JP2006045632A - 蒸着装置 - Google Patents

蒸着装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006045632A
JP2006045632A JP2004229888A JP2004229888A JP2006045632A JP 2006045632 A JP2006045632 A JP 2006045632A JP 2004229888 A JP2004229888 A JP 2004229888A JP 2004229888 A JP2004229888 A JP 2004229888A JP 2006045632 A JP2006045632 A JP 2006045632A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vapor deposition
substrate
substrate holding
holding means
deposition source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004229888A
Other languages
English (en)
Inventor
Matashiyu So
亦周 宋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shincron Co Ltd
Original Assignee
Shincron Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shincron Co Ltd filed Critical Shincron Co Ltd
Priority to JP2004229888A priority Critical patent/JP2006045632A/ja
Publication of JP2006045632A publication Critical patent/JP2006045632A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】 安定した成膜プロセスを実現することによって、高い効率で薄膜を形成することができる蒸着装置を提供する。
【解決手段】 基体保持手段(13)と、基体保持手段(13)に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源(20)と、を備える蒸着装置1である。
蒸着源(20)に対峙した基体保持手段(13)の最大幅(d)に対して、蒸着源(20)のと基体保持手段(13)の距離(h)の比率が1未満である。
【選択図】 図1

Description

本発明は蒸着装置に係り、特に真空槽内で原料を加熱して生じた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置に関する。
薄膜、例えば光学薄膜を形成する技術として、イオンビームアシスト蒸着法(以下、「IAD」という)や、イオンプレーティング法(以下、「IP」という)が知られている。
IADは、イオン銃を用いてイオンを基体へ向けて照射しながら、真空槽の底面に配置された蒸着源から薄膜の原料物質を蒸発させ、この蒸発物を基板へ堆積させる蒸着方法である(例えば、特許文献1)。IADでは、比較的高い圧力の真空状態でイオンを発生させて、このイオンを比較的低い圧力の成膜室に導き出しているため、成膜室を低い圧力に維持した状態で蒸着を行うことができる。
IPは、例えば蒸着源と基板との間にプラズマを発生させる励起手段(高周波コイル)を設けて、この励起手段によってプラズマを発生させながら蒸着を行う(例えば、特許文献2)。IPでは、低いエネルギーで高密度のイオンを利用して蒸着を行うことができる。
また、図9に示すように、IAD,IPいずれの場合でも、従来の蒸着装置では、成膜の効率化のために、蒸着源120から離れた位置に設置された円盤状(あるいはドーム状)の基体ホルダ113に、多数の基板Sを保持させて、これらの多数の基板Sに対して同時に膜形成を行うようにしているのが一般的である。このとき、蒸着源120から発生する蒸発物を、各基板Sに対して満遍なく堆積させる必要があるために、基体ホルダ113を回転させながら蒸着を行うとともに、基体ホルダ113と蒸着源120との距離をある程度離間させた状態で蒸着を行っていた。すなわち、従来の蒸着装置では、基体ホルダ113と蒸着源120との距離をh、基体ホルダ113の直径をdとすると、h/dの値が1以上となるような位置関係で、基体ホルダ113と蒸着源120が設けられていた。また、同じく蒸着源120から発生する蒸発物を各基板Sに対して満遍なく堆積させるために、基体ホルダ113を10〜100rpmの回転速度で回転させて、基板を公転させながら蒸着を行っていた。
特開2003−197115号公報(第3−5頁、図2) 特開平11−106899号公報(第3頁、図1)
しかしながら、上記従来のIADでは、照射するイオンのエネルギーが高く、またイオン密度を向上するために、複雑な構造をもつイオン銃に高い電力を投入しなくてはならず、さらに装置が故障しないようにメンテナンスを頻繁に行わなければならず、成膜の効率が低下する原因となるという問題があった。また、イオン銃と基体との距離が長いため、基体に対して高密度のイオンを照射して効率的な成膜を行うことが困難であるという問題があった。
また、上記従来のIPでは、プラズマを発生させる励起手段や真空槽の壁などに蒸発物が堆積し、励起手段でのプラズマ発生が不安定となって、再現性が悪くなるという問題があった。特に、蒸着源と基体が従来のように離れていると、真空槽に付着する蒸発物も多くなり、それだけ、真空槽内の環境が変化しやすくなり、プラズマが不安定になりやすいという問題があった。
また、蒸着源と基体が従来のように離れていると、真空槽内の環境が変化し易くなるばかりではなく、成膜の効率が減少するという問題があった。すなわち、蒸着源と基体の距離の2乗に逆比例して成膜の効率が低下してしまう。特に、プラズマを真空槽内で発生させるためには、ある程度高い圧力(例えば10−1Pa〜10Pa程度)で蒸着を行う必要がある。しかし、真空槽内の圧力を高くすると、真空槽内の圧力増加に伴って、蒸発物質の平均自由行程が減少し、成膜の効率を必要なレベルに維持するのが困難であった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、安定した成膜プロセスを実現することによって、再現性よく、高い効率で薄膜を形成することができる蒸着装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の蒸着装置は、真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、を備え、前記蒸着源に対峙した前記基体保持手段の最大幅(d)に対して、前記蒸着源と前記基体保持手段の距離(h)の比率が1未満であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の蒸着装置は、真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、を備え、前記蒸着源に対峙した前記基体保持手段の最大幅(d)に対して、前記蒸着源と前記基体保持手段の距離(h)の比率が0.4以上0.6以下の範囲にあることを特徴とする。
