JP2006051416A - 汚染ガス除去紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】薫蒸処理した後の残留した薫蒸ガスおよびVOC、大気汚染ガス等の各種汚染ガスを吸着除去し、収蔵庫の薫蒸処理後の安全管理や、新築、リフォーム後の建材等から発生するVOCや大気汚染ガスを吸着除去して、人や物に対して安全な環境を提供する。
【解決手段】本発明は、粉末活性炭の単独か、もしくは親水性のガス吸着性粉体とを併用し、3層以上の多層抄き合わせ紙の中層にガス吸着性粉体を40〜80質量%担持させたものである。ガス吸着性粉体として平均粒子径が50μm以下の粉末活性炭を使用し、これに親水性ガス吸着性粉体として含鉄アルミニウム水和物やアルミノケイ酸亜鉛系鉱物やシリカゲルを併用し、混合比率を規制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、保存施設の収蔵庫等で病害虫や黴の駆除を目的として、薫蒸ガスで薫蒸処理した後の残留した薫蒸ガスや、建材等から発散する揮発性の有機化合物(以下、VOCと呼称する)、酸性やアルカリ性の大気汚染ガスを除去する紙に関するものである。詳しくは、薫蒸処理した後に庫内の空気を強制的に換気して安全な管理濃度に到達せしめた後で、庫内の収蔵品の種類や配置状態の違い、あるいは温湿度等の環境変化によって薫蒸ガスの脱着が起こり、庫内の薫蒸ガス濃度が管理濃度以上に再上昇することを防止したり、新築やリフォーム直後の建材や家具から発散するVOC等を効率よく除去したり、大気汚染ガスを吸着除去するための汚染ガス除去紙に関するものである。
文化財に限らず検疫や農業分野において、病害虫や黴の駆除を目的として薬剤による薫蒸処理が行われてきたことは周知の事実である。我が国においては、臭化メチルがその優れた殺虫力、浸透性等の特徴を有することから文化財用の殺虫燻蒸剤として広範囲に使用されてきた。特に臭化メチルと酸化エチレンとの混合ガスによる燻蒸剤は効果的に殺虫・殺菌が行われるために、美術館、博物館、図書館、文書館等において資料や作品(以下、収蔵品と呼称する)の新規受け入れ時や、毎年、あるいは隔年毎に行われる収蔵品の定期的な薫蒸用として使用されてきた。
ところが、1997年の第9回モントリオール議定書締約国会議において、オゾン層の破壊と発癌性の恐れのある臭化メチル(オゾン破壊係数が0.2以上のものが規制の対象となるが、臭化メチルのオゾン破壊係数は0.4であり、規制の対象となっている)の生産と使用を2005年までに全廃することが合意された。そこで臭化メチルの代替燻蒸剤としてヨウ化メチル(オゾン破壊係数=0.02)や酸化プロピレン(オゾン破壊係数=0)による薫蒸処理と、その有効性や安全性を確認する検討が開始された。
一般的に日本で行われてきた従来の薫蒸作業は、収蔵庫内を1mあたり100g程度の燻蒸剤(臭化メチル86%+酸化エチレン14%)で24時間処理した後、数ppm以下の安全な管理濃度に達するまで強制的に庫内空気の換気を数日間に渡り繰り返し行って終了する。しかしながら、収蔵品の種類と収蔵庫内の配置状態の違いや、温湿度等の環境変化によって収蔵品に吸着されていた薫蒸ガスの脱着が起こり、一旦は安全な管理濃度に達した収蔵庫内の薫蒸ガス濃度が、数十ppmにまで再上昇してしまうという問題点を抱えている。そのために収蔵庫内に残留した、あるいは収蔵品から脱着した低濃度の薫蒸ガスを効果的に除去する安価な材料が求められてきた。
また、一方において、近年、新築やリフォームした入居者の「シックハウス症候群」が問題となっている。その原因の一部は、建材や家具から発散するホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、硫化水素、酢酸といったVOCに起因して発生すると考えられ、建築物の環境を一段と改善しようとする規制が導入されるようになった。また、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガス等のアルカリ性や酸性の大気汚染ガスも以前から問題とされており、文化財保存施設等においても収蔵品の汚染ガスによる変色や劣化を防ぐための対策が採られるようになってきている。このように人や物に対して安全な環境を提供するために、新築やリフォーム直後の建築空間の汚染ガスを効果的に除去できる材料も求められている。
本発明は、上記したような問題点を解決することを課題とし、具体的には下記の5点を課題とした。
(1)薫蒸ガスに対して、優れた吸着性能を有する粉体を見出すこと。
(2)VOC等の汚染ガス、アルカリ性や酸性の大気汚染ガスに対して、優れた吸着性能を有する粉体を見出すこと。
(3)3層以上の多層抄き合わせ紙の中層にガス吸着性粉体を担持させること。
(4)ガス吸着性粉体の脱落によって収蔵品を汚さないこと。
(5)一般の焼却ゴミ処理で廃棄可能であり、安価であること。
