JP2006053165A - 吸光度計測に供される多層フィルム - Google Patents

吸光度計測に供される多層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2006053165A
JP2006053165A JP2005319001A JP2005319001A JP2006053165A JP 2006053165 A JP2006053165 A JP 2006053165A JP 2005319001 A JP2005319001 A JP 2005319001A JP 2005319001 A JP2005319001 A JP 2005319001A JP 2006053165 A JP2006053165 A JP 2006053165A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
specimen
absorbance
intensity
reagent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005319001A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Tsujita
和宏 辻田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2005319001A priority Critical patent/JP2006053165A/ja
Publication of JP2006053165A publication Critical patent/JP2006053165A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】吸光度計測において、多項目の検査を短時間で容易に実施可能とする。
【解決手段】吸光度計測に、それぞれ異なる試薬を含む複数の試薬層102 〜105 が積層されてなり、検体非浸透部108 と検体浸透部109 を有する多層フィルム100 を用いる。検体非浸透部108 および検体浸透部109 にそれぞれフィルム100 の一面110 から低コヒーレント光である信号光Ls を入射せしめ、この信号光Ls の各試薬層境界面110 〜115 からの後方散乱光Ln と信号光Ls と僅かな周波数差を有する低コヒーレント光である参照光Lr との干渉光の強度を検出し、検体非浸透部108 と検体浸透部109 における各干渉光の強度から、各試薬層102 〜105 における検体に基づく吸光度を求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、血液、尿等の試料液中の特定成分を分析する生化学分析等に用いられる吸光度計測装置、特に低コヒーレント干渉を利用して吸光度を計測する吸光度計測装置に関するものである。
また、本発明は、試料液を点着浸透せしめられる多層フィルムに関するものである。
さらに、本発明は吸光度計測方法に関するものである。
試料液の中の特定の科学成分を定性的にもしくは定量的に分析することが、様々な分野において広く行われている。特に血液や尿等、生物体液中の化学成分または有形成分を定量分析することは、臨床生化学分野において極めて重要である。
従来より、試料液の小滴を点着供給するだけでこの試料液中に含まれている特定の化学成分または有形成分の物質濃度を測定することができるドライタイプの化学分析装置が利用されている。
特に、近年においては、吸光度計測装置を備え、図4に示すような拡散層121 、試薬層122 、支持層123 からなるフィルム120 を用い、拡散層側121 から検体である血液等を点着浸透させ、支持層側から光を入射させ、試薬層と拡散層との境界から反射された反射光の強度を検出することにより、試薬層において反応した特定成分の同定を行うドライタイプの化学分析装置が開発されている。
しかしながら、上述した従来のドライタイプの化学分析装置における吸光度計測装置においては、一度に一項目(例えば被検体である血液中の一成分)の検査しかできず、複数の臨床検査項目について計測するためには、そのたびに異なる試薬のフィルムに差し替える等の作業が必要となり計測(検査)に長時間を要するという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、計測時間を短縮することができる吸光度計測装置を提供することを目的とするものである。また、主として該吸光度計測装置において計測に供される多層フィルムおよび、吸光度計測方法を提供することを目的とするものである。