このように、蒸着源に対峙した基体保持手段の最大幅(d)に対して、蒸着源と基体保持手段の距離(h)の比率が1未満、又は0.4以上0.6以下の範囲にある構成とすることで、膜厚の分布を良好にしながら、蒸着源と基体保持手段との距離を短くすることが可能となる。これにより、蒸発物質の平均自由行程が短い場合でも効率よく成膜を行うことが可能となる。
請求項3に記載の蒸着装置は、請求項1または請求項2に記載の蒸着装置において、前記基体保持手段は、回転可能に構成され、前記蒸着源に対峙した前記基体保持手段の最大幅(d)に対して、前記基体保持手段の回転軸線から前記蒸着源までの距離(R)の比率が0.4以上0.5以下の範囲にあることを特徴とする。
このように、蒸着源に対峙した基体保持手段の最大幅(d)に対して、基体保持手段の回転軸線から蒸着源までの距離(R)の比率が0.4以上0.5以下の範囲にある構成とすることで、膜厚分布をさらに良好に保ちながら、蒸着源と基体保持手段との距離を短くすることが可能となる。これにより、蒸発物質の平均自由行程が短い場合でも効率よく成膜を行うことが可能となる。
請求項4に記載の蒸着装置は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載の蒸着装置において、前記基体保持手段と前記蒸着源の間の領域でプラズマを発生させるためのプラズマ発生手段をさらに備えたことを特徴とする。
このように、プラズマ発生手段をさらに備える構成とすることで、プラズマによる成膜の補助を効率的に行いながら蒸着を行なうことが可能となる。
請求項5に記載の蒸着装置は、請求項4に記載の蒸着装置において、前記プラズマ発生手段は、前記蒸着源よりも前記基体保持手段に近い位置に設けられていることを特徴とする。
このように、プラズマ発生手段が、蒸着源よりも基体保持手段に近い位置に設けられていることで、基板の近傍にプラズマを発生させることを可能にして、高い密度のプラズマによって蒸発物質の反応を促進する等の成膜の補助を効率的に行うことが可能となる。
上記課題を解決するために、請求項6に記載の蒸着装置は、真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、前記基体保持手段と前記蒸着源の間の領域でプラズマを発生させるためのプラズマ発生手段と、を備え、前記プラズマ発生手段は、前記蒸着源よりも前記基体保持手段に近い位置に設けられていることを特徴とする。
このように、プラズマ発生手段が、蒸着源よりも基体保持手段に近い位置に設けられていることで、基板の近傍にプラズマを発生させることを可能にして、高い密度のプラズマによって蒸発物質の反応を促進する等の成膜の補助を効率的に行うことが可能となる。
請求項7に記載の蒸着装置は、請求項6に記載の蒸着装置において、前記プラズマ発生手段は、前記真空槽内で蒸着による成膜を行う空間である膜形成室に誘導電界を発生させるための高周波アンテナを有し、該高周波アンテナは、前記膜形成室の外側に設けられていることを特徴とする。
このように、高周波アンテナが膜形成室の外側に設けられている構成とすることで、高周波アンテナに原料蒸発物が堆積してプラズマ発生が不安定となることを抑制することが可能となる。
請求項8に記載の蒸着装置は、請求項6又は請求項7に記載の蒸着装置において、前記プラズマ発生手段が複数設けられていることを特徴とする。
このように、プラズマ発生手段が複数設けられている構成とすることで、膜形成室に発生させるプラズマの分布を容易に調整することが可能となる。
請求項9に記載の蒸着装置は、請求項6又は請求項7に記載の蒸着装置において、前記基体保持手段は、回転可能に構成され、
前記プラズマ発生手段が前記基体保持手段の回転方向に沿って複数設けられていることを特徴とする。
このように、プラズマ発生手段が基体保持手段の回転方向に沿って複数設けられている構成とすることで、公転する基板に対するプラズマの分布を容易に調整することが可能となる。
上記課題を解決するために、請求項10に記載の蒸着装置は、真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、前記基体に向けてイオンビームを照射するためのイオンビーム照射手段と、を備え、前記イオンビーム照射手段は、前記蒸着源よりも前記基体保持手段に近い位置に設けられていることを特徴とする。
このように、イオンビーム照射手段が、蒸着源よりも基体保持手段に近い位置に設けられているため、低電力で高い密度のイオンを基板に向けて照射することが可能となり、これにより効率的な成膜が可能となる。
請求項11に記載の蒸着装置は、請求項10に記載の蒸着装置において、前記イオンビーム照射手段が複数設けられていることを特徴とする。
このように、イオンビーム照射手段が複数設けられている構成とすることで、基板に対して照射するイオンの分布を容易に調整することが可能となる。
請求項12に記載の蒸着装置は、請求項10に記載の蒸着装置において、前記基体保持手段は、回転可能に構成され、前記イオンビーム照射手段が前記基体保持手段の回転方向に沿って複数設けられていることを特徴とする。
このように、プラズマ発生手段が基体保持手段の回転方向に沿って複数設けられている構成とすることで、公転する基板に照射するイオンの分布を容易に調整することが可能となる。
以上のように、本発明の蒸着装置によれば、蒸着源と基体保持手段の相対位置を最適化することで、膜厚の分布を良好にしながら、蒸発物質の平均自由行程が短い場合でも効率よく成膜を行うことが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,部材の配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
図1,図2は、本実施形態の蒸着装置の概略構成を示す説明図である。図3は、本実施形態のプラズマ発生手段を説明する説明図である。図4,図5は、基体ホルダと蒸着源の相対位置と膜厚分布の関係を示すグラフである。
図1は、理解の容易のために一部断面をとった蒸着装置1の側面の説明図である。図2は、図1の線A−A線に沿って断面をとった蒸着装置1の説明図である。
図1,図2に示した本実施形態の蒸着装置1は、真空槽11と、基板(不図示)を保持するための基体ホルダ13と、膜厚補正板15と、蒸着源20と、高周波プラズマ発生手段30A,30B,30C,30D,30E,30Fとを有して構成されている。
なお、高周波プラズマ発生手段30A〜30Fは、本発明のプラズマ発生手段に相当する。基体ホルダ13は、本発明の基体保持手段に相当する。基板は、本発明の基体に相当するものである。本発明の基体に相当するものは、本実施形態のように板状の基板に限らず、円柱状,円管状等の部材であってもよい。