即ち、本発明の請求項1に係る発明は、製紙用繊維を主体とした3層以上の多層抄き合わせ紙の中層に、ガス吸着性粉体を40〜80質量%含有せしめ、その中層の表裏に製紙用繊維を主体とした抄き合わせ紙を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙である。
本発明の請求項2に係る発明は、ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭であることを特徴とする請求項1に記載の汚染ガス除去紙である。
本発明の請求項3に係る発明は、ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭と含鉄アルミニウム水和物の混合物であり、その混合比率が4:1〜1:1であることを特徴とする請求項1に記載の汚染ガス除去紙である。
本発明の請求項4に係る発明は、ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物の混合物であり、その混合比率が4:1〜1:1であることを特徴とする請求項1に記載の汚染ガス除去紙である。
本発明の請求項5に係る発明は、ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭とシリカゲルの混合物であり、その混合比率が4:1〜1:1であることを特徴とする請求項1に記載の汚染ガス除去紙である。
本発明によれば、薫蒸処理後の換気によって収蔵庫内空気の薫蒸ガス濃度を数ppm以下の安全な管理濃度まで低下させてから、1mあたり0.2〜3.0m(使用量:気積率A/V=0.2〜3.0m−1)の汚染ガス除去紙を数日間、天井から或いは壁に沿って吊したり、収蔵品や収納棚を被覆することによって、残留や脱着した低濃度の薫蒸ガスを効果的に除去できるものである。また、前記したと同様の方法で新築或いはリフォームされた建築空間において1週間〜数ヶ月使用してVOC等の汚染ガスを効果的に除去し、併せて大気汚染ガスをも吸着除去し、使用後は一般のゴミ処理として焼却廃棄できる安価な材料を提供することが出来る。
本発明者は、前述した問題点を解決するために、臭化メチル代替燻蒸剤であるヨウ化メチルや酸化プロピレンに対して優れた吸着性能を有する粉体と、VOCや大気汚染ガス等の汚染ガスに対して優れた吸着性能を有する粉体を見出すための検討を行った。次いで、製紙用繊維を主体とした3層以上の多層抄き合わせ紙の中層に一定量以上のガス吸着性粉体を担持させ、その中層の表裏に製紙用繊維を主体とした紙を抄き合わせ、ガス吸着性粉体の脱落を防止して収蔵品を汚さないような構成としたのである。また、担持させる材料として製紙用繊維を主体とした紙を使用することによって、一般のゴミ処理で焼却廃棄が可能な形態とした。
本発明者は、優れたガス吸着性能を有する粉体を見出すために、各種の粉体を以下にのべるような2つのグループに分けて検討を行った。また、ガス吸着性能評価として、ポリプロピレンに低融点のポリエチレンを被覆した複合繊維よりなる坪量40g/mの不織布で作られた10×10cmの袋の中に、各種のガス吸着性粉体を0.5g封入して評価用のサンプルとした。さらにブランクとして、木材パルプ単独よりなる坪量50g/mの紙を0.5g用意した。これらのサンプルを温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間放置して前処理し、次いでこのサンプルをテドラーバッグに入れて脱気し、既知の濃度に調製した各種のガス2リットルを注入して直ちに検知管(ガステック(株)製造)を使用してその濃度を温度23℃の条件下で測定し、これを初期濃度とした。温度を23℃のまま5時間放置した後で再度テドラーバッグ内の残存ガス濃度を測定した。各サンプルのガス吸着性能は、初期濃度から残存ガス濃度を差し引き、各ガス吸着性粉体1gあたりの吸着量(μg)として換算した。初期濃度は酸化プロピレンとヨウ化メチルが300ppm、酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスは100ppmを基準とした。
ガス吸着性粉体の第1のグループは、疎水性の活性炭である。活性炭は、その形状から大別すると粒状活性炭と粉末活性炭の2つに分類できる。本発明においては抄紙法により粉体を紙に担持させるので、平均粒子径が50μm以下の粉末活性炭を使用することが好ましい。一般的に活性炭の原料としては木炭、木材、椰子殻、石炭、亜炭、瀝青炭、ピート等が使用される。使用される原料の違いにより、ガスの吸着量に影響を及ぼす細孔径分布が大きく異なるので、各種ガスへの吸着性能に差が生じてくるのが特徴である。
ガス吸着性粉体の第2のグループは、シリカゲル、ゼオライト、アルミナゲル等の活性炭以外の吸着剤である。これらの吸着剤は親水性であって、水のような極性分子を選択的に吸着するのが特徴である。本発明は、前述した残留薫蒸ガスの除去が主目的である。しかし、同時に収蔵庫内の亜硫酸ガス等の大気汚染物質も除去できれば更に有用なものとなる。また、新築した建物において、建材や家具等から発散するVOC等の汚染ガスも除去できれば、新築やリフォームされた住宅、あるいは保存施設にとって欠くべからざるものとなる。従って本発明においては、両方のグループのガス吸着性粉体を活かした汚染ガス除去紙の提供を目的としたものである。