本発明の吸光度計測装置は、それぞれ異なる試薬を含む複数の試薬層が積層されてなる多層フィルムに低コヒーレント光を照射し、その低コヒーレント干渉を利用して前記各試薬層における吸光度を計測する吸光度計測装置であって、
低コヒーレント光である信号光を前記フィルムの一面から入射せしめる信号光入射手段と、
前記信号光と僅かな周波数差を有する、低コヒーレント光である参照光を出射する参照光出射手段と、
前記入射された信号光の、前記複数の試薬層の各層の光入射側境界面において反射された各後方散乱光と前記参照光とを各別に干渉せしめる干渉手段と、
該干渉により得られた各干渉光の強度を各別に検出する光検出手段と、
前記各干渉光の強度に基づいて、前記各試薬層における吸光度を求める吸光度演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
ここで上記低コヒーレンス光としては、可干渉距離が数十μm程度と短い例えばSLD(Super Luminescent Diode)やLED等の光源から出射された光が用いられる。
また、上記「干渉光の強度を測定する」とは、上記後方散乱光(信号光)と参照光との差周波数で強弱を繰り返すビート信号(干渉光)の強度を計測することを意味し、例えば、ヘテロダイン干渉計等による計測を利用する。
前述の吸光度計測装置における前記信号光入射手段と前記参照光出射手段とが、前記低コヒーレント光を出射する光源と、該光源から出射された低コヒーレント光を、互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する信号光と参照光とに分割する光路分割手段と、前記信号光と参照光とで僅かな周波数差が生じるように両光のうち少なくとも一方を変調する、該両光のうち少なくとも一方の光路上に設けられた変調手段とを用いて構成されていることが望ましい。変調手段としては例えば光音響変調器(AOM)等を用いればよい。
また、前記吸光度演算手段が、前記各干渉光の強度に基づいて、前記各後方散乱光の強度を求めるヘテロダイン検出手段を備え、
前記各後方散乱光の強度に基づいて前記各試薬層における吸光度を求めるものであることが望ましい。
さらに、前記吸光度演算手段が、検体が浸透せしめられていない多層フィルムの前記各試薬層について得られた前記各干渉光の強度と、検体が浸透せしめられた多層フィルムの前記各試薬層について得られた前記各干渉光の強度とに基づいて前記検体の浸透に基づく前記各試薬層における吸光度を求めるものであることが望ましい。ここで、「検体が浸透せしめられていない多層フィルム」および「検体が浸透せしめられた多層フィルム」とは、同種の多層フィルムであって検体が浸透せしめられたものおよび検体が浸透せしめられていないものであってもよいし、同一の多層フィルムであって検体を点着浸透せしめる前および後のものであってもよい。さらには、後述のように一部に検体非浸透部を有する多層フィルムに検体が点着せしめられたものの検体浸透部および検体非浸透部をも含む意である。
上記各吸光度計測装置においては、前記干渉手段としては、例えば、前記各後方散乱光の光路長(前記各試薬層の厚み)に応じて参照光の光路長を調節する、可動ミラー等の光路長調節手段、もしくは、前記各後方散乱光の光路長(前記各試薬層の厚み)に応じて参照光の位相を変化せしめる位相物体を用いることができる。
なお、前記干渉手段として前記位相物体を用いる場合には、該位相物体として、前記参照光を前記各後方散乱光のそれぞれと各別に干渉する位相を有する部分光の束に変換するものを用い、前記光検出手段として、前記各後方散乱光と該各後方散乱光に対応する前記位相を有する各部分光との干渉により生じる複数の干渉光を各別に測定する検出器アレイを用いることが望ましい。
前記光源は、単一の光源手段からなるものであってもよいし、互いに異なる波長帯の光を出射する複数の光源手段を備えたものであってもよい。
本発明の多層フィルムは、それぞれ異なる試薬を含む複数の試薬層が積層されてなる、検体が点着浸透せしめられて検査に供される多層フィルムであって、
一部に前記複数の試薬層に亘る検体非浸透部を有することを特徴とするものである。
