JP2006056844A - 1ペースト型の光硬化型歯科用複合修復材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛍光灯による室内照明光や、口腔内を照らすデンタルライト等の環境光に対しては安定であるため操作性に優れ、一方で重合用光照射器を用いた強い光照射に対しては迅速に硬化し、優れた物性の硬化体を与え、かつ保存安定性にも優れた歯科用光硬化型複合修復材料。
【解決手段】 光重合開始剤として、(A)カンファーキノン等のα−ジケトン化合物、(B)p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチル−p−トルイジン等の芳香族第3級アミン化合物、(C)2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のトリハロメチル基置換トリアジン化合物、及び(D)テトラフェニルボレートのトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等のアリールボレート化合物からなる光重合開始剤を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光硬化型の歯科用複合修復材料に関する。より詳しくは、従来の光重合開始剤に比べて環境光(強度の弱い光)に対しては安定であるが、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード等の照射器を用いた強い光照射により、著しく短時間で速やかに重合が完結し、より高い硬化体物性を得られ、且つ、長期間保存してもこの活性が低下し難い歯科用複合修復材料に関するものである。
齲蝕等により欠損を生じた歯質の修復において、該欠損が小さい場合には、一般に充填用コンポジットレジンと呼ばれる、主に(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体(以下、ラジカル重合性単量体のことをモノマーとも称す)と金属酸化物等の無機フィラーとを主成分とする複合修復材料のペーストを該欠損部に充填、歯牙の形状を付与した後に重合、硬化させる手法が主流である。
歯科分野における上記重合開始方法としては、光重合と化学重合に大別される。化学重合では、重合開始剤成分(例えば、過酸化ベンゾイルと第3級アミン化合物)を2つ以上の包装に分割添加しておき、使用直前に混合・練和すると、1〜15分ほどで硬化する。該重合方法では光照射器等の装置が不要な利点はあるが、可使時間が限られる。また歯科用複合修復材料は無機フィラーの充填率が高いため、ペースト粘度が高く、混合・練和時に気泡を巻き込んだり、練和むらを生じたりしやすく、これにより硬化体の機械的強度や耐着色性に問題を生じる場合が多い。そのため近年では歯科用複合修復材料の大部分が光重合・硬化型である。
光重合・硬化型の歯科用複合修復材料は、光を遮断しておけば重合反応が進むことはほとんどないため、全ての成分を1ペーストの状態で製造、保管しておくことができる。これにより、化学重合型の有する上記問題点を回避することができる。
上記したような治療手法においては、光硬化型の充填用コンポジットレジンを修復すべき歯牙の窩洞に充填して歯牙の形に成形した後に、専用の光照射器を用いて活性光を照射して重合硬化させて歯の修復が行われている(以下、このような重合硬化させるために照射する光を「活性光」と呼ぶことがある)。一般に、このような活性光は、360〜500nm程度の波長域における光強度が100〜1500mW/cm程度の出力の光源を用い、0〜10mm程度の距離から照射される。
また、歯科技工所内において、上記充填用コンポジットレジンと同様の組成を有する複合修復材料(硬質レジンなどと呼ばれる)を石膏模型上で修復すべき歯牙の形に築盛し、これを光照射により重合硬化させ、ついで歯科医院において、得られた硬化体を、歯科用接着剤を用いて歯質に接着させることによっても歯の修復が行われる。
従来、このような歯科用複合修復材料を硬化させるための光重合開始剤としては、カンファーキノン等のα−ジケトン化合物やアシルフォスフィンオキサイド化合物等の光分解性化合物や、さらに該光分解性化合物に適当な増感剤を組み合わせた系が広く検討され、使用されている。
特にα−ジケトン化合物は、人体に対して影響の少ない可視光の波長領域で重合開始能を示す(例えば、代表的なα−ジケトンであるカンファーキノンは、極大吸収波長が468nmにある黄色の化合物である)ため、増感剤としての第3級アミン化合物と組み合わせて歯科用複合修復材料の光重合開始剤として広く用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、α−ジケトン化合物と第3級アミン化合物との組み合わせを光重合開始剤として用いた場合には、充填や築盛等の操作をしている間に複合修復材料(ペースト)の粘度が上昇してしまい、操作が困難になってしまうという問題があった。
即ち、ペーストの充填や築盛等の操作は、作業者がペーストの形状やペーストの重合により得られる硬化体の色調を視認するため、口腔内を照らすデンタルライトあるいは蛍光灯のような室内灯などの白色光(このような光を環境光と呼ぶ)の下で行う必要がある。一般的な環境光は、視認性等を考慮して500〜10000ルクス程度に調整されている。光源にもよるが、α−ジケトン化合物の主たる吸収域である360〜500nmにおける環境光の光強度は1mW/cm以下であり、前記活性光の数%にも満たない。しかるに、α−ジケトン化合物と第3級アミン化合物の組み合わせからなる重合開始剤は、可視域の光に対して良好な重合活性を有するものであり、その重合活性の良さゆえ、上記のような環境光に対しても鋭敏に感応して硬化が開始する。従って、充填や築盛等の操作に不可欠な環境光の下で作業を行うと、この重合活性の高さが逆に不利に働き、徐々に硬化が進行してしまい、上記のような問題を生じるものである。
充填や築盛等の操作をしている間のペーストの粘度の上昇という現象は、用いる光重合開始剤(特にα−ジケトン)の添加量を減らしたり重合禁止剤を多めに添加したりすれば回避することが出来る。しかし、このような方法を適用した場合には、活性光を従来と同程度の時間照射しても十分な硬化が起こらずに、得られる硬化体の強度が低下する、硬化体の表面近傍に未重合モノマーが多量に残ってしまう等の問題がしばしば起こる。このため、重合硬化を十分進行させるためには活性光の照射時間を長くする必要がある。しかしながら、上記複合修復材料は患者の口腔内で使用されることが多く、照射時間を長く取ることは操作に時間がかかるだけではなく、患者にも多大な負担を強いるという問題があり、照射時間(硬化時間)の短縮が要望されているのが現状である。
