JP2006056220A - 樹脂シートの製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形時の幅方向の厚さ分布が大きい樹脂シートを製造した際に、所望の断面形状を得ることができる。
【解決手段】ダイ12より押し出したシート状の樹脂材料14を、型ローラ16と該型ローラ16に対向配置される少なくとも1つのニップローラ18とで挟圧すると共に、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引手段22で吸引しながら、型ローラ16表面の凹凸形状を樹脂材料14に転写する。
【選択図】図1
【解決手段】ダイ12より押し出したシート状の樹脂材料14を、型ローラ16と該型ローラ16に対向配置される少なくとも1つのニップローラ18とで挟圧すると共に、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引手段22で吸引しながら、型ローラ16表面の凹凸形状を樹脂材料14に転写する。
【選択図】図1
Description
本発明は樹脂シートの製造方法及び装置に係り、特に、各種表示装置の背面に配される導光板や各種光学素子に使用するのに好適な樹脂シートの製造方法及び装置に関する。
各種光学素子に使用される樹脂シートとして、フレネルレンズやレンチキュラーレンズ等が様々な分野で使用されている。このような樹脂シートの表面には、規則的な凹凸形状が形成されており、この凹凸形状により、所定の光学的性能を発揮している。
このような樹脂シートを製造する方法として、これまでに各種の提案がなされている(特許文献1〜4参照)。これらの提案においては、いずれも、生産性向上の観点よりローラ成形方式が採用されている。
例えば、特許文献1は、樹脂シートをローラから剥離するまでの間の冷却手段に工夫を施すことにより、転写性の向上を図っている。特許文献2は、ローラに金型を巻き付けてフレネルレンズを製造する方法を開示している。
特許文献3は、成形ローラの内部に熱緩衝部材を配して、生産性及び転写性の向上を図っている。特許文献4は、コロナ放電処理を採用することにより、転写性の向上、欠陥の低減を図っている。
これら従来技術の代表的なローラ成形方式は、図8に示される構成のようになっている。この装置構成は、押出し機(図示略)によって溶融された樹脂材料1をシート状に賦形するためのシート用のダイ2と、表面に凹凸形状が形成されたスタンパーローラ3と、スタンパーローラ3に対向配置される鏡面ローラ4と、スタンパーローラ3に対向すると共に、鏡面ローラ4の反対側に配置される剥離用鏡面ローラ5よりなる。
そして、ダイ2より押し出したシート状の樹脂材料1を、スタンパーローラ3と鏡面ローラ4とで挟圧し、スタンパーローラ3表面の凹凸形状を樹脂材料1に転写し、樹脂材料1を剥離用鏡面ローラ5に巻き掛けることによりスタンパーローラ3から剥離する。
特開平8−31025号公報
特開平7−314567号公報
特開2003−53834号公報
特開平8−287530号公報
しかしながら、上記従来の提案は、いずれも、比較的薄肉の樹脂シートを製造する方法に関するものであり、比較的厚肉の樹脂シートの製造には適していない。特に、成形時の幅方向の厚さ分布が大きい樹脂シートを製造した場合には、所望の断面形状を得るのが非常に困難である。
たとえば、PMMAを押し出し後にローラ成形する際に、幅方向に厚さ分布を付け、最厚肉部と最薄肉部との厚さの差を1mm以上とした場合、表面又は裏面に凹凸(樹脂の硬化時の収縮による引け)を生じたり、全体的に表面形状転写率が低下したり、シャープエッジ形状が転写できなかったり、各種の問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、成形時の幅方向の厚さ分布が大きい樹脂シートを製造した際に、所望の断面形状を得ることができ、特に、各種表示装置の背面に配される導光板や各種光学素子に使用するのに好適な樹脂シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと該型ローラに対向配置される少なくとも1つのニップローラとで挟圧すると共に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、前記転写後の樹脂材料を該型ローラから剥離することを特徴とする樹脂シートの製造方法を提供する。
本発明の請求項1によれば、シート状の樹脂材料を型ローラと少なくとも1つのニップローラとで挟圧し、型ローラの凹凸形状を樹脂材料に転写する。この転写において、型ローラと樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を樹脂材料に転写するようにした。これにより、型ローラと樹脂材料との間に入り込んだエアーが除去されて、樹脂材料が型ローラ表面の凹凸形状に密着するので、型ローラの凹凸形状を樹脂材料に精度良く転写することができる。
本発明の請求項2は前記目的を達成するために、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと、該型ローラと該型ローラに対向配置される複数のプレスローラとの間に供給されたベルト状部材とで挟圧すると共に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、前記転写後の樹脂材料を該型ローラから剥離することを特徴とする樹脂シートの製造方法を提供する。
請求項2は、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと、該型ローラと該型ローラに対向配置される複数のプレスローラとの間に供給されたベルト状部材とで挟圧し、型ローラの凹凸形状を樹脂材料に転写する。このベルト部材を採用した転写において、型ローラと樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を樹脂材料に転写するようにした。これにより、型ローラと樹脂材料との間に入り込んだエアーが除去されて、樹脂材料が型ローラ表面の凹凸形状に密着するので、型ローラの凹凸形状を樹脂材料に精度良く転写することができる。また、ベルト状部材を採用することにより、樹脂材料を挟圧する距離を大きくでき、型ローラと樹脂材料との間のエアーの吸引と相まって、所望の断面形状を一層制度良く得ることができる。