真空槽11は、公知の蒸着装置で通常用いられるようなステンレススチール製の容器であり、概ね中空の多角柱の形状をしている。真空槽11はアースされている。真空槽11の内部の空間は、蒸着による成膜を行う空間である膜形成室11Aとなっている。
真空槽11には排気用の排気口11gが設けられ、該排気口11gを介して真空ポンプ(不図示)が接続されている。真空ポンプを作動させることで、膜形成室11Aを真空状態にすることができる。また、真空槽11には、膜形成室11Aにガスを導入するためのガス導入管12bが接続されている。
ガス導入管12bには、ガスボンベ12が接続され、ガスボンベ12に収容されたガスを、ガスボンベ12から膜形成室11Aに供給できるようになっている。ガスボンベ12に収容するガスは特に限定されないが、形成する薄膜の構成元素等に応じて適宜都合のよいものを選ぶ。例えば、酸素ガス,窒素ガス,弗素ガス,オゾンガス等の反応性ガスやアルゴンガスがガスボンベ12に収容される。
ガスボンベを複数設置して、複数種類のガス(例えば酸素ガスとアルゴンガス)をガスボンベ12から膜形成室11Aに供給できるようにすることもできる。ガスボンベ12からのガスの流量はマスフローコントローラ12aで調整される。
また、真空槽11には、後述の高周波プラズマ発生手段30A,30B,30C,30D,30E,30Fが設置される位置に開口が形成されている。本実施形態では、真空槽11の側壁に、後述の回転軸線Z(図1参照)を中心に等角度間隔で6つの開口11a,11b,11c,11d,11e,11fが形成されている。
また、開口11a〜11fは、蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い位置に形成されている。これらの開口11a〜11fは、石英ガラス等で形成された誘電体壁32A,32B,32C,32D,32E,32Fで塞がれている。この誘電体壁32A〜32Fによって真空槽11の内外の空間(膜形成室11Aとその外部)を隔てて、真空槽11内外の気密が保たれている。
基体ホルダ13は、薄膜を形成させる基板を保持するためのものであり、本実施形態の基体ホルダ13は、ほぼ円板の形状を有している。基体ホルダ13は、膜形成室11A内の上方位置に設けられている。基体ホルダ13には複数の開口が設けられている。そして、該開口から真空槽11の底面を臨むように、基板が基体ホルダに載置され、真空槽11の底面に配置された蒸着源20と、基板とが対向するようになっている。なお、基板は、ボルトや固定フランジ、板バネ等の固定具を用いて基体ホルダ13に固定される。
また、基体ホルダ13は、回転支持枠17aによって、真空槽11内で回転可能に支持される。回転支持枠17aにはモーター17が接続されている。モーター17の回転駆動力は、回転支持枠17aを介して基体ホルダ13に伝達され、基体ホルダ13が回転する。基体ホルダ13がモーター17で回転させられることで、基体ホルダ13に保持された基板が、蒸着源20に対向した状態で回転軸線Zを中心に回転する。
膜厚補正板15は、真空槽11の内壁面に立設されている。膜厚補正板15は、板状の部材である。この膜厚補正板15は、後述の蒸着源20から発生する原料蒸発物が、基体ホルダ13に配置される基板に均一に、又は所望の分布で到達するようにするためのものであり、基体ホルダ13と蒸着源20との間に位置するように設置されている。膜厚補正板15の形状は、基板の配置や、蒸着源20と基体ホルダ13との相対的な位置や、形成させようとする薄膜の膜厚分布等に応じて種々の形状が採用される。
蒸着源20は、真空槽11の底面に設けられている。本実施形態の蒸着源20は、電子ビーム蒸着源であり、薄膜の原料を保持する坩堝21と、坩堝21に充填された原料に照射する電子ビームを発生させるための電子銃22とを備えている。坩堝21には、水冷可能に配管が施されている。坩堝21に充填された蒸着原料に電子ビームを照射することにより、蒸着原料を蒸発させるように構成されている。
電子銃22には電子銃電源23が接続されている。電子銃電源23によって電子銃22に電力を供給することで、電子銃22から電子ビームを発生させて、この電子ビームによって、坩堝21内の蒸着原料が加熱される。加熱された蒸着原料の蒸発物である原料蒸発物は、膜形成室11Aに拡散し、その一部が基体ホルダ13に保持された基板に付着して薄膜を形成する。
なお、蒸着源として、抵抗過熱蒸発源や、高周波加熱蒸発源を用いたり、レーザービームを用いた蒸着源を用いたりすることもできる。抵抗過熱蒸発源は、蒸着原料が充填されたヒータやボードに通電することで発生する電熱を利用して蒸着原料の蒸発を行う蒸着源である。高周波加熱蒸発源は、アルミナ等の坩堝に充填した蒸着原料を高周波コイルによる高周波誘導で加熱して蒸着原料の蒸発を行う蒸着源である。
高周波プラズマ発生手段30A,30B,30C,30D,30E,30Fは、膜形成室11Aにプラズマを発生させるために設けられるものであり、開口11a〜11fに対応して、基体ホルダ13の回転方向に沿って、蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い位置に設けられている。
本実施形態の高周波プラズマ発生手段30Aは、高周波アンテナ31Aと、誘電体壁32Aと、固定枠33Aと、アンテナ支持具34Aを有して構成されている。
誘電体壁32Aは、真空槽11の壁面に形成された開口11aを塞ぐ形状を備えている。誘電体壁32Aは、板状の誘電体で形成されているものであり、本実施形態では石英で形成されている。なお、誘電体壁32Aは、石英ではなくAl等のセラミックス材料で形成されたものでもよい。
固定枠33Aを真空槽11にボルト止めすることによって、誘電体壁32Aは、固定枠33Aと真空槽11に挟持されている。これにより誘電体壁32Aは、真空槽11の開口11aを塞いだ状態で固定されている。すなわち、誘電体壁32Aは、開口11aを介して膜形成室11Aに臨んで設けられている。
図3に示すように、高周波アンテナ31Aは、環状に形成されたものである。本実施形態では、高周波アンテナ31Aは一重の環状に形成されているが、平面状で渦をなすように多重の環状に形成してもよい。高周波アンテナ31Aは、アンテナ支持具34Aによって固定枠33Aに支持されている。本実施形態のアンテナ支持具34Aは、高周波アンテナ31Aを嵌合する形状を備える。高周波アンテナ31Aは、このアンテナ支持具34Aに嵌合されて支持されている。
この高周波アンテナ31Aが嵌合されたアンテナ支持具34Aを、ボルトで固定枠33Aに取り付けることで、高周波アンテナ31Aが固定枠33Aに支持されている。なお、高周波アンテナ31Aとアンテナ支持具34Aとを絶縁するために、少なくとも、高周波アンテナ31Aとアンテナ支持具34Aとの接触面が絶縁材で形成されている。このようにして、高周波アンテナ31Aは、膜形成室11Aの外側に設けられている。