また、光重合開始剤の添加量を減らすことにより環境光に対する安定性を向上させた複合修復材料(ペースト)でも、照射する活性光の光強度を高くすることによって、硬化時間の短縮や硬化体強度の向上を計れるが、光強度を高くするためには、その分多量のエネルギーが必要となる。また、可視光といえどもあまりに強い光は、人体、特に目に対する障害を生じる可能性がある。さらに、一般的に光強度の高い光源は、発熱も強い傾向があるため、その熱による生体へのダメージも懸念される。(例えば、近年では、活性光源も低エネルギー化が進行しており、レーザーダイオード等を用いた20〜100mW/cm程度の強度の光を照射する光照射器が普及し始めている。)
即ち、光重合開始剤の添加量を減らすなどの方法では、レーザーダイオード等の光照射器を用いた場合に硬化時間の短縮や硬化体の強度の向上を図ることができず、患者に負担をかけずに、重合硬化を迅速に且つ十分に進行させることが困難である。
このような問題を解決すべく、α−ジケトン化合物と第3級アミン化合物の組み合わせ以外の光重合開始剤が種々検討されており、例えば、(メタ)アクリレート系重合性単量体、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤及びアミン化合物を含んでなる光硬化性歯科用材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この歯科用材料は、十分な環境光安定性と高い硬化体物性を有するものの、硬化に要する光照射時間が従来の光硬化性歯科用材料と同程度であり、硬化時間の短縮化という要求を満たすものではなかった。
また、歯科用複合修復材料に使用可能な重合開始剤として、アリールヨードニウム塩、α−ジケトン等の増感剤及び芳香族第3級アミン等の電子供与体を用いることも知られている(例えば、特許文献2参照)
このような重合開始剤を含有する複合修復材料は、重合硬化に要する活性光照射時間が従来に比べて短縮されているものの、その短縮の程度は十分ではなく、活性光照射時間(重合硬化時間)の更なる短縮が望まれている。また、当該光重合開始剤を用いた場合には、環境光安定性には大きな改善は見られていない。
同じく歯科用複合修復材料に使用可能な重合開始剤として、トリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物、α−ジケトン等の増感剤及び芳香族第3級アミン等の電子供与体を用いることも知られている(例えば、特許文献3参照)。
この光重合開始剤は重合活性が高く、硬化速度が速いという利点を有する。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記光重合開始剤を配合した光重合性組成物では、ハロゲンランプを備えた照射器を用いると非常に速い硬化速度を示すものの、レーザーダイオードやキセノンランプを備えた照射器では良好な硬化速度を示さず、照射器がハロゲンランプに限定されてしまうという問題を有している。さらに、当該光重合性組成物は、50℃程度の比較的高温での保存時に、経時的に重合活性が低下するという欠点もある。歯科用材料においては、歯科医院等への輸送の際に、自家用車等で輸送される場合が多いが、夏季には、このような車内の温度が50℃を超えることも珍しくはない。また、50℃よりも低い温度でも、長期間の保存では、同様に重合活性の低下が起こることが予測される。
また歯科用としては歯質接着材用として好適な光重合開始剤として、アリールヨードニウム塩やトリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物等の光酸発生剤と、アリールボレート化合物、並びにクマリン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、チアジン系色素、アジン系色素、アクリジン系色素、キサンテン系色素、スクアリウム系色素及びピリリニウム塩系色素等の可視光に吸収を有する色素とからなるラジカル重合開始剤が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
この光重合開始剤は、光照射により光酸発生剤が分解し、生じた酸がアリールボレート化合物を分解するという機構によるものであり、色素は光酸発生剤の分解が可視光においても励起されるようするために配合される。
通常、歯質接着材においては、高い接着強度を得るために酸性基を有する重合性単量体の配合が必須である。上記のようにアリールボレート化合物は酸により分解される。従って、良好な保存安定性を得るためには、アリーボレート化合物を含む包装と、酸性基を有する重合性単量体を含む包装の2つ以上に分割しておき、使用直前に混合しなければならない。接着材用途においては、フィラー配合割合が複合修復材料ほど多くはないため、このような使用直前に混合する形態を採用しても前記化学硬化型の複合修復材料のような問題は生じ難い。
さらに、この重合開始剤系においては、可視光に対する感受性を得るために色素が配合されるが、このような色素を歯科用複合修復材料に配合すると天然歯とは著しく異なる色調になってしまう場合が多い。
一方、歯科用途以外では、アリールボレート化合物、α−ジケトン等の増感剤及びトリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物からなる光重合開始剤も知られている。該光重合開始剤は、さらにN−フェニルグリシンを配合することにより、光重合速度が増加することが知られている(例えば、特許文献6参照)。
しかしながら上記のようなN−フェニルグリシンを含む光重合開始剤を配合した硬化性組成物もまた、全ての成分を一つの包装として保存すると、充分な保存安定性を得られないという問題を有する。
細田裕康編、「光重合型コンポジットレジンの基礎と臨床」、日本歯科出版、昭和61年2月10日、p.9−20 特開2000−16910号公報 特開昭63−273602号公報 特開平2−229802号公報 特開平9−3109号公報 特開平9−263604号公報 特開2001−106712号公報
本発明者等は、上記トリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物、α−ジケトン等の増感剤及びアミン等の電子供与体からなる光重合開始剤の硬化性をさらに改良するために検討を行い、該アミンとして芳香族アミン及び脂肪族アミンの双方を併用することにより光源の種類によらず高い重合活性を示し短時間での硬化が可能なことを見出し、既に提案している(特願2004−068373)。また、特定の脂肪族第3級アミン又は特定のトリアジン化合物を採用すると、上記光重合開始剤における保存安定性をより優れたものとできることを見出し、同時に提案している。