該多層フィルムは、一方の面から低コヒーレント光が入射されて前記複数の試薬層の各層における吸光度計測において好適に用いられるものである。
吸光度計測において用いられる前記多層フィルムにおいては、前記複数の試薬層が、前記一方の面から所定の波長に対する吸光度が小さいものから順に配されていることが望ましい。
本発明の吸光度計測方法は、それぞれ異なる試薬を含む複数の試薬層が積層されてなる多層フィルムに低コヒーレント光を照射し、その低コヒーレント干渉を利用して前記各試薬層における吸光度を測定する吸光度計測方法であって、
低コヒーレント光である信号光を前記多層フィルムの一面から入射せしめ、
前記信号光と僅かな周波数差を有する低コヒーレント光である参照光と、前記入射された信号光の前記各試薬層の入射側境界面から反射された各後方散乱光とを干渉せしめ、
該干渉により得られた各干渉光の強度を各別に検出し、
前記各干渉光の強度に基づいて、前記各試薬層における吸光度を求めることを特徴とするものである。
前記多層フィルムが、検体浸透部と検体非浸透部とを有するものである場合には、前記多層フィルムに検体を点着せしめた後に、前記低コヒーレント光を多層フィルムの一面から入射せしめ、該多層フィルムの前記検体浸透部と非浸透部についてそれぞれ前記各干渉光の強度を検出し、該両部について得られた前記各干渉光の強度に基づいて前記検体の浸透に基づく前記各試薬層における吸光度を求めればよい。
一方、検体が点着浸透せしめられていない多層フィルムについて、前記各干渉光の強度を検出したのち、該多層フィルムに検体を点着し、検体が点着せしめられた前記多層フィルムについて、前記各干渉光の強度を検出し、前記検体点着前後の多層フィルムについてそれぞれ得られた前記各干渉光の強度に基づいて前記検体の浸透に基づく前記各試薬層における吸光度を求めるようにしてもよい。
本発明の吸光度計測装置および吸光度計測方法によれば、低コヒーレント干渉を利用することにより、それぞれ異なる試薬を含む複数の試薬層の各層毎の吸光度を測定するものであるため、一項目の検査ごとにフィルムを差し替えて計測していた従来の装置と比較して、一枚のフィルムで複数の検査項目について短時間で検査することができる。
本発明の多層フィルムはそれぞれ異なる試薬を含む複数の試薬層が積層されてなるものであるため一枚のフィルムで複数の検査項目の検査を行うことができ、一部に検体非浸透部を有するものであるため、検体浸透部と非浸透部との測定を行って各試薬層毎に検体に基づく吸光度を容易に、かつ精度良く求めることができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第一の実施形態である吸光度計測装置構成を示す図である。
図示の吸光度計測装置は、λの中心波長を有し、波長帯域の広い、可干渉距離が数十μm程度の低コヒーレンスな光Lを出射するSLD11を備えた光源装置10と、この光源装置10から出射された低コヒーレンスな光Lを互いに異なる2つの光路に沿って各別に進行する信号光Ls と参照光Lr とに分割し、また2つの光を干渉せしめる4つのビームスプリッタ21a,21b,21c,21d と、信号光Ls と参照光Lr とで僅かな周波数差△fが生じるように両光Ls ,Lr を各別に変調する光音響変調器(AOM)25a,25b と、参照光Lr の光路長を調整する、光軸方向(矢印X方向)に移動可能の反射ミラー27と、後述の多層フィルム100 に導光された信号光Ls の、各試薬層の境界面からの後方散乱光Ln と参照光Lr とが干渉して得られた干渉光Lcnの強度を測定する光検出器28と、この干渉光Lcnの強度に基づいて光ヘテロダイン後方散乱測定法により後方散乱光Ln の強度In を求める光ヘテロダイン検出手段29と、該光ヘテロダイン検出手段29により得られた後方散乱光Ln の強度In を基に、フィルム100 の各試薬層における吸光度を求める吸光度演算手段30とを備えた構成である。すなわち、本吸光度計測装置においては、光源装置10とビームスプリッタ21a,21b により信号光入射手段が形成され、同様にして光源装置10とビームスプリッタ21a,21c とAOM25a,25b とにより参照光出射手段が形成され、ビームスプリッタ21a,21b,21c,21d とミラー27とにより干渉手段が形成されている。
ここでAOMは必ずしも本実施形態のように両光(信号光Ls および参照光Lr )を各別に変調するものである必要はなく、少なくとも一方を変調して両光Ls ,Lr に僅かな周波数差を生じさせるものであればよい。