また、本発明の請求項1又は2において、樹脂材料に転写される凹凸形状により、該樹脂材料の幅方向における最厚肉部と最薄肉部との厚さの差が1mm以上となることが好ましい。更に、樹脂材料の最薄肉部の厚さが5mm以下であることが好ましい。このように、従来、成形が困難であった、断面形状の樹脂材料の成形において、本発明の効果が一層発揮できるからである。
本発明の請求項5は前記目的を達成するために、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと該型ローラに対向配置される少なくとも1つのニップローラとで挟圧して該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、転写後の樹脂材料を型ローラより剥離する樹脂シートの製造装置であって、前記樹脂材料が前記型ローラより剥離される剥離点近傍に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引する吸引手段を設けたことを特徴とする樹脂シートの製造装置を提供する。
本発明の請求項5は、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラとニップローラとで挟圧するタイプの樹脂シートの製造装置の場合であり、樹脂材料が型ローラより剥離される剥離点近傍に、型ローラと樹脂材料との間のエアーを吸引する吸引手段を設けたので、型ローラと樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を樹脂材料に転写することができる。これにより、型ローラと樹脂材料との間に入り込んだエアーが除去されて、樹脂材料が型ローラ表面の凹凸形状に密着するので、型ローラの凹凸形状を樹脂材料に精度良く転写することができる。
本発明の請求項6は前記目的を達成するために、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと、該型ローラと該型ローラに対向配置される複数のプレスローラとの間に供給されたベルト状部材とで挟圧すると共に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、転写後の樹脂材料を型ローラより剥離する樹脂シートの製造装置であって、前記樹脂材料が前記型ローラより剥離される剥離点近傍に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引する吸引手段を設けたことを特徴とする樹脂シートの製造装置を提供する。
本発明の請求項6は、ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラとベルト状部材とで挟圧するタイプの樹脂シートの製造装置の場合であり、樹脂材料が型ローラより剥離される剥離点近傍に、型ローラと樹脂材料との間のエアーを吸引する吸引手段を設けたので、型ローラと樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を樹脂材料に転写することができる。これにより、型ローラと樹脂材料との間に入り込んだエアーが除去されて、樹脂材料が型ローラ表面の凹凸形状に密着するので、型ローラの凹凸形状を樹脂材料に精度良く転写することができる。
本発明請求項5又は6において、吸引手段の吸引口は、型ローラ表面に形成された凹凸形状に倣った凹凸形状に形成されていることが好ましい。これにより、型ローラ表面に凹凸形状が形成されていても、吸引口を型ローラ表面に接触しない限界まで近接させることができ、吸引したときのエアーリークを極力小さくすることができる。従って、型ローラと樹脂材料との間のエアー、特に型ローラの凹凸形状の凹部に存在するエアーも効率的に吸引することができる。従って、樹脂材料が型ローラ表面の凹凸形状に一層密着するようになるので、型ローラの凹凸形状を樹脂材料に一層精度良く転写することができる。
また、本発明の請求項5又は6は、転写後の樹脂材料を剥離ローラに巻き掛けることにより樹脂材料を型ローラから剥離する場合、あるいは転写後の樹脂材料を該型ローラとニップローラとの接線方向に引き出すことにより該型ローラより剥離する場合の両方に適用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、成形時の幅方向の厚さ分布が大きい樹脂シートであっても、所望の断面形状を得ることができる。
以下、添付図面に従って、本発明に係る樹脂シートの製造方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に係る樹脂シートの製造装置の第1実施形態を示す構成図である。
第1実施形態の樹脂シートの製造装置10は、押出し機(図示略)によって溶融された樹脂材料14をシート状に賦形するためのシート用のダイ12と、表面に凹凸形状が形成された型ローラ16と、型ローラ16に対向配置されるニップローラ18と、型ローラ16に対向配置される剥離ローラ20と、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引する吸引手段22と、冷却装置24と、徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン(片面加熱等による反り修正ゾーン))とより構成される。尚、ニップローラ18を1個で説明するが、複数であってもよい。
ダイ12のスリットサイズは、成形された溶融樹脂材料14の幅が型ローラ16の幅よりも広くなるように形成され、また、このダイ12から押し出される溶融樹脂材料14が型ローラ16とニップローラ18との間に押し出されるように配置されている。
型ローラ16の表面には、規則的な凹凸形状が形成されている。この規則的な凹凸形状は、たとえば、図2に示される成形後の樹脂材料14の反転形状とすることができる。この図2は、成形後の樹脂材料14の端面14Aを直線上に切り取った状態の斜視図である。