本発明は上記提案と同じく、環境光程度の弱い光(360〜500nmにおける強度が1mW/cm未満の光)に対しては高い安定性を有し、しかもハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード等の照射器による強い光照射(前記波長域での強度が20mW/cm程度以上)により、著しく短時間で重合を完結させ、良好な物性の硬化体を生成し、かつ保存安定性にも優れる1ペースト型の光硬化型歯科用複合修復材料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、トリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物、α−ジケトン等の増感剤及びアミン等からなる光重合開始剤において、アミンとして芳香族第3級アミン化合物を採用し、さらにアリールボレート化合物を併用することによっても上記課題を解決できることを見出し、更に検討を進め、本発明を完成した。
即ち本発明は、(1)非酸性ラジカル重合性単量体、(2)充填材及び(3)重合開始剤を含んでなる1ペースト型の歯科用複合修復材料において、該(3)重合開始剤が、(A)α−ジケトン化合物、(B)芳香族第3級アミン化合物、(C)置換基としてトリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物、及び(D)アリールボレート化合物からなる光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする1ペースト型の光硬化型歯科用複合修復材料である。
本発明の光硬化型歯科用複合修復材料は、特定の光重合開始剤を配合することにより、従来公知の光重合開始剤を配合したものと比較して、活性光(強い光)に対して同じ硬化速度を有するときには、環境光(弱い光)に対する安定性が高く、逆に、環境光安定性が同等であれば、遥かに速く重合硬化を完結させることができる。そして、全ての配合成分を混合した1ペーストの状態で長期間保存しても、硬化性能が劣化することが少ない。従って、歯科用の複合修復材料として、高性能かつ保存安定性に優れた製品を供給できる。
本発明の歯科用複合修復材料における光重合開始剤は、(A)α−ジケトン化合物、(B)芳香族第3級アミン化合物、(C)置換基としてトリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物、及び(D)アリールボレート化合物からなる。以下、これら各成分について説明する。
(A)α−ジケトン化合物
本発明の光重合開始剤において、成分(A)のα−ジケトン化合物としては、公知の化合物が何ら制限なく使用できる。その具体例としては、カンファーキノン、カンファーキノンカルボン酸、カンファーキノンスルホン酸等のカンファーキノン類;ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等を挙げることができる。
使用するα−ジケトン化合物は、重合に用いる光の波長や強度、光照射の時間、あるいは組み合わせる他の成分の種類や量によって適宜選択して使用すればよく、単独または2種以上を混合して使用することもできる。これらのなかでも、歯科用に用いることを考慮すると、可視光域に極大吸収波長を有していることが好ましく、一般的にはカンファーキノン類が好適に使用され、特にカンファーキノンが好ましい。このようなα−ジケトン化合物の使用量は、組み合わせる他の成分や、光重合すべき重合性単量体の種類によって異なるが、通常は、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部、特に0.03〜5質量部の範囲の量を確保できるような量で光重合開始剤中に存在させるのがよい。即ち、本発明においては、光重合開始剤は、α−ジケトン化合物の量が上記範囲となるような量で、重合性単量体を含有する重合性組成物中に配合されるのがよい。α−ジケトン化合物の量が多いほど活性光による硬化時間が短くなり、他方、少ないほど環境光安定性に優れる。
(B)芳香族第3級アミン化合物
芳香族第3級アミン化合物とは窒素原子に結合する3つの有機基のうち、少なくとも1つが芳香族基である第3級アミン化合物である。芳香族第3級アミン化合物に代えて、第1級又は第2級アミン化合物を用いたり、脂肪族アミン化合物を用いたりした場合には、初期には高い重合活性が得られるものの、充分な保存安定性を得ることができない。
芳香族第3級アミン化合物のなかでも入手や合成が容易で、重合活性にも優れる点で、3つの有機基のうち1つが芳香族基で、2つが脂肪族基であるアミン化合物が好ましい。代表的な芳香族第3級アミンとしては、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006056844
式中、R及びRは、各々独立にアルキル基であり、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、又はアルキルオキシカルボニル基である。また、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合は、複数のRは、互いに同一でも異なっていてもよい。さらにR同士が結合して環を形成していてもよい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。また、このアルキル基は、当然のことながら置換基を有している置換アルキル基であってもよく、このような置換アルキル基としては、フロロメチル基、2−フロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基;2−ヒドロキシエチル基等の水酸基置換アルキル基などを例示することができる。
また、上記のRにおけるアリール基、アルケニル基、アルコキシ基及びアルキルオキシカルボニル基の何れも置換基を有するものであってよい。アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基等の炭素数6〜12のものを挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、2−フェニルエテニル基等の炭素数2〜12のものを挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のもの等が例示され、アルキルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アミルオキシカルボニル基、イソアミルオキシカルボニル基等のアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜10のものが例示される。