高周波アンテナ31Aは、マッチング回路36Aを介して13.56MHzの高周波電源35Aに接続されている。マッチング回路36Aは、可変コンデンサ36A−a,36A−bと、マッチング用コイル36A−cとを備えている。高周波アンテナ31Aは、高周波電源35Aから電力の供給を受けて、膜形成室11Aに誘導電界を発生させ、プラズマを発生させるためのものである。
本実施形態の高周波アンテナ31Aは、銅で形成された管状の本体部と、本体部の表面を被覆する銀で形成された被覆層を備えている。高周波アンテナ31Aのインピーダンスを低下するためには、電気抵抗の低い材料で高周波アンテナ31Aを形成するのが好ましい。そこで、高周波の電流がアンテナの表面に集中するという特性を利用して、高周波アンテナ31Aの本体部を安価で加工が容易な、しかも電気抵抗も低い銅で管状に形成し、高周波アンテナ31Aの表面を銅よりも電気抵抗の低い銀で被覆している。このように構成することで、高周波アンテナ31Aのインピーダンスを低減して、高周波アンテナ31Aに電流を効率よく流して、プラズマを発生させる効率を高めている。
高周波プラズマ発生手段30B,30C,30D,30E,30Fも、高周波プラズマ発生手段30Aと同様の構成を備え、膜形成室11Aにプラズマを発生させる。すなわち、高周波プラズマ発生手段30B,30C,30D,30E,30Fは、それぞれ高周波アンテナ31B,31C,31D,31E,31Fと、誘電体壁32B,32C,32D,32E,32Fと、固定枠(図示せず)と、アンテナ支持具34B,34C,34D,34E,34Fを有して構成されている。そして、高周波アンテナ31B〜31Fは、膜形成室11Aの外側に設けられ、マッチング回路36B,36C,36D,36E,36Fを介して高周波電源35B,35C,35D,35E,35Fと接続されている。
以上のように、本実施形態では、回転軸線Zを中心にして等角度間隔で6つの開口11a〜11fを形成し、これらに対応して複数の高周波プラズマ発生手段30A〜30Fが、基体ホルダ13の回転方向に沿って設けられている。そして、高周波プラズマ発生手段30A〜30Fに高周波電源35A〜35Fが接続されている。このため、高周波アンテナ31A〜31Fに供給する電力を独立に制御して、膜形成室11Aに発生させるプラズマの分布を調整し易くしている。
また、本実施形態では、各高周波アンテナ31A〜31Fの形状を調整することでも、発生させるプラズマの分布を調整することが可能である。特に、本実施形態では、基体ホルダ13の回転方向に沿って高周波プラズマ発生手段30A〜30Fが設けられているため、公転する各基板に対するプラズマの分布を容易に調整することができる。
また、プラズマを発生させるために高周波アンテナ31A〜31Fを膜形成室11Aの外側に設けてしているため、高周波アンテナ31A〜31Fに原料蒸発物が堆積してプラズマ発生が不安定となることを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、開口11a〜11fが蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い位置に形成され、高周波プラズマ発生手段30A〜30F(高周波アンテナ31A〜31F、誘電体壁32A〜32F)を、蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い位置に設けることで、蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い領域にプラズマを発生させる構成にしている。これにより、基体ホルダ13、すなわち基板の近傍にプラズマを発生させることを可能にして、高い密度のプラズマ(電子,イオン,ラジカル等)によって成膜の補助を効率的に行うことができる。
ところで、一般に、原料蒸発物の平均自由行程を考慮すると、膜形成室11Aの圧力はできるだけ低い方が好ましい。一方で、本実施形態のように、基板の近傍に高い密度のプラズマ(電子,イオン,ラジカル等)を発生させるためには、基板近傍の圧力をプラズマが発生可能な圧力(例えば10−1Pa〜10Pa程度)に維持することが求められる。
そこで、このように基板近傍の圧力を高くしたことによって原料蒸発物の平均自由行程が減少しても、効率よく成膜できるように、本実施形態では、基体ホルダ13と蒸着源20との相対位置を定めている。すなわち、基体ホルダ13と蒸着源20との距離を短くすることで、原料蒸発物の平均自由行程が減少しても、成膜の効率が低下し過ぎないようにしている。
本実施形態では、蒸着源20に対峙した基体ホルダ13の最大幅d(基体ホルダ13の直径d)に対して、蒸着源20と基体ホルダ13の距離hの比率が1未満となるように、基体ホルダ13と蒸着源20との距離を短くしている。このとき、形成する薄膜の膜厚分布を考慮して、基体ホルダ13と蒸着源20の相対位置を、以下のように定めている。これを、図1,図4,図5を用いて説明する。
図1に示したように、(a)原料蒸発物が蒸着源20の点Pから発生すると仮定し、(b)蒸着源20の原料蒸発物が蒸発する点から距離hにある回転面内で、蒸着源20の原料蒸発物が蒸発する点から距離Rにある回転軸線Zを中心に基体ホルダ13が回転する場合を考える。このとき、基体ホルダ13の回転面内で回転軸線Zから距離xの位置に形成される薄膜の膜厚は、次の(式1)で近似される。
Figure 2006045632
上記(式1)において、h,R,x,t,tは、次のように定義づけられている。
h:基体ホルダ13の回転面と蒸着源20(蒸着原料の上表面(点P))までの距離
R:回転軸線Zから蒸着源20(坩堝21の中心(点P))までの距離
x:基体ホルダ13上(回転面内)で、回転軸線Zを基準とした薄膜が形成される位置
:基体ホルダ13上(回転面内)で、回転軸線Zを基準とした位置xにおいて形成される薄膜の膜厚
:基体ホルダ13上(回転面内)で、回転軸線Zを基準とした位置0において形成される薄膜の膜厚
本実施形態では、上記(式1)に基づいて、基体ホルダ13と蒸着源20の相対位置を決定している。
図4,5は、上記(式1)に基づく計算により、基体ホルダ13と蒸着源20の相対位置と、膜厚分布の関係を示したグラフである。図4,5の縦軸は、tに対するtの比率(相対膜厚t/t)である。図4,5の横軸は、hに対するxの比率(x/h)である。
図4は、R=0.4dとした場合における上記(式1)に基づく計算結果である。なお、dは基体ホルダ13の直径、すなわち、蒸着源20に対峙した基体ホルダ13の最大幅である。図4では、参考のために、R=0.25d、h=1dとした場合の値も示している。
図4では、膜厚分布のh依存性を示している。本例では、h=0.3d、h=0.4d、h=0.45d、h=0.5d、h=0.6d、h=1dとした場合の計算結果を示している。
図4の結果から、hの値を0.4以上0.6以下の範囲に設定することで、さらに好ましくはhの値を0.45以上0.5以下の範囲に設定することで、基体ホルダ13と蒸着源20との距離hを短くしても、比較的良好な(相対膜厚が0.8程度〜1.2程度の範囲に収まる)膜厚分布を得ることが可能であると判る。
