く且つ疎な態様で、分散しやすい微細炭素繊維の大量生産が実現できる。
本発明の製造方法概略図 本発明の実施例1で生成した微細炭素繊維(S−TEM写真) 本発明の実施例3で生成した微細炭素繊維(SEM写真) 本発明の実施例1〜4、及び比較例1〜3に使用した反応炉の概略図 本発明の実施例5に使用した反応炉の概略図 本発明の実施例6及び7に使用した反応炉の概略図
以下、場合により図面を参照しつつ本発明を好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の製造方法は、カーボンナノチューブ等の気相法微細炭素繊維を効率的に製造する方法において、少なくとも触媒前駆体及び担体前駆体を含む触媒源組成物と炭素源組成物をキャリヤーガスと共に反応炉の上方から導入し、炉内で生成した直径10μm以下の担持触媒粒子を浮遊させながら、反応炉の下部から担持触媒粒子を含有する気相法微細炭素繊維を回収する製造方法である。
以下、本発明の気相法微細炭素繊維の製造方法を構成する主な要素について、それぞれ説明する。
(触媒源組成物)
触媒前駆体及び担体前駆体を含む触媒源組成物を反応炉へ導入する際は、固体、液体、蒸気いずれの状態でもよいが、連続的に供給するためには、液体(固体を懸濁させた液体を含む)または蒸気の形態が好ましい。加熱により蒸気となりうる触媒前駆体と担体前駆体を用いるとなお効率的である。
前記触媒源組成物を構成する触媒前駆体及び担体前駆体は加熱により蒸発又は昇華させてから反応炉内へ供給することは好ましいが、常温で液体である炭化水素またはアルコールなどの有機溶媒あるいは水に混合し、溶解液または懸濁液の状態になってから、加熱気化若しくはミスト化させてから、反応炉へ導入しても良い。ミスト化は、二流体ノズルや超音波による方法などが挙げられるが、超音波による方法が、ノズル閉塞の問題を避けられ、ミストサイズの制御が容易で懸濁状態も保てるため好ましい。超音波でミスト化して供給する際に、数ミクロンの液滴生成が容易である点などから溶媒として水は好適である。
前記触媒源組成物に助触媒前駆体若しくは助触媒を添加しても良い。同様に、反応炉に供給する形態は特に限定しないが、加熱により蒸気となりうる助触媒前駆体を用いるとなお効率的であるが、常温で液体の炭化水素またはアルコールなどの有機溶媒あるいは水に混合して、溶解液または懸濁液の状態とし、加熱気化若しくはミスト化させて、反応炉へ導入しても良い。
以下、特に限定する意味ではないが、触媒前駆体、担体前駆体及び助触媒前躯体として好ましい化合物について具体的に説明する。
(触媒前駆体)
遷移金属を含む化合物であり、不活性または還元性雰囲気中での加熱により分解して金属を生成する化合物であり、反応炉内雰囲気下で炭化水素または助触媒との反応により、金属、硫化物、炭化物の形態になり、これらの形態で炭化水素を分解し、微細炭素繊維の成長を促進する遷移金属元素を含むものであればなんでもよく、好ましくは鉄、コバルト、ニッケル、これら金属又は合金を含む有機金属化合物、有機金属塩化合物、遷移金属錯体等、たとえば、メタロセン化合物や、金属カルボニル化合物などが挙げられる。更に好ましくはフェロセン、コバルトセンなどのメタロセン化合物や、鉄カルボニル、コバルトカルボニルなどの金属カルボニル化合物などが挙げられる。
(担体前駆体)
水酸化物、オキシ水酸化物または酸化物、あるいは酸化雰囲気中で加熱により分解して酸化物を生成する金属酸化物の水和物(MOx・(OH)y・(OH)z)、無機塩、有機金属化合物、有機金属塩化物及び有機金属錯体であり、これらの酸化物形態で触媒金属または触媒金属化合物粒子を担持できるものであればなんでもよい。例えばアルミ化合物、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、モリブデンまたはこれらの固溶体または混合物になるものが挙げられるが、熱分解後にアルミナ(Al, 0 < x ≦3 またはAlOx・(OH)y・(OH)z)またはマグネシア(MgO, 0 < y ≦1 )となる化合物が効率的に微細炭素繊維を生成するためには好適である。例として、活性アルミナ(遷移アルミナ)、水酸化アルミニウム、オキシ水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。マグネシアは弱酸でも容易に溶解除去できるため、高純度な微細炭素繊維を製造するためには好適である。