上記一般式(1)で示される芳香族第3級アミンにおいて、基R及びRとしては、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数1〜3の非置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基)、あるいは2−ヒドロキシエチル基がより好適である。
また、n=1の場合は、基Rの結合位置がパラ位であることが好ましい。一方、基Rが2〜3個結合している場合には、その結合位置はオルト位及び/又はパラ位であることが好ましい。特に、複数の基Rがオルト位及びパラ位に結合していることによって、硬化体の太陽光安定性(耐変色性)がより良好となる。
上記一般式(1)で示される第3級芳香族アミンを具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン、N,N,2,4−テトラメチルアニリン、N,N−ジエチル−2,4,6−トリメチルアニリン、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸プロピル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸プロピル等が例示される。
本発明において、(B)芳香族第3級アミン化合物の量は、通常、(A)α−ジケトン化合物100質量部当り、10乃至1000質量部、特に50乃至500質量部の範囲が好ましいが、より好ましくは、光重合開始剤が配合される重合性組成物中の重合性単量体100質量部当り、0.01〜10質量部、特に0.02〜5質量部となる量で、成分(B)のアミン化合物を使用するのがよい。
(C)トリハロメチル基置換s−トリアジン化合物
本発明においては、上述した成分(A)及び(B)と共に、トリハロメチル基を置換基として有するs−トリアジン化合物(以下、単にトリアジン化合物とも称す)が使用される。
本発明の上記トリアジン化合物としては、トリアジン骨格に結合したトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロメチル基を少なくとも一つ有するs−トリアジン化合物であれば公知の化合物が何ら制限なく使用できる。特に好ましいトリアジン化合物を一般式で示すと下記一般式(2)で表される。
Figure 2006056844
(式中、R及びRは、それぞれ独立にトリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基、アルキル基、またはアルコキシ基であり、Xはハロゲン原子である。)
上記一般式(2)中、Xで表されるハロゲン原子は、塩素、臭素及びヨウ素の何れでもよいが、塩素が一般的であり、従って、トリアジン環に結合した置換基(CX)としては、トリクロロメチル基が一般的である。
及びRは、トリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基、アルキル基及びアルコキシ基の何れでもよい。R及びRの少なくとも一方が、トリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基である場合、本発明の歯科用複合修復材料の保存安定性をさらに優れたものとできる。他方、R及びRの少なくとも一方が、ハロゲン置換アルキル基である方がより良好な重合活性を得られやすく、共にハロゲン置換アルキル基であると特に重合活性が良好である。
トリアジン環と共役可能な不飽和結合により結合した有機基としては、公知の如何なる有機基でもよいが、好ましくは炭素数2〜30、特に炭素数2〜14の有機基である。このような有機基を具体的に例示すると、フェニル基、メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基、ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等の炭素数6〜14のアリール基;ビニル基、2−フェニルエテニル基、2−(置換フェニル)エテニル基等の炭素数2〜14のアルケニル基等が例示される。なお、上記置換フェニル基の有する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;フェニル基;ハロゲン原子等が例示される。
また、R及びRにおけるアルキル基及びアルコキシ基は、置換基を有するものであってもよく、このようなアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の非置換のアルキル基;トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、α,α,β−トリクロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基等が挙げられる。さらに、アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の非置換のアルコキシ基;2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ基、2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ基等のアミノ基により置換されたアルコキシ基等が例示される。
上記のような一般式(2)で表されるトリハロメチル基置換s−トリアジン化合物を具体的に例示すると、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。
上記トリアジン化合物は1種または2種以上を混合して用いても構わない。また、その一般的な添加量は、通常、成分(A)のα−ジケトン化合物100質量部当り、5乃至1000質量部の範囲が好ましく、より好ましくは30乃至500質量部の範囲であるが、好ましくは、光重合開始剤が配合される重合性組成物中の重合性単量体100質量部当り、0.005〜10質量部、特に0.03〜5質量部となる量で、成分(C)のトリアジン化合物を使用するのがよい。
(D)アリールボレート化合物
本発明で使用する(D)成分であるアリールボレート化合物は、4配位のホウ素化合物であり、かつホウ素原子に結合する4つの有機基のうちの少なくとも1つがアリール基である化合物であり、公知のものが何ら制限無く使用できる。代表的なアリールボレート化合物を一般式で示すと、下記一般式(3)で表される。
