以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の露光装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを支持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダ(基板保持装置)PHを有し、基板ホルダPHに保持された基板Pを移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面(露光面)との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板ホルダPHに保持された基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は、露光処理を含む各種プロセス処理を施される処理基板であって、半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含む。また、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILはマスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光光ELを射出する露光用光源、露光用光源から射出された露光光ELの照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体LQは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、例えばマスクMを真空吸着(又は静電吸着)により固定している。マスクステージMSTは、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTはリニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは制御装置CONTにより制御される。
マスクステージMST上には、マスクステージMSTと共に移動する移動鏡91が設けられている。また、移動鏡91に対向する位置にはレーザ干渉計92が設けられている。移動鏡91は、マスクステージMSTの位置を計測するためのレーザ干渉計92用のミラーである。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向(XY方向)の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計92によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計92の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計92の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置を制御する。
投影光学系PLはマスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光する。投影光学系PLは、基板P側の先端部に設けられた光学素子2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLは、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系、反射素子を含まない屈折系、屈折素子を含まない反射系のいずれであってもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられており、光学素子2には液浸領域AR2の液体LQが接触する。
基板ステージPSTは、基板Pを吸着保持する基板ホルダPH、及び基板ホルダPHに保持されたプレート部材Tを有し、ベースBP上で、XY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。すなわち、基板ホルダPHに保持されている基板Pは、Z軸方向、θX、θY方向(傾斜方向)、2次元方向(XY方向)、及びθZ方向に移動可能である。
基板ステージPSTは、リニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。したがって、基板ホルダPHに保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、傾斜方向における位置、XY方向における位置、及びθZ方向における位置が、基板ステージ駆動装置PSTDを介して制御装置CONTによって制御される。なお、基板ステージPSTの移動機構は、例えば特開平9−5463号や特開昭59−101835号公報に開示されている。
基板ホルダPHには、基板ホルダPHとともに投影光学系PLに対して移動する移動鏡93が設けられている。また、移動鏡93に対向する位置にはレーザ干渉計94が設けられている。移動鏡93は、基板ステージPST(基板ホルダPH)の位置を計測するためのレーザ干渉計94用のミラーである。基板ステージPSTの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角はレーザ干渉計94によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計94によって基板ステージPSTの位置が計測されることで、基板Pの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角が計測される。また、不図示ではあるが、露光装置EXは、例えば特開平8−37149号公報に開示されているような、基板ステージPSTの基板ホルダPHに保持されている基板Pの表面の位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系を備えている。フォーカス・レベリング検出系は、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出する。
レーザ干渉計94の計測結果は制御装置CONTに出力される。フォーカス・レベリング検出系の受光結果も制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動し、基板Pのフォーカス位置及び傾斜角を制御して基板Pの表面を投影光学系PLの像面に合わせ込む。また、制御装置CONTは、レーザ干渉計94の計測結果に基づいて、レーザ干渉計94で規定される2次元座標系内で基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTを駆動することで、基板PのX軸方向及びY軸方向における位置を制御する。
投影光学系PLの先端近傍には、基板P上のアライメントマークあるいは基板ステージPST上に設けられた後述する基準マークPFMを検出する基板アライメント系95が設けられている。本実施形態の基板アライメント系95では、例えば特開平4−65603号公報(対応米国特許第5,493,403号)に開示されているような、基板ステージPSTを静止させてマーク上にハロゲンランプからの白色光等の照明光を照射して、得られたマークの画像を撮像素子により所定の撮像視野内で撮像し、画像処理によってマークの位置を計測するFIA(フィールド・イメージ・アライメント)方式が採用されている。
また、マスクステージMSTの近傍には、マスクMと投影光学系PLとを介して基板ホルダPH上に設けられた後述する基準マークMFMを検出するマスクアライメント系96が設けられている。本実施形態のマスクアライメント系96では、例えば特開平7−176468号公報に開示されているような、マークに対して光を照射し、CCDカメラ等で撮像したマークの画像データを画像処理してマーク位置を検出するVRA(ビジュアル・レチクル・アライメント)方式が採用されている。
液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、及び液体LQ中に含まれる異物や気泡を取り除くフィルタユニット等を備えている。液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は液体LQを基板P上に供給する。なお、タンク、加圧ポンプ、及びフィルタユニットなどの少なくとも一部を露光装置EXに設けずに、露光装置EXが設置される工場などの設備を代用してもよい。
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系、気液分離器、タンクなどのすべてを露光装置EXに設けずに、露光装置EXが配置される工場の設備を用いるようにしてもよい。液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍にはノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、ノズル部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。また、その隙間に液体LQが浸入しないように、且つその隙間から液体LQ中に気泡が混入しないように構成されている。ノズル部材70は、例えばステンレス鋼によって形成されている。
ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された供給口12を備えている。本実施形態において、ノズル部材70は2つの供給口12A、12Bを有している。供給口12A、12Bはノズル部材70の下面70Aに設けられている。
ノズル部材70の内部には、基板P上に供給される液体LQが流れる供給流路が形成されている。ノズル部材70の供給流路の一端部は供給管13の他端部に接続され、供給流路の他端部は供給口12A、12Bのそれぞれに接続されている。ここで、ノズル部材70の内部に形成された供給流路の他端部は、複数(2つ)の供給口12A、12Bのそれぞれに接続可能なように途中から分岐している。
また、ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された回収口22を備えている。本実施形態において、回収口22は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、投影光学系PLの光学素子2(投影領域AR1)及び供給口12を囲むように環状に形成されている。
また、ノズル部材70の内部には、回収口22を介して回収された液体LQが流れる回収流路が形成されている。ノズル部材70の回収流路の一端部は回収管23の他端部に接続され、回収流路の他端部は回収口22に接続されている。ここで、ノズル部材70の内部に形成された回収流路は、回収口22に応じた環状流路と、その環状流路を流れた液体LQを集合するマニホールド流路とを備えている。
本実施形態において、ノズル部材70は、液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。液体供給機構10を構成する供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの位置に設けられている。液体回収機構20を構成する回収口22は、投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の液体供給口12A、12Bの外側に設けられている。すなわち、回収口22は、投影領域AR1に対して液体供給口12A,12Bよりも離れた位置に配置されている。なお本実施形態における投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とした平面視矩形状に設定されている。
液体供給部11の動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは液体供給部11による単位時間あたりの液体供給量を制御可能である。基板P上に液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13及びノズル部材70内部に形成された供給流路を介して、基板Pの上方に設けられている供給口12A、12Bより基板P上に液体LQを供給する。液体LQは、供給口12A、12Bを介して、投影領域AR1の両側から供給される。
液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。基板Pの上方に設けられた回収口22から回収された基板P上の液体LQは、ノズル部材70内部に形成された回収流路、及び回収管23を介して液体回収部21に回収される。
なお、供給口12A、12B、及び回収口22の数、形状、配置などは、上述したものに限られず、露光光ELの光路を液体LQで満たす構造であればよい。
投影光学系PLの光学素子2の下面(液体接触面)2A、及びノズル部材70の下面(液体接触面)70Aは親液性(親水性)を有している。本実施形態においては、光学素子2は純水との親和性が高い蛍石で形成されているので、光学素子2の液体接触面2Aのほぼ全面に純水を密着させることができる。一方、液体供給機構10は、本実施形態において、液体LQとして純水を供給するので、光学素子2の液体接触面2Aと液体LQとの密着性を高めることができ、光学素子2と基板Pとの間の光路を液体LQで確実に満たすことができる。なお光学素子2は、水との親和性が高い石英であってもよい。また光学素子2の液体接触面2A及びノズル部材70の液体接触面70Aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。親液化処理としては、MgF2、Al2O3、SiO2などの親液性材料を前記液体接触面に設ける処理が挙げられる。あるいは、本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液化処理(親水化処理)として、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を設けるようにしてもよい。また、ノズル部材70を水との親和性が高い親水性のチタンで形成してもよい。