反応炉内への供給方式において、金属アルコキシド、金属キレートなどの有機金属化合物は加熱により蒸発または昇華して、さらに加熱すると分解するため、担体前駆体として好ましい。特に限定するわけではないが、キレート化合物は大気中での化学的な安定性が高く、取扱いやすいため、原料タンクなどの設備が簡単なものにできる。例として挙げられる好適であるものは、アルキルアルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート、ビスシクロペンタジエニルマグネシウムやジエチルマグネシウムなどである。また、前記有機金属化合物は常温で液体である炭化水素あるいはアルコールあるいは水に混合し、得た溶解液または懸濁液を加熱により蒸発または昇華してから反応炉に供給することにも好適である。
加熱気化ができない化合物の場合、例えばアルミニウムまたはマグネシウムの塩化物、硝酸塩、酢酸塩などの塩、水酸化物、オキシ水酸化物及び酸化物などは、常温で液体である炭化水素あるいはアルコールあるいは水に混合し、得られた溶解液若しくはコロイド溶液状態でミスト化してから反応炉へ供給することには好適である。
(助触媒前駆体)
触媒金属または触媒金属化合物に作用し、微細炭素繊維の成長を促進するため、前記触媒源組成物の中に助触媒前駆体を添加することも好ましい。助触媒前駆体として、微細炭素繊維の成長を促進する作用があるものであればよい。また、触媒金属と一部反応して化合物となる成分でもよい。たとえば、イオウ化合物(たとえば、硫化鉄)、モリブデン化合物、タングステン化合物、バナジウム化合物などが挙げられ、加熱により気体になるものが好ましい。たとえば、チオフェン、三酸化モリブデンなどが好ましい。
(炭素源組成物)
特に限定する意味ではないが、微細炭素繊維の原料(炭素源)となる好ましい有機溶媒は炭化水素とアルコール類である。炭化水素としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族、これ以外にも含酸素炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールなどが使用できる。また、触媒源組成物中の有機溶媒を炭素源として併用しても良いし、炭素源になる気体原料を独立に供給しても良い。気体原料としては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレンなどの炭化水素などが使用できる。
また、前記触媒前駆体及び担体前駆体が熱分解時に生成する炭化水素も微細炭素繊維の原料となりうる。たとえば、フェロセンが分解して生成するシクロペンタンも微細炭素繊維の原料となりうる。
常温で液体である有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素またはアルコール等が、触媒前駆体及び担体前駆体を溶解又は混合することのできるものは好ましい。常温で液体の炭化水素またはアルコールに溶解または混合した触媒前駆体及び担体前駆体を含む反応原料はそのまま液体の形で反応炉に導入し反応させてもいいし、80〜400℃で加熱して気化してから反応させてもいい。しかし、反応炉に入る前に加熱気化する時、触媒前駆体と担体前駆体が分解しないような温度の設定が必要である。その後、反応炉内に導入し、微細炭素繊維が生成する直前にこれらの加熱気化された触媒前駆体と担体前駆体が分解するようにすることは重要である。
(キャリヤーガス)
キャリヤーガス(雰囲気ガス)は、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素ガスないし窒素ガス、及びこれらの混合ガスを用いることができる。水素ガスまたは水素ガスを含む不活性ガスとの混合ガスが好ましい。
本発明の微細炭素繊維製造方法は図1の概略図に示すように、従来行われている炭化水素等の担持触媒流動層CVD法又は浮遊CVD法と違って、原料となる炭化水素あるいはアルコールおよび触媒前駆体、担体前駆体、助触媒前駆体の混合液あるいは固体粉末を蒸発器により蒸発させ、または混合液(溶解液または懸濁液)をミスト化させた後、水素ガス等のキャリヤーガスと共に反応炉の上方から導入し、加熱炉を用いて反応炉内温度を800〜1300℃範囲の一定温度に保つ領域で浮遊しながら、担持触媒粒子の生成及び炭化水素やアルコールなどの熱分解反応を行う。即ち、担体上に触媒金属を担持した担持触媒粒子を反応炉内で形成し、担持された触媒金属粒子上で炭化水素やアルコールなどを熱分解し、生じた炭素の結晶化が当該触媒粒子より一定方向に進むことで、繊維状に成長する。これにより、個々の担持触媒粒子から多数の細いカーボンナノチューブが伸び出した状態の気相微細炭素繊維が得られ、反応炉の下部からこれらの担持触媒を含む気相微細炭素繊維を回収する。