Figure 2006056844
(但し、R、R、及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基であり、R、R10は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基又はフェニル基であり、Lは金属陽イオン、第3級又は第4級アンモニウムイオン、第4級ピリジニウムイオン、第4級キノリニウムイオンまたは第4級ホスホニウムイオンである。)
ホウ素−アリール結合を全く有しないボレート化合物は保存安定性が極めて悪く、空気中の酸素と容易に反応して分解するため好ましくない。ホウ素−アリール結合が多いほど、保存安定性に優れたものとでき、トリアリールボレート化合物又はテトラアリールボレート化合物が好ましく、テトラアリールボレート化合物が最も好ましい。
上記式(3)において、R、R、及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基である。当該アルキル基は特に限定されるものではなく、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましくは炭素数3〜30のアルキル基、より好ましくは炭素数4〜20の直鎖アルキル基であり、具体的にはn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基等である。また、当該アルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、あるいはフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基等の炭素数6〜10のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルコキシ基、アセチル基等の炭素数2〜5のアシル基等が例示される。また当該置換基の数及び位置も特に限定されない。
アリール基もまた特に限定されるものではなく、公知のアリール基でよいが、好ましくは単環ないし2又は3つの環が縮合した、置換又は非置換のアリール基であり、当該置換基としては上記アルキル基の置換基として例示された基、ならびにメチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基が例示される。
当該置換または非置換のアリール基は具体的には、フェニル基、1−又は2−ナフチル基、1−、2−又は9−アンスリル基、1−、2−、3−、4−又は9−フェナンスリル基、p−フルオロフェニル基、p−クロロフェニル基、(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル基、p−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ブチルフェニル基、m−ブチルフェニル基、p−ブチルオキシフェニル基、m−ブチルオキシフェニル基、p−オクチルオキシフェニル基、m−オクチルオキシフェニル基等が例示される。
アルケニル基も特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数4〜20のアルケニル基であり、またその置換基としては前記アルキル基の置換基として例示されたものが挙げられる。
上記一般式(3)中、R、R10は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基又はフェニル基である。
当該置換基を有していても良いアルキル基又はアルコキシ基は特に限定されるものではなく、また直鎖状でも分枝状でも良いが、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基であり、また置換基としては前記R〜Rにおけるアルキル基の置換基として例示したものが挙げられる。当該置換基を有していてもよいアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基、n−,i−又はt−ブチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル基等が例示され、置換基を有していてもよいアルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシ基、エトキシ基、1−又は2−プロポキシ基、1−又は2−ブトキシ基、1−、2−又は3−オクチルオキシ基、クロロメトキシ基等が例示される。
また置換基を有していても良いフェニル基の有する置換基も特に限定されず、具体的には前記前記R〜Rにおけるアリール基の置換基として例示したものが挙げられる。
上記一般式(3)中、Lは金属陽イオン、第3級又は第4級アンモニウムイオン、第4級ピリジニウムイオン、第4級キノリニウムイオン、または第4級ホスホニウムイオンである。
当該金属陽イオンとしては、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属陽イオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属陽イオン等が好ましい金属陽イオンとして例示され、第3級又は第4級アンモニウムイオンとしては、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が、第4級ピリジニウムイオンとしては、メチルキノリニウムイオン、エチルキノリニウムイオン、ブチルキノリウムイオン等が、第4級ホスホニウムイオンとしては、テトラブチルホスホニウムイオン、メチルトリフェニルホスホニウムイオン等が例示される。
重合性単量体への溶解性を考慮すると、第3級又は第4級アンモニウムイオン、第4級ピリジニウムイオン、第4級キノリニウムイオン、または第4級ホスホニウムイオンが好ましく、第3級又は第4級アンモニウムイオンが特に好ましい。
好適に使用されるアリールボレート化合物を具体的に例示すると、1分子中に3個のアリール基を有するトリアリールボレート化合物としては、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フルオロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と同様)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