すなわち、樹脂材料14の裏面は平面であり、樹脂材料14の表面に矢印に平行な直線状の凹凸パターンが形成されている。この矢印は、樹脂材料14の走行方向を示す。したがって、型ローラ16の表面には、端面14Aの反転形状のエンドレス溝を形成すればよい。なお、樹脂材料14表面の凹凸パターン形状の詳細については後述する。
型ローラ16の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたもの、これらの金属材料にHCrメッキ、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、及び各種の複合材料が採用できる。
型ローラ16表面の凹凸パターン形成方法としては、凹凸パターン(ピッチ、深さ、等)や型ローラ16表面の材質にもよるが、一般的にはNC旋盤による切削加工と仕上げバフ加工との組み合わせが好ましく採用できる。また、他の公知の加工方法(研削加工、超音波加工、放電加工、等)も採用できる。
型ローラ16表面の表面粗さは、Raで0.5μm以下とするのが好ましく、0.2μm以下とするのがより好ましい。
型ローラ16は、図示しない駆動手段により、所定の周速度で図1の矢印方向に回転駆動されるようになっている。また、型ローラ16には、温度調節手段が施されている。このような温度調節手段が設けられることにより、高温状態の樹脂材料14による型ローラ16の温度上昇や急激な温度低下を抑制すべく制御できる。
このような温度調節手段としては、ローラ内部に温度調節したオイルを循環させる構成が好ましく採用できる。このオイルの供給と排出は、ローラの端部にロータリージョイントを設ける構成により実現できる。図1の樹脂シートの製造ライン10においては、この温度調節手段が採用されている。
ニップローラ18は、型ローラ16に対向配置され、型ローラ16とにより樹脂材料14とを挟圧するためのローラである。ニップローラ18の表面は鏡面状に加工されていることが好ましい。このような表面とすることにより、成形後の樹脂材料14の裏面を良好な状態にできる。そして、ニップローラ18表面の表面粗さは、Raで0.5μm以下とするのが好ましく、0.2μm以下とするのがより好ましい。ニップローラ18の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたもの、これらの金属材料にHCrメッキ、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、及び各種の複合材料が採用できる。
ニップローラ18は、図示しない駆動手段により、所定の周速度で図1の矢印方向に回転駆動されるようになっている。なお、ニップローラ18に駆動手段を設けない構成も可能であるが、樹脂材料14の裏面を良好な状態にできる点より、駆動手段を設けることが好ましい。ニップローラ18を複数設ける場合には、それぞれの駆動速度を可変とする構成が好ましく採用できる。これにより、たとえば、樹脂材料14の搬送方向の上流側のニップローラ18から下流側のニップローラ18の順に、型ローラ16の周速より徐々に増速(せいぜい数%以内の範囲で)させる運転方法が採用できる。
ニップローラ18には、図示しない加圧手段が設けられており、型ローラ16との間の樹脂材料14を所定の圧力で挟圧できるようになっている。この加圧手段は、いずれも、ニップローラ18と型ローラ16との接触点における法線方向に圧力を印加する構成のもので、モータ駆動手段、エアーシリンダ、油圧シリンダ等の公知の各種手段が採用できる。ニップローラ18には、挟圧力の反力による撓みが生じにくくなるような構成を採用することもできる。このような構成としては、ニップローラ18の背面側(型ローラ16の反対側)にバックアップローラを設ける構成、クラウン形状(中高形状とする)を採用する構成、ローラの軸方向中央部の剛性が大きくなるような強度分布を付けたローラの構成、及びこれらを組み合わせた構成等が採用できる。
ニップローラ18には、温度調節手段が施されている。ニップローラ18を複数設ける場合には、樹脂材料14の搬送方向の上流側のニップローラ18から下流側のニップローラ18の順でローラ温度を下げることができるように、個々に制御できるようになっている。このように設定することにより、樹脂材料14の表面の凹凸パターン形状を良好にできる。これは、上流側のニップローラ18の設定温度を低くし過ぎると、溶融状態にある樹脂材料14を急冷することとなり、樹脂材料14内部に歪みを発生させるので好ましくなく、下流側のニップローラ18の設定温度を高くし過ぎると、樹脂材料14が型ローラ16から剥離され、樹脂材料14の表面が自由表面状態となった後に凹凸パターン形状が崩れるので好ましくない。ニップローラ18のローラ設定温度は、樹脂材料14の材質、樹脂材料14の溶融時(たとえば、ダイ12のスリット出口)の温度、樹脂材料14の搬送速度、型ローラ16の外径、型ローラ16の凹凸パターン形状等によって最適な値を選択すべきである。
ニップローラ18のローラ温度調節手段としては、ローラ内部に温度調節したオイルを循環させる構成が好ましく採用できる。このオイルの供給と排出は、ローラの端部にロータリージョイントを設ける構成により実現できる。図1の樹脂シートの製造ライン10においては、この温度調節手段が採用されている。他の温度調節手段としては、たとえば、ローラの内部にシースヒータを埋め込む構成、ローラの近傍に誘電加熱手段を配する構成等、公知の各種手段が採用できる。
更に、図1の樹脂シートの製造ライン10において、冷却装置24が設けられており、ニップローラ18の温度調節手段を補助する構成となっている。冷却装置24はエアーノズルであり、冷却装置24のエアーノズルは、ニップローラ18と剥離ローラ20との間に配置され、搬送中の樹脂材料14の裏面(転写される面の反対面)にエアーが吹き付けられる。このようにして、直接樹脂材料14の温度を制御できるようになっている。
冷却装置24のエアー温度及びエアー供給量(吹き付け流量)は、樹脂材料14の材質、樹脂材料14の溶融時(たとえば、ダイ12のスリット出口)の温度、樹脂材料14の搬送速度、型ローラ16の外径、型ローラ16の凹凸パターン形状、ニップローラ18の設定温度等によって最適な値を選択すべきである。