表1に前記した各種のガス吸着性粉体1gあたりのガス吸着量(μg)を測定して以下のような4分類に区分し、汚染ガスの種類によって基準は異なるが、○以上を汚染ガスの吸着性能があると判定した。
◎:汚染ガスを良く吸着する。
○:吸着する。
△:少し吸着する。
×:吸着しない。
酸化プロピレンについて:◎:7500μg/g以上
○:7500μg/g未満〜2000μg/g以上
△:2000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
ヨウ化メチルについて :◎:1500μg/g以上
○:1500μg/g未満〜1000μg/g以上
△:1000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスについて :◎:1000μg/g以上
○:1000μg/g未満〜500μg/g以上
△:500μg/g未満〜200μg/g以上
×:200μg/g未満
〈表1〉
Figure 2006051416
表1の結果から以下のことがわかった。
(1)ヨウ化メチルや酸化プロピレンを良く吸着する粉体は椰子殻活性炭であり、木質活性炭も両方のガスを吸着するが椰子殻活性炭と比較すると若干劣る。また、シリカゲルは酸化プロピレンを吸着する。
(2)含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物の親水性の吸着剤は、ヨウ化メチルや酸化プロピレンをほとんど吸着しない。
(3)椰子殻活性炭と木質活性炭はキシレンやトルエンを吸着する。シリカゲルと含鉄アルミニウム水和物とアルミナケイ酸亜鉛系鉱物はキシレンとトルエンを少ししか吸着しない。
(4)木質活性炭、椰子殻活性炭、シリカゲル、は硫化水素を少ししか吸着しないが、含鉄アルミニウム水和物、アルミナケイ酸亜鉛系鉱物は硫化水素を吸着する。
(5)含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物、シリカゲル、木材パルプ紙は酢酸を吸着する。
以上のことから、ヨウ化メチルや酸化プロピレンといった残留薫蒸ガスを除去するには活性炭を単独で担持させた汚染ガス除去紙で良いことがわかる。しかしながら、前述したVOCや大気汚染ガスをも吸着除去できるものにするには活性炭と親水性の吸着剤を併用する必要性がある。
本発明におけるガス吸着性粉体としては、疎水性の活性炭を単独か、もしくは親水性のガス吸着性粉体と併用して使用する。活性炭のガス吸着性能は、その使用原料によって異なり、かつ細孔径と細孔分布に大きく影響される。平均細孔半径のピークが10オングストローム付近に集中している椰子殻活性炭は、平均細孔径が20〜35オングストロームに分布している木質活性炭より平均細孔径が遙かに小さいために、薫蒸ガスやトルエン、キシレン等のVOCに対する吸着性能が優れていることが前述の評価結果からも確認できた。従って本発明で使用する活性炭としては木質活性炭も使用できるが、椰子殻活性炭の方が好ましいものである。加えて、活性炭の平均粒子径は50μm以下の粉末活性炭が好ましい。抄紙する際の適性を考慮するとこれよりも平均粒子径が大きいと粒子の凹凸によって抄紙機が損傷しやすくなるので好ましくない。また、平均粒子径が小さくなるほど比表面積が増大するのでガス吸着性能の向上効果としては好ましいが、小さくなるにつれてコストが高くなってくる傾向があるので、平均粒子径としては3〜50μmの範囲のものが好ましい。
前述した親水性のガス吸着性粉体としては、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、合成ゼオライト、含鉄アルミニウム水和物、アルミノケイ酸亜鉛系鉱物等の合成無機粉体や、アロフェン、珪藻土、珪藻頁岩、白土、活性白土、天然ゼオライト等の天然の無機粉体を挙げることが出来る。そしてこれらの単独、あるいは1種類以上を併用して使用することが出来る。しかしながら、それぞれのガス吸着性能を補填するために活性炭の他、数種類の粉体を使用しても一向に構わない。上記した粉体のうち、含鉄アルミニウム水和物とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物は、水澤化学工業(株)からそれぞれ「アルフェマイトFP」、「ミズカナイトHP」の商品名で市販されている。また、シリカゲルは富士シリシア化学(株)から「シリカゲルPA−270A」の商品名で市販されている。表1に示したように含鉄アルミニウム水和物とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物は、特に硫化水素に対する吸着性能があり、酢酸、ホルムアルデヒド、アンモニア、亜硫酸ガスおよび硝酸ガスに対する吸着性能も良好であるので好適に使用できる。また、シリカゲルは、アンモニア、酢酸、ホルムアルデヒド、硝酸ガスに対する吸着性能が優れており、好適に使用できる。