多層フィルム100 は、図2に示すように、例えば、互いに異なる試薬を含む4層の試薬層102 〜105 (第一試薬層102 〜第四試薬層105 )と、試薬層105 の上層に配されている拡散層106 と、試薬層102 の下層に配されているリファレンス層101 とから構成されており、検体が浸透しない検体非浸透部108 と検体が浸透せしめられる検体浸透部109 とを有するものである。従って、検体は拡散層側から点着浸透せしめられるが、非浸透部108 には浸透しない構造となっている。なお、試薬層の層数は4層に限るものではなく、検査項目や測定装置の精度に応じて異なる層数のフィルムを用いることができる。また、ここで、試薬層102 〜105 は、光入射面110 側から波長λに対する吸光度が小さいものから順に配されており、入射面110 から遠い層(例えば、第三、第四試薬層104,105 )にも十分信号光Ls が入射するように構成されている。
次に本実施形態の吸光度計測方法について説明する。
ここでは、予め検体が点着浸透済みの多層フィルム100 (以下、単にフィルムという)を用意し、検体浸透部109 と検体非浸透部108 に関して各層101 〜106 間の境界面110 〜115 からの各後方散乱光Ln(n=0〜5)の強度を計測し、該両部における計測結果を基にして検体浸透に基づく吸光度を求める。
まず、SLD11から中心波長λの低コヒーレンス光Lが出射される。出射された光Lは光路上の最初のビームスプリッタ21a により、信号光Ls と参照光Lr とに分割される。これら信号光Ls および参照光Lr は各光路上にそれぞれ設けられたAOM25a,25b により変調され、両光Ls ,Lr には僅かな周波数差△fが生じる。
次に、変調された両光のうち信号光Ls はビームスプリッタ21b によりフィルム100 に向けて反射され、該フィルム100 の一面から入射する。フィルム100 に入射した信号光Ls は各層101〜106の境界面110 〜115 で反射され、各境界面110 〜115 における後方散乱光L0 〜L5 としてフィルム100 から出射される。各境界面110 〜115 からの各後方散乱光L0 〜L5 はビームスプリッタ21b を通過して次のビームスプリッタ21c に入射し、ここで反射される。
一方、変調された後の参照光Lr は、ビームスプリッタ21c を通過してミラー27に入射し、このミラー27で反射され再度ビームスプリッタ21c に入射しここで反射されて次のビームスプリッタ2Id を通過する。なおこのとき、ミラー27をその光軸方向(矢印X方向)に移動すると、参照光Lr がビームスプリッタ21d に到達するまでの光路長が変化する。
ビームスプリッタ21d を経た後方散乱光Ln および参照光Lr は、再び同軸上に重なることになり、所定の条件の時に参照光Lr といずれかの後方散乱光とが干渉をおこしビート信号を発生する。
参照光Lr および後方散乱光Ln は、可干渉距離の短い低コヒーレンスな光であるため、各後方散乱光Ln のうち、信号光Ls として通過した距離と後方散乱光Ln としてビームスプリッタ21d に到達するまでの通過距離との和が、参照光Lr のビームスプリッタ21d に到達するまでの通過距離に略等しい後方散乱光だけが参照光Lr と干渉し、この干渉する両光の周波数差(△f)で強弱を繰り返すビート信号が発生する。従って、ミラー27を光軸方向に移動せしめて参照光Lr の通過距離(光路長)Mr(x) を変化させることにより、各後方散乱光Ln と各別に干渉せしめることができる。ここでxはミラー位置を示すものであり、フィルム100 の各層の層厚にそれぞれ対応する0〜5の位置をとる。
すなわち、ビームスプリッタ21a 〜ビームスプリッタ21b 間の距離とビームスプリッタ21b 〜フィルム表面110 の往復距離とビームスプリッタ21b 〜ビームスプリッタ21d 間の距離の和が、ミラー27が位置x=0にあるときの参照光Lr の光路長Mr(0) に略等しいとき、参照光Lr はフィルム表面110 からの後方散乱光L0 と干渉し、ビームスプリッタ21a 〜ビームスプリッタ21b 間の距離とビームスプリッタ21b 〜リファレンス層101 /第一試薬層102 の境界面111 の往復距離とビームスプリッタ21b 〜ビームスプリッタ21d 間の距離との和が、ミラー27が位置x=1にあるときの参照光Lr の光路長Mr(1) に略等しいとき、参照光Lr はリファレンス層101 /第一試薬層102 の境界面111 からの後方散乱光L1 と干渉する。このようにして、ミラー位置xを位置0〜5の間で移動させることにより各後方散乱光Ln についてそれぞれ参照光Lr と干渉せしめて各干渉光Lcnを生じさせる。