剥離ローラ20は、型ローラ16に対向配置され、樹脂材料14を巻き掛けることにより樹脂材料14を型ローラ16から剥離するためのローラで、型ローラ16を挟んでニップローラ18の180度下流側に配置される。
剥離ローラ20の表面は鏡面状に加工されていることが好ましい。このような表面とすることにより、成形後の樹脂材料14の裏面を良好な状態にできる。そして、剥離ローラ20表面の表面粗さは、Raで0.5μm以下とするのが好ましく、0.2μm以下とするのがより好ましい。
剥離ローラ20の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたもの、これらの金属材料にHCrメッキ、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、及び各種の複合材料が採用できる。
剥離ローラ20は、図示しない駆動手段により、所定の周速度で図1の矢印方向に回転駆動されるようになっている。なお、剥離ローラ20に駆動手段を設けない構成も可能であるが、樹脂材料14の裏面を良好な状態にできる点より、駆動手段を設けることが好ましい。剥離ローラ20には、温度調整手段が設けられている。そして、適正な設定温度にすることにより、樹脂材料14の表面の凹凸パターン形状を良好にできる。
型ローラ16、ニップローラ18、剥離ローラ20のそれぞれのローラ設定温度は、樹脂材料14の材質、樹脂材料14の溶融時(たとえば、ダイ12のスリット出口)の温度、樹脂材料14の搬送速度、型ローラ16の外径、型ローラ16の凹凸パターン形状等によって最適な値を選択すべきである。
吸引手段22は、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引するもので、図4の斜視図及び図5の側面図に示すように、樹脂材料14が型ローラ16より剥離されて剥離ローラ20に受け渡される剥離点P(図5参照)近傍に設けられる。尚、図4及び図5では、ローラとして型ローラ16と剥離ローラ20のみ示し、ニップローラ18は両略してある。
図4及び図5に示すように、吸引手段22は、主として、型ローラ16の表面に吸引口28が開口された略四角箱状の吸引チャンバ30と、該吸引チャンバ30と図示しない真空ポンプとを連通するエアーチューブ32とで構成される。そして、吸引手段22の吸引口28は、型ローラ16表面に形成された凹凸形状34に倣った凹凸形状に形成されている。即ち、吸引チャンバ30は、型ローラ16の幅方向に該型ローラ16と略同じ長さに形成された正面板30A及び背面板30Bと、この正面板30Aと背面板30Bとを繋ぐ一対の側板30C、30Dと、上板30Eとで構成される。また、一対の側板30C、30Dの下端縁aは型ローラ16表面の円弧と同じ円弧状に形成されると共に、正面板30Aと背面板30Bの下端縁bは、図4に示すように型ローラ16表面に形成された凹凸形状34に倣った凹凸形状に形成される。型ローラ16表面に形成される凹凸形状34は、図2及び図3に示した樹脂材料14の凹凸形状の反転形状であり、型ローラ16の周面方向には複数の溝が形成されている。
このように、吸引口28を、型ローラ16表面に形成された凹凸形状34に倣った凹凸形状に形成させることにより、型ローラ16表面に凹凸形状34が形成されていても、吸引口28を型ローラ16表面に接触しない限界まで近接させることができ、吸引したときのエアーリークを極力小さくすることができる。従って、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアー、特に型ローラ16の凹凸形状34の凹部に入り込んだエアーも効率的に吸引することができる。これにより、樹脂材料14が型ローラ16表面の凹凸形状に一層密着するようになるので、型ローラ16の凹凸形状34を樹脂材料14に一層精度良く転写することができる。尚、図4では、型ローラ16に形成された凹凸形状34と吸引チャンバ30の正面板30Aの下端縁bの凹凸形状との関係を示すために、正面板30Aの下端縁bが図5に比べて樹脂材料14から離れているが、図5のように、樹脂材料14が型ローラ16から剥離される剥離点P近傍まで延設されていることが好ましい。これにより、樹脂材料14の剥離点Pから吸引口28までの間に、大気に開放される型ローラ面部分を極力なくすことができるので、それだけ型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引し易くなる。
以上に説明した各ローラ16、18、20及び、樹脂材料14の各箇所の表面温度がモニターできるように、表面温度測定手段(図示略)を設けることが好ましい。このような表面温度測定手段としては、赤外線温度計、放射式温度計等の公知の各種測定手段が採用できる。
このような表面温度測定手段による測定箇所としては、たとえば、ダイ12とニップローラ18との間の樹脂材料14の幅方向の複数点、剥離ローラ20の直後の樹脂材料14の幅方向の複数点、型ローラ16に巻き掛けられている樹脂材料14の幅方向の複数点の表面(ローラの反対面側)、等が考えられる。
また、このような表面温度測定手段のモニター結果を各ローラ16、18、20の温度調節手段やダイ12等にフィードバックして各ローラ16、18、20等の温度制御に反映させることもできる。なお、表面温度測定手段を設けずに、フィードフォワード制御により運転することも可能である。
図1の樹脂シートの製造ライン10又はその下流に、樹脂材料14の張力を検出するテンション検出手段を設けたり、樹脂材料14の板厚を検出する板厚検出手段(厚さセンサ)を設けたりすることも、好ましく採用できる。また、このような検出手段による検出結果を設定値と比較し、後述するドロー制御にフィードバックすることもできる。
徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)は、剥離ローラ20の下流における樹脂材料14の急激な温度変化を防止するために設けられたものである。