一般的に反応原料の反応炉内での滞留時間は反応炉の高さで調整できるが、直径が10μm以下であると微小な担持触媒は気流に同伴されるため、反応炉の高さに依らず、キャリャーガスの滞留時間分が反応時間分に相当するので、反応原料の反応炉内の滞留時間を確保できる。したがって、製造設備のコスト及び生産能力を考慮して反応炉の高さは10m以下であれば良い、0.5〜5mの高さは好ましく、更に好ましくは0.5〜2.5mである。
また、反応原料を反応炉内に供給する方式は、連続的に供給するために、溶解液または懸濁液などの液体または蒸気の形態が好ましい。反応原料が液体の場合、ミスト化させてから供給することは好適である、例えば超音波によりミスト化させる方法が挙げられる。触媒前駆体及び担体前駆体などを含む反応原料を気体状態ないしミスト状態で供給するのは容易であるが、固体やエアロゾル粒子の凝集体直径を10μm以下に保ったまま反応炉内に導入することは困難である。
さらに本発明の微細炭素繊維製造方法を具体的に説明すると、例えば担体前駆体であるアルミニウムキレートとフェロセンを触媒組成源として反応炉へ供給し、反応炉内で加熱分解することにより触媒金属である鉄粒子は担体となるアルミナ上に析出する。アルミナ担体は触媒鉄粒子の凝集や成長を抑制することができるため、担体を用いていない従来の浮遊CVD法と比較すると、生成した触媒鉄粒子の再凝集がなく、サイズが微小且つ均一である触媒鉄粒子から効率よく細径の微細炭素繊維を生成することができる。
触媒粒子直径は30nm以下と限定しているが、大きすぎても小さすぎても微細炭素繊維を効率的には成長させることができないため、0.5〜10nm程度が良い、好ましくは0.5〜5.0nm、更に好ましくは0.5〜3.0nmである。
担体粒子直径は、10μm以下であれば反応炉内で浮遊できるが、0.01〜10μm程度でよく、好ましくは0.05〜1μm、特に好ましくは0.1〜0.5μmである。担体粒子が小さいほど、複合材を作製する時マトリックスへの影響が少なく、担体を除く処理を行わなくても本発明の微細炭素繊維はそのまま利用が出来る。ただし、担体粒子が小さすぎると、多数の触媒粒子を保持することができず、担体として機能しなくなる。
キャリヤーガス中の水素分圧、反応温度、微量の水蒸気は触媒反応の速度に影響を与えるが、担持触媒粒子組成と必要とする微細炭素繊維の品質により最適化することができる。
水素分圧が低くなると、触媒粒子表面で原料炭化水素から炭素が析出する反応速度が速くなり、触媒粒子上に析出した炭素の濃度も上昇し、炭素が微細炭素繊維として析出する速度も上昇するものの、水素分圧を下げすぎると、触媒粒子表面の炭素濃度が上昇しすぎ、触媒粒子表面が炭素で覆われ失活し、微細炭素繊維が成長できなくなる。
同様に反応温度を上げると、触媒粒子表面で原料炭化水素から炭素が析出する反応速度が速くなり、触媒粒子上ないし触媒粒子内での炭素の拡散速度も上昇し、炭素が微細炭素繊維として析出する速度も速くなるが、温度を上げすぎると気相中での炭化水素の分解速度が速くなり、タールのような多環芳香族炭化水素が生じ触媒粒子が炭素や多環芳香族で覆われ失活し、微細炭素繊維が成長できなくなる。
一方、生成した微細炭素繊維の品質から、反応温度が高いほうが、結晶性の良い微細炭素繊維を生成することができるが、反応温度を下げることによって安価な微細炭素繊維を生成することができる。また、キャリヤーガスに微量の水蒸気を導入することで、触媒の失活を防止することもできる。
図1に示した本発明の概略図のように、反応炉の下方から、上記したような構造を持つ微細炭素繊維を連続的に回収することが出来る。即ち、反応炉下部から担体触媒粒子を含む気相法微細炭素繊維を回収することである。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
実施例1〜4、及び比較例1〜3
図4に示している反応炉の概略図のように、外径約50mm、内径約42mmの石英管を縦型にて用い、石英管上部の約100mm領域を蒸発器とし、その下部の約600mm領域に加熱電気炉を設置しているCVD装置で本発明の気相法微細炭素繊維を作製した。
炭素源原料にトルエンを用い、触媒源をフェロセン、チオフェン及びアルミキレートとしてアルミニウムアセチルアセトナートを用い、これら混合物を反応原料として使用した。キャリヤーガスは、3%水素/アルゴンガスを流した。