図5は、h=0.5とした場合における上記(式1)に基づく計算結果である。図5では、膜厚分布のR依存性を示している。本例では、R=0.05d、R=0.1d、R=0.25d、R=0.3d、R=0.375d、R=0.4d、R=0.45d、R=0.475d、R=0.5dとした場合の計算結果を示している。
図5の結果から、hの値を0.5に設定することで、基体ホルダ13と蒸着源20との距離を短くしても、Rの値を0.4以上0.5以下の範囲に設定することで、より好ましくはRの値を0.4以上0.45以下の範囲に設定することで、比較的良好な(相対膜厚が0.8程度〜1.2程度の範囲に収まる)膜厚分布を得ることが可能であると判る。なお、Rの値を0.5に近づけすぎると、蒸着源20が真空槽11内で端により過ぎるため、蒸着装置1への実際の配置を考えると、0.4とするのが好ましい。
以上、図4,図5の結果から、hの値を0.4以上0.6以下の範囲に設定することで、膜厚分布を良好に保ちながら、効率よく成膜することが可能であるといえる。このとき、Rの値を0.4以上0.5以下の範囲に設定すると好適である。さらに好ましくは、hの値を0.45以上0.5以下の範囲に設定し、Rの値を0.4以上0.45以下の範囲に設定するとよい。
以下に、上述の本実施形態の蒸着装置1を用いて、蒸着により薄膜を形成する方法について説明する。
まず、坩堝21に蒸着原料を充填する。次いで、基体ホルダ13に基板を保持させて、真空槽11内に配置する。この状態で、真空槽11内を所定の圧力まで減圧する。例えば、約1×10−3Pa以下に調整する。基体ホルダ13を、モーターによって、所定の回転速度で回転させ、基板を公転させる。基体ホルダ13の回転速度は、基体ホルダ13に保持された各基板に満遍無く薄膜を形成するように、設定される。例えば、50rpm以上の回転速度で基体ホルダ13を回転させる。
膜形成室11Aが所定の圧力で安定したら、マスフローコントローラ12aを制御して、ガスボンベ12から、所定流量で必要なガスを膜形成室11Aに導入する。例えば、約50cm/minで、酸素ガスを膜形成室11Aに導入する。勿論、必要なければ、ガスボンベ12からのガス導入を行わなくてもよいし、他のガスを導入するようにすることもできる。
続いて、高周波電源35A〜35Fから高周波アンテナ31A〜31Fに電力を供給して、膜形成室11Aにプラズマを発生させる。このとき、高周波電源35A〜35Fから供給する電力を調整することで、膜形成室11Aに発生させるプラズマの分布を調整し、所望の分布でプラズマを発生させる。また、電子銃電源23によって電子銃22に対する電力供給を開始して、蒸着を行う。
本実施形態では、蒸着原料の蒸発物である原料蒸発物は、膜形成室11Aに拡散し、その一部が高周波プラズマ発生手段30A〜30Fで発生させたプラズマ状態の領域を通過し、基板に付着する。基板に付着した原料蒸発物に対しては、プラズマから供給される電子,イオン,ラジカル等が接触し、膜形成が促進される。本実施形態では、基板の近傍に高い密度のプラズマを発生させることが可能であるため、プラズマによる成膜の補助を効率的に行いながら蒸着を行うことができる。
また、本実施形態では、h/dを1よりも小さい範囲に設定すること、さらに好ましくはh/dを0.4以上0.6以下の範囲に設定することで、膜厚分布を良好に保ちながら、効率よく成膜することが可能となっている。すなわち、本実施形態の蒸着装置1によれば、基板近傍にプラズマを発生させるために基板近傍の圧力が高くなっていても、成膜の効率が低下し過ぎないようにするとともに、蒸着源20から発生する蒸発物を各基板に対して満遍なく成膜を行うことができる。
また、R/dを0.4以上0.5以下の範囲に設定すること、さらに好ましくはR/dを0.4以上0.45以下の範囲に設定することで、蒸着源20から発生する蒸発物を各基板に対して満遍なく成膜を行うことができる。さらに、基体ホルダ13を、従来よりも速い50rpm以上の回転速度で回転させることで、蒸着源20から発生する蒸発物を各基板に対して満遍なく堆積させることも可能である。
以上に説明した実施形態は、例えば、以下の(a)〜(c)のように、改変することもできる。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一部材は同一の符号を用いて示しており、その説明は上記と同様であるので省略する。
(a) 上記の実施形態では、高周波アンテナ31A〜31Fは一重の環状に形成されていたが、高周波アンテナ31A〜31Fの何れか、または総てを図6に示すように改変することもできる。
図6は、他の実施形態のプラズマ発生手段を説明する説明図である。本実施形態では、上記の実施形態における高周波アンテナ31Aの代わりに、高周波アンテナ131を用いている。
高周波アンテナ131は、アンテナ131aとアンテナ131bを備えて構成されている。アンテナ131a及びアンテナ131bは、それぞれ環状に形成されている。なお、アンテナ131a及びアンテナ131bは、平面上で渦を成した形状とすることもできる。アンテナ131aとアンテナ131bは、環状を形成する面が膜形成室11Aを向いた状態で誘電体壁32Aに隣接して設置される。言い換えれば、アンテナ131a及びアンテナ131bは、アンテナ131a及びアンテナ131bの環状を形成する面が板状の誘電体壁32Aの壁面に対向した状態で、アンテナ131a及びアンテナ131bが隣り合って設置されている。
アンテナ131aとアンテナ131bは、高周波電源35Aに対して並列に接続されている。アンテナ131a,131bは、マッチング回路136を介して高周波電源35Aに接続されている。マッチング回路136には、図4に示すように、可変コンデンサ136a,136bが設けられている。
本実施形態では、アンテナ131aに対してアンテナ131bが並列に接続されているため、上記の実施形態におけるマッチング回路36Aで、マッチング用コイル36A−cが果たす役目の全部又は一部を、アンテナ131bが果たす。したがって、マッチングボックス内での電力損失を軽減し、高周波電源35Aから供給される電力をアンテナ131a,131bでプラズマの発生に有効に活用することができる。また、インピーダンスマッチングもとりやすくなる。
また、本実施形態では、アンテナ131aをアンテナ支持具134aで、アンテナ131bをアンテナ支持具134bで支持する構成としている。アンテナ支持具134a,134bは、それぞれ上記の実施形態におけるアンテナ支持具34Aに相当するもので、アンテナ支持具134aはアンテナ131bを嵌合する形状を備え、アンテナ支持具134bはアンテナ支持具134bを嵌合する形状を備え、アンテナ支持具134a,134bには、アンテナ131a,131bが嵌合されている。
そして、固定枠33Aに対するアンテナ支持具134a,134bそれぞれの固定位置を上下にずらすことで、アンテナ131aとアンテナ131bとの間隔Dを調整できるようになっている。本実施形態では、このように、アンテナ131aとアンテナ131bとの間隔Dを調整することで、膜形成室11Aに発生させるプラズマの分布を調整可能にしている。