例えば、型ローラ16、ニップローラ18、剥離ローラ20のような構成で、樹脂がローラに巻き付く状態で成形された場合に、樹脂シート内部に発生する圧縮・引張応力の内部残留応力を、部分又は全体の表面加熱によって解放(アニーリング)し、反りを修正する。
樹脂材料14に急激な温度変化を生じた場合、たとえば、樹脂材料14の表面近傍が弾性状態になっているのに、樹脂材料14の内部が塑性状態であり、この部分の硬化による収縮で樹脂材料14の表面形状が悪化する。また、樹脂材料14の表裏面に温度差を生じ、樹脂材料14に反りを生じる不具合もある。
徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)としては、水平方向のトンネル形状とし、トンネル内部に温度調節手段を設け、樹脂材料14の冷却温度プロファイルを制御できる構成が採用できる。温度調節手段としては、複数のノズルより温度制御されたエアー(温風又は冷風)を樹脂材料14に向けて噴出させる構成、加熱手段(ニクロム線ヒータ、赤外線ヒータ、誘電加熱手段等)により、樹脂材料14の表裏面をそれぞれ加熱する構成等、公知の各種手段が採用できる。
徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)の下流には、図示しない洗浄装置(洗浄ゾーン)、欠陥検査装置(検査ゾーン)、ラミネート装置、サイドカッター、クロスカッター、集積部が順に設けられる。このうち、ラミネート装置は、樹脂材料14の表裏面に保護フィルム(ポリエチレン等のフィルム)を貼り付ける装置であり、サイドカッターは、樹脂材料14の幅方向両端部分(捨て部分)を切除する装置であり、クロスカッターは、樹脂材料14を所定長さに切り揃える装置である。上記装置のうち、用途に応じて、いくつかを省略することもできる。
次に、図1に示される樹脂シートの製造ライン10による樹脂シートの製造方法について説明する。
本発明に適用される樹脂材料14としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、たとえば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、MS樹脂、AS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
ダイ12より押し出したシート状の樹脂材料14を、型ローラ16と型ローラ16に対向配置されるニップローラ18とで挟圧すると共に、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引手段22で吸引しながら、型ローラ16表面の凹凸形状を樹脂材料14に転写する。これにより、型ローラ16と樹脂材料14との間に入り込んだエアーが除去されて、樹脂材料14が型ローラ16表面の凹凸形状に密着するので、型ローラ16の凹凸形状を樹脂材料14に精度良く転写することができる。
次に、転写後の樹脂材料14を型ローラ16に対向配置される剥離ローラ20に巻き掛けることにより型ローラ16から剥離する。型ローラ16から樹脂材料14を剥離する剥離点Pでの樹脂材料14の剥離温度は、該樹脂材料14の軟化点(Ta)以下であることが好ましい。この場合、本発明のように、吸引手段22による吸引により剥離点P近傍が減圧されると、剥離点P近傍の温度が下がって樹脂材料14が冷却される。従って、吸引による樹脂材料14の冷却も含めて各ローラ16、18、20の設定温度を決定することが好ましい。このためには、図1に示すように、ダイ12から押し出された樹脂材料14に型ローラ16の凹凸形状が転写されて剥離されるまでの転写ラインを、温湿度の空調が可能な空調室36内に収納するとよい。
次に、型ローラ16から剥離した樹脂材料14を、水平方向に搬送し、徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)を通過することにより徐冷し、歪みが除去された状態で、下流の製品取り部において所定長さに切断し、樹脂シートの製品として収容する。これにより、成形時の幅方向の厚さ分布が大きい樹脂シートであっても、所望の断面形状を得ることができる。
この樹脂シートの製造において、ダイ12よりの樹脂材料14の押し出し速度は、0.1〜50m/分、好ましくは0.3〜30m/分の値が採用できる。したがって、型ローラ16の周速も略これに一致させる。
一方、ニップローラ18を複数設ける場合の駆動は、上流側のニップローラ18から下流側のニップローラ18の順に、型ローラ16の周速より徐々に増速させる、いわゆるドロー制御の運転方法とすることが好ましい。上流側のニップローラ18と下流側のニップローラ18との間のドロー値は、0〜3%とするのが好ましく、0〜1%とするのがより好ましい。
なお、各ローラ16、18、20の速度ムラは、設定値に対して1%以内になるように制御することが好ましい。
ニップローラ18の型ローラ16への押し付け圧は、線圧換算(各ニップローラの弾性変形による面接触を線接触と仮定して換算した値)で、0〜200kN/m(0〜200kgf/cm)とするのが好ましく、0〜100kN/m(0〜100kgf/cm)とするのがより好ましい。
ニップローラ18を複数設ける場合の温度制御は、上流側のニップローラ18から下流側のニップローラ18の順でローラ温度を下げることができるように、個々のローラ毎に設定することが好ましい。そして、型ローラ16から樹脂材料14を剥離する時点での樹脂材料の剥離温度は、上記したように樹脂の軟化点(Ta)以下の温度になっていることが好ましい。例えば、樹脂材料14としてポリメチルメタクリレートを使用した場合の剥離時点での樹脂材料14の温度は50〜110°Cが好適である。
次に、樹脂材料14表面の凹凸パターン形状の詳細について説明する。図2は、既述したように、成形後の樹脂材料14の端面14Aを直線上に切り取った状態の斜視図である。樹脂材料14の裏面は平面である。
樹脂材料14の表面の凹凸パターン形状は、樹脂材料14の搬送方向(図の矢印方向)の直線状の凹凸パターンであり、樹脂材料14の幅方向に厚み分布が形成される。この凹凸パターンは、樹脂材料14の最厚肉部14Bに形成されるV溝50と、このV溝50の両縁より樹脂材料14の最薄肉部14Cに向かって直線状に板厚が減少していくテーパ部52、52が繰り返される形状である。すなわち、V溝50の中心線に対して線対象となる、V溝50及び両側のテーパ部52、52を1単位(1ピッチ)とした連続形状である。