次に、図2、図3、及び図4を参照しながら、基板ステージPST(基板ホルダPH)の一実施形態について説明する。図2は基板P及び後述のプレート部材Tを吸着保持した基板ホルダPHの側断面図、図3は基板ホルダPHを上方から見た平面図、図4は基板ステージPSTを上方から見た平面図である。
図2において、基板ホルダPHは、基材PHBと、基材PHBに形成され、基板Pを吸着保持する第1保持部PH1と、基材PHBに形成され、第1保持部PH1に吸着保持された基板Pの近傍に、プレート部材Tを吸着保持する第2保持部PH2とを備えている。基板ホルダPHの基材PHBは移動可能である。プレート部材Tは、基材PHBとは別の部材であって、基板ホルダPHの基材PHBに対して脱着可能に設けられており、交換可能である。なお本実施形態においては、基材PHBにプレート部材Tが吸着保持された状態を基板ステージPSTと称する。
プレート部材Tは、基板ホルダPH上において、第1保持部PH1に保持された基板Pの近傍に配置され、第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paの周囲には、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tの表面Taが配置されている。プレート部材Tの表面Ta及び裏面Tbのそれぞれは平坦面(平坦部)となっている。また、プレート部材Tは基板Pとほぼ同じ厚さである。そして、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tの表面(平坦面)Taと、第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paとはほぼ面一となっている。すなわち、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tは、第1保持部PH1に保持された基板Pの周囲に、その基板Pの表面Paとほぼ面一の平坦面Taを形成する。なお、本実施形態においては、基板ステージPSTの上面は、基板Pを保持したとき、保持したプレート部材Tの平坦面Taと保持した基板Pの表面Paを含めて、ほぼ全域において平坦面(フルフラット面)になるように形成されている。
図3及び図4に示すように、基板ホルダPHの基材PHBは平面視矩形状に形成されており、その基板ホルダPHのうち基材PHBの互いに垂直な2つの側面には、基材PHB(基板ホルダPH)の位置を計測するためのレーザ干渉計94用の移動鏡93がそれぞれ形成されている。
図4に示すように、プレート部材Tの外形は基材PHBの形状に沿うように平面視矩形状に形成されており、その中央部に基板Pを配置可能な略円形状の穴部THを有している。すなわち、プレート部材Tは略環状部材であって、基板ホルダPHの第1保持部PH1に保持された基板Pを囲むように配置される。第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tの表面Taは、第1保持部PH1に保持された基板Pの周囲に配置され、その基板Pを取り囲むように形成されている。
なお図4においては、プレート部材Tの外形は基板PHBの外形とほぼ一致するように平面視矩形状に形成されているが、プレート部材Tを基材PHBよりも大きくすることもできる。この場合、矩形状のプレート部材Tの周縁部が基材PHBの外側面に対してオーバーハングしているので、基材PHBの外側面に形成されている干渉計用のミラー面への液体の付着を防止することができる。
図2及び図3に示すように、基板ホルダPHの第1保持部PH1は、基材PHB上に形成された凸状の第1支持部46と、第1支持部46の周囲を囲むように基材PHB上に形成された環状の第1周壁部42と、第1周壁部42の内側の基材PHB上に形成された第1吸引口41とを備えている。第1支持部46は第1周壁部42の内側において複数一様に形成されている。本実施形態においては、第1支持部46は複数の支持ピンを含む。第1吸引口41は基板Pを吸着保持するためのものであって、第1周壁部42の内側において基材PHBの上面のうち第1支持部46以外の複数の所定位置にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、第1吸引口41は第1周壁部42の内側において複数一様に配置されている。また、第1周壁部42は、基板Pの形状に応じて略円環状に形成されている。第1周壁部42の上面42Aは、基板Pの裏面Pbのエッジ領域に対向するように形成されている。
第1吸引口41のそれぞれは流路45を介して第1真空系40に接続されている。第1真空系40は、基材PHBと第1周壁部42と基板Pの裏面とで囲まれた第1空間31を負圧にするためのものであって、真空ポンプを含む。上述したように、第1支持部46は支持ピンをみ、本実施形態における第1保持部PH1は所謂ピンチャック機構の一部を構成している。第1周壁部42は、第1支持部46を含む第1空間31を囲む外壁部として機能しており、制御装置CONTは、第1真空系40を駆動し、基材PHBと第1周壁部42と基板Pとで囲まれた第1空間31内部のガス(空気)を吸引してこの第1空間31を負圧にすることによって、基板Pを第1支持部46に吸着保持する。
基板ホルダPHの第2保持部PH2は、第1保持部PH1の第1周壁部42を囲むように基材PHB上に形成された略円環状の第2周壁部62と、第2周壁部62の外側に設けられ、第2周壁部62を囲むように基材PHB上に形成された環状の第3周壁部63と、第2周壁部62と第3周壁部63との間の基材PHB上に形成された凸状の第2支持部66と、第2周壁部62と第3周壁部63との間の基材PHB上に形成された第2吸引口61とを備えている。第2周壁部62は第1空間31に対して第1周壁部42の外側に設けられており、第3周壁部63は第2周壁部62の更に外側に設けられている。第2支持部66は第2周壁部62と第3周壁部63との間において複数一様に形成されている。本実施形態においては、第2支持部66は複数の支持ピンを含む。また、第2吸引口61は、プレート部材Tを吸着保持するためのものであって、第2周壁部62と第3周壁部63との間において、基材PHBの上面のうち第2支持部66以外の複数の所定位置にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、第2吸引口61は第2周壁部62と第3周壁部63との間において複数一様に配置されている。また、第2周壁部62は、プレート部材Tの穴部THの形状に応じて略円環状に形成されている。第3周壁部63は、プレート部材Tの外形に応じて略矩形環状に形成されている。第2周壁部62の上面62Aは、プレート部材Tの穴部TH近傍の内側エッジ領域で、プレート部材Tの裏面Tbに対向するように形成されている。第3周壁部63の上面63Aは、プレート部材Tの外側エッジ領域で、プレート部材Tの裏面Tbに対向するように形成されている。
なお、図においては、第1周壁部42、第2周壁部62、及び第3周壁部63それぞれの上面は比較的広い幅を有しているが、実際には2mm以下、例えば、0.1mm程度の幅である。
第2吸引口61のそれぞれは、流路65を介して第2真空系60に接続されている。第2真空系60は、基材PHBと第2、第3周壁部62、63とプレート部材Tとで囲まれた第2空間32を負圧にするためのものであって、真空ポンプを含む。上述したように、第2支持部66は支持ピンをみ、本実施形態における第2保持部PH2は所謂ピンチャック機構の一部を構成している。第2、第3周壁部62、63は、第2支持部66を含む第2空間32を囲む外壁部として機能しており、制御装置CONTは、第2真空系60を駆動し、基材PHBと第2、第3周壁部62、63とプレート部材Tとで囲まれた第2空間32内部のガス(空気)を吸引してこの第2空間32を負圧にすることによって、プレート部材Tを第2支持部66に吸着保持する。
なお、本実施形態においては、基板Pの吸着保持にはピンチャック機構を採用しているが、その他のチャック機構を採用してもよい。同様にして、プレート部材Tの吸着保持にはピンチャック機構を採用しているが、その他のチャック機構を採用してもよい。
また、本実施形態においては、基板P及びプレート部材Tの吸着保持に真空吸着機構を採用しているが、少なくとも一方を静電吸着機構などの他の機構を用いて保持するようにしてもよい。
また、第1空間31を負圧にするための第1真空系40と、第2空間32を負圧にするための第2真空系60とは互いに独立している。制御装置CONTは、第1真空系40及び第2真空系60それぞれの動作を個別に制御可能であり、第1真空系40による第1空間31に対する吸引動作と、第2真空系60よる第2空間32に対する吸引動作とをそれぞれ独立して行うことができる。例えば、プレート部材Tを第2保持部PH2に保持したまま、基板Pの交換を行うことができる。また、制御装置CONTは、第1真空系40と第2真空系60とをそれぞれ制御し、第1空間31の圧力と第2空間32の圧力とを互いに異ならせることもできる。
図2及び図4に示すように、第1保持部PH1に保持された基板Pの外側のエッジ部と、その基板Pの周囲に設けられたプレート部材Tの内側(穴部TH側)のエッジ部との間には、0.1〜1.0mm程度のギャップ(隙間)Aが形成されている。本実施形態においては、ギャップAは0.3mm程度である。基板Pのエッジ部とプレート部材Tのエッジ部とのギャップAを0.1〜1.0mm程度に設定することで、すなわち、基板Pの外径よりも穴部THの内径を0.2〜2.0mm程度大きくすることで、ギャップA上に液体LQの液浸領域AR2を形成した場合においても、液体LQの表面張力によりギャップAに液体LQが流れ込むことはほとんどなく、基板Pのエッジ領域Eを露光する場合にも、プレート部材Tにより投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
また、図4に示すように、本実施形態における基板Pには、位置合わせのための切欠部であるノッチ部NTが形成されている。ノッチ部NTにおける基板Pとプレート部材Tとのギャップも0.1〜1.0mm程度に設定されるように、基板Pの外形(ノッチ部NTの形状)に応じて、プレート部材Tの形状が設定されている。すなわち、ノッチ部NTを含む基板Pのエッジ部の全域とプレート部材Tとの間に、0.1〜1.0mm程度のギャップAが確保されている。具体的には、プレート部材Tには、基板Pのノッチ部NTの形状に対応するように、穴部THの内側に向かって突出する突起部150が設けられている。また、第2保持部PH2の第2周壁部62及びその上面62Aには、プレート部材Tの突起部150の形状に応じた凸部62Nが形成されている。突起部150は、第1保持部PH1に保持された基板Pのノッチ部NTにおける表面Paとプレート部材Tの表面Taとのギャップを小さくするためのギャップ調整部としての機能を有している。なお、ここでは突起部150はプレート部材Tの一部であって一体的に形成されているが、プレート部材Tと突起部150とを別々に設け、プレート部材Tに対して突起部150を交換可能としてもよい。
また、第1保持部PH1の第1周壁部42及びその上面42Aには、第2周壁部62の凸部62N及び基板Pのノッチ部NTの形状に応じた凹部42Nが形成されている。第1周壁部42の凹部42Nは、第2周壁部62の凸部62Nと対向する位置に設けられており、凹部42Nと凸部62Nとの間には所定のギャップが形成されている。
なおここでは、基板Pの切欠部としてノッチ部NTを例にして説明したが、切欠部が無い場合や、切欠部として基板Pにオリエンテーションフラット部(オリフラ部)が形成されている場合には、プレート部材T、第1周壁部42、及び第2周壁部62のそれぞれを、基板Pの外形に応じた形状にし、基板Pとその周囲のプレート部材Tとの間において所定のギャップAを確保するようにすればよい。
なお、基板Pにノッチ部NTがない場合、あるいはノッチ部NTが十分に小さく場合には、プレート部材に突起部150を設けなくてもよい。この場合、凹部42Nと凸部62Nを設けなくてもよい。
基材PHB上に形成されている第2吸引口61は、第1保持部PH1に保持された基板Pと、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tとの間のギャップAから浸入した液体LQを回収する液体回収口としての機能を有している。上述したように、第2保持部PH2は、プレート部材Tの裏面Tb側に第2空間32が形成されるようにプレート部材Tを保持しており、第2吸引口61は、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tの裏面Tb側に形成され、ギャップAからプレート部材Tの裏面Tb側の第2空間32に浸入した液体LQを回収する機能も有している。
図5は基板P及びプレート部材Tを保持した基板ホルダPHの要部拡大断面図である。図5において、基板Pの側面Pcと、その側面Pcに対向するプレート部材Tの側面Tcとの間には、上述したように0.1〜1.0mm程度のギャップAが確保されている。また、第1周壁部42の上面42A、及び第2周壁部62の上面62Aは平坦面となっている。なお、図5には不図示であるが、第3周壁部63の上面63Aも平坦面となっている。