また、1分子中に4個のアリール基を有するテトラアリールボレート化合物としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と同様)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ジ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム塩、メタクリロイルオキシエチルジメチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
上記アリールボレート化合物は1種または2種以上を混合して用いても構わない。また、その一般的な添加量は、通常、成分(A)のα−ジケトン化合物100質量部当り、10乃至3000質量部の範囲が好ましく、より好ましくは50乃至1500質量部の範囲であるが、好ましくは、光重合開始剤が配合される重合性組成物中の重合性単量体100質量部当り、0.01〜20質量部、特に0.05〜10質量部となる量で、成分(D)のアリールボレート化合物を使用するのがよい。
本発明の歯科用複合修復材料は、上記(A)〜(D)成分からなる光ラジカル重合開始剤と、非酸性ラジカル重合性単量体及び充填材を含んでなる。
これら非酸性ラジカル重合性単量体及び充填材は、歯科用複合修復材料の成分として公知のものを採用すればよい。
なお歯科用材料に用いられるラジカル重合性単量体としては、接着材用途などにおいて、カルボキシル基、リン酸基等の酸性基を有するラジカル重合性単量体も汎用されている。しかしながら、上記(D)成分であるアリールボレート化合物は酸により分解してしまうため、本発明の歯科用複合修復材料の成分としてこのような酸性基を有するラジカル重合性単量体を配合すると、本発明の目的の一つである良好な保存安定性を得ることができなくなってしまう。また、このような重合性単量体を、酸を中和した塩の形態で配合すれば上記問題は生じないが、硬化体の吸水性が高くなったり、着色しやすくなるなどの問題を生じやすくなるため、できる限り避ける方が好ましい。
上記非酸性ラジカル重合性単量体としては、酸性基(スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、リン酸残基等)を有さない(メタ)アクリレート系の重合性単量体が、硬化速度や硬化体の機械的物性、耐水性、耐着色性、保存安定性等の観点から好適に用いられ、特に、複数の重合性官能基を有する、多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体が好ましい。当該多官能性の(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、公知のものが特に制限なく使用できる。一般に好適に使用されるものを例示すれば、下記(I)〜(III)に示されるものが挙げられる。
(I)二官能重合性単量体
(i)芳香族化合物系のもの
2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン;上記の各種メタクリレートに対応するアクリレート;及びOH基含有ビニルモノマーと、芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
(上記OH基含有ビニルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、あるいはこれらメタクリレートに対応するアクリレートを例示できる。また、上記のジイソシアネートとしては、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートを例示できる。
(ii)脂肪族化合物系のもの
1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;及びOH基含有ビニルモノマーと、脂肪族ジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
(上記のOH基含有ビニルモノマーとしては、先に例示したものと同様のものを挙げることができ、脂肪族ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等を挙げることができる。)
(II)三官能重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート;及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
(III)四官能重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;及びジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等;
(上記のジイソシアネート化合物としては、ジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート等を挙げることができる。
上述した多官能の(メタ)アクリレート系単量体は、必要に応じて複数の種類のものを併用しても良い。
さらに、必要に応じて、粘度や重合性の調整のために、単官能の(メタ)アクリレート系単量体や、(メタ)アクリレート系単量体以外のラジカル重合性単量体を用いても良い。尚、単官能の(メタ)アクリレート系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。良好な硬化体物性を得るためには、これら多官能の(メタ)アクリレート系単量体以外の単量体の配合量は、全ラジカル重合性単量体中に30質量%以下、好ましくは10質量%以下とするのがよい。
歯科用複合修復材料に配合される充填材としては、無機充填材又は有機−無機複合充填材が主に用いられる。無機充填材としては、歯科用複合修復材料の充填材として公知の無機充填材が何ら制限なく用いられるが、代表的な無機充填材を例示すれば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の金属酸化物類が挙げられる。また必要に応じて、ケイ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等の歯科用の無機充填材として公知のカチオン溶出性の無機充填材を配合しても良い。これらは一種または二種以上を混合して用いても何ら差し支えない。
また、これら無機充填材に前述したような重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合充填材を用いても良い。
