JP2006056750A - 多孔質炭素材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炭素質材料に第8族金属を含む微粒子を担持させ、前記第8族金属を含む微粒子により前記炭素質材料を還元的に接触分解することにより、メソ孔や溝を形成した多孔質炭素材料が得られる。前記炭素質材料に前記第8族金属を含む微粒子を担持させるには、例えば、前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を含浸し、還元処理を施して前記第8族金属を含む微粒子を形成させる。前記多孔質炭素材料は、好ましくは、前記第8族金属を含む微粒子を除去することにより、メソ孔率を著しく増大させることができる。
Description
リョン・リョウ(Ryong Ryoo)、外2名,「カチオン性−中性界面活性剤の混合物からのMCM−48のエネルギー的に好ましい形成(Energetically Favored Formation of MCM-48 from Cationic-Neutral Surfactant Mixtures)」,ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリーB(J. Phys. Chem. B),(米国),アメリカン・ケミカル・ソサイエティ・パブリケーションズ(American Chemical Society Publications),1999年9月2日,第103巻,第35号,p.7435−7440
試料の比表面積および細孔径分布は、高速比表面積/細孔径分布測定装置(ASAP−2010、マイクロメリティックス社)を用いて、N2吸脱着測定を行って評価した。試料に物理吸着した水分を除去するために、予め200℃で1時間の真空加熱処理を施した。全比表面積の評価にはBET法、メソ孔比表面積の評価にはBJH法、ミクロ孔比表面積の評価にはt−プロット法を用いた。
高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(S−5000、(株)日立製作所;以下「HRSEM」という)を用いて、入射加速電圧20kVで観察した。
炭素質材料として、フェノール系の活性炭素繊維(2D−30μ長の粉砕品、日本カイノール(株);以下「ACF」という)を用いた。ACFは前処理を行わず、そのまま使用した。第8族金属の化合物として、Co(NO3)2・6H2O(以下「硝酸コバルト」という)を用いた。まず、硝酸コバルト19.86gを蒸留水250mLに添加し、30分間超音波処理を行って溶解させた。得られた溶液25mLとACF1.60gを混合し、2時間超音波処理を行って、溶液をACFの細孔内にまで充分に含浸させた。その後、攪拌しながら、約90℃で24時間乾燥させて、コバルト金属換算で20質量%になるように硝酸コバルトを含浸させたACF試料2.90gを得た。
450℃での加熱処理の後、Ar(95%)−H2(5%)気流をAr(100%)気流に置換してから800℃に昇温したこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素材料0.54gを得た。得られた多孔質炭素材料の全比表面積は930m2/g、メソ孔比表面積は231m2/g、メソ孔率は24.8%であった。得られた多孔質炭素材料の細孔径分布を図3に示す。図1と図3を比較すると明らかなように、本実施例で得られた多孔質炭素材料は、細孔径約4nmにおける微分細孔容積が大きく増大し、細孔径約4nmのメソ孔が選択的に形成されていた。図2と図3を比較すると明らかなように、800℃での加熱処理をAr(95%)−H2(5%)気流中で行うよりAr(100%)気流中で行った方が細孔径約4nmにおける微分細孔容積は約2倍近く増大した。
ACFに硝酸コバルトを含浸させないこと以外は実施例2と同様にして多孔質炭素材料0.75gを得た。得られた炭素材料の全比表面積は1980m2/g、メソ孔比表面積は288m2/g、メソ孔率は14.5%であった。得られた多孔質炭素材料の細孔径分布を図4に示す。図4から明らかなように、金属コバルトを含む微粒子を担持させない場合には、ACFにメソ孔が選択的に形成されないことが分かる。
20質量%の硝酸コバルトを含浸させたACF試料2.90gを実施例1と同様にして調製した。この試料0.80gを流速200mL/minのAr(95%)−H2(5%)気流中、昇温速度10℃/minで昇温し、800℃に達した時点で1時間加熱することにより、硝酸コバルトを還元して金属コバルトを含む微粒子を形成させると共に、金属コバルトを含む微粒子によりACFを還元的に接触分解させて多孔質炭素材料0.54gを得た。得られた多孔質炭素材料の全比表面積は1060m2/g、メソ孔比表面積は247m2/g、メソ孔率は23.3%であった。得られた多孔質炭素材料の細孔径分布を図5に示す。図1と図5を比較すると明らかなように、本実施例で得られた多孔質炭素材料は、細孔径約4nmにおける微分細孔容積が増大し、細孔径約4nmのメソ孔が選択的に形成されていた。