また、本実施形態においては、第1保持部PH1のうち、第1支持部46は、第1周壁部42と同じ高さか、第1周壁部42よりも僅かに高く形成されている。すなわち、第1保持部PH1のうち、第1支持部46の上面46AのZ軸方向に関する位置は、第1周壁部42の上面42AのZ軸方向に関する位置と同じか、あるいは第1周壁部42の上面42AのZ軸方向に関する位置よりも僅かに高い。これにより、第1空間31を負圧にしたとき、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとを密着させることができる。そして、基板Pの裏面Pbが第1支持部46の上面46Aに支持される。基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとが密着することにより、仮にギャップAから液体LQが基板Pの裏面Pb側に浸入しても、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとの間を介して、第1空間31に液体LQが浸入することを防止することができる。
第2保持部PH2のうち、第2支持部66は、第2周壁部62よりも僅かに高く形成されている。換言すれば、第2保持部PH2の第2周壁部62は、第2支持部66よりも低く形成されている。すなわち、第2保持部PH2のうち、第2支持部66の上面66AのZ軸方向に関する位置は、第2周壁部62の上面62AのZ軸方向に関する位置よりも僅かに高く、第2空間32を負圧にして、プレート部材Tを第2支持部66上に吸着保持した状態においても、プレート部材Tの裏面Tbと第2周壁部62の上面62Aとの間には所定のギャップBが形成されている。ギャップBはギャップAよりも小さく、50μm以下、例えば、数μm(例えば3μm)程度である。また、図5には不図示であるが、第3周壁部63は、第2支持部66よりも僅かに低いか、あるいは第2支持部66とほぼ同じ高さに形成されており、第2空間32を負圧にしたときに、第3周壁部63の上面63Aと基板Pの裏面Pbとは密着する。プレート部材Tの裏面Tbと第2周壁部62の上面62AとのギャップBは僅かであるので、第2空間32の負圧は維持される。
なお、プレート部材Tの裏面Tbと第2周壁部62の上面62Aとが密着するように第2支持部66の高さと第2周壁部62の高さとを決めることができる。また、プレート部材Tの裏面Tbと第3周壁部63の上面63Aとの間に非常に小さなギャップが形成されるように第2支持部66の高さと第3周壁部63の高さとを決めることもできる。
また、第1周壁部42と第2周壁部62との間にはギャップCが形成されている。ここで、環状の第1周壁部42(第1保持部PH1)の外径は基板Pの外径より小さく形成されている。したがって、基板Pの周縁部が第1周壁部42の外側に例えば0.5〜1.5mm程度オーバーハングしており、ギャップCはギャップAより大きく、例えば1.5〜2.5mm程度である。
図5において、基板Pの厚さDpと、プレート部材Tの厚さDtとはほぼ同一である。そして、第1周壁部42の上面42A、第1支持部46の上面46A、第2支持部66の上面66A、第2周壁部62の上面62A、及び第3周壁部63の上面63Aは、僅かな高さの違いはあるももの、ほぼ同じ高さとなっており、第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paと、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tの表面Taとはほぼ面一となっている。
本実施形態におけるプレート部材Tは、石英(ガラス)で形成されている。そして、図4に示すように、プレート部材Tの表面Taの所定位置には、投影光学系PLを介したマスクMのパターン像に対する基板Pの位置を規定するための基準マークMFM、PFMを備えたリファレンス部300が設けられている。これら基準マークPFM、MFMは、石英からなるプレート部材T上に、例えばクロム等の所定の材料を用いて、所定の位置関係で形成されている。基準マークPFMは基板アライメント系95により検出され、基準マークMFMはマスクアライメント系96により検出される。なお、基準マークMFMと基準マークPFMとはどちらか一方でもよい。
また、プレート部材Tの表面Taの所定位置には、フォーカス・レベリング検出系の基準面として用いられる基準板400が設けられている。そして、リファレンス部300の上面、及び基準板400の上面は、第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paとほぼ面一となっている。
石英からなるプレート部材Tの表面(平坦部)Ta、裏面Tb、及び側面Tcのそれぞれには、撥液性の材料が被覆されている。撥液性の材料は、基準マークMFM、PFMを有するリファレンス部300上及び基準板400にも被覆されており、リファレンス部300の上面及び基準板400の上面も撥液性となっている。撥液性の材料としては、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂材料、あるいはアクリル系樹脂材料等が挙げられる。そしてこれら撥液性の材料を石英からなるプレート部材Tに塗布(被覆)することによって、プレート部材Tの表面Ta、裏面Tb、及び側面Tcのそれぞれが液体LQに対して撥液性となっている。本実施形態においては、石英からなるプレート部材Tには、旭硝子社製「サイトップ」が被覆されている。なお、プレート部材Tを撥液性にするために、上記撥液性の材料からなる薄膜をプレート部材Tに貼付するようにしてもよい。また、撥液性にするための撥液性の材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。また、プレート部材T自体を撥液性の材料(フッ素系の材料など)で形成してもよい。あるいはプレート部材Tをステンレス鋼などで形成して、表面Ta、裏面Tb、及び側面Tcの少なくとも一部に撥液処理を施しても良い。
なお、プレート部材Tの所定位置に開口を設け、その開口から光学センサの上面を露出させるようにしてもよい。そのような光学センサとしては、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ、特開2002−14005号公報(対応米国特許公開2002/0041377号)に開示されているような空間像計測センサ、及び特開平11−16816号公報(対応米国特許公開2002/0061469号)に開示されているような照射量センサ(照度センサ)等が挙げられる。これら光学センサを設ける場合には、光学センサの上面も、プレート部材Tの表面Ta及び基板Pの表面Paとほぼ面一にする。また、これら光学センサの上面も、撥液性の材料を被覆して撥液性にする。
基板Pの露光面である表面Paにはフォトレジスト(感光材)が塗布されている。本実施形態において、感光材はArFエキシマレーザ用の感光材であって撥液性(撥水性、接触角80°〜85°)を有している。また、本実施形態において、基板Pの側面Pcは撥液化処理(撥水化処理)されている。具体的には、基板Pの側面Pcにも、撥液性を有する上記感光材が塗布されている。これにより、表面Taが撥液性のプレート部材Tと基板Pの側面PcとのギャップAからの液体LQの浸入を更に確実に防止することができる。更に、基板Pの裏面Pbにも上記感光材が塗布されて撥液化処理されている。なお、基板Pの裏面Pbや側面Pcを撥液性にするための材料としては、上記感光材に限らず、所定の撥液性材料であってもよい。例えば、基板Pの露光面である表面Paに塗布された感光材の上層にトップコート層と呼ばれる保護層(液体から感光材を保護する膜)を塗布する場合があるが、このトップコート層の形成材料(例えばフッ素系樹脂材料)が撥液性(撥水性)を有している場合には、基板Pの側面Pcや裏面Pbにこのトップコート層形成材料を塗布するようにしてもよい。もちろん、感光材やトップコート層形成用材料以外の撥液性を有する材料を塗布するようにしてもよい。
なお、基板Pの表面Paは必ずしも撥液性である必要はなく、液体LQとの接触角が60〜80°程度のレジストを用いることもできる。また、基板Pの側面Pc及び裏面Pbも撥液化処理は必須ではない。すなわち、基板Pの表面Pa、裏面Pb、側面Pcは撥液性でなくてもよいし、必要に応じて、それらのうちの少なくとも一つを撥液性にしてもよい。
また、基板ホルダPHの基材PHBの少なくとも一部の表面も撥液化処理されて撥液性となっている。本実施形態において、基板ホルダPHの基材PHBうち、第1保持部PH1の第1周壁部42の上面42A、第1支持部46の上面46A、及び側面(第2周壁部62と対向する面)42Bが撥液性を有している。また、第2保持部PH2の第2周壁部62の上面62A、第2支持部66の上面66A、及び側面(第1周壁部42と対向する面)62Bが撥液性を有している。基板ホルダPHの撥液化処理としては、上述したようなフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する処理が挙げられる。なお、基板ホルダPHの第1周壁部42及び第2周壁部62を含む基材PHB全体を撥液性を有する材料(フッ素系樹脂など)で形成してもよい。また、基板ホルダPHやプレート部材Tを撥液性にするために、上記感光材やトップコート層形成材料を塗布するようにしてもよい。なお、基板Pの裏面Pbや側面Pcに対して、基板ホルダPHの撥液化処理に用いた材料(フッ素系樹脂材料やアクリル系樹脂材料等)を塗布するようにしてもよい。また、加工上、あるいは精度上、基材PHBの表面の撥液化が困難な場合には、基材PHBのいずれの表面領域も撥液性でなくてもよい。
また、基材PHBには、基材PHBに対して基板Pを昇降する第1昇降部材56を配置するための穴部56Hが設けられている。穴部56Hは、第1周壁部42の内側(すなわち第1空間31の内側)の3箇所に設けられている(図3参照)。制御装置CONTは、不図示の駆動装置を介して第1昇降部材56の昇降動作を制御する。
また、基材PHBには、基材PHBに対してプレート部材Tを昇降する第2昇降部材57を配置するための穴部57Hが設けられている。本実施形態において、穴部57Hは、第2周壁部62と第3周壁部63との間(すなわち第2空間32の内側)の4箇所に設けられている(図3参照)。制御装置CONTは、不図示の駆動装置を介して第2昇降部材57の昇降動作を制御する。
図6に示すように、第1昇降部材56は、基板Pの裏面Pbを保持した状態で上昇可能である。第1昇降部材56が基板Pの裏面Pbを保持して上昇することにより、基板Pと第1保持部PH1とを離すことができる。同様に、第2昇降部材57は、プレート部材Tの裏面Tbを保持した状態で上昇可能である。上述したように、プレート部材Tは、基材PHBとは別の部材であって、基板ホルダPHの基材PHBに対して脱着可能に設けられているため、第2昇降部材57がプレート部材Tの裏面Tbを保持して上昇することにより、プレート部材Tと第2保持部材PH2とを離すことができる。
プレート部材Tを交換する際には、制御装置CONTは、プレート部材Tに対する第2保持部PH2による吸着保持を解除した後、第2昇降部材57を上昇する。第2昇降部材57は、プレート部材Tの裏面Tbを保持した状態で上昇する。そして、第2昇降部材57によって上昇したプレート部材Tと基板ホルダPHの基材PHBとの間に、不図示の搬送アームが進入し、プレート部材Tの裏面Tbを支持する。そして、搬送アームは、プレート部材Tを基板ホルダPHの基材PHB(第2保持部PH2)から搬出する。
一方、新たなプレート部材Tを基板ホルダPHの基材PHB上に取り付ける場合には、制御装置CONTは、新たなプレート部材Tを搬送アームを使って基板ホルダPHの基材PHB上に搬入する。このとき、第2昇降部材57は上昇しており、搬送アームはプレート部材Tを上昇している第2昇降部材57に渡す。第2昇降部材57は搬送アームより渡されたプレート部材Tを保持して下降する。第2昇降部材57を下降し、プレート部材Tが第2保持部PH2上に設置された後、制御装置CONTは、第2真空系60を駆動し、第2空間32を負圧にする。これにより、プレート部材Tは第2保持部PH2に吸着保持される。
なお、基材PHBに対するプレート部材Tの位置合わせは、基材PHBとプレート部材Tの少なくとも一方にメカ的な基準を設けて、そのメカ基準を使用するようにしてもよいし、専用のアライメントセンサを設け、そのセンサを使用するようにしてもよい。例えば基材PHBとプレート部材Tのそれぞれにマークを設けておき、各マークを光学的に検出して、その検出結果に基づいて基材PHBとプレート部材Tとの相対位置を調整することによって、基材PHBの所定位置にプレート部材Tを吸着保持することができる。
また、露光処理済みの基板Pを搬出する際には、制御装置CONTは、基板Pに対する第1保持部PH1による吸着保持を解除した後、第1昇降部材56を上昇する。第1昇降部材56は、基板Pの裏面Pbを保持した状態で上昇する。そして、第1昇降部材56によって上昇した基板Pとと基板ホルダPHの基材PHBとの間に、不図示の搬送アームが進入し、基板Pの裏面Pbを保持する。そして、搬送アームは、基板Pを基板ホルダPHの基材PHB(第1保持部PH1)から搬出(アンロード)する。
一方、露光処理されるべき新たな基板Pを基板ホルダPHの基材PHB上に搬入する場合には、制御装置CONTは、新たな基板Pを搬送アームを使って基板ホルダPHの基材PHB上に搬入(ロード)する。このとき、第1昇降部材56は上昇しており、搬送アームは基板Pを上昇している第1昇降部材56に渡す。第1昇降部材56は搬送アームより渡された基板Pを保持して下降する。第1昇降部材56を下降し、基板Pが第1保持部PH1上に設置された後、制御装置CONTは、第1真空系40を駆動し、第1空間31を負圧にする。これにより、基板Pは第1保持部PH1に吸着保持される。
そして、上述したように、制御装置CONTは、第1真空系40の吸着動作と第2真空系60の吸着動作とを独立して行うことができるので、基板Pの搬入及び搬出に伴う第1保持部PH1の吸着保持及び吸着保持解除動作と、プレート部材Tの搬入及び搬出に伴う第2保持部PH2の吸着保持及び吸着保持解除動作とを、独立して、別々のタイミングで行うことができる。