本発明においては、製紙用繊維を主体とした3層以上の多層抄き合わせ紙の中層をガス吸着性粉体と製紙用繊維の混抄紙とし、この中層の表裏に収蔵品等の汚れを防止するため、製紙用繊維を主体とする抄き合わせ紙を設けることを特徴とする。製紙用繊維としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプの単独、あるいは混合物を主体とし、これに麻、ケナフ等の非木材パルプ、レーヨン、ビニロン、ポリエチレン、合成パルプ、ポリプロピレン等の化学繊維や合成繊維を混合して使用することができる。また、ガス吸着性粉体の脱落や中層の層間剥離を防ぐため、ポリビニルアルコール繊維のような熱水溶解型繊維やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の低融点の熱接着性繊維や複合繊維を併用することが出来る。しかしながら、表1で示したように木材パルプが本来具備している酢酸等に対するガス吸着性能を最大限に生かした使用方法が望ましい。
本発明では、前記した製紙用繊維100質量部に対して、必要に応じて炭酸カルシウムやタルクのようなアルカリ性粉体を0.02〜5.0質量部定着させ、冷水抽出pH値が6.5〜10.0の範囲にあって、坪量が10〜30g/mの中性紙を3層以上抄き合わせ、中層の表裏とすることが好ましい。坪量が10g/m未満であるとガス吸着性粉体が脱落する危険性があり、坪量が30g/m以上になるとガス吸着速度が若干低下する傾向があるので好ましくない。さらに中層としては、製紙用繊維とガス吸着性粉体の混合物100質量%のうち、ガス吸着性粉体が40〜80質量%を含有する坪量40〜70g/m紙層を得た後、全坪量が60〜130g/mの3層抄き合わせ紙を得る。但し、中層を2層にする場合、中層は80〜140g/mの2層抄き合わせ紙になり、表裏合わせて坪量が100〜200g/mの4層抄き合わせ紙となる。
上記のようにして得られた3層抄き合わせ紙には、16〜56g/m(4層抄き合わせの場合には32〜112g/m)のガス吸着性粉体が担持された紙になる。一般的に汚染ガスの吸着速度と吸着量は、紙表面に点在するガス吸着性粉体の充填密度(表面積)と充填量に深く関係している。ガス吸着性粉体が16g/m未満であると汚染ガスの吸着量が少なくなり、56g/mを越えると吸着速度と吸着量には問題ないが、充填量が多すぎて粉体の歩留まりが一層低下し、生産コストがアップしてしまうので好ましくない。そのために3層漉き合わせ紙の中層におけるガス吸着性粉体の含有量は16〜56g/m(4層漉き合わせの場合には32〜112g/m)の範囲が好ましい。
本発明におけるガス吸着性粉体は、活性炭の単独か、もしくは含鉄アルミニウム水和物またはアルミノケイ酸亜鉛系鉱物、あるいはシリカゲルを併用する。併用する場合の混合比率は4:1〜1:1の範囲が好ましい。主として残留した薫蒸ガスの除去が目的の場合には椰子殻活性炭の混合比率を高めたものとし、VOCや大気汚染ガスの除去と両用する目的の場合には1:1の混合比率にしたものが好適に使用される。この理由は、前述したように各種の汚染ガスに対する吸着性能が、吸着剤の種類によって大きく異なることによる。
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)25質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)18質量部を400mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーに、ポリビニルアルコール繊維(商品名「VBP107」、(株)クラレ製造)2質量部と椰子殻活性炭(商品名「太閤CB」、二村化学工業(株)製造)140質量部を混合し、8質量%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分質量に対して、紙力増強剤(商品名「ネオタックL−1」、日本食品加工(株)製造)を固形分換算で0.5質量%添加して分散し、さらに高分子アニオン性凝集剤(商品名「ハイホルダー351」、栗田工業(株)製造)を固形分換算で0.006質量%添加し、中層用の原料として調整した。次に針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量部を450mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーを5質量%濃度に調製した。このパルプスラリーの固形分に対して、炭酸カルシウム(商品名「炭カルPライト100」、白石工業(株)製造)0.03質量部と湿潤紙力増強剤(商品名「WS−500」、日本PMC(株)製造)を0.3質量部添加し、中層の表裏に抄き合わせる原料として調整した。以上の2つの原料を、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この表裏抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.5であり、中層の椰子殻活性炭のワンパスリテンションは約67%で、椰子殻活性炭の含有量は41g/mであった。