これら充填材の粒径は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている0.01μm〜100μm(特に好ましくは0.01〜5μm)の平均粒径の充填材が目的に応じて適宜使用できる。また、該充填材の屈折率も特に制限されず、一般的な歯科用の無機充填材が有する1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用でき、目的に合わせて適宜設定すればよい。粒径範囲や、屈折率の異なる複数の無機充填材を併用しても良い。
さらに、上記充填材の中でもとりわけ球状の無機充填材を用いると、得られる硬化体の表面滑沢性が増し、優れた歯科用コンポジットレジンとなり得る。
上記無機充填材、有機−無機複合充填材は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することが、重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させる上で望ましい。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。
これらの充填材の割合は、複合修復材料の使用目的に応じて、重合性単量体と混合したときの粘度(操作性)や硬化体の機械的物性を考慮して適宜決定すればよいが、一般的には、前述した(1)非酸性ラジカル重合性単量体100質量部に対して50〜1500質量部、好ましくは70〜1000質量部の範囲で用いられる。
また、歯牙の色調に合わせるために、上述した各成分に加えて、顔料、蛍光顔料、染料、紫外線に対する変色防止のために紫外線吸収剤を添加してもよいし、その他、歯科用複合修復材料の成分として公知の添加剤を、本発明の効果に影響のない範囲で配合しても良い。
本発明の光硬化型歯科用複合修復材料は1ペースト状態で製造、保管、供給される。このような光硬化型歯科用複合修復材料を製造する方法は特に限定されず、公知の1ペースト型の光硬化型歯科用複合修復材料の製造方法に従えばよい。一般的には、遮光下、配合する各成分を所定量秤とり、均一になるまで混練し、必要に応じて混練時に混入した気泡の脱泡を行えばよい。得られた組成物のペーストは、遮光容器に小分けされその状態で、歯科医院や歯科技工所へ供給される。
本発明の光硬化型歯科用複合修復材料の使用方法は、公知の光硬化型歯科用複合修復材料の使用方法となんら変わるところはないが、環境光程度の弱い光に対しては安定性が高いため、より操作性に優れる(可使時間が長い)という利点がある。具体的には、使用時に適量を容器から取り出し、修復が必要な窩洞に充填、付形後に、歯科用可視光照射器を用いて可視光照射を行い硬化させればよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略称を以下に示す。
(1)略称・略号
(A)α―ジケトン
・CQ:カンファーキノン
(B)芳香族第3級アミン化合物
・DMPT:N,N−ジメチルp−トルイジン
・DMBE:N,N−ジメチルp−安息香酸エチル
・DMBI:N,N−ジメチルp−安息香酸イソアミル
(C)トリハロメチル基置換s−トリアジン化合物
・TCT:2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
・CBCT:2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
・MPBCT:2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
・PBCT:2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
(D)アリールボレート化合物
・PBMDOA:テトラフェニルボレートのメチルジエタノールアンモニウム塩
・PBTEOA:テトラフェニルボレートのトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩
(E)重合性単量体
・bis−GMA:2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
(F)無機充填材
・F−1:球状シリカ−ジルコニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均粒径;0.5μm)
・F−2:球状シリカ−ジルコニア(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均粒径;0.08μm)
(G)脂肪族アミン化合物
・DMEM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
(H)その他の成分
・HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
また、光硬化型複合修復材料の調製方法、硬化特性(環境光安定性、硬化性、硬度)、硬化体の機械的強度及び保存安定性の測定は以下の方法を用いた。
(1)光硬化型複合修復材料(光硬化性組成物)の調製方法
重合性単量体に対し各々所定量の光重合開始剤と無機充填材、及びその他の配合成分を加え、赤色光下にて均一に攪拌、脱泡して調製した。
(2)照射光のつよさ
被照射面における光強度(mW/cm)を、ウシオ電機株式会社製UIT−101を用い、360〜500nmの波長で測定した。
(3)硬化体の硬度(ヴィッカース硬度)
下記の3種類の歯科用光照射器(TP、LM、A95)を用いて、次に示す方法で硬化体の硬度を測定した。即ち、6mmφの貫通孔を有する厚さ1.0mmポリテトラフルオロエチレン製のモールドに硬化性組成物のペーストを充填してポリプロピレンフィルムで圧接した。歯科用光照射器の照射口をポリプロピレンフィルムに密着して所定時間照射して硬化体を調製し、これを試験片とした。微小硬度計(松沢精機製MHT−1型)にてヴィッカース圧子を用いて、荷重100gf、荷重保持時間30秒で試験片にできたくぼみの対角線長さにより求めた。特に断らない限り、光照射の時間は、TP及びLMを用いた場合は10秒、A95を用いた場合は3秒とした。
・歯科用光照射器「LM」:アケダデンタル社製LUX・O・MAX、光出力密度137mW/cm、照射面における光強度35mW/cm、光源はレーザーダイオード、照射口径8mm。
・歯科用光照射器「A95」:DMD社製アポロ95E、光出力密度1370mW/cm、照射面における光強度は測定できず(極めて強い)、光源はキセノンランプ、照射口径8mm。
・歯科用光照射器「TP」:トクヤマデンタル社製トクソーパワーライト、光出力密度700mW/cm、照射面における光強度640〜650mW/cm、光源はハロゲンランプ、照射口径8mm。