図2において、樹脂材料14の最薄肉部14Cの厚さは、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。樹脂材料14の最厚肉部14Bと最薄肉部14Cとの厚さの差は、1mm以上であることが好ましく、2.5mm以上であることがより好ましい。このような寸法とすることにより、各種表示装置の背面に配される導光板や各種光学素子に好適に使用できる。
成形後の樹脂材料14を導光板に使用する場合には、V溝50の内部に円柱状の冷陰極管が配され、この冷陰極管より照射される光線が、V溝50の表面より樹脂材料14の内部に入射し、テーパ部52、52で反射し、樹脂材料14の裏面より面状に照射されることとなる。
このように成形後の樹脂材料14を導光板に使用する場合には、V溝50の幅pを2mm以上にすることが好ましく、V溝50の頂角θ1を40〜80度にするのが好ましい。また、V溝50の深さΔtは1mm以上にすることが好ましく、2.5mm以上にするのがより好ましい。テーパ部52、52の傾斜角度θ2は3〜20度にするのが好ましい。また、テーパ部52、52の幅p2は5mm以上にすることが好ましく、10mm以上にするのがより好ましい。
次に、樹脂材料14表面の他の凹凸パターン形状について説明する。図3は、成形後の樹脂材料14の端面14Aを直線上に切り取った状態の斜視図である。樹脂材料14の裏面は平面である。
樹脂材料14の表面の凹凸パターン形状は、樹脂材料14の搬送方向(図の矢印方向)の直線状の凹凸パターンである。この断面が鋸刃状パターンは、樹脂材料14の最厚肉部14Bと最薄肉部14Cとを繋ぐ鉛直壁54と、この鉛直壁54の上縁(最厚肉部14B)より樹脂材料14の最薄肉部14Cに向かって直線状に板厚が減少していくテーパ部56が繰り返される形状である。
図3において、樹脂材料14の最薄肉部14Cの厚さは、5mm以下であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。樹脂材料14の最厚肉部14Bと最薄肉部14Cとの厚さの差は、1mm以上であることが好ましく、2.5mm以上であることがより好ましい。このような寸法とすることにより、各種表示装置の背面に配される導光板や各種光学素子に好適に使用できる。
成形後の樹脂材料14を導光板に使用する場合には、鉛直壁54の側面に円柱状の冷陰極管が配され、この冷陰極管より照射される光線が、鉛直壁54の表面(側面)より樹脂材料14の内部に入射し、テーパ部56で反射し、樹脂材料14の裏面より面状に照射されることとなる。
このように成形後の樹脂材料14を導光板に使用する場合には、テーパ部56傾斜角度θ3を3〜20度とするのが好ましい。
なお、成形後の樹脂材料14を導光板に使用する場合、これら以外の形状を採用することもできる。たとえば、図2の樹脂材料14のV溝50の断面形状はV字状となっているが、これ以外の形状、たとえば、矩形状、台形状、円弧状、放物線状等の断面形状も、光学的特性、成形性等を満足できれば採用できる。
また、型ローラ16表面の凹凸形状も、図2又は図3の樹脂材料14表面の反転形状である必要はなく、樹脂材料14の収縮代等を考慮して、樹脂材料14の製品形状が図2又は図3の形状となるように、この形状よりオフセットした形状とすることもできる。
次に、本発明に係る樹脂シートの製造装置の第2実施形態について詳説する。
図6は、本発明に係る樹脂シートの製造装置を示す構成図である。なお、図1に示される第1実施形態と同一、類似の部材については、同様の符号を附し、その説明を省略する。
第2実施形態の樹脂シートの製造装置60は、押出し機(図示略)によって溶融された樹脂材料14をシート状に賦形するためのシート用のダイ12と、表面に凹凸形状が形成された型ローラ16と、型ローラ16に対向配置される複数のニップローラ(第1ニップローラ18、第2ニップローラ62)と、吸引手段22と、冷却装置24と、徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)とより構成されており、第1実施形態の剥離ローラ20は設けない場合である。
次に、第2実施形態の樹脂シートの製造装置60を使用した樹脂シートの製造方法を説明する。
ダイ12より押し出したシート状の樹脂材料14を、型ローラ16と型ローラ16に対向配置される2個のニップローラ(第1ニップローラ18、第2ニップローラ62)とで挟圧すると共に、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引手段22で吸引しながら、型ローラ16表面の凹凸形状を樹脂材料14に転写する。これにより、型ローラ16と樹脂材料14との間に入り込んだエアーが除去されて、樹脂材料14が型ローラ16表面の凹凸形状に密着するので、型ローラ16の凹凸形状を樹脂材料14に精度良く転写することができる。
次に、転写後の樹脂材料14を型ローラ16とニップローラ62との接線方向に引き出すことにより該型ローラ16より剥離する。このように、樹脂材料14を型ローラ16から剥離する際に、従来のように剥離ローラに巻き掛けないので、型ローラ16から樹脂材料14に転写された凹凸形状が剥離時に変形することがない。
次に、型ローラ16から剥離した樹脂材料14を、接線方向に引き出したままの方向、即ち図6の斜め右上方向に搬送しながら徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)で徐冷し、歪みが除去された状態で、下流の製品取り部において所定長さに切断し、樹脂シートの製品として収容する。
このように、第2実施形態の樹脂シートの製造装置60では、吸引手段22により型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを除去して、型ローラ16の凹凸形状を樹脂材料14に精度良く転写した後は、樹脂材料14を型ローラ16とニップローラ62の接線方向に引き出すことで、転写された凹凸形状を変形させることなく剥離することができる。従って、成形時の幅方向の厚さ分布が大きい樹脂シートであっても、所望の断面形状を一層精度良く得ることができる。