従って、まずビームスプリッタ21c に配置したミラー27を、信号光の、空気/リファレンス層101 との境界であるフィルム表面110 による後方散乱光L0 と参照光Lr との干渉によるビート信号が光検出器28で認められる位置x=0まで、徐々にビームスプリッタ21c から遠ざける方向に移動する。このミラー位置x=0において干渉光Lc0のビート信号を測定後、ミラー27をさらにビームスプリッタ21c から遠ざける方向に移動すると干渉光Lc0によるビート信号は発生しなくなるが、ミラー27の移動を続けると再度ビート信号が光検出器28により検出される。この2度目のビート信号は、信号光のリファレンス層101 /第一試薬層102 間の境界面111 による後方散乱光L1 と参照光Lr とが干渉することにより発生したものであり、最初のビート信号の検出からリファレンス層101 の厚さに相当する光路長分だけミラー27を移動して位置x=1となった時に発生する。
このようにして参照光Lr と各後方散乱光Ln とによるビート信号の強度を光検出器28により検出する。
このようにして得られたビート信号の強度は電気信号に変換されてヘテロダイン検出手段29に入力され、ヘテロダイン検出手段29においてこれらの電気信号に基づいて各後方散乱光の強度In が算出される。
すなわち、各ビート信号の強度はそれぞれ各後方散乱光Ln の強度と参照光Lr の強度との積の平方根であり、参照光Lr の強度については予め測定した値を用いて、各後方散乱光の強度を求めることができる。
吸光度演算手段30においては、フィルム100 の検体浸透部109 および検体非浸透部108 について上述のようにしてそれぞれ求められた各後方散乱光の強度Inから、各試薬層102 〜105 における検体の浸透に基づく、すなわち被測定物質に基づく吸光度ABSを以下のような演算に基づいて求める。
ある層の吸光度Aは、当該層の透過率をTとしてA=log(1/T)で定義されるものであり、各層の前後の境界面の強度比で表される。ここでは、各層の信号光入射側の面(各層の境界面)110 〜115 の反射率をR0 〜R5 とし、各層101 〜105 の層厚をt1 〜t5 とし、検体非浸透部108 における各境界面110 〜115 からの各後方散乱光の強度をI0 〜I5 、各層の吸光度をA1 〜A5 とし、一方、検体浸透部109 における後方散乱光の強度および吸光度にはそれぞれ「’」を付す。
例えば第一試薬層102 における被測定物に基づく吸光度ABS1 を求める場合について説明する。
検体非浸透部108 におけるリファレンス層101 /第一試薬層102 間の境界面111 からの後方散乱光L1 の強度I1 と第一試薬層102 /第二試薬層103 間の境界面112 からの後方散乱光L2 の強度I2 との信号強度比および検体浸透部109 における信号強度比がそれぞれ、
log(I1/I2)=A1-logR2-log[(1-R1)/R1] ・・・(1)
log(I1'/I2')=A1'-logR2-log[(1-R1)/R1]・・・(2)
で表され、上式(1)、(2)の差から被測定物に基づく吸光度ABS1 が、
ABS1 =log(I1'/I2')−log(I1/I2) ・・・(3)
から求められる。
同様にして各試薬層における被測定物に基づく吸光度ABSn を求めることができる。
ここで、検体非浸透部108 における第一試薬層102 の吸光度をA1 、検体浸透部109 における第一試薬層102 の吸光度をA1'で表すとき、両者には以下の関係がある。
A1'=A1 +2ε1t1C1 ・・・(4)
ここで、C1 は被測定物質濃度(例えばグルコースや尿酸等の濃度)であり、ε1 は、試薬の種類で決まる比例定数である。
従って、上記のようにして各試薬層における被測定物に基づく吸光度ABS1 が求められると、(3)式および(4)式より、
2ε1t1C1=log(I1'/I2')−log(I1/I2) ・・・(5)
であるから、被測定物質の物質濃度C1 を得ることができる。