[実施例2]
実施例1と全く同じ処方と調整を行った2つの原料を使用し、2種4層抄き合わせの円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量150g/mの4層抄き合わせ紙を得た。この表裏抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.4であり、中層の椰子殻活性炭の含有量は82g/mであった。
[実施例3]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)25質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)18質量部を400mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーに、ポリビニルアルコール繊維(商品名「VBP107」)2質量部と椰子殻活性炭(商品名「太閤CB」)112質量部、含鉄アルミニウム水和物(商品名「アルフェマイトFP」、水澤化学工業(株)製造)28質量部を混合し、8質量%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分質量に対して、紙力増強剤(商品名「ネオタックL−1」)を固形分換算で0.5質量%添加して分散し、さらに高分子アニオン性凝集剤(商品名「ハイホルダー351」)を固形分換算で0.006質量%添加し、中層用の原料として調整した。次に針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量部を450mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーを5質量%濃度に調製した。このパルプスラリーの固形分に対して、炭酸カルシウム(商品名「炭カルPライト100」)0.03質量部と湿潤紙力増強剤(商品名「WS−500」)を0.3質量部添加し、中層の表裏に抄き合わせる原料として調整した。以上の2つの原料を、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この表裏抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.6であり、中層の椰子殻活性炭と含鉄アルミニウム水和物のワンパスリテンションは約66%で、両粉体の含有量は40g/mであった。
[実施例4]
実施例3の中層の原料処方のうち、含鉄アルミニウム水和物をアルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」、水澤化学工業(株)製造)に置き換えた以外は、実施例3と全く同じ処方と調整を行った2つの原料を使用し、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量が90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.3であり、中層の活性炭とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物のワンパスリテンションは約65%で、両粉体の含有量は39g/mであった。
[実施例5]
実施例3の中層の原料処方のうち、含鉄アルミニウム水和物をシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」、富士シリシア化学(株)製造)に置き換えた以外は、実施例3と全く同じ処方と調整を行った2つの原料を使用し、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量が90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.3であり、中層の活性炭とシリカゲルのワンパスリテンションは約65%で、両粉体の含有量は39g/mであった。