本実施形態においては、プレート部材Tを基材PHBに対して脱着するために、第2昇降部材57を設けたので、プレート部材Tの交換作業(搬出作業)を円滑に行うことができる。
なお、本実施形態においては、プレート部材Tは第2昇降機構57を使って自動交換できる構成になっているが、第2昇降機構57は省くこともできる。この場合は、プレート部材Tの吸着を解除した状態でオペレータなどによってプレート部材Tの交換が実施される。
次に、上述した露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について図7のフローチャート図を参照しながら説明する。
前提として、上述したような基板ステージPST上の光学センサを使って、基板Pの露光前に、液体LQを介した投影光学系PLの結像特性が計測され、その計測結果に基づいて、投影光学系PLの結像特性調整(キャリブレーション)処理が行われる。また、基板アライメント系95及びマスクアライメント系96等を使って、基板アライメント系95の検出基準位置とパターン像の投影位置との位置関係(ベースライン量)が計測される。
ここで、本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影露光するものであって、走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。図4に示すように、基板P上には複数のショット領域S1〜S24がマトリクス状に設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が加速開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域S1〜S24に対する走査露光処理が順次行われる。
プレート部材Tを第2保持部PH2に吸着保持した基板ホルダPHに基板Pがロードされると、制御装置CONTは、基板P上に形成されている複数のアライメントマークAMを、基板アライメント系95を使って、液体を介さずに順次検出する(ステップSA1)。基板アライメント系95がアライメントマークAMを検出しているときの基板ステージPST(基板ホルダPH)の位置はレーザ干渉計94によって計測される。これにより、レーザ干渉計94によって規定される座標系内での各アライメントマークAMの位置情報が計測される。基板アライメント系95及びレーザ干渉計94を使って検出されたアライメントマークAMの位置情報の検出結果は、制御装置CONTに出力される。また、基板アライメント系95は、レーザ干渉計94によって規定される座標系内に検出基準位置を有しており、アライメントマークAMの位置情報は、その検出基準位置との偏差として検出される。
次に、制御装置CONTは、アライメントマークAMの位置情報の検出結果に基づいて、基板P上の複数のショット領域S1〜S24それぞれの位置情報を演算処理(EGA処理)によって求める(ステップSA2)。本実施形態では、例えば特開昭61−44429号公報に開示されているような、所謂EGA(エンハンスド・グローバル・アライメント)方式によりショット領域S1〜S24の位置情報が求められる。
以上のような処理が終了すると、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動し、投影光学系PLの像面側に形成されている液浸領域AR2を基板P上に移動する。これにより、投影光学系PLと基板Pとの間に液浸領域AR2が形成される。そして、基板P上に液浸領域AR2を形成した後、基板Pの複数のショット領域のそれぞれが順次パターン像を投影されて液浸露光される(ステップSA3)。より具体的には、ステップSA2で求めた各ショット領域S1〜S24の位置情報、及び制御装置CONTが記憶している基板アライメント系95の検出基準位置とパターン像の投影位置との位置関係(ベースライン量)に基づいて、基板ステージPSTを移動し、基板P上の各ショット領域S1〜S24とパターン像とを位置合わせしながら、各ショット領域の液浸露光処理を行う。
基板P上の各ショット領域S1〜S24の走査露光が終了すると、制御装置CONTは、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持したまま、あるいは投影光学系PLの像面側の液体LQを回収した後に、その露光処理済みの基板Pを基板ステージPSTよりアンロードし、処理前の基板を基板ステージPSTにロードする(ステップSA4)。
ところで、基板Pのエッジ領域Eに設けられたショット領域S1、S4、S21、S24等を液浸露光するときや、上述したようにリファレンス部300の基準マークMFMを液体LQを介して計測するときは、プレート部材Tの表面Taに液体LQの液浸領域AR2の一部又は全てが形成される。また、基板ホルダPH上に上記光学センサが設けられいる構成においては、その光学センサを使って液体LQを介した計測を行う場合にも、プレート部材Tの表面Taに液体LQの液浸領域AR2の一部又は全てが形成される。そのような場合、プレート部材Tの表面Taは撥液性であるため、液体回収機構20を使って液体LQを良好に回収することができ、プレート部材T上に液体LQが残留する不都合の発生を抑えることができる。プレート部材T上に液体LQが残留すると、その残留した液体LQの気化によって、例えばプレート部材Tが変形したり、基板Pの置かれている環境(温度、湿度)が変動し、基板Pの位置情報などを計測する各種計測光の光路が変動する等して露光精度が劣化する不都合が生じる。また、残留した液体が気化した後に、液体の付着跡(所謂ウォーターマーク)がプレート部材Tに形成されてしまい、リファレンス部300等の汚染の要因となる可能性もある。本実施形態においては、プレート部材T上に液体LQが残留することが防止されているので、残留した液体LQに起因して露光精度及び計測精度が劣化することが防止される。
また、基板Pのエッジ領域Eに設けられたショット領域を露光するときは、基板P上に形成された液浸領域AR2の一部がプレート部材T上に形成されるが、基板Pの表面Paとプレート部材Tの表面Taとはほぼ面一であって、基板Pのエッジ部とその周囲に設けられたプレート部材Tの表面Taとの間には段差がほぼ無いので、液浸領域AR2の形状を良好に維持でき、液浸領域AR2の液体LQが流出したり、あるいは液浸領域AR2の液体LQ中に気泡が混入する等の不都合の発生を抑えることができる。
また、基板Pのエッジ領域Eに設けられたショット領域を露光するときは、液体LQの液浸領域AR2はギャップA上に形成されるが、ギャップAは所定値以下、本実施形態では0.1〜1.0mm程度に設定されており、基板Pの表面Pa及びプレート部材Tの表面Taは撥液性であり、ギャップAを形成する基板Pの側面Pcやプレート部材Tの側面Tcは撥液性であるため、液体LQの表面張力により、ギャップAを介して液浸領域AR2の液体LQが基板Pの裏面Pb側やプレート部材Tの裏面Tb側に浸入することが抑えられる。更に本実施形態においては、基板Pのノッチ部(切欠部)NTにおいても、基板Pとプレート部材Tとの間のギャップAが確保されているので、ノッチ部NT近傍からの液体LQの浸入も防止されている。
また、仮にギャップAを介して基板Pの裏面Pb側やプレート部材Tの裏面Tb側に液体LQが浸入した場合でも、プレート部材Tの裏面Tbは撥液性であり、その裏面Tbに対向する第2周壁部62の上面62Aも撥液性であるため、ギャップBを介して液体LQが第2空間32に浸入することが防止される。したがって、第2空間32の内側にある第2吸引口61を介して第2真空系60に液体LQが浸入することを防止することができる。また、基板Pの裏面Pbと、その裏面Pbに対向する第1周壁部42の上面42Aとは密着しているため、第1空間31に液体LQが浸入することも防止されている。したがって、第1空間31の内側にある第1吸引口41を介して第1真空系40に液体LQが浸入することも防止される。
また、基板Pのエッジ領域Eに設けられたショット領域を露光するときは、投影領域AR1が基板Pの外側にはみ出て、露光光ELがプレート部材Tの表面Taに照射され、その露光光ELの照射により、表面Taの撥液性が劣化する可能性がある。特に、プレート部材Tに被覆した撥液性の材料がフッ素系樹脂であり、露光光ELが紫外光である場合、そのプレート部材Tの撥液性は劣化しやすい(親液化しやすい)。本実施形態においては、プレート部材Tは第2保持部PH2に対して脱着可能に設けられており、交換可能であるため、制御装置CONTは、プレート部材T(表面Ta)の撥液性の劣化の度合いに応じて、その撥液性が劣化した表面Taを有するプレート部材Tを、新たな(撥液性を十分に有する)プレート部材Tと交換することで、プレート部材Tと基板Pとのギャップからの液体LQの浸入や、プレート部材T上での液体LQの残留等の不都合の発生を防止することができる。
なお、プレート部材Tを交換するタイミングとしては、例えば所定基板処理枚数毎や所定時間間隔毎など、予め定められた所定間隔でプレート部材Tを交換することができる。あるいは、露光光ELの照射量(照射時間、照度)とプレート部材Tの撥液性レベルとの関係を実験やシミュレーションによって予め求めておき、その求めた結果に基づいて、プレート部材Tを交換するタイミングを設定するようにしてもよい。プレート部材Tの交換のタイミングは、プレート部材の表面の撥液性の劣化に応じて決定する。撥液性の劣化の評価は、例えば、表面を顕微鏡または目視で観察する、液滴を評価面に垂らして液滴の状態を目視または顕微鏡で観察する、あるいは液滴の接触角を測定することで行うことができる。そのような評価を露光光などの紫外線の積算照射量(積算パルス数)との関係で予め制御装置CONTに記録しておくことにより、その関係からプレートTの寿命、すなわち交換時間(時期)を制御装置CONTは決定することができる。
また、基板ホルダPHの上面を形成するプレート部材Tは第2保持部PH2で吸着保持される構成であるため、例えばプレート部材Tと基材PHBとをボルト等を使って連結する構成に比べて、プレート部材Tや基材PHBなどに局所的な力が加わることを防止できる。したがって、プレート部材Tや基材PHBの変形を抑えることができ、プレート部材Tや基板Pの平坦度を良好に維持することができる。
上述したように、本実施形態の基板ホルダPHにおいては、第1周壁部42の上面42A、第1支持部46の上面46A、第2支持部66の上面66A、第2周壁部62の上面62A、及び第3周壁部63の上面63Aは、僅かな高さの違いはあるももの、ほぼ同じ高さとなっている。そして、基板ホルダPHの上面を形成するためのプレート部材Tは、第2保持部PH2に対して脱着可能に形成された構成である。したがって、図8に示す模式図のように、基板ホルダPHを製造する際に、上記各上面42A、46A、62A、63A、66Aを研磨処理等の所定の処理する場合においても、上面42A、46A、62A、63A、66Aのそれぞれを作業性良く処理することができる。例えば、第1保持部PH1が第2保持部PH2に対して低く形成されている場合においては、第2保持部PH2の上面に対しては上記研磨処理を円滑に施すことができるものの、第1保持部PH1は、第2保持部PH2に対して凹んでいるので、第1保持部PH1の上面を研磨処理することは容易ではない。本実施形態においては、第1保持部PH1の上面と第2保持部PH2の上面とはほぼ同じ高さであるため、第1保持部PH1の上面及び第2保持部PH2の上面のそれぞれに対して上記処理を円滑に施すことができる。また、研磨処理する際には、第1保持部PH1の上面及び第2保持部PH2の上面のそれぞれに対して研磨処理をほぼ同時に施すことができるため、作業性良く処理することができる。
なお、上述した実施形態においては、プレート部材Tの表面Ta、側面Tc、及び裏面Tbの全面に撥液化処理のために撥液性の材料が被覆されているが、側面Tc及び裏面Tbは必要に応じて選択的に撥液性にすることもできる。例えば、ギャップAを形成する領域、すなわちプレート部材Tの側面Tcと、ギャップBを形成する領域、すなわちプレート部材Tの裏面Tbのうち第2周壁部62の上面62Aに対向する領域のみを撥液化処理する構成であってもよい。あるいは、ギャップBが十分に小さく、また撥液化処理するために塗布する材料の撥液性(接触角)が十分に大きければ、ギャップAを介して第2空間32に液体LQが流入する可能性が更に低くなるため、ギャップBを形成するプレート部材Tの裏面Tbには撥液化処理を施さず、プレート部材Tの側面Tcのみを撥液化処理する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、図9に示すように、仮に第1保持部PH1に保持された基板Pと第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tとの間のギャップAから液体LQが浸入したとき、そのギャップAから浸入した液体LQが、プレート部材Tの裏面Tb側に引き込まれるように、第2保持部PH2の第2周壁部62と第2支持部66との高さが設定されている。換言すれば、ギャップAから浸入した液体LQが、プレート部材Tの裏面Tb側に形成されている第2吸引口61の吸引動作によってプレート部材Tの裏面Tb側に引き込まれるように、第2保持部PH2の第2周壁部62の上面62Aと、第2支持部66に吸着保持されたプレート部材Tの裏面Tbとの間のギャップBが設定されている。更に、ギャップAから浸入した液体LQが、プレート部材Tの裏面Tb側に形成されている第2吸引口61の吸引動作によってプレート部材Tの裏面Tb側に引き込まれるように、第2支持部66に支持されているプレート部材Tの裏面Tbとその裏面Tbに対向する基材PHBの上面とのギャップFが最適に設定されている。本実施形態においては、ギャップFは50μm程度である。また、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとが密着しているため、第2吸引口61を介して第2空間32内の気体が吸引されると、プレート部材Tの裏面Tbと第2周壁部62の上面62Aとの間のギャップBには、第2周壁部62の外側の空間から第2空間32へ向かう気流が発生する。これにより、液浸領域AR2の液体LQがギャップAに浸入した場合でも、その浸入した液体LQは、基板Pの裏面Pb側に回り込まずに、ギャップBを介してプレート部材Tの裏面Tb側に形成されている第2空間32に流入し、そのプレート部材Tの裏面Tb側に形成されている第2吸引口61より回収される。