(b) 上記の実施形態では、複数の高周波プラズマ発生手段30A〜30Fによってプラズマを発生させていたが、複数の高周波プラズマ発生手段30A〜30Fの一部、または総ての代わりに、イオンビーム照射手段を設け、イオンビーム照射手段からイオンビームを基体へ向けて照射しながら成膜を行うこともできる。
イオンビームを照射するイオンビーム照射手段としては、直流型,高周波型,マイクロ波型といった各種のイオン源を用いることができる。このようにイオンビーム照射手段を用いて成膜を行うことで、上述の高周波プラズマ発生手段30A〜30Fを用いた成膜に比べて、高いエネルギーをもつイオンの補助を行いながら蒸着を行うことができる。
図7は、イオンビーム照射手段を用いた蒸着装置1の説明図である。図8は、イオンビーム照射手段の一例を説明する説明図である。
図7に示すように、本実施形態では、上述の実施形態における高周波プラズマ発生手段30A〜30Fの代わりに、複数のイオンビーム照射手段として、イオンビーム発生源50A,50B,50C,50D,50E,50Fを設けている(このうち、イオンビーム発生源50A,50Dのみを図示する)。
上記の実施形態の高周波プラズマ発生手段30A〜30Fと同様に、イオンビーム発生源50A〜50Fは、開口11a〜11fに対応して、基体ホルダ13の回転方向に沿って、蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い位置に設けられている。なお、本実施形態では、イオンビーム照射手段を複数設置している例を示すが、イオンビーム照射手段は1つとすることもできる。
図8に示すように、本例のイオンビーム発生源50A(イオンビーム発生源50B,50C,50D,50E,50Fも同様の構成である)は、放電を行うための放電手段51と、イオン照射口52aを有し放電によって生成されるプラズマを保持する放電室を形成する有底筒状の放電管52と、放電管52のイオン照射口52aを覆ってプラズマからイオンビームを引出すための引出電極53とを備えている。
放電手段51は、放電管52の側面の外側に巻回されているコイルアンテナである。また放電管52は石英で形成されている。放電管52の側面の外側には、引出電極53側と、引出電極53の逆側とのそれぞれに、磁場発生手段54a,54bが一つずつ配置されている。磁場発生手段54a,54bは、電磁コイルである。
放電管52の底面略中央には、ガス導入口55が固定されている。このガス導入口55はガスボンベ12から放電管52内にガスを導入するものであり、ガスを噴出させる先端が放電管52内に位置している。引出電極53は、第一電極53a,第二電極53b,第三電極53cから構成されている。
第一電極53aには加速電源の正極端子が接続されており、正の電圧が印加される。第二電極53bにはサプレッサ電源の負極端子が接続されており、負の電圧が印加される。第三電極53cは、アースされたステンレス製のイオン源ボディ56に直接固定されている。放電手段51は、RF電源に接続されている。RF電源から放電手段51に高周波電流が流れると誘導起電力が生じ、誘導結合方式のRF放電によって放電管52内に、ガスボンベ12から導入されたガスのプラズマが発生する。
上記構成のイオンビーム発生源50Aは、真空槽11の開口11aを塞ぐ位置に、イオン照射口52aを基体ホルダ13に保持された基板へ向けて設けられ、引出電極53から引き出されたイオンビームを基板へ向けて照射する。
なお、イオンビーム発生源50Aに導入するガスは、上記の実施形態と同様に、形成する薄膜の構成元素等に応じて適宜都合のよいものを選ぶ。反応性ガス等のイオンを基板に形成する薄膜に照射することで、イオンビームの運動エネルギーを薄膜に与えて、緻密な薄膜を形成することが可能となる。
本実施形態では、複数のイオンビーム発生源50A〜50Fが、基体ホルダ13の回転方向に沿って設けられている。このため、放電手段51に供給する電力を独立に制御して、基板に対して照射するイオンの分布を調整し易くしている。特に、本実施形態では、基体ホルダ13の回転方向に沿ってイオンビーム発生源50A〜50Fが設けられているため、公転する各基板に照射するイオンの分布を調整するのが容易となっている。
さらに、本実施形態では、開口11a〜11fが蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い位置に形成され、イオンビーム発生源50A〜50Fを、蒸着源20よりも基体ホルダ13に近い位置に設けている。これにより、従来よりも低電力で高い密度のイオンを基板に向けて照射することが可能となっている。
(c) 上記実施形態では、真空槽11の外に高周波アンテナ31A〜31Fを配置していたが、高周波アンテナ31A〜31Fの代わりに、真空槽11内に高周波アンテナを設けることもできる。
また、上記の実施形態のプラズマ発生手段は、高周波を用いてプラズマを発生させるものであったが、プラズマ発生手段としては、直流方式によってプラズマを発生させるものを用いることもできる。例えば、プラズマ発生手段として、アーク放電を行うための電極を真空槽11内に設けて、この電極に直流電源から電圧を印加して、真空槽11内にプラズマを発生させることもできる。
本実施形態の蒸着装置の概略構成を示す説明図である。 本実施形態の蒸着装置の概略構成を示す説明図である。 本実施形態のプラズマ発生手段を説明する説明図である。 基体ホルダと蒸着源の相対位置と膜厚分布の関係を示すグラフである。 基体ホルダと蒸着源の相対位置と膜厚分布の関係を示すグラフである。 他の実施形態のプラズマ発生手段を説明する説明図である。 イオンビーム照射手段を用いた蒸着装置の説明図である。 イオンビーム照射手段の一例を説明する説明図である。 従来の蒸着装置を説明する説明図である。
符号の説明
1 蒸着装置
11 真空槽
11A 膜形成室
11a,11b,11c,11d,11e,11f 開口
11g 排気口
12 ガスボンベ
12b ガス導入管
12a マスフローコントローラ
13 基体ホルダ
15 膜厚補正板
17 モーター
17a 回転支持枠
20 蒸着源
21 坩堝
22 電子銃
23 電子銃電源
30A,30B,30C,30D,30E,30F 高周波プラズマ発生手段
31A,31B,31C,31D,31E,31F 高周波アンテナ
32A,32B,32C,32D,32E,32F 誘電体壁
33A 固定枠
34A,34B,34C,34D,34E,34F アンテナ支持具
35A,35B,35C,35D,35E,35F 高周波電源
36A,36B,36C,36D,36E,36F マッチング回路
36A−a,36A−b 可変コンデンサ
36A−c マッチング用コイル
50A,50B,50C,50D,50E,50F イオンビーム発生源
51 放電手段
52 放電管
52a イオン照射口
53 引出電極
53a 第一電極
53b 第二電極
53c 第三電極
54a,54b 磁場発生手段
55 ガス導入口
56 イオン源ボディ
113 基体ホルダ
120 蒸着源
131 高周波アンテナ
131a,131b アンテナ
134a,134b アンテナ支持具
136 マッチング回路
136a,136b 可変コンデンサ
S 基板
Z 回転軸線