このようにして、低コヒーレント光を利用することにより多層の試薬層を有するフィルムを用いた各層毎の物質濃度計測が容易にできるようになり、単一のフィルムで多項目の計測ができるため、計測時間を短縮することができる。
上記においては図2に示すような検体浸透部109 と検体被浸透部108 を備えたフィルムを用いて両部109,108 からの後方散乱光強度を検出することにより各試薬層の被測定物に基づく吸光度ABS1 を求めたが、一枚のフィルムについて検体点着前後における各層の後方散乱光強度を検出することにより吸光度ABS1 を求めることも可能である。また、各試薬層の反射率や吸光度を設計値で代表させることとして、検体が点着浸透せしめられたものについてのみ各後方散乱光強度を検出して吸光度ABS1 を求めることも可能である。
次に、図3に示す本発明の第二の吸光度計測装置について説明する。
本第二の吸光度計測装置については上記第一の吸光度計測装置と同等の構成要素に同符号を付し、詳細な説明を省略する。本吸光度計測装置においては光源装置10’に、それぞれλ1 ,λ2 ,…,λn の中心波長を有し、波長帯域の広い低コヒーレンスな光を出射するSLD11a ,11b ,…,11n という複数の光源を備えている。各SLD11a ,11b ,…,11n は順次に光を出射するようにしてもよいし、同時に光を出射するようにしてもよい。各中心波長はそれぞれフィルム100 の各試薬層のいずれかにおいて吸収の大きいものが選択されており、例えば、第一試薬層102 における吸光度測定時にはSLD11a から出射される中心波長λ1のコヒーレンスな光が利用され、第二試薬層103 における吸光度測定時にはSLD11b から出射される中心波長λ2 のコヒーレンスな光を利用する。このときSLD11b から出射される光は第一試薬層102 において吸収の少ない波長を選択することにより、第二試薬層103 における吸光度を精度良く計測することができる。同様にして、第三試薬層104 における吸光度測定時には第一および第二試薬層102,103 において吸収の少ない波長であって、第三試薬層104 における吸収が多い波長のコヒーレンスな光を計測に用いればよい。もっとも、光源装置10は必ずしも複数の光源からなるものである必要はなく上記第一の吸光度計測装置と同様に所定の波長を有する単一の光源からなるものであってもよい。
本吸光度計測装置は、参照光Lr および後方散乱光Ln の両光の光路上にそれぞれビームエクスパンダ35a,35b を備え、さらに、参照光Lr の光路上には単一位相であった参照光Lr を複数の位相を有する光Lr’ に変換する位相物体36を備えている。
ビームスプリッタ21a からビームスプリッタ21c の方向へ反射された参照光Lr は、ビームエクスパンダ35a によりビーム径を広げられた状態でビームスプリッタ21c を透過してミラー37に入射する。ミラー37によって反射されて再びビームスプリッタ21c で反射された参照光Lr は位相物体36に入射されてそれぞれ異なる位相を有する部分光の束に変換される。各位相はフィルムの各境界面110 〜115 からの各後方散乱光Ln とそれぞれ干渉する位相とされているが、好適に干渉せしめるためにミラー37を微小移動させることによる多少の調整を要する場合がある。但し、ミラー37の移動は上記第一の実施形態の場合と比較して僅かであるため通常のピエゾ素子を用いた調整が可能で構成上簡便である。
干渉光Lcnを検出する検出器としてフォトダイオードアレイ等の検出器アレイ38を配し、上記のように、位相物体36を備えたことにより、各境界面110 〜115 からの各後方散乱光Ln と参照光Lr との各干渉光Lcnをほぼ同時に検出することができる。従って、一境界面毎にミラーを移動させて干渉光を測定する上述の第一の実施形態と比較してもさらに計測時間を短縮することができる。
本発明の第一の実施形態に係る吸光度計測装置の概略構成図 本発明の多層フィルムを示す図 本発明の第二の実施形態に係る吸光度計測装置の概略構成図 従来のドライケミカル装置の吸光度計測装置において計測に供されるフィルムを示す図
符号の説明
10 光源装置
11 光源
21a 〜21d ビームスプリッタ
25a ,25b 光音調変調器
27 ミラー
28 光検出器
29 ヘテロダイン検出手段
30 吸光度演算手段
100 多層フィルム
102 〜105 試薬層
110 〜115 境界面
Ls 信号光
Ln(L1〜L5) 後方散乱光
Lr 参照光
Lcn(Lc1〜Lc5) 干渉光