[実施例6]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)25質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)18質量部を400mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーに、ポリビニルアルコール繊維(商品名「VBP107」、)2質量部と椰子殻活性炭(商品名「太閤CB」)70質量部、含鉄アルミニウム水和物(商品名「アルフェマイトFP」)70質量部を混合し、8質量%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分質量に対して、紙力増強剤(商品名「ネオタックL−1」)を固形分換算で0.5質量%添加して分散し、さらに高分子アニオン性凝集剤(商品名「ハイホルダー351」)を固形分換算で0.006質量%添加し、中層用の原料として調整した。次に針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量部を450mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーを5質量%濃度に調製した。このパルプスラリーの固形分に対して、炭酸カルシウム(商品名「炭カルPライト100」)0.03質量部と湿潤紙力増強剤(商品名「WS−500」)を0.3質量部添加し、中層の表裏に抄き合わせる原料として調整した。以上の2つの原料を、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この表裏抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.6であり、中層の椰子殻活性炭と含鉄アルミニウム水和物のワンパスリテンションは約66%で、両粉体の含有量は40g/mであった。
[実施例7]
実施例6の中層の原料処方のうち、含鉄アルミニウム水和物をアルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)に置き換えた以外は、実施例6と全く同じ処方と調整を行った2つの原料を使用し、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量が90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.3であり、中層の活性炭とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物のワンパスリテンションは約65%で、両粉体の含有量は39g/mであった。
[実施例8]
実施例6の中層の原料処方のうち、含鉄アルミニウム水和物をシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)に置き換えた以外は、実施例6と全く同じ処方と調整を行った2つの原料を使用し、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量が90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.3であり、中層の活性炭とシリカゲルのワンパスリテンションは約65%で、両粉体の含有量は39g/mであった。
[比較例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)48質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)25質量部を400mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーに、ポリビニルアルコール繊維(商品名「VBP107」)2質量部と椰子殻活性炭(商品名「太閤CB」)25質量部を混合し、8質量%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分質量に対して、紙力増強剤(商品名「ネオタックL−1」)を固形分換算で0.5質量%添加して分散し、さらに高分子アニオン性凝集剤(商品名「ハイホルダー351」)を固形分換算で0.006質量%添加し、中層用の原料として調整した。次に針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量部を450mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーを5質量%濃度に調製した。このパルプスラリーの固形分に対して、炭酸カルシウム(商品名「炭カルPライト100」)0.03質量部と湿潤紙力増強剤(商品名「WS−500」)を0.3質量部添加し、中層の表裏に抄き合わせる原料として調整した。以上の2つの原料を、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この表裏抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は6.5であり、中層の椰子殻活性炭のワンパスリテンションは約60%で、椰子殻活性炭の含有量は15g/mであった。