試料をAr(100%)気流中で加熱し、800℃に達した時点でAr(100%)気流をAr(95%)−H2(5%)気流に置換したこと以外は実施例3と同様にして多孔質炭素材料0.52gを得た。得られた多孔質炭素材料の全比表面積は1010m2/g、メソ孔比表面積は203m2/g、メソ孔率は20.1%であった。得られた多孔質炭素材料の細孔径分布およびHRSEM像をそれぞれ図6および図7に示す。図1と図6を比較すると明らかなように、本実施例で得られた多孔質炭素材料は、細孔径約4nmにおける微分細孔容積が大きく増大し、細孔径約4nmのメソ孔が選択的に形成されていた。図5と図6を比較すると明らかなように、800℃までの加熱処理をAr(95%)−H2(5%)気流中で行うよりAr(100%)気流中で行った方が細孔径約4nmにおける微分細孔容積は約2倍近く増大した。これは、本実施例では800℃までの加熱処理を不活性ガス雰囲気中で行ったために、金属コバルトを含む微粒子の凝集が抑制されたからである。図7から明らかなように、得られた多孔質炭素材料の表面には、数nmから約20nmまでの広い範囲の細孔と、数nmから約20nmまでの粒子径の金属コバルトを含む微粒子が見られた。
実施例4で得られた多孔質炭素材料0.52gと0.5M・H2SO460mLを混合し、5分間超音波処理を行って分散させ、さらに15分間攪拌した。次いで、遠心分離を行って、上澄み液を分取した。ここまでの操作を3回繰り返した。さらに0.5M・H2SO4をH2Oに替えて、上澄み液が中性になるまで同じ操作を3回繰り返した。上澄み液を取り除いた後の沈殿試料を乾燥させて、金属コバルトを含む微粒子を除去した多孔質炭素材料0.41gを得た。得られた多孔質炭素材料の全比表面積は1390m2/g、メソ孔比表面積は303m2/g、メソ孔率は21.8%であった。得られた多孔質炭素材料の細孔径分布およびHRSEM像をそれぞれ図8および図9に示す。図6と図8を比較すると明らかなように、金属コバルトを含む微粒子を除去することにより、すべての細孔径において微分細孔容積が増大したが、特に細孔径約3.5〜4nmにおいて微分細孔容積が約2〜4倍に増大した。また、図9から明らかなように、得られた多孔質炭素材料の表面には、数nmから約20nmまでの広い範囲の細孔が見られた。ただし、図8に示すように、細孔径分布は約4nm付近に極大値があり、得られた多孔質炭素材料には、細孔径約3.5〜4nmのメソ孔が選択的に形成されていた。
加熱処理を900℃で行ったこと以外は実施例3と同様にして多孔質炭素材料0.50gを得た。得られた多孔質炭素材料の全比表面積は557m2/g、メソ孔比表面積は151m2/g、メソ孔率は27.1%であった。得られた多孔質炭素材料の細孔径分布を図10に示す。図1と図10を比較すると明らかなように、本実施例で得られた多孔質炭素材料は、細孔径約4nmの微分細孔容積が著しく増大し、細孔径約4nmのメソ孔が極めて選択的に形成されていた。
炭素質材料として、フェノール系の粒状活性炭1.60gを用い、800℃で20時間加熱したこと以外は実施例4と同様にして多孔質炭素材料1.81gを得た。得られた多孔質炭素材料0.50gを実施例5と同様に処理して、金属コバルトを含む微粒子を除去した多孔質炭素材料0.41gを得た。走査電子顕微鏡(S−3000N、(株)日立製作所)と組み合わせたエネルギー分散型X線分析装置(EMAX−ENERGYシリーズ、(株)堀場製作所)を用いて、多孔質炭素材料に金属コバルトを含む微粒子が実質的に残存していないことを確認した。得られた多孔質炭素材料の全比表面積は1170m2/g、メソ孔比表面積は239m2/g、メソ孔率は20.4%であった。なお、未処理活性炭の全比表面積は1290m2/g、メソ孔比表面積は145m2/g、メソ孔率は11.2%であった。得られた多孔質炭素材料の細孔径分布を図11に示す。図1と図11を比較すると明らかなように、本実施例で得られた多孔質炭素材料は、細孔径約4nmの微分細孔容積が著しく増大し、細孔径約4nmのメソ孔が極めて選択的に形成されていた。