本実施形態においては、ギャップBは、基板Pの外側において、基板Pのエッジに沿って基板Pを囲むように連続的に形成された構成である。したがって、基板Pのノッチ部(切欠部)NT近傍を含むギャップAのいずれの位置から液体LQが浸入したとしても、その液体LQをギャップBを介して基板Pの外側の第2空間32に流入させ、第2吸引口61より円滑に回収することができる。
このように、ギャップAから液体LQが浸入しても、その浸入した液体LQは基板Pの裏面Pb側に回り込まずに(流入せずに)、ギャップBを介してプレート部材Tの裏面Tb側に引き込まれるので、液体LQが基板Pの裏面Pb側に回り込むことに起因して基板Pのフラットネスが劣化する等の不都合の発生を防止できる。
一方、プレート部材Tは、基板Pに比べて交換頻度が少なく、また基板Pに比べて高いフラットネスを要求されないので、プレート部材Tの裏面Tb側に液体LQが回り込んでも不都合は生じない。
また、本実施形態においては、プレート部材Tを吸着保持するための第2吸引口61とギャップAから浸入した液体LQを回収する液体回収口とが兼用されている構成であり、第2保持部PH2は、少なくとも基板Pの露光中においては、プレート部材Tを吸着保持している構成である。したがって、第2吸引口(液体回収口)61は、少なくとも基板Pの露光中においては、ギャップAから浸入した液体LQを常時回収する構成である。したがって、ギャップAから浸入した液体LQが基板Pの裏面Pb側に回り込むことを確実に防止することができる。また、液体LQが基板Pの裏面Pb側に浸入すると、基板Pと第1保持部PH1とが液体LQによって吸着し、第1昇降部材56で基板Pを円滑に上昇できない不都合が生じるおそれがあるが、基板Pの裏面Pb側への液体LQの浸入を防止することで、そのような不都合の発生を防止できる。
ところで、本実施形態においては、図9に示すように、第2吸引口61に接続する流路65の途中には多孔体68が配置されている。そして、第2吸引口61を介して回収され、流路65を流れる液体LQは多孔体68で捕捉されるようになっている。こうすることにより、第2真空系60に液体LQが流入する不都合を防止できる。また、多孔体68で捕捉された液体LQは、流路65内で気化するようになっている。第2吸引口61を介して回収される液体LQは微量であり、多孔体68で捕捉された液体LQは流路65内で気化することができる。なお、多孔体68の替わりにメッシュ部材を流路65に配置してもよい。あるいは、第2吸引口61と第2真空系60とを接続する流路65の途中に、第2吸引口61から回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器を設けることによっても、第2真空系60への液体LQの流入を防止することができる。あるいは、流路65の途中の所定領域に、他の領域よりも大きいバッファ空間を設け、このバッファ空間で液体LQを捕捉し、第2真空系60への液体LQの流入を防止するようにしてもよい。
本実施形態においては、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとを密着させておくことで、すなわち、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとの間のギャップDをほぼゼロとすることで、ギャップAから浸入した液体LQが、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとの間を介して、第1空間31側に浸入することをより確実に防止できる。一方、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとの間にギャップDが形成される場合、ギャップBへの液体LQの吸引力が、ギャップDへの液体LQの吸引力よりも大きくなうようにギャップB、ギャップD、第1空間31の負圧、及び第2空間32の負圧を設定することで、ギャップAから浸入した液体LQをプレート部材Tの裏面Tb側に円滑に引き込むことができ、ギャップAから浸入した液体LQが基板Pの裏面Pb側に回り込む不都合を防止できる。
なお、上述した実施形態においては、第2吸引口61は、第2周壁部62と第3周壁部63との間における基材PHBの上面(プレート部材Tの裏面Tbを対向する面)にほぼ一様に複数形成されているが、複数の第2吸引口61のうち、一部の第2吸引口61を、例えば第2周壁部62と第3周壁部63との間における基材PHBの上面のうち、第2周壁部62近傍に、第2周壁部62に沿って複数スリット状に形成してもよい。こうすることにより、ギャップBを介して第2空間32に流入した液体LQをより円滑に回収することができる。
なお、上述した実施形態においては、第2周壁部62は平面視において円環状に形成され、ギャップBは基板Pを囲むように連続的に形成されているが、第2周壁部62の高さを部分的に異ならせることによって、ギャップBが不連続に形成されていてもよい。
また、上述の実施形態においては、基材PHB上に第2周壁部62と第3周壁部63とを形成することで、プレート部材Tを吸着保持するための第2空間32を形成しているが、第1周壁部42の外側の複数箇所に環状の周壁部(第2外壁部)を設け、環状の周壁部で囲まれた空間をそれぞれ負圧にすることによって、その環状の周壁部の外側に配置された複数の凸状部材(ピン状部材)上にプレート部材Tを保持するようにしてもよい。この場合、環状の周壁部の外側に液体LQの吸引口を設けることによって、ギャップAから浸入した液体LQをその吸引口から回収することができる。特に、プレート部材Tの裏面Tbとその裏面Tbに対向する基材PHBの上面とのギャップFを最適化することで、ギャップAから浸入した液体LQを、基板Pの裏面Pb側に回り込ませることなく、プレート部材Tの裏面Tb側に設けられた吸引口を介して吸引回収することができる。
なお、上述した実施形態においては、プレート部材Tと基板ホルダPHとは分離可能であるが、プレート部材Tと基板ホルダPHとを一体で形成してもよい。一方で、プレート部材Tと基板ホルダPHとを互いに独立した部材とし、第2保持部PH2でプレート部材Tを保持する構成とすることにより、ギャップBを容易に形成することができ、また第2周壁部62の上面62Aや第2支持部66等を撥液性にするための処理を円滑に行うことができる。
なお、上述した実施形態においては、基板Pの厚さとプレート部材Tの厚さとはほぼ同じであり、ギャップBとギャップDとのZ軸方向に関する位置はほぼ同じであるが、互いに異なる位置であってもよい。例えば、ギャップBのZ軸方向に関する位置が、ギャップDよりも高い位置であってもよい。こうすることで、ギャップAから浸入した液体LQは基板Pの裏面(ギャップD)へ到達する前に、ギャップBを介して第2吸引口61から回収することができ、基板Pの裏面Pb側の第1空間31への液体LQの浸入をより確実に防止することができる。
また、上述した実施形態においては、第2周壁部62の上面62A及びその上面62Aに対向するプレート部材Tの裏面TbはXY平面に対してほぼ平行(すなわち水平面)であるが、ギャップBを確保しつつ、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、上述した実施形態においては、プレート部材Tの裏面Tbと第2周壁部62の上面62Aの全域とが対向しているが、第2周壁部62の径をプレート部材Tの穴部THよりも僅かに小さくし、あるいは上面62Aの幅を大きくし、第2周壁部62の上面62Aの一部が、ギャップA(あるいは基板Pの裏面Pb)に対向していてもよい。
上述した実施形態では、第1周壁部42と第2周壁部62との間には凹部が形成されてギャップCが形成されているが、第1周壁部42と第2周壁部62とが連続していてもよい。すなわち、第1周壁部42と第2周壁部62の代わりに幅広の一つの周壁部を設けてもよい。その場合、ギャップAから浸入した液体LQがギャップBへ引き込まれるように、第2空間の負圧と第1空間の負圧とを異ならせてもよいし、その幅広の周壁部の上面と基板Pの裏面PbとのギャップB’が、その周壁部の上面とプレート部材Tの裏面TbとのギャップD’とは異なるように、その周壁部の上面に段差または傾斜を設けるようにしてもよい。
なお、上述した実施形態においては、液体LQを介してマスクMのパターン像を基板Pに投影する液浸露光装置を使用する場合を例にして説明したが、液体LQを介さずにマスクMのパターン像を基板Pに投影する通常のドライ露光装置に適用することももちろん可能である。基板ステージPSTの上面を形成するプレート部材Tは、第2保持部PH2に吸着保持され、基材PHBに対して脱着可能(交換可能)であるため、例えばプレート部材T上やリファレンス部300に異物(不純物)が付着・汚染されたり、破損したときなどには、新たなプレート部材と円滑に交換することができる。
<第2の実施形態>
次に、基板ステージPST(基板ホルダPH)の第2の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した第1の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。また、第1の実施形態と共通の変形例の説明も省略する。
図10において、第2周壁部62と第3周壁部63との間における基材PHBの上面には、その第2周壁部62を囲むように設けられた平面視略円環状の中間周壁部162が設けられている。中間周壁部162は、第2支持部66よりも僅かに低いか、あるいは第2支持部66とほぼ同じ高さに形成されており、中間周壁部162の上面162Aとプレート部材Tの裏面Tbとはほぼ密着している。そして、基材PHBと、中間周壁部162と、第3周壁部63と、プレート部材Tとで、第2空間32が形成されている。第2真空系60に流路65を介して接続されている第2吸引口61は、第2空間32に対応する基材PHBの上面(中間周壁部162と第3周壁部63との間における基材PHBの上面)に形成されている。第2真空系60は、第2吸引口61より第2空間32の気体を吸引し、その第2空間32を負圧にすることによって、プレート部材Tを吸着保持する。
また、基材PHBと、第2周壁部62と、中間周壁部162と、プレート部材Tとで、第2空間32とは別の空間167が形成されている。第2周壁部62と中間周壁部162との間における基材PHBの上面には、ギャップAから浸入した液体LQを回収するための液体回収口161が設けられている。液体回収口161は、第2周壁部62と中間周壁部162との間における基材PHBの上面のうち、第2周壁部62近傍に、第2周壁部62に沿って複数スリット状に形成されている。液体回収口161は、流路165を介して回収用真空系160に接続されている。制御装置CONTは、第1真空系40、第2真空系60、及び回収用真空系160の動作をそれぞれ独立して制御可能である。
また、第2周壁部62と中間周壁部162との間には、プレート部材Tの裏面Tbを支持する第2支持部66が設けられている。なお、第2周壁部62と中間周壁部162との間の第2支持部66は無くてもよい。また、中間周壁部162の上面162Aを第2周壁部62の上面62Aと同様に撥液性にしてもよい。また、中間周壁部162の上面162Aとプレート部材Tの裏面Tbとの間には、微小ギャップが形成されても構わない。
図10に示す実施形態において、基板Pの露光中を含む所定期間、制御装置CONTは、第1、第2真空系40、60を駆動し、第1、第2空間31、32を負圧にすることによって、基板P及びプレート部材Tのそれぞれを第1、第2保持部PH1、PH2に吸着保持している。ここで、基板Pの露光中においては、制御装置CONTは、回収用真空系160の駆動を停止している。
基板Pを液浸露光することで、ギャップA上やギャップAの内側に液体LQが溜まる可能性がある。また、ギャップAを介して浸入した液体LQが、第1周壁部42と第2周壁部62との間の空間168に溜まる可能性もある。制御装置CONTは、基板Pの露光終了後、図6を参照して説明したように、露光済みの基板Pを新たな基板Pと交換する。制御装置CONTは、基板Pを第1保持部PH1から取り外す直前に、回収用真空系160の駆動を開始し、空間168等に溜まった液体LQをギャップB及び液体回収口161を介して吸引回収する(この動作は、図7におけるステップSA3の後に続く)。回収用真空系160の駆動を基板Pの交換中に継続してもよいが、新しい基板Pを基板保持部PH1に載せるときは、振動などに起因する基板Pの位置ずれなどを防止するために回収用真空系160の駆動は停止しておくことが望ましい。なお、液体回収口161と回収用真空系160とを接続する流路165には、上述したような気液分離器等が設けられているため、液体回収口161を介して液体LQを回収しても、回収用真空系160に液体LQが流入することが防止されている。