[比較例2]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)25質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)18質量部を400mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーに、ポリビニルアルコール繊維(商品名「VBP107」)2質量部と椰子殻活性炭(商品名「太閤CB」)40質量部、含鉄アルミニウム水和物(商品名「アルフェマイトFP」)100質量部を混合し、8質量%濃度のスラリーに調整した。このスラリーの固形分質量に対して、紙力増強剤(商品名「ネオタックL−1」)を固形分換算で0.5質量%添加して分散し、さらに高分子アニオン性凝集剤(商品名「ハイホルダー351」)を固形分換算で0.006質量%添加し、中層用の原料として調整した。次に針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量部と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量部を450mlC.S.F.に叩解して得られたパルプスラリーを5質量%濃度に調製した。このパルプスラリーの固形分に対して、炭酸カルシウム(商品名「炭カルPライト100」)0.03質量部と湿潤紙力増強剤(商品名「WS−500」)を0.3質量部添加し、中層の表裏に抄き合わせる原料として調整した。以上の2つの原料を、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この表裏抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.6であり、中層の椰子殻活性炭と含鉄アルミニウム水和物のワンパスリテンションは約67%で、両粉体の含有量は42g/mであった。
[比較例3]
比較例2の中層の原料処方のうち、含鉄アルミニウム水和物をアルミノケイ酸亜鉛系鉱物(商品名「ミズカナイトHP」)に置き換えた以外は、比較例2と全く同じ処方と調整を行った2つの原料を使用し、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量が90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.3であり、中層の活性炭とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物のワンパスリテンションは約64%で、両粉体の含有量は38g/mであった。
[比較例4]
比較例2の中層の原料処方のうち、含鉄アルミニウム水和物をシリカゲル(商品名「シリカゲルPA−270A」)に置き換えた以外は、比較例2と全く同じ処方と調整を行った2つの原料を使用し、2種3層抄き合わせ円網抄紙機を使用して、表層15g/m、中層60g/m、裏層15g/mの構成で抄紙し、坪量が90g/mの3層抄き合わせ紙を得た。この抄き合わせ紙の冷水抽出pH値は7.3であり、中層の活性炭とシリカゲルのワンパスリテンションは約64%で、両粉体の含有量は38g/mであった。
実施例1〜8、比較例1〜4で得られた抄き合せ紙のガス吸着性能の良否を確認した結果を表2に示した。尚、表中の実1〜実8は実施例1〜8を、比1〜4は比較例1〜4を示し、活性炭量(g/m)は粉体含有量中の活性炭の量を示す。評価は以下のようにして行った。評価用のサンプルとして、実施例1〜8、および比較例1〜4の汚染ガス除去紙を5×5cm角に裁断したものを用意した。これらのサンプルを23℃、相対湿度50%の条件下で24時間放置して前処理し、次いでこれらのサンプルをテドラーバックに入れて脱気し、既知の濃度に調整した各種のガスを2リットルづつ注入して、直ちに検知管(ガステック(株)製造)を使用してその濃度を温度23℃の条件下で測定し、これを初期濃度とした。温度を23℃のまま5時間放置した後で再度テドラーバック内の残存ガス濃度を測定した。各サンプルのガス吸着量は初期濃度から残存ガス濃度を差し引き、各サンプル1gあたりの吸着量(μg/g)として換算した。初期濃度は酸化プロピレンとヨウ化メチルが300ppm、酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスは100ppmを基準にした。前記した各種の汚染ガス除去紙1g当りのガス吸着量(μg/g)を測定した試験結果を表2に示した。尚、表中の◎(良く吸着する)、○(吸着する)、△(少し吸着する)、×(吸着しない)印の基準は、次に示した4分類に区分したものであり、ガスの種類によって印の基準は異なるが、◎と○印を吸着性能があると判定した。
◎:汚染ガスを良く吸着する。
○:吸着する。
△:少し吸着する。
×:吸着しない。
酸化プロピレンについて:◎:7500μg/g以上
○:7500μg/g未満〜2000μg/g以上
△:2000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
ヨウ化メチルについて :◎:1500μg/g以上
○:1500μg/g未満〜1000μg/g以上
△:1000μg/g未満〜500μg/g以上
×:500μg/g未満
酢酸、ホルムアルデヒド、硫化水素、キシレン、トルエン、アンモニア、亜硫酸ガス、硝酸ガスについて :◎:1000μg/g以上