炭素質材料として、カーボンブラック(Vulcan(登録商標)XC72R、比表面積約250m2/g、カボット社;以下「CB」という)を用いた。CBは前処理を行わず、そのまま使用した。第8族金属の化合物として、Pt(NH3)2(NO2)2(以下「ジニトロジアンミン白金」という)およびCo(NO3)2・6H2O(以下「硝酸コバルト」という)を用いた。まず、ジニトロジアンミン白金2.00gをエタノール100mLに溶解し、この溶液に硝酸コバルト1.80gを、白金が金属原子比で50原子%となるように添加した。得られた溶液とCB0.50gを、第8族金属の化合物が金属質量比で30質量%の割合で含浸されるように混合し、30分間超音波処理を行って、溶液をCBの細孔内にまで充分に含浸させた。その後、攪拌しながら、大気中、約60℃で2時間乾燥させて、ジニトロジアンミン白金および硝酸コバルトを含浸させたCB試料1.01gを得た。
900℃で2時間加熱したこと以外は実施例8と同様にして多孔質炭素材料0.42gを得た。得られた多孔質炭素材料のHRSEM像を図13に示す。図13から明らかなように、本実施例で得られた多孔質炭素材料には、幅約10nm、長さ約30〜80nm、深さ約0.7〜5nmの溝が複数個形成されていた。
Claims (15)
- 炭素質材料に第8族金属を含む微粒子を担持させ、前記第8族金属を含む微粒子により前記炭素質材料を還元的に接触分解することを特徴とする多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料を還元的に接触分解した後、前記第8族金属を含む微粒子を除去する請求項1記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記第8族金属を含む微粒子を酸またはその水溶液で除去する請求項2記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を含浸させ、還元性ガス雰囲気中で200℃以上、500℃以下の温度に加熱することにより、前記炭素質材料に前記第8族金属を含む微粒子を担持させる請求項1〜3のいずれか1項記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料に前記第8族金属を含む微粒子を担持させた後、還元性ガスまたは不活性ガス雰囲気中で500℃以上、1000℃以下の温度に加熱することにより、前記炭素質材料を還元的に接触分解する請求項4記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を含浸させ、還元性ガス雰囲気中で500℃以上、1000℃以下の温度に加熱することにより、前記第8族金属を含む微粒子を形成すると共に、前記炭素質材料を還元的に接触分解する請求項1〜3のいずれか1項記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を含浸させ、不活性ガス雰囲気中で500℃以上、1000℃以下の温度に昇温し、前記不活性ガス雰囲気を還元性ガス雰囲気に置換して加熱することにより、前記第8族金属を含む微粒子を形成すると共に、前記炭素質材料を還元的に接触分解する請求項1〜3のいずれか1項記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記還元性ガスが水素、あるいは、アルゴン、窒素またはその混合物で希釈した水素である請求項4〜7のいずれか1項記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記不活性ガスがアルゴン、窒素またはその混合物である請求項5または7記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を含浸させる際に、前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を金属質量比で0.1質量%以上、30質量%以下の割合で添加する請求項4〜9のいずれか1項記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を含浸させる際に、前記炭素質材料に前記第8族金属の化合物を金属質量比で0.2質量%以上、20質量%以下の割合で添加する請求項10記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記炭素質材料が活性炭、カーボンブラックまたは活性炭素繊維を含む請求項1〜11のいずれか1項記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記第8族金属が鉄、コバルトまたはニッケルを含む請求項1〜12のいずれか1項記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 前記第8族金属がさらに白金またはパラジウムを含む請求項13記載の多孔質炭素材料の製造方法。
- 請求項1〜14のいずれか1項記載の製造方法により製造された多孔質炭素材料。
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