このように、基材PHBと中間周壁部162と第3周壁部63とプレート部材Tとで囲まれた第2空間32を負圧にするための第2吸引口61とは別に、ギャップAから浸入した液体LQを回収する液体回収口161を基材PHB上に設けることにより、第2吸引口62を使ったプレート部材Tの吸着保持動作と、液体回収口161を使った液体回収動作とをそれぞれ独立して行うことができる。したがって、基板Pの露光中に回収用真空系160の駆動を停止することができるため、回収用真空系180の駆動に伴う振動の露光への影響や露光中の液浸領域AR2の変動を抑制することができる。
なお、図10を参照して説明した実施形態において、回収用真空系180の駆動に伴う振動の露光への影響や露光中の液浸領域AR2の変動が小さい場合には、基板Pの露光中においても、回収用真空系160を駆動してもよい。こうすることにより、第2真空系60が第2空間32を負圧にすることと合わせて、回収用真空系160が空間167を負圧にするため、第2保持部PH2は、プレート部材Tをより安定して吸着保持することができる。また、基板Pの露光中に回収用真空系160を駆動することで、基板Pの露光中においてギャップAから浸入した液体LQを、ギャップB及び液体回収口161を介して良好に回収することができるため、基板Pの裏面Pb側の第1空間31への液体LQの浸入をより確実に防止することができる。
この場合、基板Pの露光中における液体回収口161からの吸引量(吸引力)を、基板Pの露光後の液体回収口161からの吸引量(吸引力)よりも小さくして、回収用真空系180の駆動に伴う振動の露光への影響や露光中の液浸領域AR2の変動が問題とならないようにしてもよい。
なお、上述の第1、第2の実施形態においては、第2保持部PH2の第2周壁部62の上面62Aとプレート部材Tの裏面Tbとの間に形成されるギャップBは、第2周壁部62の内側に形成された吸引口(61、161)を介してギャップAから浸入した液体LQを回収するときの回収口(回収ノズル)となるため、吸引口(61、161)の液体回収量を調整する機能も果たすことができる。したがって、ギャップAから浸入する液体LQの量が増加して、液浸領域AR2の状態が変動しないように、ギャップBの大きさを最適に設定することが望ましい。
<第3の実施形態>
図11は第3の実施形態を示す図である。なお、第1、第2の実施形態と共通の構成や変形例については、その説明を簡略化又は省略する。図11において、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tは、第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paとほぼ面一の表面(第1面)Taと、基板Pの側面Pcと対向する側面Tcと、側面Tcに沿って設けられ、表面Taとほぼ平行な液体受け面Tgと、第1保持部PH1に保持された基板Pの周縁部でその基板Pの裏面Pbと対向する対向面(第2面)Tjとを有している。上述した実施形態同様、プレート部材Tの表面Taは、基板Pの表面Paを囲むように形成されている。また、プレート部材Tの対向面Tjは、基板Pの周縁部に沿うように円環状に形成されている。すなわち、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tは、第1保持部PH1に保持された基板Pの周縁に沿って、表面Taと対向面Tjとを形成している。本実施形態においても、基板Pの表面Paのエッジとプレート部材Tの表面Taのエッジとの間にギャップAが形成されており、そのギャップAは、0.1〜1.0mmとなっている。
受け面Tgは、基板Pとプレート部材Tとの間のギャップA(基板Pの裏面Pb)よりも下方に設けられている。また、対向面Tjは、受け面TgよりもZ軸方向に関して高い位置(+Z側)に設けられている。そして、側面Tcと、受け面Tgと、対向面Tjに接続し、側面Tcと対向する内側面Thとで、液体LQを保持可能な凹部170が形成されている。凹部170は、ギャップAから浸入した液体LQを保持できるようになっている。そして、基板Pの表面Paのエッジとプレート部材Tの表面TaのエッジとのギャップAから浸入した液体LQは、基板Pの側面Pcとプレート部材Tの側面Tcと受け面Tgとで形成された空間173に保持されるようになっている。
第1保持部PH1に保持された基板Pの裏面Pbと、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tの対向面Tjとは非接触であり、その基板Pの裏面Pbとプレート部材Tの対向面Tjとの間には所定のギャップGが形成されている。第1保持部PH1に保持された基板Pの裏面Pbと、第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tの対向面Tjとの間のギャップGの間隔は、液体LQが浸入しないように設定されている。本実施形態においては、ギャップGの間隔は50μm程度に設定されている。これにより、ギャップAから液体LQが浸入した場合でも、その液体LQがギャップGを介して空間173の外側(基板Pの裏面Pb側)に漏出することが防止されている。
上述の実施形態同様、プレート部材Tの表面Ta、裏面Tb、及び側面Tcは撥液性を有している。更に、プレート部材Tの受け面Tg、内側面Th、及び対向面Tjも撥液性を有している。また、基板Pの表面Pa、裏面Pb、及び側面Pcも撥液性を有している。上述したように、ギャップGの間隔は、液体LQが浸入しないように設定されているが、そのギャップGを形成する基板Pの裏面Pb及びプレート部材Tの対向面Tjが撥液性であるため、液体LQがギャップGを介してプレート部材Tの外側に漏出することを更に確実に防止することができる。
なお、上述のように、ギャップGからの液体LQの浸入を防止するために、プレート部材Tの対向面Tjは撥液性であることが望ましいが、側面Tc、受け面Tg、内側面Thは必ずしも撥液性である必要は無く、適宜選択的に撥液性にしてもよい。
図10を参照して説明した実施形態同様、プレート部材Tを保持する第2保持部PH2は、第2周壁部62と第3周壁部63との間に設けられた中間周壁部162を有している。そして、基材PHBと、中間周壁部162と、第3周壁部63と、プレート部材Tとで、第2空間32が形成されている。第2吸引口61は、第2空間32に対応する基材PHBの上面に形成されており、第2真空系60(図11には不図示)は、第2吸引口61より第2空間32の気体を吸引し、その第2空間32を負圧にすることによって、プレート部材Tを吸着保持する。
また、基材PHBと、第2周壁部62と、中間周壁部162と、プレート部材Tとで、空間167が形成されている。回収用真空系160に流路165を介して接続されている液体回収口161は、空間167に対応する基材PHBの上面に形成されている。また、プレート部材Tのうち、液体回収口161と対向する位置には、液体LQを流通可能な流路171が形成されている。流路171はプレート部材Tの受け面Tgと裏面Tbとを貫通する孔である。空間173に保持されている液体LQは、流路171を介して空間167に流れる。基板Pの表面Paのエッジとプレート部材Tの表面Taのエッジとの間のギャップAから浸入した液体LQは、プレート部材Tの受け面Tgに形成され、流路171の上端部に接続している回収口172を介して、空間167内の液体回収口161から回収されるようになっている。
図11に示す実施形態において、基板Pの露光中を含む所定期間、制御装置CONTは、第1、第2真空系40、60(図11には不図示)を駆動し、第1、第2空間31、32を負圧にすることによって、基板P及びプレート部材Tのそれぞれを第1、第2保持部PH1、PH2に吸着保持する。ここで、基板Pの露光中においては、制御装置CONTは、回収用真空系160の駆動を停止している。
例えば、基板Pの液浸露光中に、ギャップAから液体LQが浸入した場合、その液体LQは空間173に溜まる。制御装置CONTは、基板Pの露光終了後、図6を参照して説明したように、露光済みの基板Pを新たな基板Pと交換する。制御装置CONTは、基板Pを第1支持部46から離す前に、回収用真空系160の駆動を開始し、液体回収口161を介して空間167の気体を吸引することで、空間167を負圧にする。空間167が負圧にされることにより、空間173に溜まっている液体LQは、プレート部材Tの回収口172より流路171に流入し、空間167側に流れる。そして、空間167に流れた液体LQは、空間167の基材PHB上に形成されている液体回収口161を介して吸引回収される。
このように、ギャップAから浸入した液体LQをプレート部材Tで保持することができる。そして、基板Pの交換中など所定のタイミングで、プレート部材Tに形成されている液体回収口172を介して、その液体LQを回収することができる。また、基板Pの露光中に回収用真空系160の駆動を停止しているため、回収用真空系160の駆動に伴う振動の露光への影響や露光中の液浸領域AR2の変動を抑制することができる。
なお、回収用真空系160の駆動を基板Pの交換中に継続してもよいが、新しい基板Pを基板保持部PH1に載せるときは、振動などに起因する基板Pの位置ずれなどを防止するために、回収用真空系160の駆動は停止しておくことが望ましい。また、基板Pの露光中に回収用真空系160を駆動させてもよいが、その場合には、露光精度に影響を与えたり、液浸領域AR2が変動したりしないように空間167の負圧を小さくしておくとよい。
<第4の実施形態>
図12は第4の実施形態を示す図である。なお、第1の実施形態やその変形例との共通の構成や変形例については、その説明を簡略化又は省略する。図12において、第1保持部PH1に保持された基板Pと第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tとの間のギャップAから浸入した液体LQを回収するための液体回収口181は、基材PHB上のうち、第1空間31及び第2空間32の外側に設けられている。具体的には、液体回収口181は、第1保持部PH1の第1周壁部42と第2保持部PH2の第2周壁部62との間における基材PHBの上面に設けられており、ギャップAとほぼ対向する位置に設けられている。液体回収口181は、平面視において、第1周壁部42(第2周壁部62)に沿って複数スリット状に形成されている。また、基材PHBに形成された液体回収口181は、回収用真空系180に接続されている。
また、基材PHBの上面には、第1保持部PH1に保持された基板Pと第2保持部PH2に保持されたプレート部材Tとの間のギャップAから侵入した液体LQを、液体回収口181に集めるための斜面182が形成されている。斜面182は、第1周壁部42から液体回収口181へ向かって下がる第1斜面182Aと、第2周壁部42から液体回収口181へ向かって下がる第2斜面182Bとを有している。なお、本実施形態においては、第2周壁部62の上面62Aはプレート部材Tの裏面Tbとほぼ密着している。
図12に示す実施形態において、基板Pの露光中を含む所定期間、制御装置CONTは、第1、第2真空系40、60(図12には不図示)を駆動し、第1,第2空間31、32を負圧にすることによって、基板P及びプレート部材Tのそれぞれを、第1、第2保持部PH1、PH2に吸着保持する。ここで、基板Pの露光中においては、制御装置CONTは、回収用真空系180の駆動を停止している。
例えば、基板Pの液浸露光中に、ギャップAから液体LQが浸入したとしても、第1周壁部42の上面42Aと基板Pの裏面Pb、及び第2周壁部62の上面62Aとプレート部材Tの裏面Tbはほぼ密着しており、更に第1周壁部42の上面42Aと第2周壁部62の上面62Aはそれぞれ撥液処理されているので、ギャップAから浸入した液体LQは、基板Pの裏面Pb側の第1空間31、及びプレート部材Tの裏面Tb側の第2空間32へ浸入することなく、ギャップA上やギャップAの内側、あるいは第1周壁部42と第2周壁部62との間の空間に溜まる。制御装置CONTは、基板Pの露光終了後、図6を参照して説明したように、露光済みの基板Pを新たな基板Pと交換する。制御装置CONTは、基板Pを第1支持部46から取り外す前に、回収用真空系180の駆動を開始し、液体回収口181から液体LQを吸引回収する。基材PHB上には、液体LQを液体回収口181に集めるための斜面182が形成されているので、液体LQは液体回収口181より良好に回収される。
また、基板Pの露光中に回収用真空系180の駆動を停止しているため、回収用真空系180の駆動に伴う振動の露光への影響や露光中の液浸領域AR2の変動を抑制することができる。
なお、基板Pの側面Pcとプレート部材Tの側面TcとのギャップAに対して、第1周壁部42と第2周壁部62とのギャップCを大きくする、すなわち周壁部42、62からの基板P及びプレート部材Tのせり出し幅を大きくすることで、基板Pの裏面Pb側の第1空間31、及びプレート部材Tの裏面Tb側の第2空間32への液体LQの浸入をより確実に防止することができる。
また、回収用真空系180の駆動を基板Pの交換中に継続してもよいが、新しい基板Pを基板保持部PH1に載せるときは、振動などに起因する基板Pの位置ずれなどを防止するために回収用真空系180の駆動は停止しておくことが望ましい。
また、基板Pの露光中に回収用真空系180を駆動させてもよいが、その場合には、露光精度が劣化したり、液浸領域AR2が変動しないように回収用真空系180による吸引力を小さくしておくとよい。
また、本実施形態においては、第2周壁部62の上面62Aとプレート部材Tの裏面Tbとはほぼ密着しているが、微小ギャップBが形成されていてもよい。この場合、第1の実施形態や第2の実施形態に記載されているように、第2周壁部62内へ浸入した液体LQを回収する構成としておくことが望ましい。
<第5の実施形態>