(4)保存安定性の評価
光硬化型複合修復材料のペーストを50℃に設定したインキュベーター内に遮光下保管し、一定期間毎に硬化体のヴィッカース硬度を測定した。得られたヴィッカース硬度値の経時変化から保存安定性を評価した。
(5)環境光安定性試験
ペースト状の硬化性組成物試料の表面が10000ルックスになるように光源と試料との距離を設定した。光源には15W蛍光灯(松下電器製、商品名パルック)を用い、照度計にて測定される照度が上記照度になるよう、試料と蛍光灯の距離を設定した。この照射面での光強度は0.4mW/cmであった。作製したペーストをポリプロピレンフィルムに0.03g量り採り、上記蛍光灯の光を所定時間時間照射した後、試料を押しつぶし、試料内部が固まり始めた時間を計測した。なお、照射時間は5秒間隔とした。この時間が長いほど環境光安定性に優れ、よって良好な操作余裕時間を得ることができる。なお照度計は東京硝子器械社、デジタルルックスメーターFLX−1330を用いた。なお、この照度計は400〜700nmに感度を有する。
(6)曲げ強度
ステンレス製型枠に硬化性組成物のペーストを充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、一方の面から10秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えて光照射器「TP」の照射口をポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。ついで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて10秒×3回光照射を行ない硬化体を得た。#800の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、この試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。
実施例1、2
Bis−GMA(60質量部)と3G(40質量部)とからなる重合性単量体100質量部に、無機充填材としてF−1(140質量部)及びF−2(60質量部)、重合禁止剤としてHQME(0.15質量部)を配合したペースト状の組成物に、さらにこれに表1に示す組成の光重合開始剤を配合して光硬化型複合修復材料を得た。この光硬化型複合修復材料の硬化性、硬化体の曲げ強度及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
比較例1
芳香族アミン化合物を配合しないこと以外は、表1に示す組成の光重合開始剤を配合し実施例1と同様にして光硬化型複合修復材料を作成した。この光硬化型複合修復材料の硬化性、硬化体の曲げ強度及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
比較例2
トリアジン化合物を配合しないこと以外は、表1に示す組成の光重合開始剤を配合し実施例1と同様にして光硬化型複合修復材料を作成した。この光硬化型複合修復材料の硬化性、硬化体の曲げ強度及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
比較例3
アリールボレート化合物を配合しないこと以外は、表1に示す組成の光重合開始剤を配合し実施例1と同様にして光硬化型複合修復材料を作成した。この光硬化型複合修復材料の硬化性、硬化体の曲げ強度及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
比較例4
トリアジン化合物とアリールボレート化合物を配合しないこと以外は、表1に示す組成の光重合開始剤を配合し実施例1と同様にして光硬化型複合修復材料を作成した。この光硬化型複合修復材料の硬化性、硬化体の曲げ強度及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
比較例5
芳香族第3級アミン化合物に代えて脂肪族第3級アミン化合物を配合したこと以外は、表1に示す組成の光重合開始剤を配合し実施例1と同様にして光硬化型複合修復材料を作成した。この光硬化型複合修復材料の硬化性、硬化体の曲げ強度及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006056844
実施例1、2に示すように、本発明のα−ジケトン/芳香族3級アミン/トリアジン化合物/アリールボレート化合物よりなる光重合開始剤を採用した本発明の光硬化型複合修復材料は、あらゆる光照射器に対して短時間の光照射で充分な硬度が得られ、また硬化体の曲げ強度は高い。さらに50℃でペーストを保存したときも硬度の経時変化が少なく、良好な保存安定性を示す。
これに対して、比較例1〜4に示したように、実施例の光重合開始剤の各成分を1つまたは2つ加えないと、硬化性が低下して表面強度や曲げ強度が小さくなる。
また、比較例5に示したように、芳香族第3級アミン化合物に代えてに代えて脂肪族アミンを配合すると、初期の硬化性には問題ないものの、保存安定性が悪い。
実施例3〜7
用いた光重合開始剤の組成を表2に示したよう変更した以外は、実施例1、2と同様にして光硬化型複合修復材料を得た。評価結果を表2に示す。
比較例6
α−ジケトンを配合しないこと以外は、表2に示す組成の光重合開始剤を配合し実施例1と同様にして光硬化型複合修復材料を作成した。この光硬化型複合修復材料の硬化性及び保存安定性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2006056844
実施例3〜7に示すように、トリアジン化合物を変更しても表面硬度及び保存安定性に優れることが分かる。
一方、比較例6の結果から、α−ジケトンを加えないと全く重合しないことが分かる。

Claims (1)

  1. (1)非酸性ラジカル重合性単量体、(2)充填材及び(3)重合開始剤を含んでなる1ペースト型の歯科用複合修復材料において、該(3)重合開始剤が、(A)α−ジケトン化合物、(B)芳香族第3級アミン化合物、(C)置換基としてトリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物、及び(D)アリールボレート化合物からなる光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする1ペースト型の光硬化型歯科用複合修復材料。
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