○:1000μg/g未満〜500μg/g以上
△:500μg/g未満〜200μg/g以上
×:200μg/g未満
〈表2〉
Figure 2006051416
表2から以下のことがわかる。
(1)実施例1〜8は、各種の汚染ガスに対する吸着性能が認められる。
(2)比較例1〜4は、活性炭量が不足しているため、薫蒸ガスである酸化プロピレンとヨウ化メチルに対する吸着性能が劣る。
以上の結果から、本発明の実施例1〜8は、薫蒸ガスの残留ガスの除去紙およびVOCや大気汚染ガス除去紙として兼用できるものであることがわかる。
以下に代表的な使用例とその効果について述べる。
某美術館の収蔵庫(容積が480m)を酸化プロピレン(48g/m)とアルゴンの混合気体を使用して48時間薫蒸した後、庫内空気の換気を強制的に4日間行い、換気が終了した時点での酸化プロピレン濃度を0ppmにした。次に、換気を行わないで24時間放置した後で酸化プロピレンの濃度を再測定したところ、10ppmに再上昇していた。そこで実施例1で得られた汚染ガス除去紙(坪量が90g/m)を庫内の壁面や収納棚に設置(使用量:A/V=1.5m−1)して24時間換気を行わずに放置した後で酸化プロピレンの濃度を測定したところ0ppmになっていた。さらに72時間換気しないで放置したが、酸化プロピレン濃度が再上昇することはなく、薫蒸ガスに対して除去効果があることが確認された。
某歴史館の特別収蔵庫(容積が394m)を、ヨウ化メチル(40g/m)の気体で24時間薫蒸した後、庫内空気の換気を強制的に24時間行い、換気が終了した時点でのヨウ化メチルの濃度を1ppm以下にした。次いで3時間毎に換気の運転と停止を24時間繰り返した後、ヨウ化メチルの濃度を測定したところ30ppmに再上昇していた。そこで実施例5で得られた汚染ガス除去紙(坪量が90g/m)を庫内の壁面や収納棚に設置(使用量:A/V=2.0m−1)して、再び3時間毎に換気運転と停止を24時間繰り返した後、ヨウ化メチルの濃度を測定したところ、換気停止時のヨウ化メチル濃度が再上昇することがなく、明らかに薫蒸ガスに対する除去効果があることが確認された。
某社の新築開館前の資料展示室を中央で間仕切りし、容積がそれぞれ500mの展示室A、Bとした。展示室Aには実施例1で得られた汚染ガス除去紙(坪量が90g/m)を室内の天井や壁から吊したり、床に敷いたりした(使用量:A/V=2.0−1)が、展示室Bは空のままの状態として1ヶ月間それぞれの資料展示室を放置した。1ヶ月後の室内空気質調査結果を表3に示した。但し、汚染ガスの濃度単位はppbとし、表3中の−印は検出されなかったことを意味する。
〈表3〉
Figure 2006051416
表3の結果から以下のことがわかる。
(1)展示室Aの空気質は明らかに展示室Bよりも改善されており、外気並みの空気質になっていることがわかる。
(2)汚染ガス除去紙は、空気中の酸やアルカリ成分の大気汚染物質やVOC成分を吸着除去する性能を有していることがわかる。
本発明による汚染ガス除去紙は、薫蒸処理後の低濃度の残留ガスや脱着ガスを吸着して、収蔵庫内の薫蒸ガス濃度が再上昇することを防ぐと共に、新築住宅やリフォーム後の保存施設における建材等から発散するVOCや大気汚染ガス等の汚染ガスを吸着することができ、安価で安全な汚染ガス除去紙として好適に利用できる。
:本発明による、2種3層抄き合わせの汚染ガス除去紙の断面を示した模式図である。 :本発明による、2種4層抄き合わせの汚染ガス除去紙の断面を示した模式図である。
符号の説明
1 表層の抄き合わせ紙である。
2 ガス吸着性粉体を含有する中層のガス吸着性粉体混抄紙である。
3 裏層の抄き合わせ紙である。












Claims (5)

  1. 製紙用繊維を主体とした3層以上の多層抄き合わせ紙の中層に、ガス吸着性粉体を40〜80質量%含有せしめ、その中層の表裏に製紙用繊維を主体とした抄き合わせ紙を設けたことを特徴とする汚染ガス除去紙。
  2. ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭であることを特徴とする請求項1に記載の汚染ガス除去紙。
  3. ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭と含鉄アルミニウム水和物の混合物であり、その混合比率が4:1〜1:1であることを特徴とする請求項1に記載の汚染ガス除去紙。
  4. ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭とアルミノケイ酸亜鉛系鉱物の混合物であり、その混合比率が4:1〜1:1であることを特徴とする請求項1に記載の汚染ガス除去紙。
  5. ガス吸着性粉体が、平均粒子径50μm以下の粉末活性炭とシリカゲルの混合物であり、その混合比率が4:1〜1:1であることを特徴とする請求項1記載の汚染ガス除去紙。
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