図13は本発明の第5の実施形態を示す図である。第5の実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と共通部分は、その説明を簡略化又は省略する。図13において、ギャップAから浸入した液体LQを回収するための液体回収口は、図9に示した実施形態同様、プレート部材Tを吸着保持するために第2空間32の内側に形成されている第2吸引口61と兼用されている。また、第1空間31及び第2空間32の外側における基材PHBの上面には、第1周壁部42(第1空間31)から第2周壁部62(第2空間32)に向かって下がる斜面192が形成されている。斜面192は、ギャップAにほぼ対向する位置に設けられており、ギャップAから浸入した液体LQを第2周壁部62側に集める機能を有している。
例えば基板Pの露光中において、ギャップAから浸入した液体LQは、第1周壁部42と第2周壁部62との間の空間、及びギャップBを介して、第2空間32に流入し、第2吸引口61より吸引回収される。第1周壁部42と第2周壁部62との間の基材PHBの上面には、斜面192が形成されているので、液体LQを第2周壁部62側に寄せ集めることができるので、ギャップAから浸入した液体LQを、第2吸引口61より良好に吸引回収することができる。
また、図13の実施形態においても、第2の実施形態のように中間周壁部162を配置してもよいし、図12の第4の実施形態のように第1周壁部42と第2周壁部62との間に液体LQの回収用の流路を設けることもできる。
また、上述の実施形態においては、第2周壁部62の上面および側面を撥液性にしているが、プレート部材Tの裏面側への液体LQの浸入を許容する場合には、第2周壁部62の上面および側面を撥液性にする必要はなく、逆に第2周壁部62の上面や側面を親液性にしてもよい。この場合、プレート部材Tの裏面側に液体LQを回収する回収口などを設けてもよい。
また、上述の実施形態においては、プレート部材Tは1枚の板状部材で形成されているが、複数枚のプレート部材で基板ステージPSTの上面を形成するようにしてもよい。また、プレート部材Tの表面Taと基板Pの表面Paとがほぼ面一となるように、第2保持部PH2にプレート部材TのZ軸方向の位置(高さ)や傾きを調整する機能を付加してもよい。
<第6の実施形態>
次に、基板ステージPST(基板ホルダPH)の別の実施形態、特に第1実施形態の変形例について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
図14は本実施形態の基板ステージPSTの平面図、図15は基板ステージPST(基板ホルダPH)の側断面図である。図14及び図15において、基板ホルダPHは、基材PHBと、基材PHBに形成され、基板Pを吸着保持する第1保持部PH1と、基材PHBに形成され、第1保持部PH1に吸着保持された基板Pの近傍に、第1プレート部材T1を吸着保持する第2保持部PH2と、基材PHBに形成され、第1保持部PH1に吸着保持された基板Pの近傍に第2プレート部材T2を吸着保持する第3保持部PH3とを備えている。第1プレート部材T1及び第2プレート部材T2は、基材PHBとは別の部材であって、基板ホルダPHの基材PHBに対して脱着可能に設けられており、交換可能である。
第1プレート部材T1は、第1保持部PH1に保持された基板Pの近傍に配置されている。第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paの近傍には、第2保持部PH2に保持された第1プレート部材T1の表面Taが配置されている。第1プレート部材T1の表面Ta及び裏面Tbは平坦面(平坦部)となっている。第2プレート部材T2の表面Td及び裏面Teも平坦面(平坦部)となっている。
図14に示すように、第1プレート部材T1は、略円環状部材であって、第1保持部PH1に保持された基板Pを囲むように配置されている。第2保持部PH2に保持された第1プレート部材Tの表面Taは、第1保持部PH1に保持された基板Pの周囲に配置され、その基板Pを取り囲むように形成されている。すなわち、第1プレート部材T1は、第1保持部PH1に保持された基板Pの周囲に平坦面Taを形成している。
図14に示すように、第2プレート部材T2の外形は基材PHBの形状に沿うように平面視矩形状に形成されており、その中央部に基板P及び第1プレート部材T1を配置可能な略円形状の穴部TH2を有している。すなわち、第2プレート部材T2は略環状部材であって、第1保持部PH1に保持された基板P及び第2保持部PH2に保持された第1プレートT1の周囲に配置され、その基板P及び第1プレート部材T1を取り囲むように配置されている。そして、第3保持部PH3に保持された第2プレート部材T2は、第1保持部PH1に保持された基板Pに対して、第1プレート部材T1の外側に平坦面Tdを形成している。
また、第1プレート部材T1及び第2プレート部材T2のそれぞれは、基板Pとほぼ同じ厚さである。そして、第2保持部PH2に保持された第1プレート部材T1の表面(平坦面)Taと、第3保持部PH3に保持された第2プレート部材T2の表面(平坦面)Tdと、第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paとはほぼ面一となっている。すなわち、第1プレート部材T1の表面及び第2プレート部材T2の表面は、基板Pの周囲に基板Pの表面とほぼ面一の平坦部を形成する。
また、第1プレート部材T1の表面Ta及び第2プレート部材T2の表面Tdは、液体LQに対して撥液性となっている。更に、第1プレート部材T1の裏面Tb及び第2プレート部材T2の裏面Teも、液体LQに対して撥液性となっている。
基板ホルダPHの基材PHBは平面視矩形状に形成されており、その基板ホルダPHのうち基材PHBの互いに垂直な2つの側面には、基材PHB(基板ホルダPH)の位置を計測するためのレーザ干渉計94用の移動鏡93が形成されている。すなわち、本実施形態においても、基板ステージPSTの上面は、基板Pを保持したとき、保持した基板Pの表面Paを含めて、ほぼ全域において平坦面(フルフラット面)になるように形成されている。
図15に示すように、基板ホルダPHの第1保持部PH1は、基材PHB上に形成された凸状の第1支持部46と、第1支持部46の周囲を囲むように基材PHB上に形成された環状の第1周壁部42と、第1周壁部42の内側の基材PHB上に形成された第1吸引口41とを備えている。第1支持部46及び第1吸引口41のそれぞれは第1周壁部42の内側において複数一様に配置されている。第1周壁部42の上面42Aは基板Pの裏面Pbと対向している。第1吸引口41のそれぞれは流路45を介して第1真空系40に接続されている。制御装置CONTは、第1真空系40を駆動し、基材PHBと第1周壁部42と基板Pとで囲まれた第1空間31内部のガス(空気)を吸引してこの第1空間31を負圧にすることによって、基板Pを第1支持部46に吸着保持する。
基板ホルダPHの第2保持部PH2は、第1保持部PH1の第1周壁部42を囲むように基材PHB上に形成された略円環状の第2周壁部62と、第2周壁部62の外側に設けられ、第2周壁部62を囲むように基材PHB上に形成された環状の第3周壁部63と、第2周壁部62と第3周壁部63との間の基材PHB上に形成された凸状の第2支持部66と、第2周壁部62と第3周壁部63との間の基材PHB上に形成された第2吸引口61とを備えている。第2周壁部62は第1空間31に対して第1周壁部31の外側に設けられており、第3周壁部63は第2周壁部62の更に外側に設けられている。第2支持部66及び第2吸引口61のそれぞれは第2周壁部62と第3周壁部63との間において複数一様に形成されている。第2周壁部62の上面62A及び第3周壁部63の上面63Aは第1プレート部材T1の裏面Tbと対向している。第2吸引口61のそれぞれは、流路65を介して第2真空系60に接続されている。制御装置CONTは、第2真空系60を駆動し、基材PHBと第2、第3周壁部62、63と第1プレート部材T1とで囲まれた第2空間32内部のガス(空気)を吸引してこの第2空間32を負圧にすることによって、第1プレート部材T1を第2支持部66に吸着保持する。
基板ホルダPHの第3保持部PH3は、第2保持部PH2の第3周壁部63を囲むように基材PHB上に形成された略円環状の第4周壁部82と、第4周壁部82の外側に設けられ、第4周壁部82を囲むように基材PHB上に形成された環状の第5周壁部83と、第4周壁部82と第5周壁部83との間の基材PHB上に形成された凸状の第3支持部86と、第4周壁部82と第5周壁部83との間の基材PHB上に形成された第3吸引口81とを備えている。第4周壁部82は第2空間32に対して第4周壁部82の外側に設けられており、第5周壁部83は第4周壁部82の更に外側に設けられている。第3支持部86及び第3吸引口81のそれぞれは第4周壁部82と第5周壁部83との間において複数一様に形成されている。第4周壁部82の上面82A及び第5周壁部83の上面83Aは第2プレート部材T2の裏面Teと対向している。第3吸引口81のそれぞれは、流路85を介して第3真空系80に接続されている。第3真空系80は、基材PHBと第4、第5周壁部82、83と第2プレート部材T2とで囲まれた第3空間33を負圧にするためのものである。第4、第5周壁部82、83は、第3支持部86を含む第3空間33の外側を囲む外壁部として機能しており、制御装置CONTは、第3真空系80を駆動し、基材PHBと第4、第5周壁部82、83と第2プレート部材T2とで囲まれた第3空間33内部のガス(空気)を吸引してこの第3空間33を負圧にすることによって、第2プレート部材T2を第3支持部86に吸着保持する。
また、第1空間31を負圧にするための第1真空系40と、第2空間32を負圧にするための第2真空系60と、第3空間33を負圧にするための第3真空系80とは互いに独立している。制御装置CONTは、第1真空系40、第2真空系60、及び第3真空系80それぞれの動作を個別に制御可能であり、第1真空系40による第1空間31に対する吸引動作と、第2真空系60よる第2空間31に対する吸引動作と、第3真空系80よる第2空間33に対する吸引動作とをそれぞれ独立して行うことができる。例えば制御装置CONTは、第1真空系40と第2真空系60と第3真空系80をそれぞれ制御し、第1空間31の圧力と第2空間32の圧力と第3空間33の圧力とを互いに異ならせることができる。
本実施形態においては、第1保持部PH1に保持された基板Pの外側のエッジ部と、その基板Pの周囲に設けられた第1プレート部材T1の内側のエッジ部との間には、例えば0.1〜1.0mm程度のギャップが形成されている。また、第2保持部PH2に保持された第1プレート部材T1の外側のエッジ部と、その第1プレート部材T1の周囲に設けられた第2プレート部材T2の内側のエッジ部との間にも所定のギャップ、例えば0.1〜1.0mm程度のギャップが形成されている。
また、上述した実施形態同様、基板Pの周囲に配置された第1プレート部材T1には、基板Pに形成されたノッチ部NT(又はオリフラ部)に応じた突起部150が形成されている。また、第1周壁部42や第2周壁部62も、基板Pのノッチ部NTに応じた形状を有している。
また、上述した実施形態同様、第1周壁部42の上面42A、及び第2周壁部62の上面62A、及び第3周壁部63の上面63Aは平坦面となっている。更に、第4周壁部82の上面82A、及び第5周壁部83の上面83Aのそれぞれも平坦面となっている。
また、第1保持部PH1のうち、第1支持部46は、第1周壁部42と同じ高さか、第1周壁部42よりも僅かに高く形成されており、第1空間31を負圧にしたとき、基板Pの裏面Pbと第1周壁部42の上面42Aとを密着させることができる。第2保持部PH2のうち、第2支持部66は、第2周壁部62よりも僅かに高く形成されており、第2空間32を負圧にしても、第1プレート部材T1の裏面Tbと第2周壁部62の上面62Aとの間には所定のギャップBが形成されている。第3周壁部63は、第2支持部66よりも僅かに低いか、あるいは第2支持部66とほぼ同じ高さに形成されており、第3周壁部63の上面63Aと第1プレート部材T1の裏面Tbとは密着する。
なお、第1プレート部材T1の裏面Tbと第2周壁部62の上面62Aとが密着するように第2支持部66の高さと第2周壁部62の高さとを決めることができる。また、第1プレート部材T1の裏面Tbと第3周壁部63の上面63Aとの間に小さなギャップが形成されるように第2支持部66の高さと第3周壁部63の高さとを決めることもできる。
また、第3保持部PH3のうち、第4支持部86は、第4周壁部82及び第5周壁部83よりも僅かに高いか、あるいは第4周壁部82及び第5周壁部83とほぼ同じ高さに形成されており、第4周壁部82の上面82A及び第5周壁部83の上面83Aと第2プレート部材T2の裏面Teとは密着する。なお、第4周壁部82の上面82A及び第5周壁部83の上面83Aと第2プレート部材T2の裏面Teとの間に所定のギャップが形成されていてもよい。
本実施形態においては、第1プレート部材T1と、第2プレート部材T2とは異なる材質で形成されており、第1プレート部材T1の表面Taの撥液性の耐久性能は、第2プレート部材T2の表面Tdの撥液性の耐久性能よりも高くなっている。
本実施形態においては、基板Pの周囲に配置された第1プレート部材T1は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂材料により形成されている。一方、第2プレート部材T2は、石英(ガラス)で形成されており、その表面Td、裏面Te、及び側面(第1プレート部材T1と対向する面)Tfに、撥液性の材料が被覆されている。撥液性の材料としては、上述同様、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂材料、あるいはアクリル系樹脂材料等が挙げられる。そしてこれら撥液性の材料を石英からなるプレート部材Tに塗布(被覆)することによって、第2プレート部材T2の表面Td、裏面Te、及び側面Tfのそれぞれが液体LQに対して撥液性となっている。