Claims (12)

  1. 真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、
    前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、
    該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、を備え、
    前記蒸着源に対峙した前記基体保持手段の最大幅に対して、前記蒸着源と前記基体保持手段の距離の比率が1未満であることを特徴とする蒸着装置。
  2. 真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、
    前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、
    該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、を備え、
    前記蒸着源に対峙した前記基体保持手段の最大幅に対して、前記蒸着源と前記基体保持手段の距離の比率が0.4以上0.6以下の範囲にあることを特徴とする蒸着装置。
  3. 前記基体保持手段は、回転可能に構成され、
    前記蒸着源に対峙した前記基体保持手段の最大幅に対して、前記基体保持手段の回転軸線から前記蒸着源までの距離の比率が0.4以上0.5以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸着装置。
  4. 前記基体保持手段と前記蒸着源の間の領域でプラズマを発生させるためのプラズマ発生手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載の蒸着装置。
  5. 前記プラズマ発生手段は、前記蒸着源よりも前記基体保持手段に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の蒸着装置。
  6. 真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、
    前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、
    該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、
    前記基体保持手段と前記蒸着源の間の領域でプラズマを発生させるためのプラズマ発生手段と、を備え、
    前記プラズマ発生手段は、前記蒸着源よりも前記基体保持手段に近い位置に設けられていることを特徴とする蒸着装置。
  7. 前記プラズマ発生手段は、前記真空槽内で蒸着による成膜を行う空間である膜形成室に誘導電界を発生させるための高周波アンテナを有し、
    該高周波アンテナは、前記膜形成室の外側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の蒸着装置。
  8. 前記プラズマ発生手段が複数設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の蒸着装置。
  9. 前記基体保持手段は、回転可能に構成され、
    前記プラズマ発生手段が前記基体保持手段の回転方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の蒸着装置。
  10. 真空槽内で原料を加熱して発生させた原料蒸発物を基体に付着させて薄膜を形成させる蒸着装置において、
    前記真空槽内に配置されて前記基体を保持するための基体保持手段と、
    該基体保持手段に対向して設けられて原料蒸発物を発生させる蒸着源と、
    前記基体に向けてイオンビームを照射するためのイオンビーム照射手段と、を備え、
    前記イオンビーム照射手段は、前記蒸着源よりも前記基体保持手段に近い位置に設けられていることを特徴とする蒸着装置。
  11. 前記イオンビーム照射手段が複数設けられていることを特徴とする請求項10に記載の蒸着装置。
  12. 前記基体保持手段は、回転可能に構成され、
    前記イオンビーム照射手段が前記基体保持手段の回転方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項10に記載の蒸着装置。
JP2004229888A 2004-08-05 2004-08-05 蒸着装置 Pending JP2006045632A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004229888A JP2006045632A (ja) 2004-08-05 2004-08-05 蒸着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004229888A JP2006045632A (ja) 2004-08-05 2004-08-05 蒸着装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006045632A true JP2006045632A (ja) 2006-02-16