この樹脂シートの製造において、ダイ12よりの樹脂材料14の押し出し速度は、0.1〜50m/分、好ましくは0.3〜30m/分の値が採用できる。したがって、型ローラ16の周速も略これに一致させる。
ニップローラ(第1ニップローラ18、第2ニップローラ62)の型ローラ16への押し付け圧は、線圧換算(各ニップローラの弾性変形による面接触を線接触と仮定して換算した値)で、0〜200kN/m(0〜200kgf/cm)とするのが好ましく、0〜100kN/m(0〜100kgf/cm)とするのがより好ましい。
次に、本発明に係る樹脂シートの製造装置の第3実施形態について詳説する。
図7は、本発明に係る樹脂シートの製造装置70を示す構成図である。なお、図1及び図6に示される第1及び第2実施形態と同一、類似の部材については、同様の符号を附し、その説明を省略する。
第3実施形態の樹脂シートの製造装置70は、第2実施形態のニップローラ(第1ニップローラ18、第2ニップローラ62)に代えてニップベルト78と複数のプレスローラ72、74、76を使用し、ダイ12から押し出された樹脂材料14を型ローラ16とニップベルト78とで挟圧すると共に、吸引手段22で型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引するように構成したものである。
樹脂シートの製造装置70において、第1プレスローラ72及び第2プレスローラ74は、第2実施形態の樹脂シートの製造装置60の第1ニップローラ18、第2ニップローラ62に対応する位置にそれぞれ配されており、それぞれ略同様の機能を果している。そして、第1プレスローラ72及び第2プレスローラ74との間に無端状のニップベルト78が巻き掛けられると共に、第3プレスローラ76が両ローラ72、74の間に、ニップベルト78を介して型ローラ16に対向配置される。このように、エンドレスベルトであるニップベルト78と型ローラ16とで樹脂材料14を挟圧するので、挟圧する距離を大きくでき、所望の断面形状を容易に得ることができる構成となっている。
ニップベルト78の表面は鏡面状に加工されていることが好ましい。このような表面とすることにより、成形後の樹脂材料14の裏面を良好な状態にできる。そして、ニップベルト78の表面の表面粗さは、Raで0.5μm以下とするのが好ましく、0.2μm以下とするのがより好ましい。
ニップベルト78の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、これらの金属材料の表面にゴムライニングしたもの、これらの金属材料にHCrメッキ、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、及び各種の複合材料が採用できる。
プレスローラ72、74、76は、既述したように、第1及び第2実施形態の各ニップローラと同様の機能を発揮させることより、駆動手段が設けられる構成、加圧手段が設けられる構成、温度調節手段が設けられる構成、圧力の反力による撓みが生じにくくなるような構成、等の各種構成は第1実施形態の各ニップローラと同様にすればよい。
ただし、プレスローラ72、74、76が直接成形後の樹脂材料14に接触する訳ではないので、プレスローラ72、74、76の表面仕上げ状態は、第1実施形態の各ニップローラより劣った状態でもよい。
また、ニップベルト78が等速度で移動することより、いわゆるドロー制御の運転方法に対応する構成は不要である。なお、ニップベルト78が等速度で移動できれば、全てのプレスローラ72、74、76に駆動手段が設けられなくともよい。
第1及び第2プレスローラ72、74には、ニップベルト78の等速度の搬送を可能にする機能(駆動手段)と、ニップベルト78に所定の張力(テンション)を与え、ニップベルト78と各プレスローラ72、74、78とのスリップを防止させる機能(テンション調整手段)が求められる。このテンション調整手段は、第1及び第2実施形態の各ニップローラに設けられる加圧手段と同様の構成とすればよい。
図7の樹脂シートの製造装置70において、第1実施形態と同様に冷却装置24が設けられており、ニップベルト78の温度調整機能を発揮している。この冷却装置24の構成は、第1実施形態の冷却装置と同様にすればよい。尚、図7では冷却装置24を1個しか図示しなかったが、複数個設けてもよい。このように、ニップベルト78自体をを冷却することにより、樹脂材料14の裏面(型ローラに接する面の反対面)から樹脂材料14を長い距離冷却することができる。
次に、第3実施形態の樹脂シートの製造装置70を使用した樹脂シートの製造方法を説明する。
ダイ12より押し出したシート状の樹脂材料14を、型ローラ16と型ローラ16に対向配置されるニップベルト78とで挟圧すると共に、型ローラ16と樹脂材料14との間のエアーを吸引手段22で吸引しながら、型ローラ16表面の凹凸形状を樹脂材料14に転写する。これにより、型ローラ16と樹脂材料14との間に入り込んだエアーが除去されて、樹脂材料14が型ローラ16表面の凹凸形状に密着するので、型ローラ16の凹凸形状を樹脂材料14に精度良く転写することができる。
次に、転写後の樹脂材料14を該型ローラと複数のプレスローラ72、74、76のうちの最下流位置のプレスローラ74との接線方向に引き出すことにより型ローラ16より剥離する。
次に、型ローラ16から剥離した樹脂材料14を、接線方向に引き出したままの方向、即ち図7の斜め右上方向に搬送しながら徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)で徐冷する。徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)を通過することにより樹脂材料14を徐冷し、歪みが除去された状態で、下流の製品取り部において所定長さに切断し、樹脂シートの製品として収容する。