そして、図14に示すように、第2プレート部材T2の表面Tdの所定位置には、投影光学系PLを介したマスクMのパターン像に対する基板Pの位置を規定するための基準マークMFM、PFMを備えたリファレンス部300が設けられている。また、第2プレート部材T2の表面Tdの所定位置には、フォーカス・レベリング検出系の基準面として用いられる基準板400が設けられている。リファレンス部300の上面、及び基準板400の上面は、第1保持部PH1に保持された基板Pの表面Paとほぼ面一となっている。撥液性の材料は、基準マークMFM、PFMを有するリファレンス部300上及び基準板400にも被覆されており、リファレンス部300の上面及び基準板400の上面も撥液性となっている。
また、第1プレート部材T1のうち円環状に形成されている表面Taの幅Htは少なくとも投影領域AR1より大きく形成されている。これにより、基板Pのエッジ領域Eを露光するときにおいて、露光光ELは第2プレート部材T2に照射されない。これにより、第2プレート部材T2の表面Tdの撥液性の劣化を抑えることができる。そして、露光光ELが照射される第1プレート部材T1はその形成材料自体が撥液性材料(例えばPTFE)であって、第1プレート部材T1の表面Taの撥液性の耐久性能は、第2プレート部材T2の表面Tdの撥液性の耐久性能よりも高い。したがって、露光光ELが照射されても、その撥液性は大きく劣化することがなく、撥液性を長期間維持することができる。第2プレート部材T2を石英で形成せずに、例えばPTFEで形成することも考えられるが、第2プレート部材T2に基準マークMFM、PFMを形成するためには、第2プレート部材T2の形成材料として石英が好ましい。そして、第2プレート部材T2の表面Tdに基準マークMFM、PFMを形成することで、基板ステージPSTの上面をフルフラット面にすることができる。そこで、本実施形態においては、露光光ELが照射されない領域である第2プレート部材T2を石英で形成し、その表面Tdに基準マークMFM、PFMを形成し、基準マークMFM、PFMを形成された第2プレート部材T2に撥液性の材料を被覆することで、撥液性を有するフルフラット面を形成している。なお、基準マークMFMと基準マークPFMとは一方のみが第2プレート部材に形成されていてもよい。
なお、第1プレート部材T1の表面Taの幅Htは、投影光学系PLの像面側に形成される液浸領域AR2よりも大きく形成されていることが好ましい。これにより、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときに、液浸領域AR2は第1プレート部材T1の表面Ta上に配置され、第2プレート部材T2上には配置されないので、液浸領域AR2の液体LQが第1プレート部材T1と第2プレート部材T2との間のギャップに浸入する不都合を防止できる。
そして、第1実施形態同様、第1プレート部材T1を交換する場合には、第1プレート部材T1の下に設けられた第2昇降部材57を使って、第1プレート部材T1を昇降する。また、不図示ではあるが、第2プレート部材T2の下にも昇降部材が設けられており、第2プレート部材T2を交換する場合には、その昇降部材を使って第2プレート部材T2が昇降される。第1プレート部材T1を吸着保持するための第2真空系40と、第2プレート部材T2を吸着保持するための第3真空系60とは互いに独立しているため、第1プレート部材T1の吸着保持及び吸着保持解除動作と、第2プレート部材T2の吸着保持及び吸着保持解除動作とを、互いに独立して行うことができる。したがって、例えば制御装置CONTは、第1プレート部材T1及び第2プレート部材T2のそれぞれの撥液性の劣化のレベルに応じて、第1プレート部材T1の交換と第2プレート部材T2の交換とを異なったタイミングで実行することができる。
また、本実施形態においても、第1周壁部42の上面42A、第1支持部46の上面46A、第2支持部66の上面66A、第2周壁部62の上面62A、第3周壁部63の上面63A、第3支持部86の上面86A、第4周壁部82の上面82A、及び第5周壁部83の上面83Aは、僅かな高さの違いはあるももの、ほぼ同じ高さとなっている。したがって、それら上面を研磨処理等するときの作業性は良好である。
本実施形態においては、PTFE等からなる第1プレート部材T1は円環状に形成されており、基板Pの周囲を囲むように配置されている。また、石英からなる第2プレート部材T2は環状に形成されており、第1プレート部材T1の外側においてその第1プレート部材T1を囲むように配置されているが、例えば基準マークMFM、PFMを有するリファレンス部300を含む一部の小領域のみを石英からなる第2プレートで形成し、他の大部分の領域をPTFE等からなる第1プレート部材で形成するようにしてもよい。要は、上面のうち、露光光ELが照射される領域が例えばPTFE等の撥液性材料からなるプレート部材で形成され、リファレンス部300を含む領域が石英からなるプレート部材で形成されることが望ましい。
なおここでは、液体LQを介してマスクMのパターン像を基板Pに投影する液浸露光装置を使用する場合を例にして説明したが、本実施形態においても、液体LQを介さずにマスクMのパターン像を基板Pに投影する通常のドライ露光装置に適用することが可能である。基板ステージPSTの上面を形成する第1、第2プレート部材T1、T2は、第2、第3保持部PH2、PH3に吸着保持され、基材PHBに対して脱着可能(交換可能)であるため、例えばプレート部材上に異物(不純物)が付着したり、汚染するなどして交換したいときに、新たなプレート部材と交換できる。
第6実施形態のように第1プレート及び第2プレートを用いる構成は、第2〜第5実施形態に適用することができる。また、図14を参照して説明した第6実施形態においては、基板ホルダPHは第1プレート部材と第2プレート部材との2つのプレート部材を有した構成であるが、3つ以上の任意の複数のプレート部材を有した構成であってもよい。この場合、基材PHB上には、プレート部材の数に応じた吸着保持部が設けられる。そして、複数のプレート部材を基材PHBに対して吸着保持した構成においては、複数のプレート部材のうち交換が必要な所定のプレート部材のみを交換すればよい。
また、各プレートの材料も上述のものに限らず、リファレンス部の有無や撥液性能の耐久性などを考慮して、最適な材料を決めればよい。
また、上述の実施形態においては、第2周壁部62の上面および側面を撥液性にしているが、プレート部材T(T1,T2)の裏面側への液体LQの浸入を許容する場合には、第2周壁部62の上面および側面を撥液性にする必要はなく、逆に第2周壁部62の上面や側面を親液性にしてもよい。この場合、プレート部材プレート部材T(T1,T2)の裏面側に液体LQを回収する回収口などを設けてもよい。
また、第6実施形態においては、第2〜5周壁部は第1周壁部42を取り囲むように環状に形成されているが、第2〜5周壁部の位置や形状は、プレート部材T(T1,T2)を吸着保持できれば、いろいろな態様を採用することが可能である。要は、基材PHBとプレート部材T(T1,T2)の裏面との間に、プレート部材T(T1,T2)を吸着保持するための閉空間(負圧空間)が形成されるように周壁部を形成すればよく、例えば、一つのプレート部材T(T1,T2)との基材PHBとの間に複数の閉空間(負圧空間)が形成されるように周壁部を設けてもよい。
また上述の実施形態においては、プレート部材T(T1,T2)の厚さは、基板Pとほぼ同じ厚さであるが、基板Pの厚さと異なっていてもよい。その場合、基板ホルダPHに吸着保持された基板Pの表面とプレート部材T(T1,T2)の表面とがほぼ面一となるように、基板Pの支持部46またはプレート部材T(T1,T2)の支持部66(86)の高さを設定するのが望ましい。
上述の実施形態においては、プレート部材T,T1,T2は、基材PHBに真空吸着方式で保持されていたが、静電チャック機構、電磁チャック機構、マグネットチャック機構などの他の保持機構を用いることもできる。
上述した各実施形態においては、露光装置EXは、1つの基板ステージPSTを備えた構成であるが、本発明は、2つのステージを備えた露光装置にも適用可能である。このことについて、図16を参照しながら説明する。
図16に示す露光装置EXは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板Pを保持した状態で移動可能な基板ステージPST1と、基板ステージPST1に並ぶ位置に設けられ、上述したリファレンス部300を備えた計測ステージPST2とを備えている。基板ステージPST1上の基板ホルダPHにはプレート部材Tが吸着保持されている。一方、計測ステージPST2は計測専用のステージであって基板Pを保持しないステージであり、その計測ステージPST2にはリファレンス部300を有したプレート部材T’を吸着保持する保持部が設けられている。計測ステージPSTには、前記保持部によってリファレンス部300を有したプレート部材T’が吸着保持されている。また、不図示ではあるが、計測ステージPST2には上述したような照度ムラセンサ等を含む光学センサが設けられている。基板ステージPST1及び計測ステージPST2は、リニアモータ等を含むステージ駆動装置により、XY平面内で互いに独立して2次元移動可能となっている。また、基板ステージPST1及び計測ステージPST2のXY方向の位置は、レーザ干渉計によって計測される。
図16に示す実施形態においては、基板ステージPST1上及び計測ステージPST2上の双方に液体LQの液浸領域AR2が形成されるため、基板ステージPST1上のプレート部材Tの上面及び計測ステージPST2上のプレート部材T’の上面のそれぞれに、異物が付着したり、液体LQの付着跡(ウォーターマーク)が形成される可能性がある。しかしながら、図16の実施形態においても、基板ステージPST1及び計測ステージPST2それぞれのプレート部材T、T’を交換することができる。
また、本発明は基板を保持する二つの基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平10−163099号及び特開平10−214783号(対応米国特許6,341,007、6,400,441、6,549,269及び6,590,634)、特表2000−505958号(対応米国特許5,969,441)あるいは米国特許6,208,407に開示されている。
なお、投影光学系PLの像面側に液浸領域AR2を形成する機構は、上述の実施形態に限られず、各種形態の機構を使うことができる。例えば、欧州特許出願公開EP1420298(A2)公報に開示されている機構を用いることもできる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水を用いた。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nm程度に短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍程度に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。特に、直線偏光照明法とダイポール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイポール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイポールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。この場合、カバーガラスはプレートの表面の一部を覆ってもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。ステージにリニアモータを用いた例は、米国特許5,623,853及び5,528,118に開示されている。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。この反力の処理方法は、例えば、米国特許5,528,118(特開平8−166475号公報)に詳細に開示されている。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。この反力の処理方法は、例えば、米国特許第5,874,820(特開平8−330224号公報)に詳細に開示されている。
本願実施形態の露光装置EXは、本願の請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図17に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
10…液体供給機構、20…液体回収機構、31…第1空間、32…第2空間、33…第3空間、40…第1真空系、42…第1周壁部(第1外壁部)、46…第1支持部、60…第2真空系、61…第2吸引口(液体回収口)、62…第2周壁部(第2外壁部)、63…第3周壁部(第2外壁部)、66…第2支持部、80…第3真空系、86…第3支持部、93…移動鏡(ミラー)、94…干渉計、160…回収用真空系、161…液体回収口、180…回収用真空系、181…液体回収口、182…斜面、192…斜面、300…リファレンス部、AR1…投影領域、AR2…液浸領域、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、P…基板(処理基板)、PH…基板ホルダ(基板保持装置)、PH1…第1保持部、PH2…第2保持部、PH3…第3保持部、PHB…基材、PL…投影光学系、PST…基板ステージ、T…プレート部材(プレート、撥水プレート)、T1…第1プレート部材(第1プレート、撥水プレート)、T2…第2プレート部材(第2プレート、撥水プレート)、Ta…表面(平坦部)、Tb…裏面、Td…表面(平坦部)、Te…裏面