Family

ID=36024555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004229888A Pending JP2006045632A (ja) 2004-08-05 2004-08-05 蒸着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006045632A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010018876A1 (ja) 2008-08-15 2010-02-18 株式会社シンクロン 光学薄膜蒸着装置及び光学薄膜の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010018876A1 (ja) 2008-08-15 2010-02-18 株式会社シンクロン 光学薄膜蒸着装置及び光学薄膜の製造方法
US8826856B2 (en) 2008-08-15 2014-09-09 Shincron Co., Ltd. Optical thin-film vapor deposition apparatus and optical thin-film production method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4992153A (en) Sputter-CVD process for at least partially coating a workpiece
JP6408862B2 (ja) 低圧アーク・プラズマ浸漬被膜気相堆積及びイオン処理
TWI683020B (zh) 成膜方法及成膜裝置
TWI411696B (zh) 沉積電絕緣層之方法
US4619748A (en) Method and apparatus for the reactive vapor deposition of layers of oxides, nitrides, oxynitrides and carbides on a substrate
JP2009057637A (ja) ヘリカル磁気共振コイルを利用したイオン化物理的気相蒸着装置
JPH05214522A (ja) スパッタリング方法及び装置
JP2010242213A (ja) スパッタリング方法及び成膜装置
TWI296813B (en) Improvements in and relating to magnetron sputtering
JP5464800B2 (ja) スパッタリング装置及び成膜方法
JP2002512310A (ja) 誘導結合プラズマ堆積で形成された金属膜の均一性を強化する小直径コイル
JP2003073814A (ja) 製膜装置
JPH04235276A (ja) 基板をコーティングするための装置
JPH11269643A (ja) 成膜装置およびそれを用いた成膜方法
JP7038366B2 (ja) 単一ビームプラズマ源
JP2006045632A (ja) 蒸着装置
KR100701267B1 (ko) 저전류 구동형 펄스 아크 발생장치
JP7160531B2 (ja) 表面処理装置
JP2005076095A (ja) 薄膜形成装置及び薄膜形成方法
JP6005536B2 (ja) アーク蒸発源を備えたプラズマcvd装置
US6302056B1 (en) Device for coating substrates with a material vapor in negative pressure or vacuum
JP3406769B2 (ja) イオンプレーティング装置
EP2597174A1 (en) Vapor deposition of ceramic coatings
JP3822778B2 (ja) 高周波イオンプレーティング装置
JPS63307272A (ja) イオンビ−ムスパツタ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070802

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20080731

A975 Report on accelerated examination

Effective date: 20080828

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20081007

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20081205

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090224

A521 Written amendment

Effective date: 20090417

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20090609

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02