このように、第3実施形態の樹脂シートの製造装置70では、吸引手段22により型ローラ16と樹脂材料14との間に入り込んだエアーを除去して、型ローラ16の凹凸形状を樹脂材料14に精度良く転写した後は、樹脂材料14を型ローラ16とプレスローラ74の接線方向に引き出すことで、転写された凹凸形状を変形させることなく剥離することができる。また、ニップベルト78を採用することで、樹脂材料14を挟圧する距離を大きくできる。従って、成形時の幅方向の厚さ分布が大きい樹脂シートであっても、所望の断面形状を一層精度良く得ることができる。
この樹脂シートの製造において、ダイ12よりの樹脂材料14の押し出し速度は、0.1〜50m/分、好ましくは0.3〜30m/分の値が採用できる。したがって、型ローラ16及びニップベルト78の周速も略これに一致させる。
各プレスローラ(第1プレスローラ72、第2プレスローラ74、第3プレスローラ76)の型ローラ16への押し付け圧は、線圧換算(各ニップローラの弾性変形による面接触を線接触と仮定して換算した値)で、0〜200kN/m(0〜200kgf/cm)とするのが好ましく、0〜100kN/m(0〜100kgf/cm)とするのがより好ましい。また、テンション調整手段(ガイドローラ42又は44)によるニップベルト78の張力は、0.1〜100kN/m(0.1〜100kgf/cm)とするのが好ましい。
以上、本発明に係る樹脂シートの製造方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、ニップローラ又はプレスローラの本数及び配置は、同様の機能が得られるのであれば、本実施形態以外の各種の態様が採り得る。また、温度調節手段や、冷却装置(24等)、徐冷ゾーン26(又はアニーリングゾーン)等についても、同様の機能が得られるのであれば、本実施形態以外の各種の態様が採り得る。また、第3実施形態で転写後の樹脂材料14を型ローラ16と第2プレスローラ74との接線方向に引き出すようにしたが、第2プレスローラ74に巻き掛けて剥離するようにしてもよい。
10、60、70…樹脂シートの製造ライン、12…ダイ、14…樹脂材料、16…型ローラ、18、62…ニップローラ、20…剥離ローラ、22…吸引手段、24…冷却装置、26…徐冷ゾーン(又はアニーリングゾーン)、28…吸引口、30…吸引チャンバ、30A…吸引チャンバの正面板、30A…吸引チャンバの背面板、30C,30D…吸引チャンバの側板、30E…吸引チャンバの上板、32…エアーチューブ、36…空調室、72、74、76…プレスローラ
Claims (9)
- ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと該型ローラに対向配置される少なくとも1つのニップローラとで挟圧すると共に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、
前記転写後の樹脂材料を該型ローラから剥離することを特徴とする樹脂シートの製造方法。 - ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと、該型ローラと該型ローラに対向配置される複数のプレスローラとの間に供給されたベルト状部材とで挟圧すると共に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、
前記転写後の樹脂材料を該型ローラから剥離することを特徴とする樹脂シートの製造方法。 - 前記樹脂材料に転写される凹凸形状により、該樹脂材料の幅方向における最厚肉部と最薄肉部との厚さの差が1mm以上となることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂シートの製造方法。
- 前記樹脂材料の最薄肉部の厚さが5mm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
- ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと該型ローラに対向配置される少なくとも1つのニップローラとで挟圧して該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、転写後の樹脂材料を型ローラより剥離する樹脂シートの製造装置であって、
前記樹脂材料が前記型ローラより剥離される剥離点近傍に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引する吸引手段を設けたことを特徴とする樹脂シートの製造装置。 - ダイより押し出したシート状の樹脂材料を、型ローラと、該型ローラと該型ローラに対向配置される複数のプレスローラとの間に供給されたベルト状部材とで挟圧すると共に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引しながら、該型ローラ表面の凹凸形状を前記樹脂材料に転写し、転写後の樹脂材料を型ローラより剥離する樹脂シートの製造装置であって、
前記樹脂材料が前記型ローラより剥離される剥離点近傍に、前記型ローラと前記樹脂材料との間のエアーを吸引する吸引手段を設けたことを特徴とする樹脂シートの製造装置。 - 前記吸引手段の吸引口は、前記型ローラ表面に形成された凹凸形状に倣った凹凸形状に形成されていることを特徴とする請求項5又は6の樹脂シートの製造装置。
- 前記転写後の樹脂材料を剥離ローラに巻き掛けることにより前記型ローラから剥離することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
- 前記転写後の樹脂材料を該型ローラとニップローラとの接線方向に引き出すことにより該型ローラより剥離することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
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2004
- 2004-08-24 JP JP2004243390A patent/JP2006056220A/ja active Pending
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