蒸発器温度は400℃、CVD炉の加熱温度は900℃または1000℃、炉内での原料濃度を1.8%となるように原料液をフィードし、滞留時間が約6秒となるようにキャリヤーガスを流し、原料を30分間蒸発器部分の石英管内壁へフィードした。反応生成物を採取し、走査型電子顕微鏡(日立、S−4800)で観察し、生成した微細炭素繊維をSEM及びS−TEM写真で評価した。実施例1〜4及び比較例1〜3の詳細な触媒原料液組成(重量比)、反応条件と生成物の形態評価結果を表1に示す。実施例1で得た微細炭素繊維のS−TEM写真は図2に示している。実施例3で得た微細炭素繊維のSEM写真は図3に示している。
Figure 0006403144
実施例1で得た微細炭素繊維は図2に示すS−TEM写真のように、直径約0.2μmの担持触媒粒子を中心に数十本から数百本の外径約20nmの微細炭素繊維が放射状に伸び出す疎な態様である。また、図2に示したS−TEM写真の倍率では微細炭素繊維が全部写されていないが、図3に示す生成した微細炭素繊維のSEM写真から、このような微細炭素繊維構造体の円相当直径は数μmから数十μmであり、担持触媒粒子から伸び出した微細炭素繊維の長さは約1〜50μmである。
実施例1と2及び比較例1で得た炭素生成物の形態および繊維径を表1に示す。表1から、担体前駆体であるアルミキレートを添加した場合(実施例1と2)、微細炭素繊維が効率よく生成された。これに対して、担体前駆体(アルミキレート)を添加しない比較例1では、繊維状の炭素生成物が見られなく、粒子状の生成物しか得られなかった。
以上の結果から、担体前駆体(アルミキレート)を添加しない従来法では、900℃でトルエン原料から微細炭素繊維が生成せず、粒子状の炭素生成物しか得られない。一方、フェロセンにアルミキレートを添加した原料を用いることにより900℃という低温で浮遊気相法でも担持触媒粒子から20nm外径の微細炭素繊維を生成することができた。しかし1000℃では、フェロセンにアルミキレートを添加した原料を用いると(比較例3)、繊維状炭素が得られず、粒状炭素しか得られなかった。
実施例2と比較例2から、アルミナ成分は担体の役割以外に助触媒の作用も果たしているとも考えられ、浮遊法では900℃と低い反応温度で微細炭素繊維を生成した。一方、イオウ助触媒のみ添加した場合、900℃の低い反応温度ではトルエン原料から微細炭素繊維の生成ができず、従来どおり1000℃以上の温度が必要と思われる。
フェロセンとアルミキレートの配合率、水素分圧、反応温度、反応ガス中の原料濃度、滞留時間などにより、微細炭素繊維の直径や長さ、触媒粒子を中心に放射状に伸び出している微細炭素繊維構造体の形状などを容易に制御できる。浮遊状態で微細炭素繊維を成長させるため、微細炭素繊維は疎な構造体であり、容易にマトリックスへ分散可能である。
実施例5
図5に示している反応炉の概略図のように、外径約50mm、内径約42mmの石英管を縦型にて用い、約600mm領域に加熱電気炉を設置し、蒸発器を配管で反応領域と接続したCVD装置で本発明の気相法微細炭素繊維を作製した。
炭素源原料にトルエンを用い、触媒源をフェロセン、チオフェン及びアルミニウムアセチルアセトナートを用い、これら混合物を反応原料とし、蒸発器に定量供給した。キャリヤーガスは、3%水素/アルゴンガスを用いて蒸発器経由で流した。
反応原料の組成は実施例3と同じとし、蒸発器温度は250℃、CVD炉の加熱温度は900℃、炉内での原料濃度を1.8%となるように原料液をフィードし、滞留時間が約6秒となるようにキャリヤーガスを流し、原料を30分間蒸発器部分の石英管内壁へフィードした。反応生成物を採取観察したところ、実施例3で得た微細炭素繊維と同様に、直径約0.1μmの担持触媒粒子を中心に数十本から数百本の外径約20nmの微細炭素繊維が放射状に伸び出す疎な態様であり、担持触媒粒子から伸び出した微細炭素繊維の長さは約1〜50μmであった。
実施例6
図6に示している反応炉の概略図のように、内径約22mmの石英管を縦型にて用い、約300mm領域に加熱電気炉を設置し、触媒前駆体を含有する水溶液をためた超音波ミスト発生器を配管で反応領域と接続したCVD装置で本発明の気相法微細炭素繊維を作製した。
超純水に粒径0.3 μmのMgO粒子を1.0wt%、酢酸コバルトを1.5 wt%加え、コロイド水溶液を調製した。超音波ミスト発生器により水溶液を霧化し、4%C/Arにミストを同伴し、850 ℃の反応炉に供給し、CVDを20分間行った。回収タンク出口フィルターに堆積した生成物を観察したところ、個々のMgO粒子から多数の微細炭素繊維の成長が確認され、直径10〜20nm程度であった。
実施例7