Claims (2)

  1. それぞれ異なる試薬を含む複数の試薬層が積層されてなる、検体が点着浸透せしめられて検査に供される多層フィルムであって、
    一部に前記複数の試薬層に亘る検体非浸透部を有するものであり、
    一方の面から低コヒーレント光が入射されて前記複数の試薬層の各層における吸光度計測に供されることを特徴とする多層フィルム。
  2. 前記複数の試薬層が、前記一方の面から所定の波長に対する吸光度が小さいものから順に配されていることを特徴とする請求項1記載の多層フィルム。
JP2005319001A 2005-11-02 2005-11-02 吸光度計測に供される多層フィルム Pending JP2006053165A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005319001A JP2006053165A (ja) 2005-11-02 2005-11-02 吸光度計測に供される多層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005319001A JP2006053165A (ja) 2005-11-02 2005-11-02 吸光度計測に供される多層フィルム

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35813997A Division JP3753211B2 (ja) 1997-12-25 1997-12-25 吸光度計測装置および計測方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006053165A true JP2006053165A (ja) 2006-02-23

Family

ID=36030715

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005319001A Pending JP2006053165A (ja) 2005-11-02 2005-11-02 吸光度計測に供される多層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006053165A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010536039A (ja) * 2007-08-09 2010-11-25 グラクソスミスクライン エルエルシー 光干渉断層解析

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5590859A (en) * 1978-12-27 1980-07-09 Eastman Kodak Co Grain structure for liquid analysis or transportation* element* and preparing same elements
JPS60183860U (ja) * 1984-05-16 1985-12-06 大日本印刷株式会社 試験片
JPH05211894A (ja) * 1991-09-20 1993-08-24 Eastman Kodak Co 血清コリンエステラーゼ活性についてのアッセイ方法及び分析要素
JPH06165784A (ja) * 1992-11-30 1994-06-14 Olympus Optical Co Ltd 光断層イメージング装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5590859A (en) * 1978-12-27 1980-07-09 Eastman Kodak Co Grain structure for liquid analysis or transportation* element* and preparing same elements
EP0013156A1 (en) * 1978-12-27 1980-07-09 EASTMAN KODAK COMPANY (a New Jersey corporation) Particulate structure and element for analysis or transport of a liquid and method of making said element
JPS60183860U (ja) * 1984-05-16 1985-12-06 大日本印刷株式会社 試験片
JPH05211894A (ja) * 1991-09-20 1993-08-24 Eastman Kodak Co 血清コリンエステラーゼ活性についてのアッセイ方法及び分析要素
JPH06165784A (ja) * 1992-11-30 1994-06-14 Olympus Optical Co Ltd 光断層イメージング装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010536039A (ja) * 2007-08-09 2010-11-25 グラクソスミスクライン エルエルシー 光干渉断層解析

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5920996B2 (ja) 2次元試料配列を検出及び撮像するためのシステム及び方法
US20070009935A1 (en) Arrangements, systems and methods capable of providing spectral-domain optical coherence reflectometry for a sensitive detection of chemical and biological sample
CN103649721B (zh) 用于确定体液内物质浓度的方法和系统
KR20020027377A (ko) 필드-베이스 빛 산란 스펙트로스코피를 이용하는 방법 및시스템
JP5955661B2 (ja) 分光測定装置、分光測定用具、分光測定方法およびプログラム
US20130314712A1 (en) Method and device for determining optical properties by simultaneous measurement of intensities at thin layers using light of several wavelengths
JPWO2011039953A1 (ja) Fret測定方法及び装置
JP4577052B2 (ja) クロマトグラフィー測定装置
EP1288662B1 (en) Method for optical detection of an adjoining of a material component to a sensor material with the aid of biological, chemical or physical interaction and device for carrying out said method (variants)
JP5585973B2 (ja) Fret計測装置及びfret計測方法
US8617470B2 (en) System for label-free quantitative detection of biomolecules
Yim et al. Photothermal spectral-domain optical coherence reflectometry for direct measurement of hemoglobin concentration of erythrocytes
JP5868327B2 (ja) 光検出装置及び方法
JP2007178442A6 (ja) イメージングの装置及び方法
JP2004117298A (ja) 全反射減衰を利用した測定方法および測定装置
JP5002616B2 (ja) 液体試料中の分析対象の測定方法及び分析装置
JP2020535403A (ja) 自家蛍光消光アッセイおよび装置
JP2009236487A (ja) ヘマトクリット値または血液成分濃度の測定方法および測定装置
JP2006053165A (ja) 吸光度計測に供される多層フィルム
JP3753211B2 (ja) 吸光度計測装置および計測方法
JPH11248622A (ja) 尿検査装置
JP2004531719A (ja) イメージングの装置及び方法
JP2011089917A (ja) 試験片ハウジングおよび濃度測定用イムノクロマトデバイス
JP2003329581A (ja) 光ファイバ型多波長分光測定装置および光ファイバを用いた多波長分光測定方法
EP2905604A1 (en) Device for detection of a light modifying target substance, method for detection of a target substance, and use of an optical fiber for detection of a target substance

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051130

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061128

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20090106

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090305

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090924

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100406