実施例6と同じCVD装置で本発明の気相法微細炭素繊維を作製した。20g/L酢酸マグネウシム、20g/L酢酸コバルトの混合水溶液を調製した。超音波ミスト発生器で霧化し、8%C/Arにミストを同伴し、800℃の反応炉に供給した。回収タンク出口フィルターに堆積した生成物を観察したところ、0.5μm程度の個々のMgO粒子から多数の微細炭素繊維の成長が確認され、直径20〜30nm程度であった。
本発明は、炭素源、触媒前駆体及び担体前駆体を含む反応原料をキャリヤーガスと共に反応炉に導入し、生成した粒径が10μm以下である担持触媒粒子を浮遊させながら、カーボンナノチューブ等の気相法微細炭素繊維を効率よく生成させることができる。担体により金属触媒の粒子サイズを30nm以下に制御することができたので、直径が細い微細炭素繊維を効率よく生成することができる。また、浮遊法で生成した微細炭素繊維が緻密な形態ではなく、疎な形態で得ることができる。従って、粒径10μm以下の担体粒子及び30nm以下の触媒粒子を含む外径が細い且つ分散しやすい微細炭素繊維を大量生産することが実現できる。

Claims (11)

  1. 少なくとも触媒前駆体と担体前駆体を含有する触媒源組成物及び炭素源組成物を反応炉上方から供給し、反応炉内で個々の担体粒子に多数の触媒粒子が担持された担持触媒粒子が浮遊しながら形成し、前記担持触媒粒子が反応炉の上方から下方に流れる気流中を浮遊しながら通過し、個々の担体粒子に担持される多数の触媒粒子から多数の気相法微細炭素繊維を生成し、反応炉下部から前記担持触媒粒子と前記気相法微細炭素繊維からなる集合体を回収することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造方法。
  2. 前記気相法微細炭素繊維の製造方法において、直径が10μm以下である個々の担体粒子に担持される直径が30nm以下である多数の触媒粒子から多数の気相法微細炭素繊維を生成し、反応炉下部から前記担持触媒と前記気相法微細炭素繊維からなる集合体を回収することを特徴とする請求項1に記載の気相法微細炭素繊維の製造方法。
  3. 前記触媒源組成物及び炭素源組成物を加熱気化させてから供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気相法微細炭素繊維の製造方法。
  4. 前記触媒源組成物を溶媒に混合し、得た溶解液または懸濁液を加熱気化またはミスト化させてから供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気相法微細炭素繊維の製造方法。
  5. 前記担体前駆体が直径10μm以下のアルミ化合物またはマグネシウム化合物であって、前記担体前駆体が触媒前駆体である有機金属または無機金属塩を溶解した溶媒中に混合され、溶解または懸濁されることを特徴とする請求項4に記載の気相法微細炭素繊維の製造方法。
  6. 超音波により前記溶解液または懸濁液をミスト化させてから供給することを特徴とする請求項4に記載の気相法微細炭素繊維の製造方法。
  7. 少なくとも触媒前駆体と担体前駆体を含有する触媒源組成物及び炭素源組成物を10m以下の高さの縦型反応炉上方から供給し、反応炉内で個々の担体粒子に多数の触媒粒子が担持された担持触媒粒子が浮遊しながら形成し、前記担持触媒粒子が反応炉の上方から下方に流れる気流中を浮遊しながら通過し、直径が10μm以下である個々の担体粒子に担持される直径が30nm以下である多数の触媒粒子から多数の気相法微細炭素繊維を生成し、反応炉下部から前記担持触媒と前記気相法微細炭素繊維からなる集合体を回収することを特徴とする気相法微細炭素繊維の製造装置。
  8. 前記触媒源組成物及び炭素源組成物を加熱気化させてから供給することを特徴とする請求項7に記載の気相法微細炭素繊維の製造装置。
  9. 前記触媒源組成物を溶媒に混合し、得た溶解液または懸濁液を加熱気化またはミスト化させてから供給することを特徴とする請求項7に記載の気相法微細炭素繊維の製造装置。
  10. 前記担体前駆体が直径10μm以下のアルミ化合物またはマグネシウム化合物であって、前記担体前駆体が触媒前駆体である有機金属または無機金属塩を溶解した溶媒中に混合され、溶解または懸濁されることを特徴とする請求項9に記載の気相法微細炭素繊維の製造装置。
  11. 超音波により前記溶解液または懸濁液をミスト化させてから供給することを特徴とする請求項9に記載の気相法微細炭素繊維の製造装置。
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